学会誌等掲載論文
※下記の研究開発成果は資料名順に並んでいます。

2008年8月


36001065
Automated gravimetric sample pretreatment using an industrial robot for high-precision determination of plutonium by isotope dilution mass spectrometry
駿河谷 直樹; 檜山 敏明; 綿引 優
Analytical Sciences 24(6), p.739-744(2008) ; (JAEA-J 04382)
 使用済燃料から再処理されたPu試料を同位体希釈質量分析法にて定量するためのロボットを用いた試料前処理法について報告する。オートメーション化したシステムには運動性が非常に速く精確な6-軸産業用ロボットをグローブボックス内で採用した。本システムは、Pu溶液試料の高精度分析のために、重量測定や希釈のステップを自動化し、かつオペレーターを伴わないサンプル前処理を可能にした。このシステムによって、硝酸溶液中のPu濃度は、質量分析測定と組合せて定量され、良好な結果を得た。本システムを使用した同位体希釈質量分析法によるPuの濃度の測定は、相対不確かさ0.1%(k=2)以下と評価され、高度な分析者と同等の精度で分析できることを確認した。また、処理に必要な時間も、熟練したオペレーターと同等であった。

36001066
Differences in internal dynamics of actin under different structural states detected by neutron scattering
藤原 悟; Plazanet, M.*; 松本 富美子; 小田 俊郎*
Biophysical Journal 94(12), p.4880-4889(2008) ; (JAEA-J 04383)
 アクチンは、ほぼすべての真核細胞内に存在し、細胞運動や輸送等にかかわる実に多様な機能を持つ。アクチン単量体(G-アクチン)は重合して繊維状重合体(F-アクチン)を形成するが、多様なアクチンの機能は、種々の蛋白質との相互作用を可能とするF-アクチンの柔らかさのゆえである。F-アクチンの柔らかさの起源を明らかにするための第一段階として、われわれはピコ領域におけるアクチンの運動特性の測定を、中性子非干渉性弾性散乱(EINS)法を用いて行った。G-アクチン及びF-アクチンの水和粉末試料についてEINS測定を行い、アクチン分子内の原子の平均自乗変位の温度依存性を調べた。その結果、平均自乗変位には150K付近及び245K付近に2つの転移が観測されること、その振舞がG-アクチンとF-アクチンで異なること、そしてG-アクチンの方がF-アクチンより"柔らかい"ことが示された。さらに、アクチンは、G-アクチンとF-アクチンで同様の柔らかさを持つ領域と、G-アクチンにおいてより柔らかくなる領域という動的不均一性を持っていることが示唆された。

36001067
Effect of SOL decay length on modeling of divertor detachment by using simple core-SOL-divertor model
日渡 良爾*; 畑山 明聖*; 滝塚 知典
Contributions to Plasma Physics 48(1-3), p.174-178(2008) ; (JAEA-J 04384)
 ダイバータ領域における不純物放射損失と運動量損失を取り入れて、コア-SOL-ダイバータ(CSD)モデルを非接触ダイバータに適用できるかどうか調べた。低リサイクリング,高リサイクリング及び非接触状態の三形態をCSDモデルにより再現できた。SOL領域における密度の減衰長(dn)と温度の減衰長(dT)の比が、実験データから示唆されているように、SOL温度(Ts)の0.5乗に比例(dn/dT∼sqr(Ts))するように設定すれば、CSDモデルはB2-EIRENEの結果によく一致する。

36001068
Silencing of CPD photolyase makes Arabidopsis hypersensitive and hypermutable in response to UV-B radiation
吉原 亮平; 中根 千陽子*; 佐藤 良平*; 安田 愛*; 滝本 晃一*
Genes and Environment 30(2), p.53-61(2008) ; (JAEA-J 04385)
 われわれは、植物の紫外線耐性におけるCPD光回復の役割を調べるために、Arabidopsis thalianaのCPD photolyaseをRNAiによりサイレンシングした植物体を作成した。サイレシング体はUV-Bに対して高感受性を示し、UV-B誘発変異頻度は野生型に比べて高かった。これらの結果から、CPDの光回復は、Arabidopsisにおける紫外線耐性及び紫外線誘発変異の抑制に重要な働きをしていることが示された。

36001069
Mechanical design of JT-60SA magnet system
土屋 勝彦; 鈴木 優; 木津 要; 吉田 清; 玉井 広史; 松川 誠; Dolgetta, N.*; Portafaix, C.*; Zani, L.*; Pizzuto, A.*
IEEE Transactions on Applied Superconductivity 18(2), p.208-211(2008) ; (JAEA-J 04386)
 JT-60SA装置における超伝導マグネットシステムは、18個のトロイダル磁場(TF)コイル,7個のプラズマ平衡磁場(EF)コイル、そして4つのモジュールから成るセントラルソレノイド(CS)の各コイル系より構成され、TFコイルについては欧州が、EFコイルとCSについては日本が、それぞれ設計と製作を担当する。本講演では、各極で進められているマグネットシステムの設計活動の進捗状況について、応力解析の結果を中心に報告する。CSについては、導体のジャケット材にJK2LBを採用し、タイプレートを介して巻線全体を上下から挟むプレコンプレス構造の簡素化を図っているが、本解析によって、タイプレートをさらに軽量化できる見通しがついた。また、ジャケット材に発生する応力も、想定している18000サイクルの運転に耐えられることが明らかになった。その他のコンポーネントとして、TFコイルの支持脚並びにTFコイルケース上に設置されるEFコイル支持構造などについても評価し、現設計が成立すること、特にEFコイルについては減量化が可能であることを明らかにした。

36001070
Conductor design of CS and EF coils for JT-60SA
木津 要; 土屋 勝彦; 吉田 清; 枝谷 昌博; 市毛 寿一*; 玉井 広史; 松川 誠; della Corte, A.*; Di Zenobio, A.*; Muzzi, L.*; Turtù, S.*; Duchateau, J. L.*; Zani, L.*
IEEE Transactions on Applied Superconductivity 18(2), p.212-215(2008) ; (JAEA-J 04387)
 JT60SAの中心ソレノイド(CS), 平衡磁場(EF)コイルの最大経験磁場と最大電流値は、それぞれ9T-20kA, 6.2T-20kAである。CS導体は、JK2LB鋼コンジットのNb3Sn導体である。また、EF導体はSS316LN鋼コンジットのNbTi導体である。CS, EFコイルはパルス運転するコイルであり、熱負荷として交流損失が大きい。また、一部のEFコイルには、遮蔽性能が低いポート部を突き抜けてくる中性子による核発熱が存在する。さらに、ディスラプション時にも大きな交流損失が発生する。そこで、両導体には、圧力損失の低減と、大きな熱負荷に対して十分な温度マージンを確保するために、ケーブル内に中心スパイラルを導入した。また、以上の熱負荷が同時に発生した場合でも導体の温度が分流開始温度(Tcs)以下であることが必要であるが、熱負荷,経験磁場の分布は時間とともに大きく変化するため、1次元熱流体解析コードを用いて、運転温度と、最小クエンチエネルギーの解析を行った。その結果、これらのコイルは、想定される運転条件に対し、十分なTcsマージンと安定性を有することがわかった。

36001071
A New design for JT-60SA Toroidal field coils conductor and joints
Zani, L.*; Pizzuto, A.*; Semeraro, L.*; Ciazynski, D.*; Cucchiaro, A.*; Decool, P.*; della Corte, A.*; Di Zenobio, A.*; Dolgetta, N.*; Duchateau, J. L.*; Hertout, P.*; 菊池 満; Lacroix, B.*; Molinie, F.*; Muzzi, L.*; Nicollet, S.*; Petrizzi, L.*; Portafaix, C.*; Ramogida, G.*; Roccella, S.*; Turck, B.*; Turtù, S.*; Verger, J. M.*; Villari, R.*; 吉田 清
IEEE Transactions on Applied Superconductivity 18(2), p.216-219(2008) ; (JAEA-J 04388)
 幅広いアプローチ活動のフレームワークの下で、EUと日本がJT-60U装置を超伝導化するJT-60SA計画を決定した。このうち、全部で18個からなるトロイダル磁場コイルはEUが担当することとなり、フランス,イタリア,ドイツのメーカから調達される。EUは、設計・製作及び輸送までを、責任を持って行う。本論文では、TFコイルの主要な技術定格について、これまでの設計活動から得られた結果から包括的に発表する。導体形状はケーブルインコンジットであり、巻き線はダブルパンケーキである。これらは運転中の機械的剛性を高めるためのものである。超伝導導体に関する内部構造、すなわち超伝導特性,撚り線パターン,ボイド率,ジャケット構造,ジョイント構造、及びコイルケースなどの外部構造の仕様が示される。圧力,温度,ヘリウムガス流量などの運転パラメータにも言及する。さらに、これら設計仕様の確定に使用した解析技術について議論し、将来計画についても述べる。

