2004年度

Marine Chemistry


330086
Lithogenic flux in the Japan Sea measured with sediment traps
乙坂重嘉 ; 外川織彦 ; 馬場正美* ; Karasev, E.* ; Volkov, Y. N.* ; 尾亦伸隆* ; 乗木新一郎*
Marine Chemistry 91(1-4), p.143-163(2004) ; (JAERI-J 21505)

 1999年から2002年にかけて日本海の3海域(東部日本海盆,西部日本海盆,大和海盆)で行われたセジメントトラップ実験によって,粒子束の時空間的変化が観測された.年平均粒子束には明確な地理的分布が見られ,西部日本海盆で455mg/m2/day,大和海盆で252mg/m2/day,西部日本海盆では147mg/m2/dayであった.粒子束は春季(3月から5月)に増加した.堆積物中の元素存在度の分布から,粒子中のランタン/イッテルビウム(La/Yb)比がアルミノケイ酸塩粒子の起源の指標として,マンガン/アルミニウム(Mn/Al)比が粒子の「新鮮さ」の指標として利用できることがわかった.沈降粒子中のこれらの指標の時空間分布から,日本海における陸起源粒子の供給過程について(1)黄砂による大気経由の供給,(2)東シナ海からの水平輸送,(3)日本列島などの島弧からの水平輸送の3つが示された.黄砂粒子は,特に冬季から春季にかけて観測され,大和海盆の水深1km層では,年間の陸起源粒子束の84%を占めていた.日本海南縁における黄土粒子は,大気経由ばかりでなく,東シナ海から対馬暖流によって運ばれてきたことが示された.南部日本海における突発的な流れが,大和海盆内部へ粒子を運ぶ役割を果たしていると考えられる.


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