学会誌等掲載論文
※下記の研究開発成果は資料名順に並んでいます。

2006年4月


34000256
Corrections to the 148Nd method of evaluation of burnup for the PIE samples from Mihama-3 and Genkai-1 reactors
須山 賢也; 望月 弘樹*
Annals of Nuclear Energy 33(4), p.335-342(2006) ; (JAEA-J 00364)

 照射後試験(PIE)サンプルの燃焼度はそれにとってもっとも重要な値の一つである。この研究では、日本原子力研究所で取得された美浜3号炉及び玄海1号炉のPIEサンプルの燃焼度を再評価し、JENDL-3.3ライブラリを用いて SWAT及びSWAT2によって解析を行った。それらのサンプルの燃焼度は再評価によって2-3%の差を生じる。これは反応度差にすると、30GWd/t以上のサンプルで1%程度の中性子増倍率の差となった。再評価された燃焼度を用いて単一ピンセル及び集合体モデルでの計算を行い比較を行った。両者は数パーセントの差で一致し、単一ピンセル体系が適切であり、従来の計算結果でみられたプルトニウム同位体の過小評価は体系モデル化によるものではないことがわかった。


34000257
Velocity and metastable state population distributions of neodymium atoms produced by laser ablation
Wang, H.*; 大場 弘則; 佐伯 盛久; 宮部 昌文; 柴田 猛順; 宮武 宇也*; 飯村 秀紀
Applied Physics B 81(8), p.1127-1133(2005) ; (JAEA-J 00365)

 レーザーアブレーションによって金属ネオジムのターゲットより生成したプルームの特性を、レーザー誘起蛍光法で調べた。これにより、真空中及びガス中でアブレーションした場合の、中性原子・イオンのエネルギー分布が得られた。また、準安定準位間のポピュレーション分布が得られた。ポピュレーション分布は、ボルツマン型とは異なり、高い準安定準位にも大きな分布があることがわかった。これらの結果は、高融点元素のレーザー分光や共鳴イオン化イオン源の開発に有用なデータである。


34000258
Hydrogen and hydration in proteins
新村 信雄; 茶竹 俊行; 栗原 和男; 前田 満
Cell Biochemistry and Biophysics 40(3), p.351-369(2004) ; (JAEA-J 00366)

 本論文は、中性子構造生物学に関するレビュー論文である。中性子回折は、タンパク質中の水素の位置を直接観察できる実験的手段である。われわれは、高分解能の生物物質用中性子回折装置(BIX-type)を原研に設置した。最大1.5オングストローム分解能で、タンパク質の結晶構造解析が可能であり、本論文では、これらの回折装置で得られたタンパク質中の水素・水和構造の興味深い結果を紹介した。


34000259
New water-soluble organic ligands for Actinide cations complexation
佐々木 祐二; 鈴木 英哉*; 須郷 由美; 木村 貴海; Choppin, G. R.*
Chemistry Letters 35(3), p.256-257(2006) ; (JAEA-J 00368)

 新規な水溶性の錯形成剤、TMDGA, TEDGA, TPDGAとDPDGAcを開発し、An(III)及びAn(IV)との錯形成について調べた。これらの錯形成剤は容易に水相に溶解し、一般に報告される配位子より強くAm(III), Pu(IV)と錯形成した。TEDGA, TPDGAは効果的にアクチノイドイオンを逆抽出した。加えて、TEDGAは水相でAn錯体形成の後、極性溶媒にて有機相に回収可能であり、その際にAnとの相互分離が可能であった。


34000260
Energy variable slow positron beam study of Li+ -implantation-induced defects in ZnO
Chen, Z.-Q.*; 前川 雅樹; 河裾 厚男
Chinese Physics Letters 23(3), p.675-677(2006) ; (JAEA-J 00369)

 サファイア基板上に育成した酸化亜鉛薄膜に100keVのLiイオンを1E+16Li+/cm2注入した。注入後、空孔集合体が形成がされていることが見いだされた。500℃までの熱処理によって、ポジトロニウムの形成が見いだされたことから、空孔集合体がマイクロボイドに変態することが明らかになった。1000℃までの熱処理で、マイクロボイドが消失することが明らかになった。当初期待されたLiナノクリスタルの生成は認められなかった。


34000261
Ion and neutron beam analyses of hydrogen isotopes
久保田 直義; 落合 謙太郎; 沓掛 忠三; 近藤 恵太郎*; 洲 亘; 西 正孝; 西谷 健夫
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.227-231(2006) ; (JAEA-J 00372)

 水素同位体は、プラズマ対向機器の表面領域において、燃料粒子リサイクリングやプラズマ運転条件を考えるうえで重要な役割をはたす。この点に着目して、日本原子力研究所FNSでは、2002年から核融合炉関連機器のための元素分布分析を開始している。本研究では、表面領域での水素同位体挙動を明らかにするために、D-Tプラズマに曝されたTFTRタイル内のトリチウム深さ分布分析をFNSにて行った。イオンビームを用いた核反応分析の結果、4種類の元素すなわち重水素,トリチウム,リチウム6及びリチウム7が検出された。測定されたエネルギースペクトルから各元素の深さ分布を計算したところ、重水素とリチウムが表面から1μmまで一様に分布しているのに対し、トリチウムは0.5μmにピークを持つ分布であることがわかった。また、TFTRタイルの表面領域は深部に比べて1桁高い量のトリチウムを保持していることがわかった。


34000262
Notch toughness evaluation of diffusion-bonded joint of alumina dispersion-strengthened copper to stainless steel
西 宏
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.269-274(2006) ; (JAEA-J 00373)

 拡散接合継手のシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが小さい原因を明らかにするため、ステンレス鋼とアルミナ分散強化銅の直接拡散接合継手と金インサートを用いた拡散接合継手について、接合界面部に切欠きを付けた試験片の計装化シャルピー衝撃試験と静的3点曲げ試験を行い、その破壊挙動を比較した。また、有限要素法により引張りとシャルピー試験片の弾塑性解析を行い、両試験片の変形特性の相違を検討した。その結果次の結果を得た。衝撃試験と静的曲げ試験結果は等しく、接合継手の吸収エネルギーの低下は、最大曲げ荷重の低下により起こる。これは、接合継手曲げ試験片の切欠き底では両材の応力−ひずみ特性が異なるため、低強度部材のアルミナ分散強化銅界面近傍に変形が集中するためであり、シャルピー吸収エネルギーの低下は切欠き底の変形が一様でなく、局部的に集中するために起こる。


34000263
High flux ion beam acceleration at the 100-eV level for fusion plasma facing material studies
吉田 肇; 横山 堅二; 谷口 正樹; 江里 幸一郎; 鈴木 哲; 秋場 真人
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.361-366(2006) ; (JAEA-J 00374)

 プラズマ対向材料と核融合周辺プラズマの相互作用について研究するため、100-eV級・高粒子束・大面積・定常イオンビームを開発した。新型イオン引出し電極を開発し、超低エネルギーイオン源(SLEIS)に設置し試験を行った。水素イオンビームにおいて、エネルギーが60-200eVと極端に低いにもかかわらず、既存の高粒子束イオン源と同程度の粒子束(>1020H/m2s)が得られた。この100-eV級イオンビーム加速は、ダイバータ部におけるプラズマ壁相互作用の研究に役立つ。


34000264
Vapor species evolved from Li2TiO3 heated at high temperature under various conditions
星野 毅; 安本 勝*; 土谷 邦彦; 林 君夫; 西村 秀俊*; 鈴木 晶大*; 寺井 隆幸*
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.555-559(2006) ; (JAEA-J 00375)

 核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材料の第1候補材料であるチタン酸リチウム(Li2TiO3)は、高温領域でLiの蒸気圧が高いことが知られているが、さまざまな雰囲気中における確立したデータは存在しない。そこで、トリチウム回収の際の使用候補となる各種スイープガス雰囲気中における蒸発蒸気種の平衡蒸気圧を測定し、スイープガス組成によるLi2TiO3の蒸発特性への影響を調べた。スイープガス中に水素または水蒸気を添加した結果、Liを含む蒸気種の蒸気圧は、添加しない場合と比較し、約一桁高くなることがわかった。また、Liの平衡蒸気圧の温度依存性を調べた結果、Liの蒸発が始まる温度は、水素または水蒸気を添加したスイープガス雰囲気中においては約973K、真空または酸素を添加した雰囲気中においては約1273Kであることが明らかとなった。さらに、測定後の試料を観察した結果、水素雰囲気中にて測定した試料は白色から深青色と変化し、還元反応による構造変化も起きることがわかった。


34000265
Tritium release from neutron-irradiated Li2O; Transport in porous sintered pellets
谷藤 隆昭*; 八巻 大樹; 實川 資朗
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.595-600(2006) ; (JAEA-J 00376)

 かさ密度81%の焼結体からのトリチウム放出速度dF/dtは拡張指数法則Exp(-kt)βに従う結果が得られた。ここでβは約0.5と、また、みかけ活性化エネルギーは約139kJ/molと求められた。活性化エネルギーの値などから放出の律速過程はトリチウム・トラップの消滅過程であると推定された。一方かさ密度88%の焼結体からの放出過程ではトリチウム残存量、(1-F)はAvrami式1-F=exp(kt)nに従って減少する傾向を示した。指数nは約0.5と、みかけ活性化エネルギーは約160kJ/molと求められた。この場合の律速過程は連結細孔内の移行過程であると推定された。


34000266
Neutoron irradiation effect on mechanical properties of SS/SS HIP joint materials for ITER shielding blankets
山田 弘一*; 佐藤 聡; 毛利 憲介*; 長尾 美春; 高田 文樹; 河村 弘
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.631-637(2006) ; (JAEA-J 00377)

 ITER遮蔽ブランケット製作のためのステンレス鋼同士のHIP接合材の機械的特性に対する中性子照射効果を明らかにした。その結果、ITER日本チーム提唱のHIP条件は、ステンレス鋼同士のHIP接合材が中性子照射をうける場合でも、ステンレス鋼母材相当の強度を有するHIP接合材を製作できることを明らかにした。また、HIP接合面における表面粗さRmaxが1μmから30μmまでならば、ステンレス鋼同士の接合体の機械的特性に変化は無いことから、遮蔽ブランケット製作の際に、接合表面加工工程の簡素化により、製作コスト低減の可能性を見いだすことができた。


34000267
Japanese activities in ITER transitional arrangements
森 雅博; ITER Japanese Participant Team
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.69-77(2006) ; (JAEA-J 00378)

 ITER移行措置(ITA)では、各参加極ごとに設けられた参加極チームの協力のもとに国際チームを中心としてITER建設の準備作業が進められている。日本では、原研の中に編成された日本参加極チーム(JA-PT)がITER機器の調達における製作技術と品質管理手法を確証するために必要な多くの技術作業を分担実施して貢献してきた。例えば、JA-PTは、Nb3Sn撚り線の試作試験を日本国内4社の協力を得て進めており、既に一社に対してはITERの要求条件を満足する一つの撚り線構造を決定することができた。他社の試作撚り線を含めて全ての撚り線の確認は、2005年末までに完了する予定である。TFコイルの構造材料や中心ソレノイドコイルジャケットの工業レベルでの試作も進めている。また、真空容器や遮蔽ブランケットモジュールの部分モックアップの試作によって、製作技術と品質試験法の実証を進めているところである。さらに、より信頼性が高く長期間にわたる安定な運転や長パルス運転に向けて、NB及びECシステムに関する幾つかの改善法を見いだすなど、設計の詳細化に資する検討等を実施した。これらの準備作業を実施することによりITER機器の調達仕様を最終化することが可能になる。


34000268
Investigation of hydrogen isotope permeation through F82H steel with and without a ceramic coating of Cr2O3-SiO2 including CrPO4, Out-of-pile tests
Kulsartov, T. V.*; 林 君夫; 中道 勝*; Afanasyev, S. E.*; Shestakov, V. P.*; Chikhray, Y. V.*; Kenzhin, E. A.*; Kolbaenkov, A. N.*
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.701-705(2006) ; (JAEA-J 00379)

 核融合炉構造材料へのセラミック被覆は、トリチウム透過防止膜として使用されることが考えられている。本研究では、リン酸クロム(CrPO4)を含む酸化クロム−二酸化ケイ素のセラミック皮膜がある場合とない場合におけるF82H鋼について、水素及び重水素透過実験を行った。まず第1段階として、300〜600℃の100〜1000Paの水素及び重水素雰囲気において、皮膜のないF82H鋼中の透過実験を行った。得られた拡散係数,透過定数及び溶解度は、以前に公刊されている値と良い一致を示した。第2段階としては、皮膜を施したF82H鋼中について、400〜600℃, 1000〜1500Paの重水素雰囲気において、上と同様な透過実験を行い、皮膜の透過低減係数(PRF)を算出した。600℃における透過低減係数は約400であった。この値は、同じ皮膜を316ステンレス鋼に施した場合の透過低減係数(約1000)に匹敵する値である。本発表は、国際科学技術センター(ISTC)によるパートナープロジェクト(K-1047p)として実施した研究の成果の一部を発表するものである。


34000269
Study on tritium accountancy in fusion DEMO plant at JAERI
西 正孝; 山西 敏彦; 林 巧; 発電実証プラント検討チーム
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.745-751(2006) ; (JAEA-J 00380)

 原研では実験炉ITERに続く核融合装置として発電実証プラントの設計検討を進めている。発電実証プラントは長期定常運転と消費量を上回るトリチウムの生産を目指す装置であり、安全と運転の観点から必要である適切なトリチウムの計量管理について検討を進めている。放射性物質に対する法規制の観点からは、発電実証プラントのトリチウム関連設備を3つの計量管理区画に分割することが可能である。(1)汚染廃棄物一時保管施設,(2)トリチウム長期保管施設,(3)燃料プロセス設備。それぞれの区画においては法規制に則ったトリチウムの出入り管理を行うことになるが、燃料プロセス設備にはブランケットにおけるトリチウム生産が含まれ、生産トリチウムの適切な計量の考え方や手法の開発が必要である。さらに、常時連続的にトリチウムを含む燃料を循環処理する燃料プロセス設備では、その安全確保と効率的な運転の観点から設備内におけるトリチウムの分布を測定監視する動的計量管理技術を確立させる必要がある。


34000270
Monitoring of tritium in diluted gases by detecting bremsstrahlung X-rays
洲 亘; 松山 政夫*; 鈴木 卓美; 西 正孝
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.803-808(2006) ; (JAEA-J 00381)

 水素で希釈したトリチウムとヘリウムで希釈したトリチウムについて、組成比一定の条件でβ線誘起X線計測法による計数率とトリチウム分圧の関係を測定した。その結果、10kPa程度以下の全圧ではX線計数率はトリチウム分圧に比例していることを明らかにした。また、トリチウム分圧一定の条件の下でヘリウムを徐々に添加し、X線計数率の変化を調べ、10kPa程度以下の全圧ではX線計数率はトリチウム分圧のみに依存していることを明らかにした。今回の結果は、β線誘起X線計測法が核融合炉のトリチウムプロセスシステム、例えばブランケットのトリチウム回収システムにおけるトリチウム分圧測定に有望な手法になることを示すものである。


34000271
Distinctive radiation durability of an ion exchange membrane in the SPE water electrolyzer for the ITER water detritiation system
岩井 保則; 山西 敏彦; 磯部 兼嗣; 西 正孝; 八木 敏明; 玉田 正男
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.815-820(2006) ; (JAEA-J 00382)

 アルカリの添加なしに直接電解が可能な固体高分子電解法(SPE)は核融合で発生するトリチウム水の処理システム向け電解プロセスとして魅力的であるが、使用においては特にイオン交換膜の放射線耐久性を考慮する必要がある。市販イオン交換膜であるナフィオン膜の放射線耐久性を、原研高崎研究所のCo-60照射施設及び電子線加速器を用い、引っ張り強度,イオン交換能,電気伝導率,透過係数,単位重量あたりの溶解フッ素量等の観点から検証した。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主鎖にスルホン酸基を側鎖に有するナフィオン膜は、浸水状態におけるγ線照射時の引っ張り強度の劣化挙動がPTFEの劣化挙動と大きく異なることを見いだした。イオン交換能の照射線量依存性はナフィオンの各グレードにおいてほぼ同様であった。いずれにせよ核融合実験炉ITERにおいてイオン交換膜に求められる積算照射量530kGyまでは問題となるまでの性能低下が起こらないことを見いだした。ナフィオンの放射線耐久性はその構造式から推定されるよりも高く、温度や照射線種などの影響を検証するとともに、ラジカル反応機構から雰囲気が与える影響を考察した。


34000272
First wall and divertor engineering research for power plant in JAERI
鈴木 哲; 江里 幸一郎; 廣瀬 貴規; 佐藤 和義; 吉田 肇; 榎枝 幹男; 秋場 真人
Fusion Engineering and Design 81(1-7), p.93-103(2006) ; (JAEA-J 00383)

 本論文では、核融合発電実証プラントのプラズマ対向機器である第1壁及びダイバータの原研における研究開発の活動について報告する。核融合発電実証プラントはITERのような実験炉に比べ、運転期間が長期にわたるため、プラズマ対向機器は厳しい中性子照射及び熱・粒子負荷を受ける。現状の設計では、核融合発電実証プラントのプラズマ対向機器の構造材としては、中性照射を考慮して低放射化フェライト鋼(F82H)が候補材となっている。一方、その表面保護材料としては、スパッタリング損耗に対する耐久性及び低トリチウム吸蔵特性からタングステン材料が候補材となっている。このような材料を組合せたプラズマ対向機器を実現するために、原研では、(1)高性能冷却構造の開発,(2)表面保護材料の開発,(3)F82H鋼とタングステンに対する接合技術の開発及び(4)構造健全性の評価を行うなど精力的な開発を行っている。本稿では、これらの開発活動に関する最新の成果として、高性能冷却管(スクリュウ冷却管)の開発,単軸圧縮による拡散接合法の開発,ダイバータ構造の熱疲労寿命評価法の開発及び表面保護材料のスパッタリング評価用低エネルギーイオン照射装置の開発について報告する。


34000273
Fracture mechanics analysis including the butt joint geometry for the superconducting conductor conduit of the national centralized tokamak
高橋 弘行*; 工藤 祐介; 土屋 勝彦; 木津 要; 安藤 俊就*; 松川 誠; 玉井 広史; 三浦 幸俊
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1005-1011(2006) ; (JAEA-J 00384)

 JT-60定常高ベータ装置(トカマク国内重点化装置)のセンターソレノイドのケーブルインコンジット(CICC)は、矩形断面のSUS製のコンジットの中心に円形に超伝導線材を配置した構造であり、全長約2.2kmのコンジットを約10mごとに溶接して製作される。この溶接部の健全性を評価するためには、想定される最大溶接欠陥の応力拡大係数を求める必要がある。この応力拡大係数は、平板表面に半楕円亀裂を想定し、Newman-Rajuの式により計算することはできるが、実形状のCICCとの相違が評価に与える影響が明らかではなかった。そこで、この形状ファクタを求めるために、三次元有限要素法を用い実形状のCICCの想定欠陥について応力拡大係数を計算した。この結果、矩形断面のCICCの最大想定欠陥の最大応力拡大係数について三次元有限要素法で求めた値は、Newman-Rajuで求めた値よりも3%大きいだけであることがわかった。このことから、Newman-Rajuの式はこのような矩形断面のCICCに関する破壊靭性の評価に用いることが適用可能であることが判明した。本論文ではこの結果も含め欠陥形状,溶接開先のシニング形状をパラメータに多数有限要素法解析の値とNewman-Rajuの値と比較した結果についての詳細を述べる。


34000274
General properties on compatibility between Be-Ti alloy and SS 316LN
土谷 邦彦; 内田 宗範*; 河村 弘
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1057-1063(2006) ; (JAEA-J 00385)

 核融合原型炉の中性子増倍材料として期待されているBe-TiやBe-Vのようなベリリウム系合金は、高温で使用可能で化学的安定な先進材料として注目されている。そこで、ベリリウム系合金(Be-Ti)と構造材料(SS316LN)との両立性試験を行い、その両立性及び反応素過程について調べた。Be-Ti系合金としては、Be12Ti相とαBe相が共存するBe-5at%Ti及びBe-7at%Tiを用いた。接触面のX線回折の結果、反応生成物はBeNi及びBe2Feであった。SEM観察の結果、2種類のBe-Tiとも、800℃×1000時間の反応層厚さは100μm程度と、Be単体(反応層厚さ:約300μm)と比較して小さく、これらのBe-Ti系合金が良好な両立性を有することを明らかにした。この結果、Be12Ti相とαBe相が共存するBe-Ti系合金は、高温での両立性に良好な特性を有することが示された。


34000275
Evaluation of contact strength of Li2TiO3 pebbles with different diameters
土谷 邦彦; 河村 弘; 田中 知*
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1065-1069(2006) ; (JAEA-J 00386)

 核融合炉ブランケットには、燃料であるトリチウムを造るためにリチウム含有セラミックスが微小球形状(直径0.3〜2mm)として充填される。この微小球の各種特性(物理・化学的特性,熱的特性,機械的特性,照射特性等)を把握することは、ブランケットを設計するうえで必要不可欠である。このため、ヘルツの公式を用いて、YTZ(高強度ジルコニア)ボール及びLi2TiO3微小球の接触応力を求め、微小球の圧潰特性を評価した。直径の異なるYTZボールの最大接触圧力の評価を行った結果、球面と半無限平板の接触として取扱うことにより、セラミックス材料でも本公式で評価可能であることがわかった。次に、リチウム含有セラミックスである理論密度80〜85%TDの直径の異なるLi2TiO3微小球を評価した結果、接触応力は約6,000〜8,000N/mm2の範囲であり、微小球直径にかかわらず、ほぼ一定であることがわかった。また、製造法の異なるカナダ製Li2TiO3微小球の最大接触圧力も同じであること,6Li同位体比の違いによる最大接触圧力の違いもないこと等が明らかになった。


34000276
Mechanical properties of small size specimens of F82H steel
若井 栄一; 大塚 英男*; 松川 真吾; 古谷 一幸*; 谷川 博康; 岡 桂一郎*; 大貫 惣明*; 山本 敏雄*; 高田 文樹; 實川 資朗
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1077-1084(2006) ; (JAEA-J 00387)

 微小試験片の試験技術は核融合炉材料の強度特性を調べるために発展しているが、これは特に、IFMIFでは照射スペースが小さくならざるを得ないことに由来している。本研究ではF82H鋼を用いて微小な曲げ試験片(ノッチ部に疲労予亀裂入)であるt/2の1/3PCCVN(pre-cracked Charpy V-Notch)とDFMB(deformation and fracture mini bend)を作製し、これらの曲げ試験片の靭性を評価するための新しい試験装置の開発について紹介する。本装置は約-180℃から300℃までの範囲で、変位量を高精度に制御して試験できるように設計した。また、室温でこれらの試験片を用いて静的破壊靭性試験を行い、大きめのサイズを持つ0.18DCT試験片の試験結果との比較を行った。加えて、t/2-CVNと1/3CVN及びt/2-1/3CVN片を用いて、衝撃試験によって得られた吸収エネルギーの温度変化から延性脆性遷移温度(DBTT)を評価し、t/2-1/3CVNのDBTTは大きい試験片の場合より約30℃低くなる結果を得た。他方、微小引張り試験やスモールパンチ試験による強度とDBTT等の評価も同様に進めた。


