学会誌等掲載論文
※下記の研究開発成果は資料名順に並んでいます。

2010年1月


38000018
Analytical methods using a positron microprobe
岡 壽崇; 神野 智史*; 藤浪 真紀*
Analytical Sciences 25(7), p.837-844(2009) ; (JAEA-J 06600)
 陽電子は、材料中の欠陥を検出することができ、また、電子と異なる散乱プロセスを経るため、材料分析に広く使用されてきた。1980年代には陽電子ビームの単色化とマイクロビーム化が行われ、陽電子を用いた材料分析法はさらに発展した。本論文では、マイクロビーム化技術と、マイクロビームの材料分析への応用についてレビューする。

38000019
First 3-D calculation of core disruptive accident in a large-scale sodium-cooled fast reactor
山野 秀将; 飛田 吉春; 藤田 哲史; Maschek, W.*
Annals of Nuclear Energy 36(3), p.337-343(2009) ; (JAEA-J 06601)
 SIMMER-IVコンピューターコードは燃料ピンモデルと空間・エネルギー依存中性子輸送動特性モデルを結合した3次元流体力学コードである。本研究では、SIMMER-IVコードを大型ナトリウム冷却高速炉の炉心崩壊事故に初めて適用することを試みた。この研究では、制御棒を含む3次元的な炉心配位条件で燃料再配置を伴う反応度効果を調べることが主要な点である。その計算により、現設計ではエントランスノズルにおける有意な流動抵抗によって炉心からの燃料流出が阻害されることが示された。また、静的核計算を実施し、異なるスケールの炉心間で基礎的な核特性を比較した。その結果、小型炉心と異なり、大型炉心では内側炉心内で外側で燃料集中が生じると反応度が上昇することが明らかとなった。

38000020
Multi-millijoule, nonlinear preamplifier for high intensity femtosecond Yb:YAG chirped-pulse amplification lasers at 1030 nm
鈴木 将之; 桐山 博光; 大東 出; 岡田 大; 中井 善基; 織茂 聡; 佐藤 方俊*; 玉置 善紀*; 吉井 健裕*; 前田 純也*; 松岡 伸一*; 菅 博文*; Bolton, P.; 大道 博行; 河西 俊一
Applied Physics B 97(2), p.379-382(2009) ; (JAEA-J 06602)
 レーザー駆動粒子線照射装置用の高強度,高繰り返しレーザーシステム開発における前置増幅器の開発を行った。Yb系レーザー媒質は、波長940nmの半導体レーザー(LD)で励起が可能であり、かつ広い蛍光バンド幅を持つため、高強度,高繰り返しレーザー実現に最も近い媒質の一つである。一般に前置増幅器として再生増幅器が用いられるが、利得の狭帯域化,パルスコントラストが悪い等の問題点がある。これらを解決するために、光パラメトリック増幅(OPCPA)を用いた前置増幅器の開発を行った。波長1030nm,パルス幅200fs,出力0.47nJの発振器より発生したフェムト秒レーザーは、パルス伸長器でパルス幅1nsまで伸長される。OPCPAの励起源には、Nd:YAGレーザーの第二高調波を用いてパルス伸張されたレーザーパルスの増幅を行った。その結果、入力エネルギー325mJのとき、出力エネルギー6.5mJをスペクトル幅10.8nmで得た。このレーザーパルスを再圧縮した結果、パルス幅は230fsを得た。本研究で開発したOPCPAは、LD励起Yb:YAG CPAシステムに有用であることを示した。

38000021
Local structure anomaly around Ge dopants in Mn3Cu0.7Ge0.3N with negative thermal expansion
松野 丈夫*; 竹中 康司*; 高木 英典*; 松村 大樹; 西畑 保雄; 水木 純一郎
Applied Physics Letters 94(18), p.181904_1-181904_3(2009) ; (JAEA-J 06603)
 負の熱膨張材料であるMn3Cu0.7Ge0.3Nに対してX線吸収分光を使用してCuとGe近傍の局所構造をそれぞれ探った。原子間距離の温度依存性から、Ge-Mn, Cu-Mnそれぞれの結合とも負の熱膨張に寄与していることがわかったが、Ge-Mnの方がより顕著であることが示された。また、Ge-MnにおいてはDebye-Waller因子の負の熱膨張領域での異常増大が観測され、Ge近傍に大きな局所歪が生成していることがわかった。これら結果は、Ge近傍における不均一な歪が負の熱膨張領域の増大と強く関係していることを示している。

38000022
Submicron ionography of nanostructures using a femtosecond- laser-driven-cluster-based source
Faenov, A. Y.; Pikuz, T. A.*; 福田 祐仁; 神門 正城; 小瀧 秀行; 本間 隆之; 川瀬 啓悟; 亀島 敬*; Pirozhkov, A. S.; 余語 覚文; 反保 元伸; 森 道昭; 榊 泰直; 林 由紀雄; 中村 龍史; Pikuz, S. A.*; Skobelev, I. Yu.*; Gasilov, S. V.*; Giulietti, A.*; Cecchetti, C. A.*; Boldarev, A. S.*; Gasilov, V. A.*; Magunov, A.*; Kar, S.*; Borghesi, M.*; Bolton, P.; 大道 博行; 田島 俊樹; 加藤 義章*; Bulanov, S. V.
Applied Physics Letters 95(10), p.101107_1-101107_3(2009) ; (JAEA-J 06604)
 An intense isotropic source of multicharged carbon and oxygen ions with energy above 300 keV and high quantity per shot was obtained by femtosecond Ti:Sa laser irradiation of clusters, produced by expansion of the mixed He and CO2 gases in a supersonic nozzle. The source was employed for high contrast ionography images with 600 nm spatial resolution. A difference in object thickness of 100 nm was well resolved for both Zr and polymer foils.

38000023
Performance measurement of the scintillator with optical fiber detector for boron neutron capture therapy
米田 政夫; 熊田 博明; 石川 正純*; 中村 剛実; 山本 和喜; 松村 明*
Applied Radiation and Isotopes 67(7-8), p.S254-S257(2009) ; (JAEA-J 06605)
 The thermal neutron flux can be easily measured in real time by using the SOF (Scintillator with Optical Fiber) detector. However the irradiation damage under high-intensity neutron flux causes the deterioration of the SOF detector due to the plastic scintillator in which 6LiF is blended. After irradiating the SOF detector for 4 hours (thermal neutron fluence approximately 2.0×1013 neutrons/cm2), the sensitivity of the SOF detector decreased by 3.0%. After irradiating the SOF detector for 2 months (thermal neutron fluence approximately 6.4×1014 neutrons/cm2), the sensitivity was reduced to 42%. Supposing that the thermal neutron fluence is 2×1012 (neutrons/cm2) on the surface of a patient in a BNCT treatment, the sensitivity of the SOF detector is reduced by approximately 0.3%. This report presents investigations on the deterioration of the SOF detector in irradiation experiments.

38000024
Evaluation for the configurational and electronic state of SO3 adsorbed on Pt surface
鈴木 知史; 山田 洋一; 中桐 俊男
Applied Surface Science 256(3), p.862-869(2009) ; (JAEA-J 06606)
 日本原子力研究開発機構では、高速増殖炉(FBR)で発生する熱と電気を利用した水素製造の可能性を検討している。この方法として、水を原料として硫酸の合成・分解を組合せたプロセスを選定した。このプロセス中で三酸化イオウ(SO3)ガス分解反応を行うが、この反応に関して、YSZ固体電解質とPt電極からなる電解セルを使用した電気分解を行うハイブリッド熱化学法を行うことによって、FBRで取り出し可能な約500℃まで低温化できることを実証した。しかしながら、SO3の電気分解の反応機構は明らかでなく、さらなる高性能化には、反応機構を明らかにする必要がある。この第一段階とし、SO3のPt電極表面への吸着について第一原理計算を実施した。この結果、Pt表面上でSO3は2種類の安定配置が存在することがわかった。さらに、この安定配置について、SO3とPt面との結合状態や電荷の移動についての評価をするため、DV-Xα分子軌道法による計算を実施した。その結果、Pt表面からS原子へ電荷が移動すること、さらには、SO3のPt表面への吸着によって、S-Oの結合が弱まり、O原子の解離が促進されることがわかった。

38000025
X-ray absorption spectroscopy and magnetic circular dichroism in codeposited C60-Co films with giant tunnel magnetoresistance
松本 吉弘; 境 誠司; 高木 康多*; 中川 剛志*; 横山 利彦*; 島田 敏宏*; 三谷 誠司*; 楢本 洋*; 前田 佳均
Chemical Physics Letters 470(4-6), p.244-248(2009) ; (JAEA-J 06607)
 X線吸収分光(XAS)、及び磁気円偏光二色性(MCD)分光により巨大トンネル磁気抵抗(TMR)効果を示すC60-Co薄膜の電子・スピン状態解析を行った。結果として薄膜中のC60-Co化合物中に局在するスピン偏極状態(C60分子のπ軌道とCo原子の3d軌道間の混成由来)の存在を明らかにした。また同局在スピンの温度に対する磁化方向の変化と、C60-Co薄膜で観測された温度による磁気抵抗比の大きさの変化が良い一致を示した。これはC60-Co化合物のスピン偏極状態がTMR効果発現に寄与していることを明確に示す結果である。

38000026
Sorption and oxidation of tetravalent plutonium on Mn oxide in the presence of citric acid
田中 万也; 鈴木 義規; 大貫 敏彦
Chemistry Letters 38(11), p.1032-1033(2009) ; (JAEA-J 06608)
 酸性から中性の0.1M NaCl+0.1M NaCl水溶液中においてMn酸化物による4価プルトニウムの収着実験を行った。その結果、1:2の安定な錯体を形成する中性領域においてもプルトニウムはMn酸化物に強く収着することが明らかとなった。さらに収着した4価プルトニウムはMn酸化物によって5価及び6価へと酸化されることも明らかとなった。

38000027
In situ observation of reductive deposition of uranium on an electrode/electrolyte interface by optical waveguide spectroscopy
南川 卓也; 鈴木 義規; 大貫 敏彦
Chemistry Letters 38(11), p.1090-1091(2009) ; (JAEA-J 06609)
 ウラン電解還元による電極近傍の吸収スペクトル経時変化を導波路により測定した。電極に-0.2V(vs. Ag/AgCl)の電位をかけると、電極上でウランの還元が始まり、電極上に4価ウランが吸着していることが、ZANESスペクトルから確認されるとともに、吸収スペクトルから4価ウランに由来する、670nmの吸収極大が観測された。固体において、その場測定で簡便に4価ウランの分析がなされたことはなく、還元により固化するウランの還元挙動解析には、導波路によるスペクトル測定が有効であることが示された。

38000028
Complexation of Am with size-fractionated soil humic acids
長尾 誠也*; 青山 正和*; 渡辺 彰*; 田中 忠夫
Colloids and Surfaces A; Physicochemical and Engineering Aspects 347(1-3), p.239-244(2009) ; (JAEA-J 06610)
 環境中に遍在するフミン酸等の腐植物質は、水環境中での放射性核種の地球化学的挙動、特に腐植物質との反応性に富むアクチニドの環境中移行挙動に重要な役割を果たす。本研究では、腐植物質とAmの錯形成特性を腐植物質の構造と関連付けて検討した。フミン酸は、3種類の土壌から抽出し、さらに蛍光が弱い高分子量画分と蛍光が強い低分子量画分の構造的特徴の異なる2種類にそれぞれ分離した。錯形成実験は、フミン酸濃度10mg/l, pH6-8,イオン強度0.01Mの溶液条件で行った。蛍光が弱い高分子量画分が共存する条件下でのAmは、450nm-100k Daltons及び100k-30k Daltonsのサイズ領域中に支配的に存在した。一方、蛍光が強い低分子量画分が共存する条件下でのAmは、30k-10k Daltonsのサイズ領域中に存在した。これらの結果から、フミン酸の構造的特徴がAmとの錯形成に関与していることが示唆される。

38000029
Strong-gravity effect on twinned Y1Ba2Cu3O7-x single crystal
Bagun, R.*; 岡安 悟; 井口 裕介*; 小野 正雄; 真下 茂
Defect and Diffusion Forum 289-292, p.517-521(2009) ; (JAEA-J 06611)
 双晶を含むY1Ba2Cu3O7-x単結晶に対して融点よりも十分に低い温度にて超重力場実験を行った。38万G, 250℃にて超重力処理した試料に、原子の沈降に起因するものと思われる微妙に組成が異なる2層構造が確認された。重力が大きい側の層では、Y123相が消滅してX線回折パターンに不明なピークが出現し、重力の弱い側の層はY123相が保たれていることがわかった。400℃における実験では試料全体で分解が生じたことがわかった。これらの実験温度は高温超伝導体Y1Ba2Cu3O7-x単結晶の酸素アニールに用いられる温度域であり、通常は分解しにくい温度であるため、超重力場の印可により、酸素が超重力場によって移動し、欠損しより低い温度で分解が始まったものと考えられる。

38000030
Prospect for extreme field science
田島 俊樹
European Physical Journal D 55(2), p.519-529(2009) ; (JAEA-J 06612)
 ELI(極端光施設)は、今までわれわれが夢想していたのみと思っていた極強度の電磁場を提供できる。これがもたらす新しい科学の前線について解説する。レーザー加速による超高エネルギーへの踏み込みもその一つである。また、「真空」を物理する新しいスコープも開けるであろう。こうした広範な科学の前線が拓かれることの意義について詳述する。

38000031
Fuel safety limits; Experimental results and pending questions
Vitanza, C.*; 更田 豊志
EUROSAFE Tribune (Internet) 16, p.13-17(2009) ; (JAEA-J 06613)
 Considerable experimental effort has been made in the last decade to produce experimental data in support of the definition of fuel safety limits for a variety of fuel designs and considering the effect of burn-up. In particular, tests have been performed in specialized laboratories to address the fuel safety limits at conditions representative of design basis accidents, i.e. Reactivity Initiated Accident (RIA) and Loss-of-Coolant Accidents. In addition to assessing the effect of burn-up, the main focus of these tests has been on the safety performance of different cladding types, especially for PWR fuels. The main outcome of these efforts is discussed in this article.

38000032
Optimization of optical filters for ITER edge Thomson scattering diagnostics
梶田 信; 波多江 仰紀; 内藤 磨
Fusion Engineering and Design 84(12), p.2214-2220(2009) ; (JAEA-J 06614)
 ITER周辺トムソン散乱計測装置においては、光学フィルターと検出器としてアバランシェフォトダイオードを用いたポリクロメーターを検出系に使用する予定である。本論文では、数値計算により得られる電子温度の誤差を指標として、光学フィルターの透過波長領域の最適化を行った。本計測装置では、高い電子温度領域まで計測する必要があり、トムソン散乱スペクトルは短波長側まで広がるため、Dα線のようなプラズマからの発光スペクトル線を除去することが重要になる。誤差評価の結果、高い温度の領域での誤差を抑えるためには、Dα線以下の短波長領域のフィルターが重要であることが明らかになり、さらに、フィルター数が7枚以上になると、透過波長帯域が1064nm以上のフィルターが広い温度領域での平均的な誤差を減少させるのに有効であることが明らかになった。

38000033
Development of water-cooled solid breeder test blanket module in JAEA
秋場 真人; 榎枝 幹男; 鶴 大悟; 谷川 尚; 廣瀬 貴規; 毛利 憲介*; 関 洋治; 江里 幸一郎; 鈴木 哲; 西 宏; 森 清治
Fusion Engineering and Design 84(2-6), p.329-332(2009) ; (JAEA-J 06615)
 ITERの工学的利用計画の一つに増殖ブランケットモジュールをITERに取りつけて機能試験を行う、テストブランケット・モジュール試験計画がある。原子力機構は、水冷却・固体増殖方式(WCSB)のテストブランケットモジュール(TBM)の開発を精力的に進めている。本論文は、最近のWCSB TBMに関する研究開発の成果を報告するものである。原子力機構は、低放射化鋼F82Hの矩形冷却管製作技術を開発するとともに、これを用いて実機大の第1壁の製作に成功した。この試験体を機構の高熱負荷試験装置に取付け加熱試験を行った。冷却条件は実機と同じ15MPa,280度の高温高圧水を用いた。この結果、実機設計条件である0.5MW/m2,30秒の繰り返し熱負荷に80回耐えるとともに、ホットスポットや伝熱劣化が生じないことを確認した。