36001072
Conceptual design of superconducting magnet system for JT-60SA
吉田 清; 木津 要; 土屋 勝彦; 玉井 広史; 松川 誠; 菊池 満; della Corte, A.*; Muzzi, L.*; Turtù, S.*; Di Zenobio, A.*; Pizzuto, A.*; Portafaix, C.*; Nicollet, S.*; Lacroix, B.*; Decool, P.*; Duchateau, J. L.*; Zani, L.*
IEEE Transactions on Applied Superconductivity 18(2), p.441-446(2008) ; (JAEA-J 04389)
 国際熱核融合実験炉(ITER)のサテライトトカマク装置として、現在のJT-60のトカマク本体を超伝導化する装置JT-60SAが、日本とEU間の共同プロジェクト「幅広いアプローチ」の中の「サテライトトカマク」プロジェクトとして合意された。JT-60SAで使用する超伝導コイルは18個のトロイダル磁場(TF)コイル,4個の中心ソレノイド(CS)モジュール,7個の平衡磁界(EF)コイルから構成される。TF容器は、TF巻線を収納するほか、すべてのコイルの荷重を支持する主要な構造体である。4個のCSモジュールは、タイプレートで一体化して、板バネでTF容器に取り付けられる。EFコイルはそれぞれが板バネでTF容器に取付けられる。CSの最大磁界は9TのためNb3Sn素線を用い、TFとEFコイルの最大磁界は6.5T以下であるのでNbTiを採用する。本論文は、JT-60SA用超伝導コイルの要求性能,使用環境と概念設計の概要について示す。

36001073
Performance of Japanese Nb3Sn conductors for ITER toroidal field coils
高橋 良和; 礒野 高明; 小泉 徳潔; 布谷 嘉彦; 松井 邦浩; 名原 啓博; 辺見 努; 押切 雅幸; 宇野 康弘*; 奥野 清; Stepanov, B.*; Bruzzone, P.*
IEEE Transactions on Applied Superconductivity 18(2), p.471-474(2008) ; (JAEA-J 04390)
 ITER-TFコイルは、18個のD型コイルで構成されている。運転電流値は68kA、最大磁場は11.8Tである。導体はNb3Snのケーブル・イン・コンジット(CIC)型で、中心チャンネルを有し、単長は約800mである。撚線は、外径が0.82mmのNb3Sn素線900本と銅線522本で構成されている。製作された導体の性能を評価するために、長さ約3.5mの実寸導体を用いて、コイル運転条件における超伝導性能を測定した。サンプル導体は、ブロンズ法と内部拡散法の2種類のNb3Sn素線が用いられ、それぞれボイド率が29%と33%の2レベルで、合計4本の導体が試験された。試験の結果、最高磁場11.8T,電流値68kAにおける分流開始温度は、ブロンズ法で6.5-6.7K、内部拡散法で5.7-5.9Kであった。ボイド率の小さい方が0.1-0.2K程度高い温度を示した。どちらも、設計温度5.7K以上であることが確認できた。また、素線の超伝導特性と比較すると、素線に加わった歪みは約-0.7%であった。この値は妥当なものと考えられる。

36001074
JT-60SA toroidal field magnet system
Pizzuto, A.*; Semeraro, L.*; Zani, L.*; Bayetti, P.*; Cucchiaro, A.*; Decool, P.*; della Corte, A.*; Di Zenobio, A.*; Dolgetta, N.*; Duchateau, J. L.*; Fietz, W. H.*; Heller, R.*; Hertout, P.*; 菊池 満; 木津 要; Lacroix, B.*; Muzzi, L.*; Nicollet, S.*; Polli, G. M.*; Portafaix, C.*; Reccia, L.*; Turtù, S.*; Verger, J. M.*; Villari, R.*; 吉田 清
IEEE Transactions on Applied Superconductivity 18(2), p.505-508(2008) ; (JAEA-J 04391)
 日本とEUとの間の、幅広いアプローチ協定に基づき、ITERのサテライトトカマク装置として、JT-60を完全超伝導トカマクである、JT-60 Super Advanced(JT-60SA)に改修する。JT-60SAのトロイダル磁場(TF)コイルは、18個のD型コイルにより構成され、すべてのTFコイルはEUが製作を行い、日本へ提供される。TFコイルはおもに、超伝導導体,コイル巻き線,ジョイント,コイルケース,電流リードなどから構成される。JT-60SAのミッションを達成するための要求性能に適合するように、日欧で導体設計,機械設計をはじめとする、さまざまな設計基準について議論を行い、これらを決定した。そして、これらの設計基準に基づき、日欧で、TFコイルシステムの概念設計と性能解析を進め、概念設計が終了した。

36001075
Comparison of DNA hydration patterns obtained using two distinct computational methods, molecular dynamics simulation and three-dimensional reference interaction site model theory
米谷 佳晃*; 丸山 豊*; 平田 文男*; 河野 秀俊
Journal of Chemical Physics 128(18), p.185102_1-185102_9(2008) ; (JAEA-J 04392)
 Although high-resolution, crystal structure analyses have given us a view of tightly bound water molecules on their surface, the structural data is still insufficient to capture the detailed configurations of water molecules around the surface of these biomolecules. Thanks to the invention of various computational algorithms, computer simulations can now provide an atomic view of hydration. Here we describe the apparent patterns of DNA hydration calculated using two different computational methods, MD simulation and 3D-RISM theory. This rigorous comparison showed that MD and 3D-RISM provide essentially similar hydration patterns when there is sufficient sampling time for MD and a sufficient number of conformations to describe molecular flexibility for 3D-RISM. This suggests that these two computational methods can be used to complement one another when evaluating the reliability of calculated hydration patterns.

36001076
Numerical evaluation of fluid mixing phenomena in boiling water reactor using advanced interface tracking method
吉田 啓之; 高瀬 和之
Journal of Fluid Science and Technology (Internet) 3(2), p.311-322(2008) ; (JAEA-J 04393)
 In this study, a detailed Two-Phase Flow simulation code using advanced Interface Tracking method: TPFIT is developed to calculate the detailed information of the two-phase flow. In this paper, firstly, we try to verify the TPFIT code by comparing it with the existing 2-channel air-water mixing experimental results. Secondary, the TPFIT code is applied to simulation of steam-water two-phase flow in a model of two subchannels of a current BWRs and FLWRs rod bundle. The existing two-phase flow correlation for fluid mixing is evaluated using numerical simulation data. This data indicates that pressure difference between fluid channels is responsible for the fluid mixing, and thus the effects of the time average pressure difference and fluctuations must be incorporated in the two-phase flow correlation for fluid mixing. When inlet quality ratio of subchannels is relatively large, it is understood that evaluation precision of the existing two-phase flow correlations for fluid mixing are relatively low.

36001077
LES on plume dispersion in the convective boundary layer capped by a temperature inversion
中山 浩成; 田村 哲郎*; 安部 諭*
Journal of Fluid Science and Technology (Internet) 3(4), p.519-532(2008) ; (JAEA-J 04394)
 都市域において危険性の拡散物質が漏洩した場合の予測モデル開発において、防災上の観点から平均・変動濃度特性の評価が重要である。そのため、従来では熱的影響のない中立状態を対象にした大気拡散特性について検討されてきた。しかしながら、実際の大気境界層は日射による地表面の加熱により地表面からの浮力の影響を受けることが多く、大気の安定度に基づいた議論が不可欠である。逆転層を考慮した温度の鉛直分布を流入境界条件として与え、不安定成層性を伴う大気境界層乱流を空間発達させた流れ場の中でLES(ラージエディシミュレーション)大気拡散解析を適用し、平均・変動濃度特性を検討した。

36001078
Reaction kinetics analysis of damage evolution in accelerator driven system beam windows
義家 敏正*; Xu, Q.*; 佐藤 紘一*; 菊地 賢司; 川合 將義*
Journal of Nuclear Materials 377(1), p.132-135(2008) ; (JAEA-J 04395)
 800MW熱出力のADSにおけるビーム窓材料の損傷の予測を反応速度論で実施した。パラメータは、STIP-IとII実験でのEC316LNとF82H陽子照射の結果より適合させた。F82Hではバブルの密度はほぼ一定で、大きさが大きくなった。一方、浸入型の転位ループ密度は増え大きさは0.003から300dpaの間で一定であった。EC316LN材もほぼ同様なバブル密度と転位ループ挙動を示した。スエリングは673Kから773Kの間では3dpa以上で照射量に比例して増加することがわかった。

36001079
Precise intensity measurements in the 14N(n,γ)15N reaction as a γ-ray intensity standard up to 11 MeV
宮崎 格*; 坂根 仁*; 高山 寛和*; 笠石 昌史*; 東條 暁典*; 古田 昌孝*; 林 裕晃*; 末松 倫*; 楢崎 裕道*; 清水 俊明*; 柴田 理尋*; 河出 清*; 谷口 秋洋*; 原田 秀郎
Journal of Nuclear Science and Technology 45(6), p.481-486(2008) ; (JAEA-J 04396)
 14N(n,γ)15N反応で放出する主要γ線の絶対強度を0.3∼1.0%の精度で決定した。測定は、KURの中性子導管を用いて実施した。窒素のサンプルとしては、液体窒素及び重水置換メラミンを使用した。測定結果を従来の測定値と比較し、従来の測定データの問題点を指摘した。また、数MeV以上のγ線エネルギーにおいて、γ線検出効率の測定値とシミュレーションコードの計算結果に系統的な差の存在することを見いだし問題提起した。

36001080
Influence of framework silica-to-alumina ratio on the tritiated water adsorption and desorption caracteristics of NaX and NaY zeolites
岩井 保則; 山西 敏彦
Journal of Nuclear Science and Technology 45(6), p.532-540(2008) ; (JAEA-J 04397)
 固定層吸着プロセスは核融合分野においてトリチウム水(HTO)回収の有望なプロセスの一つとして研究が進められている。H2O-HTO二成分系においてゼオライトのトリチウム水吸脱着特性に及ぼすゼオライトのシリカアルミナ構成比の影響をSiO2/Al2O3比2.0∼10.0のNaXとNaYを用いて精査した。SiO2/Al2O3比を7.0から10.0へ変えると細孔分布が大きく変わり、吸脱着等温線は大きく変化した。同位体分離係数に与えるシリカアルミナ構成比の影響は小さい。NaY10.0の室温近傍の可動水分吸着量はNaA2.0のおよそ4倍の値を示した。シリカアルミナ比が大きくなるにつれ水分脱着時の同位体差は顕著となった。水分の脱着率は流通させたパージガス量に影響され、流量には依存しなかった。多カラムで構成される水分吸着システムの設計ではNaY10.0のゼオライトを水分吸着剤に用いることで従来の温度スイング法では必要であった加熱や冷却工程が不要となり水分吸着システムが大幅に小型化できることを明らかとした。

