学会誌等掲載論文
※下記の研究開発成果は資料名順に並んでいます。

2011年12月


39001481
New apparatus for liquid-liquid extraction, "emulsion flow" extractor
柳瀬 信之; 長縄 弘親; 永野 哲志; 野呂 純二*
Analytical Sciences 27(2), p.171-174(2011) ; (JAEA-J 09768) [link]
 送液のみで撹拌や振蕩などの外部機械力を必要としない連続的で高効率な液液抽出のための単純で低コストな装置を新規に開発した。この装置は、有機相へマイクロメーターサイズの水相を噴出させてエマルション状態の液体の流れ(エマルションフロー)を発生させるカラム部と、エマルションフローを不安定化させ消滅させる相分離部により構成されている。本研究では硝酸溶液のYb(III)とU(VI)をD2EHPAを含んだイソオクタンに抽出する実験によってエマルションフロー装置の性能を評価した。エマルションフロー装置の混合効率は一般的な液液抽出装置ミキサーセトラーと同等であることがわかった。さらに、エマルションフロー装置は相分離に関して大きな利点を有することが明らかとなった。

39001482
Spinmotive force due to intrinsic energy of ferromagnetic nanowires
山根 結太; 家田 淳一; 大江 純一郎*; Barnes, S. E.*; 前川 禎通
Applied Physics Express 4(9), p.093003_1-093003_3(2011) ; (JAEA-J 09769) [link]
 We study, both analytically and numerically, a spinmotive force arising from inherent magnetic energy of a domain wall in a wedged ferromagnetic nanowire. In a spatially-nonuniform nanowire, domain walls are subjected to an effective magnetic field, resulting in spontaneous motion of the walls. The spinmotive force mechanism converts the ferromagnetic exchange and demagnetizing energy of the nanowire into the electrical energy of the conduction electrons through the domain wall motion. The calculations show that this spinmotive force can be several microvolts, which is easily detectable by experiments.

39001483
Synchrotron X-ray photoelectron spectroscopy study on thermally grown SiO2/4H-SiC(0001) interface and its correlation with electrical properties
渡部 平司*; 細井 卓治*; 桐野 嵩史*; 景井 悠介*; 上西 悠介*; Chanthaphan, A.*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 志村 考功*
Applied Physics Letters 99(2), p.021907_1-021907_3(2011) ; (JAEA-J 09770) [link]
 The correlation between atomic structure and the electrical properties of thermally grown SiO2/4H-SiC(0001) interfaces was investigated by synchrotron X-ray photoelectron spectroscopy together with electrical measurements of SiC-MOS capacitors. We found that the oxide interface was dominated by Si-O bonds and that there existed no distinct C-rich layer beneath the SiC substrate despite literature. In contrast, intermediate oxide states in Si core-level spectra attributable to atomic scale roughness and imperfection just at the oxide interface increased as thermal oxidation progressed. Electrical characterization of corresponding SiC-MOS capacitors also indicated an accumulation of both negative fixed charges and interface defects, which correlates well with the structural change in the oxide interface and provides insight into the electrical degradation of thermally grown SiC-MOS devices.

39001484
Positive exchange bias from magnetization reversal in La1-xPrxCrO3 (x〜0.7-0.85)
吉井 賢資
Applied Physics Letters 99(14), p.142501_1-142501_3(2011) ; (JAEA-J 09771) [link]
 ペロブスカイトクロム酸化物La1-xPrxCrO3が、通常見られる負の交換バイアス効果のみならず、特異な正のバイアス効果を示すことを見いだした。磁化データから、これはこの系が示す負の磁化と関係する。200K以下において、同方向である磁場の大きさを変えることで、これら2つのバイアス効果をスイッチング可能であり、応用的にも興味深い。正のバイアス効果は比較的低い冷却磁場(<15kOe)で発現するが、この磁場は、CrモーメントがPrサイトに及ぼす内部磁場と同程度であり、スイッチングはPrモーメントの向きに依存していることを提案する。

39001485
What determines water-bridge lifetimes at the surface of DNA? Insight from systematic molecular dynamics analysis of water kinetics for various DNA sequences
米谷 佳晃; 河野 秀俊
Biophysical Chemistry 160(1), p.54-61(2012) ; (JAEA-J 09772) [link]
 The lifetime during which a water molecule resides at the surface of a biomolecule varies according to the hydration site. What determines this variety of lifetimes? Despite many previous studies, there is still no uniform picture quantitatively explaining this phenomenon. Here we calculate the lifetime for a particular hydration pattern in the DNA minor groove, the water bridge, for various DNA sequences to show that the water-bridge lifetime varies from 1 to 300 ps in a sequence-dependent manner. We find that it follows 1/k (Vstep)Pm, where Pm and Vstep are two crucial factors, namely the probability of forming a specific hydrogen bond in which more than one donor atom participates, and the structural fluctuation of DNA, respectively. This relationship provides a picture of the water kinetics with atomistic detail and shows that water dissociation occurs when a particular hydrogen-bonding pattern appears.

39001486
Fluorido complex formation of element 104, rutherfordium (Rf)
石井 康雄; 豊嶋 厚史; 塚田 和明; 浅井 雅人; Li, Z.*; 永目 諭一郎; 宮下 直*; 森 友隆*; 菅沼 英夫*; 羽場 宏光*; 後藤 真一*; 工藤 久昭*; 秋山 和彦*; 大浦 泰嗣*; 篠原 厚*; Schädel, M.; Pershina, V.*; Kratz, J. V.*
Bulletin of the Chemical Society of Japan 84(9), p.903-911(2011) ; (JAEA-J 09773) [link]
 本研究では、HF/HNO3水溶液中における104番元素ラザホージウム(Rf)の陽イオン交換挙動を4族同族元素Zr, Hf並びに擬同族元素Thとともに調べた。その結果、HF/0.10M HNO3水溶液中におけるRfの分配係数(Kd)はフッ化物イオン濃度([F-])の増加に対して減少することがわかった。これはRfフッ化物錯体の逐次錯形成を示している。また、Rfと同族元素のKd値の変化を水素イオン濃度([H+])の関数として調べた。logKd値はlog[H+]に対して直線的に減少し、その傾きは-2.1から-2.5の間であった。この結果はこれらの元素が同じ錯イオン、おそらく[MF]3+と[MF2]2+の混合物として溶液中に存在することを示している。またそのフッ化物錯体形成の強さはZr〜Hf>Rf>Thの順であった。

39001487
Thermodynamic considerations on the purification of H2SO4 and HIx phases in the iodine-sulfur hydrogen production process
Wang, L.*; 今井 良行; 田中 伸幸; 笠原 清司; 久保 真治; 小貫 薫
Chemical Engineering Communications 199(2), p.165-177(2012) ; (JAEA-J 09774) [link]
 熱化学水素製造ISプロセスにおいて、ブンゼン反応で生成するH2SO4相及びHIx相はそれぞれ少量の不純物(前者はHIとI2、後者はH2SO4)を含んでおり、効率的な水素製造のためには、これらを分離,回収する精製工程が不可欠である。最適精製条件検討に資するために、化学プロセスシミュレータESPによる熱力学的検討を行った。精製操作にかかわる化学反応平衡及び相平衡に対する温度と放散ガスの影響を調べ、以下を明らかにした。H2SO4相については、約110℃以上の温度域で、HIをI2に変える逆ブンゼン反応及びI2の気化が優勢になるため、この現象を利用した精製が可能である。また、不活性ガスを用いた放散により操作温度を低温域に拡大できる。また、酸素を放散ガスに用いてHIをI2に酸化することにより、プロセス物質であるH2SO4を損なうことなく精製ができる可能性がある。HIx相では、硫黄及び硫化水素生成反応のため、精製温度は限定されるものの、不活性ガス放散によりその温度域を拡大できる。

39001488
Controlled terms or free terms?; A JavaScript library to utilize subject headings and thesauri on the web
長屋 俊; 林 豊*; 大谷 周平*; 板橋 慶造
Code4Lib Journal (Internet) 15, 6p.(2011) ; (JAEA-J 09775) [link]
 情報資源を組織化するためにメタデータは強力なツールとなる。メタデータとして使用される「キーワード」には「自由語」と「統制語」の2種類がある。自由語を利用するとメタデータ付与者が自由にキーワードを選択できるというメリットがある。しかし、表記揺れが起こるため、情報検索の際に検索漏れが生じうるというデメリットがある。一方、統制語を使った場合には検索精度の向上が見込めるが、統制語の作成・管理にコストがかかる。さらに、既存の統制語は紙,PDF, HTMLなど扱いづらいフォーマットで提供されているものもあり、あまり使われることがない。今回は、あまり使われないが検索精度を高める機能を持つ統制語を活用することを提案する。任意のウェブサービス上で統制語によるメタデータ付与を手軽に行えるような開発者向け汎用JavaScriptライブラリ(一部PHPスクリプト含む)の開発を行った。このライブラリを通じて、(1)FAST, (2)NDLSH, (3)INIS Thesaurus, (4)MeSH, (5)Wikipedia Thesaurus, etc.といった10種類のシソーラス・件名標目を利用できる。統制語の利用支援を進めるとともに自由語まで含め環境に影響を受けることなくメタデータを横断的に利用するための仕組み作りが今後の課題である。

39001489
Proton conduction characteristics in radiation-grafted polymer electrolyte membranes based on perfluorinated and aromatic hydrocarbon polymers
澤田 真一; 前川 康成
ECS Transactions 41(1), p.2125-2133(2011) ; (JAEA-J 09776) [link]
 放射線グラフト電解質膜の高導電性,高耐久性の両立を図るためには、さまざまな構造の電解質膜のイオン導電性と膜構造の相関を理解することが重要である。そこで本研究では、全フッ素高分子の架橋ポリテトラフルオロエチレン(cPTFE)及び全炭化水素高分子のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とその構造が極端な2つの基材膜からなる電解質膜のプロトン伝導特性と膜構造を比較した。イオン交換容量(IEC)が小さくなるにつれて、cPTFE電解質膜はPEEK電解質膜よりもプロトン伝導度が急激に減少した。この結果を詳細に考察するため、ネルンスト-アインシュタインの式からプロトンの自己拡散係数DPを算出した。PEEK電解質膜のDPは広範囲のIECでほぼ一定値だったのに対し、cPTFE電解質膜のDPはIECとともに著しく増大した。低IECにおいてDPが小さかった理由として、プロトン伝導を担うグラフト鎖からなるイオンチャンネルネットワークがcPTFEの微結晶に阻害され、プロトン伝導パスの連結性が低下したためであると考察した。

39001490
Photoemission study on natural oxidation of Cu3Au with synchrotron radiation
宗和 誠*; 山崎 大地*; 岡田 美智雄*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 笠井 俊夫*
Electrical Engineering in Japan 175(4), p.43-47(2011) ; (JAEA-J 09777) [link]
 We report the results of a study of the natural oxidation of Cu3Au(110) with high-resolution X-ray photoemission spectroscopy in conjunction with synchrotron radiation. The clean surface of Cu3Au(110) is terminated with 50% Au and 50% Cu atoms. After natural oxidation in the air, Cu atoms segregate on the surface and produce Cu-oxide. As a result, Au atoms move into the bulk. Au atoms below the oxide reduce the diffusion of O atoms farther into bulk and limit the oxide thickness. The face dependence of natural oxidation indicates that the diffusion of Cu atoms also contributes to oxide formation.

39001491
Multiferroic character and magnetic phase of LuFe2O4
大石 大輔*; 早川 弘毅*; 赤浜 裕士*; 池田 直*; 神戸 高志*; 松尾 祥史*; 君塚 昇*; 狩野 旬*; 吉井 賢資
Ferroelectrics 415(1), p.51-56(2011) ; (JAEA-J 09778) [link]
 電子強誘電体LuFe2O4の酸素欠損が少ない単結晶に対し、外部磁場下での交流誘電率測定を行った。150K-300Kの範囲において、磁場印加により1パーセントほど誘電率が変化することが観測された。これは磁性と誘電性の結合を示す結果であり、応用的にも興味深い。磁場をスイープさせたところ、誘電率変化は磁化の磁場微分が最大となる磁場の付近で最も大きくなった。これは、誘電ドメインが磁気ドメインの動きに影響されることを意味する。この結果は、磁場による鉄スピンの再配列が鉄イオン間の電子移動に影響したため誘電性が変化したことによると考察した。

39001492
Progress in development and design of the neutral beam injector for JT-60SA
花田 磨砂也; 小島 有志; 田中 豊; 井上 多加志; 渡邊 和弘; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 戸張 博之; 梅田 尚孝; 秋野 昇; 椛澤 稔; 大麻 和美; 小又 将夫; 薄井 勝富; 藻垣 和彦; 佐々木 駿一; 菊池 勝美; 根本 修司; 大島 克己; 遠藤 安栄; 清水 達夫; 久保 直也; 河合 視己人*; Grisham, L. R.*
Fusion Engineering and Design 86(6-8), p.835-838(2011) ; (JAEA-J 09779) [link]
 JT-60SAにおいては、12基の正イオン中性粒子入射装置(NBI)と1基の負イオンNBIを用いて、合計30MWの重水素原子を100秒間プラズマへ入射することが要求されている。正イオンNBIにおいては、1基あたり1.7MW, 85keVの重水素原子の入射に向けて、既存の正イオンNBIの電源の一部や磁気シールドを改造する設計を進めている。電源に関しては設計をほぼ完了し、改造機器の仕様を決定した。磁気シールドに関しては工学設計をほぼ完了し、今後、製作設計を開始する予定である。500keV, 10MW入射が要求されている負イオンNBIにおいては、同装置の心臓部である負イオン源の開発を強力に進めている。負イオン源内の真空絶縁を改善することによって、負イオン源の耐電圧を従来の400kVから設計電圧である500kVに大幅に改善した。加えて、イオン引き出し面積の約20%を用いたビーム生成実験において、2.8A, 500keVの水素負イオンビーム生成に成功した。本結果は1A以上の負イオンビームを500keV以上のエネルギーまで加速した世界初の成果である。開発に加えて、設計・調達においても、500kV加速電源の改造設計を完了し、2010年度から調達を開始する。