38000034
Progress of design and R&D of water cooled solid breeder test blanket module
鶴 大悟; 榎枝 幹男; 廣瀬 貴規; 谷川 尚; 江里 幸一郎; 横山 堅二; 大楽 正幸; 関 洋治; 鈴木 哲; 毛利 憲介*; 西 宏; 秋場 真人
Fusion Science and Technology 56(2), p.875-882(2009) ; (JAEA-J 06616)
 日本が計画しているITERテストブランケット(TBM)の第一候補として、水冷却固体増殖方式のテストブランケットの開発を、原子力機構を中心として進めている。設計研究としては、TBMのITERへの組み込みを実現するために、TBMの構造設計を進めるだけでなく、ITER本体との構造上の整合性が得られるように、TBMのテストポートとの取り合い部の構造設計を進めた。さらに、構造設計やシステム設計に基づいた安全解析を実施し、予備的な安全評価を明らかにした。また、ITER運転の初日までにTBMの製作を完了し組み込むために、これまで開発してきた製作技術を適用して実規模の第一壁のプロトタイプの製作に成功し、さらに、実機と同条件の表面熱負荷試験を実施し、熱耐久性を実証した。本報告は、これらの水冷却固体増殖TBMの設計と開発の現状について報告をする。

38000035
Atomic modeling of the plasma EUV sources
佐々木 明; 砂原 淳*; 古河 裕之*; 西原 功修*; 西川 亘*; 小池 文博*; 田沼 肇*
High Energy Density Physics 5(3), p.147-151(2009) ; (JAEA-J 06617)
 EUV光源を次世代半導体リソグラフィ技術に応用することを目的とし、その高出力,高効率化を実現するために、媒質プラズマの輻射特性の研究を行っている。Hullacコードによって理論的に求められた原子データをもとに原子モデルの構築を行った。そして、モデルを実験的な発光,吸収スペクトルと比較して検証した。発光線波長を正確に求めることと、サテライト線の寄与の考慮を通じ、モデルの改良を行った。輻射流体シミュレーションを行った結果、発光線波長の原子番号依存性より、Snが以前考えられていたXeよりも優れた媒質であることを明らかにした。またCO2レーザーを励起源として用いると、プラズマが低密度化し、発光線の線幅が狭まる結果、高効率が得られることを示した。

38000036
The Earth-moon system during the late heavy bombardment period; Geochemical support for impacts dominated by comets
Jorgrnsen, U.*; Appel, P. W. U,*; 初川 雄一; Frei, R.*; 大島 真澄; 藤 暢輔; 木村 敦
Icarus 204(2), p.368-380(2009) ; (JAEA-J 06618)
 地球最古の堆積岩試料であるグリーンランド・ISUA試料を多重γ線放射化分析により元素分析を行った。この結果イリジウムの濃度に異常な濃集が見られた。この現象に基づき、ISUAの生成時期に地球近傍で起きた大きな天体事象である後期重爆撃現象に関するより詳細な知見を得ることができた。つまり37億年ほど前に起きた後期重爆撃期は月面に残る大きなクレーターとそれにより生じた月面の海を生じさせたが、従来信じられてきた小惑星の衝突ではなくより高速で飛来する彗星の衝突の可能性があることをISUAに残るイリジウムが月面では観測されないという事実から提唱した。

38000037
Installation and test programme of the ITER poloidal field conductor insert (PFCI) in the ITER test facility at JAEA Naka
布谷 嘉彦; 高橋 良和; 濱田 一弥; 礒野 高明; 松井 邦浩; 押切 雅幸; 名原 啓博; 辺見 努; 中嶋 秀夫; 河野 勝己; 堤 史明; 高野 克敏; 宇野 康弘*; 小泉 徳潔; 奥野 清; Baker, W.*; Salpietro, E.*; Rajainmaki, H.*; Sborchia, C.*; Mitchell, N.*
IEEE Transactions on Applied Superconductivity 19(3), p.1492-1495(2009) ; (JAEA-J 06619)
 ITERポロイダル磁場コイル用導体インサート(PFCI)は、PFコイルの運転条件において、導体の性能を確認するために製作された。PFCIはITER CSモデルコイルの中に取り付けられ、外部磁場の中で試験される。PFCIはフルサイズの導体を約50m用いて、1層のソレノイド状に巻いたものである。その直径と高さは、それぞれ約1.5mと1mである。導体の定格運転電流値は、磁場6T及び温度5Kにおいて、45kAである。主要な試験項目は分流開始温度(Tcs),臨界電流値(Ic)及び交流損失の測定である。据付作業の重要なポイント,試験計画と方法、及び予備的な試験結果を報告する。

38000038
Trimethylamine-modified lignophenol for the recovery of precious metals
Parajuli, D.; 広田 耕一; 井上 勝利*
Industrial & Engineering Chemistry Research 48(23), p.10163-10168(2009) ; (JAEA-J 06620)
 トリメチルアミンを架橋リグノフェノールに固定して創製した4級アミン型吸着材を用いて、塩酸水溶液中のさまざまな金属イオン(Au(III), Pd(II), Pt(IV), Cu(II), Co(II), Fe(III), Ni(II), Zn(II))の吸着挙動について調べた。その結果、創製した吸着材はAu(III), Pd(II)及びPt(IV)に対して優れた選択性を示した。また、30, 50, 65℃で吸着試験を行い、Au(III), Pd(II), Pt(IV)に対する吸着速度定数を求めるとともに、活性化エネルギーを算出した。さらに、これらの金属イオンに対する最大吸着能を明らかにした。

38000039
Structural characterization and dielectric properties of hexagonal Lu(Fe,Ti)O3
松尾 祥史*; 星山 卓也*; 森 茂生*; 吉井 賢資; 道上 勇一*; 神戸 高志*; 池田 直*; Brown, F.*; 君塚 昇*
Japanese Journal of Applied Physics 48(9), p.09KB04_1-09KB04_3(2009) ; (JAEA-J 06621)
 新規酸化物LuFe0.56Ti0.44O3を空気中の固相反応法により合成した。この物質の結晶構造と実空間におけるドメイン構造を電子線を用いて調べたところ、室温における結晶構造は、六方晶P63cm構造であることがわかった。誘電率測定からは、570K付近にブロードな誘電分散が見いだされ、この物質が新規な誘電体であることが判明した。試料の実空間電子線観察から、この誘電性はナノメータ領域の誘電ドメインに由来するものであることがわかった。

38000040
TiCrV hydrogen storage alloy studied by positron annihilation spectroscopy
河裾 厚男; 荒島 裕信*; 前川 雅樹; 伊藤 秀明*; 兜森 俊樹*
Journal of Alloys and Compounds 486(1-2), p.278-283(2009) ; (JAEA-J 06622)
 TiCrV基水素吸蔵合金の劣化現象を陽電子消滅法により研究した。繰り返しの水素吸蔵と放出過程において、水素吸蔵量が減少するとともに、陽電子寿命が伸長した。これは、水素化により結晶格子が膨張するためとして説明できる。500℃の熱処理により、水素吸蔵量はほぼ初期値まで回復した。しかし、陽電子寿命は初期値には回復しなかった。これは、残留する転位による影響であると考えられる。水素吸蔵特性の劣化は、安定水素化物の形成と転位の発生によるものと推測される。

38000041
Preparation and characterization of dicesium tetravalent plutonium hexanitrate
中原 将海; 野村 和則; 鷲谷 忠博; 近沢 孝弘*; 平沢 泉*
Journal of Alloys and Compounds 489(2), p.659-662(2010) ; (JAEA-J 06623)
 UNH結晶から安定にPu-Cs複塩を分離するためにPu-Cs複塩の生成挙動試験を実施した。この複塩は、MOX燃料溶解液とCsNO3溶液を混合することにより調製し、濃度分析及びXRDによりCs2Pu(NO3)6であることを確認した。また、HNO3濃度が高くなるに従い生成する傾向にあった。熱分析を実施すると、245℃まで安定であり、これ以降の温度より約10.29%の重量減少が観察された。これは、Cs2Pu(NO3)6からCs2PuO2(NO3)4へ分解するためと考えられる。これらの結果より、UNH結晶とともに析出したPu-Cs複塩を60℃から100℃にてUNH結晶のみを融解し、安定なPu-Cs複塩をフィルタにより分離できる可能が示唆された。本研究において、UNH結晶の高除染化を目的とした新しい結晶精製方法を提案した。

38000042
Validation of 131I ecological transfer models and thyroid dose assessments using Chernobyl fallout data from the Plavsk district, Russia
Zvonova, I.*; Krajewski, P.*; Berkovsky, V.*; Ammann, M.*; Duffa, C.*; Filistovic, V.*; 本間 俊充; Kanyár, B.*; Nedveckaite, T.*; Simon, S. L.*; Vlasov, O.*; Webbe-Wood, D.*
Journal of Environmental Radioactivity 101(1), p.8-15(2010) ; (JAEA-J 06624)
 Within the project EMRAS organized by the IAEA in 2003 experimental data of 131I measurements following the Chernobyl accident in the Plavsk district of Tula region, Russia were used to validate the calculations of some radioecological transfer models. Ten participants were involved in the inter-comparison. Levels of 137Cs soil contamination in all the settlements and 131I/137Cs isotopic ratios in the depositions in some locations were used as the main input information. 370 measurements of 131I content in thyroid of people, and 90 measurements of 131I concentration in milk were used for validation of the model predictions. A remarkable improvement in model performance comparing with previous inter-comparison exercise was demonstrated. Predictions of the various models were within a factor of three relative to the observations, and discrepancies between the estimates of average doses to thyroid produced by most participants did not exceed a factor of ten.

38000043
Dynamic nuclear polarization study of UV-irradiated butanol for hyperpolarized liquid NMR
熊田 高之; 能田 洋平; 橋本 竹治; 小泉 智
Journal of Magnetic Resonance 201(2), p.115-120(2009) ; (JAEA-J 06625)
 われわれは紫外線照射により固体ブタノール中に発生したブチルラジカルを用いて、動的核スピン偏極(DNP)に成功した。核スピン偏極度は1.5K, 1.2T下において1.4%と、TEMPOラジカルを用いたときの値2.4%と同程度であった。TEMPOなどの安定フリーラジカルと異なり、紫外線照射により生じたフリーラジカルは試料の溶融とともに消失する。われわれはこの性質が、DNPにより超偏極された試料を用いた高感度液体NMR分光法に有用であることを指摘した。このDNP-NMR法において、核スピン偏極後試料を溶融しNMR装置に輸送し測定する間の核スピン緩和を最小限に食い止める必要があるが、液体中でフリーラジカルが消失する本手法は、その核スピン緩和を抑えるうえで非常に有用だからである。

38000044
Radiation-induced graft polymerization of styrene into a poly(ether ether ketone) film for preparation of polymer electrolyte membranes
長谷川 伸; 佐藤 賢*; 成田 正*; 鈴木 康之; 高橋 周一; 森下 憲雄; 前川 康成
Journal of Membrane Science 345(1-2), p.74-80(2009) ; (JAEA-J 06626)
 高温での機械特性に優れた芳香族炭化水素高分子である結晶性ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)膜へのスチレンの放射線グラフト重合において、示差走査熱量測定法(DSC),熱重量分析(TGA),X-線回折(XRD),電子スピン共鳴(ESR)を用いてその固相反応機構と膜構造を詳細に調べた。熱分析によりスチレンのグラフト重合が、PEEKの非晶質領域で進行していることがわかった。このことは、ポリスチレングラフト鎖が、基材であるPEEK膜と類似の炭化水素構造を持つため、PEEK膜の非晶相と相容性を有しているためであると考えられる。グラフトPEEK膜は、後スルホン化することで0.01S/cmの電気伝導度と、100%以上の高い含水率を示し、PEEK基材電解質膜に転換可能であることがわかった。

38000045
Microstructure and elemental distribution of americium-containing uranium plutonium mixed oxide fuel under a short-term irradiation test in a fast reactor
田中 康介; 三輪 周平; 佐藤 勇; 廣沢 孝志; 大林 弘; 小山 真一; 吉持 宏; 田中 健哉
Journal of Nuclear Materials 385(2), p.407-412(2009) ; (JAEA-J 06628)
 MOX燃料の照射挙動に及ぼすAm添加の影響を確認するため、高速実験炉「常陽」において照射試験(Am-1)を実施している。Am-1は短期照射試験と定常照射試験からなり、短期照射試験は終了し、照射後試験を進めている。本報告では、10分間照射したAm-MOX燃料ペレットの照射後試験結果について述べる。3%及び5%のAmを含有するMOX燃料ペレットを遠隔操作技術を用いて製造した。燃料ペレットのO/M比は1.98である。この燃料を軸方向最大線出力約43kW/mで照射した。金相試験結果から、10分間の照射期間においても、レンズ状ボイドや中心空孔の形成などの組織変化が生じることがわかった。また、EPMA分析によりAmの再分布の発現が認められた。

38000046
Extensive study of the soft-rotator model Hamiltonian parameters for medium and heavy even-even nuclei
国枝 賢; 千葉 敏; 柴田 恵一; 市原 晃; 岩本 修; 岩本 信之; 深堀 智生; Sukhovitskij, E.*
Journal of Nuclear Science and Technology 46(9), p.914-924(2009) ; (JAEA-J 06629)
 比較的重い63種の偶-偶核に対して軟回転体模型核構造パラメータを推定した。パラメータは2種の解析、すなわち集団励起構造解析及びチャンネル結合光学模型解析を相補的に実施し導出した。この解析により得られた四重極及び八重極の原子核変形・振動に関するパラメータは実験データから予測される値及びその他の理論計算値と矛盾しないことがわかった。また核種間のパラメータの違いに関して議論を行い殻構造との関連性を指摘した。さらに振動や変形等のパラメータ間には系統的な相関があることを示した。

38000047
Fuel pin behavior under slow-ramp-type transient-overpower conditions in the CABRI-FAST experiments
深野 義隆; 小野田 雄一; 佐藤 一憲; Charpenel, J.*
Journal of Nuclear Science and Technology 46(11), p.1049-1058(2009) ; (JAEA-J 06630)
 In the CABRI-FAST experimental program, four in-pile tests were performed with slow-power-ramptype transient-overpower conditions (called hereafter as "slow TOP") to study transient fuel pin behavior under inadvertent control-rod-withdrawal-type events in liquid-metal-cooled fast breeder reactors. The slow TOP test with a preirradiated solid-pellet fuel pin under a power ramp rate of approximately 3%Po/s was realized as a comparatory test against an existing test in the CABRI-2 program where approximately 1%Po/s was adopted with the same type of fuel pin. In spite of the different power ramp rates, the evaluated fuel thermal conditions at the observed failure time are quite similar. Three slow TOP tests with the preirradiated annular fuel resulted in no pin failure showing a high failure threshold. These CABRI-FAST slow TOP tests, in combination with the existing CABRI and TREAT tests, provided an extended slow TOP test database under various fuel and transient conditions.

38000048
Calculation of neutron cross sections on 90,91,92,94,96Zr for JENDL-4
市原 晃; 国枝 賢; 柴田 恵一
Journal of Nuclear Science and Technology 46(11), p.1076-1084(2009) ; (JAEA-J 06631)
 JENDL-4開発に向けて、分離共鳴領域より上で20MeV以下の中性子入射エネルギーにおいて、90,91,92,94,96Zrの中性子核データを4種類の核反応模型(球光学模型,歪曲波Born近似,Kalbach前平衡模型,Hauser-Feshbach統計模型)を適用して計算した。得られた弾性,弾性外及び非弾性散乱、(n,γ), (n,2n), (n,p), (n,α)反応に対する断面積は、実験データとよく一致した。90,92,94Zrの(n,γ)断面積については、JENDL-3.3の評価値と比較して実験値の再現性を改善できた。

38000049
Mockup experiments to investigate the leak rate correlation between mercury and helium for the mercury target system of J-PARC
羽賀 勝洋; 直江 崇; 粉川 広行; 涌井 隆; 二川 正敏
Journal of Nuclear Science and Technology 46(12), p.1145-1151(2009) ; (JAEA-J 06632)
 J-PARCの水銀ターゲットシステムの運転にとって水銀配管系のシール性能を確認することは不可欠である。そのための方法としてヘリウム漏れ試験は圧力変化を測定することで簡便かつ精度よく測定でき、しかも水銀による汚染のリスクがないことから有効である。そこで、ヘリウム漏洩試験と水銀漏洩試験を同一条件下で行うことにより、ヘリウム漏洩率と水銀漏洩率の相関関係を実験的に調べた。その結果、水銀漏洩率の実験値は見積評価値より平均して64%低い値となった。水銀漏洩率を減少させている要因として、水銀の表面張力による影響が大きいことが示された。また、水銀に対する良好なシール性能を確保できるヘリウム漏洩率の閾値は10-3Pa.m3/sの近傍に存在することがわかった。これにより、シール性能の基準として10-6Pa.m3/sの値を採用している水銀ターゲットシステムの水銀漏洩に対するシール性能は十分な安全余裕を持っていることが示された。

