2003年度

Proceedings of Symposium on Water Chemistry and Corrosion in Nuclear Power Plants in Asia 2003


320145
Corrosion behavior of stainless steels simulating radiation-induced segregation
三輪幸夫 ; 塚田隆
Proceedings of Symposium on Water Chemistry and Corrosion in Nuclear Power Plants in Asia 2003, p.301-306(2003) ; (JAERI-J 20679)

 照射誘起応力腐食割れは,照射誘起偏析による粒界での化学組成変化に伴う耐食性の劣化が主要な原因と考えられている.しかし,照射誘起偏析による局所的化学組成変化は,熱鋭敏化での局所的化学組成変化と異なり,粒界でのCr濃度の低下に加えてNi及びSi濃度の増加を伴う.このような化学組成変化により高温水中での耐食性が劣化するか否かは不明である.そこで,照射誘起偏析より粒界近傍に生じる化学組成をバルクの化学組成により模擬した実験合金を溶製し,高温水中での腐食挙動及び室温の1N硫酸水溶液中及び1mol/lの硫酸ナトリウム水溶液中でのアノード分極特性を調べた.その結果,溶存酸素を10ppm含む300℃高温水中での腐食減量は,Ni及びSi濃度の影響は見られず,Cr濃度が低下するにしたがい低下することがわかった.しかし,溶存水素を1.3ppm含む高温水中では,Cr濃度の低下による腐食減量の低下は小さくなった.硫酸水溶液及び硫酸ナトリウム水溶液中でのアノード分極試験から,溶存酸素を含むpHが低い環境中ではCr濃度が低くNi及びSi濃度が高い場合に腐食電位が低くなり,Cr濃度のみが低い熱鋭敏化での場合と異なる腐食電位を示すことがわかった.一方,溶存酸素を含まない環境中では,合金の化学組成による腐食電位への大きな違いは見られなかった.硫酸ナトリウム中での不働態化電流密度はCr濃度の低下とともに増大し,Ni及びSiの影響が少ないことがわかった.


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