学会誌等掲載論文
※下記の研究開発成果は資料名順に並んでいます。

2007年11月


35001574
Flow-assisted corrosion of carbon steel under neutral water conditions
佐藤 智徳; Shao, Y.*; Cook, W. G.*; Lister, D. H.*; 内田 俊介
Corrosion 63(8), p.770-780(2007) ; (JAEA-J 03152)
 流れ加速型腐食(FAC)は原子力発電所の炭素鋼配管において、しばしば重大な損傷につながる事象である。FACへの水化学的パラメータの影響を決定するための第一ステップとして、本研究では、溶存酸素濃度及び流速をパラメータとし、140℃純水中での炭素鋼の腐食速度を電気抵抗測定によりオンライン測定した。また、炭素鋼試験片の腐食電位(ECP)も測定し、評価した。その結果、純水中でのFACは溶存酸素濃度が50ppb、ECPでは-0.2V-SHE以上で測定下限以下まで低減されることが確認された。また、脱気条件下では、予備酸化により形成された被膜の保護性は、比較的早い時間で失われることが確認された。流れの影響は流速だけではなく、レイノルズ数による評価も行わなければ正確に把握できない可能性が示唆された。

35001575
Evaluation of operation scenario for fusion DEMO plant at JAEA; Constraint of neutral beam injection system
佐藤 正泰; 西尾 敏; 飛田 健次; 井上 多加志
Fusion Engineering and Design 81(23-24), p.2725-2731(2006) ; (JAEA-J 03154)
 経済性の高い炉を目指して、核融合発電炉の原型炉の検討を行っている。原型炉の特徴は、中心ソレノイド(CS)コイルを小型化した低アスペクト比のトカマク炉である。原型炉の運転シナリオについて、CSコイルを使用せず、ブートストラップ電流と中性粒子入射(NBI)装置を用いてプラズマ電流の立ち上げシナリオを検討した。低電流(5MA以下)からプラズマ電流を立ち上げるには、パワーが電圧に比例する低電流可変電圧方式(CCVV)によるNBI装置の加速電圧を可変にすることが必要である。HHファクター,グリーンワルド限界密度,NBIシャインスルーの条件が運転シナリオに強い制限を与えている。各プラズマ電流の定常状態に対してこの3つのパラメーターを満足させることから、許容NBI加熱パワーを評価した。許容NBI加熱パワーはプラズマ電流値,加速電圧に依存し、運転シナリオの必要条件である。許容NBI加熱パワー値を考慮して、プラズマ電流の時間変化を評価した。NBI加速電圧を4段に変化させた場合、全NBIパワー90MWで、プラズマ電流2MAからフラットトップ16.6MAまで、約3時間で立ち上げ可能であることを示した。

35001576
Single crystal growth, superconductivity and Fermi surface study of plutonium compounds
芳賀 芳範; 青木 大*; 山上 浩志*; 松田 達磨; 中島 邦久; 荒井 康夫; 山本 悦嗣; 中村 彰夫; 本間 佳哉*; 塩川 佳伸*; 大貫 惇睦*
Journal of Alloys and Compounds 444-445, p.114-118(2007) ; (JAEA-J 03155)
 プルトニウム化合物における「高温」超伝導の発見により、プルトニウム及び超ウラン化合物への関心が高まっている。われわれは、PuIn3について、世界で初めてフェルミ面の実験的観測に成功した。この物質では5f電子が遍歴電子となって伝導に寄与し、自由電子よりも有効質量の重い状態が実現している。また、この物質はプルトニウム化合物超伝導体PuCoGa5の参照物質として考えられ、超伝導機構解明にも繋がると期待される。

35001577
Multipoles in δ-Pu
堀田 貴嗣
Journal of Alloys and Compounds 444-445, p.162-167(2007) ; (JAEA-J 03156)
 f電子化合物の磁性と超伝導の微視的理論を発展させるために、j-j結合描像に基づいてf電子模型を構築することを提案してきた。このモデルを用いて、UMGa5やNpMGa5のスピン・軌道構造を説明してきた。最近では、NpO2の八極子秩序が微視的観点から理解できることを示している。アクチノイド化合物に対するこのようなj-j結合描像モデルの成功を受けて、PuやPuMGa5の磁性と超伝導の理解を試みる。特に、PuMGa5の超伝導やδ-Puの磁性の消失に関する5f電子軌道の役割に注目し、スピン・軌道複合自由度としての「多極子」を議論する。

35001578
The Oxidation rate of (U0.7Pu0.3)O2-x with two fcc phases
鈴木 紀一; 加藤 正人; 田村 哲也*; 青野 茂典; 鹿志村 元明
Journal of Alloys and Compounds 444-445, p.590-593(2007) ; (JAEA-J 03157)
 ハイポストイキオメトリのMOX焼結体は大気,不活性ガス雰囲気において常温付近でも酸化することが報告されている。20%Pu以上を含むハイポストイキオメトリのMOXに対して、室温ではO/Mの異なる2相のfcc領域の存在が報告されている。本研究では、熱重量分析法によって2相領域での(U0.7Pu0.3)O2-Xの酸化挙動を調べた。理論密度85-93%T.D.の30%Pu-MOX焼結体を厚さ約1mmのディスク状に切り出し、試験サンプルとした。酸化速度は水平差動式天秤(TG-DTA)を用いた熱重量分析法によって実施した。温度60, 125, 150℃の条件で、それぞれ酸素分圧を10-5-0.2atm、水分を1-700ppmとして等温酸化試験を行った。実験結果は2相拡散モデルを用いることによってよく再現でき、酸化速度は時間と温度の関数として表すことができた。また、X線回折測定の結果、酸化はO/Mが約2.00の相が増加することによって進むことが確認された。これらの結果は、2相領域での(U0.7Pu0.3)O2-Xの酸化は、表面に形成されたO/M≈2.00の相内の酸素の拡散によって支配されたことを示唆している。

35001579
Phase behavior of PuO2-x with addition of 9% Am
三輪 周平; 逢坂 正彦; 吉持 宏; 田中 健哉; 黒崎 健*; 宇埜 正美*; 山中 伸介*
Journal of Alloys and Compounds 444-445, p.610-613(2007) ; (JAEA-J 03158)
 低除染燃料及びターゲットホスト相の相状態評価に資する基礎的データの取得として、(Pu0.91Am0.09)O2-xを調製し、O/M比を調整した(Pu0.91Am0.09)O2-xについて、XRD及びDTAを用いた熱分析により相状態の実験的評価を行った。

35001580
New conservative gyrokinetic full-f Vlasov code and its comparison to gyrokinetic δ f particle-in-cell code
井戸村 泰宏; 井田 真人; 徳田 伸二; Villard, L.*
Journal of Computational Physics 226(1), p.244-262(2007) ; (JAEA-J 03159)
 L1及びL2ノルムを保存する有限差分オペレータを用いて新しい保存系ジャイロ運動論的ブラゾフコードを開発した。L2ノルムの保存により数値振動の成長が抑制されるため、コードは数値的に安定であり、長時間シミュレーションにおいてもロバーストである。スラブ配位イオン温度勾配駆動(ITG)乱流シミュレーションにおいて、エネルギー保存及びエントロピーバランス関係式を確認し、従来のdelta f PICコードと計算結果のベンチマークを行った。この結果、保存系ブラゾフシミュレーションにおける厳密な粒子保存及び良好なエネルギー保存は長時間の微視的乱流シミュレーションを行ううえで有効であることが示された。PICコードとの比較においては、ブラゾフコード及びPICコードにおけるv||非線形性の物理的・数値的影響を明らかにした。

35001581
Understanding the SOL flow in L-mode plasma on divertor tokamaks, and its influence on the plasma transport
朝倉 伸幸; ITPA SOL and Divertor Topical Group*
Journal of Nuclear Materials 363-365, p.41-51(2007) ; (JAEA-J 03160)
 スクレイプオフ層を磁力線に沿い流れるプラズマ流は、近年の静電プローブや分光器などの計測により、古典モデルとは異なり低磁場側赤道面から高磁場側ダイバータへ向かい高速(プラズマ音速の数分の1)で流れることが明らかとなった。近年、プラズマ形状を変化した実験やプラズマ周辺部の異なる位置で測定が行われた結果、流れのパターンのポロイダル非対称性やプラズマパラメータ,プラズマ形状による変化などが明らかとなった。実験結果とともに進展している理論モデル及びシミュレーションにより、イオンドリフトによる効果のみではなく、異常輸送による影響が大きな発生要因であると考えられる。本レビュー講演では、各国のトカマク装置で最近発表されたプラズマ流の測定結果と理論・シミュレーションによる現状の理解のまとめを発表する。さらに、核融合装置の設計や運転に重要な炭素輸送などのプラズマ壁相互作用への影響についてまとめる。