38000050
FEMAXI-6 code verification with MOX fuels irradiated in Halden reactor
山路 哲史; 鈴木 元衛; 大久保 努
Journal of Nuclear Science and Technology 46(12), p.1152-1161(2009) ; (JAEA-J 06633)
 現行軽水炉の炉心の交換と最小限のシステム変更により早期のプルトニウムのマルチリサイクルを実現する革新的水冷却炉(FLWR)の燃料設計及びその健全性を評価するために、FEMAXI-6による約40GWd/tMOXまでのMOX燃料ふるまい解析の不確実性と特に重要となるモデルを明らかにした。検証計算にはHalden炉で照射された3本のMOX燃料(IFA-597.4 rod-10, rod-11, IFA-514 rod-1)の照射データ(TFDB)を用いた。検証の結果、特にFGR,ペレットの焼きしまり,スエリング、そしてリロケーションモデルが重要であることが示された。これらのうち、FGRモデルには大きな不確実性があり、そのためにFGRの計算結果には大きな予測誤差がある。一方で、他のモデルについては一般的なUO2燃料と同程度の物性の変動幅をこれらのモデル中のパラメータに反映させれば、これらのモデルをMOX燃料の解析に用いることは妥当である。このとき、燃料中心温度の予測誤差としては測定値の上下5パーセント程度以内を期待できる。以上から、FEMAXI-6を用いてFLWRの燃料設計やふるまいを検討する場合はこれらの不確実性を考慮する必要がある。

38000051
Development of local-scale high-resolution atmospheric dispersion model using Large-Eddy Simulation, 1; Turbulent flow and plume dispersion over a flat terrain
中山 浩成; 永井 晴康
Journal of Nuclear Science and Technology 46(12), p.1170-1177(2009) ; (JAEA-J 06634)
 原子力施設からの通常運転・事故時あるいは都市域でのテロ攻撃による意図的な放射性物質の拡散問題に対し、LES(Large-Eddy Simulation)を用いた局所域高解像度大気拡散モデルの開発を行っている。今回は、平板乱流境界層中の大気拡散を対象にした数値シミュレーションを行い、本モデルの性能評価を行った。計算結果を既往の風洞実験結果と比較すると、平均風速・乱流強度・レイノルズ応力分布がよく整合しており、実大気に相当する境界層乱流の作成が行えたことが示唆された。さらに、平均濃度・変動濃度・瞬間高濃度・濃度フラックスなどについても風洞実験と同様な結果が得られたことが確認でき、本モデルの妥当性が実証された。現状においては、本数値シミュレーションモデルは十分な統計量を得るために長い計算時間を要するものの、詳細解析としては十分に実用的に使えるものである。今後は、並列化などによって計算効率を上げ、さらなる計算負荷を削減することで、緊急時用としても実用化されることが期待される。

38000052
Nucleobase lesions and strand breaks in dry DNA thin film selectively induced by monochromatic soft X-rays
藤井 健太郎; 鹿園 直哉; 横谷 明徳
Journal of Physical Chemistry B 113(49), p.16007-16015(2009) ; (JAEA-J 06635)
 軟X線によって乾燥プラスミドDNA中に生じる分子主鎖切断や酸化的塩基損傷の収率をアガロース電気泳動法により検出した。塩基損傷の検出は、照射試料を塩基除去修復酵素で処理することによって塩基損傷を鎖切断に変換することで定量した。それぞれの収率は、軟X線のエネルギーに依存し、特に酸素K殻吸収によって鎖切断及び塩基損傷の収率の有意な増加が見られた。

38000053
Simulation and experiments of the laser induced breakdown of air for femtosecond to nanosecond order pulses
Koga, J. K.; 森林 健悟; 福田 祐仁; Bulanov, S. V.; 匂坂 明人; 小倉 浩一; 大道 博行; 山極 満; 木村 豊秋*; 藤川 武敏*; 蝦名 正輝*; 秋濱 一弘*
Journal of Physics D; Applied Physics 43(2), p.025204_1-025204_15(2010) ; (JAEA-J 06637)
 Three dimensional simulations and experimental results for the laser induced breakdown of air are presented. The simulations include the laser propagation, multi-photon and impact ionization, and heating of the electrons using accurate atomic and molecular data. For laser pulses of duration from 100 femto-seconds to 1 nano-second mechanisms for the breakdown of air based on the pulse duration and intensity ranging from optical field ionization to electron impact ionization are found. The laser energies at which the breakdown occurs are found to be in good agreement with experimental results.

38000054
Dynamic neutron computer tomography technique for velocity measurement in liquid metal flow; Fundamental PTV experiment
呉田 昌俊; 熊田 博明*; 久米 悦雄; 染矢 聡*; 岡本 孝司*
Journal of Physics; Conference Series 147, p.012087_1-012087_14(2009) ; (JAEA-J 06638)
 本報は、FBR炉心を模擬した発熱試験体内を流れる液体金属流の速度及び軌跡を3次元の時間変化として計測し、数値解析コードの検証に役立てることを最終目標として開発を進めている新しい中性子を用いた多次元速度計測技術に関する報告である。高速度撮像中性子ラジオグラフィ,コンピュータ断層撮影技術(CT),粒子追跡技術を組合せた計測システムをモンテカルロ解析により設計・構築し、研究用原子炉JRR-4に装置を設置して技術実証試験を実施した。本試験の結果、125Hzと250Hzの記録速度で3次元で動くトレーサの速度と軌跡の時間変化を計測できる見通しが得られた。

38000055
High pressure study on uranium heavy fermion compounds with antiferromagnetic ground state
立岩 尚之; 池田 修悟*; 芳賀 芳範; 松田 達磨; 中島 美帆*; 青木 大*; 摂待 力生*; 大貫 惇睦
Journal of Physics; Conference Series 150, p.042206_1-042206_4(2009) ; (JAEA-J 06639)
 重い電子系ウラン反強磁性化合物の超高圧下物性研究の結果を報告する。特にU2Zn17についての結果をおもに報告する。反強磁性転移温度TNの圧力依存性等を高圧下電気抵抗測定を通して調べた。4.7GPaまで転移温度は顕著な圧力変化を示さないが、より高圧側で単調に増大し、8.7GPaではTN=12.1Kとなった。反強磁性秩序状態における電気抵抗の温度依存性を理論モデルで解析した。反強磁性ギャップの大きさなどを議論する。他の重い電子系ウラン化合物と比較してU2Zn17の電子状態は体積変化に鈍感であることが明らかにされた。

38000056
Ferromagnetism and orbital order in the two-orbital Hubbard model
久保 勝規
Journal of Physics; Conference Series 150(4), p.042101_1-042101_4(2009) ; (JAEA-J 06640)
 In order to understand magnetism in systems with an orbital degree of freedom, we investigate spin and orbital states of the two-orbital Hubbard model on a square lattice by using a variational Monte Carlo method. At quarter filling, i.e., the electron number per site is one, the ground state is the perfect ferromagnetic state with antiferro-orbital (AF-orbital) order in the strong Coulomb interaction limit. By decreasing the interaction, we find that the disordered state becomes the ground state.

38000057
XMCD spectroscopy on valence fluctuating and heavy fermion compounds in very high magnetic fields up to 40 T
松田 康弘*; Her, J. L.*; 稲見 俊哉; 大和田 謙二; Ouyang, Z. W.*; 岡田 郷子*; 野尻 浩之*; 光田 暁弘*; 和田 裕文*; 吉村 一良*; 網塚 浩*; 河村 直己*; 鈴木 基寛*; 小谷 章*
Journal of Physics; Conference Series 190, p.012019_1-012019_6(2009) ; (JAEA-J 06641)
 L-edge X-ray magnetic circular dichroism (XMCD) and X-ray absorption spectra (XAS) in several rare-earth elements have been studied in pulsed high magnetic fields up to 40 T. XMCD spectrum of Eu in EuNi2(Si0.18Ge0.82)2 shows a characteristic two peak structure, reflecting the valence fluctuation. However, in YbInCu4, it is found that the XMCD spectrum of Yb shows only a single peak. In contrast to XMCD, two absorption bands in XAS are observed in both compounds. The intensity ratio between the two absorption bands changes significantly with increasing magnetic field in these materials, suggesting the field-induced valence change. The high magnetic field XMCD and XAS measurements have also been conducted in an antiferromagnetic heavy fermion compound CeRh2Si2. The Ce valence is found to be nearly trivalent and insensitive to magnetic field. The XMCD at Ce L2-edge increases rapidly around 26 T corresponding to the metamagnetic transition.

38000058
Dynamic structural change of Pd particles on LaFeO3 under redox atmosphere and CO/NO catalytic reaction studied by dispersive XAFS
松村 大樹; 岡島 由佳; 西畑 保雄; 水木 純一郎; 谷口 昌司*; 上西 真里*; 田中 裕久*
Journal of Physics; Conference Series 190, p.012154_1-012154_6(2009) ; (JAEA-J 06642)
 ランタン鉄酸化物上のパラジウム金属微粒子は、担体であるランタン鉄酸化物とパラジウム粒子が酸化雰囲気下において複合酸化物を形成することにより、酸化還元サイクルを多く繰り返しても金属粒子の粒径がさほど大きくならないことが知られている。われわれはPd金属微粒子の動的構造変化を、酸化還元雰囲気変化及びCO-NO触媒反応という条件の下、分散型XAFS光学系において直接観測した。実験の結果、ランタン鉄酸化物上のPd原子は、還元雰囲気時の金属微粒子への変化においてはアルミナ上のものと変わらない反応速度を示す一方、酸化雰囲気下における酸化物への構造変化においては一段階の速やかな構造変化を示し、二段階のゆっくりとした構造変化を示すアルミナ上の微粒子とは大きく異なることがわかった。また、CO-NO触媒反応時においても、多くの違いを観測した。

38000059
Formation of continuous pore structures in Si-C-O fibers by adjusting the melt spinning condition of a polycarbosilane - polysiloxane polymer blend
北 憲一郎; 成澤 雅紀*; 間渕 博*; 伊藤 正義*; 杉本 雅樹; 吉川 正人
Journal of the American Ceramic Society 92(6), p.1192-1197(2009) ; (JAEA-J 06643)
 The polymer blend including polycarbosilane (PCS) and 15 mass% of polyhydromethylsiloxane (H-oil) was prepared and properties of the polymer melt were investigated for clarifying the mechanisms of continuous pore formation. The fibers formed by the melt-spun of polymer blend at 578 K mainly possessed a single pore at the center of the fiber cross section. On the other hand, the fiber melt-spun at 543 K usually included multiple pores and the fibers melt-spun at 538 K included a number of tiny pores. It is proposed that the evolved hydrogen can be dissolved in the polymer melt and the desaturation process of the dissolved gas during the fiber spinning with sudden temperature reduction likely determined the size and location of pores in the fibers.

38000060
Various valence states of square-coordinated Mn in A-site-ordered perovskites
Long, Y.*; 斎藤 高志*; 水牧 仁一朗*; 安居院 あかね; 島川 祐一*
Journal of the American Chemical Society 131(44), p.16244-16247(2009) ; (JAEA-J 06644)
 近年、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物AA'3B412で興味深い物性が数多く発見されている。これらは半導体的であり、反強磁性的な振る舞いを示す。AサイトにMnが入ったLaMn3Cy4O12, LaMn3Ti4O12が平面四配位構造を持ちながらMnの価数が+3から+1.67をとることがわかったので報告する。

38000061
Production and decay properties of 263Hs
加治 大哉*; 森本 幸司*; 佐藤 望*; 市川 隆敏*; 井手口 栄治*; 大関 和貴*; 羽場 宏光*; 小浦 寛之; 工藤 祐生*; 小澤 顕*; 住田 貴之*; 山口 貴之*; 米田 晃*; 吉田 敦*; 森田 浩介*
Journal of the Physical Society of Japan 78(3), p.035003_1-035003_2(2009) ; (JAEA-J 06645)
 原子番号108元素であるHs(ハッシウム)の新同位体となる263Hsの直接合成に世界で初めて成功した。2008年5月19日から25日にかけて、理化学研究所の線形加速器(RILAC)及び気体充填型反跳質量分析機(GARIS)を用い、206Pb(58Fe,n)反応を用い、合計9つのα崩壊連鎖を観測し、これらを263Hsからの連鎖崩壊と同定した。見積もられた半減期は0.60+0.30-0.15ミリ秒である。本実験におけるビーム総量は58Feイオンに対して4.1×101756Feイオンに対して6.2×1017であった。計9つの崩壊にかかわる合成断面積は輸送効率を80%としてそれぞれ21+10-8ピコバーン及び1.6+3.7-1.3ピコバーンとなった。

38000062
Intergrain Josephson currents in multigap superconductors; Microscopic origin of low intergrain critical current and its recovery potential in iron-pnictide materials
太田 幸宏; 町田 昌彦; 小山 富男*
Journal of the Physical Society of Japan 78(10), p.103701_1-103701_4(2009) ; (JAEA-J 06646)
 鉄砒素系超伝導体における低粒間臨界電流の起源を探るため、粒間ジョセフソン電流を微視的に調べる。その結果、粒間ジョセフソン電流は、非コヒーレント・トンネル過程が主要でありかつ2バンド間で状態密度及び超伝導ギャップが等しいとき、±s波ペア対称性により著しく減少することが示される。さらに、粒間臨界電流を増加させるために重要となる因子を指摘する。

38000063
Production of an isomeric state of 90Y by fast neutrons for nuclear diagnostics
永井 泰樹; 岩本 修; 岩本 信之; 金 政浩; 瀬川 麻里子; 初川 雄一; 原田 秀郎
Journal of the Physical Society of Japan 78(11), p.113201_1-113201_4(2009) ; (JAEA-J 06647)
 90Yのアイソマー準位がイメージングに適したγ線を放出することに着目した新しい放射性医薬品90Yの生成方法及び使用方法を提案した。ベータ線放出核種である90Yは治療薬として働き、そのアイソマー準位から放出されるγ線は診断に利用できる。このため、従来診断用に混合して用いられてきた111Inを必要としない利点がある。この基底準位及びアイソマー準位は、14MeV中性子を用いた90Zr(n,p)90Y及び93Nb(n,α)90Y反応により生成させる。

38000064
Combined SANS, SEC, NMR, and UV-Vis studies of simultaneous living anionic copolymerization process; Simultaneous elucidation of propagating living chains at three different length scales
Zhao, Y.; 田中 宏和*; 宮元 展義*; 小泉 智; 橋本 竹治
Macromolecules 42(5), p.1739-1748(2009) ; (JAEA-J 06648)
 The living anionic copolymerization of a mixture of isoprene (I) and styrene (S) monomers, in the dilute solution with deuterated benzene as a non-polar solvent and sec-butyllithium as an initiator, was investigated by a simultaneous measurement of time-resolved small-angle neutron scattering (SANS), size exclusion chromatography (SEC), nuclear magnetic resonance (NMR), and ultraviolet-visible (UV-Vis) spectroscopy. The combined time-resolved study on the same single batch reaction solution enabled us to investigate the structural change of the propagating living chains in three different length scales on a rigorously common time scale: the type of living chain ends, primary structure of single living chains, and the association of living chains. Although the living anionic copolymerization of S and I has been studied extensively, there is no study so far that uses such a combination of real-time methods as this study on the same single batch reaction solution.

38000065
Effect of heat treatment on TEM microstructures of Zirconium carbide coating layer in fuel particle for advanced high temperature gas cooled reactor
相原 純; 植田 祥平; 安田 淳*; 竹内 均*; 茂住 泰寛*; 沢 和弘; 本橋 嘉信*
Materials Transactions 50(11), p.2631-2636(2009) ; (JAEA-J 06652)
 革新的高温ガス炉用に耐熱性の高いZrC被覆燃料粒子の開発を進めている。その基礎研究として、ジルコニア核を高密度熱分解炭素で被覆した物の上にZrCを臭素法で被覆した。実際の製造工程でのコンパクト焼成の微細構造に対する影響を調べるため、約1800℃で1時間熱処理した後、C/Zr=1.11と1.35のバッチについてTEMとSTEMを用いて観察した。両方のバッチにて、ボイド又は遊離炭素領域の形や寸法の熱処理による明らかな変化が見られ、熱処理後にボイド又は遊離炭素領域は50〜100nm程度の塊状になっていた。また、ZrCの結晶成長も観察され、特に、C/Zr=1.11のバッチの方では、IPyC/ZrC境界において、IPyC層からZrC層に向かって繊維状炭素が観察される領域が見られた。これらの知見は今後の熱処理過程を改良していくのに反映する。

38000066
Integrated simulation of ELM energy loss and cycle in improved H-mode plasmas
林 伸彦; 滝塚 知典; 相羽 信行; 大山 直幸; 小関 隆久; Wiesen, S.*; Parail, V.*
Nuclear Fusion 49(9), p.095015_1-095015_8(2009) ; (JAEA-J 06653)
 Energy loss due to an edge localized mode (ELM) crash and its cycle have been studied by using an integrated core transport code with a stability code for peeling-ballooning modes and a transport model of scrape-off-layer (SOL) and divertor plasmas. The integrated code reproduces a series of ELMs in which the ELM energy loss increases with decreasing collisionality and the ELM frequency increases linearly with the input power, as seen in experiments of type-I ELMs. A transport model with the neoclassical transport in the pedestal connected to the SOL parallel transport reproduces a lowered inter-ELM transport in the case of low collisionality so that the ELM loss power is enhanced as observed in experiments. The inter-ELM energy confinement time evaluated from simulation results agrees with the JT-60U scaling. The steep pressure gradient in the core just beyond the pedestal top, desirable for improved H-mode plasmas with the HH factor above unity, is found to enhance the ELM energy loss and reduce the ELM frequency so that the ELM loss power remains constant. The steep pressure gradient in the core beyond the pedestal top broadens eigenfunction profiles of unstable modes and possibly induces subsequent instabilities. In the subsequent instabilities, when a large energy is transported to the vicinity of the separatrix by the instabilities, a subsequent instability arises near the separatrix and makes an additional loss.