39001493
Electromagnetic studies of the ITER generic upper port plug
佐藤 和義; 谷口 英二; Pitcher, C. S.*; Walker, C.*; Encheva, A.*; 河野 康則; 草間 義紀
Fusion Engineering and Design 86(6-8), p.1264-1267(2011) ; (JAEA-J 09780) [link]
 ITERの計測装置は、中性子遮蔽構造を兼ね備えたポートプラグと呼ばれる構造体に組み込まれる。上部ポートプラグは長さ約6m,重量約20tの片持ち構造であるため、構造健全性を評価することは必須である。このため、ITER機構が提案している上部ポートプラグの共通部分の構造に対してディスラプション時における電磁力解析を実施し、その荷重をもとに構造解析を行った。その結果、電磁力,発生応力,変位量ともに大きく、改善が必要なことがわかった。これに対して原子力機構及びITER機構は、応力集中が発生している中間フランジの構造を見直し、その対策を図った。ポートプラグの中間フランジをボルト構造から溶接構造へ変更し、応力解析を行った。その結果、応力,変位量ともに15%低減することを明らかにし、構造健全性を満たす見通しを得た。また、ポートプラグ先端に取り付けられる遮へいブランケットのスリット深さについても着目し、電磁力の低減を図った。スリットの深さを約3倍に広げることで、電磁力を約30%低減できることを明らかにし、設計裕度を確保できる見通しを得た。

39001494
Neutronic analysis of the ITER poloidal polarimeter
石川 正男; 河野 康則; 今澤 良太; 佐藤 聡; Vayakis, G.*; Bertalot, L.*; 谷塚 英一; 波多江 仰紀; 近藤 貴; 草間 義紀
Fusion Engineering and Design 86(6-8), p.1286-1289(2011) ; (JAEA-J 09781) [link]
 ITERにおいて日本が調達するポロイダル偏向計測装置の設計の一環として、中性子輸送モンテカルロコード(MCNP)を用いた中性子解析を行い、運転時における核発熱量を評価した。その結果、水平ポート内に設置される光学ミラーのうち、第2ミラーの核発熱量は、第1ミラーと同程度であることがわかった。これは、同一ポート内に周辺トムソン散乱計測システムやLIDARシステムが設置されることでポロイダル偏光計の光学系のスペースが制限されるために、十分な迷路構造をもった光路が確保できないことや、第2ミラーの設置位置がプラズマに近い場所に配置せざるを得ないことが原因と考えられる。一方で、水平ポート前面に設置されるブランケット遮蔽モジュールが十分な中性子遮蔽性能を有していれば、光学ミラーの核発熱量は効率的に低減できることがわかった。また、ポロイダル偏光計の光学ミラーが設置される上部ポートの上部に配置されるポロイダル磁場コイルの核発熱量を評価した。その結果、中性子遮蔽材が十分に設置された場合、コイルの核発熱量は上限値である1 mW/ccに比べて2桁以上小さくなることがわかった。

39001495
JT-60SA power supply system
Coletti, A.*; Baulaigue, O.*; Cara, P.*; Coletti, R.*; Ferro, A.*; Gaio, E.*; 松川 誠; Novello, L.*; Santinelli, M.*; 島田 勝弘; Starace, F.*; 寺門 恒久; 山内 邦仁
Fusion Engineering and Design 86(6-8), p.1373-1376(2011) ; (JAEA-J 09782) [link]
 JT-60SA is a joint international research and development project involving Japan and Europe, in the frame of the "Broader Approach Agreement", for the construction and operation of a new tokamak intended to prepare and support ITER operation. JT-60SA is to be built in Naka, Japan, using existing infrastructures and subsystems of the former JT-60U experiment, as much as possible. SA, as "super advanced", refers to the use of Superconducting Coils Magnets (SCM) and to the study of advanced modes in plasma operation. The SCM system includes Toroidal and Poloidal Field Coils (TFC and PFC respectively). In addition the machine features a number of normal conducting coils: Fast Plasma Control Coils (FPCC), a Resistive Wall Mode Control Coils and the Error Field Correction Coils. The paper describes the main features of the JT-60SA SCM Power Supply System (SCMPS) with special regard to coil current regulation mode and SCM protection.

39001496
Design study of an AC power supply system in JT-60SA
島田 勝弘; Baulaigue, O.*; Cara, P.*; Coletti, A.*; Coletti, R.*; 松川 誠; 寺門 恒久; 山内 邦仁
Fusion Engineering and Design 86(6-8), p.1427-1431(2011) ; (JAEA-J 09783) [link]
 In the initial research phase of JT-60SA, the plasma heating operation of 30MW-60s or 20MW-100s is planned for 5.5 MA single null divertor plasmas. To achieve this operation, AC power source of the medium voltage of 18 kV and 〜7 GJ has to be provided in total to the poloidal field coil power supplies and additional heating devices such as Neutral Beam Injection (NBI) and Electron Cyclotron Radio Frequency (ECRF). In this paper, the proposed AC power supply system in JT-60SA was estimated from the view point of available power, and harmonic currents based on the standard plasma operation scenario during the initial research phase. This AC power supply system consists of the reused JT-60 power supply facilities including motor generators with flywheel, AC breakers, and harmonic filters, etc. to make it cost effective. In addition, the conceptual design of the upgraded AC power supply system for the ultimate heating power of 41MW-100s in the extended research phase is also described.

39001497
Fabrication and tests of EF conductors for JT-60SA
木津 要; 柏 好敏; 村上 陽之; 尾花 哲浩*; 高畑 一也*; 土屋 勝彦; 吉田 清; 濱口 真司*; 松井 邦浩; 中村 一也*; 高尾 智明*; 柳 長門*; 今川 信作*; 三戸 利行*
Fusion Engineering and Design 86(6-8), p.1432-1435(2011) ; (JAEA-J 09784) [link]
 JT-60SA装置の超伝導マグネットのうち、中心ソレノイド(CS)とプラズマ平衡磁場(EF)コイルが日本で製作される。EFコイル導体はNbTi素線を用いたケーブル・イン・コンジット型導体である。これらの導体は、メーカより納入された超伝導撚線とジャケットを日本原子力研究開発機構・那珂核融合研究所内に建設された、全長約680mの導体複合化設備で複合化することで製作される。EFコイル実機に使用する444mの超伝導導体の量産製造が平成22年3月より開始された。また、量産に先立って、超伝導導体の分流開始温度(Tcs)などの超伝導特性の評価試験を行った。その結果、Tcsは素線からの予測値と一致し、導体製作過程による超伝導性能の劣化がないことを確認した。

39001498
Design and manufacturing of JT-60SA vacuum vessel
正木 圭; 芝間 祐介; 櫻井 真治; 片山 雅弘*; 逆井 章
Fusion Engineering and Design 86(9-11), p.1872-1876(2011) ; (JAEA-J 09785) [link]
 JT-60SA真空容器の外径寸法は、10メートル,高さ6.6m,胴部総重量約150トンであり、9本の支持脚で支えている。材料は、SUS316Lであるが、放射化低減のため低コバルト材(Co <0.05wt%)を使用する。一周抵抗を上げ(〜16μΩ)、かつ運転時の電磁力に耐える強度を得るために二重壁構造を採用しており、この二重壁は、外壁及び内壁とも18mm厚,二重壁はインボード側194mm幅,アウトボード側242mm幅で構成されている。運転時には、外部に設置される超伝導コイルの核発熱を低減させるために、二重壁間にホウ酸水(最大50℃)を流す。また、真空容器ベーキング時には200℃の高温窒素ガスに切り替えて流す設計である。真空容器には55個もの大型ポートがあり、これらはすべてベローズを介してクライオスタットに接続される。製作においては、要素試験及び20°上半の試作体の製作をあらかじめ行い、製作手順を確立した後、2009年の12月に実機の製作を開始した。

39001499
Recent activities of R&D on effects of tritium water on confinement materials and tritiated water processing
山西 敏彦; 林 巧; 岩井 保則; 磯部 兼嗣; 原 正憲*; 杉山 貴彦*; 奥野 健二*
Fusion Engineering and Design 86(9-11), p.2152-2155(2011) ; (JAEA-J 09786) [link]
 核融合炉において、トリチウムをいかに閉じこめるかは重要な研究課題である。特に、水の形のトリチウムは、水素上の形のトリチウムと比較して、放射性物質としての危険度が高く、そのデータを取得することが強く求められている。高濃度トリチウム水の挙動として、金属材料に対するトリチウム水の腐食に関する一連のデータを得ることができた。通常、金属表面には酸化膜が形成され、腐食に対する不動態として機能するが、トリチウム水の存在により(0.23GBq/cc)、その膜形成が阻害されることが判明した。水処理については、ITERで採用された化学交換塔に関して、合理化・高度化を図る研究を行った。

39001500
Recent status of fabrication technology development of water cooled ceramic breeder test blanket module in Japan
廣瀬 貴規; 谷川 尚; 吉河 朗; 関 洋治; 鶴 大悟; 横山 堅二; 江里 幸一郎; 鈴木 哲; 榎枝 幹男; 秋場 真人
Fusion Engineering and Design 86(9-11), p.2265-2268(2011) ; (JAEA-J 09787) [link]
 原子力機構では、日本のITERテストブランケット(TBM)の第一候補として、水冷却固体増殖方式のテストブランケットの開発を、中心となって進めている。TBM試験を実現するためには、ITER運転スケジュールに遅れることなく、TBMのプロトタイプの製作と構造健全性の確証を行う必要がある。本報告では、日本における水冷却固体増殖(WCCB)テストブランケットモジュール(TBMの製作技術開発の最新の成果を報告する。これまでに、製作技術の最も重要な技術として、熱間等方圧加圧(HIP)接合法を開発し、実規模冷却チャンネル内蔵第一壁適用して実規模のTBMの第一壁の製作と高熱負荷による評価試験に成功した。また、TBM内部にトリチウム増殖材を格納する充填容器についても実機大のモックアップの製作に成功し気密試験に成功した。さらに、モジュール構造を形成する側壁についても実機大のモックアップ製作に成功するとともに、第一壁との組合せ施工による箱構造政策に成功した。以上のことから、日本においては、TBM製作技術開発と評価試験が順調に進展しているものと評価することができる。

39001501
Thermo-structural analysis of integrated back plate in IFMIF/EVEDA liquid lithium target
渡辺 一慶; 井田 瑞穂; 近藤 浩夫; 中村 和幸; 若井 栄一
Fusion Engineering and Design 86(9-11), p.2482-2486(2011) ; (JAEA-J 09788) [link]
 本研究は幅広いアプローチ(BA)協定の下、実施中の国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証工学設計活動(EVEDA)における液体リチウムターゲット背面壁の熱構造解析に関するものである。IFMIF実機ターゲット背面壁はF82H等の低放射化フェライト鋼を材料とし、形状については日本提案の流路一体型と欧州提案のスライド交換式バイオネットの2案が検討されている。本解析では一体型オプションのターゲットアセンブリをモデル化し、IFMIF定格運転を模擬した核発熱分布を与え、アセンブリ外壁面の一部に断熱材を設定した。計算パラメータはビームダクトとの機械的接合部の熱的境界条件とし、フランジ面の境界温度及び接触熱伝達率を変化させた。計算結果を比較すると背面壁内の温度分布の相違は小さく、熱応力に対するパラメータの影響は小さいことがわかった。最大応力はリチウム流路でもある背面壁中央部で発生しており、その値は204-218MPaで300℃でのF82H降伏強度455MPaの1/2以下となることが確認できた。また、最大変位(約0.3mm)も同位置で発生しており、変位量はリチウム流動安定性解析の重要な入力パラメータとなる。

39001502
Torsion test technique for interfacial shear evaluation of F82H RAFM HIP-joints
野澤 貴史; 荻原 寛之*; 神成 純*; 岸本 弘立*; 谷川 博康
Fusion Engineering and Design 86(9-11), p.2512-2516(2011) ; (JAEA-J 09789) [link]
 F82Hに代表される低放射化フェライト鋼を用いたブランケットシステム第一壁は熱間等静圧圧縮成形(HIP)による接合技術の適用が有力視される。本研究の目的は、F82Hを母材とするHIP接合体の界面強度をねじり試験法により評価し、本手法の適用性について明らかにすることである。さまざまな接合条件の材料を対象にねじり試験を行ったところ、ねじり破壊が生じる最大強度に接合条件による有意な違いは認められなかったのに対し、破壊過程における吸収エネルギーは接合条件によって異なることが明らかになった。また、破断面観察より、その破壊がHIP接合界面に析出した酸化物に起因することを特定した。これらの結果は、従来のシャルピー衝撃試験での結果とよく一致しており、結果として、微小試験片を用いたねじり試験法は、HIP接合体の界面特性を評価するに十分な手法であり、有力な試験法の一つになりうることが示された。

39001503
Past 25 years results for large amount of tritium handling technology in JAEA
山西 敏彦; 山田 正行; 鈴木 卓美; 河村 繕範; 中村 博文; 岩井 保則; 小林 和容; 磯部 兼嗣; 井ノ宮 大; 林 巧
Fusion Science and Technology 60(3), p.1083-1087(2011) ; (JAEA-J 09790) [link]
 日本原子力研究開発機構におけるトリチウムプロセス研究棟(TPL)は、日本における唯一のグラムレベルトリチウム取り扱い施設として、1985年に設立された。1988年3月より、トリチウムを用いた運転が開始され、今日まで、トリチウム放出事故なしの運転を継続している。TPLから環境に放出されるスタックでの平均トリチウム濃度は、71Bq/m3とHTOでの規制値の1/70である。施設の故障事象データも、ポンプ,バルブ,モニター等主たる機器について、積算運転時間,積算運転開始コマンド数に対して蓄積している。液体及び固体廃棄物データ及びトリチウム計量管理に関するデータも蓄積している。科研費特定領域研究として、これらデータの解析も行ったため、ここに報告する。

39001504
Study of tritium and helium release from irradiated lithium ceramics Li2TiO3
Kulsartov, T.*; Tazhibayeva, I.*; Gordienko, Y.*; Chikhray, E.*; 土谷 邦彦; 河村 弘; Kulsartova, A.*
Fusion Science and Technology 60(3), p.1139-1142(2011) ; (JAEA-J 09791) [link]
 チタン酸リチウム(Li2TiO3)は化学的安定性及び低い温度での良好なトリチウム放出特性の観点から核融合炉の固体増殖材料の候補材である。本論文は、高燃焼まで照射したLi2TiO3試料からのトリチウム及びヘリウム放出に関するものである。96%6Li濃縮Li2TiO3微小球(直径1mm)を6Li燃焼度約20%まで、650〜660℃の温度で220日間WWR-K炉で照射した。トリチウム及びヘリウムの放出は熱解離方法で行った。本材料からのトリチウム及びヘリウム放出を体積拡散律速とし、拡散係数及び活性化エネルギーを算出した結果、仮定したモデルと良い一致を示した。得られた拡散係数及び活性化エネルギーは、将来の核融合炉用増殖材料におけるガス放出機構の解明と運転温度評価に役立つ。

