2003年度

Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11)(CD-ROM)


311087
System pressure effect on density-wave instability; Simplified model analysis and experiments
柴本泰照 ; 井口正 ; 中村秀夫 ; 久木田豊*
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 11p.(2003) ; (JAERI-J 20538)

 沸騰垂直流路の安定限界における系圧力の影響について,解析的及び実験的な検討を行った.モデル作成は,Wallis-Heasleyの熱平衡・一次元均質流モデルに基づいて行った.システムの特性方程式が解析的に解けるように,通常ムダ時間要素で表現される入口流速に対する各種応答を一次遅れ要素によって表した.これは,近似表現ではあるが,特性方程式内で個々の要素を分離して表現できるため,不安定に対する支配因子の特定が容易となる.提案した簡易モデルについて,Ishii-Zuber安定マップ上で実験データと比較した.安定限界を示す実験データは,系圧力に大きく依存する結果となった.本モデルによる予測値は,二相流域の圧力損失に対する系圧力の影響を考慮することで,実験データをよく予想できた.また,システムの固有振動数は,二相流の通過時定数と密接に関係し,これもモデルでよく予測できた.


310878
Examination of applicability of IK method in the negative reactivity measurements
岩永宏平* ; 山根剛 ; 西原健司 ; 岡嶋成晃 ; 関本博* ; 朝岡卓見*
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 10p.(2003) ; (JAERI-J 20371)

 未臨界体系での動的手法による負の反応度測定実験において,未臨界度ρと中性子源強度Sを同時に決定できる逆動特性法のデータ処理手順の適用性について検討を行った.ここでは,FCAにおいて,未臨界体系(k=0.998)に反応度を約$-5.5投入した.このときの炉出力時系列データに対して,6つのデータ処理手順に基づいて,ρ,Sを求め,相互比較を行った.その結果,最も計数率の高い検出器の場合,手法間においてρは2%以内,Sは0.6%以内で一致する.一方,最も計数率の低い検出器では,手法間でρが最大で4%,Sは最大で7%の相違があった.この原因は,未臨界度が深くなると,検出器の計数率が低下し,係数のゆらぎが正規分布からずれることになると考えられる.特に,未臨界の高速炉体系では計数率が大幅に減少するため,$-6程度の反応度投入でも,従来のデータ処理手順に適否があることが判明し,十分計数率を与える検出器の選定が重要であることが示された.


310709
Research and development on accelerator-driven transmutation system at JAERI
佐々敏信 ; 大井川宏之 ; 辻本和文 ; 西原健司 ; 菊地賢司 ; 倉田有司 ; 斎藤滋 ; 二川正敏 ; 梅野誠* ; 大内伸夫 ; 荒井康夫 ; 湊和生 ; 高野秀機
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11)(CD-ROM), 9p.(2003) ; (JAERI-J 20223)

 原研では,高レベル廃棄物中のマイナーアクチノイド及び長寿命核分裂生成物の核変換を行う加速器駆動システムの研究開発を行っている.システムは大強度陽子加速器,鉛・ビスマス核破砕ターゲット及び窒化物燃料を装荷した鉛・ビスマス冷却未臨界炉心から構成される.未臨界炉心には約2500kgのマイナーアクチノイドが装荷される,熱出力800MWで運転することにより年間250kgのマイナーアクチノイドが核変換される.この核変換量は電気出力1GWの軽水炉10基から1年間に生成するマイナーアクチノイド量に相当する.未臨界炉心を駆動するため,ビーム出力20〜30MWの超伝導陽子加速器が接続される.核変換効率を最適化するため,燃料には窒化物が採用されており,照射後は乾式法により再処理が行われる.ADS開発にかかわる多くの関連研究のなかで,特に大強度陽子加速器計画における核変換実験施設について紹介する.


310877
Thermal-hydraulic experiments and analyses for cold moderators
麻生智一 ; 神永雅紀 ; 日野竜太郎 ; 門出政則*
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 8p.(2003) ; (JAERI-J 20370)

 核破砕ターゲットシステムにおいて,超臨界水素を用いる冷減速材は中性子強度やパルス性能などの中性子性能に直接影響する重要な機器である.J-PARCでは,高い中性子強度・パルス性能を同時に実現できる扁平型構造と,大強度冷中性子ビームを広い立体角,すなわち多くの利用者に供給可能な円筒型構造の冷減速材容器をターゲットシステムに設置する予定である.いずれも高圧低温の液体水素を流動させるために,超臨界水素条件(1.5MPa,20K)までを視野に入れた構造設計とともに,中性子性能を低下させる局所の水素温度上昇を防止するように容器内流動を最適化する必要がある.そこで,扁平型及び円筒型冷減速材容器に関して,水による可視化流動実験をアクリル製の模擬容器を用いて行い,再循環流や流れの停滞域などの流動場を明らかにして,流動解析結果と比較評価するとともに,実機容器内液体水素の温度分布を予測した.また,容器底面における衝突噴流の熱伝達特性を予備的に求め,解析コードの検証を行った.以上の結果から,冷減速材設計における工学的な実現性の見通しを得た.