35001582
Luminescence of Cr-doped alumina induced by charged particle irradiation
井上 愛知; 永田 晋二*; 藤 健太郎*; 土屋 文*; 山本 春也; 四竈 樹男*
Journal of Nuclear Materials 367-370(2), p.1112-1116(2007) ; (JAEA-J 03161)
 Cr添加アルミナ(ルビー)にMeVエネルギー領域の水素及びヘリウムイオンを照射したときの照射量と誘起発光強度の関連性について調べた。その結果、水素イオンの照射量が増大しても誘起発光強度はほとんど変化せず、線エネルギー付与(LET)にも比例しなかったが、ヘリウムイオンの照射量が増大すると誘起発光強度が急速に減衰し、その減衰量が核的エネルギー付与量に比例した。これらのことから、誘起発光強度は、ルビー内の励起される発光中心の数のみに比例し、線エネルギー付与(LET)とは関連しないこと,発光強度の減衰はおもに入射イオンの核衝突による発光中心の消滅に起因することが示唆された。

35001583
New evaluation of neutron nuclear data for zinc isotopes
岩本 信之
Journal of Nuclear Science and Technology 44(9), p.1131-1141(2007) ; (JAEA-J 03162)
 新たに亜鉛の五つの安定同位体(質量数A=64, 66, 67, 68, 70)の中性子核データ評価を中性子入射エネルギー10-5eVから20MeVの範囲に対して行った。約100keVまでの低エネルギー領域では、実験から得られた分離共鳴パラメータを評価した。速中性子領域では、複合核,前平衡,直接過程を扱える核反応モデルでの理論計算により、さまざまな反応に対する断面積や放出された中性子やγ線の二重微分断面積の評価を行った。得られた評価値は実験データをよく再現していた。この評価値とほかの核データライブラリとの比較も行ってある。

35001584
Toward innovative actinide separation processes; Sequential reduction scheme of uranium, neptunium, and plutonium in 3M HNO3 by external ultrasound irradiation
虎石 貴; 木村 貴海; 有阪 真
Journal of Nuclear Science and Technology 44(9), p.1220-1226(2007) ; (JAEA-J 03163)
 本論文では外部超音波照射による新規なアクチノイドの原子価調整法について報告する。水に対する超音波照射は還元剤及び酸化剤として働く水素ラジカルやOHラジカルの生成をもたらす。これらを利用してアクチノイドの原子価を調整するという試みは以前よりなされていたが、アクチノイドの分離に必要な酸化還元力を得ることは不可能とされていた。われわれは最近、貴金属触媒が超音波によって誘起される化学反応を著しく増強することを発見し、例えば還元が困難とされる6価ウランを4価へと還元することを可能にした。今回、この超音波誘起還元技術をアクチノイド分離プロセスへ応用すべく、3M硝酸中における6価のウラン,ネプツニウム及びプルトニウムの逐次的な還元スキームを開発し、その技術的成立性を確認した。

35001585
Evaluation of unintentionally doped impurities in silicon carbide substrates using neutron activation analysis
大島 武; 徳永 興公*; 一色 正彦*; 笹島 文雄; 伊藤 久義
Materials Science Forum 556-557, p.457-460(2007) ; (JAEA-J 03164)
 炭化ケイ素(SiC)基板作製時に意図せずに混入する微量不純物を放射化分析を用いて評価した。昇華法により作製された市販の高品質高抵抗六方晶(4H)SiC及び化学気相成長法により作製された市販のn型立方晶(3C)SiCを試料として用いた。試料表面の汚染を取り除くために有機洗浄(アセトン,エタノール)及び酸(硝酸,フッ酸)処理を行った後に、原子力機構JRR-3にて中性子照射(1時間又は100時間)を行った。k0法により基板に含まれる微量不純物を評価した結果、4H-SiC, 3C-SiCともに、亜鉛,砒素,臭素,モリブデン,アンチモンが含まれることが判明した。また、これ以外にも、4H-SiCからは鉄,タンタル,タングステン,金が、3C-SiCからはランタンが検出された。

35001586
Dynamical simulation of SiO2/4H-SiC(0001) interface oxidation process; From first-principles
大沼 敏治*; 宮下 敦巳; 岩沢 美佐子*; 吉川 正人; 土田 秀一*
Materials Science Forum 556-557, p.615-620(2007) ; (JAEA-J 03165)
 平面波近似とスーパーセルモデルを用い、SiO2/4H-SiC(0001)酸化過程の第一原理分子動力学計算による動的シミュレーションを行った。反応の初期構造の生成には加熱・急冷法を用いた。この初期構造は界面ダングリングボンドのないSiO2/SiC構造である。酸化反応の引き金とするために、界面付近のSiC層に炭素空孔を導入した。酸化反応シミュレーションは界面付近の空隙に酸素分子を一つずつ置いて行くことによって行った。酸化反応シミュレーションは2500Kの下で行った。酸素分子は解離しSiO2中のSi原子と結合を組み、また、界面付近にいるSiC層中のSi原子も酸化されSiO2層を形成した。界面欠陥の候補の一つと考えられている炭素クラスタ構造が界面に形成され、さらに、酸素分子は炭素クラスターと反応しCO分子を形成した。

35001587
Microdosimetric study for secondary neutrons in phantom produced by a 290 MeV/nucleon carbon beam
遠藤 暁*; 田中 憲一*; 高田 真志*; 鬼塚 昌彦*; 宮原 信幸*; 佐藤 達彦; 石川 正義*; 前田 直子*; 早渕 直文*; 静間 清*; 星 正治*
Medical Physics 34(9), p.3571-3578(2007) ; (JAEA-J 03166)
 重粒子線治療における線量評価において、荷電粒子による被ばく線量は精度よく測定されているが、2次中性子による被ばく線量を測定した例はほとんどない。したがって、本研究では、290MeV/nの炭素ビームをアクリルファントムに照射したときの2次中性子線量分布をTEPCを用いて測定した。その結果、重粒子線治療における中性子被ばく線量の寄与はそれほど大きくないことがわかった。また、測定値を粒子輸送計算コードPHITSによるシミュレーション結果と比較したところ、比較的よい一致が得られた。

35001588
Northern Hemisphere forcing of climatic cycles in Antarctica over the past 360,000 years
川村 賢二*; Parrenin, F.*; Lisiecki, L.*; 植村 立*; Vimeux, F.*; Severinghaus, J. P.*; Hutterli, M. A.*; 中澤 高清*; 青木 周司*; Jouzel, J.*; Raymo, M. E.*; 松本 康志*; 仲田 久和; 本山 秀明*; 藤田 秀二*; 東 久美子*; 藤井 理行*; 渡辺 興亜*
Nature 448(7156), p.912-916(2007) ; (JAEA-J 03167)
 気候変化に関するミランコヴィッチ理論は、氷期-間氷期のサイクルが北半球の高緯度域における夏期の日射量の変化によって駆動されると提唱している。本論文では、ドームふじとボストーク基地の氷床コアに閉じ込められた空気中の酸素分子と窒素分子の存在比をもとに、過去36万年に渡って南極大陸に起こった気候変化の新しい年代情報を示す。この比は、この地域の夏期の日射量の代理指標であるため、気候記録と軌道パラメーターの間の位相差を仮定する必要なしに、軌道チューニングによってコア年代を構築することが可能である。この正確な年代をもとに、氷床コアから得られた気候記録と日射量変化の間の位相関係を調べることができる。その結果、軌道要素変動の時間スケールにおける南極大陸の気候変化は北半球の日射量変化よりも数千年遅れていたことと、過去4回の退氷期における南極気温と大気中二酸化炭素濃度上昇は北半球の夏期の日射量が上昇する位相で起こったことが示された。これらの結果は、北半球の夏期の日射量が過去4回の退氷期のきっかけとなったとするミランコヴィッチ理論を支持している。

35001589
R&D progress at JAEA towards production of high power and large-area negative ion beams for ITER
花田 磨砂也; 井上 多加志; 柏木 美恵子; 谷口 正樹; 戸張 博之; 渡邊 和弘; 梅田 尚孝; 大楽 正幸; 池田 佳隆; 坂本 慶司
Nuclear Fusion 47(9), p.1142-1146(2007) ; (JAEA-J 03168)
 本論文はITER用の負イオンビームを用いた中性粒子入射(NBI)装置の開発結果を報告するものである。同装置の心臓部である負イオン加速器の開発においては、ITERの仕様である真空絶縁方式の静電加速器を用いて、設計値(200A/m2, 1000keV)に対して、アーク放電パワーの増大やセシウム量の最適化により負イオン生成を促進し、146A/m-2, 836keVの水素負イオンビームを生成した。この時のビームパワー密度は既存の負イオンNBI装置で得られた値の2倍に相当するものであり、世界でITER仕様に最も近い値である。さらに、ITER NBI装置の課題である大面積・大電流負イオンビームの長パルス化研究を実施した。ITERと同等の大きさを有するJT-60負イオン源2台それぞれに対して、負イオン源の運転条件を最適化し、加速電極熱負荷を許容値以下に抑制した結果、各イオン源から320keV, 約10A重水素負イオンビームを、従来より2倍長い21秒間安定に生成した。中性化後の重水素ビームパワーは3.2MWに達しており、世界で初めて、数MW級の中性粒子を10秒以上入射することに成功した。加えて、加速電極熱負荷の原因の一つである負イオンの非一様性の改善研究を行った結果、イオン源周りの永久磁石の配置を工夫した「テント型磁気フィルター」を用いることによって、ITERの設計条件(偏差10%以下)を満足しており、長パルス化の見通しを得た。