34000277
Neutronics design of the low aspect ratio tokamak reactor, VECTOR
西谷 健夫; 山内 通則*; 西尾 敏; 和田 政行*
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1245-1249(2006) ; (JAEA-J 00388)

 低アスペクト比(アスペクト比2.3)のトカマクVECTORにおいて、超電導トロイダル磁場コイルの十分な遮蔽と1以上のトリチウム増殖比を確保することを目標に中性子工学設計を行った。増殖ブランケットとして自己冷役型LiPbブランケットを採用した場合、外側にLiPb自己冷役型ブランケットだけでは1以上のトリチウム増殖比は困難であるが、水素化バナジウムを主遮蔽材とする内側ブランケットに約13cm厚のLiPb層を追加することにより、内側超電導トロイダル磁場コイルの遮蔽と、1以上のトリチウム増殖比を同時に満足できることを示した。


34000278
Design study of a neutral beam injector for fusion DEMO plant at JAERI
井上 多加志; 花田 磨砂也; 柏木 美恵子; 西尾 敏; 坂本 慶司; 佐藤 正泰; 谷口 正樹; 飛田 健次; 渡邊 和弘; 発電実証プラント検討チーム
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1291-1297(2006) ; (JAEA-J 00389)

 核融合発電実証プラント用中性粒子入射装置(NBI)について、発電実証炉で要求される性能を議論し、その実現への技術課題を検討した。大型プラズマの加熱・電流駆動を担う発電実証プラントのNBIは、これまで以上の高効率,高エネルギー,高信頼性・長寿命化が要求される。加速器には、高効率・高エネルギーの点から、静電加速方式の選択が現実的である。放射線環境での運転を考慮すると真空絶縁が不可欠であり、その設計ガイドラインから、ビームエネルギー1.5〜2MeVが可能であることを示した。負イオン源の信頼性向上,長寿命化ためには、従来の大電流・高電流密度負イオン生成技術に立脚した、フィラメントレス・セシウムフリー負イオン源の開発が必要である。さらに、NBIシステムの効率を決める中性化方式については、従来のガス中性化(効率60%)では要求性能を満足し得ず、中性化効率80%以上のプラズマ中性化等が必要となる。最近、高効率・連続運転の可能な高出力半導体レーザーが製品化されており、これを用いて中性化効率90%以上を実現するレーザー中性化セルの概念を提案する。


34000279
Development of a new fusion power monitor based on activation of flowing water
Verzilov, Y. M.; 西谷 健夫; 落合 謙太郎; 沓掛 忠三; 阿部 雄一
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1477-1483(2006) ; (JAEA-J 00390)

 水中の酸素(O-16)は14MeV中性子による(n,p)反応により放射性核種N-16を生成する。これまでN-16からのγ線を測定する方法が開発されてきたが、γ線検出器への中性子の影響を防ぐためにγ線検出器を核融合炉から十分(10〜20m)に離す必要があった。その場合、水の輸送時間だけ検出時間が遅れることになる。その遅れをできるだけ小さくするために、N-16がβ崩壊する時に放出される高エネルギー電子により水がチェレンコフ発光することに着目し、そのチェレンコフ光を核融合炉から十分に離れた光検出器に導く手法を考案した。しかしチェレンコフ光は、紫外域が中心であるため光ファイバーによる減衰が大きい。そこでチェレンコフ光を一旦波長シフトファイバーで受け可視光に変換して光検出器へ伝送する方式を採用した。試作した検出器は14MeV中性子源FNSで特性を測定し、十分な検出器効率と時間分解能を有していることを確認した。


34000280
New approach to measure double-differential charged-particle emission cross sections of several materials for a fusion reactor
近藤 恵太郎; 高木 智史*; 村田 勲*; 宮丸 広幸*; 高橋 亮人*; 久保田 直義; 落合 謙太郎; 西谷 健夫
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1527-1533(2006) ; (JAEA-J 00391)

 核融合炉開発においてDT中性子入射による荷電粒子放出二重微分断面積は、中性子の相互作用による核発熱や材料損傷の評価のため必要である。特にベリリウム,リチウム,カーボンのような軽核の核反応は複雑で、理論計算のみによる断面積評価は難しい。高精度の測定データが望まれており、新しい測定手法の開発が重要である。われわれは原研FNSのビーム状中性子源とシリコン半導体検出器を用いたE-ΔEカウンターテレスコープを利用した荷電粒子スペクトロメータを開発した。この測定手法を用いて9Be, 12C, 19F, 27Alの放出荷電粒子測定を行った。27Alの測定データからこの測定手法の妥当性を確認した。9Beのα粒子放出二重微分断面積については、後方の放出角と低エネルギー部分において評価済み核データとの相違が見られた。


34000281
Analysis of sequential charged particle reaction experiments for fusion reactors
山内 通則*; 堀 順一*; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 西谷 健夫; 川崎 弘光*
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1577-1582(2006) ; (JAEA-J 00392)

 シーケンシャル反応、すなわち1次反応で発生する荷電粒子と構成材料の核反応により2次的に生成される放射能は、低放射化材料の場合残留放射能として大きな影響を持つ可能性がある。FNSでは、これまで各種低放射化材に対して実験によりシーケンシャル反応による放射能を評価した。また、核融合炉設計の放射化解析のために原研で開発されたACT4コードに新たにシーケンシャル反応による放射化計算機能を追加した。本研究では、ACT4コードのシーケンシャル反応取扱い機能を用いてFNSの実験を解析し、シーケンシャル反応は最大2倍程度残留放射能を高め、実験値を再現するためにはその影響が無視できないことを明らかにした。ただし実験値と計算値の間にはまだ小さくはない不一致があり、今後シーケンシャル反応にかかわる核データの見直し等が必要と考えられる。


34000282
Engineering design and control scenario for steady-state high-beta operation in national centralized tokamak
土屋 勝彦; 秋場 真人; 疇地 宏*; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 藤原 正巳*; 濱松 清隆; 橋爪 秀利*; 林 伸彦; 堀池 寛*; 細金 延幸; 市村 真*; 居田 克巳*; 池田 佳隆; 今井 剛*; 井上 信幸*; 石田 真一; 伊藤 智之*; 鎌田 裕; 川島 寿人; 菊池 満; 木村 晃彦*; 木津 要; 久保 博孝; 工藤 祐介; 栗原 研一; 栗田 源一; 栗山 正明; 正木 圭; 松川 誠; 松岡 守*; 三浦 幸俊; 三浦 友史*; 宮 直之; 森岡 篤彦; 中村 一男*; 二宮 博正; 西村 新*; 岡野 邦彦*; 奥野 清; 相良 明男*; 坂本 瑞樹*; 櫻井 真治; 佐藤 浩之助*; 嶋田 隆一*; 清水 昭比古*; 鈴木 隆博; 高橋 弘行*; 高瀬 雄一*; 武智 学; 玉井 広史; 田中 知*; 筒井 広明*; 上杉 喜彦*; 谷津 潔*; 吉田 直亮*
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1599-1605(2006) ; (JAEA-J 00393)

 JT-60定常高ベータ装置(トカマク国内重点化装置)は、経済的な核融合炉の実現を目指した定常高ベータプラズマ運転の実証が重要なミッションの一つである。現在、プラズマ形状及びアスペクト比について広いパラメータ領域で研究を行えるように、装置の物理的・技術的設計検討を進めている。本装置の目標とする高ベータプラズマは、自由境界MHD安定性限界を超えた領域にあるため、電子サイクロトロン加熱による新古典テアリングモードの抑制に加えて、安定化板及び容器内コイルを用いた壁不安定性モードの抑制など、さまざまなMHD不安定性の制御手法を駆使する必要がある。それらを踏まえて、今回は、高ベータと臨界条件クラスのプラズマを同時に達成できるプラズマパラメータの解析評価、及び自由境界MHD安定性限界を超えた高ベータプラズマの非誘導電流駆動制御シナリオの検討結果について報告する。また、広いパラメータ領域で定常高ベータプラズマ運転を実現させるための装置設計の現状に関して、超伝導コイル及び放射線遮へい材を中心に報告する。


34000283
Nuclear technology and potential ripple effect of superconducting magnets for fusion power plant
西村 新*; 室賀 健夫*; 竹内 孝夫*; 西谷 健夫; 森岡 篤彦
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.1675-1681(2006) ; (JAEA-J 00394)

 核融合炉において超伝導コイルを安定して運転するためには、NBIポート等の真空容器の貫通部から突き抜けてくるストリーミング中性子による核発熱を抑制するとともに、長期的には放射化を低減することが重要であり、中性子工学の観点から超伝導コイルの材料に関する評価が必要である。本論文は、そのような研究を要する背景を述べ、代表的な超伝導線材であるNb3Snの中性子照射試験結果,低放射化超伝導線材の開発、及びストリーミング中性子による核発熱を抑制する遮へい設計の現状を報告する。さらに、高エネルギー粒子の研究に関する最近の動向と、広いエネルギー帯域のγ線環境下で使用される加速器用超伝導コイルの設計の概要について発表する。


34000284
Influence of blistering on deuterium retention in tungsten irradiated by high flux deuterium 10-100eV plasmas
Luo, G.; 洲 亘; 西 正孝
Fusion Engineering and Design 81(8-14), p.957-962(2006) ; (JAEA-J 00395)

 核融合炉のプラズマ対向侯補材であるW中の重水素滞留に及ぼすブリスタリングの影響について、1×1022D/m2/sの入射フラックスの条件で入射エネルギーを100eVから約10eVまで変化させて調べた。滞留量の測定は昇温脱離法によって行い、5℃/sの昇温速度で実施したが、昇温脱離曲線には重水素の放出ピークが1つのみ現れ、またそのピーク温度は照射のエネルギーやフルエンスにより500℃から850℃まで変化する、という結果を得た。このピーク温度は水素トラップからの放出温度より高く、重水素が分子としてブリスタに存在し、 昇温中に直接放出されていると考えられる。また、あるフルエンスで急激な滞留量減少が観測されたが、この現象はブリスタの破裂によるものと考えられる。このことはSEMによる観察結果(ブリスタが2ミクロン程度までしか成長しないこと、及びブリスタの数がフルエンスの増加とともに増加すること)と一致している。


34000285
JFT-2M program
草間 義紀; 山本 正弘; JFT-2Mグループ 
Fusion Science and Technology 49(2), p.89-95(2006) ; (JAEA-J 00399)

 JFT-2Mトカマクにおける実験研究は、1983年4月27日のファーストプラズマに始まり、2004年3月に終了した。21年間の実験において、核融合エネルギー及びプラズマ物理の研究を主導する多くの優れた研究成果を挙げた。JFT-2Mでの全研究を網羅する特集号の最初の論文として、この論文はJFT-2M計画を概観する。


34000286
Heavy ion and pulsed laser SET measurements in ultrahigh speed MSM GaAs photodetectors
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 伊藤 久義
IEEE Transactions on Nuclear Science 52(5), p.1504-1512(2005) ; (JAEA-J 00400)

 シングルイベント効果は、宇宙環境に存在する高エネルギーイオンが誘起する高密度の電子正孔対が原因となって引き起こされる。それゆえ、シングルイベント効果の発生機構解明には、高密度の電子正孔対の挙動を明らかにすることが求められる。電子正孔対の密度が非常に高い場合、空間電荷(SC)効果が現れる。本研究では、SC効果を明らかにするために、高エネルギーイオン及びパルスレーザをGaAs MSM(Metal Schottky Metal)光検出器に照射し、シングルイベント過渡電流を計測した。測定の結果、イオン照射がレーザ照射と比較してSC効果が大きいことが判明した。これは、イオンとレーザが生成するプラズマ柱の構造(電荷密度の空間分布)が異なることに由来すると考えられる。デバイスシミュレータによる計算及び実験結果から、SC効果によってシングルイベント過渡電流の波形形状が大きく影響を受けることが明らかになった。


34000287
RBPO5(R=Ca, Sr)-based storage phosphors for neutron detection
坂佐井 馨; 片桐 政樹; 松林 政仁; 中村 龍也; 近藤 泰洋*
IEEE Transactions on Nuclear Science 52(5), p.1856-1859(2005) ; (JAEA-J 00401)

 中性子検出を目的として、RBPO5(R=Ca, Sr)系蛍光体のストレージ特性を調べた。CaBPO5:Ce3+及びSrBPO5:Ce3+蛍光体の輝尽性蛍光出力を増大させるため、フッ素原子を導入し、その母体に対する添加モル比を最適化した。また、フッ素原子や臭素原子の導入はSrBPO5:Eu2+蛍光体の輝尽性蛍光出力の増大には効果的ではなかったが、Li2B4O7粉末を導入するとその輝尽性蛍光出力が大幅に増大することを見いだした。これらの蛍光体は軽元素より構成されているため、低いγ線感度を有する中性子ストレージ蛍光体として使用可能である。


34000288
Laser surface alloying of SUS316 stainless steel with Al-Si; Effect of substrate temperature on structure and properties of modified layer
Zherebtsov, S.*; 前川 克宏*; 林 照剛*; 二川 正敏
JSME International Journal, Series A 48(4), p.292-298(2005) ; (JAEA-J 00402)

 核破砕パルス中性子源水銀ターゲット容器材料の衝撃壊食に対する耐性は、接触液界面を硬化することが有効である。本報告では、硬化処理技術として、レーザー合金法の適用を試みた。容器候補材料である316ステンレス鋼に対して、Al-Si粉末を添付しレーザー熱衝撃を加えることで表層のみを合金化した。合金層厚さは、約100ミクロンに達し、硬度は基材の4倍程度になった。表層は、組成比の異なる4層から形成された。各層の形成には基材温度が大きく影響することがわかった。この知見をもとに、クラックフリーで硬度を4倍に上昇できるレーザー処理条件を確立した。


34000289
Electron energy spectrometer for laser-driven energetic electron generation
Li, Z.*; 中村 衆; 福見 敦*; 林 由紀雄; 織茂 聡; 西内 満美子; 匂坂 明人; 森 道昭; 白井 敏之*; 岩下 芳久*; 野田 章*; 大道 博行
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1 44(9A), p.6796-6800(2005) ; (JAEA-J 00403)

 高強度フェムト秒レーザー照射による固体薄膜からの電子エネルギースペクトルを測定するために電子スペクトロメーターとベータ線源を用いて校正を行った。永久磁石によって作られた磁場の強度分布とイメージングプレートの時間経過を求めた。電子のエネルギーと電子スペクトロメーターの強度の感度は、ストロンチウムーイットリウムベータ線源で校正した。パルス幅50fsでピーク強度2×1018W/cm2のレーザーによって3〜5マイクロメートルのタンタルフォイルに照射したときの電子エネルギースペクトルの測定を校正された電子スペクトロメーターで測定した。


34000290
Remote particle counter using backscattered light imaging
大図 章
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1 45(2A), p.1012-1014(2006) ; (JAEA-J 00404)

 大気中の浮遊微粒子を遠隔かつリアルタイム計測するために、短パルスレーザーと高速シャッター付高感度CCDカメラからなる微粒子計数測定器を開発した。この計測器は、計測地点より200m離れた大気中の限られた空間に浮遊する微粒子からのレーザー照射による後方散乱光を画像計測することが可能である。さらに、この画像より、画像解析により粒子数及び散乱光輝度のヒストグラムを求めることができる。その微粒子濃度及び粒径分布の計測法について報告する。


34000291
Nucleation of oxides during dry oxidation of Si(001)-2×1 studied by scanning tunneling microscopy
富樫 秀晃*; 朝岡 秀人; 山崎 竜也; 末光 眞希*
Japanese Journal of Applied Physics, Part 2 44(45), p.L1377-L1380(2005) ; (JAEA-J 00405)

 Si(001)面のシリコン酸化膜の制御を可能にするため、1層未満の酸化過程をSTMを用いて解析した。その結果、酸化初期段階において酸化物1次元チェーンが発生し、酸化物アイランドの構成原子数が4個以上になると2次元平面成長に転じる初期酸化過程におけるモフォロジーの変化を見いだした。


34000292
Separation of trivalent actinides from lanthanides by using R-BTP resins and stability of R-BTP resin
星 陽崇*; Wei, Y.*; 熊谷 幹郎*; 朝倉 俊英; 森田 泰治
Journal of Alloys and Compounds 408-412, p.1274-1277(2006) ; (JAEA-J 00407)

 先進的湿式再処理プロセスの開発において、マイナーアクチニド(MA=Am, Cm)の分離は最も重要な課題の一つである。MAは長半減期のα放射性元素であるため、核分裂生成物と分離する必要がある。しかしながら、その化学的類似性からMAとランタニド(Ln)の分離は非常に困難である。近年、SやN等のソフトな配位子を含む抽出剤がMA(III)に対して選択性を有することが見いだされた。KoralikらはN-ドナー配位子を持つ2,6-bis(5,6-dialkyl-1,2,4-triazine-3-yl)-pyridine(R-BTP)がMA(III)に対し高い選択性があることを報告している。しかし、相互に分離するには多段の分離手法が必要である。抽出クロマトグラフィーは少量の物質を処理する手段としては最も有望な分離技術の一つである。新規に粒径50μのポーラスシリカにスチレン−ジビニルベンゼンポリマー添着した担体にR-BTP抽出剤を含浸させて吸着剤を調製した。本吸着剤は吸脱着速度が速く、また、膨潤しにくいため抽出クロマトグラフィーへの利用に適している。Ln(III)とトレーサー量のAm(III)を含む模擬高レベル廃液の分離を検討した。R-BTP吸着剤を充填したカラムにより、Am(III)とLn(III)は相互に分離された。Amに対して極めて高い除染係数(>107)が得られ、全元素が定量的に回収された。


34000293
Electrochemical properties of uranium(VI) complexes with multidentate ligands in N,N-dimethylformamide
Kim, S.-Y.; 朝倉 俊英; 森田 泰治; 池田 泰久*
Journal of Alloys and Compounds 408-412, p.1291-1295(2006) ; (JAEA-J 00408)

 N,N-ジメチルホルムアミド溶媒中のUO2(β-diketonato)2DMF, UO2(trop)2DMF及びUO2(sap)(DMF)2, (DMF=N,N-dimethyl formamide, β-diketonate=thenoyltrifluoroacetonate(ttfa), benzoyl trifluoroacetonate(btfa), and dibenzoylmethanate(dbm), trop=tropolonate, and sap=2-salicylidenaminophenolate)錯体について、サイクリックボルタンメトリー法を用いて電気化学的研究を行った。その結果、形式電位(Eo, vs.フェロセン/フェロセニウム)はUO2(ttfa)2DMF錯体(-1.176V),UO2(btfa)2DMF錯体(-1.183V),UO2(dbm)2DMF錯体(-1.461V),UO2(trop)2DMF錯体(-1.456V)及びUO2(sap)(DMF)2錯体(-1.585V)であった。これらの錯体は準可逆的にU(V)に還元され、多座配位子を有する錯体ほど、形式電位はより負側にシフトすることがわかった。以上の結果から、単座配位子を持つウラニル錯体よりも多座配位子を持つウラニル錯体の方が、安定なU(V)錯体を生成することが確認された。


34000294
Degradation of Eu(III)-malic acid complexes by Pseudomonas fluorescens
南川 卓也; 鈴木 義規*; 尾崎 卓郎; 大貫 敏彦; Francis, A. J.*
Journal of Alloys and Compounds 408-412, p.1329-1333(2006) ; (JAEA-J 00409)

 好気性細菌Pseudomonas florescensによるEu(III)存在下でのS-リンゴ酸の分解挙動を調べた。10mMのリンゴ酸に0, 0.05, 0.1, 0.2mMのEu(III)を加えてリンゴ酸の分解挙動を調べるとEu(III)の濃度が上がるにつれてリンゴ酸の分解が遅くなることがわかった。この結果より、リンゴ酸がEu(III)に配位することにより、Eu(III)の毒性が抑制されることがわかった。またリンゴ酸が分解されると、おもに2種類の有機酸が培養液中に放出される。このうちの一つはピルビン酸であり、リンゴ酸分解後もピルビン酸がEu(III)を可溶化していることがわかった。われわれの研究は環境中の有機酸だけでなくその分解性生物もEu(III)の環境移行に影響を与えることを示している。


34000295
Interactions of rare earth elements with bacteria and organic ligands
尾崎 卓郎; 鈴木 義規*; 南川 卓也; 吉田 崇宏; 大貫 敏彦; 木村 貴海; Francis, A. J.*
Journal of Alloys and Compounds 408-412, p.1334-1338(2006) ; (JAEA-J 00410)

 Eu(III)と土壌微生物シュードモナス,リンゴ酸,クエン酸及びシデロフォア(DFO)との相互作用を調べた。リンゴ酸はEu(III)に対する存在比が極めて大きい場合のみ、錯生成によりEu(III)のシュードモナスへの毒性を軽減させた。クエン酸とEu(III)はシュードモナスによって分解されない1:1錯体を形成した。Eu(III)はDFOに高い親和性を示すが、DFOから解離した水和イオンとしてシュードモナスに吸着した。時間分解レーザー誘起蛍光分光法により、シュードモナス上のEu(III)は多座の内圏配位錯体として吸着することを明らかにした。


34000296
Effects of ion irradiation on hydriding rate of Mm based hydrogen storage alloy
阿部 浩之; 森本 亮*; 佐藤 史篤*; 東 順人*; 内田 裕久*
Journal of Alloys and Compounds 408-412, p.348-350(2006) ; (JAEA-J 00411)

 水素吸蔵材料としてMm系AB5型の希土類合金(MmNi5)は有用視されており、既にニッケル水素電池の負極材として実用化されているが、自動車用等の水素貯蔵システムへの応用のためには、水素吸蔵性能の大幅な向上が必要である。そこで、材料表層改質にとって有力な手法であるイオン照射法を行い、合金の表面近傍に欠陥やボイドを生成させることによる水素吸蔵能向上の可能性を検討した。イオン照射を実施後、水素吸蔵能の変化を水素化速度の測定により評価した結果、照射によりMm系AB5型希土類合金の吸蔵能が数倍向上することが確認できた。水素吸蔵能の向上は照射によって形成した表面近傍の欠陥濃度に依存し、これらの欠陥の存在が水素化速度を増加させていることがわかった。


34000297
Spectroscopic properties of Yb doped YLF grown by a vertical Bridgman method
杉山 僚; 桂山 政道*; 安斎 裕*; 坪井 泰住*
Journal of Alloys and Compounds 408-412, p.780-783(2006) ; (JAEA-J 00412)

