学会誌等掲載論文
※下記の研究開発成果は資料名順に並んでいます。

2008年7月


36000923
Crystallization and preliminary X-ray diffraction studies of polyketide synthase-1 (PKS-1) from Cannabis sativa
田口 千穂; 田浦 太志*; 玉田 太郎; 正山 祥生; 正山 征洋*; 田中 宏幸*; 黒木 良太; 森元 聡*
Acta Crystallographica Section F 64(3), p.217-220(2008) ; (JAEA-J 04229)
 Polyketide synthase-1 (PKS-1) is a novel type III polyketide synthase that catalyzes biosynthesis of the hexanoyl triacetic acid lactone in Cannabis sativa (Mexican strain). PKS-1 was overproduced in Escherichia coli, purified and finally crystallized in two different space groups. The crystal obtained in 0.1 M HEPES buffer (pH 7.5) containing 0.2 M calcium acetate and 20% (w/v) polyethylene glycol 3350, diffracted to 1.65 Å resolution and belonged to space group P1 with unit-cell parameters of a = 54.3 Å, b = 59.3 Å, c = 62.6 Å, α = 69°, β = 81°, γ = 80°. Another crystal obtained in 0.1 M HEPES buffer (pH 7.5) containing 0.2 M sodium chloride and 20% (w/v) polyethylene glycol 3350, diffracted to 1.55 Å resolution and belonged to the space group P212121 with unit-cell parameters of a = 54.3 Å, b = 110 Å, c = 130 Å. These data will enable us to determine the crystal structure of PKS-1.

36000924
CREPT-MCNP code for efficiency calibration of HPGe detectors with the representative point method
三枝 純
Applied Radiation and Isotopes 66(6-7), p.774-779(2008) ; (JAEA-J 04230)
 γ線スペクトロメトリ法に基づき体積試料の放射能を定量する際、放射能測定器の効率校正を行う必要がある。このため、これまでに標準点状線源を用いて効率校正を精度よく行うための新たな方法(代表点校正法)を開発した。さらに今回、代表点校正法を円滑に実施するための計算コードとしてCREPT-MCNP(Calibration Code for the Representative Point Calibration Method with MCNP)を整備した。この計算コードは、体積試料の計数効率曲線に等価な計数効率曲線を与える点(代表点)を検出器周辺に見いだし、代表点で測定した計数効率に対し自己吸収効果の補正を行うことにより目的とする計数効率を得る。評価対象はp型及びn型Ge半導体検出器により測定可能な、エネルギー範囲が20keVから2MeVのγ線である。本報ではCREPT-MCNPの内容について、代表点法の概要と併せて述べる。

36000925
Active core structure of terfestatin A, a new specific inhibitor of auxin signaling
林 謙一郎*; 山添 淳*; 石橋 有希*; 日下 直之*; 大野 豊; 野崎 浩*
Bioorganic & Medicinal Chemistry 16(9), p.5331-5344(2008) ; (JAEA-J 04231)
 植物ホルモンオーキシンは、植物の発生・生長の多くの局面を制御している。新しいオーキシン阻害剤であるTerfestatin A(TrfA)は、放線菌F40の抽出物よりオーキシン誘導性遺伝子発現を指標にして探索・同定された。しかし、その阻害機構は未解明であった。活性中心を明らかにするため、25種のTrfAの派生物質を合成し、オーキシン誘導性遺伝子発現誘導に対する阻害効果を評価した。構造-活性相関により、TrfA(3-butoxy-4-methylbiphenyl-2,6-diol)の主要な活性中心が明らかになり、活性型TrfAのビオチン標識も可能となった。

36000926
Hydration effect on low-frequency protein dynamics observed in simulated neutron scattering spectra
城地 保昌*; 中川 洋; 片岡 幹雄; 北尾 彰朗*
Biophysical Journal 94(11), p.4435-4443(2008) ; (JAEA-J 04232)
 分子シミュレーションによる中性子散乱スペクトルの周波数依存性を調べることで蛋白質ダイナミクスの水和依存性を調べた。蛋白質のボソンピークは水和にかかわらず100Kで1∼4meVに観測されるが、水和によってピーク位置は高エネルギーシフトする。4meVよりも高エネルギーの蛋白質の振動はほぼ調和振動的である。1meVよりも低振動運動は揺らぎの大きさに大きく寄与し、ガラス性転移の起源に寄与する。300Kでは水和状態のボソンピークは準弾性散乱に埋もれるが、低い水和量ではボソンピークは観測される。ボソンピークは蛋白質ダイナミクスがエネルギーランドスケープのローカルミニマムにトラップされることで観測される。ボソンピークに寄与する蛋白質の運動は蛋白質全体に広がっている。近い将来高エネルギー分解能の装置が開発されれば、動的構造因子の微細構造が実験的に検出されると期待される。

36000927
Observations of domain structure and ferroelectricity in Bi(Ni0.5Ti0.5)O3 ceramics fabricated by high-pressure sintering
北田 和也*; 小舟 正文*; 足立 渉*; 矢澤 哲夫*; 齋藤 寛之; 青木 勝敏; 水木 純一郎; 石川 健哉*; 平永 良臣*; 長 康雄*
Chemistry Letters 37(5), p.560-561(2008) ; (JAEA-J 04233)
 Bi(Ni0.5Ti0.5)O3 ceramics with a perovskite structure was synthesized at a high pressure of 6 GPa. It was confirmed that the synthesized samples had a multidomain structure and ferroelectricity on the basis of scanning nonlinear dielectric microscopy (SNDM) and polarization-electric field (P-E) hysteresis loop measurements.

36000928
Further studies on copper nanocomposite with dispersed single-digit-nanodiamond particles
花田 幸太郎*; 山本 和典; 田口 富嗣; 大澤 映二*; 稲熊 正康*; Livramento, V.*; Correia, J, B.*; 正法地 延光*
Diamond and Related Materials 16(12), p.2054-2057(2007) ; (JAEA-J 04235)
 0∼30at%のナノダイヤモンド粒子を含んだ銅ナノコンポジットのマイクロストラクチャーと機械的性質に関して報告する。Cuナノ複合体粉末はメカニカルミリング法により調製し、これをスパークプラズマ焼結法と熱押出し法により、それぞれバルク材料とした。マイクロストラクチャー観察によると、大きな可塑変形を伴う熱押出し法を用いれば、銅ナノコンポジット中においてダイヤモンドナノ粒子の均一な分散が達成できることがわかった。そして20at%のナノダイヤモンド粒子を含むにもかかわらず、ダイヤモンドナノ粒子は約50 nmという極めて微細なグレイン構造を持つことがわかった。銅ナノコンポジットのVickers硬度測定と圧縮試験より、Cuマトリックス中に均一分散されたナノダイヤモンド粒子は、銅ナノコンポジットの機械的性質を強化することがわかった。

36000929
TEM studies of nanocarbons and nanodiamonds (ND); Mechanical milling of ND and Cu
山本 和典; 田口 富嗣; 花田 幸太郎*; 大澤 映二*; 稲熊 正康*; Livramento, V.*; Correia, J, B.*; 正法地 延光*
Diamond and Related Materials 16(12), p.2058-2062(2007) ; (JAEA-J 04236)
 ナノカーボンは現在でも多くの科学者達の興味を引きつけており、透過型電子顕微鏡(TEM)による研究の格好のテーマとなっている。本発表では、銅とナノダイヤモンドのメカニカルアロイング生成物,煤から生成するナノダイヤモンド,マイクロビーズミリングにより生成するカーボンナノシリンダーをテーマに選び、それらの研究・開発において、決定的な重要性を持つと思われるナノカーボンのTEM像を示す。特に、ナノダイヤモンドに重点を置いて発表を行う。

36000930
Mechanisms of concurrent SiO desorption with oxide layer formation at Si(001) surface
寺岡 有殿; 吉越 章隆; 盛谷 浩右*
Electrical Engineering in Japan 164(3), p.60-68(2008) ; (JAEA-J 04237)
 Si(001)表面での超音速酸素分子線による酸化反応を放射光を用いたリアルタイムその場光電子分光法と質量分析法で900Kから1300Kの温度範囲で研究した。光電子分光法ではシリコンと酸素の化学結合状態を、質量分析法ではSiO分子の脱離を評価した。Si2p光電子スペクトルとSiO脱離収率の同時測定によってSiOの減少がSi2+成分の増加と相関し、また、SiO脱離は酸化膜厚0.22nmで停止することがわかった。これらの事実はSiO脱離は最表面のSi二量体から起こり、脱離の前躯体はいわゆるTサイトであることを示唆している。Tサイトとは酸素原子が二量体のダングリングボンドと結合した状態である。結果的に、DOSモデルでいうところのM1, M2とは、それぞれ、Tサイト及びSi2+状態であることを明らかにした。

36000931
Frustrated minority spins in GeNi2O4
松田 雅昌; Chung, J.-H.*; Park, S.*; 佐藤 卓*; 松野 謙一郎*; 香取 浩子*; 高木 英典*; 加倉井 和久; 蒲沢 和也*; 角田 頼彦*; 籠宮 功*; Henley, C. L.*; Lee, S.-H.*
Europhysics Letters 82(3), p.37006_1-37006_5(2008) ; (JAEA-J 04238)
 GeNi2O4は立方晶スピネル構造を有しており、低温でNi2+モーメント(S=1)が反強磁性長距離秩序を示す。(この物質は構造相転移を起こさず、磁気秩序相でも立方晶のままである。)比熱や磁化の測定により、磁気転移がTN1=12.1KとTN2=11.4Kで起こることがわかっている。この逐次磁気相転移は、磁気フラストレーションに由来しているものと予想される。われわれは、中性子散乱実験により2つの磁気相における磁気構造を調べた。その結果、TN1以下ではカゴメ格子面内のスピンのみが磁気秩序化することがわかった(部分無秩序相)。磁気配列は面内が強磁性的で、面間が反強磁性的である。TN2以下では三角格子面内のスピンの秩序化も加わることがわかった。

36000932
Development of new mass data acquisition system for diagnostics on JT-60U
大島 貴幸; 清野 公広; 坂田 信也; 佐藤 稔; 小湊 俊治; 小関 隆久
Fusion Engineering and Design 83(2-3), p.330-333(2008) ; (JAEA-J 04239)
 JT-60U計測装置データ処理設備のTMDSとFDSは、規格が旧式で拡張性に乏しく更新が迫られている。そこで、より高速に大容量データ収集が可能で汎用的なPXI(Compact PCI)規格に基づく大容量データ収集システム(P-MDAS)のプロトタイプを開発した。2004年は単体性能の検証を行い、2005∼2006年は光通信インターフェースによる遠隔計測制御,コントローラPCのマルチ化,複数PXIボードによるマルチチャネル化,高速サンプリング(1MS/s, 1MHz)で長時間データ収集(実験シーケンス:45秒)の検証を行った。同時にMDASサーバ(MDAS-SVR, UNIX WS)を開発し、UNIX-ISP(UNIX WS Inter-Shot Processor)へのデータ転送を検証した。今後は、多チャンネル化を目指し、収集量が10GB程度でデータ処理設備全体のパフォーマンス試験を実施していく予定である。

36000933
X-ray topography of piezoelectric La3Ta0.5Ga5.5O14 crystal grown by Czochralski method
米田 安宏; 水木 純一郎; 武田 博明*; 塩嵜 忠*
IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics and Frequency Control 55(5), p.971-974(2008) ; (JAEA-J 04240)
 La3Ta0.5Ga5.5O14(通称LTG)のトポグラフィを行った。ランガサイト系の圧電体結晶は非常に良い結晶性を示すことが知られているが、ランガサイト系の単結晶の評価を行った。この研究の目的は、圧電体結晶をX線のチョッパーとして使用するための結晶性の評価である。現在、コマーシャルベースで販売されているランガサイト(LGS)を凌ぐような結晶は見つけることはできなかった。しかし、高エネルギーX線を用いたトポグラフィはランタンのような重い元素の含まれている材料でも、バルクライクな結晶性の評価ができることを示すことができた。

36000934
Fuel cell performance of polyetheretherketone-based polymer electrolyte membranes prepared by a two-step grafting method
Chen, J.; 浅野 雅春; 前川 康成; 吉田 勝
Journal of Membrane Science 319(1-2), p.1-4(2008) ; (JAEA-J 04242)
 高温低加湿高分子型燃料電池に適用する電解質膜を開発するため、スーパーエンジニアリングプラスチックであるポリエーテルエーテルケトン芳香族炭化水素系高分子フィルム(PEEK)を基材として、二段階のグラフト重合を経由して高分子電解質膜を合成した。すなわち、PEEK基材フィルムにジビニルベンゼンを足場高分子として熱グラフト重合し、次いで、スルホン酸基へ変換できる官能基を有するETSSモノマーを放射線グラフト重合し、加水分解処理により高分子電解質膜を合成した。合成した高分子電解質膜はナフィオン膜より優れた導電性,機械的強度があり、高温低加湿の条件における高い電池性能を示した。

36000935
Fabrication of uniform ZrC coating layer for the coated fuel particle of the very high temperature reactor
植田 祥平; 相原 純; 安田 淳; 石橋 英春; 高山 智生; 沢 和弘
Journal of Nuclear Materials 376(2), p.146-151(2008) ; (JAEA-J 04243)
 超高温ガス炉(VHTR)は第四世代原子炉システムの最有力候補の一つである。VHTR燃料は、燃焼度約15∼20%FIMA,照射量6×1025n/m2(E>0.1MeV)までの安全性能を担保する必要があり、従来のSiC被覆燃料粒子では、これらの厳しい照射条件下での健全性を示す実験データは得られていない。日本原子力研究開発機構(JAEA)は、SiC被覆層に比べてより高温及びより高い照射下において健全性を保持すると期待される、炭化ジルコニウム(ZrC)被覆燃料粒子を開発した。JAEAは新たに2004年から、大型化を目指したZrC被覆技術開発,ZrC被覆層の検査技術開発及びZrC被覆粒子の照射試験を開始した。新規の被覆装置を用いたZrC被覆実験を開始し、被覆温度制御手法の改良により、均質なZrC層の製作に成功した。

36000936
Heat capacities of NpN and AmN
西 剛史; 伊藤 昭憲; 高野 公秀; 沼田 正美; 赤堀 光雄; 荒井 康夫; 湊 和生
Journal of Nuclear Materials 377(3), p.467-469(2008) ; (JAEA-J 04244)
 投下型熱量法により窒化ネプツニウムと窒化アメリシウムの比熱容量を測定した。窒化ネプツニウムと窒化アメリシウムの試料は炭素熱還元法により調製した。得られた窒化ネプツニウムの比熱容量は334から1067Kまでの温度範囲において報告値と良い一致を示し、窒化ウランや窒化プルトニウムの比熱容量の値と近い値を示した。窒化アメリシウムの比熱容量は354から1071Kまでの温度範囲において窒化ウラン,窒化ネプツニウム及び窒化プルトニウムの比熱容量の値よりわずかに小さい値を示した。

36000937
Covariance analyses of self-shielding factor and its temperature gradient for uranium-238 neutron capture reaction
大塚 直彦; 瑞慶覧 篤*; 高野 秀機*; 千葉 豪; 石川 眞
Journal of Nuclear Science and Technology 45(3), p.195-210(2008) ; (JAEA-J 04245)
 ウラン238の中性子捕獲反応に対する自己遮蔽因子とその温度勾配の共分散を共鳴パラメータの共分散と自己遮蔽因子及びその温度勾配の共鳴パラメータに対する感度から評価した。ウラン238の共分散はJENDL-3.3から取得し、感度係数は共鳴パラメータと温度に摂動を与えることによって求めた。新しい計算機コード群が共鳴パラメータと温度に関する摂動を求めるために開発された。本解析の結果、共鳴パラメータ同士の相関は自己遮蔽因子とその温度勾配の標準偏差に大きく寄与することが判明した。これらの標準偏差に加え、自己遮蔽因子とその温度勾配の持つ共分散をJFS-3 70群構造に関して求めた。

