2003年度

Acta Physica Polonica B


310912
Magnetic P-T phase diagrams of CeSb and CeBi
長壁豊隆 ; Hannan, A.* ; 川名大地* ; 神木政史* ; 北澤英明*
Acta Physica Polonica B 34(2), p.1469-1472(2003) ; (JAERI-J 20395)

 CeSbとCeBiについて,最近開発したアンビル式の高圧セルを用いて高圧低温下の中性子回折実験を行い,圧力−温度磁気相図を明らかにした.これらの相図で特徴的なことは,CeSbの約2GPa以上の相図がCeBiの常圧以上の相図と類似しているということである.これは,Ce-モノプニクタイド,CeX(X=P, As, Sb, Bi)の磁性が1つの共通の物理パラメータでスケールできる証拠であり,このパラメータとはキャリアー濃度であると考えられる.また,これ以外に電気抵抗に非常に大きな変化が生じる温度と,高温側のAF-I磁気相と低温側のAF-IA磁気相の発達に深い関連があること,高温側のAF-I磁気相のみが圧力によって非常に安定化されることなどを見いだした.


311011
NQR measurements of UTGa5
加藤治一* ; 酒井宏典* ; 神戸振作 ; Walstedt, R. E.* ; 常盤欣文* ; 大貫惇睦*
Acta Physica Polonica B 34(2), p.1063-1066(2003) ; (JAERI-J 20462)

 本研究では,5f遍歴電子反強磁性体UPtGa5(TN=26K,γ=57mJ/mol K2)について69,71Ga-NMR/NQR測定を行った.常磁性領域においてナイトシフト測定を行い,超微細相互作用係数Ahfparaを見積もった.また,反強磁性領域において,零磁場スペクトルを解析することにより,内部磁場の値が得られ,反強磁性相における超微細相互作用係数AhfAFを見積もることに成功した.AhfAFの値は,Ahfparaに比べて一桁程度大きいことから,hyperfine interactionが長距離にわたっている可能性がある.UPtGa5の磁性において,RKKY相互作用が重要な役割を果たしているのかもしれない.


310913
Magnetic excitations in an itinerant 5f antiferromagnet UPt2Si2
目時直人 ; 小池良浩* ; 芳賀芳範 ; Bernhoeft, N.* ; Lander, G. H.* ; 常盤欣文* ; 大貫惇睦*
Acta Physica Polonica B 34(2,Part2), p.979-982(2003) ; (JAERI-J 20396)

 局在5f電子系と信じられてきたウラン金属間化合物UPt2Si2磁気励起を単結晶試料を用いて測定した.その結果,過去に多結晶試料を用いた70Kの測定で報告された結晶場励起は存在しないことが明らかになり,約30MeVの励起エネルギーまで広く連続的な磁気励起帯の存在を発見した.この事実はUPt2Si2がそれまで信じらていたようにその5f電子は局在的ではなく,遍歴的であることを意味している.非常に興味深いことに,反強磁性転移温度より低温でこの磁気励起にギャップが開く振る舞いが観察された.この磁気励起とギャップの起源について議論する.


310820
Superconductivity in CeRh2Si2 under pressure
荒木新吾* ; 中島美帆* ; 摂待力生* ; 小林達生* ; 大貫惇睦*
Acta Physica Polonica B 34(2, Part1), p.439-442(2003) ; (JAERI-J 20313)

 圧力誘起超伝導体である,反強磁性体CeRh2Si2の純良単結晶試料の育成に成功し,圧力下での電気抵抗の測定を行った.その結果,多結晶において報告されていた圧力誘起超伝導を,単結晶において初めて観測した.超伝導相は反強磁性が消失する約1GPa近傍の狭い領域のみに存在しており,反強磁性的な磁気ゆらぎが関係していると思われる.低温における電気抵抗はCeRh2Si2などの圧力誘起超伝導体でよくみられる非フェルミ液体的挙動は示さず,全ての圧力においてフェルミ液体的な温度依存性を示す.


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