2004年度

Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena


320679
Soft X-ray emission spectroscopy of polycyclic aromatic hydrocarbons
村松康司 ; 冨澤加奈* ; Denlinger, J. D.* ; Perera, R. C. C.*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena 137-140(1-3), p.823-826(2004) ; (JAERI-J 21111)

 多環式芳香族化合物(PAH)のCKX線発光スペクトルを測定した.分子を構成する炭素原子のうち,分子端の水素化された炭素原子の割合が高いほど,発光ピークのエネルギー位置が高エネルギー側にシフトした.分子軌道計算による解析から,このエネルギーシフトは上記二種類の炭素原子の割合に依存することが確認された.


320926
NEXAFS spectra of an epitaxial boron nitride film on Ni(111)
下山巖 ; 馬場祐治 ; 関口哲弘 ; Nath, K. G.*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena 137-140, p.573-578(2004) ; (JAERI-J 21327)

 六方晶窒化ホウ素(h-BN)はグラファイト構造の2次元的な異方性を持つワイドバンドギャップ化合物であり,超薄膜絶縁体の材料として興味深い対象である.近年そのエピタキシャル薄膜がNi(111)上に形成されることが明らかになった.そこでわれわれは吸収端近傍X線微細構造(NEXAFS)分光法を用いてこのエピタキシャル薄膜の電子構造を調べた.h-BNエピタキシャル薄膜生成にはボラジン(B3N3H6)を用いた.真空中で加熱したNi(111)基板にボラジンガスを吹き付けることによって約1〜2層のh-BN薄膜を得た.薄膜とバルクの電子構造の違いを調べるため両者のNEXAFSスペクトルを測定した.バルクh-BNはホウ素K吸収端のNEXAFSスペクトルにおいて1s→π*遷移に帰属される特徴的な一本のπ*ピークを示す.一方h-BN薄膜のスペクトルはバルクのスペクトルに観測されたπ*ピークの高エネルギー側に新しいピークを示した.NEXAFSスペクトルの偏光依存性解析によりこのピークはπ*ピークに帰属された.この結果はh-BNエピタキシャル薄膜のπ*バンドがバルクh-BNのπ*バンドと明らかに異なることを示しており,基板との相互作用によりh-BNの伝導帯における電子構造の変容が生じたことを示唆している.


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