36000938
Improvement of detection limit in 14 MeV neutron direct interrogation method by decreasing background
春山 満夫; 高瀬 操; 飛田 浩
Journal of Nuclear Science and Technology 45(5), p.432-440(2008) ; (JAEA-J 04246)
 14MeV中性子直接問いかけ法の検出限界改善のため、連続エネルギーモンテカルロ輸送計算コード(MVP)によりシミュレーション計算を実施した。その計算結果により、従来の検出体系の材料であるグラファイトに代えて、鉄あるいは鉄合金を用いることにより、核分裂中性子計数領域にバックグランドとして出現する中性子が大幅に減少できることがわかった。ステンレススチールSUS-304を使用した検出システムのバックグランドは1/10,000に減少でき、10分の測定で5,000(counts)のバックグランド計数は0.5(counts)程度までに減少する。その結果、検出限界値は従来の1/1000に改善できることになる。ステンレススチールSUS-304を使用した検出システムによる天然ウランで汚染されているコンクリート瓦礫廃棄物の検出限界濃度は0.000116Bq/g、金属廃棄物の検出限界濃度は0.000512Bq/g、ウエス廃棄物の検出限界濃度は0.000664Bq/gが10分の測定で可能となることを示している。

36000939
Flowsheet study of U-Pu Co-crystallization reprocessing system
本間 俊司*; 石井 淳一; 菊池 俊明*; 近沢 孝弘*; 柴田 淳広; 小山 智造; 古閑 二郎*; 松本 史朗*
Journal of Nuclear Science and Technology 45(6), p.510-517(2008) ; (JAEA-J 04247)
 U-Pu共晶析再処理システムを軽水炉燃料用に提案し、そのフローシート研究を実施した。本再処理システムは、硝酸溶液中の6価のプルトニウムが、単独では晶析しない場合でも硝酸ウラニルと共存すると、硝酸ウラニルと共晶析するという実験事実に基づく。本システムは、次の5工程、使用済燃料溶解工程,Pu酸化工程,共除染のためのU-Pu共晶析工程,結晶再溶解工程,UとPu分離のためのU晶析工程から成る。有機溶媒を使用しないため、有機溶媒の可燃性や処理にかかわる安全性や経済性の点で、PUREX再処理システムに比べ有利である。本システムは、U-Pu共晶析工程でほぼ全量のUとPuを回収するために、U-Pu共晶析工程の母液を溶解工程にリサイクルする必要がある。その最適なリサイクル率は、燃料の種類や製品の除染係数等によって決定される。U晶析工程からの母液は、UとPuを含んでおり、MOX燃料の原料となる。本フローシート研究から、U晶析工程の温度を制御することにより母液中のPu/U比を一定に保つことができ、使用済燃料組成の違いが製品の品質に影響を及ぼさないことがわかった。

36000940
Microbubble formation at a nozzle in liquid mercury
Bucheeri, A.; 粉川 広行; 直江 崇; 二川 正敏; 羽賀 勝洋; 前川 克廣*
Journal of Nuclear Science and Technology 45(6), p.523-531(2008) ; (JAEA-J 04248)
 J-PARCに設置される水銀を核破砕標的に用いたパルス中性子源では、パルス陽子線入射によって発生する水銀中の圧力波がキャビテーションを誘発し、標的容器健全性を低下させるとして問題視されている。この圧力波を抑制するための方策の一つとして、水銀中へ微小気泡を注入することを検討している。圧力波の抑制効果は注入する気泡径,気泡率に依存する。水銀中における微小気泡生成技術を構築するために、水銀中における気泡生成挙動を把握することが重要である。本報告では、計算流体力学シミュレーションにより水銀中の生成気泡挙動を評価した。さらに、静止水銀中において微小ノズルからの気泡生成を高輝度X線により可視化し、シミュレーションとの比較を行った。その結果、静止下では水銀の高い表面張力により気泡はノズル外周に沿って成長し気泡径は大きくなること、流動下では表面張力の影響が小さくなることを明らかにした。

36000941
Batch crystallization of uranyl nitrate
近沢 孝弘*; 菊池 俊明*; 柴田 淳広; 小山 智造; 本間 俊司*
Journal of Nuclear Science and Technology 45(6), p.582-587(2008) ; (JAEA-J 04249)
 晶析工程を含む再処理技術開発の基礎データを得ることを目的に、硝酸ウラニルのバッチ晶析試験を実施した。使用済燃料溶解液の状態に対応するように、試験液中の初期の硝酸ウラニル濃度と酸濃度はそれぞれ500-600g/dm3と4-6mol/dm3とした。また、母液中のウラン濃度及び酸濃度並びに硝酸ウラニル結晶生成量を予想する方法を開発した。硝酸ウラニルの平衡溶解度の近似式を含む、定常状態の質量保存方程式を硝酸ウラニル結晶生成量等の予想方法に適用した。ウラン濃度と酸濃度の計算値は、実験値とよく一致している。硝酸ウラニル結晶生成量に関しては、5%以下の誤差で予想できる。

36000942
Hydration-dependent protein dynamics revealed by molecular dynamics simulation of crystalline Staphylococcal nuclease
城地 保昌*; 中川 洋; 片岡 幹雄; 北尾 彰朗*
Journal of Physical Chemistry B 112(11), p.3522-3528(2008) ; (JAEA-J 04250)
 結晶状態の黄色ブドウ球菌由来核酸分解酵素の分子シミュレーションを低い水和量と高い水和量で行って、蛋白質ダイナミクスに対する水和効果を調べた。高い水和量では結晶の隙間に水を充填させた。低い水和量では結晶水のみを入れた。ガラス性転移は220Kの温度で両者で見られたが、高い水和量の方が転移はより顕著であった。残基ごとの揺らぎの解析からは、ループや末端領域に揺らぎの増加が見られた。これら領域は低い水和量では分子間の接触によって揺らぎは抑制されていた。高い水和量での水分子の揺らぎは低い水和量よりも一桁大きい。転移温度以上では高い水和量では水分子はバルク水のように振る舞い、蛋白質ダイナミクスの潤滑剤として働く。一方、低い水和量では水分子は蛋白質と水素結合を形成し、蛋白質の揺らぎの大きさと同程度になる。分子間相互作用と溶媒の運動性は蛋白質のガラス性転移を理解するのに重要である。

36000943
Ga NQR relaxation rates in superconductor PuRhGa5
酒井 宏典; 神戸 振作; 徳永 陽; 藤本 達也; Walstedt, R. E.*; 安岡 弘志; 青木 大*; 本間 佳哉*; 山本 悦嗣; 中村 彰夫; 塩川 佳伸*; 中島 邦久; 荒井 康夫; 松田 達磨; 芳賀 芳範; 大貫 惇睦*
Journal of Physics and Chemistry of Solids 68(11), p.2103-2106(2007) ; (JAEA-J 04251)
 最近見つかったプルトニウム化合物超伝導体はその高い超伝導転移温度から非常に注目されている。われわれは、PuRhGa5において、核磁気共鳴(NMR/NQR)を用いた研究を行っている。結晶学的に異なる2つのGa位置について、おのおのに対応するNQR信号を発見し、NQR緩和率測定を行った。その結果から、スピン揺らぎの異方性についての情報を得た。

36000944
Non-destructive depth profile analysis for surface and buried interface of Ge thin film on Si substrate by high-energy synchrotron radiation X-ray photoelectron spectroscopy
山本 博之; 山田 洋一; 笹瀬 雅人*; 江坂 文孝
Journal of Physics; Conference Series 100, p.012044_1-012044_4(2008) ; (JAEA-J 04252)
 表面数nm領域の解析において、深さプロファイルを非破壊的に得ることはその分解能向上のために重要である。X線光電子分光法(XPS)は通常、励起エネルギーが固定であるためにそのままでは深さ方向分析を行うことはできない。これに対し、エネルギー可変の放射光を励起源として用いれば、分析深さが変化し、非破壊で深さ方向の分布が得られると考えられる。これは電子の脱出深さがその運動エネルギーに依存することによる。本研究では、Si基板上に蒸着したGeを用い、薄膜表面、及び、埋もれた界面の非破壊分析を目指し放射光を用いた高エネルギーXPSによる解析を行った。清浄表面としたものと自然酸化膜の残る2種のSiを用い、2及び4nm Geを蒸着した試料を測定した結果、4nm蒸着試料においても基板表面の差異は十分に観察可能であった。この結果は本法が非破壊深さ分析法として有効であることを示している。

36000945
Aligned defects behaviour of β-FeSi2 thin film on Si(100) substrate prepared by ion beam sputter deposition
笹瀬 雅人*; 山口 憲司; 山本 博之; 社本 真一; 北條 喜一
Journal of Physics; Conference Series 100, p.042016_1-042016_4(2008) ; (JAEA-J 04253)
 著者らの従来までの研究により、Si基板へのイオン照射による表面処理がβ鉄シリサイドの高品質な薄膜成長に有効であることを見いだしてきた。これらの研究の過程において、しばしば成膜後の膜中には基板界面に沿った形で欠陥集合体が観察される。観察された欠陥は成膜時の熱処理により拡散し集まったものと思われるが、これらの挙動が明らかになれば効果的な欠陥の抑制や除去方法が明らかとなるだけでなく薄膜としての品質向上にもつながることが期待される。本研究においては各種イオン照射条件にて作製した基板を、透過型電子顕微鏡を用いた薄膜の断面観察によって欠陥の生成及び変化に関する検討を行った。これらの結果から、イオン照射により生じる欠陥が、鉄シリサイド薄膜生成に及ぼす影響について議論する。

36000946
Locomotion-learning behavior relationship in Caenorhabditis elegans following γ-ray irradiation
坂下 哲哉; 浜田 信行*; 池田 大祐*; 鈴木 芳代; 簗瀬 澄乃*; 石井 直明*; 小林 泰彦
Journal of Radiation Research 49(3), p.285-291(2008) ; (JAEA-J 04254)
 現在、神経系の複数の機能とその関係に対する放射線の影響は、ほとんどわかっていない。そこで、本研究では、線虫の首振り運動と化学走性学習との関係に対する放射線の影響を調べた。その結果、放射線照射による首振り運動の抑制が、放射線照射後の化学走性学習の抑制と非常に相関が高いことが明らかになった。しかし、特別な条件のもとでの照射実験から、放射線照射による首振り運動の低下が、直接、化学走性を変化させる要因ではないことも明らかとなった。さらに、化学走性学習のための条件付け(餌なし+食塩あり)時に放射線を照射した場合には、首振り運動と学習時の化学走性との間に高い相関が観られ、線量依存的に両者の相関が弱くなることが明らかとなった。以上の結果から、放射線は首振り運動と化学走性学習の両者に同時に影響を与えるわけではなく、餌がなく食塩がある条件の提示により生まれる両者の関係に放射線が影響を与えることが示唆された。

36000947
Mutagenesis of the crystal contact of acidic fibroblast growth factor
本庄 栄二郎; 玉田 太郎; 安達 基泰; 黒木 良太; Meher, A.*; Blaber, M.*
Journal of Synchrotron Radiation 15(3), p.285-287(2008) ; (JAEA-J 04255)
 われわれは薄板状にしか結晶化しないhaFGFの分子間接触部位を改善し結晶成長を制御することを試みている。haFGFのX線結晶構造から結晶学的に対称な位置関係にあるhaFGF分子の分子間接触部位にはGlu81の側鎖が近接して存在しており、この電荷の反発が分子間相互作用を乱している可能性が考えられた。このGlu81の側鎖が分子間相互作用に関与しているかどうかを調べるため、われわれはGlu81をAla, Val, Leu, Ser及びThrに置換したhaFGFの変異体を作成した。このGlu81の側鎖が分子間相互作用に関与しているかどうかを調べるため、われわれはGlu81をAla, Val, Leu, Ser及びThrに置換したhaFGFの変異体を作成した。それぞれの変異体について蟻酸を用いて結晶化を行ったところ、Ala, Val及びLeu変異体は野生型同様薄板状の結晶成長が見られたが、Ser及びThr変異体の結晶は野生型よりもより厚みが増していた。これらの変異体について1.5Å分解能のX線構造を解いたところ分子間接触部位に存在するSerの水酸基が沈殿剤である蟻酸を介して水素結合を形成していることがわかった。このような分子間接触部位改変の試みは中性子結晶構造解析のための大型結晶育成に寄与すると考えられる。

36000948
Real-time analysis of photoassimilate translocation in intact eggplant fruit using 11CO2 and a positron-emitting tracer imaging system
菊地 郁*; 石井 里美; 藤巻 秀; 鈴井 伸郎; 松橋 信平; 本多 一郎*; 宍戸 良洋*; 河地 有木
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science 77(2), p.199-205(2008) ; (JAEA-J 04258)
 ナス果実の肥育のメカニズムを明らかにするために、11CO2をナス植物体の葉に与え、11C-光合成産物が果実内部へ流入及び蓄積する様子をPETISによって計測した。得られた画像データから、光合成産物の果実への到達時間,転流速度及び転流率を算出した。その結果、光合成産物は葉から果実へ1時間前後で到達することが明らかとなった。また、果柄における11Cの放射線強度変化に対して伝達関数法を用いて、転流速度を約1cm min-1と算出した。さらに全11C投与量に対する果実への移行量は約8%と算出された。果実内部における光合成産物の蓄積過程を観察した例はこれまでなく、PETISを用いた光合成産物の蓄積過程の計測は今後果実発達や成熟過程を理解するうえで有効な手段であると考えられる。

36000949
Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov State in the absence of a magnetic field
久保 勝規
Journal of the Physical Society of Japan 77(4), p.043702_1-043702_4(2008) ; (JAEA-J 04260)
 ポケット状のフェルミ面のある系では、Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov状態のような、有限の運動量qtotを持つ対状態が無磁場下でも安定化し得ることを提案する。中心がΓ点ではないポケット状のフェルミ面上の電子によって電子対が構成されるとき、その電子対は必然的に有限のqtotを持つ。この可能性を探るために、われわれはポケット状のフェルミ面を実現できる正方格子上の2軌道モデルを考え、揺らぎ交換近似を適用した。そして、サイトあたりの電子数を変化させた結果、実際に有限のqtotを持つ超伝導状態が、ポケット状のフェルミ面が存在する場合に実現することがわかった。

