2003年度

Physics and Chemistry of Glasses


310708
Neutron diffraction measurements of the structure of an orthosilicate glass: Mg2SiO4
Weber, J. K. R.* ; Tangeman, J. A.* ; Key, T. S.* ; Loong, C.-K.* ; 竹内謙* ; 鈴谷賢太郎
Physics and Chemistry of Glasses, Vol. 43C 2002, p.68-70(2002) ; (JAERI-J 20222)

 かんらん石(Forsterite, Mg2SiO4)は,地球のマントル上部の主要構成物質であるので,結晶及び同組成の融体の物性を構造的に理解することは地球科学において大変重要である.しかし,かんらん石の融点は非常に高温であるため,融体の構造及び物性を調べることは大変困難である.そこで,融体のアナロジーとして,かんらん石組成のガラス物質を作製し,その構造及び物性を十分に理解することは,地球科学的に大変意義あることと思われる.しかし,かんらん石はオルトケイ酸塩であるため,通常はガラスになりにくい組成である.そこで,われわれは,溶解容器を使用しないArガス浮上CO2ガスレーザー溶融法によって,通常の方法ではガラスを作ることが困難なかんらん石組成のガラスを作成し,パルス中性子回折によってその短距離構造を調べた.その結果,このガラスの構造は,レギュラーなMgO6八面体からなる結晶(かんらん石)構造とは大きく異なっており,歪んだMgOn(n=3-6)が頂点,稜共有で繋がった特異なネットワーク構造を持つことがわかった


310707
Intermediate range order of vitreous silica studied by high energy X-ray diffraction, neutron diffraction and reverse Monte Carlo modelling
小原真司* ; 鈴谷賢太郎
Physics and Chemistry of Glasses, Vol. 43C 2002, p.51-54(2002) ; (JAERI-J 20221)

 第三世代放射光源SPring-8より得られる高強度の高エネルギー単色X線の持つ短波長,高透過能から,回折実験によって,高い散乱ベクトルQ (>350nm-1)まで(吸収補正などの)データ補正のほとんど必要ない精度の高い構造因子S(Q)を得ることが可能となった.最も典型的なネットワーク形成酸化物ガラス:シリカ(SiO2)の高エネルギー単色X線回折による高精度のS(Q)データに,逆モンテカルロ・シミュレーション(Reverse Monte Carlo Simulation = RMC)法を適用することによって,ランダム系物質の物性を研究するうえで極めて重要であるにもかかわらずこれまでデータ解析がほとんど不可能であった中距離構造(短範囲構造ユニットのつくるリング構造など)の信頼できるモデルを構築することに成功した.今後,ランダム系物質の特異な物性は,本研究で示されたような,中距離構造を含む大きな構造モデルをベースに理解が進むものと考えられる.


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