2003年度

第14回加速器科学研究発表会報告集


320153
マイクロスリットを用いたビームエネルギー幅測定技術の開発
奥村進 ; 石堀郁夫 ; 福田光宏 ; 宮脇信正 ; 倉島俊 ; 上松敬 ; 奈良孝幸 ; 吉田健一 ; 中村義輝 ; 荒川和夫
第14回加速器科学研究発表会報告集, p.518-520(2003) ; (JAERI-J 20687)

 原研AVFサイクロトロンでは,集束方式による直径1μmのマイクロビーム形成を実現するために必要な,集束レンズでの色収差抑制のため,フラットトップ加速によるビームエネルギー幅縮小化技術の開発を進めている.既設分析電磁石を利用して,ビームエネルギー幅計測を行うために,マイクロスリットを用いたビームエネルギー幅計測システムの開発を行った.計測システム及び開発した計測用機器について述べる.


320152
原研AVFサイクロトロンにおけるフラットトップ加速のための中心領域の設計
宮脇信正 ; 福田光宏 ; 倉島俊 ; 奥村進 ; 中村義輝 ; 奈良孝幸 ; 上松敬 ; 石堀郁夫 ; 吉田健一 ; 荒川和夫
第14回加速器科学研究発表会報告集, p.404-406(2003) ; (JAERI-J 20686)

 原研AVFサイクロトロンでは,バイオ研究に必要なビーム径1μmのマイクロビームの形成を目標としている.マイクロビーム形成には集束レンズでの色収差の影響を抑えるため,ビームエネルギー幅|ΔE/E|≦2×10-4を必要とすることから,フラットトップ加速でのビーム位相幅を高精度に制御できる中心領域電極の設計を行った.その結果,TOSCAコードによる3次元電場解析をもとに加速ハーモニックモードH=1, 2, 3のそれぞれについて軌道解析から電極形状及び配置の最適化を行い,いずれの加速ハーモニックモードに対してマイクロビーム形成に必要な|Δφ|≦8°RFのビーム位相幅の達成を見いだした.


320151
JAERI ERL-FELのための高周波基準信号ケーブルの安定化
永井良治 ; 沢村勝 ; 菊澤信宏 ; 羽島良一 ; 西森信行 ; 峰原英介
第14回加速器科学研究発表会報告集, p.362-364(2003) ; (JAERI-J 20685)

 原研エネルギー回収型リニアック駆動自由電子レーザー(JAERI ERL-FEL)の安定性向上のために,高周波基準信号分配用ケーブルの電気長を室温及び大気圧の変動に対して安定化した.室温の変動に対しては,一般的に電気長温度安定性の高いことが知られている同軸ケーブル(絶縁体に高発泡ポリエチレンを使用したケーブル)に温調を施すことにより安定化を行った.大気圧の変動に対しては,温調の設定温度を適当に選ぶことで,その影響を小さくできることがわかった.その結果,当初の目標通りにすべての高周波回路間の位相の変化を±0.1deg.以下にできることがわかった.


320150
原研AVFサイクロトロンにおけるフラットトップ加速システムの開発
倉島俊 ; 福田光宏 ; 宮脇信正 ; 奥村進 ; 奈良孝幸 ; 上松敬 ; 石堀郁夫 ; 吉田健一 ; 中村義輝 ; 荒川和夫
第14回加速器科学研究発表会報告集, p.359-361(2003) ; (JAERI-J 20684)

 原研AVFサイクロトロンは,材料科学・バイオ技術専用のサイクロトロンとして世界で初めて建設され,イオン種・エネルギーを短時間で切り替えるカクテルビーム加速技術,大面積均一照射技術,パルスビーム生成技術,イオン源技術などを開発し,イオンビーム利用研究を先導する最先端の加速器技術を生み出してきた.バイオ技術分野においては,微細孔(マイクロアパーチャ)を用いたコリメート方式により世界に先駆けて開発したビームスポット径約10μmの数百MeV級重イオンマイクロビーム形成技術とシングルイオンヒット技術が生物細胞への局部照射など生体機能解明研究に応用されているが,さらにビームスポット径の高分解能化と照準位置の高精度化を図り,最先端のバイオ・材料研究に資するサブミクロンビーム形成を実現するため,サイクロトロン加速器技術の高度化を進めている.従来のサイクロトロンより加速電場及び磁場の安定性とビームのエネルギー分解能を1桁以上も向上させ,4連四重極レンズを用いたビーム集束方式により数百MeV級重イオンでは世界初となるビームスポット径1μm以下のサブミクロンビーム形成の実現を目指している.


320149
Replacement of accelerator tubes of the JAERI tandem accelerator with tubes cleaned by a high-pressure water jet
竹内末広 ; 仲野谷孝充 ; 株本裕史 ; 石崎暢洋 ; 松田誠 ; 月橋芳廣 ; 神田将 ; 田山豪一 ; 阿部信市 ; 吉田忠
第14回加速器科学研究発表会報告集, p.308-310(2003) ; (JAERI-J 20683)

 原研タンデム加速器は端子電圧を改善するためコンプレスドジオメトリの加速管に更新した.更新にあたって加速管内を高圧純水洗浄するアイデアを検証するための種種の簡単な試験と1MV及び3MVの高電圧試験を行った.その結果加速管セラミック表面は剥がれやすい微粒子がかなり付着していて,高圧純水洗浄等で清浄化することで高電圧性能が飛躍的に改善されることがわかった.加速管更新については経過を述べる.


320148
μITRONを用いたJAERI ERL-FEL制御系の開発
菊澤信宏
第14回加速器科学研究発表会報告集, p.269-271(2003) ; (JAERI-J 20682)

 JAERI ERL-FELでは制御系におもにCAMACを用いているが,CAMACとのインターフェースに産業用に広く使われているμITRONを組み込んだコントローラを開発し,既存のPCと交換する予定である.また,これにあわせて制御用ソフトウェアをJava&CORBAなどで構築し,マルチプラットフォーム対応とする.これによって以前のPCを使った制御系に比べて安定性やリアルタイム制御性が向上することが期待される.新しい制御系の概要を報告する.


320147
高電圧端子内設置に向けたECRイオン源のビーム生成試験及び機器開発
松田誠 ; 竹内末広 ; 吉田忠 ; 花島進 ; 藤井義雄*
第14回加速器科学研究発表会報告集, p.170-172(2003) ; (JAERI-J 20681)

 原研タンデム加速器では得られるビームのエネルギー,強度,イオン種の拡大を目的に高電圧端子内にECRイオン源を設置している.計画の第1段階で,基本的な技術の取得及び機器の開発のため,加速器本体に大きく手を加えることなく搭載することが可能な小型のイオン源を設置した.現在,高電圧端子内ECRイオン源により,ヘリウムを除く希ガス及び水素,窒素,酸素の加速が行われている.今回は計画の第2段階として14.5GHz, 200Wの永久磁石型ECRイオン源を設置する予定である.これによりさらに高多荷イオンの生成が可能となりビームエネルギー・強度ともに現状以上に増強することができる.これまでに試験台にてビーム生成試験及び動作特性の測定を行った.また特殊な環境下である端子内に設置される機器に対する新たな制御方式の開発を行っている.


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