35001590
Development of advanced tritium breeders and neutron multipliers for DEMO solid breeder blankets
土谷 邦彦; 星野 毅; 河村 弘; 三島 良直*; 吉田 直亮*; 寺井 隆幸*; 田中 知*; 宗像 健三*; 加藤 茂*; 内田 宗範*; 中道 勝; 山田 弘一*; 八巻 大樹; 林 君夫
Nuclear Fusion 47(9), p.1300-1306(2007) ; (JAEA-J 03169)
 原型炉用増殖ブランケット開発の一環として、「高温・高照射環境に耐えうる先進トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料」の開発における最近の成果を本論文にまとめた。トリチウム増殖材料については、少量(約1mol%)の酸化物(CaO等)を添加したチタン酸リチウム(Li2TiO3)に着目し、1000℃までの結晶粒成長の抑制が可能であること、熱伝導が無添加Li2TiO3と同程度であること、水素によるTiの還元を抑制が可能であること等が明らかになった。中性子増倍材料については、Be-Ti合金に着目し、1000℃における比強度が約200MPaと高いこと、第1候補材料であるベリリウムに比べて、F82H鋼との両立性が良いこと、乾燥空気中1000℃においても高い耐酸化特性を有していること、1%の水蒸気を含んだアルゴンガス雰囲気中における水素生成速度が1/1000以下になること、水素同位体のインベントリーが非常に小さいこと等を明らかにした。これらの知見により、少量の酸化物を添加したLi2TiO3,ベリリウム金属間化合物(Be12Ti等)を含んだベリリウム合金の良好な特性が明らかになり、原型炉用増殖ブランケットの開発に明るい見通しを得た。

35001591
Ion irradiation effects on amorphization and thermal crystallization in Zr-Al-Ni-Cu alloys
永田 晋二*; 東 誠二郎*; 土屋 文*; 藤 健太郎*; 四竈 樹男*; 高廣 克己*; 尾崎 孝一*; 川面 澄*; 山本 春也; 井上 愛知
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 257(1-2), p.420-423(2007) ; (JAEA-J 03171)
 代表的な金属ガラスであるZr55Al10Ni5Cu30合金に対してイオン照射を行い、その構造及び初晶挙動について研究を行った。実験では、厚さ50-100μmの膜状試料に300-500keVのエネルギーに加速した水素(H),銀(Ag),銅(Cu)、及び金(Au)のイオン照射を行った後、X線回折法により結晶構造を調べた。その結果、照射直後の試料の構造に変化は見られず、照射したイオン種による違いも見いだせなかった。さらに、イオン照射した試料に対して熱処理を行うと準安定相の形成が確認された。これらの事実から、初晶は、エネルギー付与が多くなるとその成長速度が遅くなる傾向のあることがわかった。これは、イオンの線エネルギー付与が大きくなるにつれ形成される準安定相の核生成サイトが増加するためであると考えられた。

35001592
Ion beam effects on electrical characteristics of proton conductive polymer
永田 晋二*; 小西 芳紀*; 土屋 文*; 藤 健太郎*; 山本 春也; 高廣 克己*; 四竈 樹男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 257(1-2), p.519-522(2007) ; (JAEA-J 03172)
 プロトン伝導性を示すパーフルオロスルホン酸系高分子膜について、電気伝導特性に及ぼすMeV領域のイオンビームの照射効果を調べた。膜試料に対して、イオン種と照射量を変えた照射を行い、膜試料の電気伝導度の変化を調べた。その結果、水素(H)及びヘリウム(He)イオンを単位面積あたりの照射量が2×1013ions/cm2まで照射すると、膜試料の電気伝導度が約3桁上昇することがわかった。さらに、イオン照射を行った膜に対して可視,紫外分光及び赤外分光を用いて膜中の化学結合状態を調べたところ、フッ素と炭素からなる不活性な化合物(パーフルオロカーボン,PFC)とペロキシラジカルの形成が確認できた。これよりイオン照射によって形成されるPFCなどの化合物が膜試料中のプロトン伝導性を高くする要因の一つであると考えられる。

35001593
Strong pairing and microscopic inhomogeneity of lattice fermion systems
山田 進; 町田 昌彦; 大橋 洋士*; 松本 秀樹*
Physica C 463-465, p.103-106(2007) ; (JAEA-J 03173)
 高温超伝導体は、超伝導の強さを特徴づける超伝導ギャップの大きさが空間的に非一様に変化していることが複数の実験から示され、本質的に非一様な超伝導状態が実現している可能性が指摘されている。その一方、フェルミ原子ガスでは、相互作用が制御できるうえ、二つの対向するレーザーにより周期ポテンシャルが実現できることから、高温超伝導体と同じ状態を実験できる特徴を持っている。そこで、本研究では、著者らが開発したフェルミ原子ガスのシミュレーションプログラムを利用し、非一様性を持つ超伝導(超流動)が何故現れるのかを明らかにすることを目標とした。本プログラムを用いた系統的なシミュレーションの結果から、強い引力とそして、わずかな並進対称性の破れから、超伝導(超流動)を引き起こすクーパーペア間に強い相関が働き、非一様性が生じ、超伝導(超流動)と共存することを初めて見いだした。また、その非一様性の起源がクーパーペア間の相関効果であることが理解できた。これは、格子上で強い引力を及ぼし合うフェルミ粒子系に普遍的な振る舞いであり、今後、さまざまな系で発見されるか、再確認される可能性があると考えられる。

35001594
Development of large current superconductors using high performance Nb3Sn strand for ITER
小泉 徳潔; 礒野 高明; 濱田 一弥; 布谷 嘉彦; 松井 邦浩; 名原 啓博; 奥野 清
Physica C 463-465, p.1319-1326(2007) ; (JAEA-J 03174)
 ITERモデル・コイル導体で観測された性能低下を充足する高臨界電流密度Nb3Sn線の大量生産技術の開発、及びTF導体の試作を行った。その一方で、導体性能低下の原因と考えられている素線の連続的な曲げ変形による臨界電流値の低下について、実験、及び解析の両面から研究した。その結果、曲げ変形により一部のフィラメントが大きな歪を受けて臨界電流値が低下して、他のフィラメントへ電流が乗移る過程で、超伝導フィラメントをゼロ抵抗で横断できる場合は低下が小さく、抵抗を有する場合には低下が大きくなることを示した。さらに、ITER-TF導体用に日本で開発した素線は、曲げ変形による臨界電流値の低下が小さく、本素線を用いたITER導体を安定に運転できる見通しを得ることもできた。

35001595
Positron microscopic analysis of crack failure in stainless steels
Yu, R.; 前川 雅樹; 三輪 幸夫; 平出 哲也; 西村 昭彦; 河裾 厚男
Physica Status Solidi (C) 4(10), p.3577-3580(2007) ; (JAEA-J 03175)
 空間分解能30μmの陽電子マイクロビームを用いて、ステンレス材の機械的疲労破壊及び応力腐食割れ(SCC)を起こしたクラックの1次元及び2次元走査を行った。測定結果より、この2種類のクラック損傷には異なるメカニズムが存在していると思われる。通常は亀裂生成に伴い、機械的疲労によるクラックの近辺には転位や欠陥の生成が起こると思われるので、511keVの陽電子消滅γ線のドップラー拡がりは狭小化することが期待される(S(crack)/S(bulk)=1.01)。しかしながら、SCCの場合にはドップラー幅の増大が観測された(S(crack)/S(bulk)=0.97)。そのような現象は、測定試料の微視的組成の違い及び微視的構造の違いに起因すると思われる。

35001596
Characterization of ion beam-induced SiC-OI structures by positron annihilation spectroscopy
前川 雅樹; Yu, R.; 河裾 厚男
Physica Status Solidi (C) 4(10), p.3680-3683(2007) ; (JAEA-J 03176)
 陽電子消滅法を用い、イオン注入法によって作成した埋め込み酸化膜層を有する炭化ケイ素(SiC)基板の評価を行った。試料は200keVの酸素イオンをSiCに打ち込み作成した。注入量は1×1018cm-2とした。注入時の照射損傷の残留を避け酸素イオンの反応を促すために、照射温度を変化させて注入した。注入後、1400℃までの熱アニールを行った。室温注入時には現れなかった酸素打ち込み領域におけるSパラメータ変化は、600℃, 800℃と高温になるにつれ明瞭になった。これは注入酸素が反応し、SiO2が形成していることを示していると思われる。しかしながら陽電子寿命は石英から期待されるSiO2の値よりも短くなった。また運動量分布を詳細に測定したところ、この領域の結晶構造はSiO2に至る前の不完全酸化状態にあることがわかり、十分な品質を保持していないことが示唆された。表層SiC層に関してはマイクロボイドのような欠陥が生成し、熱アニールによっても除去できないことがわかった。高品質な埋め込み酸化膜を有するSiC基板の作成のためには、従来法よりもより効果的な処理手法が必要であると思われる。

