2003年度

Analytical and Bioanalytical Chemistry


320013
Effect of humic acid on the bioavaibatility of radionuclides to rice plants
尾崎卓郎 ; 安部静子* ; 阿部知子* ; Francis, A. J.*
Analytical and Bioanalytical Chemistry 375(4), p.505-510(2003) ; (JAERI-J 20563)

 イネによる83Rb(ルビジウム),137Cs(セシウム),54Mn(マンガン),65Zn(亜鉛),88Y(イットリウム),102Rh(ロジウム)及び75Se(セレン)の取込みに水耕溶液中に存在するフミン酸と溶液のpHが与える影響をマルチトレーサー法により調べた.シリカを含む水耕溶液中にフミン酸を添加したところ,マンガン及び亜鉛のイネへの取込みはpH4.3では増加したがpH5.3では減少した.フミン酸の添加はいずれのpHにおいてもイットリウムの取込みを低下させた.ルビジウム,セシウム及びセレンはフミン酸と相互作用を示さず,フミン酸の添加によりイネへの取込みに変化は現れなかった.また,ロジウムの取込みは見いだされなかった.これらの結果から,元素のイネへの取込みは水耕溶液のpH及び各元素とフミン酸との相互作用の度合いだけでなく,フミン酸の根及びシリカへの吸着の度合いにも強く支配されることがわかった.


310349
Empirical method for prediction of the coordination environment of Eu(III) by time-resolved laser-induced fluorescence spectroscopy
尾崎卓郎 ; 有阪真* ; 木村貴海 ; Francis, A. J.* ; 吉田善行
Analytical and Bioanalytical Chemistry 374(6), p.1101-1104(2002) ; (JAERI-J 19927)

 時間分解レーザー誘起蛍光分光法(TRLFS)によりユーロピウム(III)の配位状態を解明する手法を開発した.ユーロピウム(III)の蛍光寿命は原子に直接配位した水分子の数(N)に比例する.また,発光スペクトルの5D07F1ピークと5D07F2ピークとの比(R)はユーロピウム(III)周囲の配位状態の対称性の指標となる.これまでに,ユーロピウム(III)の状態解析にTRLFSを適用した研究は多いが,NとRの相関を状態解析に利用した例はない.本研究では,ユーロピウム(III)の配位状態が既知である系を選び,NとRの座標上での分布を調べた.典型的な外圏配位型としてユーロピウム(III)−塩化リチウム溶液系,内圏配位型としてユーロピウム(III)−ポリアミノカルボン酸系を用いた.また,メタノールと塩酸の共存下で強酸性陽イオン交換樹脂に吸着したユーロピウム(III)の配位状態をそれらの中間型として利用した.その結果,NとRは配位状態に対応した特異的な分布を示した.これを利用すると,配位状態が未知なユーロピウム(III)のNとRのダイアグラム上での位置を決定することによって,未知の配位状態を解明できる.同手法は固液界面に吸着したユーロピウム(III)の状態解析にも適用できるという大きな利点を有する.本研究で開発した手法は生体高分子や微生物に吸着した系など,複雑な配位環境中のユーロピウム(III)の配位状態を解明するのに非常に有効である.


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