2003年度

Journal of Applied Meteorology


310924
Toward a robust phenomenological expression of evaporation efficiency for unsaturated soil surfaces
小松輝久* ; 安達武雄
Journal of Applied Meteorology 42(9), p.1330-1334(2003) ; (JAERI-J 20407)

 土壌からの水分の蒸発過程は,地球上の水循環にとって重要なプロセスの一つである.この過程を正しく捉えることは,環境アセスメント等の応用にとっても重要であるとともに,粉体集団の静的な一特性として理学的にも興味深い.これまでの研究では,応用の側面が強く意識されているため,あまり普遍的な性質等については議論されてこなかった.しかしながら,普遍的な性質を認識することが可能であれば,それは理学的に非常に興味深いことであるとともに,応用面への発展も十分に期待できる.そこで,われわれは,さまざまな土壌表面からの水分の蒸発過程に対して,より統一的なモデルを与えることを目指した実験的研究を行った.実験は,風速を制御した室内で行った.土壌水分の蒸発速度は,上面の開放された容器に湿らせた土を入れ,重量の時間変化をモニタリングすることによって測定した.また同時に,空気の温度,湿度,土壌表面の温度を測定した.土壌の素材としては,砂,土等を使用し,初期条件としては,表面に水が溢れるくらい十分に水を含んだ状態を使用した.土壌の種類,厚みを変えて行った一連の実験結果を水面からの蒸発速度との比,蒸発効率β,という形式でまとめた結果,土壌の厚みが十分に薄い条件でβが土壌水分含有率θの関数として書けること,βの関数形が土や砂で共通で普遍的な関数で表し得ること,土壌の特徴付けるのに必要なパラメタは一つであることがわかった.また,このパラメタには風速依存性があること,そしてその依存性は水面の蒸発抵抗を用いて簡単な関係に書き表せることがわかった.


310452
Validation and sensitivity analysis of a new atmosphere-soil-vegetation model, 2; Impacts on in-canopy latent heat flux over a winter wheat field determined by detailed calculation of canopy radiation transmission and stomatal resistance
永井晴康
Journal of Applied Meteorology 42(3), p.434-451(2003) ; (JAERI-J 20018)

 大気−土壌−植生モデルの改良と観測値によるモデルの妥当性評価について記述する.先の測定値を用いた性能評価試験において,モデルの植生層放射伝達と気孔抵抗計算法に適用限界が認められたため,本研究においてそれらを改良した.改良により,アルベド及び潜熱フラックスの観測値を以前より良好に再現することができるようになった.冬小麦畑及び草原の観測と計算値の比較結果から,新しい手法の導入によりモデルの予測精度及び適用性が向上したことが示された.


[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  累積情報(2003年度) > 当ページ
Copyright(C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)