310570
Probabilistic fracture mechanics analyses of RPV under some PTS transients
鬼沢邦雄 ; 柴田勝之 ; 加藤大輔* ; Li, Y.*
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11)(CD-ROM) , 8p.(2003) ; (JAERI-J 20124)

 安全上重要な構造機器の信頼性評価やリスク管理において,確率論的破壊力学(PFM)解析手法の適用が検討されている.原研では,軽水炉圧力容器の加圧熱衝撃(PTS)等の過渡事象時における信頼性解析コードとして,PFMに基づくPASCALコードを開発している.本報告では,典型的な3ループ型PWRを対象として,4ケースのPTS事象についての熱応力解析結果を基に,非破壊検査,破壊靭性曲線,き裂形状等の重要な因子に着目して,PASCALを用いてPFM解析を実施した.解析結果から,PTS時における原子炉圧力容器の破壊確率に対して,非破壊検査の影響は最も大きく影響し,精度の高い検査を行うことにより,破壊確率は検査をしない場合より3桁以上低下することが分かった.また,我が国の脆化予測式及び破壊靭性曲線を適用することにより,米国の手法と比較して破壊確率が減少すること,及びき裂形状を半楕円き裂としてき裂進展解析を行うことにより,従来の無限長き裂に変換する場合における保守性を低減できることが示された.


311086
Experimental study on cooling limit under flow instability in boiling flow channel
井口正 ; 柴本泰照 ; 浅香英明 ; 中村秀夫
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 8p.(2003) ; (JAERI-J 20537)

 BWRの水力不安定時には,流量変動に同期して燃料被覆が沸騰遷移とリウェットを周期的に繰り返すことが知られている.著者らは,THYNC試験装置により,実機核燃料と同長,同径の模擬燃料による2×2管群試験部を用いて,水力不安定実験を行った.その結果,模擬燃料出力を増加すれば,このような周期的沸騰遷移状態が発生し,さらに模擬燃料出力を増加すれば膜沸騰が持続する状態に至り,いずれの場合も模擬燃料温度は逸走しないことを確認した.周期的膜沸騰発生条件は,流量瞬時値が定常沸騰遷移曲線を下回るときで近似できた.持続的膜沸騰は,流量変動の振幅などの振動特性に依存するものの,質量流束変動の中心値が定常沸騰遷移曲線より小さいチャンネル出力で発生した.持続的膜沸騰発生条件は,低圧(2MPa以下),低流量(400kg/m2s以下)の条件では,梅川のモデルとほぼ一致した.高圧(7MPa)では,流量変動1周期間の熱バランスに基礎を置いた実験式とほぼ一致した.TRAC-BF1コードにより,周期的膜沸騰や持続的膜沸騰を予測できた.周期的膜沸騰遷移出力の予測結果はほぼ実験結果と一致したが,リウェット挙動の予測が不適切のため持続的膜沸騰遷移出力はよく予測できなかった.


310876
AFM evaluation for corrosion behavior of ion irradiated stainless steel
根本義之 ; 三輪幸夫 ; 辻宏和 ; 塚田隆
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 7p.(2003) ; (JAERI-J 20369)

 現在,軽水炉の高経年化との関連において重要な検討課題とされているオーステナイト・ステンレス鋼の照射誘起応力腐食割れ(IASCC: Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking)の基礎的な研究のため,照射材における腐食挙動の評価方法の開発及び解析を行った.イオン照射を適用し,照射温度,照射損傷量,水素(H),ヘリウム(He)注入量を変化させて照射を行った.照射材の腐食挙動の評価には原子間力顕微鏡(AFM: Atomic Force Microscope)を適用し,その評価のために最適な腐食条件などについて検討した.その結果,照射材の腐食量の評価に成功し,照射条件と腐食挙動の相関について検討した.また照射誘起偏析の影響と考えられる粒界の優先腐食の様子をとらえることにも成功した.方位像顕微鏡(EBSP: Electron Backscatter Diffraction Pattern)による観察結果との組合せにより,粒界性状と腐食挙動の相関について検討した.


310875
Advanced coated particle fuels; Experience of ZrC-triso fuel development and beyond
小川徹 ; 湊和生 ; 沢和弘
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 6p.(2003) ; (JAERI-J 20368)

 高温ガス炉の被覆粒子燃料はTRISO被覆を基本とするが,TRISO被覆を構成する被覆層のうちSiC層については,(1)核分裂生成物のパラジウムによって腐食される,(2)内側熱分解炭素層が損傷した場合はSiCが気体のSiOを生成して失われる,(3)1973K以上の高温で分解して低密度となる,等の破損機構が存在する.これらSiCの短所を克服するために開発して来たZrC被覆粒子の経験について述べると同時に,(1)超高温ガス炉,(2)アクチノイド燃焼処理,(3)窒化物燃料高速炉等,将来の被覆粒子燃料の応用について検討する.


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