2003年度

Journal of Molecular Biology


320180
Effects of salt concentration on association of the amyloid protofilaments of hen egg white lysozyme studied by time-resolved neutron scattering
藤原悟 ; 松本富美子* ; 米澤康滋*
Journal of Molecular Biology 331(1), p.21-28(2003) ; (JAERI-J 20703)

 種々の蛋白質が,その溶液条件によってアミロイド繊維として知られる繊維状構造体を含むさまざまな構造をとることが知られている.ニワトリ卵白リゾチーム(HEWL)は高濃度エタノール中でアミロイド繊維を形成することが知られている.われわれは,このHEWL-エタノール系をモデル系として,その種々の塩濃度下における繊維構造形成過程を時分割中性子散乱法により調べた.その結果,90%エタノール存在下において,NaCl濃度0.1-1.0mMの範囲でHEWLのゲル化が起こることが示された.このゲル化はプロトフィラメントの会合による繊維形成とその繊維同士の架橋によるゲル化という2段階で起こることが示唆された.繊維の構造及びその形成速度はNaCl濃度に依存することが示された.また,NaCl濃度2mM以上では,繊維状構造ではなくアモルファスな沈殿の形成が観測された.このようなさまざまな構造体が試料中の塩濃度に依存して形成されることから,これらの構造体の形成には静電相互作用が本質的な役割を果たしていることが示唆される.こうした観点から多様な繊維状構造体の形成過程についての議論を行った.


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