36000950
(Nitrogen/vacancy)-complex formation in SiC; Experiment and theory
Pensl, G.*; Schmid, F.*; Reshanov, S.*; Weber, H. B.*; Bockstedte, M.*; Mattausch, A.*; Pankratov, O.*; 大島 武; 伊藤 久義
Materials Science Forum 556-557, p.307-312(2007) ; (JAEA-J 04262)
 炭化ケイ素(SiC)半導体中の窒素(N)ドナーの電気的活性化を阻害する欠陥を同定するために、N注入及び、電子線照射したp型六方晶(4H)SiCのホール効果及びDLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)測定を行った。電子線は炭素(C)のみがはじき出される200keVのエネルギーでの照射を行った。N注入試料の熱処理温度とキャリア濃度の関係を調べたところ、1450℃以上の熱処理によりNドナーの電気的活性化率が低下し始めることが見いだされた。DLTS測定の結果、同熱処理温度でZ1/Z2中心と呼ばれる欠陥が消失すること、さらに電子線照射試料では新たにP1中心と呼ばれる欠陥が発生し始めることが判明した。さらに、分子動力学を考慮した理論解析の結果、C空孔が存在するSiCでは複数のC空孔とSi空孔の複合欠陥(VC)x-VSi(x=1∼4)が安定であること、この状態でNが結晶中に存在する場合にはC格子位置を置換したN(NC)が4つとVSiの複合欠陥である(NC)4-VSiが最も安定であることが導出された。以上より、(VC)x-VSiがP1中心の起源であること、Nの電気的活性化率の低下は(NC)4-VSiによることを提案した。

36000951
Mechanisms of decrease in hole concentration in Al-doped 4H-SiC by irradiation of 200 keV electrons
松浦 秀治*; 蓑原 伸正*; 稲川 祐介*; 高橋 美雪*; 大島 武; 伊藤 久義
Materials Science Forum 556-557, p.379-382(2007) ; (JAEA-J 04263)
 アルミ(Al)添加された炭化ケイ素(SiC)中の深いアクセプタ準位の起源を明らかにすることを目的に、Al添加六方晶(4H)SiCに炭素(C)元素のみがはじき出される200keVの電子線を照射し、ホール効果測定により正孔濃度の変化を調べた。その結果、室温での正孔濃度は電子線照射量の増加とともに減少するが、350℃以上の温度では電子線照射の有無によらず正孔濃度は一定となることが判明した。さらに、正孔濃度の温度依存性を解析したところAlアクセプタのエネルギー準位である200meVに加え370meVの深いアクセプタ準位が観測された。また、3×1016/cm2の照射量までは電子線の照射量の増加とともにAlアクセプタ濃度は減少し、深いアクセプタ濃度が増加するが、それ以上の照射量では深いアクセプタ濃度も若干ではあるが減少することが見いだされた。以上の結果より、深いアクセプタ準位に関しては、C空孔(VC)とAlが関与した複合欠陥であること,結晶損傷が大きくなると異なる構造を有する欠陥へ変化することが推測される。

36000952
Electron paramagnetic resonance study of carbon antisite-vacancy pair in p-type 4H-SiC
梅田 享英*; 大島 武; 森下 憲雄; 伊藤 久義; 磯谷 順一*
Materials Science Forum 556-557, p.453-456(2007) ; (JAEA-J 04264)
 炭化ケイ素(SiC)中のシリコン格子置換位置炭素(CSi)と炭素空孔(VC)の複合欠陥(CSi-VC)は、理論計算よりp型中で非常に安定であると予測されているが、実験的にはこれまでn型や半絶縁基板のみでしか観測されていない。p型SiCのCSi-VCの存在を確認するために、p型六方晶(4H)SiCの電子常磁性共鳴(EPR)測定を行った。800℃にて3MeV電子線を照射することで欠陥を導入したp型4H-SiCのEPR測定を行ったところ、これまで報告されていないHEI9とHEI10という新たなシグナルを観測した。HEI9及びHEI10シグナルの角度依存性を測定したところ、それぞれC3v及びC1h対称を示すことが明らかとなった。さらに、13Cの超微細相互作用を詳細に解析することで、HEI9及びHEI10は、それぞれ、正に帯電したc軸方向及びc面内のCSi-VCに起因するシグナルであることを同定した。

36000953
Hall effect and admittance measurements of n-channel 6H-SiC MOSFETs
Lee, K. K.*; Laube, M.*; 大島 武; 伊藤 久義; Pensl, G.*
Materials Science Forum 556-557, p.791-794(2007) ; (JAEA-J 04265)
 炭化ケイ素(SiC)金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のチャンネル移動度と界面準位の関係をホール効果及びアドミッタンス測定を用いて調べた。水素燃焼酸化によりゲート酸化膜を作製した(Pyro)nチャンネル6H-SiC MOSFETと乾燥酸素での酸化に加え800℃での水蒸気処理によりゲート酸化膜を作製した(Annealed)MOSFETを作製した。MOSFETの電流-電圧(I-V)測定より求めた有効チャンネル移動度は、それぞれ30及び75cm2/Vsであった。一方、ホール効果によりチャンネルに流れるキャリアの移動度を調べたところ両者とも85cm2/Vsであり、Annealed MOSFETでは良い一致を示したがPyro MOSFETは値が異なった。さらに、アドミッタンス測定を行った結果、Annealed MOSFETに比べPyro MOSFETは、伝導帯付近の界面準位濃度が二倍以上高いことが見いだされた。以上から、Pyro MOSFETは界面準位によりキャリアが捕獲されるために、実際にチャンネルに流れるキャリア濃度がI-V特性から有効チャンネル移動度を導出する際に用いる理想的なキャリア濃度より低くなっており、その結果、I-V特性から導出されるチャンネル移動度が低く見積もられたと結論できる。

36000954
Measurement of internal strain in materials using high energy white X-ray at SPring-8
柴野 純一*; 菖蒲 敬久; 鈴木 賢治*; 桐山 幸治; 梶原 堅太郎*; 金子 洋; 小林 道明*
Materials Science Forum 571-572, p.267-270(2008) ; (JAEA-J 04266)
 In this paper, the strain in the bulk of material was measured using high energy white X-rays from synchrotron radiation sources of BL14B1 and BL28B2 at SPring-8 in Japan. JIS-S45C carbon steel and JIS-SHY685 high-tensile steel were used as specimens. As a result, the internal strain of SHY685 of 15 millimeters thickness could be evaluated using X-rays with energy of 155 keV diffracted by α-Fe321 lattice plane. It is suitable for the high accuracy measurement to include more than or equal to 5000 grains of crystal in the gauge volume. Furthermore, the measurement error peak count and the profile which is close to Gaussian curve. However, the measurement accuracy of the internal strain of S45C was relatively low. Because the diffracted X-ray peak counts at each measurement position fluctuated with the relationship between grain size of S45C and the irradiated X-ray beam size.

36000955
Measurement of strain distribution around weld zone for railway carbody structure using high-energy synchrotron radiation
松本 恵介*; 菖蒲 敬久; 秋庭 義明*; 八木 毅*; 山本 勝太*
Materials Science Forum 571-572, p.321-326(2008) ; (JAEA-J 04267)
 The railway carbody structure for commuter and suburban services in Japan is often made of austenitic stainless steel, which is used as the thin metal sheets by cold rolling. To observe a strain distribution around weld zone, where is the critical area of the body structure strength, the strain scanning method by using high-energy synchrotron radiation was applied to the strain measurement of austenitic stainless steel. Two welded specimens at lapped splice were measured, one is 1.5 mm thick by spot welding joint, and another is 2.0 mm thick by laser welding joint. The sizes of gauge volume were a width of 2 or 3 mm and a height of 0.15 mm in this measurement. This measurement provides the strain distribution, which includes both residual strain and strain under loading. The result by this measurement shows strain distribution in the weld zone successfully. In addition, the different tendency to the distribution from residual strain and strain under loading made be clear.

36000956
Distribution of residual stresses in EB-PVD thermal barrier coatings
鈴木 賢治*; 菖蒲 敬久; 田中 啓介*
Materials Science Forum 571-572, p.333-338(2008) ; (JAEA-J 04268)
 As a bond coating, CoNiCrAlY was pressureless plasma-sprayed on a substrate of nickel-base superalloy. As the top coating, zirconia with 4 mol yttria was coated by the electron beam-physical vapor deposited (EB-PVD) on the substrate which was rotating during coating. The rotation speed of the in-plane was 5, 10 and 20 rpm. The thickness of the top coating was about 0.12 mm. The distribution of the in-plane residual stress was measured by a conventional X-ray method. The distribution of the out-of-plane residual strain was measured by a strain scanning method with hard synchrotron X-rays. For the specimen with 20 rpm, the in-plane residual stress was small within the range from -20 to 30 MPa, the out-of-plane residual stress was a very small compression. A columnar structure of the EB-PVD thermal barrier coatings consists of the core part with a fourfold pyramid and the peripheral part with a feather-like structure.

36000957
A Novel time-spatial-focusing momentum-correction analyzer for the near-backscattering spectrometer DIANA at J-PARC
高橋 伸明; 柴田 薫; 佐藤 卓*; 新井 正敏; Mezei, F.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 587(2-3), p.350-362(2008) ; (JAEA-J 04269)
 われわれは、飛行時間結晶アナライザー中性子非弾性散乱分光器のための新しい単結晶ピースの配置法を開発した。時間集光・空間集光・散乱角補正を同時に達成するこの手法は、J-PARC/MLFに設置が予定されている中性子非弾性散乱分光器DIANAへの採用が提案されている。まず、時間集光及び空間集光を満足する配置理論について解説し、次に散乱角補正の方法について説明した。さらに、モンテ・カルロシミュレーションにより集光性能を評価し、これまで用いられてきたエネルギー集光型配置の性能と比較議論した。

36000958
Design and application of NOBORU; NeutrOn Beam line for Observation and Research Use at J-PARC
及川 健一; 前川 藤夫; 原田 正英; 甲斐 哲也; 明午 伸一郎; 春日井 好己; 大井 元貴; 酒井 健二; 勅使河原 誠; 長谷川 勝一; 二川 正敏; 池田 裕二郎; 渡辺 昇*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 589(2), p.310-317(2008) ; (JAEA-J 04270)
 中性子源特性試験装置NOBORUをJ-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)に建設した。NOBORUは、1MWの核破砕中性子源(JSNS)を「観測する」、すなわちJSNSの中性子特性を研究するために設計した。また、「研究」活動、すなわちR&Dや新しいアイデアを持っているトライアルユーザのためのテストポートとしても利用される予定である。本論文はNOBORUの設計と利用について記述し、期待される性能をモンテカルロシミュレーションにより検証した。

36000959
Heavy-ion induced current through an oxide layer
高橋 芳浩*; 大木 隆弘*; 長澤 賢治*; 中嶋 康人*; 川鍋 龍*; 大西 一功*; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 三島 健太; 河野 勝康*; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 260(1), p.309-313(2007) ; (JAEA-J 04271)
 Si基板上にAlゲートp-MOSFETを作製し、TIARAの重イオンマイクロビームシステムを使用して重イオン照射を行い、照射誘起過渡電流の測定を行った。その結果、ゲート端子における過渡電流は、照射中負のゲート電圧を印加した状態でのみ観測されることがわかった。また、ソース・ドレイン電極を接地(基板と同電位)してゲート領域に重イオンを照射した場合、ピーク値の異なる正・負の電流が観測され、その積分値は照射後100ns程度でほぼ0となることがわかった。本誘起電流が伝導電流によるものであれば、正方向の電流のみが観測されることが予想される。よって本測定結果より、酸化膜を介した照射誘起電流は、変位電流に由来すると帰結できる。また測定結果は、酸化膜を完全絶縁体と仮定した計算により再現できることが確認できた。

36000960
Oscillatory diffuse scattering study by time-of-flight neutron scattering
Basar, K.*; Xianglian*; Siagian, S.*; 佐久間 隆*; 高橋 東之*; 米村 雅雄*; 神山 崇*; 石垣 徹*; 井川 直樹
Physica B; Condensed Matter 403(17), p.2557-2560(2008) ; (JAEA-J 04272)
 結晶中の原子配列の乱れは格子構造の無秩序分布と原子熱振動による乱れの情報を含んでいる。これらは回折パターンにおける散漫現象として現れるため、散漫散乱法は結晶中の格子の乱れを解析するための重要な手段である。本研究ではPbF2の散漫散乱振動をTOF型及び従来の角度分散型中性子散乱実験で測定・比較することで、TOF法で得られた散漫散乱を用いた解析手法の有効性について検討した。

36000961
Exotic Kondo effects in electron-phonon systems
堀田 貴嗣
Physica B; Condensed Matter 403(5-9), p.1371-1372(2008) ; (JAEA-J 04273)
 動的ヤーンテラー不純物と結合する電子系において、時計回り・反時計回りの幾何学的自由度を持つヤーンテラー回転モードの角運動量が電子の軌道モーメントによって遮蔽され、非磁性の起源を持つカイラル近藤効果が生じることを見いだした。一方、局所光学フォノンと結合する電子系においては、近藤効果が増強される現象を見いだした。フォノンによって媒介される有効引力相互作用によってクーロン斥力が実効的に弱められるため、斥力と引力がちょうど打ち消しあうあたりで近藤温度が上昇する。これらの現象を、充填スクッテルダイト化合物や分子性量子ドットにおいて実験的に観測されている奇妙な近藤効果と関連づけて議論する。

36000962
Josephson effect between conventional and Rashba superconductors
林 伸彦; Iniotakis, C.*; 町田 昌彦; Sigrist, M.*
Physica C 468(7-10), p.844-847(2008) ; (JAEA-J 04274)
 通常型のs波超伝導体と、ラッシュバ(Rashba)型のスピン軌道相互作用を持つ空間反転対称性のない超伝導体との間のジョセフソン効果を調べた。ラッシュバ型スピン軌道相互作用は、クーパー対のジョセフソン・トンネリングに、特徴的な影響を及ぼす。その結果として、超伝導体間のジョセフソン結合は、スピン・シングレット的結合とトリプレット的結合との2つの成分に分離される。そしてそれら成分間には、位相πだけの差が現れる。このことは、Al/CePt3Si接合に対する最近の実験結果を説明するうえで重要となる。これらのことを、われわれは明らかにした。

36000963
The Anisotropy of the superfluid density in noncentrosymmetric CePt3Si
Bonalde, I.*; Br"amer-Escamilla, W.*; 芳賀 芳範; Bauer, E.*; 安田 敬*; 大貫 惇睦
Physica C 460-462(1), p.659-660(2007) ; (JAEA-J 04275)
 We report on the temperature dependence of the normalized superfluid density in a single crystal of CePt3Si. The temperature response resembles that of polycrystalline samples. The temperature behavior of the superfluid density anisotropy is nonmonotonic, in agreement with theoretical predictions.

