2004年度

Materials Transactions, JIM


330172
Cl K-edge XANES spectra of atmospheric rust on Fe, Fe-Cr and Fe-Ni alloys exposed to saline environment
小西啓之 ; 山下正人* ; 内田仁* ; 水木純一郎
Materials Transactions, JIM 45(12), p.3356-3359(2004) ; (JAERI-J 21574)

 耐候性鋼中の添加合金元素であるNiやCr,環境中の腐食イオンであるClが耐候性鋼の耐食性に及ぼす働きを調べるために,飛来塩分量の多い試験場で大気暴露した純Fe,Fe-Ni合金,Fe-Cr合金から表面さび層を採取し,そのCl K吸収端XANESを放射光を用いて測定した.二元合金表面のさびのXANESスペクトルには吸収端近傍にショルダーピークが現れる.現時点でこのピークに対応した塩化物は特定できていない.そのピーク強度は暴露試験材中の合金元素の種類と量に依存するが,ピーク位置は一定であった.このことからさび中のClイオンは添加合金元素と直接結合しているのではないことがわかった.


320948
Effect of initial heat treatment on tensile properties of F82H steel irradiated by neutrons
若井栄一 ; 田口富嗣 ; 山本敏雄* ; 加藤佳明 ; 高田文樹
Materials Transactions, JIM 45(8), p.2638-2640(2004) ; (JAERI-J 21349)

 核融合炉構造材料の第一候補材料である低放射化フェライト鋼の照射硬化に及ぼす熱遍歴効果を調べた.本研究ではF82H鋼を用いて,焼きならしを1040℃で30分行った後,焼きもどしの温度と時間を変数にして,照射前後の引張り特性変化を調べた.焼きもどしの条件は750℃, 780℃, 800℃の各温度で30分の熱処理した場合と750℃で30分から10時間まで変化させた場合の試料を用意した.照射はJMTR炉で約250℃にて1.9dpaまで照射した.引張試験にはSS-3タイプの微小試験片を用いて室温から400℃まで試験した.また,照射前の微細組織をTEM観察した.その結果,この低照射量域での照射硬化の変化は焼きもどしの温度の低下とその時間の短縮に伴って減少する傾向にあることがわかった.また,この照射硬化量の低下の原因は焼きもどしの温度と時間によって変化する固溶炭素濃度の低下によって生じる欠陥クラスター形成の減少と転位密度の増加による欠陥クラスターの成長速度の低下によると考えられる.


320947
Effects of neutron irradiation on some superplastic characteristics of tetragonal zirconia polycrystals containing 3 mol% yttria
柴田大受 ; 石原正博 ; 本橋嘉信* ; 伊藤勉* ; 馬場信一 ; 菊池誠*
Materials Transactions, JIM 45(8), p.2580-2583(2004) ; (JAERI-J 21348)

 3mol%のイットリアを含有する正方晶ジルコニア多結晶体(3Y-TZP)に1.6×1023J以上のエネルギーの高速中性子を2.5×1024(軽照射)及び4.3×1024(重照射)m-2まで照射した.照射による3Y-TZPの有意な体積膨張は無かった.照射後の試験片の超塑性特性を1623から1773Kの温度範囲で,5.0×10-4から1.67×10-2s-1の初期ひずみ速度での引張試験により調べた.その結果,照射後の試験片の破断伸びは,非照射の試験片と比較して極めて小さいことがわかった.また,照射後の試験片は,781(軽照射)と693(重照射)kJ・mol-1という極めて大きい超塑性変形の活性化エネルギーを示した.中性子照射による3Y-TZP中のはじき出し損傷がこれらの主要な原因の一つと考えられる.


330025
First principles study of core-hole effect on fluorine K-edge X-ray absorption spectra of MgF2 and ZnF2
山本知之* ; 溝口照康* ; 巽一厳* ; 田中功* ; 足立裕彦* ; 村松康司 ; Gullikson, E. M.* ; Perera, R. C. C.*
Materials Transactions, JIM 45(7), p.1991-1993(2004) ; (JAERI-J 21454)

 MgF2とZnF2のFKX線吸収スペクトルにおける内殻空孔の影響を第一原理計算で解析した.その結果,実験スペクトルは内殻空孔を考慮した計算によって再現することができた.また,計算におけるスーパーセルの大きさの効果も効いていた.


320517
Mechanical properties and microstructure of F82H steel doped with boron or boron and nitrogen as a function of heat treatment
若井栄一 ; 佐藤通隆* ; 沢井友次 ; 芝清之 ; 實川資朗
Materials Transactions, JIM 45(2), p.407-410(2004) ; (JAERI-J 20965)

 材料中に生成するHeが組織や強度特性に及ぼす影響を評価するために原子炉での熱中性子との10B(n,α)7Li反応を利用したB添加法がある.本研究ではFe-8Cr-2W-0.1C系のマルテンサイト鋼F82Hに約60ppmのBを添加させた材料と約60ppmのBと約200ppmのNを複合添加させた材料を作製し,その組織と強度特性を評価した.これらの試料の熱処理はBの偏析を防ぐために950℃から1150℃までの数種類の温度で約30分間焼ならしを行った後,水中に急冷した.その後,約780℃で30分間焼きもどしを行った.これらの熱処理後,各試料の組織やSIMSによってBやNの分布を調べるとともに,引張試験とシャルピー衝撃試験等を行った.B添加材とB+N複合添加材の引張特性は添加していない材料とほぼ同一であったが,衝撃試験では無添加材に比べてB添加材の延性脆性遷移温度(DBTT)が30〜70℃程度上昇したのに対して,BとNを複合添加した材料ではDBTTは上昇しなかった.また,この複合添加材ではBの偏りを抑えることができた.また,焼ならし温度によってもBの偏析分布やDBTTが変化した.以上の結果から材料中にHeをより均一に生成させるためにはBとNを複合添加し,1000℃で焼きならしをした材料が最適であることがわかった.


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