2003年度

Transactions of the Materials Research Society of Japan


320220
Sputter etching of Si substrate to synthesize highly oriented β-FeSi2 films
五十嵐慎一* ; 勝俣敏伸* ; 原口雅晴* ; 斉藤健* ; 山口憲司 ; 山本博之 ; 北條喜一
Transactions of the Materials Research Society of Japan 28(4), p.1153-1156(2003) ; (JAERI-J 20743)

 われわれはイオンビームスパッタ蒸着法により,シリコン基板上にβ-FeSi2薄膜の作製を行ってきた.薄膜の結晶構造は基板洗浄法に依存し,高配向のβ-FeSi2薄膜の作製にはスパッタエッチングが適していることがわかってきた.われわれはスパッタエッチングの条件を変え,β-FeSi2薄膜の結晶構造の評価をX線回折法・反射高速電子線回折法により行い,エッチングにおける表面非晶質化が結晶構造に及ぼす影響を明らかにした.非晶質層は高配向膜の形成を妨げる.エッチング後の焼鈍による欠陥回復が,高配向β-FeSi2薄膜には不可欠であることを明らかにした.


320219
Optical spectroscopy of plasma plume induced by pulsed laser deposition of TiO2 thin films
北澤真一 ; 山本春也
Transactions of the Materials Research Society of Japan 28(4), p.1133-1136(2003) ; (JAERI-J 20742)

 減圧酸素雰囲気下のTi及びTiO2ターゲットに高出力パルスレーザー光を照射し,発生した蒸気を堆積させて単結晶TiO2薄膜を作製する(パルスレーザー蒸着法).このときに発生する(Ti蒸気の)プラズマ柱の可視領域の発光を分光解析し,プラズマ柱の構成分子がTiO2単結晶膜の結晶構造に与える影響を調べた.その結果,発生するプラズマ内には,TiばかりでなくTiOが含まれていることがわかった.ターゲットがTiの場合には酸素の分圧に比例してTiOが増加したが,ターゲットがTiO2の場合には,比例関係が失われた.得られたTiO2単結晶膜のX線解析を行って結晶構造を調べた結果,その結晶構造とTiO分子数との間には関係があることがわかった.


311062
Nanoparticle formation by pulsed laser ablation of TiO2
八巻徹也 ; 伊藤久義 ; 松原正和* ; 阿部弘亨* ; 浅井圭介*
Transactions of the Materials Research Society of Japan 28(3), p.879-882(2003) ; (JAERI-J 20513)

 本研究では,KrFエキシマーレーザー(波長248 nm)パルスをTiO2ペレットに照射し,その直後に誘起されるプラズマ内反応を利用することによって,室温でナノ微粒子を作製した.1Torr以上に圧力を制御したO2とAr混合ガス(5:5)中で作製すると,低次酸化物の混入のない高純度なTiO2微粒子が生成し,これはルチル,アナターゼ結晶相から成っていることが明らかになった.また,雰囲気ガスの圧力を10Torrまで増加させるにつれて,含有するルチル相の重量分率は大きくなった.このことは,本手法がTiO2微粒子中のルチル/アナターゼ混合比を制御可能であることを示している.結晶相の制御性について,レーザープラズマの物理モデルに基づいて考察を行った結果,高圧下でのプラズマ密度の増大が反応系内の温度(ここでは電子温度に相当)を上昇させ,このことが高温相であるルチル体の結晶化を促進していると考えられた.透過型電子顕微鏡観察によれば,微粒子の粒径は10-14nmであり,光触媒材料としての高い応用性が示唆された.


320121
Complimentary use of neutron and X-ray reflection in study on a giant magnetoresistance (GMR) effect of magnetic multilayers
武田全康 ; 遠藤康夫* ; 上條敦* ; Langridge, S.* ; Dalgliesh, R.* ; Her, J. H.* ; Lee, K. B.*
Transactions of the Materials Research Society of Japan 28, p.23-26(2003) ; (JAERI-J 20655)

 この会議は,ナノ材料開発,特に薄膜ナノ構造,埋もれた界面の作製・制御において現在及び近未来に取り組むべき課題を整理し,X線・中性子を用いた先端解析技術によっていかに解決すべきであるかを明らかにすることを目的としている.発表者は,これまで偏極中性子と放射光を使って巨大磁気抵抗効果を起こす磁性人工格子の界面における原子配置の乱れとそれに誘起される磁気界面の乱れの相関に関する研究を行ってきた.これらの人工格子では,磁気界面の乱れが巨大磁気抵抗効果の発現に重要な役割を果たしていると言われているが,磁気界面の乱れを定量的に評価し巨大磁気抵抗効果と結びつけた研究は行われたことがない.この発表では,熱処理によって界面の乱れの度合いを人為的に変えたFe/Cr人工格子の磁気抵抗効果と原子配置の乱れ,そしてそれに誘起された界面における磁気的な乱れの相関を中性子とX線を用いた非鏡面反射率の測定結果から議論する.


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