 垂直型ブリッジマン結晶育成法により、Ybイオンを5〜64at.%ドープしたYLFフッ化物レーザー結晶を育成した。結晶原料のYbF3及びYF3に含まれているYOFが白濁の原因となるため、PbF2を用いた育成前の原料処理によって解決した。吸収並びに発光測定における偏光特性に基づく結晶場解析により、Yb:YLF結晶の2F7/2及び2F5/2準位内のマニホールドの7つのエネルギー準位を求めた。Yb:YLF結晶の持つ広くかつ複雑なスペクトルは、4f電子による電子遷移と結晶の格子振動との間の強いカップリングによって生じたものと結論できる。


34000298
Combination of boron and gadolinium compounds for neutron capture therapy; An in Vitro study
松村 明*; Zhang, T.*; 中井 啓*; 遠藤 聖*; 熊田 博明; 山本 哲哉*; 吉田 文代*; 櫻井 良憲*; 山本 和喜; 能勢 忠男*
Journal of Experimental and Clinical Cancer Research 24(1), p.93-98(2005) ; (JAEA-J 00414)

 中性子捕捉療法においては、ホウ素化合物による治療効果はアルファ粒子によるものであるのに対し、ガドリニウム化合物はGd(n,γ)反応によるγ線量の効果である。また、これらの化合物は腫瘍内への取り込み特性も異なっている。2つの化合物を混合したときの効果を調べるため、チャイニーズ・ハムスターのV79細胞を用いて、10B(BSH)を0, 5, 10, 15ppmと、ガドリニウム(Gd-BOPTA)を800, 1600, 2400, 3200, 4800ppmの組合せで取り込ませ、熱中性子ビームによる照射を行い細胞生存率を評価した。その結果、ホウ素化合物とガドリニウム化合物を最適な濃度割合で混合することによって治療効果を増強することができることが明らかとなった。ガドリニウム濃度が高すぎる場合、Gdの断面積が大きいために、ホウ素の中性子捕獲効果を減衰させてしまうと考えられる。


34000299
Male-sterility induced by γ-ray irradiation of African nightshade (Solanum nigrum L. ssp. villosum) seed
Ojiewo, C. O.*; Agong, S. G.*; 村上 賢治*; 田中 淳; 長谷 純宏; 桝田 正治*
Journal of Horticultural Science & Biotechnology 80(6), p.699-704(2005) ; (JAEA-J 00416)

 アフリカンナイトシェード(Solanum nigrum L. spp. villosum)はアフリカでよく消費される葉野菜であるが、発芽から開花・結実までの期間が短いことから葉の収量が比較的少ない。つまり、生殖生長の開始後、花粉や種子,果実の発達に養分が送られるため、葉に対する養分の転流が少なくなることが原因である。本研究では、雄性不稔性を利用することによって、養分の転流を葉に向けることにより収量を増加させることを考え、γ線の種子照射により得られたさまざまな変異体を調査した。照射種子の発芽率,生存率,種子稔性並びに雄性不稔変異体誘発率から、100Gyのγ線が変異誘発に最適であると考えられた。M2世代で選抜された雄性不稔変異体には4つのタイプ、すなわち(1)稔性は無いが酢酸カーミンで花粉が染色される個体,(2)酢酸カーミンで花粉が染色されない個体,(3)花粉が形成されない個体、及び(4)花粉量が著しく少ない個体、が見られた。本研究で得られた雄性不稔変異体は、生殖や果実形成を制限することによって、葉の収量の増加につながると期待される。


34000300
Interfacial properties of a direct bonded Nd-doped YVO4 and YVO4 single crystal
杉山 僚; 奈良 康永; 和田 謙吾*; 福山 裕康
Journal of Materials Science; Materials in Electronics 15(9), p.607-612(2004) ; (JAEA-J 00417)

 Nd:YVO4レーザー結晶に放熱板として作用するYVO4母結晶の接合を試みた。接合面の処理法にはこれまでの化学処理に代わる新たなドライエッチング処理を研磨後の結晶表面に適用した。接合のための熱処理プロセスにおいて、析出物の抑制には873Kの熱処理が必要であった。3×3mmの接合面を評価するために光学散乱測定及び波面歪み測定を行った。この結果、接合面での光学散乱密度は4.6×106/cm3以下であり、また光学歪みは633nmにおいて0.04波長程度と推測された。さらに拡大観察試験では、接合界面においても結晶内部と同様に原子が規則正しく整列した状態を確認した。また、YVO4結晶中のNd3+イオンの拡散定数は873Kにおいて2.3×10-23m2/secと推測された。


34000301
Preparation and characterization of chemically stable polymer electrolyte membranes by radiation-induced graft copolymerization of four monomers into ETFE films
Chen, J.; 浅野 雅春; 八巻 徹也; 吉田 勝
Journal of Membrane Science 269(1-2), p.194-204(2006) ; (JAEA-J 00418)

 高性能の電解質膜を得るために、スチレンに代わるモノマーとして、スチレンの誘導体であるメチルスチレン(MeSt)及びt-ブチルスチレン(tBuSt)さらに架橋剤として、電解質膜に導入した時に柔軟性の付与が期待できるビスビニルフェニルエタン(BVPE)と高密度の架橋構造の付与が期待できるジビニルベンゼン(DVB)を組合せた新規な電解質膜を放射線グラフト重合法により合成した。得られた四元系MeSt/tBuSt/DVB/BVPE(40/40/2.5/17.5wt%)電解質膜の耐久性加速試験(60℃,3%過酸化水素水溶液中)の結果、スルホン酸基の脱離時間が300時間に達した。また、メタノール透過性ではナフィオンに比べて、四元系電解質膜は1/6まで抑制できることがわかった。


34000302
Deuterium depth profiling in JT-60U W-shaped divertor tiles by nuclear reaction analysis
林 孝夫; 落合 謙太郎; 正木 圭; 後藤 純孝*; 沓掛 忠三; 新井 貴; 西谷 健夫; 宮 直之
Journal of Nuclear Materials 349(1-2), p.6-16(2006) ; (JAEA-J 00422)

 核反応分析法(NRA)を用いてJT-60Uダイバータ部のプラズマ対向壁に用いられている炭素タイル中の重水素保持量深さ分布を測定した。最も重水素濃度が高かったのは外側ドームウィングタイルでD/12Cの値は0.053であり、その重水素蓄積過程は炭素−重水素の共堆積によるものと推定された。また外側及び内側のダイバータターゲットタイルにおいてはD/12Cは0.006以下であった。軽水素を含めた水素同位体の濃度については、NRA及びSIMS分析結果からドーム頂部タイルの(H+D)/12Cを0.023と推定した。一方OFMC計算を用いてNBIで入射した高エネルギー重水素がドーム領域に打ち込まれることを示した。また重水素の打ち込みや炭素との共堆積などによる重水素蓄積は、タイルの表面温度や損耗・堆積などの表面状態の影響を受けることを示した。重水素保持量深さ分布,SEM分析及びOFMC計算により、重水素分布はおもに重水素−炭素の共堆積,重水素イオンの打ち込み及びバルクへの拡散の複合したプロセスにより決まることを明らかにした。


34000303
Effects of secondary depressurization on core cooling in PWR vessel bottom small break LOCA experiments with HPI failure and gas inflow
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
Journal of Nuclear Science and Technology 43(1), p.55-64(2006) ; (JAEA-J 00423)

 原研のROSA-V/LSTFを用いてPWRの原子炉容器底部計装管破断を模擬する小破断LOCA実験を行い、高圧注入系不作動時にアクシデントマネージメント(AM)策として行う蒸気発生器(SG)の2次系減圧を通じた1次系冷却操作に、蓄圧注入系(AIS)から流入する非凝縮性ガスが及ぼす影響を明らかにした。AISからガス流入がない場合の計装管9本破断実験では、工学的安全施設作動(SI)信号から10分後に定率(-55K/h)のSG減圧を開始することで、低圧注入系(LPI)を作動させることができた。しかしガス流入を想定した計装管10本破断実験では、SG伝熱管の凝縮熱伝達が低下して1次系減圧が阻害され、LPIの作動以前に炉心露出が生じた。これに対し、SGの2次系逃がし弁全開による急減圧と補助給水系の連続作動を仮定した実験では、炉心露出以前にLPIが作動し長期冷却の可能性を示した。これらのガス流入によるSG伝熱管内凝縮熱伝達阻害についてRELAP5/MOD3コードを用いた解析を行い、実験結果をよく再現できた。さらに、PWRの事故過程を的確にとらえ、AM策の実施判断を行ううえで、1次系圧力と保有水量を指標とするマップが有用なことを示した。


34000304
Extension of effective cross section calculation method for neutron transport calculations in particle-dispersed media
山本 俊弘; 三好 慶典; 竹田 敏一*
Journal of Nuclear Science and Technology 43(1), p.77-87(2006) ; (JAEA-J 00424)

 粒子が分散している媒質に対して中性子輸送計算を行うための実効均質化断面積を計算する従来の手法に対して拡張を行った。従来は、粒径が大きくなるにつれて中性子実効増倍率を過大評価していたが、その原因を明らかにするとともにその修正方法を提示した。また、本手法は核分裂エネルギー領域で反応率を過少評価するが、その原因と補正方法を提示した。本手法をプルトニウムスポットを含むMOX燃料ペレットやガドリニア粒子を含む溶液燃料の臨界計算に適用したところ、粒子が分散している非均質の状況を厳密に計算したときの結果をより短い計算時間で精度よく再現した。また、粒子の半径や組成が二種類以上の場合にも適用できるように手法の拡張を行った。


34000305
Critical power experiment with a tight-lattice 37-rod bundle
呉田 昌俊; 玉井 秀定; 大貫 晃; 佐藤 隆; Liu, W.; 秋本 肇
Journal of Nuclear Science and Technology 43(2), p.198-205(2006) ; (JAEA-J 00425)

 限界出力や限界熱流束に関して、BWR流動条件下では従来は円管,二重管、そしてBWR体系でデータが多く取得されているが、低減速水冷却炉の熱水力設計を行うに際し既存のデータでは不十分であり、高稠密三角格子バンドル体系で低質量速度での限界出力データの取得が必要である。そこで、37本バンドル標準試験体(棒径13.0mm,棒間間隙1.3mm)を用いた大型熱流動試験を圧力2〜9MPa,質量速度150〜1000kg/(m2s)の範囲で実施し、各種流動パラメータや本数が限界出力に及ぼす影響を調べた。37本バンドル標準試験体での限界出力の基本的な特性は、稠密7本バンドル体系やBWR体系での試験結果と似ていた。横断面方向の出力分布を非均一とした試験結果とサブチャンネル解析から、横断面方向の局所クオリティ分布が均一化するほど限界出力が高い値となることが示唆された。


34000306
Long-period, longitudinal spin density modulation in an itinerant 5f magnetic compound UCu2Si2
本多 史憲; 目時 直人; 松田 達磨; 芳賀 芳範; 大貫 惇睦
Journal of Physics; Condensed Matter 18(2), p.479-492(2006) ; (JAEA-J 00426)

 UCu2Si2の磁気構造が、85.7Å の長周期スピン/電荷密度波状態であることを、中性子散乱実験によって明らかにした。この長周期構造は、5f電子の遍歴性に起因すると思われる。同じ結晶構造を持つ他の化合物で報告されたより短周期の構造は、局在5f電子間のフラストレートした反強磁性相互作用に基づくいわゆるANNNIモデルによって説明されてきたが、UCu2Si2の磁気構造はこのモデルで説明できない。そのため、5f電子の遍歴性は、同じ結晶構造を持つ一連の化合物の共通の性質であることを結論した。


34000307
Conversion of endohedral 133Xe-fullerene to endohedral 133Xe-fullerenol to be used in nuclear medicine
渡辺 智; 石岡 典子; 関根 勉*; 工藤 博司*; 下村 晴彦*; 村松 久和*; 久米 民和
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry 266(3), p.499-502(2005) ; (JAEA-J 00428)

 133Xe内包フラレノール[133Xe@C60(OH)x及び133Xe@C70(OH)x]を骨がんの治療薬へ応用することを目指し、133Xe内包フラレノールを高収率で合成できる方法を開発した。同位体分離器を用いたイオン注入法で作製した133Xe内包フラーレンをオルト−ジクロロベンゼンに溶解し、水酸化テトラブチルアンモニウムと水酸化カリウム水溶液を加えて133Xe内包フラレノールを合成した。最終的に純水で抽出した133Xe内包フラレノールの回収率は、C60で40%、C70で23%であった。合成した133Xe内包フラレノールの生理食塩水中での安定性を調べた結果、5日間経過しても安定であることを確認し、医学への応用が可能であることを示した。


34000308
Synthesis of silicon carbide nanotubes
田口 富嗣; 井川 直樹; 山本 博之; 實川 資朗
Journal of the American Ceramic Society 88(2), p.459-461(2005) ; (JAEA-J 00429)

 カーボンナノチューブをシリコン粉末とともに1200℃で、100時間熱処理することにより、炭化ケイ素単相ナノチューブの合成に成功した。X線回折結果より、多くのカーボンナノチューブが、炭化ケイ素に変換していることがわかった。さらに、電子顕微鏡観察により、カーボンの周りに炭化ケイ素が形成しているカーボンと炭化ケイ素相混在ナノチューブだけではなく、単相の炭化ケイ素ナノチューブが形成していることを確認した。残存しているカーボン相を除去するため、600℃で、1時間大気中において熱処理を行った結果、単相の炭化ケイ素ナノチューブの割合が向上することがわかった。


34000309
Spatial distribution of the B-site inhomogeneity in an as-grown Pb(In1/2Nb1/2)O3 single crystal studied by a complementary use of X-ray and neutron scatterings
大和田 謙二; 廣田 和馬*; 寺内 暉*; 大和 英弘*; 安田 直彦*
Journal of the Physical Society of Japan 75(2), p.024606_1-024606_6(2006) ; (JAEA-J 00430)

 今回われわれはas-grown Pb(In1/2Nb1/2)O3(PIN)についてのX線・中性子散乱実験を行った。as-grown PINは既に大和らによって、その結晶内部の秩序度の大きなばらつきの存在が報告されている。X線と中性子線ではその透過率が違うため、その相補利用により表面からバルクまでの構造的情報を得ることができる。われわれは、室温においてPINからのフォノンブランチの観測に初めて成功した。その振る舞いは強誘電的と考えられる。また、逆空間をスキャンすることによって、反強誘電起源の(h/4, k/4, 0)反射を観測した。分解能に迫る半値幅を有することからマクロな反強誘電領域の存在が示唆される。一方、同じ結晶でX線散乱実験を行うとブラッグ散乱の裾に強い散漫散乱が観測された。リラクサー状態であるときに現れるこの特徴的な散漫散乱はプロファイルや温度変化が野村らの報告と矛盾しない。われわれの用いたX線(0.71Å)ではPIN結晶の表層数十ミクロンしか観測できないため、as-grown PIN結晶の表層はリラクサー的であることがわかった。このようなmulti-structureともいうべき結晶内部の構造分布はPb(Zn1/3Nb2/3)O3などでも既に報告されており、リラクサーの特徴の一つと言えるのではないか。


34000310
High field X-ray diffraction study on a magnetic-field-induced valence transition in YbInCu4
松田 康弘*; 稲見 俊哉; 大和田 謙二; 村田 悠人*; 野尻 浩之*; 村上 洋一*; 太田 寛人*; Zhang, W.*; 吉村 一良*
Journal of the Physical Society of Japan 75(2), p.024710_1-024710_5(2006) ; (JAEA-J 00431)

 放射光X線とパルスマグネットを用いた30Tを超える高磁場下X線回折について報告する。YbInCu4の磁場誘起価数転移に伴う格子変形について研究した。32KでのBragg反射の形は27T以上で構造変化のため大きく変わる。転移磁場近傍では、低磁場相と高磁場相が格子定数の不連続を伴って入れ替わる。これはこの磁場誘起相転移が一次相転移の証拠である。低磁場相のBragg反射の強度の磁場依存性はおおよそ磁化に比例する。


34000311
Defect-engineering in SiC by ion implantation and electron irradiation
Pensl, G.*; Ciobanu, F.*; Frank, T.*; Kirmse, D.*; Krieger, M.*; Reshanov, S.*; Schmid, F.*; Weidner, M.*; 大島 武; 伊藤 久義; Choyke, W. J.*
Microelectronic Engineering 83(1), p.146-149(2006) ; (JAEA-J 00432)

 SiC中の欠陥を制御することで素子特性の改善に役立てることを目的に、炭化ケイ素(SiC)中及びSiC/酸化膜界面の欠陥の電気的性質を調べた。SiCへの欠陥導入には200keV及び2MeV電子線照射,窒素及び炭素イオン注入を行った。深部欠陥準位測定(DLTS)及び低温でのフォトルミネッセンス(LTPL)により欠陥を調べた結果、炭素原子のみをはじき出す200keV電子線照射では、全原子をはじき出す2MeV電子線照射とは異なる欠陥準位が観測された。また、SiC/酸化膜界面への窒素イオン注入により界面欠陥(界面準位)が観測限界以下の1010/cm2eV-1まで減少することを見いだした。


34000312
Synthesis and characterization of nickel-copper hydroxide acetate, NiCu(OH)3.1(OCOCH3)0.9・0.9H2O
香西 直文; 三田村 久吉; 福山 裕康; 江坂 文孝; Komarneni, S.*
Microporous and Mesoporous Materials 89(1-3), p.123-131(2006) ; (JAEA-J 00433)

 層状遷移金属水酸化物塩は、陰イオン交換性層状化合物の一種であり、陰イオン吸着材及びインターカレーションホストとして最近注目を集めるようになった。それゆえ、その種類,合成方法,特性などに関する論文数は少ない。本研究では、新型の層状遷移金属水酸化物塩である水酸化酢酸ニッケル銅の基本的な特性について述べる。酢酸ニッケル,酢酸銅,過酸化水素の混合溶液を150℃の水熱条件で4時間加熱することにより、NiCu(OH)3.1(OCOCH3)0.9 0.9H2Oの組成を持つ層状化合物が得られた。この化合物は水溶液中の塩素イオンと硝酸イオンを吸着しないが、2価以上の陰イオンを吸着し、さらに毒性の高いヒ酸イオンと亜セレン酸イオンに対して最も高い吸着選択性を持つ。それらのイオンに対する吸着材としての利用が考えられる。


34000313
Limited concentration of RecA delays DNA double-strand break repair in Deinococcus radiodurans R1
Jolivet, E.*; Lecointe, F.*; Coste, G.*; 佐藤 勝也*; 鳴海 一成; Bailone, A.*; Sommer, S.*
Molecular Microbiology 59(1), p.338-349(2006) ; (JAEA-J 00434)

 放射線抵抗性細菌Deinococcus radioduransのDNA2本鎖切断修復における組換え修復タンパク質RecAの重要性を評価するために、遺伝子発現が調節可能なPspacプロモーターを用いて、RecA濃度変化による細胞への影響を調べた。野生株RecA低濃度細胞のγ線照射後の生存率は、RecA高濃度細胞と同様であったが、ddrAあるいはirrE遺伝子破壊株をRecA低濃度状態にするとγ線高感受性になり、遺伝子破壊株をRecA高濃度状態にするとγ線耐性が部分的に復帰した。また、野生株RecA低濃度細胞をγ線照射後に液体培地で培養すると、DNA2本鎖切断修復の遅延が起こり、DNA複製の再開ができないことが明らかになった。さらに、RecA低濃度細胞ではDNA損傷後のLexAタンパク質分解が起こらないこともわかった。しかしながら、lexA遺伝子破壊株及びLexA非分解変異タンパク質産生株におけるγ線照射後の生存率とDNA2本鎖切断修復の速度は、野生株と比べて変化がなく、RecAの細胞内濃度にも依存していなかった。このことから、放射線抵抗性細菌のLexAタンパク質はγ線照射後のDNA修復過程に関与していないと考えられた。


34000314
Seismic capacity evaluation of a group of vertical U-tube heat exchanger with support frames for seismic PSA
渡辺 裕一*; 村松 健; 及川 哲邦
Nuclear Engineering and Design 235(23), p.2495-2512(2005) ; (JAEA-J 00435)

 原子炉の地震起因事象の確率論的安全評価(地震PSA)に資するため、我が国のBWR残留熱除去系用の複数の支持枠付縦置U字管型熱交換器の地震時耐力を評価した。耐力中央値は4個の熱交換器から選定した代表例について詳細モデルによる時刻歴応答解析を行って評価し、知識不足による不確実さに関する対数標準偏差(LSD)は、応答への影響の大きいアンカーボルトの直径,熱交換器重量,熱交換器重心位置の3つのパラメータのばらつきを考慮して評価した。対象とした熱交換器の支配的損傷モードは支持脚アンカーボルトの主として剪断力による損傷であった。設置床での最大床応答加速度で表した耐力中央値は4,180Gal(4.3g)、ランダム性による不確実さに対応するLSDは物性値のばらつきにより0.11、知識不足による不確実さに対するLSDはばらつき要因として考慮する設計変数の範囲に応じて0.21から0.53となった。


34000315
Energetic ion transport by abrupt large-amplitude event induced by negative-ion-based neutral beam injection in the JT-60U
石川 正男; 武智 学; 篠原 孝司; 草間 義紀; Cheng, C. Z.*; 松永 剛; 藤堂 泰*; Gorelenkov, N. N.*; Kramer, G. J.*; Nazikian, R.*; 福山 淳*; Krasilnikov, V. A.*; Kashuck, Y.*; 西谷 健夫; 森岡 篤彦; 笹尾 真実子*; 磯部 光孝*; JT-60チーム
Nuclear Fusion 45(12), p.1474-1480(2005) ; (JAEA-J 00436)

 アルフベン固有モード(AE)による高エネルギーイオンの輸送を調べるために、中性子発生分布及びダイヤモンド検出器を用いた中性粒子束の測定をJT-60Uにおいて初めて行った。弱磁気シアプラズマにおいて、Abraut Large-amplitude Event(ALE)と呼ばれるバーストモードが発生した時、100-370keVの特定のエネルギー範囲の高エネルギーイオンが輸送されることが、中性粒子計測から初めて得られた。また、中性子発生分布はALEにより再分配することがわかった。これらの計測から、ALEは特定のエネルギー範囲を持つ高エネルギーイオンをプラズマ中心部から周辺部へ再分配することが詳細に示された。一方、負磁気シアプラズマではRversed-Shear-induced AE(RSAE)と呼ばれるAE、及びRSAEからTAEへの遷移を確認しており、中性子発生分布計測は、モードによる輸送はRSAEからTAEへの遷移中が最も大きいことを示唆している。


34000316
Compatibility of advanced tokamak plasma with high density and high radiation loss operation in JT-60U
竹永 秀信; 朝倉 伸幸; 久保 博孝; 東島 智; 木島 滋; 仲野 友英; 大山 直幸; Porter, G. D.*; Rognlien, T. D.*; Rensink, M. E.*; 井手 俊介; 藤田 隆明; 滝塚 知典; 鎌田 裕; 三浦 幸俊; JT-60チーム
Nuclear Fusion 45(12), p.1618-1627(2005) ; (JAEA-J 00437)