36001081
Effect of rod bowing on critical power based on tight-lattice 37-rod bundle experiments
玉井 秀定; 呉田 昌俊; Liu, W.; 佐藤 隆; 中塚 亨; 大貫 晃; 秋本 肇
Journal of Nuclear Science and Technology 45(6), p.567-574(2008) ; (JAEA-J 04398)
 原子力機構では、高増殖比及び超高燃焼度の達成を目指す超高燃焼水冷却増殖炉の技術的及び工学的成立性の確立を目指した要素技術開発として、これまでに、水冷却増殖炉の稠密格子炉心燃料集合体を模擬した37本バンドル試験体を用いて、除熱限界に対する基本的課題及び除熱限界に及ぼす燃料棒間隙幅の効果を明らかにしてきた。本研究では、燃料棒曲がり効果試験体を用いた試験を水冷却増殖炉の定格運転条件を内包する広い圧力範囲(2-9MPa),流量範囲(200-1000kg/(m2s))で実施し、除熱限界に及ぼす燃料棒曲がりの効果を検討した。その結果、沸騰遷移は燃料棒の最大曲がり高さより下流の位置で発生し、その時の壁温特性及び除熱限界特性はBWRや曲がりのない稠密炉心と同様であることがわかった。また、燃料棒曲がりを有する試験体での除熱限界は燃料棒がない試験体に比べて約10パーセント低下することがわかった。

36001082
Reconstruction of Cu(111) induced by a hyperthermal oxygen molecular beam
盛谷 浩右*; 岡田 美智雄*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆; 笠井 俊夫*
Journal of Physical Chemistry C 112(23), p.8662-8667(2008) ; (JAEA-J 04399)
 本論文は室温での超熱酸素分子ビーム照射によってCu(111)表面に誘起される再構成に関する研究である。並進運動エネルギーが0.5eVより大きい領域での超熱酸素分子ビーム照射は酸素被覆率0.27MLで表面再構成を誘起した。一方では、室温で酸素ガスに暴露して形成した酸化表面では被覆率が0.4MLであっても長距離周期の構造は形成されなかった。室温で超熱酸素分子ビーム照射した表面のO1s光電子ピークは、被覆率0.27ML以上では529.4eVと528.9eVの2成分に分裂した。これらはそれぞれ、再構成しないCu(111)表面上の三つのCu原子にまたがって酸素原子が吸着した構造と再構成した表面の4つのCu原子に酸素が結合した状態である。再構成表面を620Kに加熱すると酸素被覆率が0.27MLに減少して、いわゆる29超構造が現れた。

36001083
Detailed atomic modeling of Sn plasmas for the EUV source
佐々木 明; 砂原 淳*; 西原 功修*; 西川 亘*; 小池 文博*; 田沼 肇*
Journal of Physics; Conference Series 112, p.042062_1-042062_4(2008) ; (JAEA-J 04400)
 リソグラフィ用EUV光源として求められる、波長13.5nmにおけるSnプラズマの発光効率の向上,最適化のために、HULLACコードによって計算された原子データから求めた輻射輸送係数を用いて流体シミュレーションを行っている。理論,実験スペクトルの詳細な比較より、4から14価までのSnイオンの4d-4f, 4p-4d, 4d-5p, 4d-5f共鳴線とサテライト線が発光におもに寄与することが明らかになった。CIの効果を考慮して発光線波長を行い、さらに電荷交換分光法による実験との比較により原子データの精度が向上した。また、モデルを変えた反復計算により、サテライト線への寄与が大きい多電子励起,内殻励起状態が明らかになり、流体シミュレーションの精度が向上した。プラズマの密度が低いほど発光スペクトルが狭窄化し効率が高まるため、CO2レーザー励起は高効率化のためにも有利なことがわかった。

36001084
Innovative alpha radioactivity monitor for clearance level inspection based on ionized air transport technology; CFD-simulated and experimental ion transport efficiencies for uranium-attached pipes
平田 洋介*; 中原 克彦*; 佐野 明*; 佐藤 光吉*; 青山 佳男; 宮本 泰明; 山口 大美; 南部 健一*; 高橋 浩之*; 小田 昭紀*
Journal of Power and Energy Systems (Internet) 2(2), p.561-572(2008) ; (JAEA-J 04401)
 An innovative alpha radioactivity monitor for clearance level inspection has been developed. This apparatus measures an ion current resulting from air ionization by alpha particles. Ions generated in a measurement chamber of about 1 m3 in volume are transported by airflow to a sensor and measured. This paper presents computational estimation of the ion transport efficiencies for two pipes with different lengths, the inner surfaces of which were covered with a thin layer of uranium. These ion transport efficiencies were compared with those experimentally obtained for the purpose of validating our model. Good agreement was observed between transport efficiencies from simulations and those experimentally estimated. Dependence of the transport efficiencies on the region of uranium coverage was also examined, based on which such characteristics of ion currents as anticipated errors arising from unknown contaminated positions are also discussed to clarify the effective operation conditions of this monitor.

36001085
Two-dimensional stress corrosion cracking model for reactor structural materials
五十嵐 誉廣; 三輪 幸夫; 加治 芳行; 塚田 隆
Journal of Power and Energy Systems (Internet) 2(4), p.1188-1196(2008) ; (JAEA-J 04402)
 粒界型応力腐食割れ(IGSCC)の分岐き裂を再現するための2次元IGSCCモデルの開発を行った。本モデルでは、IGSCCの進展傾向に重要な影響を与えると考えられる、粒界腐食,粒界に作用するせん断応力の影響、そして粒界強度の因子を考慮してIGSCCを進展させる。本モデルを用いて、幾つかの荷重条件,せん断応力条件におけるき裂進展シミュレーションを行った。結果、き裂分岐の原因は粒界に作用するせん断応力の影響であること、そしてIGSCCに特異的に見られる、荷重方向に対し斜め方向へのき裂進展の原因は、せん断応力と粒界腐食の相乗的影響であることがわかった。

36001086
Oxygen potential measurement of americium oxide by electromotive force method
音部 治幹; 赤堀 光雄; 湊 和生
Journal of the American Ceramic Society 91(6), p.1981-1985(2008) ; (JAEA-J 04403)
 AmO2-xの酸素ポテンシャルを起電力法によって、xは0.1から0.5まで、温度は1000から1333Kまでの範囲で測定した。その酸素ポテンシャルは、1333Kではx=0.01のときに-19.83kJ/mol、x=0.485のときに-319.1kJ/molであり、CeO2-xの酸素ポテンシャルよりも、同じxの場合に約200kJ/molだけ高かった。酸素ポテンシャルの組成(x)や温度依存性からAm-O系の相図を試作した。その相図には、中間相Am7O12とAm9O16の存在が示された。

36001087
Single crystal growth and de Haas-van Alphen effect in Lu2Rh3Ga9 with quasi-two-dimensional electronic state
Nguyen, D.; 松田 達磨; 芳賀 芳範; 池田 修悟*; 山本 悦嗣; 遠藤 豊明*; 摂待 力生*; 播磨 尚朝*; 大貫 惇睦
Journal of the Physical Society of Japan 77(6), p.064708_1-064708_6(2008) ; (JAEA-J 04404)
 Y2Co3Ga9-typeの斜方晶Lu2Rh3Ga9の単結晶育成をGa-flux法にて成功した。単結晶X線構造解析により、構造パラメータを決定した。また電気抵抗,比熱,ドハース・ファンアルフェン効果測定も行った。観測されたドハースブランチは、full potential LAPWエネルギーバンド計算の結果によってよく説明される。フェルミ面は、[001]方向にのびたシリンダー状の準2次元電子系であることがわかった。

36001088
Proliferation and cell death of human glioblastoma cells after carbon-ion beam exposure; Morphologic and morphometric analyses
大石 琢磨*; 佐々木 惇*; 浜田 信行*; 石内 勝吾*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 小林 泰彦; 中野 隆史*; 中里 洋一*
Neuropathology 28(4), p.408-416(2008) ; (JAEA-J 04405)
 Using CGNH-89 cells exposed to 0-10 Gy of X-ray (140 kVp) or carbon-ions (18.3 MeV/nucleon, LET = 108 keV/μm), we performed conventional histology and immunocytochemistry with MIB-1 antibody, transmission electron microscopy, and computer-assisted, nuclear size measurements. After carbon-ion and X-ray exposure, living cells showed decreased cell number, nuclear condensation, increased atypical mitotic figures, and a tendency of cytoplasmic enlargement at the level of light microscopy. The deviation of the nuclear area size increased during 48 hours after irradiation, while the small cell fraction increased in 336 hours. In glioblastoma cells of the control, 5 Gy carbon-beam, and 10 Gy carbon-beam, and MIB-1 labeling index decreased in 24 hours but increased in 48 hours. Ultrastructurally, cellular enlargement seemed to depend on vacuolation, swelling of mitochondria, and increase of cellular organelles, such as the cytoskeleton and secondary lysosome. We could not observe apoptotic bodies in the CGNH-89 cells under any conditions. We conclude that carbon-ion irradiation induced cell death and senescence in a glioblastoma cell line with mutant TP53. Our results indicated that the increase of large cells with enlarged and bizarre nuclei, swollen mitochondria, and secondary lysosome occurred in glioblastoma cells after carbon-beam exposure.