39001505
Diffusion and sorption of Cs+, I- and HTO in samples of the argillaceous Wakkanai Formation from the Horonobe URL, Japan; Clay-based modeling approach
舘 幸男; 四辻 健治; 清田 佳美*; 油井 三和
Geochimica et Cosmochimica Acta 75(22), p.6742-6759(2011) ; (JAEA-J 09792) [link]
 幌延深地層研究所の稚内層試料中のCs+, I-, HTOの拡散・収着挙動を、地下水のイオン強度影響に着目して、透過拡散とバッチ収着試験によって調査した。実効拡散係数Deはイオン強度の影響が明瞭で、イオン強度の増加とともに、CsのDeは減少、Iは増加、HTOは変化なく、陽イオン濃集,陰イオン排除の効果が確認された。Csの分配係数Kdは、拡散法とバッチ法で整合的な結果が得られ、イオン交換の競合の結果としてイオン強度とともに減少した。拡散・収着現象が、含まれるイライトとスメクタイトの粘土成分によって支配されると仮定し、粘土鉱物を主体としたモデル化アプローチを検討した。モデルによって一連の実験データがおおむね説明可能であり、粘土粒子とナノサイズ間隙がこの岩石中のイオンの移行挙動に支配的に寄与していることが示唆された。

39001506
Imaging of carbon translocation to fruit using carbon-11-labeled carbon dioxide and positron emission tomography
河地 有木; 菊地 郁*; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 藤巻 秀; 石岡 典子; 渡部 浩司*
IEEE Transactions on Nuclear Science 58(2), p.395-399(2011) ; (JAEA-J 09793) [link]
 Carbon kinetics into the fruit is an agricultural issue on the growth and development of the sink organs to be harvested. Particularly, photoassimilate translocation and distribution are important topics for understanding the mechanism. In the present work, carbon-11 (11C) labeled photoassimilate translocation into fruits of tomato has been imaged using carbon-11-labeled carbon dioxide and the positron emission tomography (PET). Dynamic PET data of gradual increasing of 11C activity and its distribution is acquired quantitatively in intact plant body. This indicates that the three dimensional photoassimilate translocation into the fruits is imaged successfully and carbon kinetics is analyzable to understand the plant physiology and nutrition.

39001507
Synthesis of SiC nanowires and nanotubes sheathed with BN
田口 富嗣; 井川 直樹; 社本 真一
IOP Conference Series; Materials Science and Engineering 18, p.062020_1-062020_4(2011) ; (JAEA-J 09795) [link]
 これまでに作製に成功しているC-SiCナノチューブ及びSiCナノチューブを1600℃以上の温度で、BN粉末とともに真空中で、5時間熱処理を行うことにより、BN層が被覆したSiCナノワイヤー及びナノチューブの合成に成功した。TEM観察から、被覆されていたBN層は、10層以下であった。1500℃以下の温度での熱処理では、SiCナノチューブ表面には、BN層は形成しなかった。また、熱処理によるSiC結晶粒子の粒成長により、ナノチューブの中空が埋まり、多くのナノチューブがナノワイヤーへと変質した。

39001508
Tensile, compressive and in-plane/inter-laminar shear failure behavior of CVI- and NITE-SiC/SiC composites
野澤 貴史; Choi, Y.-B.*; 檜木 達也*; 岸本 弘立*; 香山 晃*; 谷川 博康
IOP Conference Series; Materials Science and Engineering 18, p.162011_1-162011_4(2011) ; (JAEA-J 09796) [link]
 SiC/SiC複合材料は、その優れた耐照射特性や耐熱材料としての資質から、先進核分裂炉又は核融合炉の候補材の一つに挙げられる。さまざまな織物構造に起因する潜在的な異方性のため、多様な破壊モードにおける亀裂進展挙動を特定することは重要である。本研究は、主軸/非主軸の引張/圧縮モード,Iosipescu法による面内剪断モード,ダブルノッチ剪断法による層間剪断モード,径圧縮試験法による層間剥離モードについて亀裂進展挙動を明らかにする。初期検討により強度異方性マップを明らかにしたところ、本材料は複合破壊モードで破壊が進行することが示唆された。特に、面内剪断及び層間剪断モードが試験結果に大きく影響していることが明らかとなった。

39001509
Doping effect on charge ordered structure in Mn-doped YbFe2O4
松本 圭祐*; 小山 司*; 森 茂生*; 吉井 賢資; 神戸 高志*; 池田 直*
IOP Conference Series; Materials Science and Engineering 18(9), p.092047_1-092047_4(2011) ; (JAEA-J 09797) [link]
 YbFe2O4は鉄イオンの電荷秩序により強誘電体となる物質である。本研究では、この物質のFeの一部をMnに置換した場合の電荷秩序構造を透過電子線回折により調べ、わずかなMn置換量により、電荷秩序構造が破壊されることを観測した。鉄の半分をMnで置換したYbFeMnO4では、ハニカム状の散漫散乱を見いだし、これが中心対称を失った短距離イオン秩序構造を持つことを見いだした。本系は室温で1000程度の誘電率を示すが、この性質は、イオン秩序構造がランダムに分布することによると考えられる。

39001510
Effect of the soft X-rays on highly hydrogenated diamond-like carbon films
神田 一浩*; 横田 久美子*; 田川 雅人*; 戸出 真由美; 寺岡 有殿; 松井 真二*
Japanese Journal of Applied Physics 50(5), p.055801_1-055801_3(2011) ; (JAEA-J 09798) [link]
 The effect of soft X-ray irradiation of diamond-like carbon films in vacuum was investigated using synchrotron radiation (SR). Etching and the desorption of hydrogen upon SR exposure in vacuum occurred in highly hydrogenated diamond-like carbon (H-DLC) films; these processes were not observed in the irradiation of a low-hydrogenated DLC film. The extent of decrease in hydrogen content due to SR exposure was found to decrease with increasing the etching ratio of the H-DLC film. This indicates that hydrogen desorption from the H-DLC films competed with the etching process. Namely, the modified surface, in which hydrogen content was decreased by SR exposure, was immediately removed from the H-DLC film that had a high etching rate.

39001511
Low-energy-electron-diffraction and X-ray-phototelectron-spectroscopy studies of graphitization of 3C-SiC(111) thin film on Si(111) substrate
高橋 良太*; 半田 浩之*; 阿部 峻佑*; 今泉 京*; 吹留 博一*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 末光 眞希*
Japanese Journal of Applied Physics 50(7), p.070103_1-070103_6(2011) ; (JAEA-J 09799) [link]
 Epitaxial graphene can be formed on silicon substrates by annealing a 3C-SiC film formed on a silicon substrate in ultrahigh vacuum (G/3C-SiC/Si). In this work, we explore the graphitization process on the 3C-SiC(111)/Si(111) surface by using low-energy electron diffraction and X-ray photoelectron spectroscopy (XPS) and compare them with that on 6H-SiC(0001). Upon annealing at substrate temperature higher than 1423 K, the 3C-SiC(111)/Si(111) surface follows the sequence of (√3×√3)R30°, (6√3×6√3)R30° and (1×1)graphene in the surface structures. The C 1s core level according to XPS indicates that a buffer layer, identical with that in G/6H-SiC(0001), exists at the G/3C-SiC(111) buffer. These observations strongly suggest that graphitization on the surface of the 3C-SiC(111) face proceeds in a similar manner to that on the Si-terminated hexagonal bulk SiC crystals.

39001512
Oxygen-induced reduction of the graphitization temperature of SiC surface
今泉 京*; 半田 浩之*; 高橋 良太*; 齋藤 英司*; 吹留 博一*; 遠田 義晴*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆; 末光 眞希*
Japanese Journal of Applied Physics 50(7), p.070105_1-070105_6(2011) ; (JAEA-J 09800) [link]
 In the solid-vapor phase equilibria between SiC and O2 system, there exists a region where the reaction of O2 with SiC takes place. By tuning the temperature and the oxygen pressure used in the graphitization annealing, we have succeeded in the growth of epitaxial graphene on SiC crystals at 1273 K, which is lower by 250℃ or more than the conventional epitaxial graphene method. The method is especially useful to form an epitaxial graphene on a silicon substrate (GOS), which requires a lower graphitization temperature because of necessity of compatibility with conventional Si technologies.

39001513
Resonant inelastic X-ray scattering at Ba-L3 edge in BaTiO3
吉井 賢資; Jarrige, I.; 松村 大樹; 西畑 保雄; 鈴木 知史; 伊藤 嘉昭*; 向山 毅*; 栃尾 達紀*; 篠塚 寛志*; 福島 整*
Japanese Journal of Applied Physics 50(9), p.09NE03_1-09NE03_4(2011) ; (JAEA-J 09801) [link]
 強誘電体BaTiO3のBa-L3吸収端における共鳴非弾性X線散乱測定をSPring-8ビームラインBL15XUで行った。まず、非弾性散乱X線の一つBa-Lα1線に分光器のエネルギーを合わせ、誘電性を示さないBaSO4を対照物質としてBa-5d吸収スペクトルを測定したところ、BaTiO3のスペクトルは幅が太いことがわかった。分子軌道計算を行ったところ、Ba-5d軌道とO-3p軌道が共有結合的な性質を有し、エネルギーバンドを作っていることがわかった。BaTiO3の強誘電性はTi-Oの共有結合性による原子変位がその起源とされているが、この実験事実はBa-Oの共有結合も重要であることを示唆する。また、Ba-Lα1非弾性X線スペクトルを吸収端近傍で測定したところ、Ba-5d軌道は上述の通り酸素とバンドを作っているものの、局在的であることを示すデータが得られた。この測定により、非占有状態の局在性の指標に関する情報が得られること、また、考えられる幾つかの応用についても議論する。

39001514
Local structure analysis of Bi(Mg0.5Ti0.5)O3 grown by high pressure synthesis
米田 安宏; 齋藤 寛之; 吉井 賢資
Japanese Journal of Applied Physics 50(9), p.09NE06_1-09NE06_6(2011) ; (JAEA-J 09802) [link]
 強誘電体として非常に良い特性を示すPb(Zr,Ti)O3では構造相境界(morphotoropic phase boundary: MPB)での組成が用いられている。これは正方晶構造と菱面体晶構造の相境界における組成では特性が著しく向上する。通常、MPB組成の実現のために混晶が用いられているが、これを圧力を用いて実現しようとした試みである。圧力誘起のMPBの実現の可能性のある物質としてBi(Mg0.5Ti0.5)O3(BMT)を選んだ。この物質は常圧での合成ができないため、高温高圧合成を試みたところ、2種類のBMTを得ることができた。一つは菱面対象構造でもう一つは斜方晶構造である。このうち、菱面体晶構造のBMTは強誘電特性を示した。これら2つの構造の関係を明らかにするため、高圧下でのX線その場観察を行ったところ、斜方晶構造は常圧安定相で菱面体晶構造は高圧安定相であることがわかった。これらの局所構造をpair-distribution function(PDF)解析を用いて調べたところ、非常に似通っており、この類似性が圧力下での相転移を誘起していることがわかった。

39001515
Measurement of DNA double-strand break yield in human cancer cells by high-current, short-duration bunches of laser-accelerated protons
余語 覚文; 佐藤 克俊; 錦野 将元; 前田 拓也*; 榊 泰直; 堀 利彦*; 小倉 浩一; 西内 満美子; 手島 昭樹*; 西村 博明*; 近藤 公伯; Bolton, P.; 河西 俊一*
Japanese Journal of Applied Physics 50(10), p.106401_1-106401_7(2011) ; (JAEA-J 09803) [link]
 To investigate the radiobiological effects of high dose rates that are attributed to high current, short bunch beam generation with laser-dreven ion acceleration, we have developed an experimental setup that uses laser-accelerated protons. In-vitro human lung cancer cells: A549 pulmonary adenocarcinoma are irradiated with a laser-accelerated proton bunches with a duration of 2 × 10-8 s and flux of 〜1015 cm-2s-1, amounting to single bunch absorbed dose at the 1 Gy level. The double-strand break (DSB) yield in cell DNA is analyzed for the laser-accelerated proton beam at an average LET of 41 keV/μm.

39001516
Fundamental role of Σ3(111) and Σ3(112) grain boundaries in elastic response and slip transfer
都留 智仁; 加治 芳行; 渋谷 陽二*
Journal of Applied Physics 110(7), p.073520_1-073520_7(2011) ; (JAEA-J 09805) [link]
 粒界制御により材料の新たな機能が発現することが知られている。本研究では、FCC結晶中のΣ3(111)双晶境界とΣ3(112)粒界の、弾塑性変形機構に対して、大規模分子動力学解析を用いて検討を行った。まず、局所体積と局所弾性特性の評価する手法を提案して、それぞれの粒界を評価した。その結果、双晶境界では粒内と大きく変化しない一方、不安定な粒界部では局所弾性係数が大きく低下することから、近年のナノ多結晶材料における軟化の基礎メカニズムになることがわかった。また、変形シミュレーションにより、Σ3(112)粒界は塑性変形を容易に伝播させることがわかった。

39001517
The Relationships among brittleness, deformation behavior, and transport properties in mudstones; An Example from the Horonobe Underground Research Laboratory, Japan
石井 英一; 真田 祐幸; 舟木 泰智; 杉田 裕; 操上 広志
Journal of Geophysical Research 116(B09), p.B09206_1-B09206_15(2011) ; (JAEA-J 09806) [link]
 著者らは幌延深地層研究センター周辺に分布する泥岩の脆性度,変形挙動及び移行特性の関係を明らかにするために、BRIという概念を用いて地質学的・岩盤力学的・水理学的データを総合的に解釈した。BRIという概念は、本泥岩のようなシリカ続成により硬化した岩石に対して適用可能である。検討の結果、本泥岩は天然の歪速度及び低温条件下において、BRIがおおむね2以下の場合は延性変形が生じ、おおむね2から8の場合は脆性変形もしくは延性変形が生じ、おおむね8以上の場合は脆性変形が生じることがわかった。ただし、脆性変形領域と延性変形領域の境界付近には准脆性変形領域も存在する。また、BRIがおおむね8以上の場合は、断層が発達すると水理学的には亀裂性媒体として振舞うようになるが、おおむね8以下の場合は、例え断層が発達したとしても水理学的には多孔質媒体として取り扱いができると考えられた。