36000964
Correlation effects on atom-density profiles of one- and two-dimensional polarized atomic fermi gases loaded on an optical lattice
町田 昌彦; 山田 進; 奥村 雅彦; 大橋 洋士*; 松本 秀樹*
Physical Review A 77(5), p.053614_1-053614_8(2008) ; (JAEA-J 04276)
 現在、原子ガスの分野ではスピン量子数の異なる粒子の数を均等ではなくアンバランスを与えかつその不均衡度合いを制御して量子状態を調べることがトレンドの1つとなっている。これは、その不均衡の制御により、クゥオーク,原子核,中性子星,固体電子などさまざまな物理系で見られる普遍的でかつ未解明な現象が実験室にて簡単に調べられるためである。本発表論文では、このトレンドに対し、光学格子を作り、その中に原子ガスを閉じ込めた時の量子状態について数値計算結果とその理論的解釈を与え、観測可能な実験条件やその特異な結果を予測した。なお、この研究により得られた成果は、物理の普遍的な現象を扱っているため、さまざまな分野に共通する問題に対して解答を与える素地となる結果であり、今後は適用例を考察していく。

36000965
In situ X-ray diffraction study of the size dependence of pressure-induced structural transformation in amorphous silica nanoparticles
内野 隆司*; 網干 敦子*; 山田 朋子*; 稲村 泰弘; 片山 芳則
Physical Review B 77(13), p.132201_1-132201_4(2008) ; (JAEA-J 04277)
 ナノメーターサイズのアモルファスシリカ微粒子のX線回折その場観察実験を圧力7.4GPaまで行った。放射光を用いたエネルギー分散型手法が用いられた。シリカナノ微粒子は、ついには永久高密度化に至るような圧力誘起構造変化を起こした。構造変化が起きる圧力はバルクのシリカガラスよりもずっと低かった。すなわち、サイズを小さくすることによって、室温で新しいアモルファス-アモルファス転移を起こすことが可能となった。

36000966
Heavy-fermion formation in USn3; Static and dynamical properties
神戸 振作; 酒井 宏典; 徳永 陽; 松田 達磨; 芳賀 芳範; 中堂 博之; Walstedt, R. E.*
Physical Review B 77(13), p.134418_1-134418_9(2008) ; (JAEA-J 04278)
 USn3は電子比熱係数170mJ/K2molの重い電子系である。重い電子系状態を評価するため、ナイトシフトとスピン格子緩和時間T1を測定した。比熱やT1の結果は重い電子系状態では2つのエネルギースケールを用いてスピン揺らぎモデルでよく説明できる。しかし、重い電子系形成のクロスオーバー領域では温度に依存するRKKY相互作用を考える必要があることがわかった。

36000967
Surface phase transition in H/W(110) induced by tuning the Fermi surface nesting vector by hydrogen loading
山田 洋一; Rieder, K.-H.*; Theis, W.*
Physical Review Letters 99(19), p.196105_1-196105_4(2007) ; (JAEA-J 04279)
 水素一原子層吸着W(110)表面はフェルミ面のネスティングがあり、対応するフォノンの異常が見られる。ここでは、さらなる水素を表面に供給することによりネスティングベクトルが変化することを示した。ネスティングベクトルが基板とコメンシュレートに近づくにつれ、フォノン異常は増大し、最終的には電荷密度波の形成に伴い消滅することがわかった。ネスティングベクトルの変化はスピン編極した表面準位のシフトに対応するものと考えられる。

36000968
Attosecond electron delocalization in the conduction band through the phosphate backbone of Genomic DNA
池浦 広美*; 関口 哲弘
Physical Review Letters 99(22), p.228102_1-228102_4(2007) ; (JAEA-J 04280)
 アンチセンスDNAは癌治療等の応用にも期待される合成DNAの一つであり、広くその化学的物理的基礎データの収集が求められている。本研究ではアンチセンスDNAについて放射光を用いてX線吸収スペクトル(XAS),オージェ電子の観測を行いその基礎的データを供出した。共鳴内殻励起における空軌道の状態密度のエネルギー依存性・局在性等を求め、内殻正孔崩壊過程を考察した。

36000969
Magnetic-dipole vortex generation by propagation of ultraintense and ultrashort laser pulses in moderate-density plasmas
中村 龍史; 三間 圀興*
Physical Review Letters 100(20), p.205006_1-205006_4(2008) ; (JAEA-J 04281)
 臨界密度近傍の比較的高いガス密度プラズマ中に超高強度・超短パルスレーザーを伝播させた場合、孤立した磁気双極渦が形成されることを明らかにした。レーザーエネルギーがプラズマにすべて吸収された後、磁気渦が形成される。そこでは、磁気圧が背景電子を磁場領域から排斥することで空孔ができ、強い静電場が誘起される。この静電場により電子が空孔の中心に引き込まれることで電流が誘起され、磁場渦構造を形成する。この磁気渦により加速された電子のエネルギースペクトルは非熱的でかつ非常に高いエネルギーを持つ。磁気渦構造は電磁力学的平衡条件から説明され、磁気渦の構造及びその形成条件を明らかにした。この理論モデルは2次元粒子シミュレーションとよい一致を見せた。このような亜臨界密度プラズマ中での電子加速は、エネルギー変換効率が高く非熱的速度分布を持つことなどからイオン加速への応用が期待される。

36000970
Structural refinement and extraction of hydrogen atomic positions in polyoxymethylene crystal based on the first successful measurements of 2-dimensional high-energy synchrotron X-ray diffraction and wide-angle neutron diffraction patterns of hydrogenated and deuterated species
田代 孝二*; 塙坂 真*; 大原 高志; 尾関 智二*; 北野 利明*; 二宗 隆*; 栗原 和男; 玉田 太郎; 黒木 良太; 藤原 悟; 田中 伊知朗*; 新村 信雄*
Polymer Journal 39(12), p.1253-1273(2007) ; (JAEA-J 04282)
 固相重合反応によって得られた水素化及び重水素化ポリオキシメチレン(POM)について、X線及び中性子の2次元繊維回折測定に成功した。これらの測定データを用い、POMの3次元構造を水素,重水素原子の位置も含めて決定することを試みたところ、(9/5)へリックス構造と(29/16)へリックス構造の2種類の構造モデルが提唱された。これに対して回折パターンを再検討したところ、前者では消滅側に相当する反射が観察されていたことから、POMの3次元構造は(29/16)へリックス構造であることが示唆された。

36000971
Actinide reformer concept
佐々 敏信; 西原 健司; 菅原 隆徳; 岡本 芳浩; 大井川 宏之
Progress in Nuclear Energy 50(2-6), p.353-358(2008) ; (JAEA-J 04283)
 分離核変換技術は高レベル廃棄物処分にかかわる環境負荷の低減に有効な手段である。しかしながら、アメリシウムとキュリウムは自身の崩壊熱と放射能により核燃料サイクルで扱うのが難しい。これらの核種は使用済燃料ペレットの照射健全性を損なう化学的性質も持ち合わせている。そこで、核燃料サイクルの負担低減のため、アメリシウムとキュリウムを捕獲反応と崩壊によってプルトニウムに転換するアクチニド改質システムを提案する。アメリシウムとキュリウムは再処理の主工程から分離され、塩化物溶融塩燃料に転換する。液体燃料を用いることにより、アメリシウムとキュリウムに関する上記の課題は回避される。アクチニド改質システムは、10MW級サイクロトロン,タングステン核破砕ターゲット及び溶融塩未臨界炉心から構成される。これらの構成機器は、現在の技術から工学的に外挿可能な範囲にある。システムの運転に必要な電力はアクチニドの核分裂反応から取り出す。また、使用済溶融塩はバッチ交換方式で再処理を行う。改質されたプルトニウムの発電用高速炉MOX燃料への還元に関する技術的課題はないと考えられる。

36000972
Application of ozone decomposition catalysts to electron-beam irradiated xylene/air mixtures for enhancing carbon dioxide production
箱田 照幸; 松本 加奈江; 島田 明彦; 成田 正*; 小嶋 拓治; 広田 耕一
Radiation Physics and Chemistry 77(5), p.585-590(2008) ; (JAEA-J 04284)
 当グループでは、塗料工場からの換気ガスに含まれる芳香族有機物を電子ビーム照射により分解除去する技術の開発を進めている。電子ビーム照射した汚染空気には、ガス中では有機物とほとんど反応しないオゾンが残存していることから、本研究では、このオゾンを活性化するとともに、この活性酸素により芳香族有機化合物やその照射生成物を酸化分解する技術の開発に着手した。具体的には、オゾンを活性化する方法としてオゾンの分解能力の高い二酸化マンガンを選定し、電子ビーム照射したキシレン含有空気をこの触媒に通じることにより、キシレン及び照射生成物の触媒酸化反応について調べた。その結果、触媒上でオゾンが解離して生じた活性酸素により、照射生成物のみを選択的に二酸化炭素にまで分解でき、またオゾンの分解量と同量の二酸化炭素が生成することがわかった。さらに、二酸化炭素となる照射生成物は、ギ酸などの低級な有機物であることを明らかにした。

36000973
Construction of monoenergetic neutron calibration fields using 45Sc(p,n)45Ti reaction at JAEA
谷村 嘉彦; 三枝 純; 志風 義明; 堤 正博; 清水 滋; 吉澤 道夫
Radiation Protection Dosimetry 126(1-4), p.8-12(2007) ; (JAEA-J 04285)
 日本原子力研究開発機構では、加速器を用いた8keVから19MeV領域の単色中性子校正場を開発している。8及び27keV中性子の発生には45Sc(p, n)45Ti反応の共鳴ピークを利用する。本反応の中性子発生断面積は複雑な共鳴構造を持ち、1keV以下の精度で入射陽子のエネルギーを制御しなければならない。ところが、加速器の電圧制御のみで必要とされる陽子エネルギーの微調整を行うのは困難であり、単色中性子校正場開発の大きな問題点となっていた。そこで、ターゲットに電圧を印加できる装置を取り付けることにより、入射陽子エネルギーの迅速かつ高精度の調整を可能にした。45Sc(p, n)45Ti反応のしきいエネルギー付近での発生中性子量をモニタし、陽子エネルギーとターゲット印加電圧の関係を決定した。この関係をもとに陽子エネルギーをもとに調整し、8及び27keVそれぞれの単色中性子を発生させた。そして、目的とする中性子エネルギーが得られていることを飛行時間法で確認した。これにより、8及び27keV単色中性子を安定して発生させることができ、これまで難しかったkeV領域での中性子測定器の精度良い校正が可能となった。

36000974
Evaluation of the characteristics of the neutron reference field using D2O-moderated 252Cf source
古渡 意彦; 藤井 克年; 高橋 聖; 吉澤 道夫; 清水 滋; 川崎 克也; 山口 恭弘
Radiation Protection Dosimetry 126(1-4), p.138-144(2007) ; (JAEA-J 04286)
 一般的に利用される中性子用の個人線量計は、γ線用の線量計と比較してエネルギー応答特性が悪い。そのため中性子線量計は、線量に関して適切な校正がなされないと、作業環境で使用した場合、真の線量に対して大きく異なる値を指示する場合がある。この差異を小さくするには、実際の作業環境場の中性子スペクトルに近い中性子校正場で中性子線量計を校正するのが有効である。放射線標準施設棟では種々の中性子線量計に対して実際の作業環境場に近い中性子スペクトルによって得られる校正定数を提供する目的で、252Cf中性子線源を重水で満たされたステンレス球(30cmφ)の中心に配置して得られる中性子校正場(以下「重水減速場」という)を整備した。本研究では重水減速場の重要な特性(ステンレス球表面から校正点に直接到達する一次線の中性子フルエンス率,中性子エネルギースペクトル,線量換算係数,線量当量率、及び散乱成分の照射距離に対する変化)を計算シミュレーションと多減速材付中性子スペクトロメータによる実測により評価した。一連の計算シミュレーションと実験で、中性子フルエンス率とスペクトルを実測する際の室内散乱成分の補正手法の有効性について議論した。加えて個人線量計のための校正場として利用する場合の、最適な照射距離についての評価も行った。

36000975
Investigation of properties of the TIARA neutron beam facility of importance for calibration applications
志風 義明; 谷村 嘉彦; 三枝 純; 堤 正博; 山口 恭弘; 内田 芳昭*
Radiation Protection Dosimetry 126(1-4), p.163-167(2007) ; (JAEA-J 04287)
 20MeV以上の中性子エネルギーに関して、校正場や校正技術の国際的な標準が確立されていない。そこで、日本原子力研究開発機構・高崎量子応用研究所TIARAの40∼90MeV領域の高エネルギー準単色中性子照射場を利用して、校正場の開発を進めている。ここでは、45, 50, 70MeV陽子がリチウムターゲットと反応して生成された中性子の場の特性を評価した。まず、イメージングプレートを用いて中性子ビームプロファイルをターゲットからの異なる距離において調査した。測定結果から、ターゲットからの距離とコリメータの内径に幾何学的に依存した中性子ビームの空間分布を把握した。また、ビーム強度がターゲットからの距離の逆2乗に比例することも確認した。次に、有機液体シンチレータ検出器を用いて飛行時間法(TOF法)によりエネルギースペクトルを測定した。さらに、照射野外の位置において散乱線の波高スペクトル測定を行い、FORISTコードによるアンフォールディング法からエネルギースペクトルを評価した。これらの異なる方法により得られたエネルギースペクトルからピーク部のフルエンスを評価した。

36000976
Development of a neutron personal dose equivalent detector
辻村 憲雄; 吉田 忠義; 高田 千恵; 百瀬 琢麿; 布宮 智也*; 青山 敬*
Radiation Protection Dosimetry 126(1-4), p.261-264(2007) ; (JAEA-J 04288)
 中性子個人線量当量を測定する新型中性子測定器を開発した。本測定器は、中心に配置された熱中性子検出器,中心部のポリエチレン減速材,前部の半球ポリエチレン減速材,後部のボロン入りポリエチレン吸収材からなる。中性子個人線量当量のエネルギー及び角度依存性に特性が合致するよう各部材の寸法を、モンテカルロ計算により決定した。

36000977
A Dinuclear Ni(μ-H)Ru complex derived from H2
小江 誠司*; 嘉部 量太*; 上原 啓嗣*; 久禮 文章*; 西村 貴史*; Menon, S. C.*; 原田 了輔*; 福住 俊一*; 樋口 芳樹*; 大原 高志; 玉田 太郎; 黒木 良太
Science 316(5824), p.585-587(2007) ; (JAEA-J 04289)
 ヒドロゲナーゼは分子性水素(H2)の酸化還元反応を触媒する酵素であり、水素エネルギーへの応用という点からその酵素活性機構が注目されている。本研究では水素分子(H2)をNiRu二核アクア錯体と常温常圧下で反応させることで、新規の水素架橋型Ni(μ-H)Ru二核錯体を得ることに成功した。このNi(μ-H)Ru二核構造は中性子回折により明確に決定された。この錯体は(6配位Ni)(μ-H)M(M=遷移金属)という構造を持つ初めての化合物で、[NiFe]ヒドロゲナーゼの活性状態の構造とされているものと非常に近く、ヒドロゲナーゼのモデル化合物として活性機構解明の重要な手がかりとなる。

36000978
Analysis of NO3 interception of the parasitic angiosperm Orobanche spp. using a positron-emitting tracer imaging system and 13NO3-; A New method for the visualization and quantitative analysis of the NO3 interception ratio
河地 有木; 藤巻 秀; 阪本 浩一*; 石岡 典子; 松橋 信平; 関本 均*
Soil Science and Plant Nutrition 54(3), p.408-416(2008) ; (JAEA-J 04290)
 全寄生性のオロバンキ(Orobanche)は植物根に寄生し農業生産に多大な被害を及ぼしており、そのメカニズムの解明は的確な防除法の確立にとどまらず植物生理学上有用である。本研究ではホスト植物根の窒素栄養の収奪を非侵襲的に可視化し、その収奪率を定量解析することを目的とし、ポジトロンイメージング法(PETIS)において複数核種(13NO3-, 18F-)を用いた解析手法を確立した。オロバンキをアカクローバー根茎に寄生させ13NO3-に続いて18F-を吸収させて、オロバンキへの分配と茎葉基部への移行を可視化し各トレーサの動態を数理解析した。その結果、73.6±3.9%の窒素栄養素収奪率が定量された。本手法は短半減期核種による繰り返し計測が可能なPETISの特色を活かした新たな解析法であり、得られる定量値は根寄生植物によるホスト植物からの栄養素の収奪を明らかにし、さらには寄生植物の生存戦略や宿主認識メカニズムまでも"可視化"するものである。

