2003年度

Journal of Applied Crystallography


310829
Cold neutron beam focusing by a superconducting sextupole magnet
鈴木淳市 ; 奥隆之* ; 安達智弘* ; 清水裕彦* ; 蛭町多美子* ; 土橋隆博* ; 渡辺郁男*
Journal of Applied Crystallography 36(Part3, 1), p.795-799(2003) ; (JAERI-J 20322)

 中性子小角散乱法は物質のナノスケールの構造研究に広く利用されている.しかし,中性子ビーム強度の弱さのために適用分野は制限されてしまう.もし,中性子ビーム強度を強くすることができれば,薄膜や低コントラストなどの物質にも適用分野を広げることが可能になる.六極磁石は,内部に発生する磁場勾配により中性子に力を及ぼすことのできる,つまり,磁気屈折素子としての機能を備えた機器である.これまでに,われわれは,永久磁石により構成されたボーア径が9mmの六極磁石において,中性子の集光性能を確認してきた.しかし,実用性を考えた場合,このボーア径では小さすぎるという問題があった.そこで,われわれは,超伝導コイルを利用することによりこの問題を克服し,ボーア径が50mmの六極磁石を構成することができた.会議では,この超伝導六極磁石の設計概念及び集光性能について発表する.


310923
Small-angle scattering on soft matter with dynamical asymmetry
小泉智
Journal of Applied Crystallography 36(Part3,2), p.381-388(2003) ; (JAERI-J 20406)

 これまで改3号炉の中性子小角散乱装置(SANS-J)を用いて,動的非対称性をもつ高分子系についての研究を行ってきた.この結果を,イタリア,ベネチアにおいて開催される第7回小角散乱国際会議において,複雑液体のセッションで講演する.静止場については小角散乱の結果をもとに,高分子の相溶性とレオロジー測定によるずり弾性率の関係を明らかにした.その結果,ずり弾性率の緩和時間の増大にともなって小角散乱強度が抑制されることが明らかになった.流動場においては,ずり変形によって誘発される流動誘起相分離を小角散乱で観察した.その結果,バタフライ状の異方的散乱が観察された.2つの現象は,動的非対称性が存在する混合系で見られる「拡散と応力のカップリング効果」によると結論した.


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