39001518
A Method for simple and accurate estimation of fog deposition in a mountain forest using a meteorological model
堅田 元喜; 梶野 瑞王*; 平木 隆年*; 藍川 昌秀*; 小林 禧樹*; 永井 晴康
Journal of Geophysical Research 116(D20), p.D20102_1-D20102_14(2011) ; (JAEA-J 09807) [link]
 気象モデルを山地森林における霧の発生,酸性化、及び沈着の研究に適用するために、精緻な多層陸面モデルSOLVEGを用いた数値計算によって得られた簡易な霧水沈着速度の予測式を、気象モデルWRFに導入した。改良を施したWRF(fog-WRF)の性能を、国内の六甲山地の森林で試験した。fog-WRFは、大気中の霧水量(LWC)を改良前に比べて明らかに良好に予測した。fog-WRFは、夏季の林内における林縁での沈着効果を取り除いた林内における霧水沈着量の観測結果を再現した。fog-WRFの計算から得られた標高と霧沈着量の線形関係と、ある高度で測定された林内雨量のデータを用いて、霧沈着量の標高分布を推定できることを示した。霧沈着を考慮した気象モデルは、山地雲霧(うんむ)林における霧沈着量の分布を作成するうえで有用である。

39001519
Control of epitaxy of graphene by crystallographic orientation of a Si substrate toward device applications
吹留 博一*; 高橋 良太*; 阿部 峻佑*; 今泉 京*; 半田 浩之*; Kang, H. C.*; 唐澤 宏美*; 末光 哲也*; 尾辻 泰一*; 遠田 義晴*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 小嗣 真人*; 大河内 拓雄*; 木下 豊彦*; 末光 眞希*
Journal of Materials Chemistry 21(43), p.17242-17248(2011) ; (JAEA-J 09808) [link]
 Graphene is a promising material in the next-generation devices. Large-scale epitaxial graphene should be grown on Si substrates to take over the accumulated technologies for integrated devices. We have for this reason developed epitaxy of graphene on Si (GOS) and device operation of the backgate field-effect transistors (FETs) using GOS has been confirmed. It is demonstrated in this paper that the GOS method enables us to tune the structural and electronic properties of graphene in terms of the crystallographic orientation of the Si substrate. Furthermore, it is shown that the uniformity of the GOS process within a sizable area enables us to reliably fabricate topgate FETs using conventional lithography techniques. GOS can be thus the key material in the next-generation devices owing to the tunability of the electronic structure by the crystallographic orientation of the Si substrate.

39001520
Improvement of the detachment modelling in the SONIC simulation
星野 一生; 清水 勝宏; 滝塚 知典; 朝倉 伸幸; 仲野 友英
Journal of Nuclear Materials 415(Suppl.1), p.S549-S552(2011) ; (JAEA-J 09809) [link]
 ダイバータにかかる熱・粒子負荷を低減させるためには、非接触ダイバータプラズマの形成が有効な方法のひとつである。非接触ダイバータに伴いイオン粒子束が大幅に減少するが、この主な原因は再結合によるイオン粒子の損失であると考えられている。しかし、実験では、2〜3eV以上の電子温度でも非接触ダイバータの形成がしばしば観測されており、このような電子温度では再結合反応はほぼ起こらない。そこで、本研究では、原子力機構で開発を進めている2次元統合ダイバータコードSONICを用いて、再結合反応によらない非接触ダイバータプラズマ形成機構を検討した。磁力線垂直方向の輸送による効果や壁へのイオン吸着による排気効果によりイオン粒子束は減少するが、その影響は比較的小さいことを明らかにした。

39001521
Effects of carbon impurity on deuterium retention in VPS-tungsten coatings exposed to JT-60U divertor plasmas
福本 正勝; 仲野 友英; 伊丹 潔; 和田 隆明*; 上田 良夫*; 田辺 哲朗*
Journal of Nuclear Materials 415(Suppl.1), p.S705-S708(2011) ; (JAEA-J 09810) [link]
 炉内トリチウムの蓄積量を低減させるため、ITERでは第一壁をタングステンで被覆することが検討されているが、リミタなどの高熱負荷機器は炭素を使用する可能性がある。そのため、炉内のトリチウム蓄積量を予測するためには、炭素不純物の影響を評価する必要がある。本研究では、JT-60Uに設置されたタングステン被覆タイルへの重水素蓄積に対する炭素不純物の影響を調べた。プラズマ放電によって炭素タイルから損耗した炭素不純物が被覆タングステンへ蓄積しており、この炭素不純物に重水素が捕獲されていた。その結果、被覆タングステン中のD/Cは0.04-0.08となり、炭素堆積層中のT/Cに対して1/2-1/4に達していた。したがって、将来の核融合炉での炭素と被覆タングステンの同時使用によって、被覆タングステン中のトリチウムの蓄積量が、炭素堆積層と同程度まで増加する可能性がある。

39001522
Evaluation of heat and particle controllability on the JT-60SA divertor
川島 寿人; 星野 一生; 清水 勝宏; 滝塚 知典; 井手 俊介; 櫻井 真治; 朝倉 伸幸
Journal of Nuclear Materials 415(Suppl.1), p.S948-S951(2011) ; (JAEA-J 09811) [link]
 工学的要求及びSONICコードによる物理解析に基づきJT-60SAトカマクのダイバータ設計を確定させた。41MW加熱の炉心プラズマでは流出する高熱粒子束がダイバータ板に大きな熱負荷を与えることが予想された。しかし、材料と構造の耐性により許容熱負荷は15MW/m2以下が必須であり、ダイバータ板を垂直化して広域で受け分散低減することで検討した。最終的にダイバータ板にV型コーナーを設け高リサイクリングによる熱負荷低減を計り、燃料(D2)や不純物ガスパフ及びダイバータ排気による熱粒子制御性の最適化を行った。結果は、JT-60Uの約3倍のD2ガスパフ(1.5×1022s-1)により放射冷却、低温高密度化が進み、熱負荷は約10MW/m2まで低減できること、その依存性はガスパフ量が1×1022s-1以上で許容熱負荷内に入ることを示した。低密度で行う非誘導電流駆動では、熱負荷を許容させるためにAr導入が有効であることを明らかにした。一方、ダイバータ排気は最大排気速度100m3/sを整備する予定であり、この範囲内でダイバータプラズマを接触から非接触まで制御できることも明らかにした。

39001523
Plasma boundary and first-wall diagnostics in ITER
Pitcher, C. S.*; Andrew, P.*; Barnsley, R.*; Bertalot, L.*; Counsell, G. G.*; Encheva, A.*; Feder, R. E.*; 波多江 仰紀; Johnson, D. W.*; Kim, J.*; 草間 義紀; Lee, H. G.*; Mukhin, E. E.*; Reichle, R.*; Thomas, D. M.*; Tugarinov, S. N.*; Udintsev, V. S.*; Vasu, P.*; Vayakis, G.*; Walker, C. I.*; Walsh, M. J.*; Yang, Q. W.*; 谷塚 英一; Zhao, J.*; Zvonkov, A. V.*
Journal of Nuclear Materials 415(Suppl.1), p.S1127-S1132(2011) ; (JAEA-J 09812) [link]
 ITER plasma boundary and first-wall diagnostics are summarized in terms of their physical implementation and physics motivation. The challenge of extracting diagnostic signals while maintaining nuclear shielding is discussed, as well as the problems associated with high levels of erosion and redeposition.

39001524
Fission gases and helium gas behavior in irradiated mixed oxide fuel pin
佐藤 勇; 勝山 幸三; 荒井 康夫
Journal of Nuclear Materials 416(1-2), p.151-157(2011) ; (JAEA-J 09813) [link]
 KrやXeのようなFPガスの放出挙動はピン内圧上昇及び燃料ペレットスエリングの観点からよく研究されている。現行のMOX燃料はHeの生成量は多くないが、マイナーアクチニドを含んだMOX燃料の場合、Heの収量が多くなるため挙動観察が必要である。本研究では、常陽で50GWd/tまで照射されたMOX燃料ピン内のHeガスをピンパンクチャー試験と加熱試験を行うことで定量分析した。結果として、燃料ペレットから放出されたFPガスは50%程度であったが、Heの放出は70%以上に達していた。また、Heの生成量の20%が照射後のα崩壊により生成していることを考えると、高速炉燃料のような高温中では照射中に生成したHeのほとんどは燃料ペレット外に放出されていると考えられる。

39001525
Effect of carbon nanofiber dispersion on the properties of PIP-SiC/SiC composites
田口 富嗣; 長谷川 良雄*; 社本 真一
Journal of Nuclear Materials 417(1-3), p.348-352(2011) ; (JAEA-J 09814) [link]
 SiC/SiC複合材料は、高温強度,擬似延性破壊挙動を示し、さらには中性子照射後の誘導放射能が低いことから、核融合炉の構造材料への応用が期待されている。この応用のためには、耐熱衝撃特性を向上させる必要があるが、SiC/SiC複合材料の熱伝導率が低いということが大きな問題となっている。われわれは、これまでに、反応焼結法により作製したSiC/SiC複合材料にカーボンナノファイバー(CNF)を添加することで、室温において熱伝導率が2倍程度向上することを明らかにした。そこで本研究では、SiC/SiC複合材料を作製する従来法である化学蒸気浸透(CVI)法及びポリマー含浸焼成(PIP)法にCNFを添加することにより、CNF添加が熱伝導率及び機械強度に及ぼす影響を検討した。その結果、CNFを添加することで、CVI及びPIP法で作製されたSiC/SiC複合材料の機械強度はわずかに低下した。これは、応力印加時に、CNFとマトリックスの間でマイクロクラックが発生したためと考えられる。一方、CVI及びPIP法のどちらで作製されたSiC/SiC複合材料においても、CNFを添加することにより、熱伝導率は向上することがわかった。

39001526
Tensile test technique for composites using small notched specimens
野澤 貴史; 谷川 博康
Journal of Nuclear Materials 417(1-3), p.440-444(2011) ; (JAEA-J 09815) [link]
 原子力材料の照射研究において微小試験片法の開発は重要な課題の一つである。本研究は、小型ノッチ試験片を用いた複合材料のための引張試験片法の開発を主眼とし、そのため、ノッチ試験片を用いた際の亀裂進展挙動と試験片サイズ効果を明らかにした。SiC/SiC複合材料の亀裂進展挙動は適切な界面制御によりノッチ鈍感であることを解明し、本結果を受けて主要な引張特性は容易にノッチ試験片から予測可能となった。特に、有意な試験片サイズ効果が認められないことが明らかとなった。これらの成果を足がかりに、ノッチ試験片を用いた微小引張試験法を提案するに至った。

39001527
Radiation hardening and IASCC susceptibility of extra high purity austenitic stainless steel
井岡 郁夫; 石島 暖大; 宇佐美 浩二; 桜庭 直敏; 加藤 佳明; 木内 清
Journal of Nuclear Materials 417(1-3), p.887-891(2011) ; (JAEA-J 09816) [link]
 主要元素の調整,有害不純物の低減,熱処理による微細粒化からなるIASCC対策を施した超高純度オーステナイトステンレス鋼(Fe-25Cr-35Ni EHP)を開発した。照射試験片は外径11mm,肉厚0.4mmの管から作製した。試験片は、JRR-3で不活性ガス中、25000h, 553Kで照射し、照射量は1.5×1025n/m2であった。IASCC感受性を評価するため、高温水中(7.7MPa, 561K, 32ppmDO)で照射材のSSRT試験を実施した。SSRT後のSEM観察より、Fe-25Cr-35Ni EHPは延性破面であったが、比較材のSUS304では約70%の粒界破面が観察された。微細組織の観察では、両材ともボイドは認められなかったが、照射欠陥のサイズ,密度に違いがあり、Fe-25Cr-35Ni EHPは、SUS304より耐照射性に優れているものと考えられる。

39001528
Effect of HIP temperature on microstructure and low cycle fatigue strength of CuCrZr alloy
西 宏; 榎枝 幹男
Journal of Nuclear Materials 417(1-3), p.920-923(2011) ; (JAEA-J 09817) [link]
 ITERの炉内機器で用いられるCuCrZr合金について、金属学的欠陥,力学特性、特に疲労強度に及ぼすHIP接合温度の影響を検討するため、溶体化処理後時効硬化させたCuCrZr合金及び980, 1045℃のHIP接合を模擬したCuCrZr合金を用いて金属組織観察,引張,シャルピー,低サイクル疲労試験を行った。組織観察の結果、1045℃ CHIP材では顕著な結晶粒成長が起こっていたが、光学顕微鏡や電子顕微鏡観察ではボイドのような明瞭な金属学的欠陥は認められなかった。また粗大化した析出物がすべてのCuCrZr合金で認められ、この析出物は980℃の再溶体化処理では容易に固溶しないことがわかった。1045℃ CHIP材の低サイクル疲労強度は他のCuCrZr合金より低く、この原因は1045℃の熱処理中に結晶粒界部の欠陥が生じたためと考えられる。

39001529
Density functional calculations for small iron clusters with substitutional phosphorus
中沢 哲也; 五十嵐 誉廣; 都留 智仁; 加治 芳行; 實川 資朗
Journal of Nuclear Materials 417(1-3), p.1090-1093(2011) ; (JAEA-J 09818) [link]
 鉄において粒界に偏析する不純物はその物理的・化学的特性を著しく変化させることが知られている。その不純物の一つであるPは熱や照射環境のもと粒界に偏析し、粒界割れを引き起こす。本研究では、粒界におけるPとFeの結合特性を理解するため、八面体構造を持つFeクラスターの結合エネルギーや電子構造への置換したPの影響を密度汎関数計算を用いて調べた。Feクラスターの結合エネルギーは置換したPの増加とともに増加している。この増加はFeからPへの電荷移動によるFe-P結合の強化による。一方、計算で得た結合次数はFe-Fe結合の弱体化を示している。照射によるPの偏析で生じる脆化は弱体化したFe-Fe結合と関係していると考えられる。