38000067
Investigations of impurity seeding and radiation control for long-pulse and high-density H-mode plasmas in JT-60U
朝倉 伸幸; 仲野 友英; 大山 直幸; 坂本 宜照; 松永 剛; 伊丹 潔
Nuclear Fusion 49(11), p.115010_1-115010_8(2009) ; (JAEA-J 06654)
 高閉じ込めプラズマにおけるELM及び定常的な熱負荷の低減は、核融合炉に要求される重要課題であり、不純物入射による放射損失増加によりダイバータへの熱流やELMエネルギー損失を低減する提案はITERなどでも進められている。JT-60Uでは不純物入射を帰還制御することにより高放射損失(全入射パワーの70%以上)の高閉じ込め性能Hモードプラズマ(HHファクターが0.8以上)を長時間(8〜18秒)維持する実験を行い、粒子飽和(ガス放出)が発生した際にも非接触ダイバータプラズマを維持できることなど、新たな結果を得た。Ar入射放電では主プラズマ周辺部での放射損失パワーを入射パワーの35%以上に制御することでELMはType-IからType-IIIとなりバースト的に排出されるエネルギーを大きく低減できることを明らかにした。さらに閉じ込め性能のよいプラズマ放電を得るため内部輸送障壁が発生したHモード放電にAr入射に加えNe入射を行い、特にダイバータでの放射損失も増加させ全放射損失が入射パワーの86%まで高閉じ込めを維持できることを示した。

38000068
Tungsten accumulation in H-mode plasmas of JT-60U
仲野 友英; 朝倉 伸幸; 久保 博孝; 柳林 潤*; 上田 良夫*
Nuclear Fusion 49(11), p.115024_1-115024_10(2009) ; (JAEA-J 06655)
 プラズマ電流方向と逆方向にプラズマ回転速度が高くなるほど、鋸歯状振動が緩やかになり、それとともにタングステンイオンの蓄積が顕著になることが観測された。電子サイクロトロン波や高エネルギー中性粒子ビームをプラズマ中心部に入射すると、タングステンの蓄積は著しく軽減された。他方、電子サイクロトロン波をプラズマの周辺に入射した場合では、タングステンの蓄積には変化がみられなかった。

38000069
Design of hydrogen vent line for the cryogenic hydrogen system in J-PARC
達本 衡輝; 麻生 智一; 加藤 崇; 大都 起一; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 二川 正敏
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 600(1), p.269-271(2009) ; (JAEA-J 06656)
 大強度陽子加速器計画において、物質・生命科学実験施設では、1MW級の陽子ビームによる核破砕反応によって発生した速い中性子を超臨界圧水素によって減速(冷却)するための極低温水素循環システムの設計製作を行っている。異常事象が発生した場合は、安全の観点から、系内の水素を迅速かつ安全に放出するための水素放出設備の設計を行った。水素放出配管内での空気との混合を防止するためのパージ用の窒素ガスをパージしている。その水素放出配管の設計するうえにおいて、このパージ用の窒素ガスやスタック内空気の水分が、放出した低温水素ガスによって、凝縮しないようにしなければならない。さらに、放出配管の建家貫通部における配管温度の降下も防がなければならない。そこで、最大水素放出時における放出配管内の温度変動を解析し、その結果に基づいて、必要な放出配管サイズ及び建家内のレイアウトを決めた。

38000070
Wavelength-shifting-fibre-based neutron image detector with a fibre-optic taper to increase the spatial resolution
中村 龍也; 片桐 政樹; 藤 健太郎; 坂佐井 馨; 海老根 守澄; 美留町 厚; 曽山 和彦
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 604(1-2), p.158-160(2009) ; (JAEA-J 06657)
 波長シフトファイバ型二次元中性子検出器の位置分解能を向上するため、中性子有感シンチレータと波長シフトファイバ間にファイバオプティックテーパー光学素子を組み込んだ検出器を試作しその性能評価を行った。ファイバオプティックテーパー光学素子は多数の細径ガラス管を束ね管径に傾きを付けながら引伸焼成したものでシンチレータ上に形成された入射中性子イメージ(シンチレーション光イメージ)を拡大する機能を有する。xy方向各16本に張り巡らされた波長シフトファイバに約3倍の拡大率であるファイバオプティックテーパー光学素子を装填したプロトタイプ検出器において、検出器実効ピクセルサイズが0.5mmから0.16mmへ、位置分解能が0.8mmから0.3mmへと改善することを実証した。

38000071
Development of an ultra-high-speed scanning neutron tomography system for high-quality and four-dimensional visualizations
呉田 昌俊; 飯倉 寛
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 605(1-2), p.81-84(2009) ; (JAEA-J 06658)
 高速度撮像中性子ラジオグラフィ技術とコンピュータ断層撮像技術(CT)を融合して、高品質な3次元トモグラフィや4次元可視化を実現する新しい中性子トモグラフィシステムを開発した。本技術は計測対象物を高速ターンテーブルを用いて回転させ高速度ビデオカメラと画像強度増幅器を用いて高速度で中性子ラジオグラフィ像を記録することが基本原理となっており、時間方向に連続した画像から3次元CT技術を時間方向に行うことで4次元可視化を実現した。高品質な3次元CT結果を1秒間で得ることができ、砂時計中の砂が流下する現象を4次元で鮮明に可視化することができた。また、本技術により測定対象物の中性子による放射化を激減することができた。

38000072
A Combined method of small-angle neutron scattering and neutron radiography to visualize water in an operating fuel cell over a wide length scale from nano to millimeter
岩瀬 裕希; 小泉 智; 飯倉 寛; 松林 政仁; 山口 大輔; 前川 康成; 橋本 竹治
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 605(1-2), p.95-98(2009) ; (JAEA-J 06659)
 燃料電池の発電特性は燃料電池セル中の水の分布・挙動と直結する。燃料電池の水分布は電解質膜のイオンチャンネル内に存在するミクロスケールの水,ガス拡散相やセパレータの流路に滞留したマクロスケールの水といったように広い空間スケールにわたって存在し、総合的に発電特性を支配すると考えられている。今回、ミクロスケールからマクロスケールの水分布を広範囲な空間スケールについて横断的に観察するための計測手段として、中性子小角散乱と中性子ラジオグラフィを結合させた計測システムを開発した。本計測法により、実作動状態下の燃料電池単セル内のミクロからマクロスケールの水分布状態を観察することを世界に先駆けて成功した。

38000073
MeV- and sub-MeV-photon sources based on Compton backscattering at SPring-8 and KPSI-JAEA
川瀬 啓悟; 神門 正城; 早川 岳人; 大東 出; 近藤 修司; 本間 隆之; 亀島 敬; 小瀧 秀行; Chen, L.*; 福田 祐仁; Faenov, A. Y.; 静間 俊行; Bulanov, S. V.; 木村 豊秋*; 田島 俊樹; 小路 正純*; 鈴木 伸介*; 田村 和宏*; 大熊 春夫*; 有本 靖*; 依田 哲彦*; 藤原 守; 岡島 茂樹*
Nuclear Physics Review 26(Suppl.), p.94-99(2009) ; (JAEA-J 06660)
 SPring-8とKPSI-JAEAにおいて、それぞれMeV領域,sub-MeV領域の逆コンプトン散乱による光源を開発した。MeV光源は光励起型遠赤外レーザーと8GeV電子ビームとからなっている。sub-MeV光源はNd:YAGパルスレーザーとマイクロトロンで加速された150MeV電子ビームからなっている。どちらの光源も逆コンプトン光の発生に成功した。ここでは、これらの光源の特徴と今後の展望について発表する。

38000074
Measurement of angular dependent neutron production from thick target bombarded with 140-MeV protons
岩元 洋介; 佐藤 大樹; 萩原 雅之*; 岩瀬 宏*; 桐原 陽一*; 八島 浩*; 中根 佳弘; 中島 宏; 中村 尚司*; 民井 淳*; 畑中 吉治*
Nuclear Technology 168(2), p.340-344(2009) ; (JAEA-J 06661)
 陽子・重イオン線によるがん治療施設や加速器によるホウ素中性子捕捉療法施設の中性子遮蔽詳細設計では、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSをはじめ各種のモンテカルロ輸送計算コードがよく用いられている。これら設計計算コードを高い信頼度で使用するためには、これらの計算コードの精度検証が必要である。そこで、実験データが少ない0度及び90度方向、並びに実験施設の制約から実験データが全くない180度方向の厚いターゲットからの中性子生成の角度・エネルギー分布のデータを、大阪大学核物理研究センターRCNPのサイクロトロンに設置された飛行時間法のコースで測定を行った。入射陽子のエネルギーは140MeVであり、ターゲットは炭素,アルミニウム,鉄及び鉛である。PHITSコード単独及び評価済核データとの併用時の計算結果は、0度及び90度の実験結果に対して鉛ターゲットを除いてよく一致した。

38000075
Monte Carlo calculations for the shielding design of beam injection and extraction areas at the 3-GeV synchrotron in J-PARC
中根 佳弘; 阿部 輝雄*; 中島 宏
Nuclear Technology 168(2), p.519-523(2009) ; (JAEA-J 06662)
 J-PARCの3GeVシンクロトロンの遮蔽設計を目的として、ビーム入射部及び出射部における放射線遮蔽計算を実施した。これらのエリアは、機器の構造が複雑で、局所的に高いビーム損失が想定されていることから、経験式に基づく簡易計算の適用が困難であった。そこで、モンテカルロコードPHITSを用いて運転中の加速器トンネルにおける粒子輸送計算を行い、当該エリアの管理区域境界における線量率が設計目標値及び法令値を下回るよう、遮蔽設計を行った。本発表では、遮蔽設計に用いた計算手法,計算条件及び評価結果について報告する。

38000076
Generation and application of bremsstrahlung production data calculated by EGS4 code
坂本 幸夫; 平山 英夫*; 佐藤 理*; 清水 彰直*
Nuclear Technology 168(3), p.585-590(2009) ; (JAEA-J 06663)
 γ線の深層透過を積分方程式の形で解くインバリアント・エンベンディング(IE)法等の光子輸送計算コードによる二次光子としての制動放射線を考慮したγ線ビルドアップ係数の計算では、制動放射線生成データが必要である。制動放射線の厳密な角度分布を取り扱うために電磁カスケードモンテカルロ計算コードEGS4で制動放射線の角度・エネルギー分布を評価した。電子対生成電子及びコンプトン散乱電子による制動放射線生成データを26元素(HからUまで)及び4化合物・混合物(水,コンクリート,空気,鉛ガラス)について整備した。整備したこれらのデータを前述のIE法に組み込んだビルドアップ係数計算における制動放射線の寄与は、すべてEGS4コードで行った場合の制動放射線の寄与と5%以内で一致した。この結果、γ線の深層透過に対しても制動放射線を考慮した精度の高いビルドアップ係数の計算ができるようになった。

38000077
Accelerator experiments on source term and radiation shielding performed by Japan Atomic Energy Agency
坂本 幸夫; 岩元 洋介; 中島 宏
Nuclear Technology 168(3), p.654-658(2009) ; (JAEA-J 06664)
 原子力機構が実施した粒子・重イオン輸送計算コードPHITS等の放射線挙動計算コードの計算精度検証に用いる線源項及び放射線遮蔽に関する加速器ベンチマーク実験を紹介する。紹介する実験は次の4つである。(1)加速器ホウ素中性子捕捉療法BNCTのための10MeV陽子入射時の薄いベリリウムターゲットからの中性子スペクトル測定(原子力機構TIARA施設),(2)140, 250及び350MeV陽子のリチウムターゲット照射から得られる中性子を利用した前方方向の散乱中性子スペクトル測定及び遮蔽実験(大阪大学核物理研究センターRCNP),(3)半導体照射試験用照射場確立のための400MeV陽子入射時のタングステンターゲットからの中性子スペクトル測定(RCNP),(4)反陽子ターゲットステーション及びニュートリノターゲットステーションでの遮蔽実験(米国フェルミ国立加速器研究所)。

38000078
Estimation of radioactivity produced in cooling water at high-intensity proton accelerator facility
増川 史洋; 中根 佳弘; 岩元 洋介; 中島 宏
Nuclear Technology 168(3), p.680-684(2009) ; (JAEA-J 06665)
 J-PARCの加速器施設におけるメンテナンスシナリオを検討するために、加速器冷却水中に生成される放射能量を検討した。評価においては、加速器機器における陽子・中性子束をPHITS及びMCNPXコードにより算出した。また、評価に用いた高エネルギー中性子・陽子に対する酸素の放射化断面積は、利用可能な実験値とINC/GEM, LAHETコードによる計算から求めた。さらに、冷却水中の腐食生成物からの放射能はKEK-PS及びLAMPFにおける測定値からスケーリングした。その結果、環境への影響が最も問題となるのはトリチウムであり、その量は1年間の運転により、LINACで5.9[Bq/cm3](合計5.7×107[Bq])、3GeVシンクロトロンで34[Bq/cm3](合計2.5×109[Bq])となり、排水濃度限度(60[Bq/cm3])を下回ることがわかった。また、短寿命核種による機械室の線量率は、LINACにおいては充分低いが、3GeVシンクロトロンではおよそ1000倍大きくなり、想定どおりのビームロスで運転された場合、施設のメンテナンスのうえで対策が必要であることがわかった。

38000079
A Generalized conformational energy function of DNA derived from molecular dynamics simulations
山崎 智*; 寺田 透*; 清水 謙多郎*; 河野 秀俊; 皿井 明倫*
Nucleic Acids Research 37(20), p.e135_1-e135_9(2009) ; (JAEA-J 06666)
 Proteins recognize DNA sequences by two different mechanisms. The first is direct readout, in which recognition is mediated by direct interactions between the protein and the DNA bases. The second is indirect readout, which is caused by the dependence of conformation and the deformability of the DNA structure on the sequence. Various energy functions have been proposed to evaluate the contribution of indirect readout to the free-energy changes in complex formations. We developed a new generalized energy function to estimate the dependence of the deformability of DNA on the sequence. This function was derived from molecular dynamics (MD) simulations previously conducted on B-DNA dodecamers, each of which had one possible tetramer sequence embedded at its center. By taking the logarithm of the probability distribution function (PDF) for the base-step parameters of the central base-pair step of the tetramer, its ability to distinguish the native sequence from random ones was superior to that with the previous method that approximated the energy function in harmonic form. From a comparison of the energy profiles calculated with these two methods, we found that the harmonic approximation caused significant errors in the conformational energies of the tetramers that adopted multiple stable conformations.