35001597
Design of a positron microprobe using magnetic lenses
前川 雅樹; Yu, R.; 河裾 厚男
Physica Status Solidi (C) 4(10), p.4016-4019(2007) ; (JAEA-J 03177)
 陽電子マイクロビームを用いることで、表面近傍に存在する空孔型欠陥の空間分布や微小領域の欠陥構造の評価が可能となる。現在、われわれは陽電子ビームを10μm以下に収束し、試料の2次元顕微走査を行うビーム装置の開発を進めている。ビームの収束には、市販されている走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる。最終的なビーム径を小さくするためには、入射ビームの径を小さくすることが重要である。そのために小型線源と高効率な固体希ガスモデレーターを利用した陽電子銃の開発と設計を行っている。また陽電子消滅寿命測定のために、高周波電界を用いたビームパルス化装置の設計も行っている。装置の製作に先立って、テストベンチでの収束陽電子ビームの形成と特性評価を行ったところ、陽電子線源として密封Na-22(有効径4mm)を用いた場合、10keVで80μmのビーム径が得られた。これにより、有効径1mm以下の小型線源を利用することで10μmのビーム径が達成できるものと推測される。

35001598
Long-period stacking structures in yttrium trihydride at high pressure
町田 晃彦; 大村 彩子*; 綿貫 徹; 青木 勝敏; 竹村 謙一*
Physical Review B 76(5), p.052101_1-052101_4(2007) ; (JAEA-J 03178)
 ダイヤモンドアンビルセルを用いて高圧力下の放射光X線回折実験を行い、イットリウム3水素化物の圧力による構造変化を詳細に調べている。イットリウム3水素化物YH3はイットリウム原子がhexagonal格子を組み、水素原子は金属格子間に位置している。YH3は高圧力下で構造相転移を起し、イットリウム原子は12-22GPaの広い圧力領域に渡る中間状態を経てfcc格子へと変化する。これまで、中間状態のX線回折パターンは高圧相と低圧相との2相共存では説明できないことを明らかにしており、今回、われわれはhexagonal型(ABA)とfcc型(ABC)の金属面の積層が周期的に配列した長周期積層構造で中間状態の構造を説明できることを明らかにした。圧力を加えると、このイットリウム格子の長周期積層構造はfcc型の積層成分が徐々に増加しながら最終的にfcc格子へと変化する。こうした長周期構造を経由するhexagonal-cubic構造相転移は、金属格子間に位置する水素原子間のクーロン反発や水素-金属結合が重要な役割を果たしていると考えられる。

35001599
Pressure dependence of the structure of liquid Sn up to 19.4 GPa
鳴島 崇*; 服部 高典; 木下 智裕*; Hinzmann, A*; 辻 和彦*
Physical Review B 76(10), p.104204_1-104204_8(2007) ; (JAEA-J 03179)
 高圧下における液体Snの構造を19.4GPaの圧力まで放射光X線回折によって調べた。約3-6GPaまでの加圧において、局所構造の異方性を示す特徴の減少、つまりS(Q)の第一ピークの右肩のこぶの現象,第一ピークに対する第二ピーク位置Q2/Q1の減少,配位数の増大が見られた。これらの特徴は、液体の局所構造が加圧に伴い単純なものになることを示唆する。しかしながら、さらに高い圧力まで加圧したとき、これらの変化はもはや見られなくなった。その時の構造パラメータは、依然単純液体のものからずれている。このことは、これまでの予想と異なり、液体は単調に単純液体に近づくのでなく、比較的安定な異方的な局所構造を持つ液体を経由することを示している。液体Snの構造変化を液体Si, Geの結果と比較し、14族元素の液体の構造変化の系統性を議論する。

35001600
Neutron-induced reactions using a γ-ray detector in a 12C(α,γ)16O reaction study
牧井 宏之; 永井 泰樹*; 三島 賢二*; 瀬川 麻里子; 嶋 達志*; 井頭 政之*
Physical Review C 76(2), p.022801_1-022801_5(2007) ; (JAEA-J 03180)
 パルス化αビームを12C標的に照射し、発生したγ線をNaI(Tl)検出器で測定した結果、127I(n,n'γ)127Iや127I(n,γ)128I反応に特徴的な連続スペクトルが観測された。過去に行われた連続αビームとGe検出器を用いた12C(α,γ)16O反応断面積測定でも同様に、Ge同位体の(n,n'γ)反応に特徴的なピークや連続スペクトル、70Ge(n,p)70Ga反応による幅の広いピークが観測されており、12C標的に含まれる9Beや13C等の不純物による(α,n)反応がこれらのバックグラウンドに寄与していることを確認した。これらの観測されたスペクトルとシミュレーションで得られたスペクトルを比較した結果、Ge同位体と中性子による反応が12C(α,γ)16O反応測定に重大な影響を与えることが判明した。この結果は、現在進行中の12C(α,γ)16O反応断面積測定データの解析や過去に行われた測定の再評価、将来の新たな測定計画に重要な指針を与えるものである。

35001601
Exotic superconducting properties in the electron-hole-compensated heavy-fermion "semimetal" URu2Si2
笠原 裕一*; 岩澤 卓矢*; 宍戸 寛明*; 芝内 孝禎*; Behnia, K.*; 芳賀 芳範; 松田 達磨; 大貫 惇睦; Sigrist, M.*; 松田 祐司*
Physical Review Letters 99(116), p.116402_1-116402_4(2007) ; (JAEA-J 03181)
 We show that the charge and thermal transport measurements on ultraclean crystals of URu2Si2 reveal a number of unprecedented superconducting properties. The uniqueness is best highlighted by the peculiar field dependence of thermal conductivity including the first order transition at Hc2 with a reduction of entropy flow. This is a consequence of multi-band superconductivity with compensated electronic structure in the hidden order state of this system. We provide strong evidence for a new type of unconventional superconductivity with two distinct gaps having different nodal topology.

35001602
Alteration of resistance to black Sigatoka (Mycosphaerella fijiensis Morelet) in banana by in vitro irradiation using carbon ion-beam
Reyes-Borja, W. O.*; Sotomayor, I.*; Garzón, I.*; Vera, D.*; Cedeñno, M.*; Castillo, B.*; 田中 淳; 長谷 純宏; 瀬古澤 由彦*; 菅谷 純子*; 弦間 洋*
Plant Biotechnology 24(3), p.349-353(2007) ; (JAEA-J 03182)
 Carbon-ion beam was applied to explants of banana "Cavendish Enano" and "Williams" cultivars, in order to study the critical doses, genetic variability and response to black Sigatoka disease; doses employed were: 0, 0.5, 1, 2, 4, 8, 16, 32, 64 and 128 Gy. Biological effect of each dose on height (cm), weight (g), survival rate (%) was recorded. For black Sigatoka assessment on regenerated plants, the disease development period (DDP-days), infection index (II-%) and leaf disc necrotic area (LDNA-%) by juglone toxin were measured. As results, the mortality was increased in explants exposed to higher doses. Weight and height were reduced by doses of 16-128 Gy. Six plants of "Williams" (code number: "W16II74", "W128I67", "W1II148", "W8II13", "W1II19" and "W1II31") and two plants of "Cavendish Enano" (code numbers: "CE4II30" and "CE64I5") were selected as candidates by virtue of being less affected by the disease and by the toxin.

35001603
Biosynthesis and secretion of mugineic acid family phytosiderophores in zinc-deficient barley
鈴木 基史*; 高橋 美智子*; 塚本 崇志*; 渡辺 智; 松橋 信平; 矢崎 潤史*; 岸本 直己*; 菊池 尚志*; 中西 啓仁*; 森 敏*; 西澤 直子*
Plant Journal 48(1), p.85-97(2006) ; (JAEA-J 03183)
 Mugineic acid family phytosiderophores (MAs) are metal chelators that are produced in graminaceous plants in response to Fe deficiency, but current evidence regarding secretion of MAs during Zn deficiency is contradictory. HPLC analysis showed that Zn deficiency induces the synthesis and secretion of MAs in barley plants. Studies of the genes involved in the methionine cycle using microarray analysis showed that the transcripts of these genes were increased in both Zn-deficient and Fe-deficient barley roots. Analysis using the PETIS confirmed that more 62Zn(II)-MAs than 62Zn2+ were absorbed by the roots of Zn-deficient barley plants. These data suggest that the increased biosynthesis and secretion of MAs arising from a shortage of Zn are not due to an induced Fe deficiency, and that secreted MAs are effective in absorbing Zn from the soil.