 JT-60Uの内部輸送障壁を有する先進トカマクプラズマの運転領域を、高閉じ込め及び高放射損失割合を達成しつつグリーンワルド密度(nGW)を超える領域まで拡大した。負磁気シアプラズマでは、ne/nGW=1.1においてHモードからの閉じ込め改善度HHy2=1.3を得た。この時、周辺ペデスタル密度はグリーンワルド密度の半分程度と低いにもかかわらず、強い密度内部輸送障壁を形成することにより高い平均密度を得ている。同放電では、金属不純物の蓄積が観測されており、主プラズマからの放射損失が加熱パワーの65%に達しているが、閉じ込めの劣化は観測されない。また、ダイバータでの放射損失を増大するために、ネオンを入射した放電では、ne/nGW=1.1にて、HHy2=1.1,総放射損失割合90%以上を達成した。高βpELMy Hモードプラズマ(弱正磁気シア)では、アルゴン入射と高磁場側ペレット入射により、ne/nGW=0.92,HHy2=0.96,放射損失割合100%を達成した。同放電でも、強い内部輸送障壁の形成により高平均密度が得られている。アルゴン輸送解析から、主プラズマ中心での放射損失はおもにアルゴンによること、ダイバータでのアルゴンの放射損失は20-40%程度であることが明らかになった。


34000317
MHD instabilities leading to disruptions in low beta JT-60U reversed shear plasmas
武智 学; 藤田 隆明; 石井 康友; 小関 隆久; 鈴木 隆博; 諫山 明彦; JT-60チーム
Nuclear Fusion 45(12), p.1694-1699(2005) ; (JAEA-J 00438)

 強い内部輸送障壁(ITB)と中心に平坦な圧力区分布を有する負磁気シアプラズマは非常に高い閉じ込め性能を有するが、頻繁に低いベータにもかかわらずディスラプションに至る。ディスラプションに至るMHD揺動とMSEによる詳細な電流分布計測を行ったところ2つのタイプのディスラプションが観測された。一つは安全係数が整数付近で観測される前兆振動を伴わないものであり、もう一つはγ>10msの成長率を持つITB付近から表面まで広がるn=1の前兆振動を伴うものである。これらのディスラプションの特徴を説明するために次のような簡単なモデルを導入した。表面のMHD不安定性とこれと同じモード数に対応するITB付近のMHD不安定性が同時に不安定になった場合にディスラプションに至る。このモデルを用いると観測されるディスラプションは周辺部のモードがトリガーとなるものと内部のモードがトリガーとなるものに分類可能であることがわかった。


34000318
The "Hybrid" scenario in JET; Towards its validation for ITER
Joffrin, E.*; Sips, A. C. C.*; Artaud, J. F.*; Becoulet, A.*; Bertalot, L.*; Budny, R.*; Buratti, P.*; Belo, P.*; Challis, C. D.*; Crisanti, F.*; de Baar, M.*; de Vries, P.*; Gormezano, C.*; Giroud, C.*; Gruber, O.*; Huysmans, G. T. A.*; Imbeaux, F.*; 諫山 明彦; Litaudon, X.*; Lomas, P. J.*; McDonald, D. C.*; Na, Y. S.*; Pinches, S. D.*; Staebler, A.*; Tala, T.*; Tuccillo, A.*; Zastrow, K.-D.*; JET-EFDA Contributors to the Work Programme
Nuclear Fusion 45(7), p.626-634(2005) ; (JAEA-J 00439)

 2003年、JETではハイブリッドシナリオの運転領域をβN=2.8まで拡張し(B=1.7 T),核融合増倍率の指標(H89βN/q952)が0.42のプラズマを定常的に維持することに成功した(q95=3.9)。また、高磁場(B=2.4 T),低ラーマー半径の運転領域においてもハイブリッドシナリオ運転を行いデータベースの拡充を図った。このデータベースを用い、輸送や閉じ込め特性に関して通常のHモード運転と比較を行った。さらに、トレース・トリチウムを入射し、核融合燃料の拡散係数・対流係数を評価した。閉じ込めや安定性を最適化した結果をITER に外挿すると、プラズマ電流を減らした場合でも高核融合利得のプラズマを2000秒間維持できる可能性が高いことがわかった。


34000319
Comparison of transient electron heat transport in LHD helical and JT-60U tokamak plasmas
稲垣 滋*; 竹永 秀信; 居田 克巳*; 諫山 明彦; 田村 直樹*; 滝塚 知典; 下妻 隆*; 鎌田 裕; 久保 伸*; 三浦 幸俊; 長山 好夫*; 川端 一男*; 須藤 滋*; 大久保 邦三*; LHD実験グループ; JT-60チーム
Nuclear Fusion 46(1), p.133-141(2006) ; (JAEA-J 00440)

 JT-60UとLHDの内部輸送障壁有り、及び無しプラズマでの過渡輸送特性を調べた。非線形熱輸送モデルを用いて、電子系の熱拡散係数χeの電子温度Te、及び電子温度勾配∇Te依存性を明らかにした。内部輸送障壁無しプラズマでは、LHDではχeはTeにおもに依存するのに対して、JT-60UではχeはTeと∇Teの両方に依存した。また、LHDでは周辺にコールドパルスを与えた場合に中心の温度が上昇する現象が観測された。JT-60Uでは、周辺部に与えられたコールドパルスに対して、パワーバランスから求めたχeでは説明できない非常に速い伝搬を観測した。これらは、熱輸送の非局所性を示していると思われる。ITB有りプラズマでは、LHD, JT-60UともにITB領域でコールドパルスによる温度減少が大きくなることを観測するとともに、χeのTeに対する負の依存性を明らかにした。


34000320
Reduced divertor heat loads, plasma shape effects, and radial electric field structures in JFT-2M HRS H-mode plasmas
神谷 健作; 川島 寿人; 井戸 毅*; 大山 直幸; Bakhtiari, M.*; 河西 敏; 草間 義紀; 三浦 幸俊; 小川 宏明; 都筑 和泰; 上原 和也; JFT-2Mグループ 
Nuclear Fusion 46(2), p.272-276(2006) ; (JAEA-J 00441)

 JFT-2Mでは今回プラズマ周辺部のパラメータを詳細に調べ、HRS Hモードの運転領域をペデスタルパラメータの観点から調べた。HRS Hモードはプラズマ周辺部のパラメータが高密度・低温状態で観測され易く、低密度・高温状態では大振幅のELMが発生した。密度,温度、及び安全係数をスキャンした結果、プラズマ周辺部の規格化衝突周波数が運転領域を決定する重要なパラメータの一つであることが示唆され、ELMy/HRS運転領域境界は規格化衝突周波数が1付近に存在することがわかった。


34000321
Key achievements in elementary R&D on water-cooled solid breeder blanket for ITER test blanket module in JAERI
鈴木 哲; 榎枝 幹男; 秦野 歳久; 廣瀬 貴規; 林 君夫; 谷川 尚; 落合 謙太郎; 西谷 健夫; 飛田 健次; 秋場 真人
Nuclear Fusion 46(2), p.285-290(2006) ; (JAEA-J 00442)

 原研におけるITER用水冷固体増殖方式テストブランケット・モジュール(TBM)に関する要素技術開発の最新の成果について報告する。TBMの製作技術開発に関しては、低放射化フェライト鋼F82HのHIP成型時の結晶粒の粗大化対策として成形後の熱処理法を改善し、1150℃での均質化後に930℃で焼きならしを行うことによって十分な細粒を得ることができた。第1壁アーマ接合技術開発に関しては、F82H基板にタングステンアーマを固相接合法の1つである熱間単軸圧縮を適用することにより、直接接合可能なことを明らかにした。また、F82H製第1壁試験体の熱疲労試験を行い、ITERダイバータと同様の疲労寿命評価法が適用可能であることを示した。一方、増殖材開発に関しては、Li2TiO3ペブルの圧縮荷重下における有効熱伝導率測定装置を開発し、その測定を実施した。原研におけるTBM開発は上記のような要素的な研究開発の進捗により、製作技術開発や設計データの取得が完了し、今後、工学規模の技術開発を展開する段階に到達した。


34000322
Critical β analyses with ferromagnetic and plasma rotation effects and wall geometry for a high β steady state tokamak
栗田 源一; Bialek, J.*; 津田 孝; 安積 正史*; 石田 真一; Navratil, G. A.*; 櫻井 真治; 玉井 広史; 松川 誠; 小関 隆久; Chu, M. S.*; Chance, M. S.*; 三浦 幸俊
Nuclear Fusion 46(2), p.383-390(2006) ; (JAEA-J 00443)

 限界ベータの値は、アスペクト比が3のトカマクでは、μ/μ0〜2, μとμ0は、各々強磁性体壁と真空の透磁率を表す、の強磁性の効果によって約8%減少することが示された。高アスペクト比のトカマクでは、観測されなかったトロイダル・プラズマ回転とプラズマ散逸の効果によってできる抵抗性壁モードに対する安定窓がアスペクト比が3のトカマクでは存在することが示された。安定窓に対する強磁性の効果もまた調べられた。VALENコードによる有限抵抗の安定化板と真空容器の形状を含めたNCT(国内重点化装置)プラズマの限界ベータ解析が始められ、安定化板の受動的安定化効果に対する結果が得られた。NCTプラズマの現状の設計案に対する真空容器及び能動的フィードバック制御の安定化効果を含んだ計算もまた行われた。


34000323
Cross-machine benchmarking for ITER of neoclassical tearing mode stabilization by electron cyclotron current drive
La Haye, R. J.*; Prater, R.*; Buttery, R. J.*; 林 伸彦; 諫山 明彦; Maraschek, M. E.*; Urso, L.*; Zohm, H.*
Nuclear Fusion 46(4), p.451-461(2006) ; (JAEA-J 00444)

 新古典テアリングモード(NTM)は、ITER標準シナリオにおいては理想キンク限界よりも低いベータ領域で発生し、プラズマ性能を制限する主要な要因となる。ポロイダルモード数(m=3),トロイダルモード数(n=2)のNTMは、(1)NTM成長率が最大となる特徴的な「限界」磁気島幅,(2)無変調のco方向の電子サイクロトロン電流駆動(co-ECCD)による「飽和した」3/2 NTM磁気島の安定化に関する実験研究が特に進んでいる。ASDEX-Upgrade, DIII-D, JETにおけるベータ・ランプダウン実験(ベータ値を徐々に下げる実験)から、m/n=3/2のNTMを(ECCDなしで)消滅させるための限界ベータ値が決定された。このデータと、ASDEX-Upgrade, DIII-D, JT-60UにおけるECCDによる3/2 NTM安定化実験(ベータ値はほぼ一定)との比較を行った。その結果、両方の実験データセットにおいて、NTMが消滅する磁気島幅はイオンバナナ幅の約2倍であることが明らかになった。解析にあたり、4装置ASDEX Upgrade, DIII-D, JET, JT-60Uにおける飽和磁気島幅を評価する共通の方法を開発した。また、この比較で得られたモデルを用いてITERにおけるECCDを用いたm/n=3/2, 2/1のNTMの安定化の評価を行った。その結果、ITERの上方ECCD入射方式は、磁気島幅を大幅に減少させるのに有効であることが明らかになった。また、ECCDは、ITERにおいてモードロックを回避するのにも有効であることがモデル計算により明らかになった。


34000324
Multiparameter optimization of an ERL injector
羽島 良一; 永井 良治
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 557(1), p.103-105(2006) ; (JAEA-J 00445)

 ERL入射器の設計では、収束磁石強度,バンチャー振幅位相など、多数の変数を含んだ最適化計算が必要である。われわれは、粒子追跡型の加速器設計コードに最適化ルーチンを組合せることにより、ERL入射器の最適化設計を行い、所要の性能が得られる設計解を得た。


34000325
Photocathodes for the energy recovery linacs
Rao, T.*; Burrill, A.*; Chang, X. Y.*; Smedley, J.*; 西谷 智博; Hernandez Garcia, C.*; Poelker, M.*; Seddon, E.*; Hannon, F. E.*; Sinclair, C. K.*; Lewellen, J.*; Feldman, D.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 557(1), p.124-130(2006) ; (JAEA-J 00446)

 近年、次期光源や高エネルギー核物理学に用いるエネルギー回収型線形加速器(ERL)の利用が注目を浴びている。ERLが要求する電子源性能は、電流値,電流密度,繰り返し,温度や加速勾配など広範囲に渡る。これらの性能を実現する電子源として、光陰極電子源が重要な役割を果たすと考えられている。本論文では、ERLを実現しうる二次電子放出型,セシウム付加ディスペンサー型,フィールドエミッタ型や超格子半導体の光陰極電子源について概論を提供する。


34000326
Development and operation of the JAERI superconducting energy recovery linacs
峰原 英介
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 557(1), p.16-22(2006) ; (JAEA-J 00447)

 原研は世界で現在運転中の2台のエネルギー回収型リニアック(ERL)の一つを独力で開発し、もう1台の施設であるジェファーソン国研のERLとともに世界のERL開発及び将来のERL応用研究を切り開いてきた。現在のアップグレード開発研究と応力腐食割れ防止技術開発研究、さらにERLの主要開発要素でもある光陰極,電子励起陰極などの大電流光電子銃技術に関して報告する。


34000327
Merger designs for ERLs
Litvinenko, V. N.*; 羽島 良一; Kayran, D.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 557(1), p.165-175(2006) ; (JAEA-J 00448)

 ERLは高輝度電子ビームを大電流で加速できることから、次世代放射光源をはじめとしてさまざまな利用が期待されている。入射電子ビームと周回電子ビームが合流する部分(合流部)はERLに独特のものであり、従来の加速器設計では経験したことのない設計が求められる。本論文では、ERL合流部の構成例,エミッタンス増大のメカニズム,エミッタンス補償の方法などを包括的に議論する。


34000328
Overview of CSR codes
Bassi, G.*; 吾郷 智紀*; Dohlus, M.*; Giannessi, L.*; 羽島 良一; Kabel, A.*; Limberg, T.*; Quattromini, M.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 557(1), p.189-204(2006) ; (JAEA-J 00449)

 コヒーレントシンクロトロン放射光(CSR)は、ERLやXFELのための高輝度電子ビームの発生と輸送を議論する時に、欠かすことのできない現象である。本論文では、これまでに提案されてきたCSR計算コードのアルゴリズム,適用範囲とその限界などを概括するものである。


34000329
Numerical analysis of velocity bunching for an ERL light source
飯島 北斗; 羽島 良一
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 557(1), p.213-215(2006) ; (JAEA-J 00450)

 エネルギー回収型(ERL)の主加速器で行う速度集群のコンピュータシミュレーションによる数値解析の結果を報告する。シミュレーションはTESLA型の加速管8本を想定し、行った。バンチ幅は3.2psから170fsに圧縮され、これは理論計算ともよく一致する。速度集群におけるエネルギー拡がりはリサーキュレーションループに用いられる電磁石を利用したバンチ圧縮よりも小さくてすむため、ERLにおける高輝度短バンチのX線発生には有用である。また、速度集群を行うことによる加速電流値の制限に関しても議論する。


34000330
LaCl3(Ce) scintillation detector applications for environmental γ-ray measurements of low to high dose rates
堤 正博; 谷村 嘉彦
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 557(2), p.554-560(2006) ; (JAEA-J 00451)

 環境γ線の線量率測定及びスペクトル測定への新しいLaCl3(Ce)シンチレータの適用性について評価した。このシンチレータは、良好なエネルギー分解能及び速い減衰時間を持つため、特に高計数率場のγ線スペクトル測定に適している。本報告では、25.4mm×25.4mmのLaCl3(Ce)シンチレータの特性試験を行い、同サイズのNaI(Tl)シンチレータと比較した。得られたパルス波高スペクトルはG(E)関数により線量換算した。LaCl3(Ce)は、結晶自身にある程度のバックグラウンド放射能を有するものの、そのバックグラウンドの寄与を差し引くことで低レベルから数mGy/hの高線量率に渡るγ線のスペクトル測定及び線量率測定が可能であることがわかった。平常時はもとより緊急時のモニタリングにとって有望なシンチレータである。


34000331
Characterization of sulfur-doped TiO2 films by RBS/C
山本 春也; 武山 昭憲; 吉川 正人
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 242(1-2), p.377-379(2006) ; (JAEA-J 00452)

 硫黄を添加した二酸化チタン(S-TiO2)の粉末試料では、可視光領域の光吸収の発現など光学的特性が変化し、光触媒性の向上が見いだされている。そこで本研究では、S-TiO2粉末を原料とした薄膜の作製を目指し、パルスレーザー蒸着法を用いて多結晶及び単結晶構造のS-TiO2膜の作製を試みた。作製した膜について、X線回折,ラザフォード後方散乱法などを用いて構造評価を行った。その結果、硫黄の添加量を数at.%の濃度で制御し、シリコン基板上にアナターゼ型の多結晶TiO2膜,サファイア(0001)単結晶基板上にルチル型のTiO2(100)単結晶膜を作製することができた。本研究よりTiO2膜中の硫黄濃度を制御する主なパラメータは、ターゲットの組成,成膜中の雰囲気,基板温度であることが明らかになった。


34000332
Effect of implanted helium on thermal diffusivities of SiC/SiC composites
田口 富嗣; 井川 直樹; 實川 資朗; 志村 憲一郎
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 242(1-2), p.469-472(2006) ; (JAEA-J 00453)

 SiC繊維強化SiCマトリクス(SiC/SiC)複合材料は、優れた高温強度特性を有し、中性子照射後の誘導放射能も低いことから、核融合炉の構造材料の候補材料として期待されている。核融合炉構造材料として、熱交換の効率化及び熱応力の低減化の観点から、候補材料には高熱伝導率を有することが要求されている。核融合炉環境下において、14MeVの中性子照射により、材料中に核変換生成物としてHe及びHが生成する。そこで、本研究では、SiC及びSiC/SiC複合材料の熱拡散率に及ぼすHe原子の影響をHe注入法により検討した。その結果、He注入によりSiC及びSiC/SiC複合材料の熱拡散率は減少するが、核融合炉運転温度である800〜1000℃の範囲では、熱拡散率の減少はとても小さいことを見いだした。また、アニール効果により、熱拡散率の回復がみられた。He注入により試料内に導入された照射欠陥濃度を、推定した。それによれば、He注入濃度が増加するとともに、照射欠陥濃度も増加する。また、照射欠陥濃度は、500℃付近で急激に減少する。これは、SiCからHeが拡散し始める温度と一致している。


34000333
Hydrogen up-take in noble gas implanted W
永田 晋二*; 山本 春也; 徳永 和俊*; 土屋 文*; 藤 健太郎*; 四竃 樹男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 242(1-2), p.553-556(2006) ; (JAEA-J 00454)

 イオン注入は、材料表面の結晶構造・微細構造を変化させるとともに水素の吸蔵特性にも影響を与える。本研究では、単結晶金属へのガスイオン大量照射によりつくられる多孔質表面層における水素捕捉・放出機構について調べた。実験では、通常では水素をほとんど吸蔵しないタングステン(W)について、種々のイオン種(He, Ne, Ar, Kr, Xe)、加速エネルギーでイオン注入を行い表面構造,組成変化と水素捕捉・放出挙動への影響を調べた。実験の結果、イオン照射した試料表面層では、酸化物を伴った多孔質層の形成され、高濃度に水素が捕捉されることがわかった。また、水素の加熱再放出測定の結果から多孔質層における水素の捕捉は酸化物によるものではなく、注入ガスにより形成されたバブル,ブリスター,格子歪との相互作用が関係していることが明らかになった。


34000334
Excitation behavior of rare gases in low-energy plasma
小河 浩晃; 木内 清
Nuclear Science and Engineering 152(2), p.236-241(2006) ; (JAEA-J 00458)

 Xeのような重元素希ガスは、核分裂生成物として、核燃料の高燃焼度化に伴い大量に生成される。照射効果によって励起された重元素希ガスと低エネルギー電子間の相互作用は、そのガス放出機構を理解するうえで、また、放射性核分裂生成物の回収法を開発するうえで、非常に重要となる。本研究では、RF式の開放型及び密閉型の2種類の低エネルギープラズマ試験装置を準備した。開放型の電子密度は、各希ガスのイオン化エネルギーの増加に伴い増加した。しかし、重元素希ガス(Ar, Kr, Xe)の密閉型の電子密度は、軽元素希ガス(Ne, He)の電子密度と比較して三桁以上増加した。その違いは、密閉型では、マルチスパッタリング効果によって壁表面で生成した低エネルギー電子とその運動量移行断面積に基づいたものであると解釈される。


34000335
Structure and dynamics of cluster plasmas created by ultrashort intense laser fields
福田 祐仁; 岸本 泰明; 正木 知宏*; 山川 考一
Physical Review A 73(3), p.031201_1-031201_4(2006) ; (JAEA-J 00460)

 プラズマの緩和過程、及び、イオン化過程を考慮した粒子コードを用いて、高強度レーザーとクラスターとの相互作用並びに構造形成プロセスの詳細を調べた。これまでに指摘されていたレーザー誘起電場の発生に加え、印加レーザー強度を超える2極性電場の生成、及び、外部/内部シースの形成が、クラスターの爆発崩壊過程に深く関与していることを明らかにした。すなわち、電子エネルギー分布には、衝突緩和,シース電場の影響によるディップ構造が観測され、イオンエネルギー分布と密度分布には2極性電場の影響による二重構造が観測された。


34000336
Pressure-induced structural change of liquid CdTe up to 23.5GPa
服部 高典; 木下 智裕*; 鳴島 崇*; 辻 和彦*; 片山 芳則
Physical Review B 73(5), p.054203_1-054203_9(2006) ; (JAEA-J 00461)

 放射光を用いて、液体CdTeの構造を23.5GPaまで調べた。液体の構造因子S(Q)と二体分布関数g(r)は、配位数の増加とともに、2つの圧力領域1.8-3.0GPaと7.0-9.0GPaで急激に変わった。これは23.5GPaまでに少なくとも3つの安定な液体formがあることを示す。構造変化の起こる圧力幅は、他の四配位共有結合性物質の液体におけるものよりずいぶん小さい。得られたS(Q)とg(r)、他の参照物質のものと比べることにより、液体の最低圧formと中圧formの局所構造は、結晶相におけるもの(閃亜鉛鉱方構造と岩塩構造)であることがわかった。一方、最高圧formの局所構造はCdTe結晶相に見られないものであった。


34000337
Electron, positron, and photon wakefield acceleration; Trapping, wake overtaking, and ponderomotive acceleration
Esirkepov, T. Z. ; Bulanov, S. V. ; 山極 満; 田島 俊樹
Physical Review Letters 96(1), p.014803_1-014803_4(2006) ; (JAEA-J 00462)