36001089
Nuclear data sheets for A=124
片倉 純一; Wu, Z. D.*
Nuclear Data Sheets 109(7), p.1655-1877(2008) ; (JAEA-J 04406)
 1997年に刊行されたA=124の質量チェインの評価を崩壊及び核反応の実験データをもとに改訂した。原子核準位及び崩壊特性について推奨値をまとめた。また、実験データ間の矛盾や相違についても示してある。

36001090
X-ray magnetic circular dichroism and photoemission studies of ferromagnetism in CaMn1-xRuxO3 thin films
寺井 恒太*; 吉井 賢資; 竹田 幸治; 藤森 伸一; 斎藤 祐児; 大和田 謙二; 稲見 俊哉; 岡根 哲夫; 有田 将司*; 島田 賢也*; 生天目 博文*; 谷口 雅樹*; 小林 啓介*; 小林 正起*; 藤森 淳*
Physical Review B 77(11), p.115128_1-115128_6(2008) ; (JAEA-J 04408)
 We have studied the electronic and magnetic properties of epitaxially grown CaMn1-xRuxO3 thin films ( x = 1.0, 0.75, 0.5) by soft X-ray absorption (XAS), soft X-ray magnetic circular dichroism (XMCD) and hard X-ray photoemission spectroscopy (HXPES) measurements. The XMCD studies indicated that the spin moments of Mn and Ru are aligned in opposite directions. The valence-band HXPES spectra revealed that the Ru 4d t2g states around the Fermi level and the Mn 3d t2g up-spin states centered ∼ 2 eV below it, both of which showed systematic concentration dependences. From these results, we propose that the localized Mn 3d t2g states and the itinerant Ru 4d t2g band are antiferromagnetically coupled and give rise to the ferromagnetic ordering, in analogy to the mechanism proposed for double perovskite oxides such as Sr2FeMoO6.

36001091
One-quasiparticle bands in neutron-rich 187W
静間 俊行; 石井 哲朗; 牧井 宏之*; 早川 岳人; 松田 誠; 重松 宗一郎*; 井手口 栄治*; Zheng, Y.*; Liu, M.*; 森川 恒安*; 大井 万紀人*
Physical Review C 77(4), p.047303_1-047303_4(2008) ; (JAEA-J 04409)
 中性子移行反応186W(18O,17O)を用いて中性子過剰核187Wの励起状態を生成し、脱励起γ線の計測を行った。その結果、既知の負パリティバンドについてよりスピンの高い準位を観測し、また、2つの正パリティバンドを新たに同定した。近傍原子核の準位エネルギーの系統性やバンド内の分岐比から得られたg因子の分析により、新たに見つかった2つのバンドがν i13/2軌道に起因することを明らかにした。

36001092
Effects of nuclear orientation on the mass distribution of fission fragments in the reaction 36S + 238U
西尾 勝久; 池添 博; 光岡 真一; 西中 一朗; 永目 諭一郎; 渡辺 裕*; 大槻 勤*; 廣瀬 健太郎*; Hofmann, S.*
Physical Review C 77(6), p.064607_1-064607_5(2008) ; (JAEA-J 04410)
 Fragment mass distributions for fission after full momentum transfer were measured for the reaction 36S + 238U at bombarding energies around the Coulomb barrier. The data revealed a transition from symmetry to asymmetry mass distributions when the beam energies were decreased from above-barrier to sub-barrier values. The main components of the asymmetric mass distribution are at AH 200 and AL 74. The asymmetric fission is attributed to quasifission of the reacting system at polar collisions, whereas the symmetric fission originates from the compound nucleus produced in equatorial collisions. The results suggest a strong influence of orientation effects of the deformed target nuclei on fusion.

36001093
Direct observation of dispersive Kondo resonance peaks in a heavy-fermion system
Im, H. J.*; 伊藤 孝寛*; Kim, H.-D.*; 木村 真一*; Lee, K. E.*; Hong, J. B.*; Kwon, Y. S.*; 保井 晃; 山上 浩志
Physical Review Letters 100(117), p.176402_1-176402_4(2008) ; (JAEA-J 04412)
 強相関Ce 4f電子の電子構造を調べるために、擬2次元性を持つ非磁性の重い電子系CeCoGe1.2Si0.8において、Ce 4d-4f共鳴角度分解光電子分光実験を行った。今回初めて、混成した伝導バンドと同時に、いわゆる近藤共鳴と呼ばれるフェルミ準位を横切るf状態の分散を持ったコヒーレントピークを直接観測した。さらに、実験で得られたバンド分散は周期的アンダーソンモデルに基づいた簡単な混成バンド描像と定性的に良い一致を示す。コヒーレント温度や、近藤温度,質量増大といった実験的に得られた物理量は、熱力学的測定での結果と同程度の大きさである。これらの結果は重い電子系のCe 4f電子が遍歴的な性質を持っている証拠であり、微視的な混成機構を明らかにするものである。

36001094
Efficient production of a collimated MeV proton beam from a Polyimide target driven by an intense femtosecond laser pulse
西内 満美子; 大道 博行; 余語 覚文; 織茂 聡; 小倉 浩一; Ma, J.-L.; 匂坂 明人; 森 道昭; Pirozhkov, A. S.; 桐山 博光; Bulanov, S. V.; Esirkepov, T. Z.; Choi, I. W.*; Kim, C. M.*; Jeong, T. M.*; Yu, T. J.*; Sung, J. H.*; Lee, S. K.*; Hafz, N.*; Pae, K. H.*; Noh, Y.-C.*; Ko, D.-K.*; Lee, J.*; 大石 裕二*; 根本 孝七*; 長友 英夫*; 長井 圭治*; 東 博純*
Physics of Plasmas 15(5), p.053104_1-053104_10(2008) ; (JAEA-J 04413)
 超高強度フェムト秒レーザーを7.5, 12.5, and 25μm厚のポリイミドターゲットに照射することにより、最高エネルギー4MeVの高フラックスプロトンビームを発生した。レーザーのエネルギーは1.7Jパルス幅34fs強度は3×1019Wcm-2であった。Amplified spontaneous emissionの強度(コントラスト)はメインパルスの4×10-8であった。レーザーからプロトンへのエネルギーの変換効率は、3%に達し、ナノメートル厚の超薄型ターゲットとコントラストが極低いレーザー(∼10-10)を使って得られた既存の結果とほぼ同じか、それよりも良い結果を得た。

36001095
Analysis of (K-,K+) inclusive spectrum with semiclassical distorted wave model
橋本 慎太郎; 河野 道郎*; 緒方 一介*; 河合 光路*
Progress of Theoretical Physics 119(6), p.1005-1027(2008) ; (JAEA-J 04414)
 12C(K-,K+)反応の包括的K+運動量スペクトルを半古典歪曲波模型(SCDW)を用いて計算した。生成されるXi-ハイペロンが束縛状態に遷移する場合の断面積も計算し、スペクトルの閾値近傍でのふるまいがXi-ハイペロンの一体場ポテンシャルによってどう変化するのかを議論した。SCDWによる計算結果を過去に行われたグリーン関数法や核内カスケード模型による解析結果と比較し、それらの解析で導入された仮定の検証を行った。また、Xi-の一体場ポテンシャルの強さを-50,-20,+10MeVと変化させ、その計算結果を高エネルギー加速器機構(KEK)によって測定された実験データと比較した。SCDWの計算結果は、実験データのピーク構造を再現し、スペクトルもポテンシャルの強さに対して系統的に変化したが、今回の解析ではその強さに関する拘束条件を得ることはできなかった。

36001096
Expression of the extracellular region of the human interleukin-4 receptor α chain and interleukin-13 receptor α1 chain by a silkworm-baculovirus system
本庄 栄二郎; 正山 祥生; 玉田 太郎; 重松 秀樹*; 畠中 孝彰*; 金地 佐千子*; 有馬 和彦*; 伊東 祐二*; 出原 賢治*; 黒木 良太
Protein Expression and Purification 60(1), p.25-30(2008) ; (JAEA-J 04415)
 インターロイキン-13に対する受容体はインターロイキン-13α1鎖及びインターロイキン-4α鎖からなる。これらの相互作用を調べるため、IL-13受容体α1鎖及びIL-4受容体α鎖細胞外領域をコードするDNAをマウスIgGのFcと融合体としてカイコ/バキュロウイルス系で発現した。受容体はプロテインAカラムを用いて回収し、トロンビン消化でFcと切り離すことができた。ゲルろ過やSPR分析の結果、IL-13とIL-13受容体α1鎖複合体はIL-4受容体αと結合したが、IL-13やIL-13受容体α1鎖単独でのIL-4受容体αとの相互作用は見られなかった。これらの結果から、IL-13はIL-13受容体α1と相互作用し、さらにIL-4受容体αと結合することが明らかとなった。