36000979
High-energy total reflection X-ray photoelectron spectroscopy for polished iron surface
名越 正泰*; 河野 崇史*; 槇石 規子*; 馬場 祐治; 小林 克巳*
Surface and Interface Analysis 40(3-4), p.738-740(2008) ; (JAEA-J 04291)
 放射光の高エネルギーX線を用いた斜入射X線光電子分光法(XPS)を鏡面研磨したステンレス鋼及びシリコンウェハーの表面分析に応用した。斜入射X線を用いる利点は、斜入射X線の表面における進入深さが数ナノメーターと浅いため、XPSにおけるバックグラウンドを低減することができることである。実験は高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光科学研究施設のBL-27Aで行った。1.8keVから3.6keVのエネルギーの放射光軟X線を種々の入射角で試料表面に照射した。光電子は3keVまで測定可能な半球型電子分光器により測定した。全反射条件下で光電子分光スペクトルを測定したところ、XPSのバックグラウンドが著しく低下することを確認した。この結果を、バックグラウンドの理論計算と比較したうえで、X線の進入深さと光電子の非弾性平均自由行程の関係において議論した。また、得られたスペクトルから、深さ方向の情報が得られるかどうかについても検討した。

36000980
XAFS study of relaxor Pb(In0.5Nb0.5)O3
米田 安宏; 安田 直彦*
Transactions of the Materials Research Society of Japan 33(1), p.15-18(2008) ; (JAEA-J 04292)
 リラクサーPb(In0.5Nb0.5)O3(PIN)はBサイトを占有するInとNbのオーダー状態によって異なる強誘電的性質を示すと言われている。そのオーダーパラメータはX線回折を用いて観測される超格子反射の強度が用いられているが、非常に鈍感で正確な物性を反映したオーダーパラメータとは言いがたい。そこで、新たなオーダーパラメータとなる物性値の提案として、相転移温度と吸収端エネルギーを提案する。相転移温度に関しては、LiNbO3やLiTaO3ですでに用いられているが、同じように強誘電的性質の変化とともに相転移温度も変化していることがわかった。また吸収端エネルギーはorder or disorderしていると思われるIn, Nbではその変化はほとんど認められないが、Pb-LIII吸収端では物性値の変化とともにエネルギーがシフトしており、Bサイトだけでなく、AサイトのPbの状態にも注目する必要があることがわかった。

36000981
Microstructures related to the ferroelectric properties in BiFeO3-BaTiO3
喜多川 修二*; 堀部 陽一*; 吉井 賢資; 鈴木 宗泰*; 野口 祐二*; 西原 禎文*; 細越 裕子*; 森 茂生*
Transactions of the Materials Research Society of Japan 33(1), p.27-30(2008) ; (JAEA-J 04293)
 BiFeO3-BaTiO3混晶系の強誘電ドメイン構造について、透過電子顕微鏡測定及び磁化・誘電率測定によって調べた。BiFeO3においては大きな強誘電ドメインが観測されるが、25%BaTiO3を混ぜた0.75BiFeO3-0.25BaTiO3においては、ドメインサイズが20∼30nm程度に小さくなることがわかった。さらにBaTiO3を増やした0.66BiFeO3-0.33BaTiO3では、局所的な歪場に起因するツイード的なパターンが観測された。さらに、広い領域の電子顕微鏡実空間像の観測から、強誘電ドメインの分布とその分極方向について議論した。

36000982
Dilution effect on microstructures with respect to magnetic and dielectric properties in charge-ordered ferroelectric LuFe2O4
松尾 祥史*; 堀部 陽一*; 吉井 賢資; 池田 直*; 森 茂生*
Transactions of the Materials Research Society of Japan 33(1), p.31-34(2008) ; (JAEA-J 04294)
 最近われわれは、LuFe2O4が、鉄イオンの電荷が実空間整列することで強誘性を示すという、全く新しいタイプの強誘電体であることを見いだした。本研究では、この物質の鉄を銅に置き換えた、LuFeCuO4の性質を調べた。誘電率測定からは、300K付近において誘電分散が見いだされ、この物質が常誘電体であることがわかった。また、透過電子線回折実験から、ジグザグ上の散漫散乱が見られた。さらに、この実験の実空間像観察からは、10nm程度のナノサイズドメインが見られ、鉄イオンと銅イオンの実空間秩序が存在することがわかった。この秩序構造は、LuFe2O4の鉄イオンの電荷秩序と類似のイオン配列である。これらの結果から、鉄イオンと銅イオンの短距離秩序構造がこの物質の誘電性の起源であることが示唆される。

36000983
第一原理分子動力学法による金属イオンの水和と化学反応
池田 隆司
アンサンブル 10(2), p.3-8(2008) ; (JAEA-J 04295)
 第一原理分子動力学を用いた金属イオンの水和と化学反応のシミュレーションについて最近の成果を解説し、展望をまとめた。

36000984
高速中性子直接問かけ法を用いたウラン廃棄物のクリアランス検認技術
春山 満夫; 高瀬 操; 高峰 潤
デコミッショニング技報 (37), p.17-24(2008) ; (JAEA-J 04296)
 近年ウラン廃棄物のクリアランスレベルが具体化しつつあり、これを低コストで精度よく確実に検認する技術が必要とされている。そこで、日本原子力研究開発機構が開発した高速中性子直接問かけ法のウラン廃棄物に対する適用性評価を行い、これに適した測定体系を開発した。その結果、最適化された測定体系を用いることによって、クリアランスレベルを大きく下回る測定ができることが確認された。本報告では、この手法のウラン廃棄物への適用性評価、及び原理や装置の改善点を紹介する。

36000985
グラフト捕集材による有用金属の回収; 日本では産出しない有用金属の確保をめざして
玉田 正男
電気評論 93(5), p.54-58(2008) ; (JAEA-J 04297)
 海水にはウランが、温泉水にはスカンジウムが極低濃度溶存している。放射線グラフト重合法で作製した金属捕集材は、取り扱いが容易であるため、これらの金属捕集に適している。むつ海域では、1kgのウランが海から回収され、捕集コストの低減が期待できるモール状捕集システムが開発された。現在、ウランのスポット価格が高騰しているため、海水ウランの捕集が注目を集めている。温泉水中のスカンジウムの捕集試験は群馬県の草津温泉で行われ、捕集技術の開発により、新たなスカンジウムの用途開発の進展が期待される。

36000986
微生物が地下の酸化還元環境形成に及ぼす影響
天野 由記; 岩月 輝希; 井岡 聖一郎*; 笹尾 英嗣
原子力バックエンド研究 14(1), p.61-67(2007) ; (JAEA-J 04298)
 微生物は地下の酸化還元環境の形成及び維持にどのような影響を及ぼすのだろうか?日本原子力研究開発機構では、「水-岩石(有機物)-微生物」システムにおいて微生物を考慮に入れた岩盤の酸化還元緩衝能力の評価を試みている。本報告では、微生物影響の評価のために実施した天然環境調査の結果を紹介するとともに、今後の課題を示した。

36000987
加速器質量分析計の環境科学・保健物理への利用
天野 光
放射線と産業 (118), p.25-32(2008) ; (JAEA-J 04299)
 加速器質量分析法(AMS法)は、極微量の長半減期放射性核種等を高感度・高精度に測定できる分析法であり、年代測定にかかわる考古学に限らず環境科学の分野でも大いに威力を発揮している。少量の試料で短時間に高感度・高精度測定が可能であることから、トレーサー利用として最適であり、最近では例えば地球温暖化や海水流動,環境中有機物循環の研究等も精力的に行われている。また原子力・保健物理の分野では、通常の放射線計測法では検出困難な長半減期放射性核種や、放射性廃棄物処理処分にかかわる難分析核種の検出にも威力を発揮する。本レビューはAMS法の環境科学や保健物理分野への利用に関し報告された最近の論文を中心にまとめたものである。

36000988
文部科学省「先端研究施設共用イノベーション創出事業」【産業戦略利用】「明日を創り、暮らしを守る量子ビーム利用支援事業」; 先端研究施設が無償で利用可能
小嶋 拓治
放射線と産業 (118), p.44-49(2008) ; (JAEA-J 04300)
 高崎量子応用研究所では、所有するTIARA等の先端的研究施設を有効活用して、平成19年度から、産業界を対象とした文部科学省「先端研究施設共用イノベーション創出事業(産業戦略利用)」を実施している。これは、民間企業等の方々に、従来技術の応用では解決が困難な課題などに対して、放射線利用という新しい側面から解決・実用化を目指していただくための事業である。期間は限られているが、先端的な施設・機器が無償で利用できるだけでなく、放射線利用の経験がなくても、計画立案や実験・データ解析等における技術的支援を受けながら実施できる、産業界にとって非常に魅力的な特色がある。本稿では、この事業の概要を述べる。

36000989
革新的高温ガス炉燃料としてのZrC被覆燃料粒子の製造及び検査技術開発
植田 祥平; 相原 純; 安田 淳; 石橋 英春; 茂住 泰寛; 沢 和弘; 湊 和生
表面 46(4), p.222-232(2008) ; (JAEA-J 04301)
 原子力機構では、従来の炭化ケイ素(SiC)被覆燃料粒子よりも耐熱性・化学的安定性等に優れると期待される炭化ジルコニウム(ZrC)被覆燃料粒子の製造技術及び検査技術の開発を進めている。先行研究から大型化した200gバッチ規模ZrC被覆実験装置を用いたZrC被覆実験を実施し、ZrC層物性と被覆温度,粒子装荷量との相関を取得することで、定比ZrC層の取得に成功した。また、ZrC被覆燃料粒子の品質を評価するうえで重要な、ZrC層厚さ,ZrC層密度,熱分解炭素(PyC)層前処理の検査技術を開発した。今後、装置大型化のため定比ZrC被覆条件データを拡充するとともに、検査精度を高度化し、超高温ガス炉(VHTR)等の革新的高温ガス炉用燃料としてZrC被覆燃料粒子の実用化に資する。

36000990
タンパク質とDNAの結合予測
皿井 明倫*; 河野 秀俊
実験医学 26(7), p.1099-1105(2008) ; (JAEA-J 04302)
 転写因子などのDNA結合タンパク質は、遺伝子の制御に重要な役割を果たしている。タンパク質は、通常複数のDNA配列を認識し複数の遺伝子の発現を制御しているが、タンパク質があるDNAを特異的に認識する機構についてはまだよくわかっていない。したがって、タンパク質とDNAの特異的結合を正確に予測することは容易ではない。また、構造ゲノミクスプロジェクトによって機能未知のタンパク質の立体構造が次々と明らかにされている現在、それらのタンパク質がDNAに結合するかどうか、また結合するならば、どこの部位を使って結合するかといった分子機能を予測することも重要になってきている。本稿ではこれまでに開発されたDNA結合タンパク質の予測方法,結合部位の予測方法,タンパク質の結合塩基配列の予測方法、特にわれわれが開発してきた構造情報を用いる方法について解説し、今後の展望について述べる。

36000991
電子ジャーナル利用ニーズの実態について; 日本原子力研究開発機構の調査から
深澤 剛靖; 中嶋 英充; 石川 正
情報の科学と技術 58(6), p.301-305(2008) ; (JAEA-J 04303)
 日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、エルゼビア社の協力を得て、サイエンスダイレクトを利用した電子ジャーナルの利用調査を実施した。調査結果は原子力機構の研究開発成果報告書JAEA-Review-2008-021として刊行されている。本稿は、調査結果の概要と調査結果からみた海外学術雑誌の選定に関する考察を報告するものである。

36000992
JRR-3の高分解能中性子粉末回折装置を使った高圧実験
小松 一生*; 有馬 寛*; 鍵 裕之*; 奥地 拓生*; 佐々木 重雄*; 山内 宏樹; 深澤 裕; 井川 直樹; 内海 渉; 神山 崇*
高圧力の科学と技術 18(2), p.170-172(2008) ; (JAEA-J 04304)
 現在東海村に建設中の大強度パルス中性子施設(J-PARC)や、集光デバイスの積極利用による中性子強度の増大は、「高圧」と「中性子」という2つのキーワードをつなぐ架け橋と期待される。高圧中性子科学分野で先行する英国ISISやフランスILLでは、パリエジンバラ(PE)セルを用いた10GPa程度までの圧力下での中性子粉末回折実験はルーチンワークとなっている。国内でも単結晶試料を用いた高圧下中性子回折実験は実績があり、PEセルを用いた中性子回折実験もわずかに例があるが、中性子強度の弱さから本格的な広がりを見せていない。日本独自の中性子回折用高圧セルの開発と平行して、PEセルの本格利用を検討することは有意義であるとの視点から、われわれはPEセルを原子力機構の研究用原子炉中性子施設JRR-3内にある高分解能粉末中性子回折装置HRPDに導入し、高圧下中性子粉末回折実験を行った。本短報では、その結果を簡単に報告する。

36000993
下北沖海域における海洋中放射性核種移行予測システムの構築とケーススタディ
小林 卓也; 印 貞治*; 石川 洋一*; 松浦 康孝*; 島 茂樹*; 中山 智治*; 淡路 敏之*; 川村 英之; 外川 織彦
日本原子力学会和文論文誌 7(2), p.112-126(2008) ; (JAEA-J 04305)
 下北沖海域における使用済燃料再処理施設の平常時及び異常時に海洋へ放出される放射性核種の移行を予測する海況予測システムを開発した。開発されたシステムのケーススタディを実施した結果、下記の結論が得られた。(1)沿岸域の海況予報は、海洋大循環モデルにデータ同化手法とネスティング手法を用いることにより、十分実用に耐えられるレベルに到達した。(2)3Hの仮想放出計算から海産物摂取による最大個人線量を推定したところ、0.45μSv/yであった。この値は一般公衆の線量限度よりも十分低い値である。(3)吸脱着モデルを用いた137Csの仮想放出計算の結果、60日間の計算期間では海底に堆積する137Csは全体の約4%であった。今回の仮想放出計算による137Cs濃度は、当該海域で測定されたグローバルフォールアウトと同程度以下であった。

36000994
最近の高速炉の位置づけと国内外の開発動向
中井 良大
日本原子力学会誌 50(5), p.318-323(2008) ; (JAEA-J 04306)
 21世紀社会においては、資源の安定供給だけでなく、環境負荷の低減の観点も重要視され、原子力政策においても高速増殖炉開発の重要性が再認識された。各国においても原子力の有用性が認識され、高速炉開発が積極的に行われるようになった。GIFやINPROなどの国際的なフォーラムによる国際協力が進められるとともに、国際標準化を目指す国際協力が行われるようになってきた。我が国においては、国内の研究開発体制を整備し、高速炉の実用化に向けてFaCTプロジェクトを開始した。

36000995
高速増殖炉サイクルの技術開発
佐賀山 豊; 長沖 吉弘
日本原子力学会誌 50(6), p.363-367(2008) ; (JAEA-J 04307)
 独立行政法人日本原子力研究開発機構では、国家基幹技術である高速増殖炉サイクルの主概念であるナトリウム冷却高速炉(酸化物燃料),先進湿式法再処理,簡素化ペレット法燃料製造の組合せの開発に資源を集中し、高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCT)として、その実用化に向けた研究開発を行っている。FaCTプロジェクトでは、2010年に革新的な技術の採否判断を行い、2015年にはFBRサイクルの実用施設及び実証施設の概念設計並びに実用化に至るまでの研究開発計画を提示する。その成果によって2025年に実証炉が運転開始されるよう、国際協力を活用しながらFaCTプロジェクトを効率的,効果的に進めていく。