 レーザー駆動航跡場の第一サイクルにおける電子,陽電子及び光子加速について解析を行い、さまざまなタイプ(捕捉,航跡場及び動重力ポテンシャルによる反射,非捕捉)の粒子運動間のセパラトリックスを明示した。陽電子や正の電荷を持ったメソンの場合とは対照的に、電子の動重力加速は航跡場の作用により大きく補正されることを明らかにした。航跡場加速による電子バンチのエネルギースペクトル並びに電磁波の航跡場による反射における周波数上昇の最大値について理論的表式を得た。


34000338
Phonon spectrum and the maintenance condition of crystalline beams
Li, X.-P.*; 榎園 隼人*; 岡本 宏巳*; 百合 庸介; Sessler, A. M.*; Wei, J.*
Physical Review Special Topics; Accelerators and Beams 9(3), p.034201_1-034201_10(2006) ; (JAEA-J 00463)

 蓄積リング内を周回する荷電粒子ビームは理想的な散逸力で空間電荷限界まで冷却されるとクーロン結晶化することが理論的に知られている。このような状態にあるビームはクリスタルビームと呼ばれる。そのエミッタンスは理論上ゼロであり、これ以上の高品質ビームは原理的にありえない。この論文では、結晶状態の格子振動について理論的に考察し、クリスタルビームの維持条件を示す。クリスタルビームを安定に維持するためには、結晶の格子振動数と外部集束場の周期数との間に共鳴が存在しないことが必要である。すべての格子振動数がラティス超周期数の1/2未満であれば、この共鳴を回避することができる。平滑化近似によって得られた解析的な計算結果と分子動力学シミュレーションから得られたフーリエスペクトルとを比較検討した。さまざまな結晶構造の安定性をいくつかの蓄積リングのラティスに基づいて検証した。解析的な理論によるクリスタルビームの維持条件は分子動力学シミュレーションでの結晶の安定性と非常によく一致した。線形共鳴理論に基づいて導出されたクリスタルビームの維持条件は、任意の二つの格子振動数の和がラティス超周期数に一致してはならない、と表すことができる。


34000339
Generation of high-energy attosecond pulses by the relativistic-irradiance short laser pulse interacting with a thin foil
Pirozhkov, A. S.; Bulanov, S. V. ; Esirkepov, T. Z. ; 森 道昭; 匂坂 明人; 大道 博行
Physics Letters A 349(1-4), p.256-263(2006) ; (JAEA-J 00464)

 電荷分離による電場がレーザー電場よりも大きくなるような条件でダブルパルスまたはシングルパルスを薄膜ターゲットに照射すると、ターゲット面に垂直な方向の電子振動は抑制される。そのため、電子は薄膜ターゲットのほぼ面方向にスライドする。本研究では、解析モデルを用いて、相対論的強度の超短パルスレーザー照射スライディングミラーによるアト秒パルス発生の新しい方法を示した。これより、パルス幅が数百アト秒で変換効率が数パーセントのパルス発生が予想される。


34000340
Attosecond pulse generation in the relativistic regime of the laser-foil interaction; The Sliding mirror model
Pirozhkov, A. S.; Bulanov, S. V. ; Esirkepov, T. Z. ; 森 道昭; 匂坂 明人; 大道 博行
Physics of Plasmas 13(1), p.013107_1-013107_12(2006) ; (JAEA-J 00465)

 相対論的強度の短パルスレーザーと薄い高密度プラズマスラブとの相互作用によるアト秒パルス発生の理論を進展させた。相対論的速度での電子運動により誘起される非線形電流は、入射レーザーの高次高調波を発生させる。このような高次高調波は位相が固定されており、スペクトルフィルターを通過させることでアト秒パルスが発生する。最も効率の良いアト秒シングルパルスの発生状態について議論する。スペクトルフィルターを使わないアト秒パルス列の高効率発生領域について提案する。この結果は、PICシミュレーションによって実証される。


34000341
Analysis of the direction of plasma vertical movement during major disruptions in ITER
Lukash, V.*; 杉原 正芳; Gribov, Y.*; 藤枝 浩文*
Plasma Physics and Controlled Fusion 47(12), p.2077-2086(2005) ; (JAEA-J 00466)

 ITERのディスラプション時における垂直移動の方向を、幅広い条件のもとでDINAコードにより調べた。(1)電流減衰率,(2)熱クエンチに伴う内部インダクタンスの変化量,(3)初期の垂直位置の三つの要因が、移動方向を決定する主要因であることを示し、移動方向を規定するパラメータ領域を明らかにした。これにより装置中心から55cm上方に設定された現在の標準配位においては、電流減衰率が200kA/msより大きく、内部インダクタンスの変化量が0.2より小さい場合には上方に移動することがわかった。


34000342
Enhanced performance and control issues in JT-60U long pulse discharges
坂本 宜照; JT-60チーム
Plasma Physics and Controlled Fusion 47(12B), p.B337-B348(2005) ; (JAEA-J 00467)

 本論文は、長パルス放電における性能向上と制御課題に対する最新の研究成果を報告する。先進トカマクプラズマは、圧力分布や電流分布等が強く相互作用する自律系であり、長時間維持するためにはこれらの分布の相互作用に配慮しながら適切に制御することが必要である。弱磁気シアプラズマでは、新古典テアリングモード(NTM)抑制が長パルス化に向けた主要課題である。NTM不安定化の指標に着目し、圧力分布と電流分布を最適化することにより、規格化ベータ値2.5を電流拡散時間の約10倍に相当する15.5秒間維持することに成功した。負磁気シアプラズマではトロイダル回転分布制御により圧力分布を最適化し、プラズマ崩壊の回避に成功した。その結果、自発電流割合75%を電流拡散時間の約3倍に相当する7.4秒間維持し、強い自律性を有するプラズマが定常に落ち着くことを確認した。さらに周辺輸送障壁圧力やその勾配を発生の駆動機構とする不安定性をトロイダル回転分布制御により制御できることを明らかにした。


34000343
Observation of localized oscillations at m/n=2/1 rational surface during counter neutral beam injection in the large helical device
諌山 明彦; 稲垣 滋*; 渡邊 清政*; 成嶋 吉朗*; 榊原 悟*; 舟場 久芳*; 居田 克巳*; 長山 好夫*; 山田 弘司*; 川端 一男*; 小森 彰夫*; 本島 修*; LHD実験グループ *
Plasma Physics and Controlled Fusion 48(1), p.L45-L55(2006) ; (JAEA-J 00468)

 大型ヘリカル装置において、逆方向の中性粒子ビーム(counter-NB)入射時に m/n=2/1の有理面に局在して現れる振動の構造を電子サイクロトロン放射(ECE)測定により測定した。ここで、m, nはそれぞれポロイダルモード数,トロイダルモード数である。プラズマ圧力がほぼ一定のもとでプラズマ電流が逆方向に増加している場合は、プラズマ電流の大きさが大きいところで現れた(<〜20kA/T)。NBの入射方向をco方向からcounter方向またはその逆に切り替えた場合、振動は前者の場合のみ現れた。これらの結果はプラズマ電流の分布と強度が振動の発生に関係していることを示唆している。VMECコードを用いたメルシエ安定性に関する解析の結果、電流分布が平坦または凹状の場合、プラズマ電流が負方向に大きくなるほど交換型不安定性に対し不安定になり、実験結果と同じ傾向を示すことが明らかになった。また、ECE測定による電子温度揺動分布から評価した変位分布は3次元理想MHD安定性解析コードTERPSICHOREの結果とよく合うことが明らかになった。


34000344
Bispectral analysis applied to coherent floating potential fluctuations obtained in the edge plasmas on JFT-2M
永島 芳彦*; 伊藤 公孝*; 伊藤 早苗*; 藤澤 彰英*; 星野 克道; 高瀬 雄一*; 矢木 雅俊*; 江尻 晶*; 居田 克己*; 篠原 孝司; 上原 和也; 草間 義紀; JFT-2Mグループ
Plasma Physics and Controlled Fusion 48(4), p.S1-S15(2006) ; (JAEA-J 00469)

 JFT-2Mトカマクのオーミック加熱プラズマの浮遊ポテンシャル揺動にバイスぺクトル解析を適用した結果について述べる。最外殻磁気面の内側で浮遊電位揺動中に帯状流の一種と考えられている測地的音波の周波数を持つコヒーレントなモードが観測された。二乗バイコヒーレンスの計算によりそのコヒーレントな揺動と背景揺動(ドリフト波乱流揺動を含むと推定)の間に有意な非線形結合が示された。全バイコヒーレンスは、コヒーレントなモードの振幅の2乗に比例していること、及びコヒーレントなモードは一定値πのバイフェイズを持つことなどの測定結果は、長谷川−三間モデルによるドリフト波−帯状流系の理論的予測と整合することがわかった。


34000345
Geodesic-acoustic-mode in JFT-2M tokamak plasmas
井戸 毅*; 三浦 幸俊; 神谷 健作; 浜田 泰司*; 星野 克道; 藤澤 彰英*; 伊藤 公孝*; 伊藤 早苗*; 西澤 章光*; 小川 宏明; 草間 義紀; JFT-2Mグループ
Plasma Physics and Controlled Fusion 48(4), p.S41-S50(2006) ; (JAEA-J 00470)

 JFT-2Mトカマクにおいて重イオンビームプローブ(HIBP)を用いてプラズマ内部における測地的音波モード(Geodesic Acoustic mode, GAM)に伴うポテンシャル揺動及び密度揺動の同時計測を行った。ポテンシャル揺動はプラズマ境界内側で極大値を持っていること,この構造内で周波数はほぼ一定であること,このモードが径方向へ伝播していること、及びGAMが背景乱流に影響を及ぼしていることなどを明らかにした。背景乱流への影響の程度は理論モデルの予測とほぼ一致していることがわかった。


34000346
Suppression of neoclassical tearing modes towards stationary high-beta plasmas in JT-60U
諫山 明彦; JT-60チーム
Plasma Science and Technology 8(1), p.36-40(2006) ; (JAEA-J 00471)

 新古典テアリング不安定性(NTM)は正磁気シアプラズマにおいて理想限界よりも低いベータ領域で発生し、プラズマ性能を制限することから、その抑制手法の確立が急務となっている。JT-60UではNTMの抑制手法として、(1)NTM発生位置への電子サイクロトロン電流駆動/加熱によるNTMの安定化,(2)圧力・電流分布の最適化によるNTMの回避に取り組み、それぞれにおいて重要な知見を得て来た。本講演では、NTMの抑制; 安定化と回避に関してJT-60Uで得られた成果と課題を発表する。NTMの抑制においては、不安定化に働く自発電流項の寄与の減少、または安定化に働く分極電流項の寄与の増大が重要である。NTMを抑制した放電及びNTMが発生した放電の圧力・電流分布の発展をシミュレーションを援用して解析することにより、後者の寄与が大きいことが明らかになった。また、電子サイクロトロン電流駆動によるNTM安定化においては、電子サイクロトロン波のビーム幅,電子サイクロトロン駆動電流密度により安定化効果が大きく変わることを明らかにするとともに、安定化のために要請される電子サイクロトロン波のビーム幅と駆動電流密度の関係を明らかにした。


34000347
Study of particle behavior for steady-state operation in JT-60U
久保 博孝; JT-60チーム
Plasma Science and Technology 8(1), p.50-54(2006) ; (JAEA-J 00472)

 JT-60における定常運転のための粒子挙動に関する最近の研究成果(特に、第一壁の水素蓄積の飽和,炭素材ダイバータ板の損耗/堆積と水素保持、及びそれらに関連したSOL及びダイバータ・プラズマ中の粒子挙動に関する研究成果)をまとめて発表する。JT-60では、長時間放電を繰り返すことにより、ELMy Hモード・プラズマの後半で第一壁の水素蓄積が真空容器内全体として飽和する現象が観測された。炭素材ダイバータ・タイルについては、外側ダイバータではおもに損耗が、内側ダイバータではおもに堆積が観測された。炭素堆積層中の水素同位体保持率(H+D)/Cは0.032であった。低磁場側の水平面では内側ダイバータ方向のSOLプラズマ流が、プライベート領域では外側ダイバータから内側ダイバータに向かうドリフト流が観測された。炭素材の損耗/堆積の内外ダイバータの非対称性は、これらの流れが原因であることが考えられる。第一壁に到達した水素のほとんどは水素分子として再放出されると考えられているが、その水素分子挙動を直接診断するために、水素分子線の発光分布を測定し、中性粒子輸送コードを用いて解析した。


34000348
Energetic ion measurements using a directional probe
永岡 賢一*; 磯部 光孝*; 篠原 孝司; 長壁 正樹*; 清水 昭博*; 岡村 昇一*
Plasma and Fusion Research (Internet) 1(1), p.005_1-005_2(2006) ; (JAEA-J 00473)

 方向性プローブ法は、イオンや電子の分布関数の非等方性を計測することが可能であり、イオン流速の測定法として広く用いられている。この方向性プローブ法を核融合科学研究所のCompact Helical System(CHS)におけるプラズマ中の高エネルギーイオン計測に適用し、最外殻磁気面内側で高エネルギーイオンの局所計測に成功した。2つの計測法実証実験が行われた。一つは、中性粒子ビームのモジュレーションであり、ビームのオン,オフに対応した信号が方向性プローブで観測された。同時に計測が行われた中性粒子分析器(NPA)の結果とも矛盾がなかった。もう一方は、高エネルギー粒子励起のMHDバースト(EPMモード)による高エネルギーイオンの損失を方向性プローブで計測した。Ctr方向のイオン束には、MHDバーストに伴う粒子束の変化が観測されなかったのに対して、Co方向の粒子束にはMHDバーストに対応したイオン束の顕著な増加が観測された。損失イオンプローブ(LIP)による観測結果とも矛盾がなかった。これらの結果から、高エネルギーイオンを方向性プローブ法で計測できることを実験的に示すことができた。


34000349
Improvement of heat stability of poly(L-lactic acid) by radiation-induced crosslinking
三友 宏志*; 金田 綾子*; Tran, M. Q.*; 長澤 尚胤; 吉井 文男
Polymer 46(13), p.4695-4703(2005) ; (JAEA-J 00474)

 植物産生プラスチックであるポリL乳酸(PLLA)は、ガラス転移温度(Tg)である約60℃以上で軟化する性質を持っており、耐熱性に乏しい材料である。このTg以上での軟化を改善する目的で、PLLAに少量の橋かけ助剤を添加して所定線量の電子線を照射して、高分子鎖間に橋かけ構造を導入して耐熱性をはじめとした諸物性の変化について検討した。さまざまな橋かけ助剤の中からトリアリルイソシアヌレート(TAIC)が最も効果的に橋かけ構造を導入でき、3%TAIC添加で50kGy照射した条件で橋かけしたPLLAがTg以上での軟化を抑制することを見いだした。この橋かけしたPLLAは、結晶化するための分子運動性を阻害するような分子鎖ネットワークを広範囲に形成しているため、低結晶化度を示した。さらにPLLAの再結晶化温度である90℃で熱処理と照射により橋かけしたPLLAのTg以上での軟化を完全に改善することができた。また、プロテナーゼ酵素による生分解性試験の結果、未橋かけPLLA(未照射PLLA)に比べ、橋かけしたPLLAは分解しにくく、橋かけ構造導入によって生分解性を制御できることがわかった。


34000350
Research activities for accelerator-driven transmutation system at JAERI
佐々 敏信
Progress in Nuclear Energy 47(1-4), p.314-326(2005) ; (JAEA-J 00475)

 原研では、OMEGA計画の下で長寿命核種の核変換を行う加速器駆動システム(ADS)の研究開発を行っている。ADSに関する基礎特性を取得するため、原研-KEK共同のJ-PARC計画の枠組みの中で核変換実験施設の建設を予定している。また、ADSプラントの研究開発を(1)超伝導陽子LINAC,(2)鉛・ビスマスターゲット/冷却材技術、及び(3)未臨界炉心技術の3つの分野に分けて3年計画で進めている。このなかでは、クライオモジュール試作,鉛・ビスマスループによる熱流動試験,出力800MWの未臨界炉心設計を実施しているところである。本研究の一部は、革新的原子力システム公募事業の一環として文部科学省からの受託事業として実施している。


34000351
Analysis of particles produced by oxidation of dilute xylene in air under electron beam irradiation
箱田 照幸; 後藤 均*; 島田 明彦; 越智 雅文*; 小嶋 拓治
Radiation Physics and Chemistry 75(3), p.375-383(2006) ; (JAEA-J 00476)

 芳香族有機物を含む空気に電子ビーム照射を行うと、芳香族有機物が酸化分解してガス状の有機物のほかに粒子状有機物が生じる。従来の150-300keVの電子ビームを用いた研究では、照射場から分析装置までの距離が離れているために、その間に粒子同士の結合が生じ、初期濃度や吸収線量の増加に伴って粒子の平均粒径が増加する問題点があった。そこで本研究では、照射場と粒子分析装置との配管距離を短くできる、最大加速電圧が55kV、最大照射電流が0.5mAの電子ビーム発生器を組み込んだ照射装置を開発して、この問題の解決を図った。この装置を用いて、初期濃度10及び30ppmvのキシレンを含む空気に電子ビームを照射し、粒子状生成物の炭素換算での収率、その粒子の個数及び体積換算での粒径分布を調べた。この結果、吸収線量範囲2-10kGyにおいて、分解したキシレンの49-52%が粒子状生成物であること、一方ガス状有機物は吸収線量の増加に伴い36-26%に減少し、その分CO2及びCO濃度が増加することがわかった。また、粒子状生成物の個数濃度換算での平均粒径は初期濃度が10及び30ppmvの場合で、それぞれ27.5-28.8及び28.7-31.9nmであり、また体積濃度換算での平均粒径はそれぞれ51.7-53.4及び58.5-65.3nmであった。初期濃度や吸収線量によらずに、個数及び体積濃度換算それぞれでほぼ一定の平均粒径が得られたことは、照射場から分析装置の間で粒子同士の結合が抑制されたことを意味しており、この結果は本電子ビーム発生器の利用により初めて取得可能となった。


34000352
Charging processes of particles produced from dilute xylene in air under electron beam irradiation
箱田 照幸; 島田 明彦; 小嶋 拓治
Radiation Physics and Chemistry 75(3), p.392-402(2006) ; (JAEA-J 00477)

 有害な芳香族有機物を含む空気に電子ビームを照射し浄化しようとすると、分解生成物としてガス状有機物のほかに平均粒径が数十nmの有害な粒子状物質が生成する。酸化分解しにくいこの粒子状の生成物は、照射場で高濃度なイオンにより帯電でき、さらにその後に外部電場によりガス相から除去することが可能である。そこで本研究では、電子ビーム照射空気に外部電場がある場合及びない場合での空気中に含まれた初期濃度10及び30ppmvのキシレンからの粒子状生成物の帯電率,粒径分布や極性について調べた。その結果、粒子状生成物の個数濃度及び体積濃度換算での帯電率は、キシレンの初期濃度や吸収線量によらずに、外部電場がない場合それぞれ31-37%と48-55%であり、また±900V/cmの外部電場がある場合には48-55%と91-93%となることが明らかとなった。本研究結果からEB照射によりキシレンとガス状分解生成物を分解し、さらに照射場に900V/cmの電場を付与することにより粒子状生成物の全重量濃度の90%以上を帯電しかつ照射後の電場で捕集・除去できること、すなわち、ガス中の総有機炭素濃度を5%以下に低減できることが示された。


34000353
Development of lung and soft tissue substitutes for photons
木名瀬 栄; 木村 雅哉*; 野口 宏; 横山 須美
Radiation Protection Dosimetry 115(1-4), p.284-288(2005) ; (JAEA-J 00479)

 著者らは、これまで人体の骨格について密度や線減弱係数が等価な骨格組織等価材を開発するとともに頭部ファントムを製作した。本研究では、 さらに、 呼吸気道部等を表現するのに必要な人体の肺,軟組織,筋肉,筋肉+10パーセント脂肪,軟骨,喉頭,気管,甲状腺,腎臓,肝臓,皮膚,脳について、それぞれの組織等価材を開発した。また、それぞれの組織等価材は、実測により光子減弱特性を評価した。


34000354
Radiation safety design for the J-PARC project
中島 宏; 中根 佳弘; 増川 史洋; 松田 規宏; 小栗 朋美*; 中野 秀生*; 笹本 宣雄*; 柴田 徳思*; 鈴木 健訓*; 三浦 太一*; 沼尻 正晴*; 中尾 徳晶*; 平山 英夫*; 佐々木 慎一*
Radiation Protection Dosimetry 115(1-4), p.564-568(2005) ; (JAEA-J 00480)

 大強度陽子加速器計画(J-PARC)では、世界最高出力の高エネルギー加速器施設が建設されている。そこで、施設の合理的な遮蔽設計を行うために、J-PARCの遮蔽設計では、簡易計算手法と詳細計算手法を組合せた設計手法が使われている。ここでは、J-PARCの遮蔽設計にかかわる研究の現状について報告する。


34000355
Shielding analysis at the upper section of the accelerator-driven system
佐々 敏信; Yang, J. A.*; 大井川 宏之
Radiation Protection Dosimetry 116(1-4), p.256-258(2005) ; (JAEA-J 00481)

 加速器駆動システム(ADS)の陽子ビームダクトは核破砕中性子や光子のストリーミング経路となり、これにより未臨界炉心上部に配置された電磁石などの機器の放射化を誘発する恐れがある。この放射化量を定量的に評価することを目的に、鉛ビスマス冷却ADS(800MWt)のストリーミング解析を実施した。MCNPXを使用してビームダクトからの漏洩中性子と光子の放射線量を求めた。二次光子の解析は、多くのマイナーアクチニド断面積をγ線生成断面積が定義されているプルトニウムに置き換えて実施した。ビームダクトからストリーミングした中性子により、ビームダクト上部の線量は、上部プラグの他の部分より20桁多い線量を与えることがわかった。MCNPXの解析で得られた漏洩粒子スペクトルを使用したDCHAIN-SPによる解析では、電磁石と遮蔽プラグが高い放射能を有することがわかった。


34000356
Comparison of synchrotron radiation calculations between analytical codes(STAC8,PHOTON) and Monte Carlo codes (FLUKA,EGS4)
Liu, J. C.*; Fasso, A.*; Prinz, A.*; Rokni, S.*; 浅野 芳裕
Radiation Protection Dosimetry 116(1-4), p.658-661(2005) ; (JAEA-J 00482)

 筆者が開発したSTAC8コードをSLAC, SSRLビームラインに適用した場合の解析結果をFLUKAやEGS4及びPHOTONと比較し、その有効性を実証した。また、STAC8コードの計算機能のうちでダブル散乱線評価やミラー反射による放射光計算の有効性についても議論する。


34000357
Degign of a high-efficiency grazing incidence monochromator with multilayer-coated laminar gratings for the 1-6 keV region
小池 雅人; 石野 雅彦; 笹井 浩行*
Review of Scientific Instruments 77(2), p.023101_1-023101_4(2006) ; (JAEA-J 00484)