36001097
Iodine-129 measurements in soil samples from Dolon village near the Semipalatinsk Nuclear Test Site
遠藤 暁*; 富田 順平*; 田中 健一*; 山本 正儀*; 福谷 哲*; 今中 哲二*; 坂口 綾*; 天野 光; 川村 秀久*; 河村 日佐男*; Apsalikov, K. N.*; Gusev, B. I.*; Whitehead, N. E.*; Shinkarev, S.*; 星 正治*
Radiation and Environmental Biophysics 47(3), p.359-365(2008) ; (JAEA-J 04416)
 旧ソ連セミパラチンスク核実験場の境界から約60km離れたドロン村は、1949年8月に行われた最初の核実験で高度に汚染された。現地で採取した土壌試料中129Iを測定することで、短半減期ヨウ素(おもに131I)から住民が受けた甲状腺線量を推定する研究を開始した。土壌試料中129Iは日本原子力研究開発機構むつ事務所の加速器質量分析装置(AMS)で測定した。測定された土壌中129I蓄積量の平均値は8.0×1013atoms/m2であり、土壌中129I蓄積量と137Cs蓄積量との関係からドロン村の129Iバックグラウンドレベルと129I/137Cs比を求めた結果、129I/137Cs比は239Puの高速中性子による核分裂収率と一致することがわかった。

36001098
Monte Carlo modelling of Germanium detectors for the measurement of low energy photons in internal dosimetry; Results of an international comparison
Gómez-Ros, J. M.*; de Carlan, L.*; Franck, D.*; Gualdrini, G.*; Lis, M.*; López, M. A.*; Moraleda, M.*; Zankl, M.*; Badal, A.*; Capello, K.*; Cowan, P.*; Ferrari, P.*; Heide, B.*; Henniger, J.*; Hooley, V.*; Hunt, J.*; 木名瀬 栄; Kramer, G. H.*; Löhnert, D.*; Lucas, S.*; Nuttens, V.*; Packer, L. W.*; Reichelt, U.*; Vrba, T.*; Sempau, J.*; Zhang, B.*
Radiation Measurements 43(2-6), p.510-515(2008) ; (JAEA-J 04417)
 本報告は、欧州線量評価委員会が膝などの骨格に長期残留するアメリシウム計測法の向上を目的として実施したCONRADプロジェクト"膝ファントム中アメリシウム体外計測に関するモンテカルロモデリングの国際相互比較"の結果を述べたものである。本相互比較の結果、シミュレーションによりゲルマニウム検出器の波高分布を評価する場合、検出器のディメンジョン,材質,密度のみならず、ジオメトリや線源についても詳細な情報をもとにモデル化することが必要であることを確認した。

36001099
簡素化ペレット法MOX原料粉末の流動性評価への振動細管法の適用性検討
石井 克典; 鈴木 政浩; 山本 琢磨; 木原 義之; 安田 正俊*; 松坂 修二*
粉体工学会誌 45(5), p.290-296(2008) ; (JAEA-J 04418)
 ペレット燃料製造に用いるMOX粒子の流動性評価への、振動細管法の適用性評価試験を実施した。本実験では、数百ミクロンの直径のジルコニア粒子を模擬粒子として使用した。サンプルとなる粒子は、異なる粒子径,異なる形状を有する粒子を混合して準備した。実験の結果、微細粒子を除去することは、粒子表面の機械的処理よりも、流動性の向上に有益であることがわかった。さらに、振動細管法は、Carrの流動性指数による方法と比較して、粒子流動性の違いを、より簡便かつ容易に識別できることがわかった。

36001100
紀伊半島南部、本宮及び十津川地域の温泉周辺の熱水活動史 
花室 孝広; 梅田 浩司; 高島 勲*; 根岸 義光*
岩石鉱物科学 37(2), p.27-38(2008) ; (JAEA-J 04419)
 紀伊半島南部地域には、第四紀火山が存在しないものの、湯の峰温泉や湯泉地温泉などの高温泉や、本宮地域の熱水変質帯などが分布している。本研究では、高温泉や変質帯の分布する本宮地域と十津川地域を対象として、複数の年代測定手法により岩石の被った熱履歴を把握することを目的としている。TL年代,FT年代及びK-Ar年代測定の結果、本宮地域・十津川地域では、千数百万年前までの高温の活動の後、少なくとも数十∼数万年前から低温の活動が見られる。これらは、複数の放射年代測定手法を組合せることで把握することが可能である。

36001101
日本原子力研究開発機構試験研究炉における放射性同位元素の供給と製造研究,1; 供給の現状と将来計画
河村 弘; 堀 直彦
Isotope News (650), p.6-11(2008) ; (JAEA-J 04420)
 国内で放射性同位元素の供給を行っている試験研究炉としては、原子力機構のJRR-3, JRR-4及びJMTRが挙げられる。現在、JMTRは平成23年度の再稼動を目指し、改修を行っている。再稼動後の産業利用拡大のひとつとして、放射性医薬品であるTc-99mの親核種であるMo-99の製造を検討している。ここではJRR-3, JRR-4及びJMTRの概要とJMTRで検討しているMo-99製造設備について紹介する。

36001102
日本原子力研究開発機構試験研究炉における放射性同位元素の供給と製造研究,2; がん治療用RIの製造研究
橋本 和幸
Isotope News (650), p.11-12(2008) ; (JAEA-J 04421)
 近年、α線やβ線を放出するRIを体内に投与することによりがんを治療しようという研究開発が世界中で進められている。中でも、β線放出RIは、β線エネルギーや化学的性質等が異なる多くのRIが利用可能であり、がんの大きさや性質に応じて、その飛程や標識化合物等に関して幅広い選択が可能である。そこで、原子力機構では、原子炉を利用したがん治療用RIの大量製造技術の開発及びその利用に関する研究開発を大学等と共同で進めてきた。本稿では、がん治療に有用なβ線を放出し、さらに画像化に適したγ線を放出するため、体外から集積部位を確認しながらがん治療を行える核種であるレニウム(186Re, 188Re)及びルテチウム(177Lu)の製造研究を簡単に紹介する。

36001103
強レーザー場誘起化学反応ダイナミクス
板倉 隆二; 山内 薫*
光化学 39(1), p.19-26(2008) ; (JAEA-J 04422)
 強レーザー場による光化学反応の研究はレーザー技術の進展とともに発展してきた。本総説では、最先端のレーザー技術と関連して以下の3つの話題を紹介する。(1)波形整形パルスを用いたエタノールの解離性イオン化における選択的化学結合切断の制御,(2)数サイクルから数10フェムト秒までパルス幅を変えたときの2重イオン化における解離及び回転運動の影響,(3)分子内電子ダイナミクスをモニターするためのアト秒パルス利用及びパルス波形計測。

36001104
超高燃焼水冷却増殖炉開発のための稠密バンドル内熱流動評価
呉田 昌俊; 吉田 啓之; 玉井 秀定; 大貫 晃; 秋本 肇
混相流研究の進展 3, p.99-109(2008) ; (JAEA-J 04423)
 稠密バンドル内を流れる沸騰流のボイド率を実験及び解析を比較することで評価した。ロッド数が7本,14本,19本,37本,間隙が1.0∼1.3mmのバンドル試験とスペーサ効果試験の5種類のボイド率試験を0.1∼7.2MPaの圧力範囲で実施した。過度解析コードTRAC-BF1,1次元ドリフト・フラックスモデルの拡張性について調べた結果、クオリティ及びボイド率が比較的高い条件において、TRAC-BF1及びモデルは実験値とよく一致することがわかった。先進的な数値解析コードであるNASCA, ACE-3D, TPFITの稠密バンドルへの適用性を、中性子トモグラフィで計測した3次元ボイド率分布と比較し検証した。これらのコードによるボイド率計算値は実験値と定性的に同じ傾向を計算できることを確認した。蒸気及び水の分布や速度分布に関して実験データをもとに考察した。37本高圧限界出力試験において流路中央部で沸騰遷移現象が生じた原因として、流路中央部での局所液ホールドアップが低くなり、液膜が局所的に薄くなることで生じたものと推察された。

36001105
放射線の工・農・医分野における利用とその将来
柴田 徳思
日本物理学会誌 63(4), p.257-264(2008) ; (JAEA-J 04424)
 経済的規模から見た我が国における放射線利用の実態を紹介した。工業分野,農業分野,医療分野における放射線利用の中で、将来大きな発展が見込まれるものとして、工業分野におけるリソグラフィ,放射線加工,放射線を用いた分析法,農業分野における放射線育種,不妊虫放飼,食品照射,医療における放射線を用いた診断及び治療について示した。将来の放射線利用を進めるために、半導体製造にかかわる技術の開発,小型加速器の開発,小型中性子源の開発が重要な課題であると思われる。

36001106
SiCブロック製硫酸分解器の熱構造シミュレーション
石倉 修一; 寺田 敦彦; 野口 弘喜; 笠原 清司; 小貫 薫; 日野 竜太郎
日本原子力学会和文論文誌 7(2), p.134-141(2008) ; (JAEA-J 04425)
 熱化学水素製造法、ISプロセスの主要機器の一つである硫酸分解器は500℃以上の高温ヘリウムの顕熱により濃硫酸(H2SO4)を蒸発させ、さらに硫酸蒸気をH2OとSO3に分解する。硫酸分解器の腐食環境に耐える熱交換器として、われわれが提案した耐腐食性に優れた炭化珪素系セラミックス(SiC)をブロック状にした新型熱交換器の構造成立性評価の一環として、濃硫酸のような2成分溶液の沸騰において濃度上昇に伴う沸点上昇を考慮できる硫酸とヘリウムの熱交換解析コードを構築した。セラミックブロック熱交換器をFEMによる汎用構造解析コードにより3次元モデル化し、熱交換解析で得られた硫酸とヘリウムの温度分布を入力にして温度分布解析と熱応力解析を実施した結果、最大主応力はドライアウト部近傍に発生し、その値はSiCの引張り強度の約1/2であった。