36000996
形態学と線量計測学
木名瀬 栄; 高島 房生*
日本保健物理学会専門研究会報告書シリーズ(Internet) 6(2), p.54-67(2008) ; (JAEA-J 04308)
 本報告では、国際放射線防護委員会(ICRP)が刊行した、新消化管モデル(Publ.100)の第7章形態学と線量計測学について解説した。具体的には、ヒト消化管の形態計測データとヒト消化管幾何形状モデル,電子などの非透過性放射線の吸収割合及び比吸収割合,年齢依存線量計算手法などについて、報告者の独自の図などを用いて解説した。ICRP線量評価手法の改訂は、我が国の法令等へ反映されることが予想されるため、本報告がICRPの新消化管モデルについて日本保健物理学会員のみならず規制当局者などの間で共通の理解を深める資料になると考える。

36000997
ICRP新消化管モデル専門研究会報告書,1; Publ.100の解説: 付属書について
伊藤 公雄
日本保健物理学会専門研究会報告書シリーズ(Internet) 6(2), p.77-86(2008) ; (JAEA-J 04309)
 日本保健物理学会では、国際放射線防護委員会(ICRP)が新しいヒト消化管モデル(HATM)に関して刊行したPubl.100について、専門研究会(ICRP新消化管モデル専門研究会)を設置し、HATMについて学会員の間で共通の理解を深めるために活動している。本報告書は、専門研究会において、Publ.100の各章に分担委員を決め、その委員を中心にレビューを行った結果を解説書としてまとめたものである。報告者は専門研究会幹事として全体のとりまとめを行うとともに付属書の概要について原稿を作成した。

36000998
単結晶中性子回折を用いた結晶相反応の直接観察
大原 高志; 細谷 孝明; 大橋 裕二*
日本結晶学会誌 50(1), p.98-102(2008) ; (JAEA-J 04311)
 単結晶中で進行する結晶相反応では、水素原子の動きを捉えることが反応機構を解明する鍵となる。そこで、筆者らは反応に関与する水素原子を重水素原子で置換し、反応に伴うその動きを水素原子と重水素原子の区別が容易な単結晶中性子回折で観察することを提唱し、コバロキシム錯体と呼ばれる一連の有機コバルト錯体で結晶相反応の機構解明を試みた。その結果、アルキル基の立体反転や3-1異性化,4-1異性化と呼ばれる反応について、それぞれHula-Twist立体反転,3-2-1二段階異性化,アルキルターン型一段階異性化で反応が進行することを明らかとした。

36000999
三角格子系鉄複合酸化物LuFe2O4における電荷秩序構造と誘電特性
松尾 祥史*; 吉井 賢資; 池田 直*; 森 茂生*
日本結晶学会誌 50(2), p.150-154(2008) ; (JAEA-J 04312)
 鉄電荷秩序によって強誘電性を示す、新規物質LuFe2O4について、その性質を電子線回折と誘電率測定によって調べた結果を報告する。実験の結果、電荷秩序構造と誘電特性が酸素量に敏感であることがわかった。酸素量が化学量論比に近い場合には、室温において、3次元的な電荷秩序構造が[1/3 1/3 1/2]の変調ベクトルをもって出現することがわかった。一方、酸素欠損がある場合には、電荷秩序構造は2次元的になり、c軸方向のコヒーレンス長さは短くなることが観測された。これらの現象を理解するには、今後、酸素量を精密制御した試料を作成する必要があることを提言する。

36001000
国内外の中性子イメージング設備
松林 政仁
Radioisotopes 57(5), p.329-350(2008) ; (JAEA-J 04315)
 中性子イメージング設備を原子炉中性子源,加速器中性子源,放射性同位体中性子源,核破砕反応中性子源等の利用する中性子源別に国内の設備を中心に紹介した。国内の中性子イメージング設備はJRR-3M, KUR(停止中),住重試験検査等の既存中性子源利用が中心であるが、核破砕パルス中性子源J-PARC/JSNSへの期待は大きい。一方国外では、従来の中性子束重視から空間分解能(高コリメータ比)重視へと中性子イメージング設備の性能の重心が移っている。これまで中性子散乱実験設備が中心であったILL HFRやNIST NBSRで、中性子散乱実験装置用の実験孔にイメージング設備が設置されており、燃料電池開発等、これまでの非破壊検査用途のみならず研究開発用のツールとして産業界に広く開放されている。本解説ですべてのイメージング設備を取りあげることはできていないが、注目すべき主要な設備はほぼ網羅した。

36001001
きっづ光科学館ふぉとんにおけるふぉとん虹色エネルギー実験教室の実践
星屋 泰二; 佐々木 和也*; 西川 雅弘
レーザー研究 36(4), p.221-225(2008) ; (JAEA-J 04316)
 日本原子力研究開発機構関西光科学研究所では、きっづ光科学館ふぉとんを利用した、実験教室やイベントなどさまざまな科学技術理解増進活動を展開している。ここでは、地域における科学技術理解増進のためのプログラムを含め、科学館について科学技術を理解するための一つの実験装置と捉えて、科学館の可能性を拡げる試みを展開している。本報告では、小学校上級生を対象とした、種々のエネルギー変換をテーマとする実験教室「ふぉとん虹色エネルギー実験教室」を開催した結果、142名の参加者を得た。理科実験を楽しむことに関しては、参加者の9割弱が達成され、動機づけの視点については、いずれの回においても9割前後の参加者が効果があったとしており、今後の学習意欲に繋がるものとして多いに期待できることがわかる。

36001002
セメントペースト硬化体の間隙水に残存する有機混和剤の溶存挙動の評価
藤田 英樹*; 芳賀 和子*; 柴田 真仁*; 三原 守弘
セメント・コンクリート論文集 (61), p.65-71(2008) ; (JAEA-J 04317)
 ポリカルボン酸系高性能AE減水剤を添加したセメントペースト硬化体からの混和剤溶出挙動を、間隙水及び養生水の組成から評価した。TOC濃度から算出したSP溶出量は小さく、多くは固体に取り込まれたままであることがわかった。間隙水からは低分子量の有機物のみが検出され、高アルカリ性環境によるポリマーの分解、あるいは低分子量物質の選択的な溶出が示唆された。混和剤以外の有機物はプレーン試料によるブランク試験でキャンセルできると仮定したが、粉砕助剤などもともとセメント中に含まれていた有機物が結果に影響していないかといった新たな課題も明らかとなった。

36001003
フライアッシュ高含有シリカフュームセメント硬化体における塩化物イオン拡散係数の算定
三原 守弘; 鳥居 和之*
セメント・コンクリート論文集 (61), p.331-337(2008) ; (JAEA-J 04318)
 放射性廃棄物の処分施設において使用が検討されているフライアッシュ高含有シリカフュームセメント硬化体(HFSC)の長期的な挙動を評価するために、塩化物イオンの見掛けの拡散係数を算定した。また、セメント硬化体の間隙構造や塩化物イオンの固定能力に着目して、セメント硬化体の拡散係数に及ぼす配合,浸漬期間の影響について検討した。その結果、フライアッシュ40%のシリカフュームセメント(HFSC424)が最も小さな拡散係数を示し、浸漬期間とともに小さな値となった。普通ポルトランドセメントと比較して、間隙率が大きく、塩化物イオンの固定化能力も小さくなるが、屈曲度の大きな間隙構造が形成されるために拡散係数が小さくなるものと考えられた。

36001004
Uptake of uranium by spinach grown in andosols accumulating trace amounts of fertilizer-derived uranium
山口 紀子*; 渡部 陽子; 川崎 晃*; 井上 千晶*
Environmental Radiochemical Analysis 3 , p.52-57(2007) ; (JAEA-J 04319)
 リン酸肥料には90∼740mg/kgのウランが不純物として含まれているため、長期間農地として使われてきた土壌にはウランが蓄積している。ウランは土壌環境下において広く存在する物質であるため、肥料由来のウランが公衆の線量に与える影響を評価するのは困難である。しかし、ホウレンソウのようなアカザ科の植物は、ほかの農作物と比べ、よりウランを吸収するということが知られている。農地に存在する微量ウランによるリスクを評価するため、発表者らは、リン酸肥料によりウラン濃度が上昇した可能性のある土壌で栽培されたホウレンソウによるウランの吸収について調査した。その結果、ホウレンソウ葉部には2.36μg/kg乾、茎部には0.23μg/kg乾のウランが吸収されて存在することがわかった。また、これらのウラン濃度は鉄及びアルミニウム濃度と相関関係があった。したがって、ホウレンソウによるウランの吸収は鉄やアルミニウムの吸収に伴って起こると考えられる。

36001005
Multipole as f-electron spin-charge density in filled skutterudites
堀田 貴嗣
Journal of the Physical Society of Japan, Vol.77, Supplement A , p.96-101(2008) ; (JAEA-J 04320)
 一般に、f電子はスピン・軌道相互作用が強く、スピン・軌道複合自由度、すなわち「多極子」がf電子系化合物では活性化することはつとに知られていたが、近年の実験技術の急速な進歩により、高い対称性を持つ充填スクッテルダイト構造物質において多極子秩序現象がしばしば観測されるようになってきた。多極子秩序を理解するために、これまで現象論に基づく理論が展開され、実際に幾つかの実験結果が説明されてきたが、その一方で、多極子自由度の微視的側面を明らかにすることが求められていた。そこで本発表では、まず多極子の定義を議論する。ここでは、古典電磁気学における電荷分布ポテンシャルの多重極展開の観点から、多極子が一体のスピン・電荷密度演算子として自然に定義されることを示す。さらに具体的に計算を進めるために、7軌道アンダーソン模型を考え、数値繰り込み群法によって解析する。そして、充填スクッテルダイト化合物の可能な多極子状態について議論をする。

36001006
Experimental study on the effects of fault movement on the engineered barrier system
内藤 守正; 齋藤 雄也; 棚井 憲治; 油井 三和
Proceedings of 16th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-16) (CD-ROM) , 6p.(2008) ; (JAEA-J 04321)
 断層活動による地層処分システムの人工バリアに与える影響を理解するために実験的なアプローチを採用した。実験は室内試験装置を用いて行い、これまでのせん断試験の結果から、金属製のオーバーパックはその可塑性により緩衝材中で回転するものの、破損には至らないことが示されている。また、試験装置の性能によって制約される試験範囲を補完するために数値モデルによる解析も実施した。

36001007
Technical development for IASCC irradiation experiments at the JMTR
柴田 晃; 中野 純一; 近江 正男; 川又 一夫; 斎藤 隆; 林 光二; 齋藤 順市; 中川 哲也; 塚田 隆
Proceedings of 16th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-16) (CD-ROM) , 8p.(2008) ; (JAEA-J 04322)
 照射誘起応力腐食割れ(IASCC)は高経年化原子炉炉心構造材の寿命管理を考えるうえで最も重要な課題の一つである。IASCCの挙動を再現するためには、炉内試験あるいは照射後試験が用いられるが、このためには試験片に対しIASCCの閾線量以上の中性子照射を行わなくてはならない。しかしながら、この試験を実現するためには幾つかの技術的ハードルをクリアしなければならなかった。一つは遠隔操作によりホットセル内でキャプセルを再組立する技術の確立であり、もう一つは長期に渡り照射下に置かれるキャプセルの圧力バウンダリー材に、延性等の劣化が予期されることである。このため、高い照射を受けた材料についての健全性評価が必要となった。1.0∼3.9×1026n/m2程度の中性子照射を受けた材料について、SSRT試験及び引張試験を行い、キャプセルの圧力バウンダリーに対する健全性評価を行った。本報告書では、炉内IASCC試験を行うために必要な技術開発、すなわち、キャプセル組立技術開発及び高い中性子照射を受けたステンレス鋼に対する健全性評価について報告する。

36001008
R&D of the next generation safety analysis methods for fast reactors with new computational science and technology, 4; Experimental analyses by SIMMER-III for the integral verification of COMPASS
山野 秀将; 飛田 吉春
Proceedings of 16th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-16) (CD-ROM) , 8p.(2008) ; (JAEA-J 04323)
 この論文では、COMPASSコードの総合検証のために先行的に実施されるSIMMER-IIIによる実験解析について述べる。ここでは、炉心崩壊事故における主要現象である2つの分野、すなわち、溶融燃料の固化・分散,溶融燃料プールの沸騰挙動を対象とする。燃料固化挙動を解析するため、GEYSER炉外実験とCABRI-EFM1炉内実験を選定した。SIMMER-IIIによる計算はGEYSER実験で測定された燃料侵入長とよく一致する結果を得た。CABRI-EFM1実験の解析についても、SIMMER-IIIは燃料固化挙動を再現した。溶融燃料とスティール混合物からなる沸騰プールは燃料とスティール間の熱伝達により特徴づけられる。CABRI-TPA2実験はスティール液滴周りを覆うスティール蒸気により燃料とスティール間の過渡的な熱流束が小さくなることを示唆した。SIMMER-IIIでCABRI-TPA2実験を解析したところ、燃料とスティール間の熱伝達係数を減じることによって実験で観察されたスティール沸騰挙動をよく模擬できることが示された。

36001009
Study on velocity field in a deformed fuel pin bundle; Influence of pin deformation and wrapping wire on velocity distribution
佐藤 博之; 小林 順; 宮越 博幸; 上出 英樹
Proceedings of 16th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-16) (CD-ROM) , 9p.(2008) ; (JAEA-J 04324)
 ナトリウム冷却高速炉は、商業化を目指した高速炉サイクルシステムの実用化調査研究において高燃焼度炉心を達成するように設計されている。高燃焼度炉心の燃料集合体において、スウェリングと熱湾曲による燃料ピンの変形は、集合体内の流路の変化により流量が減少し、除熱性能に影響する可能性がある。そこで、2.5倍スケールの7本ピン集合体モデルを用いて、ピンの湾曲及びワイヤの流速分布への影響について調査した。試験体は、六角形のアクリル管と、水とほぼ同じ屈折率で高い透過率を持つフッ化物樹脂のピンから成る。これにより外側のピンを通して中心ピンまわりの流動の可視化が可能になった。リファレンスと変形条件における中心ピンまわりのサブチャンネルの速度分布をPIV計測法で測定した。また、ワイヤのまわりの速度分布を測定し、ワイヤはピン表面近傍の広範囲の速度と速度変動に影響することがわかった。

36001010
New melter technology development in Tokai vitrification facility
青嶋 厚; 上野 勤; 塩月 正雄
Proceedings of 16th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-16) (CD-ROM) , 9p.(2008) ; (JAEA-J 04325)
 ガラス固化技術開発施設(TVF: Tokai Vitrification Facility)は、1995年より東海再処理工場(TRP)での軽水炉使用済燃料再処理により発生した高放射性廃液のガラス固化処理を行ってきている。ガラス固化での中心となる装置は溶融炉であるが、溶融ガラスの腐食性によりその設計寿命は5年に設定されており、これに起因する溶融炉交換のために運転停止や解体廃棄物の発生が生じる。この問題を解決するためには、構造材料の長寿命化を図るとともに、白金族蓄積に対する対策技術開発が必須である。このため、原子力機構ではこれら目標を達成するための開発計画を立案し、高耐食性を有するとともに白金族を容易に排出するための温度制御が可能な溶融炉の開発を進めている。また、これにあわせ白金族の機械式除去技術の開発や、低温溶融技術開発,白金族の廃液からの除去技術開発を進めている。

36001011
Building an application-specific grid computing environment using ITBL for nuclear material engineering
辻田 祐一*; 有馬 立身*; 出光 一哉*; 鈴木 喜雄; 木村 英雄
Proceedings of 16th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-16) (CD-ROM) , 9p.(2008) ; (JAEA-J 04326)
 Recently, Pu recycle is refocused for effective use of nuclear fuel (e.g., GNEP program in US). In such the advanced fuel cycle, inert matrix fuels (e.g., ZrO2-PuO2) are expected for effective burning Pu. However, Pu material is difficult to manage due to its radiotoxicity, thus cost of experimental facilities for it is very expensive. As computer simulation cuts cost for experimental researches, we have performed molecular dynamics (MD) simulations to research its material characteristics. In order to obtain more realistic results, many atoms and many time steps are required in order of ten to hundred thousands. As cost of such computation is high, parallelized program was executed on a grid computing environment provided by an ITBL system.