 各種の高輝度軟X線光源が先端科学技術の重要な役割を演じるようになってきていることは言うまでもないが、その研究の中で特に1-6keV領域で高効率を持つ分光機器実現への要求が高まっている。このような要求に答えるべく可変偏角斜入射分光器に使用できる高効率多層膜ラミナー型回折格子の設計を行った。多層膜材料としてはこの領域で吸収が小さいCo/Siとした。また、製作工程はまず格子溝を基板上に作成し、その上に多層膜を生成することとした。回折効率計算ソフト「GSOLVER(R)4.2b」を用いて計算した結果、従来のW/C, W/Siなどの多層膜を仮定した場合に比較して高い回折効率(最大で80%)が得られる可能性があることがわかった。


34000358
Crystal growth of SrTiO3 films on H-terminated Si(111) with SrO buffer layers
町田 ユスト; 朝岡 秀人; 山本 博之; 社本 真一
Surface Science 600(3), p.724-728(2006) ; (JAEA-J 00485)

 SrTiO3薄膜はSrOとTiO2原子層を交互に積み重ねた構造を持つ。このことからSi基板上のSrや、SrO層はSrTiO3のテンプレートとなると考えられている。われわれは水素終端Siを用いた歪みの少ない良質なSrOバッファー層を用いてこれまでより低温での薄膜作製に成功するとともにSrOバッファー層とのSrTiO3薄膜のエピタキシャル成長方位関係を明らかにした。


34000359
Estimation of incubation time of cavitation erosion for various cavitating conditions
祖山 均*; 二川 正敏
Tribology Letters 17(1), p.27-30(2004) ; (JAEA-J 00487)

 キャビテーション侵食挙動について、水環境下のさまざまなキャビテーション発生条件で種々の材料に対して評価した。その結果、質量減少を伴う定常期間では時間と質量減少量の関係は、条件及び材料によらずほぼ1.3乗の指数則で表せることがわかった。したがって、定常期間における任意の経過時間に対する質量減少量が1点求まれば、実験式から潜伏期間を推測できることを示した。


34000360
Synthesis of single-phase carbon nitride film prepared by hot implantation
下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘
Vacuum 78(2-4), p.563-568(2005) ; (JAEA-J 00488)

 窒化炭素化合物(CNx)はダイヤモンドに匹敵する超硬物質として近年注目を集めているが、現在のところ合成された材料はさまざまな結合状態を含み単一相からなるCNx合成方法は十分確立していない。そこでわれわれはイオン注入法を用い、単一相CNxの合成を試みた。試料合成は(1)室温で高配向熱分解グラファイト(HOPG)にNx+イオン注入,(2)イオン注入後840℃でアニーリング,(3)800℃に加熱したHOPGにNx+イオン注入の3つの異なる条件で行い、得られた薄膜の電子構造と配向を吸収端近傍X線微細構造(NEXAFS)分光法で調べた。(1)〜(3)の試料はすべてN K端NEXAFSスペクトルの低エネルギー領域に3つのπ*ピークa, b, cを示した。これらのピークはそれぞれ異なる局所構造を持つNサイトに起因する。(1)と(2)で得られた薄膜ではピークa, b, cがほぼ同程度の強度を示したのに対し、(3)で得られた薄膜は最も高エネルギー側のピークcのみが大きく成長し、このピークに対応する局所構造のみが優先的に形成されたことを示す。さらにNEXAFSスペクトルの偏向依存性解析により、グラファイト的な配向を保持している試料中においてピークcが全く偏向依存性を示さなかったことから、対応する局所構造の立体配置がランダム配向していることを明らかにした。これらの結果からわれわれはこの成分が5員環と6員環からなるフラーレン構造CNxに帰属されると結論した。


34000361
J-PARCの先端的中性子実験装置群; 基礎研究から産業応用まで貢献
新井 正敏
エネルギー 39(1), p.52-57(2006) ; (JAEA-J 00489)

 学術基礎研究,産業利用,その他多くの社会のニーズに応えられる十分な強度を持ったJ-PARC中性子源(仮称JSNS)が2008年度より稼動する。これは、現在、我が国に現存する加速器駆動型中性子源である高エネルギー加速器研究機構KENS施設の300倍から1000倍の強度を有するものである。JSNSの活用はこれまで中性子の持つイメージを刷新し、社会にとって非常に有用であるとの考え方を世論にもたらすこととなろう。


34000362
雷活動時に見られる放射線量率の上昇とそのメカニズム
鳥居 建男
原子力eye 51(12), p.44-47(2005) ; (JAEA-J 00491)

 近年、雷雲から放出されると考えられる放射線強度の上昇が雷雲上空や雷雲中、そして地上でも観測されている。本稿では、もんじゅ周辺で観測された冬季雷活動時に発生した線量率上昇を中心にその特徴を述べるとともに、モンテカルロ計算により放射線発生メカニズムについて解説する。


34000363
核融合動力炉実現への課題と展望; 第一壁を中心として
栗原 良一
技術士 (466), p.64-67(2006) ; (JAEA-J 00492)

 21世紀中頃のエネルギー源確保を目指して核融合炉の開発研究が国際協力で行われている。核融合炉は核分裂炉に比べて安全性に優れている反面、超高温プラズマ,14MeV中性子照射,真空,電磁力,液体ヘリウム冷却等,構造物にとっては苛酷な条件に晒される。将来の動力炉第一壁について課題と展望について述べる。


34000364
挿入光源の誤差磁場による軌道変動の高精度補正法の開発
田中 均*; 高雄 勝*; 松下 智裕*; 青柳 秀樹*; 竹内 政雄*; 安居院 あかね; 吉越 章隆; 中谷 健
放射光 19(1), p.27-32(2006) ; (JAEA-J 00494)

 挿入光源の誤差磁場のうち軌道変動を引き起こすダイポール成分を高精度で補正する方法を開発した。その結果、円偏光の極性反転に必要な位相空間において、サブミクロン精度で軌道変動を抑制できること,任意の駆動パターンに対し補正が拡張できることがわかった。


34000365
中性子捕捉療法のための線量評価システム、JCDSの開発
熊田 博明; 山本 和喜; 松村 明*; 中川 義信*
放射線 31(4), p.287-297(2005) ; (JAEA-J 00495)

 原研JRR-4で実施されているホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に対し、患者に付与される線量を数値シミュレーションによって評価するBNCT線量評価システム、JCDSを開発した。JCDSは、患者の医療画像データをもとに頭部3次元モデルを作成し、このモデルを5mmボクセルと10mmボクセルに分割したマルチボクセルモデルに変換し、中性子,光子輸送モンテカルロコード,MCNPを使って線量分布計算を実行するシステムである。円筒水ファントム実験をJCDSで模擬し、実験値とJCDSの計算値との比較による検証を行った結果から、BNCTの線量評価に対しJCDSが十分な評価性能を有していることを確認した。JCDSの実用化によって、JRR-4において熱外中性子ビームによるBNCTが平成15年度から開始された。本報告は、BNCTの線量評価に要求される基本事項をまとめるとともに、JCDSによる線量評価手法と検証結果について報告するものである。


34000366
海外における中性子利用の現状と将来
新井 正敏
放射線と産業 (107), p.40-44(2005) ; (JAEA-J 00496)

 現在と将来における中性子の物質研究における動向を調査し、将来の方向性を示したものである。原子炉利用と加速器駆動の核破砕中性子源について欧州,米国、そしてアジア諸国での展開を示した。


34000367
気泡崩壊誘起音響振動を用いた壊食損傷評価
直江 崇*; 二川 正敏; 小山 智史*; 粉川 広行; 池田 裕二郎
実験力学 5(3), p.280-285(2005) ; (JAEA-J 00499)

 現在、開発が進められているJ-PARCの物質生命科学研究施設では、核破砕中性子源水銀ターゲットから生成される中性子を利用した最先端の研究が行われる。大強度の陽子線入射に伴う熱衝撃により、水銀を充填するターゲット容器と水銀との界面では、急激な圧力変動によりキャビテーションが発生する。このキャビテーションによりターゲット容器内壁は壊食損傷を受ける。この壊食損傷は、薄肉構造であるターゲット容器の交換寿命を決定する因子となる。これまでに、電磁式衝撃圧負荷試験装置を用いて陽子線入射時の圧力変動を想定したキャビテーション壊食試験を行い、水銀中での衝撃壊食挙動を評価した。ここでは、キャビテーションにより生じる微小気泡の崩壊に起因する音響振動を計測し、損傷形態と比較した。その結果、音響振動から損傷の程度を評価するのに有用な情報が得られることを確認し、音響振動によりターゲット容器の健全性を診断できる可能性を示した。


34000368
高温工学試験研究炉(HTTR)の核特性の概要
後藤 実; 野尻 直喜; 中川 繁昭; 藤本 望
高温学会誌 32(1), p.11-15(2006) ; (JAEA-J 00502)

 高温工学試験研究炉(High Temperature Engineering Test Reactor:HTTR)は、高温ガス炉の技術基盤の確立を目的として、日本原子力研究所に設置された、原子炉熱出力30MW,ヘリウムガス冷却−黒鉛減速型の我が国初の高温ガス炉である。これまでに、核特性にかかわる試験として、最小臨界測定,過剰反応度測定,中性子束分布測定等が行われた。試験結果と計算コードを用いた解析結果は、おおむね良い一致を得ており、用いた計算コードの妥当性を検証することができた。これにより、これらの計算コードが将来の高温ガス炉の核設計に有用であることが示された。


34000369
高温工学試験研究炉(HTTR)の概要
飯垣 和彦; 後藤 実; 橘 幸男; 伊与久 達夫; 小森 芳廣
高温学会誌 32(1), p.3-10(2006) ; (JAEA-J 00503)

 日本原子力研究開発機構(旧日本原子力研究所)は、高温ガス炉技術の確立と高度化を図るため試験研究を進めるともに高温工学に関する先端的基礎研究を行うことを目的として、大洗研究開発センターに高温工学試験研究炉(HTTR)を建設した。HTTRは、黒鉛減速,ヘリウム冷却の熱出力30MW,原子炉出口冷却材温度950℃(高温試験運転時)/850℃(定格運転時)の高温ガス炉であり、平成10年11月に初臨界を向かえた後、出力上昇試験等を進めるとともに、運転実績を積み、平成16年4月に原子炉出口冷却材温度950℃を達成した。本報告では、HTTRの研究開発及び建設の経緯,HTTRの概要,HTTRの試験・評価及び今後の開発計画について述べる。


34000370
高温ガス炉の炉内構造物の研究開発
塙 悟史; 柴田 大受; 角田 淳弥; 菊地 孝行; 沢 和弘; 石原 正博; 伊与久 達夫
高温学会誌 32(1), p.36-42(2006) ; (JAEA-J 00504)

 高温工学試験研究炉(HTTR)は、冷却材の炉心出口温度が最高で950℃と非常に高温となるために、炉内構造物には耐熱性が要求される。そのため、炉内構造材としてはセラミックス材料である黒鉛材料がおもに使用されている。一方、黒鉛材料は、構造材料として広く一般的に使用されている金属材料とは異なる特性を有するために、その点を考慮した機器の設計並びに供用期間中にわたる機器の健全性確保が必要である。本報では、高温ガス炉の炉内構造物を構成する黒鉛材料についてその脆性的な特性を考慮した構造設計法を示すとともに、原子炉供用期間中に交換されることのない炉心支持黒鉛構造物の供用期間中の健全性確保の方法を述べた。さらに、新たな原子炉用構造材料として期待されているC/C複合材料について、炉内構造材料としての適用の可能性について示した。


34000371
将来型高温ガス炉の研究開発
高田 昌二; 片西 昌司; Yan, X.; 國富 一彦
高温学会誌 32(1), p.54-62(2006) ; (JAEA-J 00505)

 高温ガス炉ガスタービン発電システムGTHTR300の設計研究を実施した。GTHTR300は、2010年代における新たな発電システムとして期待されている。設計の独創性は、横置き高効率ガスタービン発電システムを採用し、格納容器なし,能動的な炉心冷却なし等簡素化された安全系を採用していることである。これらの設計上の工夫は、既存のガスタービンシステムと、我が国最初の高温ガス炉の設計・運転経験をもとに提案されている。そのため、多くの研究開発要素は要求されていない。これらの特徴以外では、目標コストを達成できるよう、新たに発明した炉心設計,燃料設計,プラント設計を採用している。


34000372
熱化学水素製造法ISプロセス用反応機器の開発
寺田 敦彦; 岩月 仁; 大田 裕之; 野口 弘喜; 石倉 修一*; 日野 竜太郎; 平山 俊雄
高温学会誌 32(1), p.63-68(2006) ; (JAEA-J 00506)

 日本原子力研究所では、熱化学ISプロセス法による水素製造技術の研究開発を進めており、現在、パイロット試験を計画している。パイロット試験の研究課題として、(1)高温のヘリウムガスを熱源とする工業材料製パイロットプラント試験装置による水素製造試験の実証,(2)HTTR-ISシステムを設計するための「解析的な設計体系」の構築と運転制御及び安全評価用動特性コードの検証,(3)機器構造健全性とシステム経済性(熱効率)を向上させる先進的要素技術開発,(4)HTTR-ISシステムの概念検討を抽出した。本報では、パイロット試験の概要を報告する。


34000373
9Cr-ODSフェライト/マルテンサイト鋼燃料被覆管の開発
鵜飼 重治; 皆藤 威二; 大塚 智史; 藤原 優行*; 小林 十思美*
まてりあ 45(1), p.48-50(2006) ; (JAEA-J 00507)

 金属学会で毎年応募される新技術として、JAEAが開発した9Cr-ODSフェライト/マルテンサイト鋼被覆管について紹介した。組織制御技術を独自に開発することにより、世界で初めて冷間圧延による被覆管製造を可能にするとともに、フェライト系耐熱鋼として世界最高の高温強度を有する9Cr-ODSフェライト/マルテンサイト鋼被覆管を実用化した。


34000374
よくわかる核融合炉のしくみ,11; 核融合炉の安全性
大平 茂
日本原子力学会誌 47(12), p.839-845(2005) ; (JAEA-J 00509)

 核融合炉の安全上の特徴について、(1)利用する核反応及びそのエネルギー制御,(2)内蔵する放射性物質,(3)安全確保の要点の3点に分け説明した。(1)については、原理的に暴走のないこと,核融合反応を起こすプラズマの保持は、限られた狭い範囲でのみ可能であることが特徴である。(2)については、易動性放射性物質としてトリチウム及び放射化ダストが存在し、また、構成材の放射化も安全上考慮すべきものである。(3)については、易動性の放射性物質の環境への放出抑制のための設備を安全上重要な設備と位置付け、それらの信頼性を高めることが重要であり、放射性物質内蔵機器の構造強度を確保することにより「事故」の発生を防止することが可能である。ITERでは、さらに、前記の特質にもかかわらず、機器が壊れたことをあえて仮想して、漏れ出た放射性同位元素が周辺公衆への放射線影響を緩和する設備を設けている。核融合炉で出る放射性廃棄物の処理・処分については、ITERの場合では廃棄体は、すべて低レベル廃棄物で、国の原子力委員会で定めた低レベル廃棄物の処分方法に従う。その他、将来の核融合炉の安全確保において、考慮すべき点を挙げた。


34000375
原子力知識マネジメントとはなにか?; その現状と課題
柳澤 和章; 米澤 稔; 澤田 哲生*
日本原子力学会誌 48(2), p.113-118(2006) ; (JAEA-J 00511)

 知識にはデータベースやマニュアルといった形になる知識(明確な知識)と個人やコミュニティーで保存されている知識(暗黙の知識)がある。本解説では、団塊世代につきまとう原子力加齢問題とその救済を試みる原子力知識管理(NKM),最近続けて開催されたNKM国際会議でのトピックス等を中心に世界の動向を解説する。


34000376
放射線照射によるポリ乳酸の耐熱性改善
長澤 尚胤
日本接着学会誌 41(10), p.420-426(2005) ; (JAEA-J 00514)

 植物由来であるポリ乳酸(PLA)は、機械的特性や透明性などが良いことから一番実用化に近い材料であるが、高い融点を有するが約60℃を超える温度域で熱変形し、強度が低下するという欠点がある。放射線橋かけ技術によるPLAの耐熱性改善について検討した。当初、PLAは、放射線照射により分子鎖が切断される放射線分解型の材料であるため、橋かけを助ける助剤を用いた放射線橋かけ法の研究を進めた。1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA),トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA),トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が有効であり、3%TAICを用いて最も橋かけしたPLAが約60℃でも熱変形せず、融点以上でも形状を保持した。耐熱性が改善されたPLAは高温に耐える熱収縮材や透明性を保持した射出成形品に応用開発された。良好な生体適合性を有するPLAを放射線橋かけして再生医療材料に応用するため、照射時の温度を変えることによって、橋かけに必要なTAIC濃度を1%に低減化でき、1/5に低線量化できた。この開発した技術によって、プラスチック廃棄物処理問題を解決し、資源循環型社会を構築するために、生分解性プラスチックの利用が増えることが期待できる。


34000377
高エネルギー粒子輸送解析のための損失粒子計測
磯部 光孝*; 篠原 孝司
プラズマ・核融合学会誌 80(12), p.1036-1043(2004) ; (JAEA-J 00515)

 磁気閉じ込めプラズマの損失高エネルギーイオン計測について記述する。プラズマ中における高エネルギー粒子の計測は、系内に閉じ込められた状態を計測するものと、系外へ損失してくるものを測定するものとに分けられる。本講座で述べる損失粒子計測とは、プラズマ外へ損失してくる高速イオンを真空容器内で、エネルギー並びに時間分解よく直接的に検出し、得られた損失高速イオンデータの解析から、高速イオンの閉じ込めの様子や損失過程について調べようというものである。初めに代表的な計測法として半導体検出器,シンチレータプローブ,ファラデーカップ型プローブの基本原理の説明を行い、次に具体的な事例を紹介する。具体的な実験事例としてTFTR, JFT-2M, CHS, W7-ASのものを紹介する。


34000378
国際核融合材料照射施設(IFMIF)の設計と開発の現状,3;ターゲット系の開発
中村 博雄; 堀池 寛*; 近藤 浩夫*; 田中 知*; 深田 智*
プラズマ・核融合学会誌 82(1), p.16-20(2006) ; (JAEA-J 00517)

 本論文は、国際核融合炉材料照射施設(IFMIF)の液体リチウムターゲットの開発の現状についてまとめた。最初に、リチウムターゲットの最近の設計について述べた。さらに、液体リチウム流動実験では、自由表面の波高測定結果について述べた。さらに、リチウム中の窒素制御では、トラップ材としてFe-Ti合金を用いた結果について述べた。また、トリチウム制御では、Li-Y-H2系とY-H2系の水素吸収特性について述べた。


34000379
国際核融合材料照射施設(IFMIF)の設計と開発の現状,4; 加速器系の開発
前原 直; 渡邊 和弘
プラズマ・核融合学会誌 82(1), p.21-25(2006) ; (JAEA-J 00518)

 IFMIFに向けて多極磁場型イオン源とECRイオン源を開発し、ビーム特性について比較した。2つのイオン源ともに、90%以上のプロトン比を生成できた。ビームエミッタンスについては、ECRイオン源は多極磁場型イオン源より若干高い値を示したが、低ガス圧運転領域において多極磁場型イオン源より3倍高いパワー効率が得られた。RFQライナックでは,同軸導波管を採用したマルチ・ループアンテナによるRF入力結合系の開発を行っている。マルチ・ループアンテナを採用した場合、アンテナ構造により各キャビティでの位相差やパワーバランスが影響を受ける。このため直径10mmのパイプを用いたモックアップ・ループ・アンテナを製作し、位相差及びパワーバランスを低電力試験により測定した。この結果、ループ・アンテナの挿入距離を3cm程度に短くすると位相差を小さくすることができることが判明した。マルチ・ループアンテナの試験では、4ループ・アンテナよるパワーバランスが、他の単一入射及び2ループ・アンテナによるパワーバランスに比べて最も優れていることが判明した。


34000380
国際核融合材料照射施設(IFMIF)の設計と開発の現状,5; 中央制御/共通機器及び建家関連施設
杉本 昌義
プラズマ・核融合学会誌 82(1), p.26-27(2006) ; (JAEA-J 00519)

 IFMIFの中央制御/共通機器系は要求される性能を計画どおり安全に達成するため、各サブシステムごとに用意される制御系インターフェースを通じ、制御・監視する役割を担う。安全確保の目的で直接信号ラインを配線する一方、通常の制御はLANを通じて行なう。建家・ユーティリティーを含む通常施設は250×200mの敷地に配置される。所要電力50MVA,加速器及びターゲットの冷却能力は各27MW,13MWである。


34000381
Enhancement of plant growth activity of irradiated chitosan by molecular weight fractionation
Luan, L. Q.*; 長澤 尚胤; 玉田 正男; 中西 友子*
Radioisotopes 55(1), p.21-27(2006) ; (JAEA-J 00521)

 酢酸水溶液に溶解した10%キトサン水溶液にγ線を25〜200kGy照射した。これらの放射線分解産物は、オオムギに対して高い植物生育促進効果を示し、未照射キトサンは生育阻害効果を示した。最も効果があった100kGy照射したキトサン分解産物を分子量分画し、分子量1〜3kDaのフラクションがオオムギ,ダイズの植物生育促進効果を示すことがわかった。さらに、生育3か月後のダイズの収量を15.8%も増加させる効果を示した。このフラクションの活性は、分離前の濃度(50mg/L)よりも低い濃度(20mg/L)で生育することが確認され、また、植物の防御作用に働く植物ホルモンのファイトアレキシンに関与する酵素フィニルアラニンアンモニアリアーゼとキチナーゼの活性をそれぞれ87%, 186%も増加させた。これらの結果から、放射線照射キトサン分解産物で得られた本フラクションは植物生育の作用のみならず、カビなどの病原菌に対する防御増強の作用もあることが示唆された。


34000382
光科学研究の推進に関する最近の活動
加藤 義章
レーザー研究 34(2), p.197-200(2006) ; (JAEA-J 00522)

 光科学研究の推進に関し、2005年に実施された文部科学省及び日本学術会議における活動を紹介する。文部科学省より「光・光量子科学技術の推進方策に関する検討会」報告書が発表され、科学技術振興事業団で戦略的創造研究推進事業に光研究課題が新設された。また日本学術会議は、「新分野の創成に資する光科学研究の強化とその方策について」を第19期学術会議声明として発表した。


34000383
世界の陽子加速器開発の動向; 中性子発生源として脚光
新井 正敏
Science & Technology Journal 14(9), p.18-19(2005) ; (JAEA-J 00523)

 陽子加速器は、1960年代,70年代に原子核物理学研究の目的で多くが建設された。しかしながら、その多くは、80年代までに利用の目的を果たし、現役を引退している。一方、加速器の発達と原子核物理学の発展は、それまで予想してこなかった研究分野に加速器利用の裾野を広げることとなった。それらの一つは、放射光の利用による物質科学の研究であったし、また、電子線形加速器で生成した中性子による物質科学の研究であった。我が国のこの分野への参入は、世界的にもっとも早い。1960年代に東北大学の核理学研究施設に建設された電子線形加速器を利用し、木村一治先生が中性子の発生を試み、1970年代にはそれを利用した中性子散乱研究を始めた。同様の研究が英国ハーウエル原子力研究所やカナダでも始まった。ここに、我が国はパルス中性子の世界のフロンティアーとして歩み始めた。