36001107
くぼみ渦によるガス巻込み現象に対する数値解析手法の適用性
伊藤 啓; 功刀 資彰*; 大島 宏之
日本原子力学会和文論文誌 7(2), p.152-165(2008) ; (JAEA-J 04426)
 実用炉設計研究において、原子炉容器をコンパクト化して冷却材流速を高速化する設計概念が検討されており、炉上部プレナム部の自由液面におけるガス巻込みの発生が懸念されている。自由液面に形成されるくぼみ渦によって誘起されるガス巻込み現象の発生を正確に予測することは困難であるため、現象を評価する方法として実規模試験が確実である。しかし、実規模試験はコストが高いため、その代替として数値解析を用いた現象評価が望まれている。本論文は、くぼみ渦によるガス巻込み現象に対する解析手法の適用性について検討するため、円筒容器内準定常渦及び物体後流渦を対象として高精度VOF法を用いた気液二相流数値解析を実施した。準定常渦解析においては、詳細格子と高精度離散化を用いることでくぼみ渦流れ場を精度よく解析できた。物体後流渦に関して渦発達挙動及びガス巻込み発生条件について実験と解析の比較を行った結果、解析によって渦発達挙動が再現された。また、ガス巻込み発生条件に関して、解析は実験を過小評価するが、吸い込み流速が増大した場合のガス巻込み発生を捕えることは可能であり、数値解析がガス巻込み現象評価に対して適用可能であることが確認された。

36001108
次世代原子力システムの核拡散抵抗性
千崎 雅生; 久野 祐輔; 井上 尚子; 勝村 聡一郎
日本原子力学会誌 50(6), p.26-31(2008) ; (JAEA-J 04427)
 次世代原子力システムの国際協力プロジェクトは2000年頃から本格的に開始された。開発にあたっては、経済性,安全性,環境負荷低減性等と並んで核拡散抵抗性の確保が開発目標に掲げられている。なかでも核拡散抵抗性は国際的コンセンサスを得ることの重要性が高く、そのための共通理解を形成することが必要であり、国内外において原子力技術分野と核不拡散分野間での相互理解が重要となる。本稿では、過去約30年間の核拡散抵抗性に関する議論の経緯や代表的なプロジェクトの核拡散抵抗性評価手法について紹介するとともに、核拡散抵抗性の基本的な考え方及び今後の課題と方向性について解説する。

36001109
地震動の不確かさを考慮した経年配管の構造信頼性評価手法の開発; 経年劣化が進行した発電用原子炉の配管が地震で壊れる確率は?
伊藤 裕人; 鬼沢 邦雄; 杉野 英治*
日本原子力学会誌 50(7), p.434-437(2008) ; (JAEA-J 04428)
 応力腐食割れが発生した配管に地震による揺れが作用したときの健全性を評価する際には、地震荷重の大きさ、応力腐食割れによるき裂の発生・進展等の経年劣化について不確かさやばらつきが存在する。これらの不確かさやばらつきを定量的に評価する確率論的破壊力学(PFM)解析手法を用いて、配管等、構造機器に損傷が発生する確率を評価する研究を進めている。また、地震時の原子炉の安全性評価における重要な入力条件となる地震動の発生にかかわる不確かさを考慮した地震動評価手法を開発した。従来、これらの手法は独立したものであったが、これらを統合して、プラント敷地周辺の地震動発生確率を考慮し、経年劣化した配管に地震荷重が作用する場合の破損確率の評価手法を開発した。

36001110
CrN被覆した原子炉用鋼材の液体鉛ビスマス中における腐食
倉田 有司; 二川 正敏
日本金属学会誌 72(6), p.470-476(2008) ; (JAEA-J 04429)
 原子力システムで使用される液体鉛ビスマス環境へのCrN被覆の適用性を検討するため、CrN被覆した原子炉用鋼材を450℃及び550℃で3000h腐食試験した。F82H及び316SSに被覆したCrNは450℃では、鉛ビスマスと良好な両立性を示した。550℃の液体鉛ビスマス中では、CrN被覆層は割れや剥離といった損傷を受け、保護層としての有効性を示さなかった。316SS中のNi及びCrは損傷を受けた被覆層を通って鉛ビスマス中に溶出した。CrN被覆した鋼材のArガス中550℃での加熱では、被覆層の割れ及び剥離は観察されなかった。これらの点から、CrNと鋼の熱膨張係数の違いによって発生する応力が、550℃での鉛ビスマスによる腐食を通してCrN層の割れ及び剥離をもたらしたと考えられる。

36001111
ITERブランケット保守用大容量ロボットの組立誤差による位置決め精度への影響評価
角舘 聡; 柴沼 清
プラズマ・核融合学会誌 84(5), p.269-278(2008) ; (JAEA-J 04431)
 ITERブランケット保守用大容量ロボットでは、40kNのブランケットを高精度な位置決めで真空容器内に設置することが要求される。このため、ロボットの組立誤差が位置決め精度へ及ぼす影響を明らかにする必要がある。従来の組立誤差の影響評価研究は組立誤差が微小であることを前提にロボットの位置と姿勢を定義する特性方程式に全微分を適用することによって影響評価を行った。しかし、大型で複雑なロボットの場合には、全微分が適用できる微小領域を超えた組立誤差を有するため、従来の方法が適用できない。そこで、まずブランケット取り付け時の位置決めに最も影響を与えるブランケット保守用ロボット先端のエンドエフェクタの姿勢3自由度について、組立誤差を考慮した場合の位置決め精度に関する基礎式を提案し、非接触法と接触法の2つの典型的な位置決め法について、組立誤差が位置決め精度に与える影響を数値計算により評価した。その結果、非接触法では組立誤差が大きな場合には高精度な位置決めが困難であるが、接触法では組立誤差の程度にかかわらず、数回の繰り返し計算で所定内の精度に位置決めできることが明らかとなった。

36001112
大気中放射性物質による雷雲電界中での逃走電子の生成
鳥居 建男; 杉田 武志*
大気電気学会誌 2(1), p.105-106(2008) ; (JAEA-J 04432)
 大気中に広く存在する放射性物質であるラドン,トロンとそれらの崩壊生成物がもたらす雷雲電界内での電離量をモンテカルロ計算によって解析し、これらの核種による逃走電子の生成と逃走絶縁破壊の可能性について検討した。その結果、高度2kmの大気で250kV/m(1気圧換算で約320kV/m)を超えると急激に電離量が増加することがわかった。また、チェルノブイリ事故が発生した1986年に放射性物質の汚染密度が高かったスウェーデン中部において雷放電が多発したことから、フォールアウト核種が雷活動に与える可能性についても解析を行った。

36001113
量子ビーム施設の利用; TIARA(イオン照射研究施設)
保東 麻央; 小嶋 拓治
Techno innovation 18(2), p.52-53(2008) ; (JAEA-J 04433)
 量子ビーム産業利用をめぐる技術開発をサポートする重要な量子ビーム施設の一つとして、ガンマーフィールド,J-PARC,SPring-8及び理研RIビームファクトリー特集記事と並んで、イオン照射研究施設(TIARA)等の概要説明とそれら施設を利用した農林水産関係の研究成果を紹介した。また、施設の利用方法等の施設共用制度についても述べた。

36001114
ピッティング損傷を受けた表面改質処理ステンレス鋼の曲げ疲労強度
直江 崇; 粉川 広行; 涌井 隆; 二川 正敏; 竹内 博次*
材料 57(6), p.576-582(2008) ; (JAEA-J 04434)
 液体水銀を核破砕標的に用いたMW級の核破砕中性子源がJ-PARCに設置される。大強度のパルス陽子線が25Hzで水銀に入射すると、水銀を包含するターゲット容器には、水銀の熱膨張によって励起される圧力波により繰り返し応力が負荷される。同時に、圧力波の伝播過程で生じるキャビテーション気泡の崩壊により、ターゲット容器の内壁にはピッティング損傷が付加される。これまでに、表面硬化処理を施すことで、ピッティング損傷をある程度抑制できることを確認している。しかしながら、界面強度が不十分のため、百万回を超える局所衝撃負荷によりき裂や剥離が生じることが明らかとなった。本報では、これまでの実験に基づいて、プラズマ浸炭とプラズマ窒化処理を階層的に処理した新たな表面改質処理を開発した。本改質処理材に対して、ピッティング損傷を付加し、曲げ疲労試験を行った結果、表面改質によるピッティング損傷抑制効果と疲労強度の向上を確認した。

36001115
Notes on laser acceleration
田島 俊樹
AIP Conference Proceedings 1024 , p.52-60(2008) ; (JAEA-J 04435)
 レーザー加速の基本的哲学とそのモチベーションについて述べる。特に、レーザーイオン加速について、イノベーションの主要な考え方を説く。

36001116
Introduction of WRF into coupled water cycle model
永井 晴康; 都築 克紀; 小林 卓也
Extended abstract of 9th Annual WRF Users' Workshop (Internet) , 4p.(2008) ; (JAEA-J 04436)
 数値環境システムSPEEDI-MP開発の一環として、メソスケール水循環及びエネルギー循環を詳細に再現する水循環結合モデルを開発した。結合モデルは、大気,陸面,水文,海洋波浪及び海流モデルから構成される。各モデルの計算は、並列計算の異なるプロセスとして同時実行され、モデル結合プログラム(モデルカップラー)が、計算制御とモデル間のデータ交換を並列計算通信ライブラリ(MPI)を用いて行うことで結合を実現する。結合モデルの初期版は、米国の大気力学モデルMM5,原子力機構で開発した陸面モデルSOLVEG及び水文モデルRIVERS,米国の波浪モデルWW3及び海洋モデルPOMを用いて構築した。現在、米国の最新大気モデルWRFの導入を進めており、性能試験としてMM5とWRFそれぞれの結合計算結果を比較した。現状では、WRFの性能を十分に引き出せていないため、MM5の結合計算が観測値に近い結果であった。