38000080
A Beam divergence correction mirror for neutron resonance spin echo
丸山 龍治; 日野 正裕*; 林田 洋寿; 北口 雅暁*; 阿知波 紀郎*; 山崎 大; 海老澤 徹*; 曽山 和彦
Physica B; Condensed Matter 404(17), p.2594-2599(2009) ; (JAEA-J 06667)
 中性子のビーム発散によるフライトパス長のばらつきを円筒面スーパーミラーにより補正することにより、中性子共鳴スピンエコー法の高エネルギー分解能化が実現される。この目的のために製作した円筒面スーパーミラーを用いてスピンエコー実験を行った結果、発散角によるフライトパス長のばらつきが補正されることを実証したので、その実験結果について報告する。

38000081
μSR study of an layered organic superconductor κ-(BEDT-TTF)4Hg2.89Br8
佐藤 一彦*; 藤田 日出海*; 片山 和弘*; 谷口 弘三*; 伊藤 孝; 大石 一城 *; 髭本 亘
Physica B; Condensed Matter 404(5-7), p.597-599(2009) ; (JAEA-J 06668)
 有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)4Hg2.89Br8零磁場及び高磁場中のミュオンスピン回転緩和測定を行った。零磁場中の緩和スペクトルには超伝導転移点の4.2Kにおいて異常は見られなかった。6Tの磁場中で決めたミュオンナイトシフトは2Kまでキュリーワイス的な振る舞いを示す一方、帯磁率は30K付近でピークを示した。ミュオンナイトシフトは低温では帯磁率に比例していないことになる。

38000082
μSR study of organic antiferromagnet β'-(BEDT-TTF)2ICl2 under high pressure
佐藤 一彦*; 佐藤 功一*; 吉田 哲茂*; 谷口 弘三*; 後神 達郎*; 伊藤 孝; 大石 一城 *; 髭本 亘
Physica B; Condensed Matter 404(5-7), p.600-602(2009) ; (JAEA-J 06669)
 有機反強磁性体β'-(BEDT-TTF)2ICl2における零磁場ミュオンスピン緩和測定を1.37GPaまでの高圧下において行った。ネール点は乗厚手は22Kであったが、圧力の上昇とともに増大し、1.37GPaにおいては48Kとなった。ミュオン回転周波数は1.37GPaでは常圧の5倍になった。

38000083
Novel features in filled skutterudites containing rare-earth elements with a plural number of 4f-electrons
佐藤 英行*; 青木 勇二*; 菊地 大輔*; 菅原 仁*; 髭本 亘; 大石 一城; 伊藤 孝; Heffner, R. H.; Saha, S. R.*; 幸田 章宏*; 佐藤 宏樹*; 西山 樟生; 門野 良典*; 西田 信彦*; Shu, L.*; MacLaughlin, D. E.*
Physica B; Condensed Matter 404(5-7), p.749-753(2009) ; (JAEA-J 06670)
 充填スクッテルダイト構造を持つ物質における強い電子相関に基づく現象は多岐に渡る。特に、複数の4f電子が含まれる場合は軌道の自由度が新たな非磁性又は弱磁性を伴う現象に大きな役割を果たす。Pr系及びSm系充填スクッテルダイト構造物質においてさまざまな例が見いだされており、これらとミュオンスピン緩和実験の関連を紹介する。

38000084
Weak ferromagnetic ordering in the anomalous field-insensitive heavy-fermion state in SmOs4Sb12
青木 勇二*; 髭本 亘; 綱島 慶乃*; 米澤 祐樹*; 佐藤 宏樹*; 幸田 章宏*; 伊藤 孝; 大石 一城; Heffner, R. H.; 菊地 大輔*; 佐藤 英行*
Physica B; Condensed Matter 404(5-7), p.757-760(2009) ; (JAEA-J 06671)
 充填スクッテルダイト構造を持つSmOs4Sb12における磁場への応答の小さな重い電子状態と弱強磁性の研究のため零磁場及び横磁場中のミュオンスピン回転緩和測定(μSR)を行った。零磁場中のμSRでは大きな振幅の回転信号が低温で観測され、弱強磁性が系全体に見られることを確認した。解析から、弱強磁性モーメントは遍歴する重い準粒子により生じることが示唆される。

38000085
Birth of an intense pulsed muon source, J-PARC MUSE
三宅 康博*; 下村 浩一郎*; 河村 成肇*; Strasser, P.*; 牧村 俊助*; 幸田 章宏*; 藤森 寛*; 中原 一隆*; 門野 良典*; 加藤 峯夫*; 竹下 聡史*; 西山 樟生; 髭本 亘; 石田 勝彦*; 松崎 禎市郎*; 松田 恭幸*; 永嶺 謙忠*
Physica B; Condensed Matter 404(5-7), p.957-961(2009) ; (JAEA-J 06672)
 ミュオン科学実験施設(MUSE)はJ-PARCの実験施設の一つである、MUSEは中性子とミュオン利用の実験施設である物質生命科学実験施設(MLF)の中にある。MLFの建屋建設は2004年にはじまり、2006年度末に完了した。われわれはそこにビームライン機器の設置を行っており、最初のミュオンビームが2008年の秋に発生する予定である。

38000086
Spectroscopy of 257Rf
Qian, J.*; Heinz, A.*; Khoo, T. L.*; Janssens, R. V. F.*; Peterson, D.*; Seweryniak, D.*; Ahmad, I.*; 浅井 雅人; Back, B. B.*; Carpenter, M. P.*; Garnsworthy, A. B.*; Greene, J. P.*; Hecht, A. A.*; Jiang, C. L.*; Kondev, F. G.*; Lauritsen, T.*; Lister, C. J.*; Robinson, A.*; Savard, G.*; Scott, R.*; Vondrasek, R.*; Wang, X.*; Winkler, R.*; Zhu, S.*
Physical Review C 79(6), p.064319_1-064319_13(2009) ; (JAEA-J 06673)
 アルゴンヌ国立研究所の反跳核分離装置を用いて、257Rfのα線,γ線,内部転換電子測定実験を行った。257Rfの励起状態に、高いK量子数を持った3準粒子状態と解釈される半減期160μ秒の新核異性体を発見した。また、α崩壊の抑止係数より、257Rfの娘核である253Noの1準粒子状態の中性子軌道配位を同定した。中性子数151核の1/2+[620]準位の励起エネルギーの系統性より、中性子数152の変形閉殻の大きさが、原子番号が増えるにつれて大きくなることを明らかにした。

38000087
Hot hadron-quark mixed phase including hyperons
安武 伸俊*; 丸山 敏毅; 巽 敏隆*
Physical Review D 80(12), p.123009_1-123009_8(2009) ; (JAEA-J 06674)
 有限温度でのハドロン-クォークの相転移に関して研究した。一次相転移の結果作られる混合相の性質を、その構造の有限サイズ効果と、Gibbs条件とを考慮に入れて調べた。その結果、有限温度での状態方程式がゼロ温度の場合より柔らかくなるような密度領域が存在すること、また、状態方程式はMaxwell構成法により与えられるものに近づくことが明らかになった。また、ゼロ温度の時と同じように混合相中ではハイペロンの混合が抑制されることもわかった。これらのハドロン-クォークの混合相の性質は、中性子星マージャーのような天体現象に重要である。

38000088
Dual nature of a Ni dopant in the hole-type La2-xSrxCuO4 cuprate superconductor
平賀 晴弘*; 松村 大樹; 西畑 保雄; 水木 純一郎; 山田 和芳*
Physical Review Letters 102(3), p.037002_1-037002_4(2009) ; (JAEA-J 06675)
 ホールタイプ超伝導体La2-xSrxCuO4にNiをドープした単結晶試料に対して、Niの局所歪をX線吸収分光(XAFS)法により幅広いホールドープ範囲で観測した。それにより、Niと面内酸素との原子間距離に、ドープタイプに依存した2種類の結合長が存在することが判明した。過去の結果と照らし合わせ、Niの電荷状態が2種類あることが示唆された。この2種類の電荷状態の存在は、銅酸化物超伝導体のNiドープに対する磁気不純物との描像を覆すものである。

38000089
Boosted high-harmonics pulse from a double-sided relativistic mirror
Esirkepov, T. Z.; Bulanov, S. V.; 神門 正城; Pirozhkov, A. S.; Zhidkov, A.*
Physical Review Letters 103(2), p.025002_1-025002_4(2009) ; (JAEA-J 06676)
 An ultra-bright high-power X- and γ-radiation source is proposed. A high-density thin plasma slab, accelerating in the radiation pressure dominant regime by an ultra-intense electromagnetic wave, reflects a counter-propagating relativistically strong electromagnetic wave, producing extremely time-compressed and intensified radiation. The reflected light contains relativistic harmonics generated at the plasma slab, all upshifted with the same factor as the fundamental mode of the incident light. The theory of an arbitrarily moving thin plasma slab reflectivity is presented.

38000090
Rotation drive and momentum transport with electron cyclotron heating in tokamak plasmas
吉田 麻衣子; 坂本 宜照; 竹永 秀信; 井手 俊介; 大山 直幸; 小林 貴之; 鎌田 裕; JT-60チーム
Physical Review Letters 103(6), p.065003_1-065003_4(2009) ; (JAEA-J 06677)
 プラズマの回転は、プラズマの閉じ込め改善や安定化に重要な担い手となっている。電子加熱や電流駆動を行うアクチュエータであるECRFは、プラズマ加熱や安定化だけでなく、回転分布を変化させる。しかし、その物理機構は未解明のままであった。JT-60において、ECRFの回転分布への効果を、運動量輸送,圧力勾配が駆動する自発回転,ECRFが駆動する自発回転のそれぞれの効果を切り分けて評価した。その結果、運動量の拡散項と非拡散項は両方ともECRFで増加、すなわち輸送の劣化があることがわかった。ECRFはEC入射位置よりも内側ではプラズマ電流と同じ方向(CO方向)の回転を、EC入射位置より外側ではプラズマ電流とは逆方向(CTR方向)の回転を駆動することがわかった。さらに、このCTR回転は、EC入射付近で起こり、半径外側に向かって伝搬することを観測した。

38000091
Generation of stable and low-divergence 10-MeV quasimonoenergetic electron bunch using argon gas jet
森 道昭; 近藤 公伯; 水田 好雄*; 神門 正城; 小瀧 秀行; 西内 満美子; 加道 雅孝; Pirozhkov, A. S.; 小倉 浩一; 杉山 博則*; Bulanov, S. V.; 田中 和夫*; 西村 博明*; 大道 博行
Physical Review Special Topics; Accelerators and Beams 12(8), p.082801_1-082801_5(2009) ; (JAEA-J 06678)
 4TWレーザーを用いて、セルフインジェクション領域において生成される、準単色電子の安定性と発散角を調べた。アルゴンターゲットにおいて、ヘリウムの最適値の1/3以下の2.4mradのポインティング安定性と10.6mradの発散角を見いだした。このときの電子ビームのエネルギーピークは、アルゴン,ヘリウムそれぞれで8.5±0.7MeV及び24.8±3.6MeVであった。これらの実験結果は、同じ照射条件にもかかわらず、異なるターゲット材質を用いたことによって生じるレーザー伝搬の違いを示すものである。

38000092
Rotational stabilization of resistive wall mode on JT-60U
松永 剛; 武智 学; 相羽 信行; 栗田 源一; 坂本 宜照; 小出 芳彦; 諫山 明彦; 鈴木 隆博; 藤田 隆明; 大山 直幸; 小関 隆久; 鎌田 裕; JT-60チーム
Plasma and Fusion Research (Internet) 4, p.051_1-051_7(2009) ; (JAEA-J 06679)
 将来の核融合炉において、経済性の高い高核融合出力を得るためには高圧力プラズマを定常に維持する必要がある。しかしながらこのようなプラズマでは、抵抗性壁モード(RWM)が発生し到達β値を制限すると危惧されている。一方、このモードの安定化にプラズマ回転が重要であることが理論的に予想されている。JT-60ではプラズマ回転を制御することで、RWMの安定化に必要なプラズマ回転の閾値を実験的に明らかにした。この実験により、この閾値が従来の予測値の約15%程度であることがわかり、また閾値のβ依存性が小さいことから、理想壁β限界値までβ値を到達可能なことが明らかとなった。本論文では、JT-60において実施されたプラズマ回転によるRWM安定化実験の詳細及び、線形MHD安定性コード(MARG2D)の結果との比較などについて報告する。

38000093
Neutron diffraction studies on strain evaluation of rebar in reinforced concrete
鈴木 裕士; 兼松 学*; 楠 浩一*
Powder Diffraction 24(Suppl.1), p.S68-S71(2009) ; (JAEA-J 06680)
 一般的に、鉄筋コンクリート中の鉄筋のひずみ測定は、鉄筋に貼付したひずみゲージにより行われるが、ひずみゲージの防水処理や配線処理が付着特性に影響すると言われている。そのため、非破壊・非接触のひずみ測定法として知られる中性子回折法は、この問題を解決する有用な方法であると考えられる。そこで、本研究では、中性子回折法により鉄筋コンクリート中の鉄筋のひずみ測定を試みた。その結果、コンクリートの吸収係数は鉄よりも小さいこと、また、コンクリートによる吸収の影響を受けることなく、比較的精度よく鉄筋のひずみ測定が可能であることが確認された。また、コンクリート中の鉄筋のひずみ分布を測定し、定着領域の定量評価を行った結果、ひずみゲージで測定するよりも、定着領域の大きさが小さく見積もられることを確認した。

38000094
Application of clear polymethylmethacrylate dosimeter Radix W to a few MeV electron in radiation processing
清藤 一; 市川 達也*; 花屋 博秋; 佐藤 良成*; 金子 広久; 春山 保幸; 渡辺 宏*; 小嶋 拓治
Radiation Physics and Chemistry 78(11), p.961-965(2009) ; (JAEA-J 06682)
 MeV級電子加速器を用いた殺菌や高分子材料の改質などの放射線加工には、おもに三酢酸セルロース(CTA)線量計が使われているが、γ線量測定と共用できる線量計があるとトレーサビリティ確保の上でも効果的である。そこでγ線について既に線量計特性が明らかになっているRadix WのMeV級電子線量への適用拡大を目的として、両者によるγ線量,電子線量との整合性及びRadix Wの照射後の応答安定性を調べた。この結果、γ線と電子線の整合性は3%以内で一致しており、MeV級電子線量にも、60Coγ線量標準を応用できることがわかった。また照射終了後24時間以内において吸光度が時間とともに最大で3%下がるが、応用が想定される実プロセスで6時間以内においては1%以内で安定した。以上よりこれまで明らかにされたγ線量範囲1〜150kGyに加えて、放射線加工における電子線量範囲10〜60kGyについても、適用できること及びトレーサビリティ確保が容易なγ線量との整合性が得られることが明らかになった。

38000095
Spectral change in X-ray absorption near edge structure of DNA thin films irradiated with monochromatic soft X-rays
藤井 健太郎; 横谷 明徳
Radiation Physics and Chemistry 78(11), p.1188-1191(2009) ; (JAEA-J 06683)
 本研究では単色軟X線を照射することによって生じた、DNA損傷のX線吸収端微細構造スペクトルを観測した。実験では子牛胸腺DNA薄膜に対して、窒素及び酸素K殻吸収端近傍微細構造スペクトルを観測した。照射した軟X線は窒素K殻吸収端前後及び酸素K殻吸収端前後のエネルギーである。得られたスペクトルから、照射によってサンプル中にもともと存在しなかったカルボニル基が生成していることが明らかになった。さらに酸素K殻イオン化により、プロペナール基が生成していることが明らかになった。

38000096
Metal adsorption of carboxymethyl cellulose/carboxymethyl chitosan blend hydrogels prepared by γ irradiation
廣木 章博; Tran, H. T. *; 長澤 尚胤; 八木 敏明*; 玉田 正男
Radiation Physics and Chemistry 78(12), p.1076-1080(2009) ; (JAEA-J 06684)
 カルボキシメチルセルロース(CMC)とカルボキシメチルキトサン(CMCts)をさまざまな比率(CMC/CMCts:100/0, 75/25, 50/50, 25/75, 0/100)でブレンドし、水と混練りすることで、30wt%のペースト状サンプルを調製した。真空脱気後、γ線照射することでCMC/CMCtsブレンドゲルを合成した。得られたゲルのゲル分率は、照射線量が20-30kGyの間で急激に増加し、100kGyで約60%に達した。CMCtsに含まれる窒素に着目し、ゲル化前後のサンプルの元素分析を行った結果、サンプル中に含まれる窒素の割合は、ゲル化前後でほぼ一致していることがわかった。したがって、ゲル中のCMCとCMCtsの組成比は、照射前のブレンド比とほぼ同じであると考えられる。ブレンドゲルを金と鉛イオン水溶液に浸漬し、吸着された金属イオンの割合(金属イオン吸着率)をICP-質量分析装置により測定した。金属イオン吸着率は、CMCのみから成るゲルが最も低く、CMCtsの比率が増加するにしたがい増加することがわかった。鉛イオンの吸着率は、約55%から約80%に増加した。金イオンの場合、CMC/CMCts(100/0)ゲルでわずか10%であった吸着率が、CMC/CMCts(75/25)ゲルになると約60%に達し、その後CMCtsの増加に伴い徐々に増加し約90%に達した。したがって、ブレンドゲル中のCMCとCMCtsの組成を調整し、官能基の数を制御することで、金イオンの吸着性能を制御できることが明らかとなった。

38000097
Enhanced radiation-induced cell killing by Herbimycin A pre-treatment
野口 実穂; 平山 亮一*; Druzhinin, S.*; 岡安 隆一*
Radiation Physics and Chemistry 78(12), p.1184-1187(2009) ; (JAEA-J 06685)
 ハービマイシンAはゲルダナマシンと同様Hsp90に結合し、Hsp90のシャペロン機能を阻害する薬剤である。Hsp90は自身のシャペロン活性により他のタンパク質の安定化を維持する働きをもち、癌細胞の成長や生存に重要な役割を果たしている。放射線照射に応答するタンパク質もHsp90により機能的に安定化されていることが知られている。そこで、本研究ではハービマイシンAが癌細胞の放射線感受性に影響を与えるかどうか、さらに放射線感受性の増強に関与する細胞内メカニズムを明らかにするため、実験を行った。特に放射線感受性のメカニズムとして、放射線誘発細胞死の主原因であるDNA二本鎖切断(DSB)とその修復について調べた。コロニー形成法により求めた生存率から、ハービマイシンAは癌細胞の放射線感受性を増強することが明らかになった。また、定電圧電気泳動法によりDSBの修復の経時的変化を調べたところ、ハービマイシンAを照射前に加えたほうが、DSBの修復効率が低下することが明らかになった。以上の結果から、ハービマイシンAは放射線誘発DSBの修復を阻害し、放射線感受性の増強を引き起こすことがわかった。ハービマイシンAと放射線併用は癌治療の新しい治療法として非常に有効であることが示された。