39001530
Thermo-structural analysis of target assembly and back plate in the IFMIF/EVEDA lithium test loop
渡辺 一慶; 井田 瑞穂; 近藤 浩夫; 宮下 誠; 中村 博雄
Journal of Nuclear Materials 417(1-3), p.1299-1302(2011) ; (JAEA-J 09819) [link]
 本研究は幅広いアプローチ(BA)協定の下、実施中の国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証工学設計活動(EVEDA)におけるEVEDAリチウム試験ループ背面壁の熱構造解析に関するものである。EVEDAリチウム試験ループでは、SUS316L製の一体型背面壁及びF82H製のバイオネット型背面壁の2種類が製作される予定である。熱構造設計では、これらの背面壁についてABAQUS計算コードを使用した。ターゲットアセンブリ外表面への断熱材の取り付けを仮定した条件で、最大応力の計算結果は一体型は39.2MPa、バイオネット型は340MPaであった。これらの結果は、それぞれの材料の許容応力を下回っており、熱応力の低減に対する断熱材の効果が確認できた。また、バイオネット型と比較して一体型の最大応力は小さく、背面壁流路に継ぎ目のない一体型構造の利点を明らかにした。

39001531
Present status of refurbishment and irradiation technologies in JMTR
稲葉 良知; 石原 正博; 新見 素二; 河村 弘
Journal of Nuclear Materials 417(1-3), p.1348-1351(2011) ; (JAEA-J 09820) [link]
 材料試験炉(JMTR)は、1968年3月に初臨界となった試験研究炉であり、原子炉用燃料や材料の照射試験の他、RI製造にも利用されてきた。改修と改良のため、2006年8月にJMTRは運転を停止し、2011年度から再稼動する予定である。JMTRの再稼動に向けて、JMTRでは高経年化した原子炉機器の更新,新照射設備の準備及び照射技術の開発が行われている。新JMTRの照射設備及び照射技術は、核融合炉材料の開発にも貢献することができる。本論文では、JMTRにおける改修と、計測に焦点を当てた照射技術の現状について述べる。

39001532
Burnup dependence of melting temperature of FBR mixed oxide fuels irradiated to high burnup
廣沢 孝志; 佐藤 勇
Journal of Nuclear Materials 418(1-3), p.207-214(2011) ; (JAEA-J 09821) [link]
 最大112.5GWd/tまで照射したFBR用MOX燃料の融点測定を、レニウム内容器を用いたカプセル封入式サーマルアレスト法により実施した。測定の結果、これまで実施してきたタングステンカプセル封入法による測定結果と比較して、融点は約30℃程度高い傾向が得られた。一方、融点の燃焼度依存性については、従来の測定結果とほぼ同様な傾向となった。従来値との融点の差異は、照射された混合酸化物燃料とカプセル材料であるタングステンとの反応の影響と考えられる。

39001533
Estimation of heat transfer coefficient and flow characteristics on heat transfer tube in sodium-water reaction
松本 俊慶*; 高田 孝*; 山口 彰*; 栗原 成計; 大島 宏之
Journal of Nuclear Science and Technology 48(3), p.315-321(2011) ; (JAEA-J 09823) [link]
 ナトリウム冷却高速炉では、伝熱管損傷時に水蒸気がナトリウム中へ漏えいしナトリウム-水反応が生じる。本研究では、ナトリウム-水反応実験で得られた温度データを用いて数値解析によってナトリウム側の熱伝達率を評価した。熱伝達率は反応中に大きく振動し、流動特性によって影響を受けることを確認した。その結果、ナトリウム-水反応時に伝熱管近傍の流動様式を推定することができた。

39001534
Development of an ISI robot for the fast breeder reactor MONJU primary heat transfer system piping
田川 明広; 上田 雅司; 山下 卓哉; 成澤 正孝*; 芳賀 芳一*
Journal of Nuclear Science and Technology 48(4), p.504-509(2011) ; (JAEA-J 09824) [link]
 本論文は、高速増殖炉「もんじゅ」1次冷却系配管の供用期間中検査(ISI)用ロボットの開発を実施したものである。1次系配管は、ナトリウムとのバウンダリであるために禁水であることからISIではタイヤ型超音波探触子を用いて体積検査を実施する。その際の雰囲気温度は55℃、配管表面温度は80℃である。さらに、放射線環境下であり、空間線量率10mGy/hr,配管表面線量率15mGy/hrを考えている。新しいタイヤ型超音波探触子,新しい制御方式により、板厚の50%深さの欠陥に対し、欠陥検出時の信号対ノイズ比(SN比)が2以上で検出できることを確認した。自動制御による検査の性能確認試験では、9%深さのEDMスリットに対し、SN比4.0(12.0dB)で検出することができた。

39001535
Preliminary numerical experiments on Oceanic dispersion of 131I and 137Cs discharged into the ocean because of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant disaster
川村 英之; 小林 卓也; 古野 朗子; 印 貞治*; 石川 洋一*; 中山 智治*; 島 茂樹*; 淡路 敏之*
Journal of Nuclear Science and Technology 48(11), p.1349-1356(2011) ; (JAEA-J 09825) [link]
 福島第一原子力発電所の事故により海洋中へ放出された131Iと137Csの移行を数値シミュレーションにより計算した。計算結果は、海洋モニタリングで得られた観測点における放射性核種の時系列と良い一致を示した。また、4月上旬に北茨城市沖で採取されたコウナゴ内で検出された高濃度の131Iは大気から海洋表面へ沈着した131Iが原因であることが示唆された。さらに、太平洋の日本の東海域における放射性核種の濃度分布を計算し、3月中旬に大気中へ放出された放射性核種の海表面への沈着の影響が大きいことを示唆した。

39001536
Ring compression ductility of high-burnup fuel cladding after exposure to simulated LOCA conditions
永瀬 文久; 中頭 利則; 更田 豊志
Journal of Nuclear Science and Technology 48(11), p.1369-1376(2011) ; (JAEA-J 09826) [link]
 LOCA模擬実験で破裂、1405から1484Kで酸化、急冷した高燃焼度燃料被覆管から採取した試験片に対しリング圧縮試験を行った。破損歪みと最大荷重は酸化量と水素濃度とともに減少した。300ないし400ppm以上の水素濃度では被覆管の脆化が見られた。LOCA模擬試験ではすべての被覆管が破断しなかったのに対し、リング圧縮試験では多くの試料が塑性変形せずに破損した。破断基準と脆化基準との間の明確な違いは、2つの試験における応力条件の違いによるものと考えられる。

39001537
X-ray absorption spectra in pyrochlore niobates
鳥越 秀平*; 石本 祐太朗*; 花咲 徳亮*; 野上 由夫*; 松村 大樹; 吉井 賢資; 米田 安宏; 西畑 保雄
Journal of Physics; Conference Series 320, p.012078_1-012078_4(2011) ; (JAEA-J 09827) [link]
 パイロクロア構造を持つニオブ酸化物のX線吸収スペクトルを測定し、この系の誘電性の起源につき議論した。YCaNb2O7とNdCaNb2O7のEXAFS測定からは、Nb周囲の酸素が変位していることがわかった。この結果は、過去の中性子回折実験の結果と定性的に一致する。観測されたイオン変位状態は、Nb周囲の原子配置の中心対称性を破りうるため、局所的に電気双極子が存在しうることとなり、結果的にこの系の誘電性の起源となりうることを議論する。

39001538
Collapsing processes of charge ordered structure in charge- and spin- frustrated ferrite YbFe2O4
松本 圭右*; 小山 司*; 森 茂生*; 吉井 賢資; 池田 直*
Journal of Physics; Conference Series 320, p.012085_1-012085_5(2011) ; (JAEA-J 09828) [link]
 表記酸化物はFe3+とFe2+が電荷秩序配列することによる新規なタイプの強誘電体である。本物質につき、Feの一部をMnに置き換えた場合の電荷秩序構造の変化を透過電子顕微鏡により観察した。10%ほどの置換により、電荷秩序構造は破壊され、Fe3+とMn2+の短距離イオン秩序が発生することがわかった。この系は室温で比誘電率が1000ほどの値を示すが、この性質は短距離イオン秩序による電気双極子を起源とすると考えられる。

39001539
Effect of B-site randomness on the antiferroelectric/relaxor nature of the ground state; Inelastic X-ray scattering study of Pb(In1/2Nb1/2)O3
大和田 謙二; 福田 竜生; 水木 純一郎; 廣田 和馬*; 寺内 暉*; 筒井 智嗣*; Baron, A. Q. R.*; 大和 英弘*; 安田 直彦*
Journal of the Korean Physical Society 59(3), p.2509-2514(2011) ; (JAEA-J 09829) [link]
 Pb(In1/2Nb1/2)O3(PIN)はペロヴスカイトBサイトの秩序度により反強誘電状態,強誘電状態,リラクサー状態を取りうる物質である。秩序PINは鉛複合ペロヴスカイトPb(B'B'')O3においてBサイトランダムネスのない系であり、Bサイトランダムネスによる反強誘電状態/リラクサー状態の起源を探るには理想的な物質である。われわれはX線非弾性散乱実験を行った。準弾性散乱(QE)は臨界スローダウンを示し横波音響(TA)フォノンは反強誘電転移点(TN)までソフト化を示す一方、横波光学モードは低温までソフト化を続けた。これらの結果は、反強誘電相転移はQEの起源とTAフォノンによるものであるが、強誘電相関は確固としてその背後に存在していることを示している。これらの結果を元に、Bサイトランダムネスの効果について議論する。

39001540
Intermediate-valence quasicrystals in Yb-based alloys under pressure
綿貫 徹; 川名 大地*; 町田 晃彦; Tsai, A. P.*
Journal of the Physical Society of Japan 80(Suppl.A), p.SA087_1-SA087_3(2011) ; (JAEA-J 09830) [link]
 Yb合金系準結晶を加圧することにより、中間価数イオンが準周期配列した系が生成できることを示した。Cd-Yb準結晶及びCd-Mg-Yb準結晶のYbは常圧において2価をとるが、加圧とともにYb価数が増加し、2価と3価の中間価数状態をとることをYb吸収端近傍のX線吸収実験により明らかにした。これらの中間価数準周期系は各準周期格子点上に価数の自由度を持つという新しい系である。また、その平均価数値は圧力で制御することが可能である。

39001541
Condition of MeV electron bunch generated from Argon gas-jet target in the self-modulated laser wakefield regime
森 道昭; 神門 正城; 小瀧 秀行; 林 由紀雄; Bulanov, S. V.; Koga, J. K.; 近藤 公伯; Pirozhkov, A. S.; 西村 博明*; 永島 圭介
Journal of the Physical Society of Japan 80(10), p.105001_1-105001_2(2011) ; (JAEA-J 09831) [link]
 自己位相変調領域におけるアルゴンがスターゲットからの高エネルギー電子バンチのプラズマ密度・レーザーパワーの条件について調査した。相対論的自己収束による2次元的なレーザーパルス圧縮を含めた解析モデルから、電子のインジェクションのベクトルポテンシャルの閾値が、標準型レーザーウェーク場加速領域における3次元的なパルス圧縮を含む閾値に近い2.8であることを見いだした。

39001542
On the neoclassical relationship between the radial electric field and radial current in tokamak plasmas
本多 充; 福山 淳*; 中島 徳嘉*
Journal of the Physical Society of Japan 80(11), p.114502_1-114502_14(2011) ; (JAEA-J 09832) [link]
 The equation is analytically derived, stipulating the relationship between the radial electric field Er and radial current jr in tokamak plasmas, especially when heated by neutral beam injection. On a very short time scale compared to the decay in poloidal rotation, the polarization current jp compensates for the non-ambipolar fast-ion radial current, jrfast, producing a concomitant time change in Er. This jp predominates among the constituents of jr that produces the j×B torque. On a longer time scale, Er should be estimated through a force balance equation. In a steady state, transport of toroidal momentum plays a dominant role in balancing the torque induced by jrfast. Analytical work demonstrates that the basis equations of the one-dimensional transport code TASK/TX essentially have the capability to reproduce the phenomena derived, which is subsequently confirmed by numerical simulation.

39001543
Colossal negative thermal expansion in BiNiO3 induced by intermetallic charge transfer
東 正樹*; Chen, W.*; 関 隼人*; Czapski, M.*; Olga, S.*; 岡 研吾*; 水牧 仁一朗*; 綿貫 徹; 石松 直樹*; 河村 直己*; 石渡 晋太郎*; Tucker, M. G.*; 島川 祐一*; Attfield, J. P.*
Nature Communications (Internet) 2, p.347_1-347_5(2011) ; (JAEA-J 09834) [link]
 ペロブスカイト化合物Bi0.95La0.05NiO3が、室温から120度の温度域で、温度上昇1度あたり100万分の82(-82×10-6/度)という、マンガン窒化物を基本とする既存材料の3倍以上の負の線熱膨張係数を持つことを発見した。母物質のニッケル酸ビスマス(BiNiO3)は、ビスマス(Bi)の半分が3価、残りの半分が5価という、特異な酸化状態を持っている。この物質を加圧すると、ニッケル(Ni)の電子が一つ5価のビスマスに移り、ニッケルの価数が2価から3価に変化し、酸素をより強く引きつけるようになることがわかった。この際、ペロブスカイト構造の骨格をつくるニッケル-酸素の結合が縮むため、圧力の効果以上の体積収縮が起こる。さらに、ビスマスを一部ランタン(La)で置換すると、Bi5+が不安定になり、昇温によって同様の変化を起こせることもわかった。この際にも、ニッケル-酸素結合の収縮に伴って、120度の温度範囲に渡り、約3%の体積収縮が起こる。この変化は徐々に起こるので、広い温度範囲に渡って連続的に長さが収縮する、負の熱膨張につながっている。

39001544
Long-range spin Seebeck effect and acoustic spin pumping
内田 健一*; 安立 裕人; 安 東秀*; 太田 岳*; 戸田 雅也*; Hillebrands, B.*; 前川 禎通; 齊藤 英治
Nature Materials 10(10), p.737-741(2011) ; (JAEA-J 09835) [link]
 絶縁体サファイア基盤上においたニッケル鉄合金と白金の細線を用いることで、この孤立した細線中の電子がわれわれの直感に反してサファイア基盤上の位置を認識できることを示す。サファイア基盤に温度勾配を加えることで、白金細線が電気的にも磁気的にも孤立しているのにもかかわらず、この白金に誘起される電圧信号がサファイア基盤上の位置を反映している。この非局所的な電圧信号は、スピンがこの系の唯一の情報キャリアであるフォノンと相互作用することによって生じる。われわれは、このスピンとフォノンの相互作用の存在を、直接音響フォノンを注入することで得られる音響スピンポンピングを実現することで明らかとする。この発見は、スピンゼーベック効果の長距離性に対する答えを提供するとともに、音波を用いたスピントロニクスである音響スピントロニクスへの扉を開くことにも繋がる。

