2003年度

Journal of Environmental Radioactivity


320101
Re-emission of heavy water vapour from soil to the atmosphere
横山須美 ; 野口宏 ; 一政祐輔* ; 一政満子*
Journal of Environmental Radioactivity 71(3), p.201-213(2004) ; (JAERI-J 20635)

 核融合施設では,大量のトリチウムを扱うため,周辺の公衆の被ばく線量評価を行ううえでは,施設から放出されたトリチウムの環境中での挙動を調べておく必要がある.特に施設から放出されたトリチウムが土壌に沈着した後,再放出される過程については,あまりデータが得られていないことから明らかにしておく必要がある.本報告書では,特にトリチウム水(HTO)の土壌からの再放出を調べるために,HTOの代わりに重水(HDO)を用いて,土壌に沈着したHTOの再放出過程を模擬した野外実験を行った結果について報告する.実験には,ビニールハウス内でHDOに上面をばく露した土壌(ばく露土壌)及びあらかじめ重水を均一に混合した土壌(重水混合土壌)を用い,土壌を薄く分割して,任意の時間ごとにこれらの土壌水分中HDO濃度の深さ分布の時間変化を調べた.その結果,ばく露土壌及び重水混合土壌の両方の表層土壌水分中重水濃度の低下が著しいものの,ばく露土壌の方が重水混合土壌に比べて,低下割合が大きかった.さらに,交換,蒸発及び拡散過程を考慮した簡易なHTO環境移行モデルを用いて本実験結果の解析を行った結果,モデルは比較的実験結果と良い一致を示すことがわかった.


310926
Anthropogenic radionuclides in the Japan Sea; Their distributions and transport processes
伊藤集通 ; 荒巻能史 ; 北村敏勝 ; 乙坂重嘉 ; 鈴木崇史 ; 外川織彦 ; 小林卓也 ; 千手智晴* ; Chaykovskaya, E. L.* ; Karasev, E. V.* ; Lishavskaya, T. S.* ; Novichkov, V. P. * ; Tkalin, A. V.* ; Shcherbinin, A. F.* ; Volkov, Y. N.*
Journal of Environmental Radioactivity 68(3), p.249-267(2003) ; (JAERI-J 20409)

 1997-2000年の期間,日本海の海水中における90Sr,137Cs並びに239+240Puが計測された.放射性核種濃度の鉛直分布は,90Srと137Csでは表層から深度方向に指数関数的減衰を示し,239+240Puでは表層最小,中層最大となっていて,それぞれ典型的分布を示した.過去の測定例と比較しても本質的な差異は検出されなかった.また,日本海における緯度帯別平均濃度及びインベントリは北西太平洋に比べ高くなっていた.さらに空間分布では,高インベントリ域が日本海盆側から大和海盆へ貫入している様子が描かれた.このことは,日本海盆で鉛直輸送された放射性核種が大和堆を迂回後に大和海盆に入り,日本海の深層水中に放射性核種が蓄積されていることを示唆するものである.


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