35001604
Double crosslinked polyetheretherketone-based polymer electrolyte membranes prepared by radiation and thermal crosslinking techniques
Chen, J.; 前川 康成; 浅野 雅春; 吉田 勝
Polymer 48(20), p.6002-6009(2007) ; (JAEA-J 03184)
 PEEKフィルムに電子線照射し、架橋構造を付与した。架橋線量の増加とともに架橋密度は増加し、67MGyの架橋線量で85%のゲル化率に達することがわかった。架橋PEEK膜はクロロスルホン酸溶液、又は濃硫酸に不溶となり、形状を維持することができた。そのため、これらのスルホン化剤を用いて直接PEEK電解質膜を得ることができた。一方、未架橋PEEKフィルムは、上述のスルホン化溶液中に瞬時に溶解してしまった。架橋PEEK電解質膜の含水率は架橋線量に大きく依存し、14MGy線量での架橋電解質膜の含水率は1476%であるのに対し、100MGy線量で架橋した電解質膜の含水率は102%まで低下することがわかった。

35001605
Mutational reconstructed ferric chelate reductase confers enhanced tolerance in rice to iron deficiency in calcareous soil
石丸 泰寛*; Kim, S.*; 塚本 崇志*; 大木 宏之*; 小林 高範*; 渡辺 智; 松橋 信平; 高橋 美智子*; 中西 啓仁*; 森 敏*; 西澤 直子*
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 104(18), p.7373-7378(2007) ; (JAEA-J 03185)
 Fe deficiency is a worldwide agricultural problem on calcareous soils. Rice plants use a well documented phytosiderophore-based system to take up Fe from the soil. Rice plants are extremely susceptible to low-Fe supply, however, because of low phytosiderophore secretion and low Fe3+ reduction activity. A yeast Fe3+ chelate-reductase gene refre1/372, selected for better performance at high pH, was fused to the promoter of the Fe-regulated transporter, OsIRT1, and introduced into rice plants. The transgene was expressed in response to a low-Fe nutritional status in roots of transformants. Transgenic rice plants expressing the refre1/372 gene showed higher Fe3+ chelate-reductase activity and a higher Fe-uptake rate than vector controls under Fe-deficient conditions. Consequently, transgenic rice plants exhibited an enhanced tolerance to low-Fe availability and 7.9x the grain yield of nontransformed plants in calcareous soils.

35001606
52Mn translocation in barley monitored using a positron-emitting tracer imaging system
塚本 崇志*; 中西 啓仁*; 清宮 正一郎*; 渡辺 智; 松橋 信平; 西澤 直子*; 森 敏*
Soil Science and Plant Nutrition 52(6), p.717-725(2006) ; (JAEA-J 03186)
 Until now, the real-time uptake and movement of Mn, has not been documented in plants. In this study, the real-time translocation of Mn in barley was visualized using 52Mn and PETIS. In all cases, 52Mn first accumulated in the discrimination center (DC), suggesting that this region may play an important role in Mn distribution in graminaceous plants. Mn deficient barley showed greater translocation of 52Mn from roots to shoots than did Mn-sufficient barley. In contrast, the translocation of 52Mn from roots to shoots was suppressed in Mn-excess barley. In Mn-sufficient barley, the dark treatment did not suppress the translocation of 52Mn to the youngest leaf, suggesting that the translocation of Mn to the youngest leaf is independent of the transpiration stream. Our results show that the translocation of Mn from the roots to the DC depends passively on water flow, but actively on the Mn transporter(s).

35001607
Vibrationally-assisted dissociative adsorption of oxygen on Ru(0001)-p(2×1)-O
高橋 真*; 藤本 洋介*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆; 奥山 弘*; 有賀 哲也*
Surface Science 601(18), p.3809-3812(2007) ; (JAEA-J 03187)
 運動エネルギーが0.5eVから1.0eVの超音速分子ビーム技術と放射光を用いた高分解能X線光電子分光法をRu(0001)表面での酸素分子の解離吸着反応の研究に適用した。運動エネルギーの増加とともに吸着確率と飽和吸着量の増加が見られたことは直接的な吸着機構を示唆している。内部エネルギーの効果を確かめるため、分子ビーム源を加熱した場合としない場合で酸素吸着曲線を測定した。ビーム源を1400Kまで加熱した場合には解離吸着が劇的に促進された。超音速分子ビームが断熱膨張するときに回転と並進エネルギーが十分冷却されるのに比較して、振動分布は本質的にほとんど緩和されないことが知られている。そのため、この吸着の増速はおもに分子振動の励起によると結論した。これは解離のエネルギー障壁がポテンシャルエネルギー曲面の出口側にあることを示している。そのような振動エネルギー効果はp(2×1)構造に対応する0.5モノレイヤーまで酸素であらかじめ酸化したRu(0001)表面でも観察された。

35001608
Single crystalline β-FeSi2 grown using high-purity FeSi2 source
後藤 宏平*; 鈴木 弘和*; 鵜殿 治彦*; 菊間 勲*; 江坂 文孝; 打越 雅仁*; 一色 実*
Thin Solid Films 515(22), p.8263-8267(2007) ; (JAEA-J 03188)
 FeSi2原料の純度が溶液から成長させたβ-FeSi2の電気特性に及ぼす影響について調べた。高純度FeSi2原料は、純度5NのFeと5NupのSiを石英アンプル中で溶融合金化することにより合成した。アーク熔解で合金化したFeSi2合金を用いて成長させたβ-FeSi2単結晶はp型を示したものの、高純度FeSi2を用いてZn溶媒から成長させたβ-FeSi2単結晶はn型を示した。二次イオン質量分析の結果、p型単結晶中にはn型単結晶に比べて高い濃度のCr, Mn, Coなどの不純物が存在することがわかり、これらが電気特性に影響を及ぼしていることが示唆された。

35001609
北海道北部,幌延地域における後期鮮新世以降の古地理と地質構造発達史
新里 忠史; 舟木 泰智; 安江 健一
地質学雑誌 113(Suppl.), p.119-135(2007) ; (JAEA-J 03189)
 北海道北部地域の西部には、新第三紀以降の堆積物の全層厚が約6,000mに及ぶ天北(第三紀)堆積盆が分布する。同堆積盆の後期鮮新世以降におけるテクトニクスは、アムールプレートとオホーツクプレートとの相互作用により基本的な枠組みが形作られており、その枠組みのもと、西フェルゲンツをなすfold-and-thrust帯の地質構造の形成や、堆積中心の西方への移動が進行したと考えられる。また、最終氷期最寒冷期において不連続的永久凍土帯にあったと考えられる幌延地域では、下刻作用に加えて周氷河作用が合わさり、現在の地形と表層地質が形成されたと考えられる。見学旅行では、天北堆積盆の南東部に位置する幌延地域西部において、新第三系及び第四系に発達する割れ目群と堆積相,それら地層を覆う風成堆積物,周氷河成と考えられる堆積物、及びそれら地層のボーリングコアを観察する。また、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターにおいて、周氷河地形の観察と地下施設の見学を行う。

35001610
ITER超伝導コイルの技術開発で進展
奥野 清
超電導コミュニケーションズ 16(3), p.6-7(2007) ; (JAEA-J 03190)
 国際熱核融合実験炉ITER計画では、2006年11月にITER実施協定が参加7極により調印され、同年12月には暫定ITER機構がカダラッシュ(フランス)に発足した。また日本では、ITER実施協定が本年5月に国会で承認され、参加7極すべての批准が完了すればITERの建設が正式に開始されることになる。ITERにおいて日本は、超伝導マグネットの主要部分に加え、中性粒子ビーム入射加熱装置,高周波加熱装置,遠隔保守機器,ダイバータ,ブランケット第一壁,トリチウムプラント,計測装置など、ITER本体機器の約20%の調達を分担する。超伝導コイルでは、日本は、トロイダル磁場(TF)コイル用導体の約25%と中心ソレノイド(CS)用導体の全量、さらにTFコイル巻線の約半分,TFコイル構造物(容器)の全量を分担し、その貢献度は7極中で一番である。このような国際的な期待に応え、ITER計画を滞りなく進めるため、日本原子力研究開発機構(原子力機構)では調達開始に向けた技術準備活動を強力に実施している。

35001611
Effects of Abasic site and 8oxoG lesions on DNA molecule
樋口 真理子; Pinak, M.; 斎藤 公明
保健物理 42(2), p.166-173(2007) ; (JAEA-J 03191)
 8オキソグアニンと塩基脱落部位を含むクラスターDNA損傷は、酵素による修復が阻害される一つの例である。2ナノ秒の分子動力学シミュレーションを行い、クラスターDNA損傷において、塩基脱落部位は8オキソグアニンよりも大きな影響をDNA構造変化に及ぼすことがわかった。クラスターDNA損傷はおもに塩基脱落部位において曲がった構造をとる。8オキソグアニンと塩基脱落部位を含むクラスターDNA損傷の曲がる方向は、8オキソグアニン単独の損傷を持つDNAとは異なっている。これらの変化はDNA修復酵素の働きに影響を与えると考えられる。

35001612
核燃料再処理施設における設備材料の信頼性確保
山本 正弘
表面技術 58(9), p.500-505(2007) ; (JAEA-J 03192)
 我が国では、大量生産・消費社会は既に終焉し、急速に少子高齢化が進んできた。われわれの安心・安全を担う各種設備も短期間に取替えるのでなく、長期間に渡りメンテナンスを施しながら使用せねばならない状況に変わりつつある。1997年度の経済データで積算された我が国の腐食コスト調査結果によると、電力事業における保守管理費の割合は25年前に調べられた同様の調査に対して10倍以上の高額であると報告されている。本解説では、過酷な腐食環境として核燃料再処理施設を取り上げ、過去に発生した腐食によるトラブル事例とその対策を紹介し、新開発ステンレス鋼やプロセスの変更による信頼性の向上、また、寿命予測手法などを関連する文献調査よりまとめ、この分野における信頼性を確保する手法と今後の課題について述べた。