39001545
Charge-induced vortex lattice instability
Mounce, A. M.*; Oh, S.*; Mukhopadhyay, S.*; Halperin, W. P.*; Reyes, A. P.*; Kuhns, P. L.*; 藤田 和博*; 石角 元志; 内田 慎一*
Nature Physics 7(2), p.125-128(2011) ; (JAEA-J 09836) [link]
 超伝導磁束が電気的に帯電され特に高温超伝導体で増大されることが予言されている。ホール効果と核磁気共鳴(NMR)の実験は渦核での電荷の蓄積の存在を示唆するがその効果は小さくて解釈は論争の的となっている。ここでわれわれは、もしボルテックスコアに電荷が補足されるならアブリコソフ磁束格子(超伝導体の混合状態の特徴である)は十分に高い磁場で不安定になることを示す。Bi2212単結晶のボルテックスによって生成された磁場のNMR測定はそれぞれ2×10-3e程度のパンケーキ磁束を伴う、静電的に駆動された磁束格子の再構成の証拠を提供する。また、それはドーピングにより理論的な見積もりと一致する。

39001546
A Finite element LES for high-Re flow in a short-elbow pipe with undisturbed inlet velocity
江口 譲*; 村上 貴裕*; 田中 正暁; 山野 秀将
Nuclear Engineering and Design 241(11), p.4368-4378(2011) ; (JAEA-J 09837) [link]
 この論文ではショートエルボ配管内の高レイノルズ数流動のためのラージ・エディ・シミュレーション(LES)を扱う。ショートエルボは先進ループ型ナトリウム冷却高速炉(JSFR)の1次配管系での使用が検討されている。Re=1.2×106で入口境界で乱流が起きないエルボ配管流動を対象に、1/3縮尺による水試験で観察された流動と比較してLESの基本性能を調べた。なお、比較に用いた水試験では配管入口で小規模な乱流が生じる。計算条件の設定には特に注意を払い、理論考察を行い、配管流動の模擬に適切なメッシュ細分となるようにした。乱流モデル(スマゴリンスキーモデル,WALEモデル)の効果、及び入口速度分析結果について論じる。圧力変動のしくみと流体力の発生についても、スペクトル分析と重要な流動量の可視化を用いて論じる。

39001547
Development of flow-induced vibration evaluation methodology for large-diameter piping with elbow in Japan sodium-cooled fast reactor
山野 秀将; 田中 正暁; 木村 暢之; 大島 宏之; 上出 英樹; 渡辺 収*
Nuclear Engineering and Design 241(11), p.4464-4475(2011) ; (JAEA-J 09838) [link]
 本論文では、JSFRの1次系配管の流力振動評価手法開発の現状について述べる。特に、その開発のアプローチ並びにショートエルボ配管内の非定常流動特性を調べる研究が記述される。実験研究については、ホットレグ配管の1/3縮尺と1/10縮尺の単一エルボ試験体及びコールドレグ配管の1/4縮尺と1/7縮尺の3段エルボ試験体を用いて実施された。1/3縮尺試験体を用いた最近の実験では、ホットレグ配管入口部での旋回流は配管の圧力変動にほとんど影響を与えないことを示した。解析研究では、U-RANSとLESで進めている。本論文では、U-RANSがホットレグ配管実験へ適用できることを示した。

39001548
Demonstration of 500 keV beam acceleration on JT-60 negative-ion-based neutral beam injector
小島 有志; 花田 磨砂也; 田中 豊*; 河合 視己人*; 秋野 昇; 椛澤 稔; 小又 将夫; 藻垣 和彦; 薄井 勝富; 佐々木 駿一; 菊池 勝美; 関 則和; 根本 修司; 大島 克己; 清水 達夫; 久保 直也; 大麻 和美; 井上 多加志; 渡邊 和弘; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 戸張 博之; 小林 信一*; 山納 康*; Grisham, L. R.*
Proceedings of 23rd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2010) (CD-ROM) , 8p.(2011) ; (JAEA-J 09840) [link]
 JT-60N-NBIの負イオン源は今まで耐電圧性能が低く、入射パワーが制限されているのが問題であった。そこで、加速電極の間隔を拡げて、負イオン源内の最短の真空絶縁距離である支持枠角部の電界集中を低減した結果、単段の要求性能を超える200kVを保持することに成功し、設計指標となっていた大型の負イオン源では小型電極よりも6から7倍程度長い真空絶縁距離が必要であることが明らかになった。その理由として電極の面積が100倍異なることだけでなく、1080個もある電極孔や支持枠等の局所電界の電界分布が影響していることが小型電極の実験結果から予測される。そして、1/5のビーム引き出し領域からビーム加速試験を実施した結果、従来420keVが最高であったビームエネルギーを最高507keVまで上昇させることに成功した。ギャップ長を増加させたことによりビーム光学が劣化して電極熱負荷が増大することが懸念されたが、今回のギャップ長の範囲ではビーム光学の劣化がないことを確認した。これらの結果はJT-60SAやITERのNBIにおける耐電圧設計に大きく貢献するものである。

39001549
Overview of JT-60U results toward the resolution of key physics and engineering issues in ITER and JT-60SA
諫山 明彦; JT-60チーム
Nuclear Fusion 51(9), p.094010_1-094010_13(2011) ; (JAEA-J 09841) [link]
 本論文は、JT-60Uにおける2009-2010年の主要な成果を記述したオーバービュー論文であり、特に注力してきた(1)プラズマ回転及びプラズマ回転と輸送や安定性との相互作用、(2)周辺局在モード(ELM)の物理及び能動的なELM制御、(3)プラズマ・壁相互作用、(4)加熱電流駆動装置における性能向上に関する結果を記述している。(1)に関しては、圧力勾配の強いプラズマにおける運動量輸送の解明、トロイダル磁場リップルが回転や周辺圧力に与える影響、回転が内部輸送障壁の特性やタングステンの蓄積に与える影響、新古典テアリングモードが回転に与える影響について記述している。(2)に関しては、タイプ1の周辺局在モード(ELM)の安定性、高エネルギー粒子駆動壁モードがELMに与える影響、周辺部電子サイクロトロン加熱やペレットによるELM制御について記述している。(3)に関しては炭素ダストの運動・分布・堆積、タングステンコーティング層における重水素や炭素の蓄積について記述している。(4)に関しては、負イオン源中性粒子ビームシステムにおけるビームエネルギーとビーム電流の向上、電子サイクロトロン波システムにおける出力パワーと維持時間の向上について記述している。

39001550
Integrated simulation of ELM triggered by a pellet through energy absorption and transport enhancement
林 伸彦; Parail, V.*; Koechl, F.*; 相羽 信行; 滝塚 知典; Wiesen, S.*; Lang, P. T.*; 大山 直幸; 小関 隆久
Nuclear Fusion 51(10), p.103030_1-103030_8(2011) ; (JAEA-J 09842) [link]
 Two integrated core / scrape-off-layer / divertor transport codes TOPICS-IB and JINTRAC with links to MHD stability codes have been coupled with models of pellet injection to clarify effects of pellet on the behavior of edge localized modes (ELMs). Both codes predicted the following two triggering mechanisms. The energy absorption by the pellet and its further displacement due to the E×B drift, as well as transport enhancement by the pellet, were found to be able to trigger the ELM. The ablated cloud of pellet absorbs the background plasma energy and causes a radial redistribution of pressure due to the subsequent E×B drift. Further, the sharp increase in local density and temperature gradients in the vicinity of ablated cloud could cause the transient enhancement of heat and particle transport. Both mechanisms produce a region of increased pressure gradient in the background plasma profile within the pedestal, which triggers the ELM. The mechanisms have the potential to explain a wide range of experimental observations.

39001551
Experimental studies of the effect of the ortho/para ratio on the neutronic performance of a liquid hydrogen moderator for a pulsed neutron source
大井 元貴; 小川 弘達*; 加美山 隆*; 鬼柳 善明*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 659(1), p.61-68(2011) ; (JAEA-J 09844) [link]
 液体水素は、大強度核破砕中性子源における実用可能な冷減速材材料である。液体水素減速材の中性子特性は、オルソ・パラ比に依存している。本研究では、液体水素のオルソ・パラ比が中性子特性に与える影響について測定を行った。測定の結果、オルソ・パラ比によって、最大20%中性子強度が変化し、また、パラ水素濃度が高くなるに従い、パルスピーク強度は高く、パルス幅が狭くなることが実験により確認された。さらに、非結合型減速材においては、パラ水素濃度の増加に伴い、パルスの減衰も早くなることが明らかになった。

39001552
Determination of the number of pulsed laser-Compton scattering photons
近藤 壮雄*; 宇都宮 弘章*; 秋宗 秀俊*; 山県 民穂*; 岡本 明之*; 原田 秀郎; 北谷 文人; 嶋 達志*; 堀川 賢*; 宮本 修治*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 659(1), p.462-466(2011) ; (JAEA-J 09845) [link]
 厚いγ線吸収材を透過した後に多重光子数のポアソン分布が、入射する光子数のポアソン分布から変化する度合いを測定することにより、レーザ逆コンプトン光子数を高精度で計測できる技術を提案した。検証のため、NewSUBARUで発生させた16.7MeVのレーザ逆コンプトン光の波高スペクトルを6"×5"のNaI(Tl)検出器により測定した。鉛板の厚さは、γ線透過率が75.8, 50.9, 25.9%となる3種類とした。また、鉛板がない場合のスペクトルも測定した。この結果、本手法により、3.5%の精度で入射光子数を決定できることを示した。

39001553
On the design of experiments for the study of extreme field limits in the interaction of laser with ultrarelativistic electron beam
Bulanov, S. V.; Esirkepov, T. Z.; 林 由紀雄; 神門 正城; 桐山 博光; Koga, J. K.; 近藤 公伯; 小瀧 秀行; Pirozhkov, A. S.; Bulanov, S. S.*; Zhidkov, A. G.*; Chen, P.*; Neely, D.*; 加藤 義章*; Narozhny, N. B.*; Korn, G.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 660(1), p.31-42(2011) ; (JAEA-J 09846) [link]
 We propose the experiments on the collision of laser light and high intensity electromagnetic pulses generated by relativistic flying mirrors, with electron bunches produced by a conventional accelerator and with laser wake field accelerated electrons for studying extreme field limits in the nonlinear interaction of electromagnetic waves.

39001554
Development of pulsed positron beam line with compact pulsing system
前川 雅樹; 河裾 厚男
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 270, p.23-27(2012) ; (JAEA-J 09847) [link]
 We have developed a pulsed slow positron beam with a pulse width of less than 200 ps and a period of 25 ns. The beam apparatus is composed of a Munich-type pre-buncher, a chopper and a buncher. Instead of the conventional RF cavity, a simple double-cylinder electrode is used for the buncher. The beam will be used for positron lifetime measurements. The time resolution of the whole system including lifetime measurement circuits is 250 ps, which is adequate for studying semiconductors and metals.

39001555
Neutron scattering of iron-based superconductors
社本 真一; 脇本 秀一; 樹神 克明; 石角 元志; Christianson, A. D.*; Lumsden, M. D.*; 梶本 亮一; 中村 充孝; 稲村 泰弘; 新井 正敏; 加倉井 和久; 江坂 文孝; 伊豫 彰*; 鬼頭 聖*; 永崎 洋*
Physica C 471(21-22), p.639-642(2011) ; (JAEA-J 09848) [link]
 LaFeAsO1-x粉末試料における低エネルギーのスピン励起について、中性子散乱を用いて調べた。超伝導体試料の動的スピン磁化率χ''(ω)は、磁気的に秩序化した母相試料の磁化率と同程度であることがわかった。一方、χ''(ω)は、x=0.158で消滅する。このとき、超伝導移送温度Tcは7Kまで抑圧される。このことは、低エネルギーでのスピン励起が高温Tcでの超伝導現象と密接に関連していることを示唆している。低エネルギーでのスピン励起の消滅は、x=0.15におけるBaFe2-xCoxAs2の光電子分光測定結果のように、ホールフェルミ面の消滅と一致する可能性が高い。スピン励起とフェルミ面の関係について、他の鉄系超伝導体との比較の観点から議論する。

39001556
Inelastic neutron scattering on iron-based superconductor BaFe2(As,P)2
石角 元志; 樹神 克明; 梶本 亮一; 中村 充孝; 稲村 泰弘; 脇本 秀一; 伊豫 彰*; 永崎 洋*; 新井 正敏; 社本 真一
Physica C 471(21-22), p.643-646(2011) ; (JAEA-J 09849) [link]
 鉄系超伝導体のなかで最も高いTcを有するLn1111系の超伝導ギャップ対称性は磁場進入長や中性子散乱実験などの結果からフルギャップs±波だと考えられている。一方でBaFe2(As,P)2ではその比較的高いTc(=30K)にもかかわらず、磁場進入長や熱伝導度の実験よりラインノードのギャップ対称性が提案されている。したがって、BaFe2(As,P)2の非弾性中性子散乱ではLa1111とは異なるQ位置の磁気励起,E依存性の共鳴モードが見えることが期待される。本研究でわれわれは、最適ドープBaFe2(As0.65P0.35)2の多結晶粉末試料(36g)の非弾性中性子散乱測定をフェルミチョッパー分光器,四季(J-PARC)を用いて行った。非弾性中性子散乱実験で得られる一般化動的スピン帯磁率は超伝導状態において異なるフェルミ面間のクーパー対の準粒子励起に対応し、超伝導ギャップ対称性に関する情報を得ることができる。講演では非弾性中性子散乱の結果をもとに、考えられる可能な超伝導ギャップ対称性について考察する。

39001557
Magnetic and dielectric study of Bi2CuO4
吉井 賢資; 福田 竜生; 赤浜 裕士*; 狩野 旬*; 神戸 高志*; 池田 直*
Physica C 471(21-22), p.766-769(2011) ; (JAEA-J 09850) [link]
 ビスマス-銅複合酸化物Bi2CuO4は、高温超伝導体の母体物質R2CuO4(R:希土類)と化学式は同じであるが、結晶構造は異なることが知られている。前者はCuO2面を有する2次元性が強い構造であるのに対し、本系は3次元的な結晶構造を持つ。本研究では、この系の磁性と誘電性について調べ、R2CuO4と比較した。磁化測定からは、Cu2+スピンが40K付近で反強磁性転移することが観測され、既報と同様の結果であった。誘電率測定からは、室温近傍で100程度の誘電率が観測された。これはR2CuO4の誘電率10000程度より小さい。誘電応答の虚数部解析からは、誘電ドメインの回転の活性化エネルギーが0.1eV程度と求まった。このことから、この系の誘電応答はCu-3d電子の移動に由来するものと推測される。