34000384
「蛋白質がわかる」ための理論と計算の役割
郷 信広; 米谷 佳晃*
生体の科学 56(6), p.626-631(2005) ; (JAEA-J 00524)

 「蛋白質がわかる」ための理論と計算の役割について解説した。蛋白質の立体構造は、アミノ酸配列によって一意的に決まる。この背景にある仕組みを解明するという問題に関して、著者の一人は、かつて蛋白質の天然状態は整合性原理という原理を満たしていることが本質であることを指摘した。蛋白質のアミノ酸配列が生物進化の所産であることが、この原理成立の背景にある。理論は、このように問題の基本的構造を明らかにする役割を担っている。そして、近年、計算によって蛋白質を理解することが可能な時代に入りつつある。計算により蛋白質を理解するためには、蛋白質の構造区間のサンプリングと蛋白質を記述するポテンシャルエネルギー関数の2つの面の精度の向上が必要である。これらの2点について詳しく述べられている。


34000385
大電力ジャイロトロンの定常運転に向けた改良
南 龍太郎; 春日井 敦; 高橋 幸司; 小林 則幸; 假家 強*; 満仲 義加*; 林 健一*; 坂本 慶司
信学技報 105(498), p.39-42(2005) ; (JAEA-J 00525)

 日本原子力研究開発機構では、核融合プラズマの加熱・電流駆動のための大電力ミリ波源ジャイロトロンの開発を行っている。今回、安定な長パルス動作を妨げる問題点の対策として、モード変換器放射器内部形状を解析的に最適化し、ビーム電流生成部のヒーターの入力パワーをプレプログラミング制御によりブーストすることで、電流減少を補償する実験を行った。その結果、これまでに、0.13MW/600秒,0.2MW/550秒,パルス幅1000秒の安定な電子ビーム運転を実証している。


34000386
時効処理316LNステンレス鋼の4Kでの機械的特性に及ぼすN, Nb, P, Cの影響
石尾 光太郎*; 濱田 一弥; 中嶋 秀夫
鉄と鋼 92(1), p.30-35(2006) ; (JAEA-J 00526)

 国際熱核融合実験炉(ITER)のトロイダル磁場(TF)コイルのジャケット材には、316LNステンレス鋼が使用される。また、超伝導線材として、Nb3Snが使用されるため、ジャケットには、650℃,240時間の超伝導生成熱処理が施される。一般的にステンレス鋼がこのような熱処理(時効処理)を受けると、結晶粒界が鋭敏化し、低温靱性が低下する。その靱性低下を抑制するためには、少量のNb添加が有効であるとの報告があるが、Nb単独の効果であるか、その他の不純物、特にPの効果なのか不明な点が多い。そこで本研究では、事項処理した316LNステンレス鋼の4Kにおける機械的特性に及ぼすN, Nb, P及びCの影響について調査した。また、将来、Nb3Snに代わりNb3Alが使用されることが予想されるため、時効条件は二種類とした。その結果、Nbは靱性低下の抑制にはあまり寄与せず、P, Cの効果が大きいことが新しい知見として得られた。また、得られた結果より、工業レベルのP量(0.024%)を有する316LNでは、C量を0.01%以下、N量を0.18%以下に抑えることが重要であることがわかった。


34000387
316LNステンレス鋼の機械的特性に及ぼす窒素(N)の影響
石尾 光太郎*; 中嶋 秀夫
鉄と鋼 92(2), p.90-96(2006) ; (JAEA-J 00527)

 国際熱核融合実験炉(ITER: International Thermonuclear Experimental Reactor)のトロイダル磁場(TF)コイル容器では、316LN鋼が使用される。ステンレス鋼鍛鋼品であるSUS F 316LN鋼の窒素(N)成分範囲は0.10〜0.16%、熱間圧延板であるSUS 316LN鋼のN成分範囲は0.12〜0.22%であり、4Kにおける強度及び靱性は、そのN量の影響を顕著に受けるため、広範囲のN量の違いによる4K機械的特性を把握することは、316LN鋼を使用するうえで非常に重要である。これまで、SUS 316鋼の炭素(C)+窒素(N)量を変化させ、それらの4K引張挙動について調査した研究はあるが、C量を0.03%以下に低く抑え、N量のみを変化させた316LNステンレス鋼の引張挙動についてはほとんど研究されていない。そこで本研究では、広範囲にわたるN量を有する316LNステンレス鋼の基礎データを得ることを目的として、N量のみを変化させた316LNステンレス鋼の極低温から室温までの機械的特性に及ぼすNの影響を調査した。この結果、0.2%耐力に対する本実験結果のN寄与は316鋼とほぼ同等であることがわかった。


34000388
Genomic confession of Deinococcus radiodurans; It started out as a radiation resistant organism
Haitham, S.; 三友 宏志*; 鳴海 一成
Viva Origino 33(4), p.243-257(2005) ; (JAEA-J 00528)

 放射線抵抗性細菌デイノコッカス・ラジオデュランスのDNA修復能欠損株の解析及び野生株の遺伝子発現プロファイルの解析から、放射線耐性と乾燥耐性という形質の相関性が明らかにされている。また、電離放射線耐性獲得の地球環境要因が不明のため、放射線抵抗性細菌の放射線耐性は、乾燥耐性を獲得した際の副次的な効果であると示唆されている。われわれは、デイノコッカス・ラジオデュランスのゲノム情報配列解析結果を階層化し、上記の仮説の妥当性を評価した。解析結果をもとに、放射線耐性の乾燥耐性起源説とは別に、われわれは、放射線耐性は初期地球環境の回復力を生体分子が反映したものであり、一方、乾燥耐性は始世代に陸地で生物細胞が繁殖した証であるという調和モデルを提唱する。


34000389
Detection of small defects in magnetic SG tubes using multiple vertical and horizontal remote field Eddy currents coils
Mihalache, O.; 山口 智彦; 上田 雅司; 山下 卓哉; 伊達 公司*
第9回表面探傷シンポジウム講演論文集, p.57-62(2006) ; (JAEA-J 00530)

 リモートフィールド渦電流法を用いたマルチコイルを蒸気発生器伝熱管に適用する際の検出性能について評価する。筆者らが開発した3次元の有限要素法渦電流解析コードを使って、微小キズに対して検出感度の高い垂直コイルと水平コイルからなるマルチタイプの検出コイルの解析を行った。さらに解析にて得られた結果に基づき、マルチコイルを試作し、検証試験を行った。試験の結果、従来型のボビンタイプのコイルと検出性の比較を行うと解析で得られた通り、試作したマルチコイルは、微小キズの検出性において優れた特性を持ち、リフトオフの影響も少ないことがわかった。


34000390
Present status of in-pile IASCC growth tests at JMTR
加治 芳行; 宇賀地 弘和; 中野 純一*; 松井 義典; 川又 一夫; 塚田 隆; 永田 暢秋*; 堂崎 浩二*; 瀧口 英樹*
HPR-364, Vol.1 (CD-ROM), 10p.(2005) ; (JAEA-J 00538)

 照射誘起応力腐食割れ(IASCC)は、軽水炉のステンレス鋼製構造物の長期運転において、重要な課題の一つである。IASCCの研究分野では、照射下でのSCC試験を実施することは大変困難なため、おもに照射材を用いたPIEを実施している。したがって、照射下SCC試験の重要な技術として、負荷応力レベル,水化学,照射条件等の効果に関する情報を得るために試験技術の開発を行ってきた。本報告では、開発した種々の技術、特に試験片の荷重制御,き裂進展モニタリング技術などについて述べ、JMTRにおける照射済み材料を用いた照射下IASCC進展試験の現状についても述べる。


34000391
Research and development on lead-bismuth technology for accelerator-driven transmutation system at JAERI
倉田 有司; 菊地 賢司; 斎藤 滋; 鎌田 勤也*; 北野 照明*; 大井川 宏之
Proceedings of 4th International Workshop on the Utilisation and Reliability of High Power Proton Accelerators , p.267-277(2004) ; (JAEA-J 00539)

 加速器駆動システムのための鉛ビスマス技術に関する研究開発が行われてきた。酸素制御なしで3000h、JLBL-1を用いた316SSの結果より、高温部から低温部への質量移行が観察された。電磁ポンプの円管流路に沈着した鉛ビスマスとFe-Cr結晶粒が流路閉塞と流量の低下を引き起こしたことがわかった。ループシステムの改良はループの運転によい結果をもたらした。MES(三井造船)ループを用いた10-5wt.%酸素濃度の1000h試験では、著しい腐食/エロージョンは観察されなかった。静的腐食試験の結果は、450℃では鋼材中Cr量の増加とともに腐食深さは減少するが、550℃では316SS, JPCAの腐食深さはNi, Crの溶出,Pb, Biの浸入により著しい増加を示す。Si添加鋼は550℃で優れた耐食性を示す。


34000392
Design study around beam window of ADS
大井川 宏之; 辻本 和文; 菊地 賢司; 倉田 有司; 佐々 敏信; 梅野 誠*; 西原 健司; 斎藤 滋; 水本 元治; 高野 秀機*; 中井 公一*; 岩田 東*
Proceedings of 4th International Workshop on the Utilisation and Reliability of High Power Proton Accelerators , p.325-334(2005) ; (JAEA-J 00540)

 原研は、マイナーアクチニド(MA)の効果的な核変換を目的とした加速器駆動未臨界システム(ADS)の研究開発を進めている。原研が提案するADSは、熱出力800MWの鉛ビスマス冷却タンク型未臨界炉でMAとプルトニウムを混合した窒化物燃料を装荷する。鉛ビスマスは入射陽子ビームによる核破砕反応で中性子を発生させるターゲットとしても使用される。本研究では、ビーム窓周辺の設計に焦点を絞ったADSの成立性について検討した。ホットスポット燃料ピンの冷却性確保のために、ターゲット領域とダクトレス燃料集合体の間に隔壁を設けた設計とした。また、ビーム窓の冷却を効果的に行うように、流調ノズルを設けた。熱流動解析の結果、最大ビーム出力30MW時においても、ビーム窓の外表面最高温度を摂氏500度以下に抑制できることがわかった。外圧とビーム窓内の温度分布の結果生じる応力も、許容制限値以下となった。


34000393
Concept of transmutation experimental facility
大井川 宏之; 佐々 敏信; 菊地 賢司; 西原 健司; 倉田 有司; 梅野 誠*; 辻本 和文; 斎藤 滋; 二川 正敏; 水本 元治; 高野 秀機*
Proceedings of 4th International Workshop on the Utilisation and Reliability of High Power Proton Accelerators , p.507-517(2005) ; (JAEA-J 00541)

 J-PARC施設の一つとして、原研は核変換実験施設(TEF)の建設を計画している。TEFは、核変換物理実験施設(TEF-P)とADSターゲット試験施設(TEF-T)で構成される。TEF-Pは、600MeV, 10Wの陽子ビームを入射できる臨界実験施設である。TEF-Tは、600MeV, 200kWの陽子ビームを用いる材料照射施設で、鉛ビスマスターゲットを設置するが、核燃料を使った中性子増倍は行わない。本報告では、実験施設の目的,概念設計の現状,想定する実験項目を示す。


34000394
Spallation terget materials development
菊地 賢司; 川合 將義*; 池田 裕二郎
Proceedings of 6th International Meeting on Nuclear Applications of Accelerator Technology (AccApp '03) (CD-ROM) , p.17-25(2004) ; (JAEA-J 00542)

 中性子散乱用の水銀,長寿命放射性廃棄物の核変換用の鉛ビスマス,中性子散乱用のバックアップ及び核変換用のもう一つの選択肢としてタングステン固体ターゲットが開発されている。いずれも入射する陽子ビーム出力はMW級である。そこで、それぞれのターゲット開発の現状と開発課題を述べた。


34000395
Development of a simple reprocessing process using selective precipitant for uranyl ions; Engineering studies for precipitating and separating systems
山崎 和彦*; 近沢 孝弘*; 田巻 喜久*; 菊池 俊明*; 森田 泰治; 川田 善尚*; 峯尾 英章; 古志野 伸能*; 浅沼 徳子*; 原田 雅幸*; 池田 泰久*
Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM) , 4p.(2005) ; (JAEA-J 00548)

 NCP(N-シクロヘキシル-2-ピロリドン)がウラニルイオンと選択的に沈殿を生成するという極めて特異な性質と沈殿物の取扱いの容易な点を利用し、使用済燃料溶解液中の大部分のウラニルイオンを選択的に沈殿させ、さらにプルトニウムをウランとともに沈殿させる、NCP沈殿法のみによる簡易再処理プロセスの開発研究を実施した。本発表では、実機概念をもとに設計・製作した沈殿生成槽,沈殿分離機の操作性,性能試験の結果について述べる。


34000396
Separation of Np from U and Pu using a salt-free reductant for Np(VI) by continuous counter-current back-extraction
伴 康俊; 朝倉 俊英; 森田 泰治
Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM) , 5p.(2005) ; (JAEA-J 00549)

 Purex工程におけるNp移行挙動管理のため、Np(VI)を塩フリー試薬でNp(V)に還元してU及びPuから分離する手法が考えられている。Np(VI)及びPu(IV)に対する還元反応速度の観点から、アリルヒドラジンはNp(VI)の選択的還元剤として期待が持たれる。アリルヒドラジの適用性を検討するために、3段のU-Pu回収段,7段のNp分離段からなるミニミキサセトラを用いたNp(VI)の連続逆抽出試験を行った。実験結果は供給液中に含まれていたNpのうち少なくとも90%がU及びPuから分離されたことを示しており、アリルヒドラジンがNp(VI)の選択的還元剤として有効であることが確認された。


34000397
Development of a simple reprocessing process using selective precipitant for uranyl ions; Precipitation behaviors of plutonium and other transuranium elements
森田 泰治; 川田 善尚*; 峯尾 英章; 古志野 伸能*; 浅沼 徳子*; 池田 泰久*; 山崎 和彦*; 近沢 孝弘*; 田巻 喜久*; 菊池 俊明*
Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM) , 6p.(2005) ; (JAEA-J 00550)

 NCP(N-シクロヘキシル-2-ピロリドン)がウラニルイオンと選択的に沈殿を生成するという極めて特異な性質と沈殿物の取扱いの容易な点を利用し、使用済燃料溶解液中の大部分のウラニルイオンを選択的に沈殿させ、さらにプルトニウムをウランとともに沈殿させる、NCP沈殿法のみによる簡易再処理プロセスの開発研究を外部機関との連携で実施した。原研では、プロセス成立性の鍵を握るPu及び他の超ウラン元素の沈殿挙動について実験的に調べ、その結果プロセス成立性について十分な見通しを得た。


34000398
Parametric survey on possible impact of partitioning and transmutation of high-level radioactive waste
大井川 宏之; 横尾 健*; 西原 健司; 森田 泰治; 池田 孝夫*; 高木 直行*
Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM) , 6p.(2005) ; (JAEA-J 00551)

 高レベル放射性廃棄物の分離変換技術を導入することによる地層処分場の面積低減効果を、燃料組成や再処理までの冷却期間をパラメータとした幾つかの場合について考察した。マイナーアクチノイド(MA)をリサイクルすることによる処分場面積の低減効果は、MOX軽水炉の使用済燃料を長期間冷却する場合において顕著であることがわかった。これは、長寿命で発熱性の高い241Amが蓄積していることに起因する。MAに加えて核分裂生成物を分離することで、UO2燃料,MOX燃料ともに70-80%の処分場面積低減が期待でき、この効果は再処理及び群分離までの冷却期間には依存しないことがわかった。


34000399
Present status and future perspective of research and development on partitioning and transmutation technology at JAERI
大井川 宏之; 湊 和生; 木村 貴海; 森田 泰治; 荒井 康夫; 中山 真一; 西原 健司
Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM) , 6p.(2005) ; (JAEA-J 00552)

 原研では、原子力委員会により2000年に行われた分離変換技術に関するチェック・アンド・レビューの結果に基づき、階層型燃料サイクル概念に関する研究開発を実施してきた。このうち、群分離工程に関しては、4群群分離概念の構築に続き、より革新的な概念であるARTISTプロセスの研究を進めた。核変換用燃料に関しては、NpN, AmN等のマイナーアクチノイド窒化物燃料の調製を行い、物性測定等を実施した。照射後燃料を再処理する方法としては、高温化学処理技術の研究を実施した。加速器駆動核変換システムに関しては、加速器,鉛ビスマス,未臨界炉心についての研究開発を実施するとともに、核変換実験施設を第II期として含む大強度陽子加速器プロジェクト(J-PARC)の建設に着手した。さらに、放射性廃棄物の処理・処分に対する分離変換技術の導入効果を検討した。


34000400
Research and development program on accelerator driven subcritical system in JAERI
辻本 和文; 大井川 宏之; 大内 伸夫; 菊地 賢司; 倉田 有司; 水本 元治; 佐々 敏信; 西原 健司; 斎藤 滋; 梅野 誠*; 田澤 勇次郎
Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM) , 6p.(2005) ; (JAEA-J 00553)

 原研では、マイナーアクチノイド等の放射性廃棄物を核変換することを目指した加速器駆動核変換システム(ADS)の開発を進めている。ADSの工学的成立性検証に必要な知見と要素技術を得ることを目的に、原研では2002年から総合的な研究開発プログラムを実施してきた。2005年までのプログラム第1期では、原研が主導して多くの研究所,大学,企業が参加して、以下に示すADS特有の3つの技術分野にわたって、研究開発を進めてきた。(1)超伝導線形加速器,(2)核破砕ターゲット及び炉心冷却材としての鉛ビスマス共晶合金技術,(3)未臨界炉心の設計と炉物理。本報告では、プログラムの概要及び得られた成果についてまとめる。


34000401
Development of the ERIX process for reprocessing spent FBR-MOX fuel; A Study on minor actinides separation process
星 陽崇*; Wei, Y.*; 熊谷 幹郎*; 朝倉 俊英; 森田 泰治
Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM) , 6p.(2005) ; (JAEA-J 00554)

 核燃料サイクルの開発において、再処理プロセスの経済性及び効率性の向上は最も重要な課題の一つである。特に将来の高速増殖炉システムの確立には、現行のPurexプロセスに比べコンパクトで放射性廃棄物量の少ない再処理プロセスの開発が強く望まれている。著者らは使用済みFBR-MOX燃料の再処理プロセスとして、新規湿式再処理プロセス「ERIXプロセス」を提案している。本プロセスは(1)陰イオン交換体によるPd除去工程,(2)電解還元による原子価調整工程,(3)陰イオン交換体によるU, Pu, Npの回収工程,(4)マイナーアクチニド分離工程から構成される。本研究ではマイナーアクチニド分離工程について検討した。


34000402
Stress corrosion cracking growth behavior of in-core materials
加治 芳行
Proceedings of KNS-AESJ Joint Summer School 2005 for Students and Young Researchers, 2 , p.221-228(2005) ; (JAEA-J 00556)

 炉内構造物に対しては、主な研究項目は、BWRの炉心シュラウドや再循環系配管における低炭素ステンレス鋼の粒界型応力腐食割れ(IGSCC)と中性子やγ線,高温水による腐食及び応力の同時作用効果により発生する照射誘起応力腐食割れ(IASCC)である。本講演では、IGSCC及びIASCCの機構論的理解のための基礎的な研究,経済産業省の国家プロジェクトの一環として実施している照射後IASCC試験データに基づくBWRプラントのIASCC評価技術開発及び照射下IASCC試験の現状と主な成果について紹介する。


34000403
再処理特別研究棟の廃止措置実績と経験
小林 忠義
第17回原子力施設デコミッショニング技術講座テキスト , p.103-124(2006) ; (JAEA-J 00559)

 再処理特別研究棟は、我が国最初の工学規模の再処理試験施設として建設され、JRR-3の使用済燃料を用いた再処理試験に成功した施設である。その後、当時の原子燃料公社(後の動力炉・核燃料開発事業団、元:核燃料サイクル開発機構,現:日本原子力研究開発機構)の東海再処理工場の運転要員訓練施設として使用された後、シャットダウンし、以降、再処理高度化研究,軽水炉燃料等の燃焼率測定及び再処理廃液の処理技術開発を行う核燃料物質使用施設として使用され、重要な役割を担ってきた。近い将来、我が国において必須となる再処理施設,核燃料物質使用施設等の廃止措置に備え、核燃料取扱施設の解体技術の確立に資することを目的に、当時の科学技術庁(現:文部科学省)からの電源開発促進対策特別会計法に基づく受託事業として、「再処理施設解体技術開発」を所期の目的を終了した再処理特別研究棟を活用して平成2年度から進めている。これらの再処理特別研究棟を活用して、これまで実施してきた解体技術調査,解体技術開発及び解体実地試験等の成果実績及び経験を紹介する。


34000404
新型転換炉ふげん発電所の廃止措置
森下 喜嗣
第17回原子力施設デコミッショニング技術講座テキスト , p.55-80(2006) ; (JAEA-J 00560)

 新型転換炉ふげん発電所では、廃止措置に向けた準備として、燃料や重水の搬出,廃止措置計画,廃止措置に必要な原子炉本体解体技術,重水・トリチウム技術,解体計画の評価技術等の技術開発を進めており、これらの準備状況や技術開発の状況等を紹介する。


34000405
保障措置環境試料分析法の開発状況
間柄 正明; 臼田 重和; 桜井 聡; 渡部 和男; 江坂 文孝; 平山 文夫; Lee, C. G.; 安田 健一郎; 河野 信昭; 伊奈川 潤; 鈴木 大輔; 福山 裕康; 江坂 木の実; 井口 一成; 市村 誠次; 小野寺 貴史; 國分 陽子; 宮本 ユタカ; 大図 章; Chai, J.; Zhang, X.
第26回核物質管理学会(INMM)日本支部年次大会論文集 , p.157-164(2005) ; (JAEA-J 00562)

 原研では、国内及び国際保障措置制度の堅持に貢献するため、環境試料分析のための極微量核物質の分析法を開発している。スワイプ試料の基本技術(バルク及びパーティクル分析)については開発を終了し、2003年にIAEAからネットワーク分析所として認証された。現在、国内試料の分析を行うとともにIAEAネットワーク分析所の一員として活動している。さらに、分析適応範囲を広げるとともに精度の向上を図るため、新たな分析法の開発を進めている。バルク分析については、分子イオンの生成を抑えるための化学分離法及び測定法を検討している。パーティクル分析法については、二次イオン質量分析法を用いたマイナーアクチノイドの分析やフィッショントラック−表面電離型質量分析法(FT-TIMS)を開発している。また、蛍光エックス線を用いたスクリーニング法の開発も開始したので、概要と現状について報告する。