36001012
An Experimental research on the effect of the axial power distribution on the critical power
Liu, W.; 呉田 昌俊
Proceedings of 16th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-16) (CD-ROM) , 9p.(2008) ; (JAEA-J 04327)
 稠密格子炉心熱流動特性技術開発で対象とする炉心は二重炉心であり、軸方向の熱流束分布がステップ状に急峻に変化する特徴を有する。本技術開発において37本バンドル限界出力試験を実施し、各種パラメータが限界出力に及ぼす影響を明らかとしたが、軸方向出力分布に関しては熱的に厳しい条件を評価対象基準として固定しており個別評価はなされていなかった。このため、軸方向出力分布が限界出力に及ぼす影響を別途モデル実験で明らかにして、各種限界出力相関の適用性を評価することが必要であった。そこで、本研究では、二重炉心の三層分をモデル化した試験体を用いて、軸方向出力分布形状及び相対出力比が限界出力等に及ぼす影響を明らかにし、各種限界出力相関の二重炉心体系への適用性を評価することを目的としてモデル実験を実施した。その結果、軸方向出力分布の効果が明らかとなり、限界クオリティー限界熱流束相関法と限界クオリティー限界沸騰長相関法を相互補完的に組合せることで軸方向出力分布の影響を比較的よく相関できる見通しを得た。

36001013
Development of three-dimensional virtual plant vibration simulator on grid computing environment ITBL-IS/AEGIS
鈴木 喜雄; 中島 憲宏; 新谷 文将; 羽間 収; 西田 明美; 櫛田 慶幸; 阿久津 拓; 手島 直哉; 中島 康平; 近藤 誠; 林 幸子; 青柳 哲雄
Proceedings of 16th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-16) (CD-ROM) , 9p.(2008) ; (JAEA-J 04328)
 Center for computational science and e-systems of Japan Atomic Energy Agency is carrying out R&D in the area of extra large-scale simulation technologies for solving nuclear plant structures in its entirety. Specifically, we focus on establishing a virtual plant vibration simulator on inter-connected supercomputers intended for seismic response analysis of a whole nuclear plant. The simulation of the whole plant is a very difficult task because an extremely large dataset must be processed. To overcome this difficulty, we have proposed and implemented a necessary simulation framework and computing platform. The simulation framework based on the computing platform has been applied to a linear elastic analysis of the reactor pressure vessel and cooling systems of a nuclear research facility, the HTTR. The simulation framework opens a possibility of new simulation technologies for building a whole virtual nuclear plant in computers for virtual experiments.

36001014
Effect of experimental conditions on gas core length and downward velocity of free surface vortex in cylindrical vessel
文字 秀明*; 篠崎 達也*; 上出 英樹; 堺 公明
Proceedings of 16th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-16) (CD-ROM) , 9p.(2008) ; (JAEA-J 04329)
 円筒体系での自由表面渦の特性について研究を行った。渦の重要な特性の一つはガスコア長さであり、ガス巻込み現象の評価における重要なパラメータとなっている。しかし、この長さは実験条件により容易に変化する特性を有する。本実験では、水温,液位,表面張力がガスコア長さに与える影響を把握した。流速分布をPIVにより測定し、下降流速の勾配についても評価した。ガス巻込み評価に用いられる渦モデルであるBurgersモデルは高液位,高流速条件で実験とよく一致することがわかった。

36001015
Reconsideration of electron irradiation test methods for the evaluation of space solar cells
大島 武; 佐藤 真一郎; 宮本 晴基; 今泉 充*; 花屋 博秋; 河野 勝泰*
Proceedings of 17th International Photovoltaic Science and Engineering Conference (PVSEC-17) (CD-ROM) , p.955-956(2007) ; (JAEA-J 04330)
 人工衛星で使用される太陽電池の放射線による特性劣化を正確に把握することは、人工衛星の寿命予測には不可欠である。本研究では、そのために地上で行う評価試験(電子線照射試験)に関して、評価の標準となっている従来法及び原子力機構が独自に開発した試験法を比較した。従来法では、水冷板上に三接合(3J)及びシリコン(Si)太陽電池をセットして大気中で1MeV電子線を照射し、照射後、太陽電池を取り出し電気特性を評価した。原子力機構独自法では、模擬太陽光源が組み込まれた真空照射容器内に3J及びSi太陽電池をセットして、1MeV電子線照射中に、同時に発電特性を取得した。両者の結果を比較したところ、差異は見られず原子力機構で開発した試験法の妥当性が実証された。また、本研究では従来法においてその検討が十分でない、大気による電子線エネルギーの減少が太陽電池特性劣化に及ぼす影響を検討し、50cmまでの空気層によるエネルギー減衰では太陽電池の特性劣化に影響はないことも併せて確認した。

36001016
Study on high conversion type core of Innovative Water Reactor for Flexible Fuel Cycle (FLWR) for Minor Actinide (MA) recycling
深谷 裕司; 中野 佳洋; 大久保 努
Proceedings of 2008 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '08) (CD-ROM) , p.127-135(2008) ; (JAEA-J 04337)
 革新的水冷却炉(FLWR)に対する概念研究が原子力機構でなされてきた。また、高転換型FLWR(HC-FLWR)におけるMAリサイクルの検討が始まった。HC-FLWRは早期導入可能であり、転換比が0.85程度であるため、この炉型においてMAリサイクルが実施できれば有意義である。この炉型の設計に対する基準と性能面の要求はボイド係数が負であること、取出燃焼度が50GWd/t程度であることである。この条件を満たす設計値を決定するためにパラメーターサーベイを行った結果、以下の設計値に決定された。Puf富化度は13wt%,炉心長は116cm,燃料棒直径は9mm,炉心平均ボイド率は約50%であり、この設計においてNpもしくはAmが2wt%程度MOX燃料内に添加できる見込みを得た。

36001017
Development of advanced loop-type fast reactor in Japan, 2; Technological feasibility of two-loop cooling system in JSFR
山野 秀将; 久保 重信; 栗坂 健一; 島川 佳郎*; 佐郷 ひろみ*
Proceedings of 2008 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '08) (CD-ROM) , p.469-504(2008) ; (JAEA-J 04338)
 日本原子力研究開発機構(JAEA)では、現在アドバンストナトリウム冷却高速炉の概念設計を行っている。一般に、大型原子炉(約1.5GWe級)はループ数を増加する傾向(例えば、スーパーフェニックスやAPWRでは4ループ)があったが、JSFRは2ループ冷却系を採用し、それにより、原子炉蒸気供給システムの物量及び原子炉建屋容積を減少させることによるプラント建設コストの大幅な低減を達成している。本論文では、JSFRの2ループ冷却系の技術的実現性に関して、特に、配管の流力振動,安全解析,崩壊熱除去系について記述する。

36001018
Development of advanced loop-type fast reactor in Japan, 1; Current status of JSFR development
小竹 庄司; 三原 隆嗣; 久保 重信; 青砥 紀身; 戸田 幹雄*
Proceedings of 2008 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '08) (CD-ROM) , p.486-495(2008) ; (JAEA-J 04339)
 原子力機構は、電力会社と協力して、「高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCT)」プロジェクトを実施している。FaCTプロジェクトでは、JSFRの概念設計検討とJSFRに取り入れる革新技術の開発を、両者の整合性に留意しつつ実施している。2015年頃までに開発を行うことが現時点での目標であり、その後、JSFR実証炉の許認可手続きに入っていくこととなる。本論文は、設計要求,JSFR設計の特徴及び経済性に関する評価結果について記述したものである。さらに、JSFRの主要な革新技術について開発状況を簡単に紹介した。

36001019
Development of advanced loop-type fast reactor in Japan, 3; Easy inspection and high reliable reactor structure in JSFR
阪本 善彦; 久保 重信; 小竹 庄司; 神島 吉郎*
Proceedings of 2008 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '08) (CD-ROM) , p.505-511(2008) ; (JAEA-J 04340)
 JSFRは先進ループ型のレイアウトを採用している。本論文は原子炉構造の信頼性の観点から先進ループ型炉の長所を提示した。製作性に関しては、原子炉容器(RV)のコンパクト化により、その製作にあたっては高い溶接品質と寸法精度を有する工場内製作が可能である。また、リング鍛鋼品を高応力部位に適用することで、熱応力に対しても高い信頼性を有している。保守性については、炉内構造がシンプルなことから検査対象に近接することが比較的容易である。JSFRでは、革新技術の導入によりナトリウムバウンダリが著しく少なく、配管の二重化設計を容易にし、溶接線を少なくすることができる。そのため、JSFRは炉内構造の検査を効率的に実施するという点で有利であり、信頼性の高いプラント運転を見通すことができる。ナトリウム中の構造物を検査するための先進的な検査技術についても開発を進めている。地震時の構造信頼性については、JSFRとプール型炉の耐震性に関する比較評価を実施し、その結果、強地震条件下ではループ型炉はプール型炉よりも適していることを示した。

36001020
Development of FR fuel cycle in Japan, 2; Basic design and verification of U-Pu-Np co-recovery flowsheets for engineering scale hot examinations in Japan
中林 弘樹; 永井 俊尚
Proceedings of 2008 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '08) (CD-ROM) , p.2029-2035(2008) ; (JAEA-J 04341)
 高速増殖炉サイクル実用化研究「FaCTプロジェクト」の一環として先進湿式再処理技術の工学規模ホット試験を計画している。本論文は、その工学規模ホット試験の主要な要素技術の一つである溶媒抽出プロセスのフローシートについて基本設計を行った結果を報告するものである。本試験設備は二つの異なる抽出法、すなわち簡素化溶媒抽出法とCo-processing法の両方を実施可能なように設計した。また、試薬供給ポンプや溶解液フィーダ及び化学分析の誤差や環境気温変化など、実際のプラントにおいて不可避なプロセスパラメータの変動に対しても安定的に試験が実施できるように設計した。この設計ではJAEAが開発したMIXSET-Xコードを利用したが、設計精度を向上するための改良を行い、またその計算結果の妥当性についてベンチマーク評価を実施し、本設計の成立性の確認を行った。

36001021
Ingot formation using uranium dendrites recovered by electrolysis in LiCl-KCl-PuCl3-UCl3 melt
福嶋 峰夫; 仲吉 彬; 北脇 慎一; 倉田 正輝*; 矢作 昇*
Proceedings of 3rd International ATALANTE Conference (ATALANTE 2008) (CD-ROM) , 4p.(2008) ; (JAEA-J 04342)
 金属電解法乾式再処理で得られた固体陰極回収物を用いてウランをインゴット化する試験を実施し、運転条件の検討,ウランインゴット及び副生成物の性状調査及び物質収支の評価を行った。常圧条件でウランの融点以上の温度まで昇温することにより、ウランが十分に凝集するまでの間、塩の蒸発を抑え、ウランを塩で覆うことで、ウラン金属の酸化/窒化を防ぎインゴットで回収できることを確認した。高温試験条件にもかかわらず、Amの揮発は見られなかった。

36001022
MA/Ln separation with new ligand, hydrophobic derivatives of TPEN
松村 達郎; 竹下 健二*; 森 敦紀*
Proceedings of 3rd International ATALANTE Conference (ATALANTE 2008) (CD-ROM) , 4p.(2008) ; (JAEA-J 04343)
 分離変換技術における重要な開発課題であるMA/Ln分離のため、TPENの誘導体を利用した分離プロセスの開発を進めている。TPENは、Am(III)とEu(III)の分離に良好な特性を持つ6座の窒素ドナー配位子であるが、実プロセスへの応用には改良すべき特性が存在する。特に重要な点として、水への溶解度がある。TPENは、10-4mol/l程度溶解し、これが濃度の高いAm(III)を含む廃液を処理しようとする場合に問題となる。われわれは、TPEN分子を分離性能を損なわずに疎水化することを試み、TPEN分子のピリジル基にアルキル基を結合させることによって開発に成功した。新たに合成した配位子TBPEN (N,N,N',N'-tetrakis((5-butoxypyridin-2-yl)-methyl)ethylenediamine)は、良好な分離特性を示し、分離係数SFAm/Euの最大値は、91であった。今後、この開発方針によってより有効な特性を持つ誘導体の開発を進める計画である。

36001023
Oxygen potentials of transuranium oxides
音部 治幹; 赤堀 光雄; 荒井 康夫; 湊 和生
Proceedings of 3rd International ATALANTE Conference (ATALANTE 2008) (CD-ROM) , 4p.(2008) ; (JAEA-J 04344)
 超ウラン元素酸化物の酸素ポテンシャルについての理解を深めるために、単純な構造や組成を持ったプルトニウムやアメリシウム酸化物の酸素ポテンシャル研究をジルコニア酸素センサーを用いた電気化学的手法で行ってきた。これまで取得してきた酸素ポテンシャルデータを再検討して、超ウラン元素酸化物の相関係や微細構造や平衡状態について考察した。その考察により、酸素ポテンシャルは相変化をよく表すものであること、取り込まれた元素による酸化物燃料の酸素ポテンシャルへの影響を予測するためには、その元素まわりの微細構造を研究する必要があることがわかった。

36001024
Uranium, plutonium and neptunium co-recovery with irradiated fast reactor MOX fuel by single cycle extraction process
中原 将海; 佐野 雄一; 野村 和則; 鷲谷 忠博; 小巻 順
Proceedings of 3rd International ATALANTE Conference (ATALANTE 2008) (CD-ROM) , 5p.(2008) ; (JAEA-J 04345)
 マイナーアクチニドのうち、NpはNp(IV)もしくはNp(VI)においてリン酸トリブチル(TBP)にU及びPuとともに抽出することが可能である。このプロセスでは、分配,精製工程を削除し、単サイクルによりU, Pu及びNpを一括回収するフローシートを設定した。本研究は、高速炉「常陽」の照射済燃料溶解液を使用し、ミキサセトラより滞留時間の短い遠心抽出器により実施した。フィード溶液は、高HNO3濃度に調整し、TBPに抽出可能なようにNp(VI)への酸化を試みた。これによりNpはU, Puとともに約99%回収可能であった。一連の研究により、フィード溶液の高HNO3濃度化は、Npの回収において有効であることが実証できた。

36001025
Dissolution of powdered spent fuel and U crystallization from actual dissolver solution for "NEXT" process development
野村 和則; 比内 浩; 中原 将海; 鍛治 直也; 紙谷 正仁; 大山 孝一; 佐野 雄一; 鷲谷 忠博; 小巻 順
Proceedings of 3rd International ATALANTE Conference (ATALANTE 2008) (CD-ROM) , 5p.(2008) ; (JAEA-J 04346)
 U crystallization process from the dissolver solution of the spent nuclear fuel has been developed as one of the key essential technologies for the "NEXT" process development. Since several tens % of U is supposed to be recovered at the crystallization process, it is expected to reduce the total mass of nuclear material to be treated in the solvent extraction process. For the U crystallization, it is desirable to prepare the dissolver solution of relatively high U concentration. Although the conventional dissolution method needs significantly long dissolution time in order to obtain the dissolver solution of high U concentration with high dissolution ratio, it is expected the effective dissolution is achieved by powderizing the spent fuel. The beaker-scale experiments on the effective powdered fuel dissolution and the U crystallization from dissolver solution with the irradiated MOX fuel from the experimental fast reactor "JOYO" were carried out at the Chemical Processing Facility (CPF) in Tokai Research and Development Center. The powdered fuel was effectively dissolved into the nitric acid solution and the results were compared with the calculation results of the simulation model. In the U crystallization trials, U crystal was obtained from the actual dissolver solution without any addition of reagent.