39001558
Contribution of intermediate submicrometer structures to physical properties near Tc in Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-9%PbTiO3PbTiO3
大和田 謙二; 水木 純一郎; 並河 一道*; 松下 三芳*; 下村 晋*; 中尾 裕則*; 廣田 和馬*
Physical Review B 83(22), p.224115_1-224115_7(2011) ; (JAEA-J 09851) [link]
 コヒーレントX線回折法,X線散漫散乱法,通常のX線回折法,誘電率測定を相補利用した結果、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-9%PbTiO3においてマクロスケール,ミクロスケール,ナノスケールといった多重距離スケールを考慮した取り扱いが可能になり、それぞれのスケール階層の物性への寄与が議論できるようになった。

39001559
Angle-resolved photoemission spectroscopy study of PrFeAsO0.7; Comparison with LaFePO
西 一郎*; 石角 元志; 出田 真一郎*; Malaeb, W.*; 吉田 鉄平*; 藤森 淳*; 小谷 佳範*; 久保田 正人*; 小野 寛太*; Yi, M.*; Lu, D. H.*; Moore, R.*; Shen, Z.-X.*; 伊豫 彰*; 木方 邦宏*; 鬼頭 聖*; 永崎 洋*; 社本 真一; 有田 亮太郎*
Physical Review B 84(1), p.014504_1-014504_5(2011) ; (JAEA-J 09852) [link]
 われわれは鉄系超伝導体PrFeAsO0.7の角度分解光電子分光の研究を行い、フェルミ準位付近のフェルミ面とバンド分散を調べた。へき開表面の極性により激しくホールドープされた電子状態が観測された。しかしながら、われわれはバンド幅を約2.5倍減少させ化学ポテンシャルを70meV下げるとLDAの計算と合うことを見いだした。これまでに報告されているLaFePOと比較することで、d3z2-r2dyz,zxによるバンドのエネルギー位置が両者で非常に大きく異なることがわかった。このことはLDA計算で予言されているように異なるニクトゲン高さに起因する。

39001560
Hydrogen in layered iron arsenides; Indirect electron doping to induce superconductivity
半那 拓*; 村場 善行*; 松石 聡*; 井川 直樹; 樹神 克明; 社本 真一; 細野 秀雄*
Physical Review B 84(2), p.024521_1-024521_7(2011) ; (JAEA-J 09853) [link]
 Utilizing the high stability of calcium and rare-earth hydrides, CaFeAsF1-xHx (x = 0.0-1.0) and SmFeAsO1-xHx (x = 0.0-0.47) have been synthesized using high pressure to form hydrogen-substituted 1111-type iron-arsenide superconductors. Neutron diffraction and density functional calculations have demonstrated that the hydrogens are incorporated as H- ions occupying F- sites in the blocking layer of CaFeAsF. The resulting CaFeAsO1-xHx is nonsuperconducting, whereas, SmFeAsO1-xHx is a superconductor, with an optimal Tc =55 K at x 〜 0.2. It was found that up to 40% of the O2- ions can be replaced by H- ions, with electrons being supplied into the FeAs layer to maintain neutrality (O2- = H- + e-). When x exceeded 0.2, Tc was reduced corresponding to an electron overdoped region.

39001561
Spin-dependent observables in surrogate reactions
千葉 敏; 岩本 修; 有友 嘉浩
Physical Review C 84(5), p.054602_1-054602_5(2011) ; (JAEA-J 09854) [link]
 代理反応の有効性を検証するため、代理反応で生成されたさまざまなスピン状態から放出される観測量についての議論を行う。放出されるγ線のエネルギースペクトルと多重度,蒸発中性子のエネルギースペクトル,核分裂生成物の質量数分布はいずれも崩壊する状態のスピンに対する依存性を有することがわかった。これにより、これらの量を観測することで、分岐比に大きな影響を与える複合核状態のスピン分布に対する情報が得られることがわかった。

39001562
Event structure and double helicity asymmetry in jet production from polarized p + p collisions at √s = 200 GeV
今井 憲一; 佐藤 進; 谷田 聖; PHENIX Collaboration*
Physical Review D 84(1), p.012006_1-012006_18(2011) ; (JAEA-J 09855) [link]
 重心エネルギー200GeVでの縦偏極陽子陽子衝突からのジェット生成のイベント構造と二重非対称(ALL)について報告する。光子と荷電粒子がPHENIX実験で測定され、イベント構造がPHYTIAイベント生成コードの結果と比較された。再構成されたジェットの生成率は2次までの摂動QCDの計算で十分再現される。測定されたALLは、一番低い横運動量で-0.0014±0.0037、一番高い横運動量で-0.0181±0.0282であった。このALLの結果を幾つかのΔG(x)の分布を仮定した理論予想と比較する。

39001563
Magnetic-field-induced enhancement of nuclear spin-lattice relaxation rates in the heavy-fermion superconductor CeCoIn5 using 59Co nuclear magnetic resonance
酒井 宏典; Brown, S. E.*; Baek, S.-H.*; Ronning, F.*; Bauer, E. D.*; Thompson, J. D.*
Physical Review Letters 107(13), p.137001_1-137001_5(2011) ; (JAEA-J 09856) [link]
 重い電子系超伝導体CeCoIn5において、59Co核の核スピン緩和率を磁場をc軸にかけて測定した。上部臨界磁場Hc2(0)直上の極低温の通常状態において、核スピン緩和率の増大を観測した。核スピン緩和率は、直接、動的帯磁率を反映する物理量であり、反強磁性不安定性がHc2(0)近傍にあることを直接証明している。核スピン緩和率の磁場依存性・温度依存性は、反強磁性スピン揺らぎの自己無撞着理論によってよく再現することができ、得られたパラメータを用いて、比熱や熱膨張の測定結果を上手く説明することができる。

39001564
Observation of free-electron-laser-induced collective spontaneous emission (superfluorescence)
永園 充*; Harries, J.; 岩山 洋士*; 富樫 格*; 登野 健介*; 矢橋 牧名*; 仙波 泰徳*; 大橋 治彦*; 石川 哲也*; 繁政 英治*
Physical Review Letters 107(19), p.193603_1-193603_5(2011) ; (JAEA-J 09857) [link]
 We have observed and characterized 501.6 nm collective spontaneous emission (superfluorescence) following 1s2 → 1s 3p excitation of helium atoms by 53.7 nm free-electron laser radiation. Emitted pulse energies of up to 100 nJ (〜1011 photons) are observed, corresponding to a photon number conversion efficiency of up to 10%. We observe the peak intensity to scale as ρ2, and the pulse width and delay with respect to the pump pulse to scale as ρ-1, where ρ is the atom number density. Emitted pulses as short as 1 ps are observed, which corresponds to a rate around 75000 times faster than the spontaneous 1s 3p → 1s 2s decay rate. To our knowledge this is the first observation of superfluorescence following pumping in the extreme ultraviolet wavelength region, and extension of the technique to the generation of EUV and X-ray superfluorescence pulses should be straightforward by using suitable atomic systems and pump wavelengths.

39001565
The Static structure of polyrotaxane in solution investigated by contrast variation small-angle neutron scattering
遠藤 仁; 眞弓 皓一*; 大坂 昇*; 伊藤 耕三*; 柴山 充弘*
Polymer Journal 43(2), p.155-163(2011) ; (JAEA-J 09858) [link]
 ポリロタキサンは複数の環状分子が軸となる線状の高分子に連なった「超分子構造」を有する。本研究では、良溶媒に溶解したポリロタキサンの静的構造をコントラスト変調中性子小角散乱法を用いて決定した。研究においては、軸分子の形態を決定するとともに、新たに導いた散乱理論を駆使することで、軸分子上での環状分子の分布を定量的に評価した。その結果、環状分子の分布がほぼランダムであることを決定し、さらにポリロタキサンの形態と環状分子の配列エントロピーの関係に関して考察した。

39001566
Current status and future plans of advanced ORIENT cycle strategy
小山 真一; 鈴木 達也*; 三村 均*; 藤田 玲子*; 黒澤 きよ子*; 岡田 賢*; 小澤 正基
Progress in Nuclear Energy 53(7), p.980-987(2011) ; (JAEA-J 09859) [link]
 先進オリエント計画の一環として、塩酸及び硝酸環境での分離にかかわる個別の基礎研究を実施した。ナノ吸着剤であるAMP-SG(D)とD18C6-MCにより、それぞれCsとSrの高い選択的分離性能を確認した。TPR(3級ピリジン樹脂)は希塩酸条件においてPdとTcをよく吸着した。希少元素FPのCEE(触媒的電解)の実証を行い、模擬高レベル廃液から希少元素FPが電着した白金電極の形成を実証し、その電極を用いて電気化学的な水素製造特性を示した。工学実証のための構造材選択ため、ハステロイ-Bは室温で、Taは90℃で高濃度塩酸環境において耐食性があることを確認した。実際の分離プロセスで使用する際、塩酸と硝酸環境におけるTPRの熱化学的な安定性を検証した。これらラボスケールでの実験結果に基づいて、最適化のための課題が明らかとなった。

39001567
Control strategies for transients of hydrogen production plant in VHTR cogeneration systems
佐藤 博之; 久保 真治; Yan, X.; 橘 幸男; 加藤 之貴*
Progress in Nuclear Energy 53(7), p.1009-1016(2011) ; (JAEA-J 09860) [link]
 コジェネレーション高温ガス炉システムにおいて、原子炉システムと接続する水素製造施設は経済性向上の観点から、一般化学プラントに適用される規格基準を用いて設計,製作及び管理する必要がある。この水素製造施設の「非原子力施設化」には、水素製造施設に異常が発生した場合においても原子炉システムの通常運転を継続することが求められる。本検討では、水素製造施設の異常に対する制御方式の確立を目的として、制御方針を決定し、RELAP5コードをベースにコジェネレーション高温ガス炉システムのプラント過渡挙動を評価可能な動特性解析コードを開発した。開発した解析コードを用いて、水素製造施設の負荷喪失及び負荷増大時の動特性を解析評価し、その結果、2次ヘリウム流量,タービン入口温度及びタービン回転数制御を組合せた制御系により、水素製造施設において異常が発生した場合においても原子炉システムの通常運転が継続可能であることを明らかにした。

39001568
Densification of magnesia-based inert matrix fuels using asbestos waste-derived materials as a sintering additive
三輪 周平; 逢坂 正彦; 臼杵 俊之; 矢野 豊彦*
Progress in Nuclear Energy 53(7), p.1045-1049(2011) ; (JAEA-J 09861) [link]
 アスベスト廃材由来セラミックスをマイナーアクチニド含有イナートマトリックス燃料の焼結助剤として利用するという、資源有効利用及び公共安全性に特化した燃料緻密化概念を構築した。本研究では、アスベストを低温で熱処理した場合に発生するケイ酸マグネシウムを焼結助剤として用いて、マグネシアを母材としたイナートマトリックス燃料の緻密化に及ぼす助剤の影響を検討した。

39001569
Monte Carlo simulation of radial distribution of DNA strand breaks along the C and Ne ion paths
渡辺 立子; 和田 成一*; 舟山 知夫; 小林 泰彦; 斎藤 公明; 古澤 佳也*
Radiation Protection Dosimetry 143(2-4), p.186-190(2011) ; (JAEA-J 09862) [link]
 粒子線による照射では、粒子線の種類が異なると、LETが同じであっても、その生物影響が異なることが知られている。これは、粒子線の飛跡構造が異なるためだと考えられる。飛跡構造と生物影響の関係に着目して、これまでに、TIARAを用いて、LETが440keV/μm程度のCイオンとNeイオンを哺乳細胞に照射したところ、Cイオンの方が、細胞致死効率、2本鎖切断(DSB)効率が高く、細胞核内でのDNA損傷生成の空間分布が異なることが観測されている。本研究では、モンテカルロ飛跡構造シミュレーションに基づいて、DSBを含む実験的には困難な損傷も含めた損傷スペクトルと、これらの損傷の空間分布に関するシミュレーションを行った。この結果、同じLETであっても、Cイオンの方がNeイオンよりも、DSB等のクラスター損傷を生成しやすく、Cイオンはイオンの軌跡のごく近傍に集中してDNA損傷が生じるのに対し、Neイオンでは、より周囲に広がって生じるという結果が得られた。これは、TIARAでの実験結果とよく一致する結果であった。これらの要因により生物影響の差がもたらされることを示していると考えられる。

39001570
From a single-band metal to a high-temperature superconductor via two thermal phase transitions
He, R.-H.*; 橋本 真*; Karapetyan, H.*; Koralek, J. D.*; Hinton, J. P.*; Testaud, J. P.*; Nathan, V.*; 吉田 良行*; Yao, H.*; 田中 清尚*; Meevasana, W.*; Moore, R. G.*; Lu, D. H.*; Mo, S.-K.*; 石角 元志; 永崎 洋*; Hussain, Z.*; Devereaux, T. P.*; Kivelson, S. A.*; Orenstein, J.*; Kapitulnik, A.*; Shen, Z. X.*
Science 331(6024), p.1579-1583(2011) ; (JAEA-J 09863)
 高温超伝導体における擬ギャップ相の性質は凝縮系物理学における主な未解決問題である。われわれは同一の最適ドープのBi2201試料を用いて温度T *における擬ギャップ状態の始まりを三つの異なる手段(角度分解光電子分光,極カー効果,時間分解反射率)で調べた。温度T *から突然開始する、粒子-ホール非対称アンチノードギャップ,カー回転,超速緩和ダイナミクスが一致することを観測したが、それは相転移とコンシステントである。さらに温度を冷やすことで超伝導の兆候がTcに近づくにつれて成長し始め、エネルギー-運動量に依存した形で既に存在している擬ギャップの特徴と絡まり、共存する秩序の基底状態を先導する。

39001571
廃止措置に適用する測定・除染・解体技術
廣川 勝規; 久田 雅樹; 福井 康太; 井上 設生
デコミッショニング技報 (44), p.33-42(2011) ; (JAEA-J 09864) [link]
 日本原子力研究開発機構では、事業の合理化及び効率化を図るため、使命を終えた施設,経年化が進んだ施設については、計画的に廃止措置を進めることとしている。廃止措置は、施設の種類や解体対象物の特徴を考慮し、測定・除染・解体技術を上手く適用し、安全かつ経済的に実施する必要がある。本報告では原子力機構大洗研究開発センター環境保全部環境技術課で開発した測定・除染・解体技術について紹介する。