36001117
An Estimation technique for compositions of bunsen reaction solutions on thermochemical water splitting is process
久保 真治; 中島 隼人; 今井 良行; 笠原 清司; 田中 伸幸; 奥田 泰之; 宮下 礼子*; 小貫 薫
Proceedings of 17th World Hydrogen Energy Conference (WHEC 2008) (CD-ROM) , 4p.(2008) ; (JAEA-J 04437)
 ブンゼン反応溶液の組成制御は、ISプロセスの運転を安定化するためのキー技術である。今回、二相分離状態にある4成分系において溶液組成を推算する新しい方法を開発した。これは、両相の2つの密度を計測するだけで、両相のすべてのモル分率を推算できるものである。本方法を実現するため、模擬溶液の密度測定実験を実施、これを多項式近似し、密度と組成の関係式を導出した。また、二相分離状態溶液の各成分のモル分率間の相関式を、文献データを回帰することにより導出した。これら非線形連立方程式の求解プログラムを作成し、両密度を与えることにより組成が計算できるようにした。模擬二相分離溶液を調整し、密度測定及び滴定分析を実施、密度から求めた推算組成と滴定による組成測定値を比較したところ、両者の一致は良好であった。本法はシンプルで簡便に実施できるため、プロセス運転時の組成計測への適用が期待できる。

36001118
Development of advanced loop-type fast reactor in Japan, 4; An Advanced design of the fuel handling system for the enhanced economic competitiveness
臼井 伸一; 三原 隆嗣; 小幡 宏幸; 小竹 庄司
Proceedings of 2008 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '08) (CD-ROM) , p.512-518(2008) ; (JAEA-J 04438)
 Na高速炉の燃料交換は、冷却材であるNaの化学的に活性で不透明であるという性質から大きな技術的課題の1つとなっている。JSFRの設計では、既存のFBRプラントでの安全で信頼性のある燃料交換運転経験に基づいてさらに合理的で信頼性のある燃料取扱い系の開発を進めている。開発は、燃料取扱い設備物量を削減し、燃料交換時間の短縮を図ることで経済的競争力を増すことを目的に幾つかの革新的な概念を研究しており、今後構成要素の試験やモックアップ試験によりその成立性を確認することとしている。

36001119
Development of advanced loop-type fast reactor in Japan, 6; Minor actinide containing oxide fuel core design study for the JSFR
永沼 正行; 小川 隆; 大木 繁夫; 水野 朋保; 久保 重信*
Proceedings of 2008 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '08) (CD-ROM) , p.526-535(2008) ; (JAEA-J 04439)
 FaCTプロジェクトでは、Na冷却MOX燃料炉心が主概念として選定された。本論文では、TRU組成のJSFR炉心・燃料設計への影響に着目した検討を実施した。LWRからFBRの移行時期においては、LWR使用済燃料からリサイクルされた高MA含有率の燃料がJSFR炉心に供給される可能性がある。高MA含有燃料は、炉心反応度特性,燃料物性(融点・熱伝導度),ガス生成量などを通じて炉心・燃料設計に影響を与える。そこで、これらの影響を定量的に把握するため、FBR平衡時期の組成(FBR多重リサイクル組成:MA含有率1wt%程度),移行時期の組成(LWRリサイクル組成:代表的なMA含有率として3wt%を暫定)の2種類の組成を用いたJSFR MOX燃料炉心の設計検討を行った。結果として、FBR多重リサイクル組成からLWRリサイクル組成に変更することで、冷却材ボイド反応度は10%増加、線出力制限値は1-2%低下、ガスプレナム長は5%増加するが、TRU組成の炉心・燃料設計への影響は比較的小さいことが示された。

36001120
Laser-arc hybrid welding for the cover plate of ITER TF coil
椎原 克典*; 牧野 吉延*; 小川 剛史*; 浅井 知*; 金原 利雄*; 仙田 郁夫*; 奥野 清; 小泉 徳潔; 松井 邦浩
Proceedings of 26th International Congress on Applications of Lasers & Electro-Optics (ICALEO 2007) (CD-ROM) , p.316-324(2007) ; (JAEA-J 04440)
 レーザー・アーク・ハイブリッド溶接は、通常のレーザー溶接に比べて、溶接ギャップが広くても溶接が可能なこと、溶接スピードが速いなどの利点を有している。そこで、溶接総長が1コイルあたり9kmと非常に長いITER-TFコイルのカバー・プレート(CP)溶接へのレーザー・アーク・ハイブリッド溶接技術の適用性を検討した。試験の結果、溶接ギャップ0.6mm(通常のレーザー溶接では0.2mmが限界)に対して、3m/min(通常のレーザー溶接の約2倍)の速い速度で、高品質の溶接を行えることが実証できた。また、TFコイルの部分モデルに対して溶接試験を実施したところ、ITERのたわみに対する仕様1mmに対して、0.9mmのたわみが発生し、十分な裕度を確保するまでには至らなかったが、仕様を満足することができた。さらに、試験の結果、たわみ量は拘束条件に依存することもわかっており、今後、拘束条件の改善を行うことで、たわみを低減することが期待できる。以上より、レーザー・アーク・ハイブリッド溶接技術のCP溶接への適用性に目処を立てることができた。

36001121
Proposal of a practical guide of convergence measurements in Horonobe Underground Research Laboratory
津坂 仁和; 山崎 雅直; 羽出山 吉裕*; 山本 卓也*
Proceedings of 42nd U.S. Rock Mechanics Symposium and 2nd U.S.-Canada Rock Mechanics Symposium (CD-ROM) , 9p.(2008) ; (JAEA-J 04441)
 日本原子力研究開発機構は、北海道幌延町において、2本の立坑を掘削しており、掘削に伴うコンバージェンスや支保工の応力の計測結果を整理し、より深部の施工における坑道周辺岩盤の変形と緩みの関係を予測する指標が必要とされている。一般的な二車線道路トンネルのコンバージェンス計測結果に対しては、初期変形速度,最終変形量,発達する緩みの幅,許容変形量の関係が整理され、施工管理のために5区分から成る岩盤挙動分類が提案されている。本研究では、その岩盤挙動分類を掘削径の異なる3事例でのコンバージェンス計測結果と比較し、その適用性に関して良好な結果を得た。そして、その結果を踏まえ、深度140mまでの立坑掘削でのコンバージェンス計測と支保工の応力計測の結果を既往の岩盤挙動分類と比較した。その結果、既往の分類で区分IIIの初期変形速度が計測された場合、区分IIの範囲の最終変形量となり、その際に発達する緩み域の幅は、掘削径の15から25%となることを明らかにした。

36001122
Toward an international sparse linear algebra expert system by interconnecting the ITBL Computational Grid with the Grid-TLSE platform
櫛田 慶幸; 鈴木 喜雄; 手島 直哉; 中島 憲宏; Caniou, Y.*; Daydé, M.*; Ramet, P.*
Proceedings of 8th International Meeting on High Performance Computing for Computational Science (VECPAR '08) (CD-ROM) , p.424-429(2008) ; (JAEA-J 04442)
 本研究では、ITBLとGridTLSEの相互接続法の開発を行った。GridTLSEはユーザーの問題に対して適切な疎行列解法を選び出すためのエキスパートシステムである。疎行列解法が解を求めるまでに必要な時間は解法の種類,コンピュータの種類、そして問題に依存する。このため、エキスパートシステムに多くの計算機を接続することで、より適した解法を選び出すことができるようになる。本発表では、相互接続法の適用性確認のため、TLSE計算機からITBLへ簡単な計算ジョブを発行し、動作することを確認した。

36001123
Integrated framework for simulating behaviors of nuclear power plants under earthquakes
羽間 収; 櫛田 慶幸; 松原 仁; 西田 明美; 鈴木 喜雄; 新谷 文将; 青柳 哲雄; 中島 憲宏; 近藤 誠
Proceedings of 9th MpCCI User Forum , p.118-124(2008) ; (JAEA-J 04443)
 原子力発電プラントが安定的にエネルギーを供給していくためには、機器部材等の経年劣化を踏まえたうえでの巨大地震に対する耐震性能・設計裕度の確認及び未来状態の予測が急務である。原子力発電プラントのような社会的にも大きなインパクトを有する構造物の耐震性能とその限界の確認は、可能であれば実大試験で実証されるべきである。しかし規模やコスト面の制限によりその実施は事実上不可能である。本研究では、原子力発電プラント内機器の振動特性を3次元・実スケール解析により定量的に見極めることを可能とする統合的なシミュレータを提案し、実装することを目的とする。

36001124
Experimental study on breakup reaction of beryllium and carbon induced with 14-MeV neutrons based on emitted charged-particle measurements
近藤 恵太郎; 村田 勲*; 落合 謙太郎; 宮丸 広幸*; 久保田 直義*; 今野 力; 西谷 健夫
Proceedings of International Conference on Nuclear Data for Science and Technology (ND 2007), Vol.1 , p.407-410(2008) ; (JAEA-J 04444)
 ベリリウムと炭素は核融合炉の重要な材料であり、4体ブレークアップ反応である9Be(n,2n+2α)反応と12C(n,n'+3α)反応についての詳細な知見が工学的な見地から求められている。これらの反応からの放出粒子の二重微分断面積を正確に評価するためには、核反応の機構を正確に把握する必要がある。これは核物理学的観点からも興味ある課題である。そこで、われわれが開発した原子力機構のビーム状DT中性子源を利用した新しい荷電粒子計測システムを用いて、ベリリウムと炭素からのアルファ粒子放出二重微分断面積の詳細な測定を行った。さらに核反応機構の推定のため、アルファ粒子を放出する反応経路ごとの放出スペクトルを運動学に基づくモンテカルロ法により計算し、得られた実験値や過去の中性子放出二重微分断面積の測定値と比較を行った。9Be(n,2n+2α)反応に関しては、9Be(n,α)6He*(Ex≥1.8MeV)反応の寄与がかなり大きいことが明らかになった。12C(n,n'+3α)反応については、12C(n,α)9Be*(Ex≥2.43MeV)反応の寄与が確認され、この反応が中性子放出二重微分断面積の低エネルギー部分の構造を説明するのに重要であることが明らかになった。