36001026
Thermal conductivities of minor actinide oxides for advanced fuel
西 剛史; 伊藤 昭憲; 高野 公秀; 赤堀 光雄; 荒井 康夫; 湊 和生
Proceedings of 3rd International ATALANTE Conference (ATALANTE 2008) (CD-ROM) , 6p.(2008) ; (JAEA-J 04347)
 酸化アメリシウム(AmO2-x)と二酸化ネプツニウム(NpO2)の熱拡散率をレーザフラッシュ法により測定した。AmO2-x及びNpO2の熱拡散率は温度の上昇とともに減少した。また、AmO2-xの熱拡散率は、真空中での熱拡散率測定で生じるO/Am比の減少により、わずかな減少を示すことが明らかとなった。AmO2-x及びNpO2の熱伝導率は、測定した熱拡散率,比熱及び密度を用いて評価した。AmO2-xの熱伝導率は、UO2とPuO2の熱伝導率の文献値よりも小さい値であること、873から1473Kまでの温度領域におけるNpO2の熱伝導率はUO2及びPuO2の熱伝導率の間に位置することが明らかとなった。また、AmO2-x及びNpO2の熱伝導率は熱拡散率同様、温度の上昇とともに減少する傾向を示し、ほかの酸化物燃料と同じ傾向を示すことが明らかとなった。これらのマイナーアクチノイド酸化物の熱伝導率は新型燃料の熱特性・挙動を把握するうえで重要な物性値である。

36001027
Extraction chromatography for Am and Cm recovery in engineering scale
駒 義和; 渡部 創; 佐野 雄一; 朝倉 俊英; 森田 泰治
Proceedings of 3rd International ATALANTE Conference (ATALANTE 2008) (CD-ROM) , 8p.(2008) ; (JAEA-J 04348)
 In the framework of the feasibility study on commercialized FR cycle system, JAEA evaluated An(III) recovery processes on design basis, and the extraction chromatography technique, which uses SiO2 support coated with styrene-divinylbenzene polymer and an extractant on its surface, was evaluated as the most promising process. JAEA has been developing extraction chromatography for An(III) recovery from HLLW aiming at an engineering scale application. The R&D work is devoted to two axes; process and system development. Process development includes choosing the best extracant and making a flowsheet correspond to the extractant in the view of performance, safety and durability. Engineering scale system should be established so as to be safe, easy in operation and economic. For the purpose, system experiments for fluidics, safety and durability using engineering scale column as well as studies on remote control/maintenance were planned. In order to obtain the best flowsheet, we have started to assess the characteristics of adsorbents with some extractants by laboratory scale experiments; adsorption/elution properties for some fission products and actinides, and safety on acid, γ-radiation and heat resistance. CMPO is superior in radiation damage to adsorption capacity. CMPO and HDEHP can be used up to 200 ℃ regardless of nitric acid media.

36001028
High resolution spectroscopy of the giant resonance in the 16O(γ,abs) reaction
原田 秀郎; 北谷 文人; 原 かおる; 宇都宮 弘章*; 後神 進史*; 海堀 岳史*; 豊川 弘之*
Proceedings of International Conference on Nuclear Data for Science and Technology (ND 2007), Vol.1 , p.499-502(2008) ; (JAEA-J 04349)
 レーザー逆コンプトン光と高分解能・高エネルギー光子スペクトロメータ(HHS)を用いた光核吸収断面積測定手法の適用範囲を30MeVに拡張するとともに高精度化したHHSの応答関数を用いて、16O(γ,abs)反応断面積の巨大共鳴領域における微細構造を0.1%という高分解能で測定した。20∼25MeVのエネルギー範囲で得られた測定データを示すとともに、従来の測定値との比較について議論した。

36001029
Validation of the event generator mode in the PHITS code and its application
岩元 洋介; 仁井田 浩二*; 坂本 幸夫; 佐藤 達彦; 松田 規宏
Proceedings of International Conference on Nuclear Data for Science and Technology (ND 2007), Vol.2 , p.945-948(2008) ; (JAEA-J 04350)
 粒子・重イオン輸送計算コードPHITSに低エネルギー中性子の取り扱いに関して「イベントジェネレータ」が導入された。イベントジェネレータは、一つの衝突ごとにエネルギーと運動量が保存される、中性子の核データと蒸発模型を組合せたモデルとなっている。このモードを用いることにより、各物理量間の高次の相関の情報を得るだけでなく、カーマやDPAといった物理量を特別な核データライブラリを用いることなく導出できる。本発表では、イベントジェネレータにより中性子入射での粒子生成断面積,カーマ,DPAなどの導出結果とこれらの評価済み核データと比較してイベントジェネレータの精度検証を行うとともに、これらの応用例を紹介する。

36001030
Educational knowledge retention in nuclear research institutes in Japan, the U.S. and Europe
柳澤 和章; Cutler, D.*; Brulet, C.*
Transactions of NESTet 2008 (CD-ROM) , 8p.(2008) ; (JAEA-J 04351)
 原子力施設における研究活動の結果から輩出された貴重で保存可能な知識は、明確な研究論文という形で確保されるべきである。本報は、旧原研(現:日本原子力研究開発機構)及び国外の8類似研究機関で保存されている研究論文を使い、計量書誌学的な方法で研究機関比較を実施した。その結果、旧原研のみならず対象とした8類似国外研究機関においては、INIS及びECDというデータベースの形式により50年以上にわたって原子力知識が捕獲されていることを見いだした。捕獲知識は論文を使った研究機関間の比較をできるレベルにあった。そこで、1978から200年という期間で論文数による機関比較を実施してみたところ、いずれのデータベースでもORNLが第1位であった。旧原研は、INISで第2位、ECDでは第7位であった。

36001031
MT法における2次元比抵抗断面の不確実性評価に関する一考察
根木 健之; 梅田 浩司; 浅森 浩一
物理探査学会第118回学術講演会論文集 , p.198-201(2008) ; (JAEA-J 04352)
 地磁気地電流法(以下、MT法)は、地下数十mから数十km程度の地下深部までの電気伝導度を調査する手法であり、従来から地熱資源開発,金属資源探査,石油探査,地震・火山防災等の分野で用いられており、その有効性が広く認められている。しかしながら、MT法は自然電磁波を信号源としているため、社会活動に伴う電気的ノイズの多い地域において、安定して高品質なデータを取得することが難しい。このため、現状として、このような地域では、データに含まれるノイズに起因して、何らかの不確実性を伴った比抵抗構造解析を行うこととなる。本稿では、MT法2次元インバージョン解析における入力データのノイズが、解析結果に与える影響について検討するとともに、比抵抗構造の不確実性を評価する基準について検討した。その結果、MT法における2次元インバージョン解析結果が最も影響を受けやすいデータのノイズは、見掛比抵抗及び位相差曲線の歪みであることがわかった。また、比抵抗構造の不確実性を評価する基準については、解の収束性と、解の一意性をもとに、解析結果の不確実性指標を提案するとともに、モデル計算及び実データによる本指標の適用性の検討を行い、本指標が、2次元解析断面の不確実性を評価する指標の一つと成り得るものであることを示した。

36001032
革新的水冷却炉(FLWR)の炉心熱特性評価技術開発の現状
大貫 晃; 小林 登
第45回日本伝熱シンポジウム講演論文集, Vol.1 , p.3-4(2008) ; (JAEA-J 04353)
 FLWRの燃料集合体は燃料棒間隙幅を1mm程度と稠密にする設計となっており、開発当初よりそこでの熱流動特性が主要課題として取り上げられてきた。稠密炉心の熱流動特性については、小規模体系(7本バンドル)での先行研究を経て、流路壁の影響,燃料棒間隙や燃料棒曲がりの除熱性能への影響についてデータを取得するとともに稠密炉心での限界出力予測手法等設計手法の確立を目標として、37本バンドル試験体を用いた大型熱特性試験を実施してきた。また、従来は実機形状を模擬した実物大の集合体により設計に必要な技術的知見を得てきたが、FLWRでは217本とバンドル規模が大きく、経済的な理由からもスケールダウンしたバンドル試験と解析的な評価とを組合せることで設計に取り組むこととした。本報告ではFLWRの炉心熱特性評価技術開発の現状と今後の課題を紹介する。

36001033
組立構造解析手法に基づく3次元仮想振動台の展開
中島 憲宏; 新谷 文将; 西田 明美; 鈴木 喜雄; 櫛田 慶幸; 山田 知典
第57回理論応用力学講演会講演論文集 , p.33-35(2008) ; (JAEA-J 04354)
 組立構造解析手法を提案することにより部品ごとの設計解析に利用したデータを利用して、全体解析をする手段を提案した。全体解析はAEGIS計算機環境において実現した。組立構造解析手法を有限要素法により実現するために、独立に有限要素分割された部品間で不整合な有限要素の接合状態、すなわち節点が必ずしも一致しない境界を計算する手段を用いて演算できるようにした。本手法を基礎的な検証問題や実問題に適用し、その解の妥当性を確認した。その結果、3次元仮想振動台というシステムが目標とする大規模な組立構造物を静的,動的解析により計算するシステムの一部を有限要素解析により実現できた。

36001034
システム改変なしのGRID相互連携技術の開発
櫛田 慶幸
FUJITSUファミリ会論文集(Internet) , 10p.(2008) ; (JAEA-J 04355)
 地理的に分散した資源を共有するシステムとして、GRIDが使われるようになった。しかしながら、GRIDの研究開発が各研究機関で独立に行われたため、数々のGRIDを構成するソフトウェア(GRIDミドルウェア)が互換性を持たずに開発されてきた。このような現状を打破すべく、日本原子力研究開発機構では、異なる二つGRIDをシステムを改変することなしに接続する技術を開発し、ドイツ・シュツットガルト・ハイパフォーマンスコンピューティングセンターにて運用されているUNICOREとの接続に成功した。開発した相互接続システムは、計算機資源共有に必要な機能である、ファイル管理,資源情報探査,ジョブ実行を両システムからシームレスに(互いの資源の所属を意識することなく)実行できることを確認した。

36001035
製品MOX粉末のPu同位体組成比を高分解能γ分光分析により測定する際の不確かさを低減する試み
細馬 隆; 中村 仁宣; 向 泰宣; 藤咲 栄
核物質管理学会(INMM)日本支部第28回年次大会論文集(CD-ROM) , 8p.(2007) ; (JAEA-J 04356)
 原子力機構では、プルトニウム転換技術開発施設(以下、「PCDF」と称す。Plutonium Conversion Development Facility)の貯蔵庫に収められた製品MOX貯蔵容器からのサンプル採取という負担の大きい査察を軽減する目的で、バイアス検認が可能な大型高精度NDA(貯蔵時に容器を直接測定する)の概念設計をDOEと2000年に行った。本設計ではバイアス検認に必要な精度を得るため、原料となった溶液の同位体組成比(IAEAにより全数検認済)を用いて高分解能γ分光分析計(以下、「HRGS」と称す。High Resolution Gamma Spectrometry)の精度を補う提案がされているが、具体的な方法及び精度は未検討であった。そこで、HRGSにより測定されるプルトニウムの各核種間のピーク比を再現するよう、複数の原料溶液の同位体組成比を加重平均する方法を考案し、PCDFの実証運転で得られた原料溶液,製品MOXの同位体組成比と模擬HRGSデータを用いて検討を行った。

36001036
プラズマ実時間制御を考慮したプラズマ断面位置形状再構築システムのST装置への適用検討
栗原 研一; 川俣 陽一; 末岡 通治; Wang, F.*; 中村 一男*; 御手洗 修*; 佐藤 浩之助*; 図子 秀樹*; 花田 和明*; 坂本 瑞樹*; 出射 浩*; 長谷川 真*
九州大学応用力学研究所RIAMフォーラム2008講演要旨 , p.66-69(2008) ; (JAEA-J 04357)
 JT-60で開発したプラズマ最外殻磁気面の同定法であるコーシー条件面(CCS)法は、穴の開いた特異性のある真空場の厳密解を基本とし、電磁気センサー信号を用いて精度よくプラズマの断面形状を同定できる。このCCS法を九州大学で平成20年度より稼動計画のプラズマ境界力学実験装置QUEST(Q-shu University Experiment with Steady State Spherical Tokamak)のプラズマ平衡実時間制御へ適用し、高精度にプラズマ断面形状を再構築することを確認した。本発表は、QUESTに対して、JT-60での経験に基づいた実時間制御システム構成や実時間プラズマ形状再構築手法の提案における一連の検討結果報告である。

36001037
レイノルズ数50000における曲率の強い曲がり管内流れ
岩本 幸治*; 山野 秀将
Research on Turbulence , p.103-107(2008) ; (JAEA-J 04358)
 ショートエルボを有する配管の流況を観察し、LDVにより流速分布を測定し、非定常流動特性を明らかにした。

36001038
加振方法と計測方法
西田 明美
シェル・空間構造の減衰と応答制御 , p.7-15(2008) ; (JAEA-J 04360)
 地震時の被害を精度よく予測するためには、応答を低減させる減衰特性の評価が欠かせない。原子力施設における機器などによく用いられるシェル構造は、いわゆる重層建物とは異なる減衰特性を有するため、実測データの蓄積が必要とされていた。そこで、「シェル・空間構造物の応答制御・減衰機構小委員会」を中心に、減衰機構,制御システム,免震などをキーワードとして、減衰データベース構築のために既往の観測データと応答制御事例を調査し、調査・研究を継続してきた。上述の小委員会とそのWGの約10年間に渡る成果をまとめたものが書籍「シェル・空間構造の減衰と応答制御」である。このうち、発表者は、1.2節「振動計測と減衰評価方法」の中の1.2.1項「加振方法と計測方法」を執筆した。減衰評価方法ごとに要求される精度を満たすための実験方法や留意事項について、これまでの経験と知識をもとにまとめたものであり、振動工学を専門とする大学院生や専門技術者に有用な情報を提供するものとなっている。

36001039
バイオ実験で失敗しない!; 抽出・精製・組換えタンパク質発現・抗体作製の実践的ノウハウと、最適な試薬・機器の選択&活用法
本庄 栄二郎; 黒木 良太; 小堀 博史*; 高蔵 晃*; 矢幡 一英*; 曽根 岳史*; 今本 文男*; 森山 達哉*
タンパク質精製と取扱いのコツ , p.135-178(2007) ; (JAEA-J 04361)
 研究者にとって、タンパク質の精製や取り扱いは、その後の実験の成功を左右するといっても過言ではない重要なステップである。しかしタンパク質の扱い方には、生化学的なコツや知識が必要となり、特にタンパク質に慣れていない分子生物学者にとって、大きな課題となっている。そこで本書では、組換えタンパク質の発現・精製のポイントを紹介し、通常のプロトコールでは紹介されない、キットや機器選択や実験のコツなど、実践的なノウハウに焦点を絞って概説する。

[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  2008年7月
Copyright (C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)