2004年度

Physical Review E


330198
Measurement of 2l-nl ' X-ray transitions from 〜1μm Kr clusters irradiated by high-intensity femtosecond laser pulses
Hansen, S. B.* ; Fournier, K. B.* ; Faenov, A. Y.* ; Magunov, A. I.* ; Pikuz, T. A.* ; Skobelev, I. Y.* ; 福田祐仁* ; 赤羽温 ; 青山誠 ; 井上典洋* ; 上田英樹* ; 山川考一
Physical Review E 71(1), p.016408_1-016408_9(2005) ; (JAERI-J 21600)

 原研100TWレーザーを直径約1μmのKrクラスターに照射し,Ne-like Krイオンの2l-nl '遷移に由来するX線スペクトルを測定した.X線スペクトルの入射レーザー光の強度に対する依存性は弱かった.このことは,クラスターの寿命(1-2ps)が,衝突イオン化で生成した多価イオンのイオン化レベルをNe-like Krまでに留めていることを示唆している. 相対論的多配置FACコードに基づいた衝突放射モデルを作成し,実験結果のシミュレーションを行った.その結果,クラスタープラズマの電子密度=1022cm-3,温度=数百eV,高速電子含有率=数%という結果が得られた.


330197
Observation of supercontinuum generation in the direct simulation of an intense laser pulse propagating in a neutral gas
Koga, J. K.
Physical Review E 70(5), p.056404_1-056404_5(2004) ; (JAERI-J 21599)

 中性ガス中における高パワー短パルスレーザーの伝播は,複雑な現象である.その詳細な伝播ダイナミクスを解析するために,バックグラウンド中性ガス分極の有限応答時間と光イオン化を含むマクスウェル方程式を直接解くコードを開発した.高パワーレーザーパルスの水素様ガス中の伝播についての大規模2次元シミュレーションにおいて,超広帯域の白色光,いわゆるスーパーコンティニュウムが生成されることを見いだした.


330097
Integration of the Lorentz-Dirac equation; Interaction of an intense laser pulse with high-energy electrons
Koga, J. K.
Physical Review E 70(4), p.046502_1-046502_5(2004) ; (JAERI-J 21516)

 通常,電磁場と相互作用する電子の運動は放射減衰の影響をほとんど受けない.一方,ペタワットクラスのレーザーを集光すると,相互作用する電子が極短時間微小領域において相対論的となり,放射量が極めて大きく,結果として電子運動の減衰が顕著となり得る.このような問題を取り扱うために,強電磁場と相互作用する単一電子の時間発展を解く計算コードを開発した.通常,電子の運動方程式は放射減衰を摂動として取り扱い,ローレンツ−ディラック方程式より導かれる.この運動方程式を用いて時間的に前進させ,その後ローレンツ−ディラック方程式により時間的に遡った積分を行い,結果を比較した.波長が極めて短く,超高強度の場合には,これら積分に差異が生じることを見いだした.一方,電子運動が古典的領域にあるときは,この差異は無視でき,1次のオーダーの減衰方程式が適用できる.


330096
Underlying mechanism of numerical instability in large-eddy simulation of turbulent flows
井田真人 ; 谷口伸行*
Physical Review E 69(4), p.046701_1-046701_9(2004) ; (JAERI-J 21515)

 本論文ではラージ・エディ・シミュレーション(LES)による安定かつ高精度な乱流計算の実現可能性に関するわれわれの最近の理論的研究[Ida and Taniguchi, Phys. Rev. E 68, 036705 (2003)]を拡張する.以前の論文では主流速度成分の瞬時値に関する簡単な仮定に基づき,ガウシアン・フィルターのナビエ・ストークス方程式への適用が数値的に不安定な項を発生させうることを示した.この結果は,はたして数値的に安定なサブグリッド・スケール・モデルで高精度な数値計算を成しえるのかという疑問を投げかけるものであった.本論文では速度成分の統計平均値に関する仮定に基づき,統計平均速度場中のせん断から定係数の逆拡散項が派生し,それにより時間変動成分が不安定になる場合があることを示す.この発見は壁乱流のLESで度々問題となる厄介な数値不安定を説明するものである.ここで得られた結果は,仮に乱流モデリングに何の不具合が無くとも,得られたサブグリッド・スケール・モデルはなおも不安定な性質を持ちうること,つまり,既存の複数のモデルが持つ数値不安定性は人工的な操作によって単純に取り去ってしまってよいものではなく,正確に扱うよう真剣に取り組むべきものであることを示唆している.


[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  累積情報(2004年度) > 当ページ
Copyright(C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)