36001125
Measurement of the angle-correlated neutron spectrum for the 9Be(n,2n) reaction with a pencil-beam DT neutron source
村田 勲*; 高木 智史*; 四間 公章*; 近藤 恵太郎; 宮丸 広幸*; 落合 謙太郎; 西谷 健夫; 今野 力
Proceedings of International Conference on Nuclear Data for Science and Technology (ND 2007), Vol.2 , p.999-1002(2008) ; (JAEA-J 04445)
 (n,2n)反応は核融合炉設計において非常に重要な反応である。本研究では、核融合炉で最も重要な元素の1つであるベリリウムについて、(n,2n)反応により放出される2個の中性子を直接同時計数法によって測定し、角度相関スペクトルから(n,2n)反応断面積を導出した。実験では原子力機構FNS施設のビーム状DT中性子源を利用した。2台のNE213検出器を用い、放出される2個の中性子を高効率で測定するため、測定試料の非常に近くに検出器を配置した。得られた波高スペクトルはFORISTコードでアンフォールディングを行ってエネルギースペクトルに変換した。検出器の応答関数はSCINFULコードによって評価した。導出された(n,2n)反応の角度分布は、測定エネルギー範囲である800keV以上の比較では、JENDL-3.3がENDF/B-VIより良い一致を示した。800keV以上の(n,2n)反応断面積は双方のライブラリとも10%以内で実験値とよく一致した。

36001126
Radiocarbon-based estimation of soil carbon turnover in a cool-temperate beech forest
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 石塚 成宏*; 齋藤 武史*; 平井 敬三*; 三浦 覚*
Proceedings of International Symposium on Application of a Closed Experimental System to Modeling of 14C Transfer in the Environment , p.72-76(2008) ; (JAEA-J 04446)
 土壌には大気中に存在している炭素の約2倍に相当する炭素が有機物として貯留していると推定されている。そのため、土壌有機炭素貯留量の微小な変化でさえ、大気中CO2濃度に重大な影響を及ぼす可能性がある。近年の議論では、土壌有機炭素の分解に対する不均質性のより詳細な理解が、気候変化に対する土壌有機炭素の分解応答の程度やタイミングの将来予測の鍵を握っているとされている。本研究では、安比ブナ林において土壌を採取し、土壌有機物の化学的分画を行い、加速器質量分析計を用いて各有機物画分の放射性炭素同位体比の測定を行った。得られた同位体比に基づいて土壌炭素の滞留時間及び土壌有機物の分解速度の推定を行った。その結果、安比ブナ林の土壌は、数年から1000年以上に渡る6つの異なる滞留時間を持つ炭素プールの複合体として特徴づけることができ、従属栄養生物による全炭素放出のうち約半分が、炭素貯留量がわずか6.1%であるが最も滞留時間の短い表層リター層から生じていることが示された。さらに、約3分の2の土壌有機炭素が数百年の滞留時間を有していることや、約5%の炭素は炭素循環から隔離された状態で保持されていることが明らかになった。

36001127
実用化に向けたナトリウム冷却高速炉原子炉構造の信頼性向上に関する検討
阪本 善彦; 久保 重信*; 小竹 庄司; 神島 吉郎*
第13回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集 , p.505-506(2008) ; (JAEA-J 04447)
 本報告は、JSFRの設計における原子炉構造の信頼性向上方策についてまとめたものである。製作性の観点からは、原子炉容器のコンパクト化により、原子炉構造を工場内で製作することができる。これにより、高い加工精度や溶接品質により製作することが可能となる。また、リング鍛鋼品を原子炉容器胴に適用することで、寸法精度の確保や熱応力に対する信頼性確保が期待できる。保守性の観点からは、炉内構造物を簡素化することで、検査対象への検査機器のアクセス性向上を図っている。JSFRの設計ではナトリウムバウンダリ面積を大幅に減らすことによって配管の二重化が容易となり、溶接線も減らすことができる。したがって、JSFRの原子炉構造は、効率的な炉内構造物検査に適しており、プラントの信頼性を確保できる見通しがある。また、ナトリウム中の構造物を検査可能な先進的な検査技術についても開発を行っている。

36001128
シミュレーション結果評価過程支援システムにおけるデータ調査システム
中島 憲宏; 新谷 文将; 鈴木 喜雄; 西田 明美; 松原 仁; 中島 康平
第27回日本シミュレーション学会大会発表論文集 , p.511-514(2008) ; (JAEA-J 04448)
 本論は、原子力発電プラントなどの原子力施設の状態を振動工学や構造力学の観点でシミュレーションする3次元仮想振動台が出力するテラバイトを超える量のシミュレーション結果を評価する作業過程を効率的に支援するために、データ分析・監視支援機能を提案する。ここでは有限要素解析結果を例にとり、分析対象となる要素とその近傍における要素間の相互関係と要素全体との関係を確認しながら評価する手段を、マルチ画面管制技術により提案する。その実現環境は、シミュレーションとの連係や大規模可視化システムが不可欠なため、グリッド・コンピューティング環境AEGIS(atomic energy grid infrastructure)で実現する。

36001129
ITBLクライアントAPIを用いた原子力材料シミュレーション実行環境構築
辻田 祐一*; 有馬 立身*; 出光 一哉*; 鈴木 喜雄; 木村 英雄
情報処理学会研究報告2008-ARC-177, 2008-HPC-114 , p.103-108(2008) ; (JAEA-J 04449)
 Pu含有核燃料を中心とした核燃料再利用の取り組みが盛んに行われている。この中で、われわれは分子動力学法により燃料の材料特性の研究を進めている。計算目的により、計算対象の物理系の規模を大きくしたり、多くの計算タイムステップ数を要するため、並列処理を取り入れ、ITBLが提供する計算環境により計算機シミュレーションを行っている。シミュレーションに用いるプログラムへのさまざまな計算パラメタ設定を容易に行うことや、利用者端末上で動作する可視化プログラムを引続き利用したいという利用者からの強い要望に応えるため、今回、ITBLが提供するクライアントAPIを用い、利用者端末上で動作するGUIを用いた計算支援環境の構築を行った。本稿では、本計算支援環境構築の目的,実装方法、並びに実行環境の事例紹介を行い、最後に今後の方向性について述べる。

36001130
濃縮ウラン溶解槽の遠隔検査装置の開発
照沼 朋広; 大関 達也; 福有 義裕
日本保全学会第5回学術講演会要旨集 , p.129-132(2008) ; (JAEA-J 04450)
 東海再処理施設に設置されている2基の溶解槽に、1982及び1983年に相次いで故障が発生した。この溶解槽は、高放射線量下に設置されており、人が容易に近づけないという理由から、遠隔操作による補修,検査装置を開発し補修を実施した。補修後は、溶解槽の健全性を確認するため、遠隔による検査を、年1回定期的に実施することとなった。さらに、従来の装置と比較し短時間で行える、定期検査のための遠隔検査装置を開発し使用している。

36001131
真空を用いた槽間液移送用三方向切替弁の開発
安尾 清志; 瀬戸 信彦; 綿引 誠一; 福有 義裕
日本保全学会第5回学術講演会要旨集 , p.385-387(2008) ; (JAEA-J 04451)
 東海再処理工場では、核燃料物質を含む硝酸溶液等の液移送は、真空を利用し、三方切替弁により操作されている。当初の三方切替弁は、1年ないし2年で故障が発生して液移送ができなくなり、信頼性が低かった。故障の原因は、可動部品の樹脂製ダイアフラムの破損であったため、ステンレス製のベローズを用いた三方切替弁を開発した。これにより、可動部品の故障がなくなり、信頼性が大幅に向上した。

36001132
研究用原子炉JRR-3における状態監視法に基づく保全活動
仁尾 大資; 太田 和則; 石崎 勝彦
日本保全学会第5回学術講演会要旨集 , p.393-395(2008) ; (JAEA-J 04452)
 JRR-3は平成2年に大規模な改造を行い、その後の運転から15年以上が経過し、高経年化及び予算削減を念頭に置いた状態監視保全を行っている。これまでの状態監視保全として、ポンプ類の振動,潤滑油診断を行ってきており、これらに関してはトラブルの頻度から判断して適切に行われてきたと考えている。またこのほかにも、ベリリウム反射体の寸法管理や、中性子計装の低圧電源リップル値測定による状態監視保全を行っている。同時に、より効率的な保全のために、これまで状態監視保全が適用されていなかった機器についても状態監視保全への転換が可能な機器について検討した。結果として、これまで時間計画保全で行われてきた熱交換器洗浄作業については過剰な保全になっていることがわかり、状態監視保全への転換が望ましいことがわかった。今後はさらにそのほかの機器について状態監視保全が適用可能かどうかの検討を継続する。本発表では以上を含むJRR-3における効果的な保全活動の検討と実際の保全活動について発表する。

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