38000098
Operational radiation protection issues specific to high-intensity beams
中島 宏
Radiation Protection Dosimetry 137(1-2), p.35-50(2009) ; (JAEA-J 06686)
 近年、加速器技術の目覚しい進展によって、高エネルギー加速器のビーム強度が著しく増加している。そのため、基礎科学から医学利用などさまざまな分野における使用を目的として、世界各地で高エネルギー大強度加速器の建設が進められ、運用されている。これら加速器施設においては、建設から運用に至るまでの放射線安全にかかる検討が重要である。そこで、本稿では、J-PARCを例に、大強度加速器施設における、安全上の特徴,安全設計,安全管理システムについて概括する。

38000099
Adsorption of Db and its homologues Nb and Ta, and the pseudo-homologue Pa on anion-exchange resin in HF solution
塚田 和明; 羽場 宏光*; 浅井 雅人; 豊嶋 厚史; 秋山 和彦*; 笠松 良崇; 西中 一朗; 市川 進一; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ; 橋本 和幸; 永目 諭一郎; 後藤 真一*; 工藤 久昭*; 佐藤 渉*; 篠原 厚*; 大浦 泰嗣*; 末木 啓介*; 菊永 英寿*; 木下 哲一*; 横山 明彦*; Schädel, M.*; Brüchle, W.*; Kratz, J. V.*
Radiochimica Acta 97(2), p.83-89(2009) ; (JAEA-J 06687)
 105番元素ドブニウム(Db)及び周期表上同族の5族元素ニオブ(Nb),タンタル(Ta),擬5族のプロトアクチニウム(Pa)のフッ化水素酸水溶液中における陰イオン交換挙動を観測した。実験にはタンデム加速器施設に設置したオンライン自動迅速イオン交換分離装置を利用し、248Cm+19F反応で生成する262Db(半減期34秒)を対象に13.9Mフッ化水素酸水溶液におけるイオン交換樹脂への分配係数を測定した。上記元素とDbの溶離挙動を比較すると、Dbの分配係数は5族元素Nb及びTaに比べて小さく、その傾向はむしろ擬5族のPaに近いという結果を得た。この結果は超アクチノイド元素であるDbのフッ化物陰イオン錯体が同族元素と異なるという興味深いものである。

38000100
Synergistic extraction of Am(III) and Eu(III) by tris(2-pyridylmethyl)amine with various anions in 1,2-dichloroethane
石森 健一郎; 渡邉 雅之; 矢板 毅; 木村 貴海; 山田 隆史*; 篠田 哲史*; 築部 浩*
Solvent Extraction and Ion Exchange 27(4), p.489-500(2009) ; (JAEA-J 06688)
 三脚状配位子のトリス(2-ピリジルメチル)アミン(tpa)を用いたAm(III)とEu(III)の溶媒抽出において、カウンターアニオンや有機溶媒の組合せによって、抽出効率や分離効率が著しく向上することを見いだした。分離の効率を表す分離係数(Am(III)とEu(III)との間の分配比の比で定義される)は、10から50を示した。本研究では、スロープアナリシスにより、1,2-ジクロロエタンを有機溶媒として用いた場合の抽出平衡を解明した。

38000101
Effects of CMC molar mass on mechanical properties of CMC-acid gel
瀧上 眞知子*; 廣木 章博; 長澤 尚胤; 笠原 崇光*; 瀧上 昭治*; 玉田 正男
Transactions of the Materials Research Society of Japan 34(3), p.391-394(2009) ; (JAEA-J 06689)
 121℃での酸加水分解により分子量の異なるカルボキシメチルセルロース(CMC)を調製し、クエン酸と混合、所定温度で保管することで、CMC-酸ゲルを得た。保管している間にカルボキシメチル基末端がNa型からH型に変わることで水素結合形成とCMC分子鎖の絡み合いにより弾性ゲルとなる。今回、弾性ゲルのゲル分率,吸水性及び機械的特性に及ぼす分子量の影響を検討した。その結果、保管時間が一定の場合、分子量の高いCMCほどゲル分率は高くなった。しかし、低分子量CMCであっても混合後の保管時間を長くすると、ゲル分率は高分子量CMCのときと変わらなかった。低分子量CMCゲルは、高分子量のモノに比べ、より柔らかく吸水力が高いことがわかった。高分子量CMCゲルでは、保管時間を長くするとますます硬くなったが、低分子量CMCゲルの柔らかさと高吸水性は、保管時間に依存せず、変化しないことが明らかとなった。

38000102
Influence of magnetic fields on turbo-molucular pumps
荻原 徳男; 金澤 謙一郎; 猪原 崇*; 和田 薫*
Vacuum 84(5), p.718-722(2009) ; (JAEA-J 06690)
 ターボ分子ポンプ(TMP)は、核融合及び加速器等の分野でも広く用いられている。ここで問題となるのは、準定常的にかかる磁場の影響である。そこで、最初に、この磁場のTMPに与える影響を、(1)ローター回転軸に平行な磁場の場合と、(2)直交する磁場の場合にわけて調べた。平行な磁場による影響はなく、磁場のない場合と変わらないのに対して、直交磁場の場合にはローター駆動電力の増大及びローター温度の上昇が観測された。これは、渦電流損によるもので、その磁場依存性は、以下のとおりである。(a)磁場強度の2乗に比例して渦電流損は増加する。(b)ローター回転数に対する依存性は、回転数が高くなると回転数の1/2乗に比例して渦電流損は増加する。これらの特性は、簡単な渦電流のモデルにより説明される。

38000103
Vacuum system of the 3-GeV RCS in J-PARC
荻原 徳男; 金正 倫計; 神谷 潤一郎; 山本 風海; 吉本 政弘; 引地 裕輔; 金澤 謙一郎; 三尾 圭吾; 瀧山 陽一; 菅沼 和明; 齊藤 芳男*
Vacuum 84(5), p.723-728(2009) ; (JAEA-J 06691)
 3GeV RCSの真空システムを設計するにあたっては、(1)保守時の放射線被爆を最小にすること、また、(2)圧力不安定性を引き起こさないように、ビーム運転中に超高真空を維持することが要求される。このため、イオン誘起脱離によるガス放出の抑制のみならず、ビーム運転中の効率良い排気を考慮したシステムの設計がなされた。具体的には、イオンポンプのみならずターボ分子ポンプを用いた排気を採用した。また、徹底したガス放出の低減対策を施した。さらに、3GeV RCSの特徴である25Hz, 1MW運転から要請される各種機器の開発を行った。その結果として、本真空システムは、現在、200kW運転に至るまで、良好な真空状態を維持している。

38000104
量子ビームを用いた非破壊プロファイリング
山本 博之; 江坂 文孝; 松江 秀明; 笹瀬 雅人*
ぶんせき 2009(11), p.612-618(2009) ; (JAEA-J 06692)
 あらゆる物質について元素・化学結合・量・位置に関する情報が「その場」において瞬時・非破壊・高精度・簡易、さらに再現性よく得られれば、それは分析の終点とも言える。もしそのような情報に到達すれば、物質の現時点を明らかにできるだけでなく、「未来」を精度よく判断,予測することにもつながる。近年の材料作製技術の進捗についてはよく知られている通り、原子レベルの細工が可能となってきている。当然これらの作製技術に対応する分析技術も必要となる。本稿では、「量子ビーム」を利用した幾つかの分析の現状、特に表面から内部にいたる非破壊プロファイリングを中心に紹介するとともに、これと相補的に用いることにより情報の精度・正確さを向上させるために用いられる実験室規模の各種励起源による解析についても記述した。これらの現状をもとに、量子ビームと分析の将来を展望した。

38000105
大深度岩盤掘削工事を対象とした効率的なプレグラウチング概念に関する提案
延藤 遵*; 見掛 信一郎; 西垣 誠*
土木学会論文集,C 65(4), p.806-821(2009) ; (JAEA-J 06693)
 本研究は、大深度下の硬質な結晶質岩において掘削工事を行う際の湧水抑制を目的としたセメントグラウトによる効率的なプレグラウチング方法について検討したものである。プレグラウチングの効率化のためには、グラウト配合の高濃度化が望ましいが、超微粒子セメントの高濃度な配合を用いる場合、グラウト注入孔内の岩盤亀裂入口においてセメント粒子の堆積に起因した目詰まりが発生する。このセメント粒子の堆積のメカニズムと目詰まりの発生確率の関係は明らかにされていないのが現状である。そこで、目詰まり現象を解明するための研究課題としてグラウトの配合に着目し、配合における水セメント比を0.5〜10の範囲で変化させて、水セメント比がグラウト物性や目詰まり現象に与える影響について室内試験により確認した。最後に、上記の試験結果に基づいて大深度岩盤掘削工事を対象とした効率的なプレグラウチング概念について提案している。

38000106
放射線防護に責任を有する技術士の役割
山外 功太郎
原子力eye 55(12), p.56-57(2009) ; (JAEA-J 06695)
 技術士は、個人の技術能力と高い倫理観を向上するための義務を有する。本報告では、放射線防護に責任を有する技術士としての著者の考えを述べる。著者の業務である放射線管理の目的を達成するために、日々の業務活動におけるコンプライアンスと倫理観とのジレンマとどのように向かい合い解決すべきか、新規技術の開発にかかわる技術士の役割と技術士としてなすべき技術伝達はどのように行っていくべきかを述べる。

38000107
中性子ビジュアルセンシング技術の開発
呉田 昌俊
波紋 19(4), p.218-223(2009) ; (JAEA-J 06696)
 原子力機構が中性子を利用した可視化と計測技術の一つとして開発を進めてきた中性子ビジュアルセンシング技術に関して特長,基本原理,各種技術,最新の応用例をまとめて紹介する。中性子ビジュアルセンシング技術は、特にアルミニウム合金など軽金属製の複雑形状の容器内での水,オイル,冷媒など軽元素で構成される流体の可視化と計測を得意とする技術であり、さまざまな産業利用,学術利用が期待されている。本報では、高速度撮像中性子イメージング,中性子3DCT,高速スキャン中性子3D/4DCT,マルチビーム中性子4DCTの基本原理と最新の実験例の概要を紹介する。

38000108
食品照射; 放射線による食品や農作物の殺菌・殺虫・芽止め技術
小林 泰彦; 菊地 正博
放射線化学 (88), p.18-27(2009) ; (JAEA-J 06697)
 食品照射では、芽止め,害虫や寄生虫の駆除,病原菌や腐敗菌の殺滅菌が可能である。しかし、これらの利用法のすべてが実用化される訳ではない。どこまで商業的に受け容れられるかは、結局のところ、実用面と採算面での評価で決まる。科学的なデータは、食品照射は十分に検証された食品処理技術であることを示している。過去の安全性研究では、照射食品を摂取することによる悪影響を示す証拠は一つもなかった。放射線照射は、食品の衛生化や保存期間の延長によって、より安全で豊富な食品の供給確保に役立つ。食品の適正製造基準に規定される必要条件が満たされている限り、食品照射は安全で効果的である。食品の適正製造基準を無視することに起因する照射食品のリスクは、本質的に、缶詰,冷凍,加熱殺菌などの他の食品処理方法の誤用によるリスクと変わらない。

38000109
生命にとっての放射線,イオンビーム
田中 淳
放射線と産業 (122), p.35-39(2009) ; (JAEA-J 06699)
 イオンビームは、生命にとって最も影響力のある放射線であり、それゆえイオンビームの生物効果の特徴を理解し、その特徴を利用して新しい放射線利用技術の開発が進められてきた。イオンをマイクロビーム化させて細胞一つ一つに照射する技術は、放射線生物学を古典から最先端のライフサイエンスへと導くとともに、次世代の粒子線治療への基盤技術となりつつある。イオンビームを用いた品種改良では、今までに得難かった新しい突然変異を高頻度で得やすいという特徴を見いだし、今や我が国独自の育種技術として普及が進んでいる。イオンビームの「観る」能力を発揮し、植物の栄養物質の動態を自然なままで観察できるポジトロンイメージングや1つの細胞中での微量物質を同定できるマイクロPIXEも他の方法では行えない新しい測定・解析技術である。がんの治療や診断に欠かせないラジオアイソトープ(RI)もドラッグデリバリーシステム(DDS)に組込み、新しい薬剤としての可能性が見いだされつつある。これらの研究の全体を概観し、研究の核となる考え方などについて解説する。

38000110
放射線グラフト重合による家庭用燃料電池に適した高耐久性電解質膜の開発
前川 康成; Chen, J.; 浅野 雅春
放射線と産業 (123), p.4-9(2009) ; (JAEA-J 06700)
 固体高分子型燃料電池は小型・軽量化が可能であることなどから、家庭用燃料電池の本格普及に向けて精力的に研究開発が進められている。しかし、従来の高分子電解質膜は、導電性に優れるものの高温・低湿度環境では非常に脆弱であるという問題があった。今回、熱・放射線2段グラフト重合技術(熱グラフト重合と放射線グラフト重合を組合せた技術)を、耐熱性や強度の優れた芳香族炭化水素高分子に適用することで、高温で高い導電性と耐久性を併せ持つ電解質膜を製作することに成功した。この電解質膜は、従来の製品と比較して導電性で1.5倍、強度で2.3倍となっており、燃料電池セルに組み込んでの発電試験の結果、家庭用燃料電池に求められる作動条件(80℃)で、4万時間以上に相当する安定運転を達成した。

38000111
高速増殖原型炉「もんじゅ」の理解活動とトラブル事例集
柳澤 務; 田畑 広明; 森 将臣
保全学 8(3), p.17-22(2009) ; (JAEA-J 06701)
 高速増殖原型炉もんじゅでは、1995年に発生したナトリウム漏えい事故後、失った信頼を回復するためさまざまな理解活動に取り組んできた。その中で、「もんじゅ」のプラント状況の進捗に応じて「想定される事故・トラブル等の事例とその対応」を取りまとめ、作成・配布し、運転再開に向けた理解活動を続けており、これらの取り組みについて紹介する。また、「もんじゅ」の概要・特徴などについても紹介するとともに、最近「もんじゅ」で発生したトラブルや国内外のトラブル事例も踏まえ、さらに、運転再開(性能試験開始)時に実施する炉心確認試験のときに想定されるトラブル事例と合わせて追補版として取りまとめており、これらの運転再開に向けた取り組みを紹介する。

38000112
希少金属スカンジウムを草津温泉から回収するための材料開発
瀬古 典明
自動車技術 63(11), p.102-105(2009) ; (JAEA-J 06702)
 スカンジウムとバナジウムに対して吸着性能が良好な官能基として、リン酸基及びアミドキシム基を不織布基材に導入して吸着材を作製した。2×5cm程度に切り出した各吸着材をプラスチック製の籠に充填し、1時間から1日間浸漬させて試験を行った結果、吸着量は、浸漬時間の増加に伴い吸着量は増加し、わずか23時間の浸漬で鉱石中のスカンジウム濃度(0.1g/kg)と比較して温泉排水中では2倍、源泉においては15倍に濃縮できることがわかった。また、同様にバナジウムについても、1,000倍程度吸着材中に濃縮できることがわかった。これにより、温泉中に溶けている金属を十分資源として活用できる可能性を示せた。

38000113
河成段丘の高度分布から推定された、岩手・宮城内陸地震の震源断層
田力 正好; 池田 安隆*; 野原 壯
地震 62(1), p.1-11(2009) ; (JAEA-J 06703)
 河成段丘の比高を用いて、2008年6月14日に発生した、岩手・宮城内陸地震の震源域周辺における過去10数万年間の隆起速度分布を求めた。この地震の震源域では、明瞭かつ大規模な断層変位地形が存在せず、これまで活断層は記載されていなかった。今回の地震の震源域には隆起速度の変化帯が存在し、この変化帯は今回の地震の震源断層の活動に関連していることが示された。また、震源断層を挟んだ両側の隆起速度の差から、今回の地震の震源断層の垂直変位速度は0.4-0.5mm/yrと推定された。明瞭な断層変位地形を持たない地域においても、河成段丘の比高を用いて隆起速度分布を明らかにすることにより、活断層の存在を推定することが可能であると考えられる。

38000114
A Novel technique for monitoring the reproducibility of laser tape-target interactions using an X-ray pinhole camera
小倉 浩一; 福見 敦*; Li, Z.*; 織茂 聡; 匂坂 明人; 西内 満美子; 加道 雅孝; 森 道昭; 余語 覚文; 林 由紀雄; 大道 博行; Bulanov, S. V.; 大石 祐嗣*; 名雪 琢弥*; 藤井 隆*; 根本 孝七*; 中村 衆*; 岩下 芳久*; 野田 章*
Journal of the Vacuum Society of Japan 52(10), p.570-574(2009) ; (JAEA-J 06704)
 高強度レーザーで生成される相対論的プラズマを正確に制御するためには、レーザープラズマ生成用ターゲットの位置を正確に制御する必要がある。このためには集光されるレーザー光のレーリー長より小さな精度でレーザーショットごとにプラズマの発生する位置をモニターする必要がある。ここでは、X線ピンホールカメラを用いてレーリー長より十分小さい約20ミクロンの精度でプラズマの位置を観測できる技術を開発した。