34000406
保障措置環境試料分析のためのFT-TIMS法の開発状況
Lee, C. G.; 井口 一成; 伊奈川 潤; 鈴木 大輔; 江坂 文孝; 間柄 正明; 桜井 聡; 渡部 和男; 臼田 重和
第26回核物質管理学会(INMM)日本支部年次大会論文集 , p.171-178(2005) ; (JAEA-J 00563)

 フィッショントラック(FT)−表面電離質量分析(TIMS)法によるパーティクル分析法は、二次イオン質量分析計では測定が難しい粒径1μm以下の核分裂性物質を含む微細粒子に対しても同位体比分析が可能であることから、保障措置上有効な分析手法とされている。われわれがこれまでに開発したFT-TIMS法では、核分裂性物質を含む粒子をFT検出器の中に閉じこめるので、高い検出効率,試料調製の簡便さ,ウラン濃縮度別検出の可能性などの長所がある。しかし、検出器のエッチングの際、ウラン粒子の一部が溶解することがある。そこで、粒子保持層とFT検出器部を分離した2層式FT試料調製法の開発を行っている。この方法では粒子層と検出器の一端を固定することにより、従来の2層式試料で見られた検出器のFTと目的粒子との位置ずれを解決し、目的粒子の検出効率を向上させた。最近のFT-TIMS分析法の開発状況について紹介する。


34000407
高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価
内藤 守正
第7回環境放射能研究会要旨論文集 , 2p.(2006) ; (JAEA-J 00564)

 地表環境での放射性物質の測定にかかわる専門家が一堂に会する高エネルギー加速器研究機構の環境放射能研究会では、今年度「産業活動と環境放射能研究」というテーマで開催される。このため同分野の専門家に対して、高レベル放射性廃棄物対策としての地層処分の概念とその安全確保対策について紹介したうえで、その中心となる地層処分安全評価に特徴的な点について、特に地表での放射性物質の移行に関する取扱いに焦点をあてながら解説する。


34000408
広範なエネルギー領域をカバーする中性子検出器の開発
久米 恭*; 大谷 暢夫*; 玉川 洋一*
平成16年度財団法人若狭湾エネルギー研究センター研究成果報告集,7 , p.29-32(2005) ; (JAEA-J 00566)

 熱から速領域にわたる広範なエネルギー領域を測定可能な中性子検出器を開発した。検出器の主要部分は10Bを混入させた液体あるいはプラスチックシンチレータで構成されている。熱中性子に対しては(n, α)反応により測定感度が高く、速中性子に対しては検出器自身が減速材としての役割を持つため、減速信号と捕獲信号を分離して検出可能である。また同時に、γ線検出器として使用される無機シンチレータについて、中性子検出器としての性能評価も継続して実施した。


34000409
γ線照射によって生成する安定ラジカルの計測
遠藤 伸之*
平成16年度財団法人若狭湾エネルギー研究センター研究成果報告集,7 , p.33-36(2005) ; (JAEA-J 00567)

 電子スピン共鳴法を用いた放射線線量計測法の確立を目指し、基礎的な研究としてカルシウム塩粉末にγ線を照射することで生成する安定ラジカルをESR装置で測定し、精密な信号解析を行い、高感度化を目指した線量評価特性の調査を実施した。


34000410
電力用油入変圧器における無電圧タップ切換器の不具合対応
大森 栄和; 栗原 研一; 松川 誠; 寺門 恒久; 古川 弘
平成17年度分子科学研究所技術研究会報告集(CD-ROM) , 4p.(2006) ; (JAEA-J 00568)

 大型核融合実験装置JT-60用電源設備の油入変圧器の油中ガス分析にて、1台の変圧器に管理値を超える可燃性ガスの発生が認められた。この変圧器(28MVA, 11kV/17kV)は電圧調整用の無電圧タップ切換器を備えており、タップ切換器接触部分の局所的な過熱によって可燃性ガスが発生した。このタップ切換器は20年以上切換えることなく運転され、そのことが不具合につながった一つの要因と考えられる。この不具合の現象,推定原因,対策について報告する。


34000411
粗さ計による黒鉛タイルの段差測定手法の開発,3
八木澤 博; 宮 直之; 新井 貴
平成17年度分子科学研究所技術研究会報告集(CD-ROM) , 4p.(2006) ; (JAEA-J 00569)

 臨界プラズマ試験装置(JT-60)の真空容器内に設置されている多数のプラズマ対向壁(黒鉛タイル)は、プラズマによる真空容器壁面の損傷を防ぐ目的から設置されている。ダイヤルゲージ等を用いたプラズマ照射後の黒鉛タイルの測定では真空容器部位により損耗・堆積が確認されている。しかし、ダイヤルゲージ等を用いた損耗・堆積の測定は非常に手間・時間のかかる作業であり、広範囲な測定には人力的に無理がある。そこでより容易でかつ高精度に測定することを目的に粗さ計による新たな測定手法の開発を行うことになった。前回までに、この損耗・堆積の測定を行うために、測定用の基準面(溝)を表面に持つ黒鉛タイルを製作し、フライス盤のヘッド部にあるスピンドルの先端に溝の深さ方向分だけオフセットした2台の粗さ計を取付け簡易三次元測定器として新品タイルの初期状態の表面形状を確認した。また、実験運転後のトリチウムの付着した黒鉛タイルはRI取扱いを考慮した専用の三次元測定器を開発した。今回は実験運転後の黒鉛タイルを対象に新品タイルとの変位量を比較し、真空容器内の損耗・堆積分布を確認した。また、前回製作した三次元測定器の精度検証を行い、この一連の測定手法について行った評価をまとめて報告する。


34000412
質量分析計による呼気分析技術の開発
平塚 一; 新井 貴; 長谷川 浩一; 根本 正博; 阿部 哲也
平成17年度分子科学研究所技術研究会報告集(CD-ROM) , 4p.(2006) ; (JAEA-J 00570)

 国際熱核融合炉における炉内ガス成分分析のために開発した質量分析計(QMS)をヒトの健康状態管理に利活用するために、ごく少量の呼気試料ガスを用いてその場計測が可能なガス成分の分析技術及び装置を開発をした。分析方法は、ヒトの気道である気管部分に残存する呼気と肺で代謝された呼気を区分できるように新たに開発した特殊サンプルバック中へ呼気試料ガスを収集する。その収集した試料ガスの一部をシリンジ(注射器)で取り出してQMSを組み込んだ超高真空容器に注入し、QMSにより質量数ごとのガス成分量を計測する。初期実験の結果、アルコール成分を高精度で検出できること,若年齢や運動量が多い人ほど体外への排出酸素量が少なく排出二酸化炭素量が多いことを定量的に評価できること等が確認できた。


34000413
スクリュー式生成方式を用いたペレット入射装置の改造
市毛 尚志; 平塚 一; 竹永 秀信; 松沢 行洋; 芳賀 三郎; 宮 直之
平成17年度分子科学研究所技術研究会報告集(CD-ROM) , 4p.(2006) ; (JAEA-J 00571)

 現在のJT-60プラズマ放電時間は最大65秒まで可能だが、ペレットの連続入射時間は最大5秒間に制限されている。そこで、プラズマ放電時間に対応するために連続ペレット生成が可能なスクリュー式生成方式を採用することにした。現在は、既設ペレット入射装置にスクリュー式ペレット生成器を組み込むため、スクリュー式ペレット生成器及び既設ペレット入射装置の性能等の整合性,互換性を図る改造を行っているところである。本研究会では、既設ペレットの改造の概要とスクリュー式ペレット生成器の構造及びその生成試験結果について報告する。


34000414
安全評価シナリオに関する研究
牧野 仁史; 若杉 圭一郎
放射性廃棄物安全研究年次計画(平成13年度〜平成17年度)研究成果報告集 , p.111-116(2006) ; (JAEA-J 00572)

 安全評価の対象とすべき評価シナリオについて、個別現象などに関する最新の知見に基づき、シナリオ設定にかかわる知識ベースの拡充を進めるとともに、サイト固有な状況を的確に記述できるようシナリオ開発手法を高度化し、安全評価手法の信頼性向上と安全基準・指針類の策定に資することを目的として研究を実施した。その結果、シナリオ作成にかかわる基盤情報の拡充・整理として、FEPについての情報の整理・拡充するとともに、FEPの表現の見直しを行い、相関関係の複数の可能性を表現できる見通しが得られた。また、FEPの相関関係のマトリクス形式と階層化による表現方法の改良を具体化するとともに、それらの作業を計算機上で行うためのツールを開発したことにより、シナリオを網羅的かつ効率的に設定できる見通しが得られた。さらに、特定の状況に対応したケーススタディに向けてFEPの表現の見直し等を実施したことにより、手法の適用性と効率性の向上の見通しが得られた。


34000415
安全評価モデルの体系化・高度化に関する研究
前川 恵輔; 澤田 淳; 原 彰男; 武部 篤治; 牧野 仁史; 若杉 圭一郎; 加藤 智子; 江橋 健; 柴田 勝志*
放射性廃棄物安全研究年次計画(平成13年度〜平成17年度)研究成果報告集 , p.117-129(2006) ; (JAEA-J 00573)

 サイトが特定された場合に得られると考えられる個々の地質環境の特性やそれに基づく設計情報及び地表環境条件を的確に安全評価に反映することにより、より現実的で詳細な評価ができる安全評価モデルを構築し、安全裕度の把握や安全評価手法の信頼性向上に資することを目的に研究を実施した。人工バリア中核種移行解析モデルにおいてより詳細にモデル化するべきプロセスを整理し、複数の廃棄体を考慮することにより生ずる廃棄体間の濃度干渉効果、及び掘削影響領域での核種移行プロセスを詳細にモデル化するべき対象として抽出した。これらのプロセスに対して、モデル化検討を行った結果、「人工バリア周辺母岩中の地下水流動や核種移行特性の不均質性を考慮可能な廃棄体間濃度干渉モデル化手法の開発」や「人工バリアとその周辺の掘削影響領域における核種移行の二次元的な解析における計算精度の向上の見通しの取得」等の見通しを得た。「生物圏評価モデルの高度化」については、海域及び土壌をGBIとした生物圏評価のコンパートメントモデルの検討、及び実際の地表環境条件に対する既存のモデル化手法の適用性の検討により、生物圏評価の手法の高度化に向けての課題・問題点を明らかにすることができた。また、今後のデータ取得・整備の優先度などを考えるうえでの基盤的な情報を得ることができた。また、安全評価手法体系化については,重要となる方法論や必要となる技術を明らかにするとともに、技術情報やその流れを管理・運用するための技術情報管理システムの操作性の向上を図ることができた。


34000416
安全評価におけるシナリオ,モデルの不確実性に関する研究
牧野 仁史; 若杉 圭一郎; 澤田 淳; 川村 淳; 江橋 健
放射性廃棄物安全研究年次計画(平成13年度〜平成17年度)研究成果報告集 , p.130-140(2006) ; (JAEA-J 00574)

 地層処分の安全評価に内在するシナリオ,モデルの不確実性について、定量的な解析を実施するための手法を検討することにより、地層処分システムの長期的な安全性の評価手法の高度化及び安全基準・指針類の策定に資することを目的として研究を実施した。「シナリオの不確実性」の検討については、現実に即し過度な保守性を排した想定に基づく天然現象の影響評価を実施するための作業手順を構築することができた。また、「モデルの不確実性」の検討については、EDZ内での核種移行及びガラス溶解評価における代替モデルを構築することによりこれまでの取り扱いの保守性を確認することができ、さらには、具体的な地質環境を対象としたモデル化手法の差異に基づく不確実性の影響を把握することができた。また、地下水流動解析から得られる流速や移行距離の情報の核種移行解析への取り込みに関して複数の手法を構築することができた。「パラメータの不確実性の定量化手法」については、誘出法に関する具体的な作業内容と留意点を抽出することができたとともに、パラメータの重要度を評価するための手法については、決定木分析の適用性について確認することができた。


34000417
人工バリア及び岩盤の長期挙動に関する研究
青柳 茂男; 小田 好博; 笹本 広; 柴田 雅博; 棚井 憲治; 谷口 直樹; 西村 繭果; 藤崎 淳; 菊池 広人*; 松本 一浩*
放射性廃棄物安全研究年次計画(平成13年度〜平成17年度)研究成果報告集 , p.179-203(2006) ; (JAEA-J 00575)

 具体的な地質環境条件を対象に人工バリアや地下施設に対して、長期予測モデルの検証等を行い、安全評価基準・指針類の策定及び安全評価モデル・データの信頼性向上に資することを目的として、(1)緩衝材の長期物理的・化学的安定性に関する研究,(2)オーバーパックの腐食挙動に関する研究,(3)ガス移行挙動に関する研究,(4)岩盤長期変形挙動に関する研究,(5)再冠水挙動に関する研究に関する現象モデル及びデータの検証を室内において実施した。これらの研究により、幌延の地下水条件や海水系地下水条件を対象としたデータの拡充や関係式の一般化,現象評価モデルの信頼性の向上を図った。さらには熱−水−応力−化学連成プロトタイプコードを構築した。


34000418
人工バリア等の性能保証にかかわる工学技術研究
川上 進; 藤田 朝雄; 杉田 裕
放射性廃棄物安全研究年次計画(平成13年度〜平成17年度)研究成果報告集 , p.216-223(2006) ; (JAEA-J 00576)

 施工にかかわる性能保証研究として、処分場の構成要素ごとに対する性能保証項目(案)の抽出・整理,課題,評価方法,評価ツールの整理を行った。また、人工バリア性能への隙間影響の確認及びデータの取得を行い、施工時の隙間の人工バリアへの影響が無いことを確認した。さらに、処分場の閉鎖に関して、施工されたプラグの閉鎖性能に関する検証データを取得し、低透水性を確認するとともに、解析によって、閉鎖性能を評価するモデルを開発するとともに、海水系地下水条件での埋め戻し材の隙間充填性能に着目した基礎試験によるデータ取得,閉鎖システムを対象とした水理解析やFaultツリー分析による閉鎖シナリオの検討を行った。処分場における管理/モニタリングとして、人工バリア性能にかかわるモニタリングに着目して基本的な考え方及び測定技術などに関する情報を整理するとともに、人工バリア性能確認に関するモニタリングの考え方,計測項目,計測技術に関する情報を整理した。


34000419
安全評価の基本的考え方等に関する調査研究
宮原 要; 牧野 仁史; 加藤 智子
放射性廃棄物安全研究年次計画(平成13年度〜平成17年度)研究成果報告集 , p.42-49(2006) ; (JAEA-J 00577)

 高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全確保に関する考え方や安全基準等について、諸外国の事例等を調査・整理するとともに、安全目標,評価時間枠及び評価時間枠に応じた安全指標の考え方,補完的安全指標等に関する検討を行い、具体的な地質環境を対象とした安全評価における安全指標の考え方を提示する見通しを得た。


34000420
パラメータサーベィ型並列随伴変数法による形状最適化
篠原 主勲; 奥田 洋司*; 中島 憲宏; 井田 真人
日本機械学会第18回計算力学講演会講演論文集 , p.561-562(2005) ; (JAEA-J 00580)

 原子力配管の熱伝対の応力集中を低減する最適な形状を検討するため、随伴変数法による形状最適化システムの基盤技術を開発した。状態方程式,随伴方程式,感度方程式,ラプラス方程式からなる随伴変数法を定式化し、記憶メモリを低減,配列のアクセスを高速化するためHPCMWによるファイル渡しによるデータ入出力,1次元圧縮行列のプログラミング技術を適用し、形状最適化プログラムを開発した。3次元円柱周りの形状最適化のメカニズムを明らかにし、円柱の体積一定の制約条件下で円柱に負荷する表面力を初期形状と比較して約24%低減した。


34000421
稠密炉心内3次元気泡流構造に関する大規模シミュレーション
高瀬 和之 ; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 叶野 琢磨; 青木 尊之*
日本機械学会関東支部第12期総合講演会講演論文集 , p.229-230(2006) ; (JAEA-J 00581)

 革新的水冷却炉の炉心では、燃料棒は1mm程度の間隔で三角格子状に稠密に配置され、その間隙を冷却材である水が流れる。水は燃料棒の加熱によって沸騰し、蒸気と水の気液二相流となる。したがって、炉心熱設計を行う場合、相変化を含む気液二相流の挙動を正確に把握する必要がある。本報では、稠密体系に配置された燃料棒まわりに形成される大量の気泡が合体,分裂を繰り返しながら下流へと移行する挙動を数値的に調べた。その結果、微小気泡は時間とともに合体を繰り返しながら大きな気泡に成長するが、稠密流路の体系では気泡は燃料棒間隔の最も狭い領域よりもそれに隣り合う流路面積の広い領域を流れ易い傾向にあることがわかり、シミュレーションによる炉心熱設計手法開発についての見通しを高くできた。


34000422
EBSP法によるSCCき裂先端の塑性変形挙動解析
加治 芳行; 三輪 幸夫; 塚田 隆
日本機械学会M&M2005材料力学カンファレンス講演論文集 , p.175-176(2005) ; (JAEA-J 00584)

 EBSP法によるSCCき裂先端の塑性変形挙動解析を実施した結果、以下のような結論を得た。(1)SCCき裂先端の塑性変形挙動を定量的に評価するための基礎データとして、SUS316L鋼を用いた高温水中SSRT試験片を用いて、塑性変形量と結晶粒のmisorientation量との関係を取得し、この関係を用いて局所的な塑性ひずみを推定することを可能にした。(2)misorientation量と塑性変形量との関係を用いて、SCCき裂及び延性き裂先端の塑性ひずみを測定した結果、延性き裂先端近傍の塑性ひずみはSCCき裂に比べて大きいことがわかった。しかし、塑性変形領域はいずれのき裂においても、き裂先端の結晶粒1個程度の領域であった。


34000423
高温プラズマからの放射と分光測定
杉江 達夫
プラズマ診断の基礎と応用 , p.116-131(2006) ; (JAEA-J 00585)

 プラズマからの放射は、プラズマのエネルギーを外部に放出するため、エネルギー閉じ込め性能を低下させる。また、混入した不純物イオンは、燃料である重水素イオン,三重水素イオンの全イオンに対する割合を低下させ、核融合反応効率の低下を招く。そのため、不純物イオンの制御(発生,混入の低減、及び排気)が重要な研究課題となっている。分光測定は、このような課題を研究する際の重要な診断手段の一つである。また、イオン温度,電流分布等の主要プラズマパラメータの測定にも利用されている。本節では、高温プラズマからの放射と、その分光測定について述べる。


34000424
高速中性粒子の計測
草間 義紀
プラズマ診断の基礎と応用 , p.195-205(2006) ; (JAEA-J 00586)

 プラズマ・核融合学会からの依頼により、上記の本の第6章第3節「高速中性粒子の計測」を執筆した。高温プラズマ中の高速イオンの挙動を解明することを主な目的に幅広く利用されている高速中性粒子計測に関し、高速中性粒子の発生過程,高速中性粒子発生量の評価,高速中性粒子のプラズマ中での減衰と積分効果,質量/エネルギー分析器など、本計測の基礎を概観している。また、高速イオンの中性化過程における不純物イオンの効果,多段階電離過程による高速中性粒子の減衰など、近年、考慮する必要があると考えられるようになった効果についても述べた。さらに、実際の計測及び分析器の設計を行う際の注意点について触れた。


34000425
インターネット上で原子炉シミュレータを運転する遠隔教育訓練システムの原型版構築
山口 勇吉; 今井 雄輝*; 田辺 文也
ヒューマンインタフェースシンポジウム2005講演論文集 , p.779-782(2005) ; (JAEA-J 00588)

 大規模複雑な技術システムの典型である原子力システムに対する、さまざまな社会階層レベルにまたがる意思決定当事者のシステム理解促進のために、インターネットを介したフルスコープ原子炉シミュレータの運転操作,その運転操作状況のモニタリング及びインストラクションを可能とする遠隔教育訓練システムDETRASを開発した。


34000426
R&D activities on accelerator-driven transmutation system in JAERI
大井川 宏之; 辻本 和文; 菊地 賢司; 倉田 有司; 佐々 敏信; 梅野 誠*; 斎藤 滋; 西原 健司; 水本 元治; 高野 秀機*; 大内 伸夫
EUR-21227 (CD-ROM) , p.483-493(2005) ; (JAEA-J 00589)

 原研では加速器駆動未臨界システム(ADS)を用いた核変換専用システムの研究開発を進めており、これまでに熱出力800MWの未臨界炉を提案してきた。ADSの成立性を検証することを目的に、原研ではシステムの概念設計を含めた多くの研究開発活動が進行中であるか計画中である。陽子加速器の分野では、超伝導LINACが開発されている。鉛ビスマス共晶合金(LBE)を用いた核破砕ターゲットに関しては、材料腐食,熱流動,ポロニウム挙動,材料照射損傷に関する研究が進捗中である。さらに、原研では、J-PARCプロジェクトの一環として、陽子ビームと核燃料を用いてADSの成立性を検証すること及びLBEを用いた核破砕ターゲットと関連する材料に関する技術を確立することを目的とした核変換実験施設の建設を計画している。


34000427
「常陽」の高経年化対策; 遮蔽コンクリート冷却器及び1次Na純化用コールドトラップ冷却器の更新
飛田 茂治; 西野 一成; 住野 公造; 小川 徹
UTNL-R-0453 , p.2-1-2-10(2006) ; (JAEA-J 00593)

 「常陽」では、試験炉規則第14条の2に定められた原子炉施設の定期的な評価に基づき、昭和50年4月24日(保安規定認可日)〜平成15年3月31日を対象に高経年化に関する評価を実施した。高経年化に関する評価では、ナトリウム冷却型高速炉である高速実験炉「常陽」の特徴を踏まえつつ、考えられる経年変化事象を抽出した後、これらの代表となるべき評価対象機器を選定し、これまでの点検結果、改造・取替工事での経年変化に対する観察結果,測定データ,補修・交換の実績調査を行い、現状の保全活動が適切であるかを評価した。抽出した経年変化事象は、(1)放射線劣化,(2)腐食,(3)磨耗・侵食,(4)熱時効,(5)クリープ・疲労,(6)応力腐食割れ,(7)絶縁劣化,(8)一般劣化であり、経年変化に対する実績を調査した結果、「常陽」において問題となる経年変化事象は、定期的に分解点検を実施する際に交換する部品等の一般劣化を除けば、放射線劣化,冷却水及び大気環境による材料の腐食,絶縁劣化にほぼ集約でき、安全機能上問題となるような経年変化傾向はなかったものの、腐食を中心とした定期的な監視,一部機器・部品等の計画的な更新等を行っていく必要があると評価した。評価結果を受けて抽出した経年変化事象に対して、平成17年度から平成26年度(10か年)までの長期保全計画を策定した。ここでは、冷却水環境の腐食対策として、これまでの点検結果及び長期保全計画に基づき、最近実施した遮蔽コンクリート冷却器及び1次Na純化用コールドトラップ冷却器の更新について報告する。


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