2003年度

Plant Physiology


320216
p-chlorophenoxyisobutyric acid impairs auxin response in arabidopsis root
大野豊 ; 大浦千春* ; Rahman, A.* ; Aspuria, E. T.* ; 林謙一郎* ; 田中淳 ; 内宮博文*
Plant Physiology 133(3), p.1135-1147(2003) ; (JAERI-J 20739)

 PCIB (パラクロロイソ酪酸)はアンチオーキシンとして知られ,オーキシンの作用を阻害する目的で広く使われている.しかし,その阻害作用の分子メカニズムは十分に明らかにされていない.本研究ではPCIBがIAA, 2,4-D及びNAAによるBA-GUS遺伝子の発現誘導を阻害されることを示した.さらにRNAハイブリダイゼーションやRT-PCRの結果からPCIB はオーキシンによるAux/IAA遺伝子の発現も抑制することが示された.また,HS::AXR3-GUS形質転換体おけるGUS活性はオーキシンによるAXR3-GUS融合タンパク質の分解促進のためオーキシン添加で阻害されるが,PCIBはオーキシンとは逆にGUS活性を増強させることが明らかとなった.一方,シロイヌナズナ根におけるPCIBの生理的影響を調べたところ,PCIBはIAAによる側根誘導を阻害し,主根の生長や重力に対する反応も阻害することが明らかとなった.以上の結果から,PCIBは,Aux/IAAの安定性によって制御されているオーキシン情報伝達系を阻害し,オーキシンによる植物の生長制御に影響を及ぼすことが示唆された.


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