2003年度

海の研究


310699
日高湾西部陸棚上における10日,25日,60日周期流速変動
黒田寛* ; 礒田豊* ; 大西光代* ; 岩橋雅行* ; 佐藤千鶴* ; 中山智治* ; 伊藤集通 ; 伊勢田賢一* ; 西澤慶介* ; 島茂樹* ; 外川織彦
海の研究 12(2), p.195-214(2003) ; (JAERI-J 20213)

 青森−室蘭間を運航する定期旅客船に搭載されたADCPによる2000年4月〜2001年4月までの流速データを用いて,日高湾西部陸棚上における数十日周期の流速変動を調べた.主要10分潮の潮流成分をADCPデータからさし引いた後,不等間隔のデータに2種類のスペクトル解析法を適用した結果,西部陸棚上において10,25,60日の3周期帯の流速変動が卓越していると判断された.不等間隔データに適用可能な新しいバンドパス法(HAB法)を提案し,それぞれの周期変動の水平・鉛直流速構造を抽出した.日高湾西部陸棚上におけるADCP観測点間で,3周期帯の流速変動は水平的にほぼ同位相であった.鉛直的にも10, 25日周期変動の位相差はほとんどみられなかったが,60日周期変動は数日の顕著な位相差がみられた.この位相は,下層流が上層流よりも常に先行している.流れと風とのクロススペクトル解析を行った結果,10日周期帯の流速変動のみが風との高い相関を示し,北西風が北西流よりも約1.5日先行していた.これは,大島・三宅(1990)によるモデルからの見積もりとよく一致している.また,10日周期帯の流速変動は秋〜冬季にかけて卓越していたことから,この周期帯の変動が北西の季節風によって引き起こされていると推測される.


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