38000115
海から金属資源を回収する技術の現状と漁業との共生の可能性
瀬古 典明
日本海水学会誌 63(4), p.221-225(2009) ; (JAEA-J 06706)
 放射線グラフト重合法により海水中のウランを回収するための捕集材を作製し、海域試験を行った結果、ウラン1kgあたり3万2千円で回収可能であることがわかった。2009年5月時点のウランの週間スポット価格は51ドル/ポンド-U3O8であり、2〜3倍程度高い試算となるが、2007年6月の136ドル/ポンド-U3O8(3万5千円)と同等の値であった。また、海水ウラン回収試験の実用化に際し障害の一つとして懸念される漁業との共生に関しては、海域試験後の捕集材や係留ロープに海草類が固着していたことに加え、引き揚げた捕集材の繋ぎ目にイカが卵を生み付けていたことから、魚礁になりえることがわかった。

38000116
レーザー駆動プラズマ電子加速器
近藤 公伯
パリティ 24(11), p.21-31(2009) ; (JAEA-J 06707)
 ローレンスバークレイ研究所のWim LeemansとEric Esareyが記したPhysics Todayの記事を、翻訳した。Leemansは世界に先駆けて田島・ドーソンが提案したレーザープラズマ加速器の原理により長さ3cmのプラズマキャピラリーで1GeVの準単色電子加速に成功した人物で、本記事ではこれまでのプラズマによる電子加速研究のレビューと自身の研究、そして今後の展望を説明している。

38000117
炭酸塩を含む地層処分模擬環境における純銅のアノード分極挙動と皮膜破壊電位の検討
川崎 学; 谷口 直樹; 内藤 守正
材料と環境 58(11), p.386-394(2009) ; (JAEA-J 06709)
 銅オーバーパックの酸化性雰囲気における腐食挙動に及ぼす環境因子の影響を明らかにすることを目的として、炭酸塩水溶液を用いて動電位法及び定電位法によるアノード分極試験を80℃にて行った。その結果、高炭酸塩濃度,低塩化物イオン濃度,高pH条件ほど不動態化が促進され、皮膜破壊は抑制された。また、硫酸イオンは皮膜破壊を促進する傾向があった。ケイ砂混合ベントナイト中では水溶液中に比べて溶液組成の違いによるアノード分極曲線への影響は小さいことがわかった。また、より温度の低い条件で得られた既往のデータと比較すると、温度が高いほど不動態しやすくなる傾向は認められるものの、皮膜破壊電位Ebへの温度による影響は認められなかった。皮膜破壊電位Ebを皮膜攻撃型のイオンと皮膜破壊抑制型のイオンの濃度比、[Cl-]/[HCO3-], [SO42-]/[HCO3-]に対して整理すると、この濃度比が高いほどEbは卑化した。また、濃度比がある値以上では活性溶解の領域となり、不動態領域におけるEbの下限値は約-200mV vs. SCEと求められた。定電位試験の結果、Eb以上の電位や、アノード分極曲線における第2のピーク電流が現れる電位以上の条件で孔食又は不均一な腐食が観察された。

38000118
Shell evolution in the sd-pf shell studied by the shell model
宇都野 穣; 大塚 孝治*; Brown, B. A.*; 本間 道雄*; 水崎 高浩*
AIP Conference Proceedings 1120 (Internet) , p.81-86(2009) ; (JAEA-J 06711)
 中性子過剰核では、安定核とは異なる殻構造が出現する可能性が高いと最近の実験から示唆されている。中性子数20の魔法数消滅,16の新魔法数出現などがその例として挙げられるが、これらは陽子のd5/2軌道と中性子のd3/2軌道が他の軌道間よりもはるかに強い引力で結ばれていることからの帰結であるとされている。こうした、核力の強さの軌道依存性による不安定核における殻構造の変化(殻進化と呼ばれる)について、テンソル力が重要な役割を果たしているという説が近年有望視されている。そこで、われわれはテンソル力をあらわに入れた有効相互作用による殻模型計算をsd-pf殻領域で遂行した。テンソル力の影響が最も顕著に見られる中性子数28の殻構造と核構造を調べた結果、(1)カリウム同位体における1/2+準位と3/2+準位の逆転,(2)48Caの一粒子ノックアウト反応で得られるスペクトロスコピック因子の分布,(3)42Siにおける低い2+準位はテンソル力による殻進化を取り入れなければ説明できないことがわかり、テンソル力の重要性を定量的に理解することができた。

38000119
General relativistic compact stars with exotic matter
安武 伸俊*; 丸山 敏毅; 巽 敏隆*; 木内 健太*; 固武 慶*
AIP Conference Proceedings 1120 (Internet) , p.146-150(2009) ; (JAEA-J 06712)
 We study the structure of magnetized hybrid stars in general relativistic formalism and calculate possible evolutionary paths of formation of hybrid stars due to spin-down of magnetized rotating neutron stars. Our study is based on axisymetric and stationary formalism including purely toroidal magnetic field. For hybrid stars, we find characteristic distribution of magnetic field, which is confined in the stellar core of mixed phase. The released energy by QCD phase transition is very large, 〜1052 ergs. The liberated energy might become a new energy source for a delayed explosion of supernova. Moreover, we find and estimate the spin-up by the transition. This spin-up accompanies the energy release, hence it will be candidates such astrophysical phenomena. We also study the finite size effects of quark-hadron mixed phase on the structures of magnetars.

38000120
Structure of multi-antikaonic nuclei
武藤 巧*; 丸山 敏毅; 巽 敏隆*
AIP Conference Proceedings 1120 (Internet) , p.270-274(2009) ; (JAEA-J 06713)
 We investigate multi-antikaonic nuclei (MKN), where several K- mesons are bound in the nucleus. We base our study on the relativistic mean-field theory, coupled with kaon-nucleon and kaon-kaon interactions which respect chiral symmetry. We discuss the effects of the nonlinear K - K interaction, which is inherent in the chiral model, and on the properties of the MKN. We obtain density profiles for nucleons and K- mesons, the single particle energy of the K- mesons, and binding energy of the MKN by systematically changing |S| (the number of the embedded K-). We discuss the nonlinear K - K repulsive effect, which makes the K- field saturate above a certain value of |S| in nuclei. We also discuss a possible observation of the MKN in experiments.

38000121
Plasma physics found in JT-60 tokamak over the last 20 years
菊池 満; JT-60チーム
AIP Conference Proceedings 1150 , p.161-167(2009) ; (JAEA-J 06714)
 JT-60は等価臨界条件を達成することを目指した大型トカマクであり、1985年4月に運転を開始し、2008年8月に運転を終了した。JT-60は1996年にイオン温度の世界記録45keVを達成し、ギネスブックに掲載され、電子温度も世界記録20keVを達成した。また、等価エネルギー増倍率の世界記録Qeq=1.25を達成した。JT-60ミッションの達成に並行してトカマクシステムのパルス運転という性質の克服のために、自発電流を最大限用いた定常トカマク炉の概念構築を行った。この概念構築は、トカマク研究の方向性を低安全係数(高プラズマ電流)、高トロイダルベータ領域から、高安全係数、高ポロイダルベータ領域にドラスティックに変更し、しばしば先進トカマク研究と呼ばれた。本講演では、おもにJT-60で明らかにされた定常トカマクの物理、具体的には、自発電流,電気伝導度,ビームと電子サイクロトロン電流駆動,負磁気シア,電流ホール,自己組織化臨界,内部輸送障壁等について述べる。

38000122
Multi-code ab intio calcualtion of ionization distributions and radiation losses for tungsten for tokamak plasmas
Ralchenko, Y.*; Abdallah, J. Jr.*; Bar-Shalom, A.*; Bauche, J.*; Bauche-Arnoult, C.*; Bowen, C.*; Busquet, M.*; Chung, H.-K.*; Colgan, J.*; Faussurier, G.*; Fontes, C. J.*; Foster, M.*; de Gaufridy de Dortan, F.*; Golovkin, I.*; Hansen, S. B.*; Klapisch, M.*; Lee, R. W.*; Novikov, V.*; Oreg, J.*; Peyrusse, O.*; Poirier, M.*; 佐々木 明; Scott, H.*; Zhang, H. L.*
AIP Conference Proceedings 1161 , p.242-250(2009) ; (JAEA-J 06715)
 磁場閉じ込め核融合で用いられるタングステンプラズマにおけるイオン分布と放射損失の計算結果について述べる。シミュレーションは、nonLTEコード比較ワークショップの一環として行われたもので、各著者によって独立に開発した衝突輻射モデルの相互比較を行った。コード間で全体的に良い一致が見られたが、温度2〜3keVの低温の条件において、実験結果と顕著な違いが認められた。

38000123
Toroidal rotation profiles under the influence of fast-ion losses due to toroidal field ripple
本多 充; 滝塚 知典; 福山 淳*; 吉田 麻衣子; 小関 隆久
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.8 , p.316-320(2009) ; (JAEA-J 06717)
 1次元多流体輸送コードTASK/TXを用いて、リップルによる高速イオン損失の影響下におけるトロイダル回転分布の性質について調べた。中性粒子ビーム(NB)が入射されたとき、高速イオンの一部はリップルの影響で損失を起こす。準中性を保つためにバルクプラズマに内向きの径電流が流れ、それがプラズマ電流と逆向きのトルクをプラズマ中に生じさせる。プラズマ外部から操作可能な手法に対するトロイダル回転の感受性を調べるために、このトルクによって駆動されるプラズマ回転のパラメータサーベイを行った。大きめのリップル強度の場合、順方向NBパワーを増すにつれて周辺領域で逆向きのトロイダル回転が形成され、あるパワーで磁気軸における順方向トロイダル回転が最大値に達することがわかった。逆向きの回転を起こすリップルによって生じるトルクは、壁からのガスパフを調整することで緩和できる。また、プラズマ電流の増加によってもリップルが駆動する逆回転を緩和できることがわかった。

38000124
Numerical modelling of high energy ion transport in tokamak plasmas
濱松 清隆
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.8 , p.1134-1137(2009) ; (JAEA-J 06718)
 核融合炉でのプラズマ制御の数値シミュレションを行うためにTOPIC-IBコードの開発が進められている。このコードでは、コア・プラズマの径方向輸送,MHD平衡と不安定性,加熱電流駆動,SOL領域でのプラズマ流等々のさまざまな物理現象を統合的に解析する。しかし、核反応アルファ粒子等の高速イオンに関しては減速過程だけを解析しており、TAEモード等のMHD不安定性に起因する径方向への大きな輸送を解析することがでない。本研究では、高速イオンの径方向輸送を解析するために、フォッカー・プランク方程式に半径方向への異常輸送項を加え、この方程式を粒子軌道にそって平均化した軌道平均フォッカー・プランク方程式の定式化を行った。この方程式は速度方向2次元と半径方向の3次元空間での速度分布関数の時間発展であり、その数値解析例も示す。

38000125
A Systematic approach to evaluate the importance of concerns affecting the geological disposal of radioactive wastes
大井 貴夫; 稲垣 学; 川村 淳; 江橋 健
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1124 , p.407-412(2009) ; (JAEA-J 06720)
 放射性廃棄物の地層処分の安全評価においては、さまざまな観点から懸念事象が抽出され、それらに対する研究が精力的に進められてきている。しかし、これまで、処分の安全評価におけるこれらの相対的な重要性を把握するための体系的な検討はなされていない。これらの相対的な重要性を明示することは、処分の安全評価の信頼性を向上に資する重要な課題である。本研究では、処分のシナリオや評価ケース及び個々の評価研究の相対的重要度の提示を可能とする体系的な評価手法を構築することを目的として、(1)処分の安全性に対する多様な懸念事象の影響を統一的な方法で評価するための総合評価作業フレームの整備,(2)評価パラメータの類型化や感度解析の結果得られる影響特性情報のフィードバックに基づいて重要度を把握するための情報整理手順の整備に関する検討を行った。

38000126
Sorption and diffusion of Cs in Horonobe-URL's sedimentary rock; Comparison and model prediction of retardation parameters from sorption and diffusion experiments
舘 幸男; 清田 佳美; 土井 玲祐; Xia, X.*; 油井 三和
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1124 , p.573-579(2009) ; (JAEA-J 06721)
 Diffusion and sorption of Cs in the sedimentary rock of Horonobe generic URL site were studied in the present study. The retardation parameters, De and Kd, of rock for Cs were measured by both batch sorption and intact diffusion experiments with the comparison of obtained retardation parameters each other. The tracer depletion, breakthrough and inner concentration data in the through diffusion experiment were simulated simultaneously by the conventional transport model with one set of the retardation parameters. The Kd values obtained from the data fitting were consistent with those obtained by the batch sorption experiment with crushed rock. The obtained sorption parameters were also simulated based on geochemical model calculation to interpret the sorption behavior theoretically under the assumption of dominant sorption minerals and their sorption mechanism.

38000127
Nano-particle materials prepared from a synthetic antigenic sequence of plasmodium falciparum enolase
奥 浩之*; 山田 圭一*; 小林 京子*; 片貝 良一*; Ashfaq. M*; 花岡 弘文*; 飯田 靖彦*; 遠藤 啓吾*; 長谷川 伸; 前川 康成; 矢野 和彦*; 狩野 繁之*; 鈴木 守*
Peptide Science 2008 , p.439-442(2009) ; (JAEA-J 06722)
 マラリアは、熱帯及び亜熱帯地域における主な死因の一つである。これまでの研究において、エノラーゼ基質結合部位の部分配列に由来する人工ペプチド抗原としてマラリアワクチン抗原の有用性を検証してきた。人工抗原ペプチドは、抗原性ペプチドに5(6)-カルボキシフルオロセインを用いて蛍光ラベルして合成した。合成したペプチドは、乳酸とグリコール酸の共重合体(PLGA)を用いて乳化重合後、ホモジナイズし、ナノ粒子化した。この粒子へ再度0.5%ポリビニルアルコールを加えた後、乳化,ホモジナイズして粒子径0.3から1.5mmのナノ粒子を調製した。蛍光強度からみた生体外での徐放試験において、ペプチド抗原のみから作製したナノ球体を用いた場合、薬剤は、保留日数に対してほぼ0次で急激に放出されるのに比べ、PLGAナノ粒子に調製した試料は、1μg/7日間で徐放されることがわかった。1.0mg(蛍光入り薬剤4.0μg)のナノ粒子を用いたハダカネズミによる生体内試験において、蛍光強度は、12日間かけ次第に減少し、今回調製されたナノ微粒子は持続的に抗原を徐放することがわかった。

38000128
Present status of operation and maintenance of JRR-3
市村 俊幸; 諏訪 昌幸; 福島 学; 大場 敏充; 根本 吉則; 寺門 義文
Proceedings of 12th International Group on Research Reactors (12th IGORR) (USB Flash Drive) , 8p.(2009) ; (JAEA-J 06724)
 The JRR-3 (Japan Research Reactor No. 3) was constructed as the first domestic reactor in 1962. The large-scale modification such as removal and re-installation of the core was carried out from 1985 to 1990. It reached integrated output of 59.9 GWd in July, 2009. JRR-3 has continued the stable operation with several maintenance. Three topics are picked up as major maintenances; modification of fuel elements from aluminide to silicide, replacement of a process control computer system, replacement of a helium compressor of the helium gas system which is part of the heavy water cooling system.

38000129
Validation for multi-physics simulation of core disruptive accidents in sodium-cooled fast reactors by COMPASS code
越塚 誠一*; 守田 幸路*; 有馬 立身*; Zhang, S.*; 飛田 吉春; 山野 秀将; 伊藤 高啓*; 内藤 正則*; 白川 典幸*; 岡田 英俊*; 上原 靖*; 長峰 康雄*; 山本 雄一*; 氷見 正司*; 平野 悦丈*; 清水 泉介*; 大上 雅哉*
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-13) (CD-ROM) , 11p.(2009) ; (JAEA-J 06725)
 COMPASSコードにより溶融炉心物質の分散・固化が計算され、GEYSER実験データと比較された。溶融炉心物質が配管内面を固化しながら流れていった。溶融プール挙動について、固体スティール球が固体燃料により囲まれた体系であるCABRI-TPA2実験が解析された。スティール球の溶融と沸騰を引き起こすために出力が印加された。SCARABEE-BE+3試験もダクト壁破損の検証としてCOMPASSコードにより解析された。

38000130
Fuel pin behavior under slow ramp-type transient-overpower conditions in the CABRI-FAST experiments
深野 義隆; 小野田 雄一; 佐藤 一憲; Charpenel, J.*
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-13) (CD-ROM) , 13p.(2009) ; (JAEA-J 06726)
 In the CABRI-FAST experimental program, four in-pile tests were performed with slow power-ramp-type transient-overpower conditions to study transient fuel pin behavior under inadvertent control rod withdrawal events in liquid metal cooled fast breeder reactors. Annular-pellet fuel pins were used in three tests, while a solid-pellet fuel pin was used in the other test. All of these pins were pre-irradiated in Phenix. The slow TOP test with a solid-pellet fuel pin was realized as a comparatory test against an existing test (E12) in the CABRI-2 program. In the CABRI-FAST test (BCF1), a power ramp rate of 3%Po/s was applied, while in the CABRI-2 test, 1%Po/s was adopted. In spite of the different power ramp rates, evaluated fuel thermal conditions at the observed failure time are quite similar. The continued overpower condition in the BCF1 test resulted in gradual degradation of the pin structure providing information effective for evaluation of various accident scenarios. Three slow TOP tests with the annular fuel in the CABRI-FAST program resulted in no pin failure showing high failure threshold. These CABRI FAST slow TOP tests, in combination with the existing CABRI and TREAT tests, provided an extended slow TOP test database with various fuel and transient conditions.