35001613
強誘電体を用いた温度勾配の変化を検出するセンサ
米田 安宏
ケミカルエンジニヤリング 52(9), p.665-670(2007) ; (JAEA-J 03193)
 強誘電体のドメイン応答を用いて温度変動を敏感に検出するセンサを開発した。強誘電体材料として、チタン酸バリウムを用いた。温度変動に対する適正なドメイン応答を起こすようにするためにチタン酸バリウムで薄膜を作成しセンサとなるキャパシタとした。これによって、強誘電体薄膜は基板効果によってドメインの自由揺動が阻害され、検出すべき温度変動をコントロールすることが可能となった。また、このセンサの動作原理はSPring-8で行ったトポグラフィの実験によって明らかになっており、バルクのチタン酸バリウムの場合、温度変動をミリケルビンオーダーに抑えなければ静的なドメイン構成が得られないことがわかっており、薄膜にすることの効果が確認されている。

35001614
DIDPA溶媒からのDTPAによる希土類元素の選択的連続逆抽出
藤原 武; 森田 泰治
日本原子力学会和文論文誌 6(3), p.358-364(2007) ; (JAEA-J 03194)
 日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)で開発を進めてきた4群群分離プロセスでは、HLLWから超ウラン元素を一括で抽出分離する工程において、抽出剤として酸性リン酸エステル系抽出剤であるジイソデシルリン酸(DIDPA)を用いている。DIDPA抽出剤を用いた抽出分離工程では、3価の超ウラン元素(An(III))を抽出する際に希土類元素群(REs)も同時に抽出される。溶媒抽出によるAn(III)とREsとの分離法としては、Talspeak法と呼ばれる、抽出剤にDEHPAを、錯形成剤にDTPAを用いて、水相側にAn(III)を回収する分離法が開発されている。本研究では、ミキサーセトラーを用いた連続逆抽出試験により、抽出剤に4群群分離プロセスにおいて採用しているDIDPA,錯形成剤にDTPAを用いる系において、An(III)の選択的逆抽出を模擬する試験を行った。試験では、An(III)の模擬元素としてNdを用い、またREsをLaで代表させて、LaとNdの2成分系とした。その結果、Laを有機相に残し、Ndのみを回収率99.8%以上で選択的に水相に回収できることを実験的に確認した。また、ミキサーセトラー内のpH分布は、アンモニウムイオン抽出についてのバッチ実験の結果をもとに予測可能であることも確認できた。この知見をもとに、DIDPA-DTPA系によるAn(III)の選択的逆抽出工程のさまざまな条件におけるAn(III)の挙動を予測することが可能である。

35001615
界面初期欠陥を有するITER用第一壁の亀裂進展の評価
鈴木 哲; 榎枝 幹男; 松田 博和*; 平松 秀基*; 黒田 敏公*
日本原子力学会和文論文誌 6(3), p.365-369(2007) ; (JAEA-J 03195)
 国際熱核融合実験炉(ITER)の第一壁の冷却管及び銅合金製熱シンクは熱間等方圧加圧(HIP)法によって製作される見通しである。第一壁の受け入れ検査の一つとして、超音波探傷法(UT)による非破壊検査が用いられる。したがって、第一壁のHIP接合部の初期欠陥に関する検査基準を明確にすることは第一壁の健全性にとって非常に重要である。本稿では、数値解析により第一壁HIP接合部の初期欠陥の熱機械的挙動を明らかにし、熱負荷を受ける初期欠陥の進展挙動をJ積分を用いて評価した。その結果、10mm×20mmの半楕円亀裂を初期欠陥として仮定した場合でも、ITER熱負荷条件下では進展する可能性は小さいことが明らかになった。この欠陥寸法は、既存の超音波探傷技術で検出可能な欠陥より一桁大きなものであり、ITERの運転において有害となりうる第一壁の初期欠陥は既存技術で十分に検出可能であることを明らかにした。

35001616
粉末中性子回折によるメタンハイドレートの水素原子の観測
星川 晃範
日本結晶学会誌 49(4), p.219-224(2007) ; (JAEA-J 03196)
 メタンハイドレートは水分子の水素結合によってカゴ状に形成されたホストケージ構造の中にゲスト分子であるメタン分子が内包された水和化合物である。CH4ハイドレートとCD4ハイドレートの2種類のメタンハイドレートに関して、粉末中性子回折による結晶構造解析を行った。Rietveld解析とマキシマムエントロピー法を組合せることによって得られた散乱長密度分布で、水分子とメタン分子にそれぞれに含まれている水素原子に着目した。その結果、特定の水分子の水素原子の広がりが大きくなっていること、及び内包されているメタンの水素原子の広がりが内包されているカゴの構造に依存していることが明らかになった。これらの結果から、ホストケージ構造の水素結合が部分的に弱い可能性があること、メタン分子は自由に回転しているわけではなく、ホストケージ構造に依存していることが明らかになった。以上の研究結果の紹介を行った。

35001617
大電力ジャイロトロンを用いたマイクロ波ロケットの推進性能の大気圧力依存性
小田 泰久*; 小紫 公也*; 高橋 幸司; 春日井 敦; 坂本 慶司
プラズマ・核融合学会誌 83(3), p.296-299(2007) ; (JAEA-J 03197)
 マイクロ波ロケットの高空飛行時の推進性能を議論するため、減圧環境でのマイクロ波プラズマの生成・成長の様子を観測し、推進性能との関連を調べた。その結果、電離波面の伝播速度,伝播マッハ数は雰囲気圧力の低下に伴い急激に大きくなることがわかった。また1.0atmから0.2atmまではプラズマの細かいフィラメント構造が確認されたが、0.1atm以下ではフィラメント構造は消滅した。推力測定の結果、運動量結合係数(=推力インパルス/入力エネルギー)は、雰囲気圧力の変化に対してほぼ一定に保たれたが、0.1atm以下では推力は急激に低下した。この雰囲気圧力ではプラズマのフィラメント構造も消失しており、衝撃波と電離波面の関係が大きく変化している可能性がある。以上の結果より、高空飛行時においても、推進器内部の圧力を0.2atm以上に保つことによって、地上実験と同程度の推進性能が得られることが示唆された。

35001618
多価イオンを用いたプラズマ光源
田沼 肇*; 佐々木 明
プラズマ・核融合学会誌 83(8), p.679-683(2007) ; (JAEA-J 03198)
 多価イオンのEUV(極端紫外)光源への応用について述べる。XeやSnの10価前後のイオンの4-4遷移から放出される光を、高出力,高効率なEUV光源に応用する可能性が、詳細な理論的及び実験的研究により明らかにされた。電荷交換分光法によるXe, Sn多価イオンの共鳴線の波長の測定をはじめ、原子データ,原子モデルの精度を高めることにより、実験的なレーザープラズマ光源の輻射変換効率やスペクトルを輻射流体シミュレーションで再現し、光源の特性の評価が行えるようになった。

35001619
241Am-Be中性子線源における中性子放出角度分布の非等方性
辻村 憲雄; 吉田 忠義
Radioisotopes 56(9), p.497-508(2007) ; (JAEA-J 03199)
 中性子線量当量(率)測定器の校正に使用する241Am-Be中性子線源について、中性子放出角度分布の非等方性を計算によって評価した。ここでは、球形の241AmO2が厚いBeに囲まれる線源モデルを仮定し、(1)AmO2表面でのα粒子のスペクトル,(2)9Be(α,n)反応によって発生する中性子のスペクトル、(3)線源カプセルから漏洩する中性子のスペクトルの順にそれぞれ計算した。(1)と(2)の計算ではα粒子の阻止能と9Be(α,n)反応微分断面積(JENDL/AN-2005)、(3)の計算ではモンテカルロ輸送計算コードMCNPを利用した。計算の結果、AmO2の粒径を3μmとした場合、中性子の収率及びスペクトルがともに標準的な241Am-Be線源のものによく一致することがわかった。また、同じ粒径条件で算出した241Am-Be中性子線源の非等方性補正係数は、X3型線源で1.030、X4型線源で1.039となり、文献から得られた実測値にともによく一致した。さらに、線源カプセルの周囲に支持構造物がある場合の影響についても検討した。

35001620
Chemiluminescence ELISA for the detection of oxidative DNA base damage using anti-8-hydroxy-2'-deoxyguanosine antibody; Application to the detection of irradiated foods
菊地 正博; Gunawardane, C. R.; Alam, M. K.; Mohd Dzomir, A. Z.; Pitipanaarachchi, R. C.; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 坂下 哲哉; 和田 成一*; 佐藤 勝也; 鳴海 一成; 小林 泰彦
Radioisotopes 56(9), p.509-517(2007) ; (JAEA-J 03200)
 食糧の保存中の損耗防止や衛生確保,食中毒防止のために電離放射線を食品に照射する場合、その適切な管理には汎用性のある照射食品検知法(照射の有無の判別法)が必要である。そこで、照射食品と非照射食品を識別するため、抗8-OHdG抗体を用いた化学発光-酵素免疫測定(ELISA)法によるDNAの酸化的塩基損傷検出法を開発した。ELISA反応の条件検討は、8-hydroxyguanine(8-oxoG)を含む30-merのオリゴヌクレオチドを用いて行い、その条件でオリゴヌクレオチド中の8-oxoG含量と化学発光強度の関係が得られた。この化学発光ELISA法では、3kGyを越える線量で照射された鶏肉・豚肉・牛肉を識別できることが示唆された。この方法では、照射肉と非照射肉の識別に要する肉片は20mgで十分である。

