2003年度

Fusion Science and Technology


320177
Extraction of hydrogen from water vapor by hydrogen pump using ceramic proton conductor
河村繕範 ; 小西哲之 ; 西正孝
Fusion Science and Technology 45(1), p.33-40(2004) ; (JAERI-J 20700)

 核融合炉の効率的なブランケットトリチウム回収システムの実現を目指して,プロトン導電性固体電解質膜を用いた電気化学水素ポンプの研究開発を進めている.水素ポンプを用いたブランケットトリチウム回収システムの利点の一つは,一つのコンポーネントで水素同位体と水蒸気の同時処理が期待できることである.本研究では,ペロブスカイト型プロトン導電性セラミックであるSrCe0.95Yb0.05O3-αを用いた水素ポンプにより,水分子中の水素抽出特性についての実験研究を行った.水分子からの水素抽出には,水の分解エネルギーに相当するしきい値が存在する.その値は873Kで500〜600mV程度で,水蒸気分圧の増加に伴い減少する傾向が見られたが,理論値よりやや低い値となることがわかった.また,H2-H2O混合ガスのポンピングについては,H2の透過が水蒸気分解より優先して生じ,水蒸気分解のしきい値は水素分圧の増加に伴い増加する傾向が見られた.これらの結果から,一段の水素ポンプによる水素同位体及び水蒸気の同時処理を実証したが,同時処理を行うためには,比較的高く印加電圧を設定する必要があることが見込まれる.


310919
Progress of negative ion source improvement in N-NBI for JT-60U
河合視己人 ; 秋野昇 ; 海老沢昇 ; Grisham, L. R.* ; 花田磨砂也 ; 本田敦 ; 井上多加志 ; 椛澤稔 ; 菊池勝美* ; 栗山正明 ; 草なぎ直人* ; 藻垣和彦 ; 能登勝也* ; 大賀徳道 ; 大島克己* ; 棚井豊* ; 梅田尚孝 ; 薄井勝富 ; 山本巧 ; 山崎晴幸* ; 渡邊和弘
Fusion Science and Technology 44(2), p.508-512(2003) ; (JAERI-J 20402)

 JT-60U N-NBI用負イオン源は,500keV,22A,10秒間のビーム加速性能を持つ.このような大型負イオン源の運転実績はこれまでになく,1996年より本格的な特性試験を開始したが,この間,多くの改良に努力が費やされた.(1)ソースプラズマの不均一性による加速部電極の熱負荷過大の対策として,上下端部からの発散性ビームをカットするマスク板を設置した.不均一性の改良のために,アーク限流抵抗やグループ毎フィラメントパワーの最適化を行った.(2)その他改良として,ビーム引出し時のフィラメントパワー低減制御の導入やビーム発散抑制のための引出電極形状の最適化を行った.これら改良の積み重ねの結果,現在までに最大入射パワー6.2MW,最長パルス幅10秒を達成することができた.


310447
Development of ceramic coating as tritium permeation barrier
中道勝 ; 河村弘 ; 寺谷武馬*
Fusion Science and Technology 41(3), p.939-942(2002) ; (JAERI-J 20013)

 核融合炉ブランケットの構造材からのトリチウム透過量低減のため,細径配管の内外面に適用可能なセラミックス皮膜の施工技術開発をこれまで続けてきた結果,酸化クロムを主成分としたセラミックス(Cr2O3-SiO2)の皮膜を緻密に形成させる「化学緻密化法」の開発に成功した.しかしながら,Cr2O3-SiO2皮膜内には開気孔が生じる可能性がある.そのため,リン酸クロムをガラス化材として添加することによりトリチウム透過量がより少ない皮膜(Cr2O3-SiO2-CrPO4皮膜)を開発した.本Cr2O3-SiO2-CrPO4皮膜は,耐熱性に優れており,重水素を用いた透過試験における600℃での透過率は皮膜がない場合の約1/1000となり,十分な透過低減性能を有していることが明らかになった.


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