38000131
CABRI-RAFT TP2 and TP-A1 tests simulating the unprotected loss-of-flow accident in sodium-cooled fast reactors
小野田 雄一; 深野 義隆; 佐藤 一憲; Marquie, C.*; Duc, B.*
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-13) (CD-ROM) , 15p.(2009) ; (JAEA-J 06727)
 TP2 and TP-A1 tests were conducted in the framework of the CABRI-RAFT program to study post-failure material-relocation during the Unprotected Loss-of-Flow (ULOF) accident in sodium-cooled fast reactors. In these tests, a three-pin-cluster geometry was adopted to supply complementary information to the existing CABRI-single-pin tests. Two different levels of energy injection into the fuel pins were realized to clarify the effect of fuel enthalpy on axial fuel relocation. Starting from a steady-state condition, Loss of Flow (LOF) was applied and then Transient Over Power (TOP) was triggered 13.4 s and 9.1 s after the coolant boiling in the TP2 and TP-A1 tests, respectively. Through a close look at these test results, it is concluded that the fuel relocation is dominated by accumulated fuel enthalpy and is not depending on three-pin-cluster or single pin conditions.

38000132
Criteria for occurrence of self-leveling in the debris bed
Zhang, B.*; 原田 哲志*; 平原 大輔*; 松元 達也*; 守田 幸路*; 福田 研二*; 山野 秀将; 鈴木 徹; 飛田 吉春
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-13) (CD-ROM) , 15p.(2009) ; (JAEA-J 06728)
 高速炉における事故条件では燃料デブリからの崩壊熱が冷却材沸騰を引き起こすが、本研究では、軸方向に増加するボイド分布を模擬するため、従来のデブリベッド下部からのガス注入あるいは加熱の代わりに減圧沸騰を用いて実験を実施した。セルフレベリング発生についてモデル予測は実験結果と良い一致を得た。実機条件に対する本モデルの外挿性もまた考察された。

38000133
Application of radiation probes to in situ composition measurements of Bunsen reaction solution
久保 真治; 長家 康展
Proceedings of 2009 AIChE Annual Meeting (CD-ROM) , 5p.(2009) ; (JAEA-J 06729)
 熱化学法ISプロセスを実現するためには、化学プロセスの安全性,操作性を確保するうえでの必須技術である溶液組成計測法の開発が重要課題である。複数の放射線をプローブとする組成計測方法(マルチ放射線プローブ法)を用いることにより、従来法にはない優れた特徴(多成分溶液を連続計測,センサーが非接触で高温高腐食環境に耐える,簡便な実施,多様なプロセスに適用)を持つオンライン組成計測法の確立が期待できる。ISプロセスの主要流体であるブンゼン反応溶液の一つであるポリヨウ化水素酸(HI-I2-H2O溶液)を用い、マルチ放射線プローブ法の原理・適用を検証するためのラボスケール測定実験を行った。樹脂製容器(内径約200mm)に供試溶液(室温)を注入し、底部に設置した中性子水分計によって、高速中性子(カリフォルニウム線源2.5MeV)照射による熱中性子カウント値を取得した。供試溶液を、水,ヨウ化水素酸(HI-H2O溶液),ポリヨウ化水素酸と変え、溶液中の水素原子体積濃度を変化させると、これら濃度とカウント値に相関が認められた。これら結果は、マルチ放射線プローブ法によるポリヨウ化水素酸組成の定量可能性を示すものである。

38000134
Computational simulations on melting process of fine metal powders with laser irradiation welding
高瀬 和之; 村松 壽晴; 菖蒲 敬久; 月森 和之
Proceedings of 2009 ASME International Mechanical Engineering Congress & Exposition (IMECE 2009) (CD-ROM) , 2p.(2009) ; (JAEA-J 06730)
 原子炉本体やその付帯設備等の健全性を確保する補修技術の確立を目的として、3次元微細加工が可能なレーザーを利用した金属材料溶接技術の開発が行われている。この開発の一環として、金属材料溶接技術の最適化を目指し、レーザー照射による金属の溶融挙動を計算機によるシミュレーションによって定量評価する手法の開発を次世代部門と協力して行っている。本報では、対象とする金属の融点,凝固点及び溶融潜熱をもとに構築した溶融モデルを使って予備解析を行い、溶融過程シミュレーションの可能性について検討した結果について報告する。シミュレーションによって予測した金属の溶融挙動はレーザー溶接の実験結果の傾向をよく模擬しており、金属材料溶融過程シミュレーションの実現に向けて見通しを得ることができた。

38000135
Numerical simulations on turbulent heat transfer characteristics of supercritical pressure fluids
中塚 亨; 高瀬 和之; 吉田 啓之; 三澤 丈治
Proceedings of 2009 ASME International Mechanical Engineering Congress & Exposition (IMECE 2009) (CD-ROM) , 8p.(2009) ; (JAEA-J 06731)
 超臨界圧軽水炉の熱設計を行ううえで、超臨界圧流体の伝熱劣化現象を正確に把握できる熱設計手法の整備が必要である。しかしながら、乱流条件下における伝熱劣化現象の詳細なメカニズムが解明されていないため、熱設計で使用される乱流モデルの適用性について十分な検討は行われていない。そこで、超臨界圧軽水炉の炉心熱設計精度向上に資することを目的として、伝熱劣化現象を予測できる乱流熱伝達率予測手法の開発・整備を目指し、標準型2方程式モデル,低レイノルズ数型2方程式モデル,レイノルズ応力モデル,ラージ・エディ・シミュレーションの4つの乱流モデルに対して、それぞれの予測精度を評価した。その結果、ラージ・エディ・シミュレーションによる解析が超臨界圧軽水炉における伝熱劣化現象を高い精度で予測できる可能性を示すことがわかった。

38000136
COMPASS code development and validation; A Multi-physics analysis of core disruptive accidents in sodium-cooled fast reactors using particle method
越塚 誠一*; Liu, J.*; 守田 幸路*; 有馬 立身*; Zhang, S.*; 飛田 吉春; 山野 秀将; 伊藤 高啓*; 内藤 正則*; 白川 典幸*; 細田 誠吾*; 上原 靖*; 山本 雄一*; 小境 博*; 氷見 正司*; 平野 悦丈*; 清水 泉介*; 大上 雅哉*
Proceedings of 2009 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '09) (CD-ROM) , 1p.(2009) ; (JAEA-J 06732)
 ナトリウム冷却高速炉(SFR)での炉心崩壊事故のマルチフィジックス解析のためCOMPASSというコンピュータコードを開発している。熱流動・構造の複合問題にさまざまな相変化過程を伴う解析が必要であるため、MPS法というメッシュレス法を用いている。分離された素過程に対する検証及び実現象に対する検証を実施する。また、COMPASSは、大型SFR炉心における再臨界回避のための溶融燃料の流出を調べることもまた期待される。MOX燃料に加えて、金属燃料も考慮している。金属燃料と被覆材間の共晶反応は、相図計算,古典・第一原理分子動力学によって調べられる。数値計算手法に関連した基礎研究はCOMPASSのコード開発に役立つ。並列計算は大規模計算を扱うためOpenMPを使用して実施する。AVSにより可視化ツールもまた備えている。

38000137
A Dispersive, lane-consistent coupled-channel optical model based on soft-rotator theory for accurate calculation of nuclear reaction data
千葉 敏; Soukhovitski, E. Sh.*; Capote, R.*; Quesada, J.*
Proceedings of 2009 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '09) (CD-ROM) , p.9172_1-9172_7(2009) ; (JAEA-J 06733)
 これまで核子入射反応の計算のために開発してきたチャンネル結合模型OPTMANを拡張し、(p,n)反応を記述できるようレーン模型を組み込んだ。これによって、(n,n), (p,p), (p,n)反応の同時解析を200MeV程度のエネルギーまで行うことが可能となり、核データ評価やさまざまな核反応率の計算に用いることが可能となった。

38000138
JAEA study on assurance of supply of nuclear fuel
直井 洋介; 小林 直樹; 田崎 真樹子
Proceedings of American Nuclear Society 2009 Annual Meeting (CD-ROM) , p.163-164(2009) ; (JAEA-J 06737)
 核燃料の供給保証は核不拡散以外の政治的な理由で供給が途絶した場合の特別なアレンジであり、ウラン濃縮技術等の機微技術の拡散を避けつつ安定な核燃料供給を実現させることを目指している。現在の議論は、IAEAのエルバラダイ事務局長の提案に端を発し、事務局長諮問の専門家グループの報告書や、各国からのさまざまな提案がなされている。JAEAは供給国が自発的に供給容量等をIAEAに登録し、市場の透明性を高め途絶を起き難くするという日本提案をベースにメカニズムの研究を行っている。登録情報をより細かく具体化し、(1)供給国が供給可能な核燃料や役務の量やサービスの量,(2)核物質の形態や組成,(3)大まかな供給のリードタイムを登録することや供給保証のレベル分けを保証の対象をフロントエンド全体に広げて事務局長が定義した3つのレベルを3つのモードに再定義した。

38000139
Compatibility of zirconium alloy with high temperature sodium
古川 智弘; 加藤 章一; 前田 茂貴
Proceedings of European Corrosion Congress (EUROCORR 2009) (CD-ROM) , 8p.(2009) ; (JAEA-J 06738)
 高速実験炉「常陽」では炉心燃料周辺の反射体にジルコニウム合金を適用することが計画されている。本研究では、ジルコニウム合金の冷却材との共存性を明らかにするために、初期酸素濃度1ppmの650℃及び500℃の停留ナトリウム中で、ジルコニウム合金(棒)の1000時間の腐食試験を実施した。ナトリウム中での高温酸化に起因する重量増加がわずかに観察された。腐食試験片の金属組織は、試験前の組織と同様であり、ジルコニウム合金構成元素(Zr, Sn, Cr, Fe)のナトリウム中への溶出は観察されなかった。ナトリウム浸漬材の引張強さは、受入材のそれと同様であり、機械的強度特性に及ぼすナトリウムの影響は観察されなかった。

38000140
Current understanding on radiation chemistry of high temperature and supercritical water
Lin, M.; 勝村 庸介; 室屋 裕佐*; 山下 真一
Proceedings of Symposium on Water Chemistry and Corrosion in Nuclear Power Plants in Asia 2009 (CD-ROM) , p.66-70(2009) ; (JAEA-J 06740)
 次世代原子炉(GenIV)の中でも超臨界水冷却炉(SCWR)は最も見込みのあるものの一つとして期待されている。適切な水化学の制御、特に酸素や過酸化水素を放射線分解反応において水に還元するために炉内へ水素を注入することは炉内環境を最適に保持するための鍵となり得る。近年、高温並びに超臨界状態における放射線分解収量及び反応速度定数についての研究が進められてきている。実験的研究により、300℃を超えると放射線分解収量と温度の間に直線関係は成立しなくなり、さらに超臨界状態では放射線分解収量に対する密度効果が特に超臨界温度付近において顕著に見られることが明らかとなった。また、多くの反応の反応速度定数も直線的なアレニウスプロットから外れ、超臨界状態において顕著な密度効果があることが明らかになっている。

38000141
Rotamer libraries for molecular modeling and design of proteins
河野 秀俊
Protein Engineering and Design , p.281-292(2009) ; (JAEA-J 06741)
 Although the 3D structures of more than 50,000 proteins have been determined and recorded in the Protein Data Bank (PDB) to date (Berman et al. 2000), accurate structural modeling of unknown proteins remains one of the most challenging problems in molecular biology. Modeling the protein structure, which involves determining the optimum side-chain conformations as well as backbone geometry, is important to understand molecular function because the activity of a protein often depends critically on its structure. For example, to understand enzymatic catalysis at a molecular level, one must first understand the structural aspects of the active site, including the elaborate tertiary arrangement of side chain and backbone atoms.

38000142
伝熱管検査技術高度化のための磁性粉探傷用蛍光マイクロカプセルの作製
伊東 富由美; 西村 昭彦
日本保全学会第6回学術講演会要旨集 , p.551-553(2009) ; (JAEA-J 06743)
 溶接部の検査技術として蛍光磁性粉を用いた磁気探傷法が挙げられる。伝熱管の検査技術に磁気探傷法を適応するためには、複雑な形状及び深さが数μm以上の欠陥でも検出可能という長所を活かしつつ、伝熱管内に磁性粉を散布するという短所の改善が必要である。ここではミリメートルサイズの欠陥に磁性粉を集合するため、磁性粉を含有したμmサイズのカプセルを作製した。この作製したマイクロカプセルは磁力線に集合することを確認した。これにより磁性粉の回収が容易となることから高経年化する軽水炉や今後のFBRの伝熱管の保守安全に役立つ手法となる。

38000143
レーザー照射による材料溶接シミュレーションに関する予備的検討
高瀬 和之; 村松 壽晴; 関 暁之; 北村 竜明*; 町田 啓*
日本機械学会熱工学コンファレンス2009講演論文集 , p.217-218(2009) ; (JAEA-J 06744)
 原子炉本体やその付帯設備等の健全性を確保する補修技術の確立を目的として、3次元微細加工が可能なレーザーを利用した金属材料溶接技術の開発が行われている。この開発の一環として、金属材料溶接技術の最適化を目指し、レーザー照射による金属材料の溶融挙動を数値シミュレーションによって定量評価する手法の開発を原子力基礎工学部門が行っており、この手法開発に大型計算機の運用面等から協力を行っている。具体的には、金属溶融モデルのプログラミング,入力データの作成,予備計算の実施等を行い、金属材料溶融シミュレーションの可能性についてシステム計算科学の立場から助言を行っている。本報では、予備的に実施した金属溶融シミュレーションをもとに可視化処理した結果について述べる。

38000144
TRAC-BF1コードによる直管型蒸気発生器の流動安定性に関する予備検討
中塚 亨; Liu, W.; 吉田 啓之; 高瀬 和之
日本機械学会熱工学コンファレンス2009講演論文集 , p.269-270(2009) ; (JAEA-J 06745)
 次世代高速増殖炉の直管型蒸気発生器(直管型SG)等の熱工学的成立性評価においては、伝熱管内を流れる水-蒸気二相流の挙動、特に高圧下における複数並行流路の流動安定性を高精度で予測できる熱設計手法の確立が重要である。そこで、システム解析コードTRAC-BF1をもとに、原子力機器等の熱水力不安定性に関する予測手法の開発を行っている。本報では、予測手法開発の一環として、直管型SGをVESSELコンポーネント及び並列複数チャンネルにより模擬するためにTRAC-BF1コードの改良を行い、解析モデルを構築した結果について述べる。本研究の結果、単一のVESSELコンポーネントを一次側と二次側に分割することによって計算を支障なく実行できることを確認した。今後は、一次側ナトリウムの物性値を評価できるようにコードを改良し、実際の試験条件を模擬した解析を実施するとともに、試験結果との比較を通して予測結果の妥当性を評価する考えである。

38000145
瑞浪超深地層研究所の花崗岩中に分布する高角度割れ目の特性
田上 雅彦; 石田 英明; 鶴田 忠彦
日本応用地質学会平成21年度研究発表会講演論文集 , p.175-176(2009) ; (JAEA-J 06746)
 結晶質岩中の割れ目は、地下水流動特性に大きな影響を及ぼしている。高レベル放射性廃棄物の地層処分施設などの地下構造物を設計するうえで、物質移動や安全施工の観点からこれら割れ目の構造や分布・透水性を理解することは必要不可欠である。本稿は平成20年度に瑞浪超深地層研究所の立坑深度300mにおいて掘削した、水平延長約100mの研究アクセス坑道沿いの割れ目特性について報告する。坑道の先行水平ボーリングでは、毎分1000リットルを超える湧水割れ目の存在が確認されており、それらの割れ目に対して断続的なグラウト工を施して坑道を掘削した。切羽の壁面観察において、割れ目の方位測定・挟在鉱物やグラウト充填の有無・湧水状況などを観察した結果、北東系及び北西系の高角度割れ目が湧水割れ目として働いていることがわかった。既に確認された低角度割れ目集中帯との特徴の違いもふまえ、形成過程と水みちとしての機能について考察する。

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