35001621
A New method for parametiric imaging of photosynthesis with C-11 carbon dioxide and Positron Emitting Tracer Imaging System (PETIS)
河地 有木; 藤巻 秀; 石井 里美; 鈴井 伸郎; 石岡 典子; 松橋 信平
Nuclear Science Symposium Conference Record, 2006 IEEE, Vol.3 (CD-ROM) , p.1519-1522(2006) ; (JAEA-J 03201)
 The positron emitting tracer imaging system (PETIS) and carbon-11-labeled carbon dioxide (11CO2) can image carbon movement during photosynthesis in a plant leaf, and 11C kinetics make it possible to estimate physiological function parameters in those photosynthesis processes. With an exposure 11CO2 gas to a leaf, PETIS experiments were performed iteratively under dark and light environments on a single leaf. In order to estimate the rate constants of photosynthetic parameters, time activity curves of 11CO2 gas input and leaf response were fitted to an appropriate compartmental tracer kinetic model, which applies influx and efflux for photo-assimilation and sucrose export rate constants respectively. Results obtained from the kinetic analysis are consistent with physiological knowledge and important to discuss photosynthesis in plant physiology and agriculture. In addition, the proposed method in this paper produce parametric images of photosynthetic functions on a pixel-by-pixel basis successfully, in other words, molecular imaging for plant study is demonstrated.

35001622
Storm surge simulation on hurricane Katrina in gulf of Mexico using air-wave-sea coupling model
Kim, K.*; 永井 晴康; 山下 隆男*
Proceedings of 4th International Conference on Asian and Pacific Coasts (APAC 2007) (CD-ROM) , p.567-578(2007) ; (JAEA-J 03202)
 数値環境システムSPEEDI-MP開発の一環として、高潮を詳細計算するために風-波浪-高潮相互作用の計算モジュールを開発した。この中で、白波砕波ストレスによる風から海流への運動量輸送を計算する過程を新規に導入した。開発した大気-波浪-海洋結合システムは、2005年のハリケーン・カトリーナによる高潮の再現計算により有効性を確認した。

35001623
Current status and development plan on fuel cycle system of fast reactor cycle technology in Japan
伊藤 正徳; 船坂 英之; 滑川 卓志
Proceedings of European Nuclear Conference 2007 (ENC 2007) (CD-ROM) , 7p.(2007) ; (JAEA-J 03203)
 日本における高速増殖炉サイクル実用化研究(FaCT)計画を進めるため、先進湿式再処理技術開発として6課題、簡素化ペレット法技術開発課題として6課題が選定された。2010年までに採用する革新技術を決め、2015年までに実用システムへの適用性を見極める。再処理においては、硝析技術とクロマトグラフィによるMA回収技術の開発が重要であり、基礎研究から工学規模の試験まで広範な研究開発を実施していく。簡素化ペレット法については、脱硝転換・造粒技術を開発し流動性の良好なMOX原料粉を製造することが重要である。また、低除染TRU燃料製造を実用化するためには、高い遠隔保守性を有するモジュール化設備の開発とセル内補修システムを開発することが必要である。

35001624
Development of a new thermo-chemical and electrolytic hybrid hydrogen production process utilizing the heat from medium temperature heat source; Development of the 1NL/h hydrogen production experimental apparatus
高井 俊秀; 中桐 俊男; 稲垣 嘉之
Proceedings of Hydrogen & Fuel Cells 2007; International Conference and Trade Show (CD-ROM) , p.233-242(2007) ; (JAEA-J 03204)
 硫酸の分解・再合成過程を利用した水素製造方法であるウエスティングハウスプロセスを低温化した熱電併用ハイブリッド水素製造プロセス(HHLT)による1NL/h規模の試験装置が新たに開発された。現在、本装置の水素製造効率を評価する試験を実施中であり、本報ではこの試験結果について報告した。

35001625
Progress in the R&D project on oxide dispersion strengthened and precipitation hardened ferritic steels for sodium cooled fast breeder reactor fuels
皆藤 威二; 大塚 智史; 井上 賢紀
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM) , p.37-42(2007) ; (JAEA-J 03205)
 高速炉燃料の高燃焼度化は、それらを構成する材料の照射性能に依存する。このため、日本原子力研究開発機構では、高燃焼度燃料のための最も有望な候補材料として、酸化物分散強化型(ODS)フェライト鋼被覆管と析出強化型(PH)フェライト鋼ラッパ管を開発している。小規模での製造技術が既に確立され、数百本のODS鋼被覆管と何十本のPH鋼ラッパ管の製造に成功した。将来の商業炉にこれらの材料を供給するためには量産技術開発が不可欠である。製造したこれら材料の機械的特性について、炉外試験及び「常陽」やFFTFでの材料照射試験によって調査した。これらの結果に基づき、それぞれの材料について暫定的な強度基準を策定した。これらの材料強度基準を高度化し、照射性能を実証するために「常陽」やBOR-60を利用した一連の照射試験を実施する計画である。また、2025年以降に運転開始が計画されている実証炉の設計研究に反映する。

35001626
Current status and perspective of advanced loop type fast reactor in fast reactor cycle technology development project
丹羽 元; 青砥 紀身; 森下 正樹
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM) , p.62-70(2007) ; (JAEA-J 03206)
 After selecting the combination of the sodium-cooled fast reactor (SFR) with oxide fuel, the advanced aqueous reprocessing and the simplified pelletizing fuel fabrication as the most promising concept of FR cycle system, Feasibility Study on Commercialized Fast Reactor Cycle Systems was finalized in 2006. Instead, a new project, Fast Reactor Cycle Technology Development Project (FaCT Project) was launched in Japan focusing on development of the selected concepts. This paper describes the current status and perspective of the advanced loop type SFR system in the FaCT Project, especially on the design requirements, current design as well as the related innovative technologies together with the development roadmap. Some considerations on advantages of the advanced loop type design are also described.

35001627
The Prospective role of JAEA Nuclear Fuel Cycle Engineering Laboratories
小島 久雄; 土尻 滋; 田中 和彦; 武田 誠一郎; 野村 茂雄
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM) , p.273-282(2007) ; (JAEA-J 03207)
 核燃料サイクル開発機構東海事業所から業務を引き継いで設立された核燃料サイクル工学研究所は、1959年にウラン精錬技術からの研究をもって事業を開始し、ウラン濃縮技術,軽水炉再処理,MOX燃料製造にかかわる技術開発を達成したほか、高レベル放射性廃棄物処分,高速増殖炉燃料再処理技術の研究開発を実施しており、その間適切な環境放出放射能の管理,核物質の管理を実施してきた。今後も、FBRからLWRへの過渡期の再処理技術開発,MOX燃料製造技術改良,先進的FBR燃料再処理技術開発,高レベル放射性廃棄物処分技術開発の各分野にかかわる研究開発により、核燃料サイクルの実現に貢献していく。

35001628
Development of probabilistic design method for annular fuels
小澤 隆之
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM) , p.404-408(2007) ; (JAEA-J 03208)
 将来の高速炉燃料として考えられている中空燃料の設計を合理的に行うため、確率論的中空燃料設計コード"BORNFREE-CEPTAR"を開発した。確率論的燃料設計手法では、照射挙動に則したかたちで、燃料中心温度,被覆管温度,被覆管応力等の設計評価指標をモンテカルロ法で評価し、設計裕度についても定量的に評価することが可能である。本コードを用いた確率論的評価の結果、将来の高速炉燃料の高性能化について実現の可能性が定量的に示された。

35001629
Waste handling activities in glovebox dismantling facility
北村 哲浩; 岡田 尚; 嘉代 甲子男; 吉野 正則*; 平野 宏志*
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM) , p.531-536(2007) ; (JAEA-J 03209)
 原子力機構サイクル工学研究所プルトニウム燃料技術開発センター第三開発室に設置されている解体設備での廃棄物の取扱作業について説明する。解体設備では同じ容積のグローブボックスのみを取り扱うが、将来どのような廃棄物処理法になっても対応できるよう、廃棄物を材質ごとに分別している。今後の廃止措置,廃棄物処理・処分に反映するために取得したデータを分析する。また、これまでに実施した改善及び今後導入が必要と考えられる改善案をまとめる。

35001630
Improvement on the prediction accuracy of transmutation properties for fast reactor core using the minor actinides irradiation test data on the JOYO MK-II core
杉野 和輝
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM) , p.653-661(2007) ; (JAEA-J 03210)
 MA核データの検証及び高速炉を用いたMA核変換特性の予測精度向上のために「常陽」におけるMAサンプル照射試験データを活用した。照射試験データの解析の結果、計算値は実験値と良い一致を示し、JENDL-3.3のMA断面積は高速炉の解析においてほぼ満足の行く結果を生み出すことがわかった。また、本解析結果を用いた炉定数調整法の適用により高速炉におけるMA核変換特性の不確かさを半分以下にできる可能性のあることがわかった。

