2003年度

第16回数値流体力学シンポジウム講演要旨集


310497
格子ボルツマン法による水平層状二相流のシミュレーション
海老原健一 ; 渡辺正
第16回数値流体力学シンポジウム講演要旨集, p.D12_4_1-D12_4_9(2002) ; (JAERI-J 20063)

 一成分二相流体格子ボルツマン法を用いて,水平層状二相流のシミュレーションを行った.水平層状二相流は,重力によって上下にわかれた密度の異なる二相の流体の流れであり,二相の流速差によって異なる界面現象を示す.今回は,流入流出境界間の圧力差を一定とし,二相の粘性率を変えることによって,二相に異なる流速を与え,また流入境界で正弦波を発生されたシミュレーションを行った.このシミュレーションにおいて,界面形状と二相流動を特徴づける無次元数を測定し,その結果を,TaitelとDulkerの流動様式線図における波状流と環状噴霧流・間欠流とを区別する曲線と比較した.比較の結果,測定された無次元数は,線図のほぼ妥当な位置にプロットされたが,界面形状や界面成長の違いによって得られた境界は,線図の曲線より大きな値となった.


310711
3次元突起付き狭隘流路内の二相流数値解析
高瀬和之 ; 小瀬裕男* ; 吉田啓之 ; 玉井秀定 ; 久米悦雄 ; 北村竜明*
第16回数値流体力学シンポジウム講演要旨集, 7p.(2002) ; (JAERI-J 20225)

 低減速スペクトル炉の炉心燃料集合体内には,1mm程度の燃料棒間ギャップを一定に保つためにスペーサが設置される.このような狭隘流路に存在するスペーサ周辺の熱流動特性に関しては,単相では多くの研究が行われているが,二相流ではほとんど見られない.そこで,狭隘流路内に置かれたスペーサ等の物体が二相流挙動に及ぼす影響を数値的に調べた.数値解析には著者の1人が開発した二相流コードTPFITを使用した.解析体系は3次元流路とスペーサ簡略模擬した矩形突起から成る.解析では,流路入口に液膜厚さとその流速及び蒸気流速を与え,時間方向に進展する液膜流挙動を非加熱等温流条件に対して定量的に調べた.計算に使用した入力値は低減速スペクトル炉の炉心出口近傍の条件を模擬した.解析の結果,突起後端から発生するはく離線に沿ってウエークが形成され,ここでは強い乱れによって液膜が排除され,ほぼ蒸気で満たされることがわかった.この結果から,加熱時には突起後方に十分な冷却を期待できない領域の存在が予測された.また,流れ方向に突起を一定間隔で設置する場合には,前方の突起で発生したウエークが後方の突起に順次影響するため,突起の配置を十分検討する必要がある.今後は,突起形状,加熱時の沸騰流,乱流構造等に及ぼす突起の影響を明らかにする考えである.


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