2003年度

Chemistry Letters


320173
Visualization of chemical modification of pore internal surfaces using fluorescence microscopy
前川康成 ; 鈴木康之* ; 前山勝也* ; 米澤宣行* ; 吉田勝
Chemistry Letters 33(2), p.150-151(2004) ; (JAERI-J 20696)

 PET膜へのイオンビーム照射により作製したイオン穿孔膜は,直径が0.01-10μmと,膜厚に対する孔径が小さく,孔径分布が狭い微細孔を有するため,分離膜やナノリアクターへの応用が期待できる.このイオン穿孔膜の分離膜機能を向上させるために,化学修飾法による微細孔内壁の化学構造と表面特性の制御を試みた.メンブレンフィルター用ろ過器に孔径0.31, 0.54μmのイオン穿孔膜をセットし,微細孔内へ蛍光色素を有する1-(bromomethyl)pyreneの反応溶液を導入することで,微細孔内壁のカルボキシル基をアルキル化した.孔径が大きくなるにつれて蛍光,励起スペクトル強度の増加が観察された.蛍光顕微鏡観察より,イオン穿孔膜の微細孔に対応した位置から蛍光が観察されることから,蛍光色素が微細孔内壁に化学固定化できることが確認できた.


310718
Characterization of Eu(III) adsorbed onto chitin and chitosan by time-resolved laser-induced fluorescence spectroscopy
尾崎卓郎 ; 木村貴海 ; 吉田善行 ; Francis, A. J.*
Chemistry Letters 32(7), p.560-561(2003) ; (JAERI-J 20231)

 構造が類似した生体高分子であるキチン,キトサン及びセルロースへのEu(III)の吸着挙動を,分配比測定法及び時間分解レーザー誘起蛍光法(TRLFS)により調べた.Eu(III)のキチン及びキトサンへの分配比はlogKd=2〜4(g-1cm3)であり,それらはセルロースへの分配比logKd=0.5〜3(g-1cm3)より大きい.これらの生体高分子は類似した高分子構造を有するにもかかわらず,Eu(III)の配位環境は著しく異なることがTRLFSにより明らかになった.すなわち,キチンに吸着したEu(III)は内圏配位型,キトサンに吸着したそれは外圏配位型,セルロースに吸着したそれは,内圏型・外圏型の中間的な配位状態を示した.金属イオンと高分子との相互作用の解明には,高分子構造のみならず吸着イオンの水和構造の正確な把握も必要である.


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