35001631
Conceptual design of the HTTR-IS hydrogen production system; Dynamic simulation code development for advanced process heat exchanger in the HTTR-IS system
佐藤 博之; 久保 真治; 坂場 成昭; 大橋 弘史; 佐野 直樹; 西原 哲夫; 國富 一彦
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM) , p.812-819(2007) ; (JAEA-J 03211)
 原子力機構では、HTTR-ISシステムのプラント動特性解析コードの開発を行っている。本コードの特長は、ISプロセスのヘリウムガス熱交換型化学反応器における相変化や化学反応を評価可能とするAPHXモジュールである。本モジュールの開発によって従来評価を行うことが困難であった、ISプロセス除熱増大事象の評価が可能となった。また、本コードを用いてISプロセスの除熱増大事象の代表事象候補となる2ケースについて解析を行った結果、提案する熱負荷変動吸収手法を用いることにより、ISプロセス除熱量増大事象が原子炉の運転に影響を与えないことを明らかにした。

35001632
Study on characteristics of recycled MOX powder suitable for low density pellet fabrication
村上 龍敏; 鈴木 紀一; 青野 茂典
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM) , p.891-896(2007) ; (JAEA-J 03212)
 低密度ペレット燃料の製造では、燃料製造の過程でポアフォーマと呼ばれる有機物を原料粉末に添加し、ペレット内に気孔(ポア)を設けることで低密度化を実現しているが、ポアフォーマは、原料粉末に比べ密度が非常に低いため燃料製造の過程で偏在し、焼結ペレット密度のばらつきを生じる原因となるので、ポアフォーマ添加率は可能な限り低くして低密度化することが望ましい。一方、ペレット製造では、工程内で発生した不合格ペレットなどを粉砕し、粉末として再利用する(「乾式回収粉末」という。)が、粒の粗い乾式回収粉末を原料に用いると乾式回収粉末がポアフォーマの役割を担い、結果、ペレットの焼結密度が低下することがこれまでの実績からわかっている。このため、本試験では、乾式回収粉末の製造条件(ペレットの粉砕条件)を変動させて数種類の乾式回収粉末を製造し、このうち低密度ペレットの製造に最も適すると考えられる乾式回収粉末を用いてペレット製造試験を行い、低密度ペレット製造への適用性を評価した。

35001633
Preparation of low oxygen-to-metal mixed oxide fuels for the advanced fast reactor
加藤 正人; 中道 晋哉; 高野 龍雄
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM) , p.916-920(2007) ; (JAEA-J 03213)
 マイナーアクチニドを含有した酸化物燃料が先進高速炉の燃料として開発が進められている。燃料開発の一環として、さまざまな物性データの研究が行われてきた。燃料は、高燃焼を達成するために低O/Mの仕様である。MA含有MOX燃料は常陽において照射試験が進められている。本研究では、均質な低O/M燃料を調製するために、焼結挙動とO/M調整のための熱処理の挙動を調べ、熱処理条件を決定することを目的とする。焼結工程では、酸素ポテンシャルの高い雰囲気で熱処理をすることによって、均質な高密度ペレットを調整することができた。また、O/M調整の熱処理では、急激なO/M変化をさせるとペレット内にポアの成長とクラックが発生するため、徐々にO/Mを下げる必要がある。これらの試験結果から得られた条件をもとにMA含有MOXの製造条件を決定し、実際の照射試験燃料製造によって実証した。

35001634
Attempts to improve radiolytic stability of amidic extractants
須郷 由美; 佐々木 祐二; 木村 貴海; 関根 勉*
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM) , p.1870-1873(2007) ; (JAEA-J 03214)
 使用済核燃料からのアクチノイド分離に有用な3座配位のジアミド化合物、N,N,N',N'-テトラオクチルジグリコールアミド(TODGA)の耐放射線性及びその放射線分解メカニズムについてこれまで明らかにしてきた。本研究では、より耐放射線性の高い新抽出剤の開発に資するため、これまで明らかにしてきた放射線分解メカニズムをもとに、耐放射線性に対する添加剤や溶媒の効果、及び分子内への芳香環導入効果について検討した。その結果、モノアミドなどの添加剤を抽出剤のドデカン溶液に加えることで、ドデカンの持つ放射線分解促進作用を低減できることがわかった。また、イオン化ポテンシャルの低い溶媒を希釈剤に用いることで、放射線分解初期過程の反応を抑制することができた。さらに、放射線化学的に安定な芳香環を分子内に導入することでも、抽出剤の耐放射線性を向上させることができるとの知見を得た。

35001635
Simulation of long time averaged concentration under actual meteorological conditions
原 智宏*; 大場 良二*; 岡林 一木*; 米田 次郎*; 永井 晴康; 林 隆*
Proceedings of International Workshop on Physical Modelling of Flow and Dispersion Phenomena (PHYSMOD 2007) , p.167-174(2007) ; (JAEA-J 03215)
 風洞実験で回転テーブルを用いることにより、筑波山でのガス水平拡散に対する風向の変動の効果を再現した。実験結果は、日本原子力研究所が1989年及び1990年に実施した野外拡散実験の観測データを用いて検証を行った。また、筑波山での現実の非定常気流場とガス拡散の再現計算も実施し、野外実験データとの比較を行い、中立,安定,不安定大気でよく一致することを確認した。

35001636
Preformed plasma characterization for high-intensity laser and plasma interactions
匂坂 明人
Science and Technology Created by Ultra-Short, Ultra-High-Peak Power Lasers , p.43-53(2007) ; (JAEA-J 03216)
 高強度レーザーと物質との相互作用により、高エネルギー粒子(イオン,電子)やX線が生成される。ここで発生した高エネルギー粒子等は、さまざまな応用が提案されテーブルトップの量子ビーム源として注目されている。このような高強度レーザーと物質との相互作用の物理過程を調べるうえで、レーザーのプリパルスによって生成されるプリプラズマを評価しておく必要がある。実験は、チタンサファイアレーザー(中心波長800nm,パルス幅50fs)を集光用のポンプ光と計測用のプローブ光に分け、ポンプ光をタンタルターゲットに照射し、発生するプリプラズマをプローブ光の干渉計測によって測定した。干渉縞はバイプリズムを用いてレーザービームの波面を傾けることによって生成した。ポンプ光とプローブ光の時間差を調整することにより、メインパルスの約20ps前でのプリプラズマの測定を行った。ここで、20ps前でのプリプラズマのサイズはおよそ100μmであった。計測されたプリプラズマ条件は、高エネルギー粒子等の発生メカニズムの解析に有効な情報を与える。

35001637
Optical injection for high-quality electron beam generation by using multiple laser pulses
小瀧 秀行
Science and Technology Created by Ultra-Short, Ultra-High-Peak Power Lasers , p.55-68(2007) ; (JAEA-J 03217)
 高強度レーザーで励起されるプラズマウェーク場によって小型の高品質電子ビーム源をつくることが可能となる。しかし、1パルスの場合、電子のトラップと加速を同一のレーザーパルスで行うため、安定領域が非常に狭く、電子の発生が不安定になってしまう。これを解決するためには、現在の加速器と同様に、電子バンチの入射と加速の機構を分離してやればいい。このためには、2つのレーザーパルス衝突による電子入射と1レーザーパルスで励起されるウェーク場加速とを組合せればよい。このうちの電子入射に関しては、幾つかの方法が提案されており、それについてのレビューを行った。理論解析と粒子シミュレーションにより、2パルス衝突による安定な高品質電子ビーム発生を示した。また、最近、実験による結果も得られており、この結果からも、2パルスでの安定高品質電子ビーム発生が示された。

35001638
Radiation protection for intense optical field science
林 由紀雄
Science and Technology Created by Ultra-Short, Ultra-High-Peak Power Lasers , p.69-82(2007) ; (JAEA-J 03218)
 数十年前より高強度光電場科学において放射線が生成できることは、理論的に証明されてきた。近年、超短パルス高出力レーザーや光学機器の進歩により、高強度光電場科学による高エネルギー粒子生成が実現可能になった。現在、ヨーロッパではRAL(イギリス)やLOA(フランス)、日本でも東京大学,大阪大学ILE,JAEAなどで精力的に実験が実施され、これらの施設で100MeV級の電子生成に成功している。その結果、これらの施設では放射線防護の必要性が増してきている。例えば、RALでは43mSvの線量、LOAで0.5mSvの線量が1ショットで確認されている。これらの現状を踏まえ、本文献は高強度光電場科学における放射線防護に関する情報を紹介したレビューである。おもに放射線安全に関する基礎知識から高強度光電場科学における線量評価法,実測事例について紹介している。

35001639
疎行列固有値ソルバーの自動チューニングLOBPCGの量子多体問題への応用を中心に
今村 俊幸*; 山田 進; 町田 昌彦
情報処理学会研究報告2007-HPC-111 , p.167-172(2007) ; (JAEA-J 03220)
 エルミート疎行列用の固有値計算アルゴリズムであるLOBPCGはブロック化することで、複数の固有状態を同時に計算することができるが、問題によっては計算が不安定になることが経験的に知られている。そのため、実装時に注目すべき項目を示し、それらの数学的な性質・振る舞い等を議論し、安定に計算するための方法を考察する。実際に、量子問題に対して、複数の固有状態のそれぞれの収束状況を考慮した方法を利用することで、安定に収束することを確認した。

[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  2007年11月
Copyright (C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)