39001572
中性子スピンエコー法の多成分系への応用
遠藤 仁
波紋 21(1), p.50-54(2011) ; (JAEA-J 09865) [link]
 中性子スピンエコー法を用いた多成分系ダイナミクスの研究に関して概説する。具体的に、コントラスト変調中性子スピンエコー法を用いたポリロタキサンのダイナミクスの研究例について解説する。また、日本で唯一の中性子スピンエコー分光器であるiNSEの現状についても簡単に述べる。

39001573
PADC飛跡検出器を用いた後方散乱粒子による高強度イオンビーム特性簡易診断法
金崎 真聡; 山内 知也*; 福田 祐仁; 榊 泰直; 堀 利彦*; 反保 元伸; 近藤 公伯; 倉島 俊; 神谷 富裕
放射線 37(3), p.127-132(2011) ; (JAEA-J 09866)
 PADC飛跡検出器を用いた後方散乱粒子による高強度高エネルギーイオンビーム診断法を開発した。PADC検出器では検出不可能な100MeVのHeイオンを適切な散乱体の上に置いたPADCフィルムに照射した。解析を行ったところ、PADCの散乱体に接している面に形成されたエッチピットが、後方散乱による粒子が形成したものであると確認された。レーザー駆動粒子線実験のような電子線やX線などが混在する複雑な放射線場における幅広いエネルギーレンジに対応したイオンビーム診断を後方散乱粒子を利用することで可能にした。

39001574
クラスターターゲットを用いた革新的レーザー駆動イオン加速研究における固体飛跡検出器CR-39の利用
福田 祐仁; 反保 元伸; 榊 泰直; 近藤 公伯; 金崎 真聡; 山内 知也*
放射線 37(3), p.169-172(2011) ; (JAEA-J 09867)
 レーザーイオン加速実験では、発生するイオンのエネルギーは核子あたり数〜数十MeV/nの広い範囲にショットごとにランダムに分布する。さらに、イオンのみならず、高エネルギー電子線,X線やγ線、及び、これらに付随する電磁ノイズも発生する。したがって、イオンの最大エネルギー,イオン種,イオン個数を同定し、イオン発生の最適条件を探索するのは容易ではない。このような状況の中で、固体飛跡検出器CR-39は、レーザー駆動イオン加速のような複雑な混成場において、イオンのみを選択的に検出できるツールとして、「レーザー加速器」開発において、最も信頼できるイオン検出器となっている。本論文では、これまでに原子力機構関西光科学研究所で行ってきたレーザー駆動型のイオン加速実験とそこでのCR-39によるイオンビーム診断について解説する。

39001575
環境・エネルギー分野での量子ビーム利用研究
玉田 正男
放射線と産業 (128), p.4-9(2010) ; (JAEA-J 09868)
 原子力機構量子ビーム応用研究部門環境・産業応用研究開発ユニットでは、電子線,γ線,イオンビームなどの量子ビームを駆使して、これまで培ったモノづくりや分析技術を環境・エネルギー分野の社会ニーズに即して展開させた研究開発を進めている。この観点から、電池用電解質膜,高性能金属捕集材,天然高分子材料の改質技術,有害な有機化合物の分解技術,水素分離セラミック薄膜,半導体デバイスの耐放射線性評価技術の研究開発について、最近得られた主な成果と今後の展望を記載した。

39001576
ヘリウムと熱伝導
稲垣 嘉之
化学と教育 59(10), p.492-495(2011) ; (JAEA-J 09870)
 ヘリウムは、無色,無臭,無味,無毒で最も軽い希ガスであり、風船や飛行船等の浮揚用ガスとして利用されている。また、ヘリウムの沸点は4.22K(-268.93℃)であり、沸点が最も低い元素であることから、医療における核磁気共鳴画像(MRI)や理化学における加速器の超伝導電磁石の冷却材として利用されている。一方、超高温の分野においては、不活性であり、かつ、気体としては高い熱伝導を有するという特徴を活用して、高温ガス炉の冷却材として利用されている。本報では、熱の移動にかかわる熱伝導,熱伝達,熱放射の現象について概説するとともに、特徴を生かした超低温から超高温までのヘリウムの用途,資源としてのヘリウムの採掘法,埋蔵量について述べる。

39001577
RCNPでの核データ研究戦略検討会会合報告
岩元 洋介
核データニュース(インターネット) (100), p.14-21(2011) ; (JAEA-J 09871) [link]
 核データ研究戦略検討会が、2011年6月28日,29日に大阪大学核物理研究センター(RCNP)で開催された。本検討会の目的は、核データ研究者,核データを利用する研究者・技術者、及び核物理研究者が集まり、中高エネルギーにおける核データ研究の戦略を検討することで、各応用分野で要求される核データを重要性や緊急性に応じて分類し、分野を超えた研究者の組織化を図ることを目標とする。この会合には、国内の大学,研究機関,民間企業の研究者,技術者が出席し、総出席者数は計39名だった。最終討論で、核データ測定や核反応モデル研究の成果をスピーディにPHITSシミュレーションコードに反映させ、各応用分野に活用しつつ、核データ研究にフィードバックを図る枠組みの必要性を指摘された。本検討会を通じ、三者間のさらなる連携や情報共有の必要性が認識され、メーリングリストや検討会HPを活用した情報交換や情報発信を行い、本活動を継続していくことが確認された。本報告書では、検討会での発表内容をとりまとめるとともに、今後の研究体制について提案する。

39001578
軽水炉燃料サイクルにおける核種生成量評価のための核データ
奥村 啓介
核データニュース(インターネット) (100), p.31-38(2011) ; (JAEA-J 09872) [link]
 本報告では、まず核種生成量計算に必要な核データについて簡単に説明する。続いて、核種生成量の精度評価において留意すべき点を241Amの生成量を例に紹介する。次に、バックエンド分野における核種生成量と核データニーズの一例として、ガラス固化体の長期安全性評価に関する事例を紹介する。最後に、福島第一原子力発電所の破損燃料に対する核種組成推定法について述べる。

39001579
希土類金属2水素化物の圧力誘起相分離
町田 晃彦; 綿貫 徹; 青木 勝敏
高圧力の科学と技術 21(3), p.168-175(2011) ; (JAEA-J 09873) [link]
 希土類金属2水素化物で観測された圧力誘起相分離について解説する。希土類金属2水素化物では一般的に金属格子は面心立方格子を組んでおり、その四面体サイトを水素が占有している。八面体サイトは非占有であるため格子圧縮による水素原子の格子間移動の可能性が期待される。そこでわれわれはランタン2水素化物LaH2.3において高圧下放射光X線回折実験を行ったところ、11GPaでもとのブラッグ反射のちょうど外側に新たな反射の出現を観測した。この新たな反射はユニットセル体積が約17%小さいfcc構造の形成によるもので、高圧下で水素濃度の異なる二相に相分離することで説明ができる。格子体積の小さい低濃度相が形成され、余剰の水素はサイト間を移動し高濃度相を形成すると考えられる。この現象は水素原子の格子間移動を伴うものであり、高圧下での水素移動のダイナミクス研究への発展が期待できる。

39001580
中性子スピンエコー法を用いたソフトマターのダイナミクス研究
遠藤 仁
高分子 60(4), p.193-194(2011) ; (JAEA-J 09874) [link]
 中性子スピンエコー(NSE)法は、高分子等に代表されるソフトマターのダイナミクスを研究するうえで極めて有用な実験手法である。本レビューではNSE法とその研究への適用例を解説し、日本唯一のNSE分光器であるiNSE分光器について紹介する。

39001581
量子ビームを利用した燃料電池用高分子電解質膜の創製に関する研究
八巻 徹也
36(5), p.240-247(2011) ; (JAEA-J 09875) [link]
 日本原子力研究開発機構では、独自の量子ビーム技術を駆使して、燃料電池に応用可能な高分子電解質膜の開発を進めている。本論文では、発表者らによるその活動について、(1)γ線・電子線による架橋・グラフト反応を利用した電解質膜の作製,(2)イオンビームによるナノ構造制御電解質膜の作製,(3)中性子小角散乱法による膜構造解析への展開、などのトピックをレビューする。

39001582
放射線抵抗性細菌
小野寺 威文; 鳴海 一成
日本微生物生態学会誌 26(2), p.75-77(2011) ; (JAEA-J 09876)
 イオンビーム変異誘発研究グループでは、放射線抵抗性細菌の代表選手であるD. radioduransの著しく高い放射線耐性の原因を解明する研究に携わってきた。2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質が表層土壌に降下した。表層土や汚泥に含まれる主たる放射性核種はセシウムである。セシウムは土壌に強く吸着しているので、今後の放射性物質の除染の必要性を考えた場合、表層土や汚泥からセシウムを選択的に取り出す技術の確立が急務とされている。このような土の除染対策に微生物を直接利用することは現実的ではないにせよ、大量の放射性廃棄物を別途保管しなければならないことを考えると、土からセシウムを回収する何らかの技術が確立された後、二次的にセシウムを濃縮・回収し、保管する放射性廃棄物の量をなるべく減らすことが必要となってくる。この二次的なセシウム濃縮に微生物を利用することを、さまざまな方法の中の選択肢のひとつとして考えることは可能であろう。二次濃縮ともなれば、被曝量は微生物の致死線量には至らずとも、突然変異を高頻度に誘発することになる。濃縮効率,低コスト,安全性などを勘案すると、放射線抵抗性細菌は、二次的な放射性セシウム濃縮のための宿主として有望かも知れないと考えている。

39001583
世界の高速炉サイクル技術開発の動向,3(最終回); 革新的なナトリウム冷却高速炉サイクル技術と開発課題
山口 彰*; 柳澤 務; 森山 裕丈*
日本原子力学会誌 52(10), p.626-637(2010) ; (JAEA-J 09877) [link]
 3回連載の最終回として、高速炉サイクルシステムの本格的な実用化に向けた取り組みの観点から、ナトリウム冷却高速炉に採用を検討している革新技術について、2009年12月にIAEA主催で開催された高速炉システム国際会議(FR09)での議論を中心に紹介する。開発主要国で検討されている炉型,原子炉構造,冷却系機器等の炉関連技術、及びそれに関連する燃料開発や湿式や乾式再処理技術に関する技術,シミュレーションの最新の状況、及び今後の展望について解説する。さらに高速炉開発を取り巻く今後の課題として近年関心が高まっている、安全性や核不拡散,運転経験,技術伝承や人材育成の問題についての各国の取り組み,「もんじゅ」及び「常陽」を活用した日本への期待について述べる。

39001584
河川系における放射性核種の移行特性; チェルノブイリ事故研究等からの知見
松永 武; Tkachenko, Y.*
日本原子力学会誌 53(10), p.684-688(2011) ; (JAEA-J 09878) [link]
 チェルノブイリ事故・大気圏内核実験影響の関連研究を参照し、河川における放射性核種の移行の特徴をまとめた。福島原子力発電所の損壊により大気中に放出された放射性核種は、地表面の広域汚染をもたらしている。地表面土壌に沈着した放射性核種の一部は河川系に移行する。河川での放射性核種の移行は長期的である一方、降雨時の短期変化も重要であり、さまざまな時間スケールを伴っている。また、放射性核種ごとの挙動の相違も大きい。ドニエプル川水系におけるチェルノブイリ事故起因の137Csでは、地表蓄積量の0.1-0.7%/yが河川で移行し、経年的に大きく低下する。これに対し、90Srでは2.9-4.3%/yであり、経年的な低下は小さい。遠方への流下挙動は核種ごとに特徴的である。137Cs, 239,240Puでは多くが浮遊粒子で運ばれ、河川内滞留と移動を繰り返す。90Srは希釈を受けながら、遠方下流まで運ばれる。河川の放射性汚染対策として、放射性核種の摂取にかかわる段階での対策が現実的には最も有効であると考えられている。種々の対策の効果を比較するシステムが開発されており、対策のメリット・デメリットを総合的に評価するために有用と考えられる。

39001585
多重即発γ線分析による環境中の微量元素分析
大島 真澄; 松尾 基之*; 小豆川 勝見*
応用物理 80(11), p.948-954(2011) ; (JAEA-J 09879) [link]
 多重γ線検出法は放射性核種分析において高分解能,高感度を実現する。この手法を即発γ線分析に適用することにより、この分析法を高度化することができた。本解説では、即発γ線分析及び多重γ線検出法の原理と特徴について紹介したあと、それによる地球環境試料、特に都市河川底質試料及び海洋堆積物試料への適用性の検討と分析例について述べる。

39001586
加熱・電流駆動システム
坂本 慶司
プラズマ・核融合学会誌 87(Suppl.), p.176-185(2011) ; (JAEA-J 09880)
 原型炉で予想される電子サイクロトロン共鳴加熱電流駆動(EC)システムの概要と見通しを検討した。ECシステムでは、170GHz帯ジャイロトロンや伝送系など、ITERで開発された技術の多くがそのまま原型炉に使用できる。また、ITERで得られる経験,データベース,信頼性や性能向上の努力がそのまま原型炉に適用できるメリットは大きい。その一方、原型炉に特徴的な課題として、完全連続運転の実証,エネルギー変換効率のさらなる向上,信頼性の高い加熱位置制御手法の開発(周波数高速制御等)などがある。原型炉には十分間に合うと思われるが、ITERやミリ波技術の産業応用による相乗効果等で、できるだけ効率よく、少ない投資最大の効果を得るべく、開発を進めることが必須である。

39001587
トカマク実験におけるタングステンの輸送及び制御研究の進展
朝倉 伸幸; 仲野 友英
プラズマ・核融合学会誌 87(9), p.577-590(2011) ; (JAEA-J 09881)
 タングステンはITERのダイバータ対向材として設置され、高温壁の原型炉では第一壁材としても考えられているが、高温の炉心プラズマ実験での経験はまだ豊富とは言えず、そのプラズマ中での制御研究が望まれている。本章では、高温で高閉じ込め性能のトカマク・プラズマ実験(ASDEX-Upgrade, JT-60U, Alcator C-MOD, TEXTOR)で進められている、タングステン(及びモリブデン)の発生要因,周辺プラズマにおける遮蔽効果,コアプラズマでの蓄積とその抑制・制御研究,計測と評価方法、さらに実際にタングステン・タイルを設置し理解が進んだプラズマ材料相互作用研究について最近の研究成果の概要及び課題について紹介する。

39001588
ITERダイバータの製作状況とタングステンダイバータの工学課題
鈴木 哲
プラズマ・核融合学会誌 87(9), p.607-614(2011) ; (JAEA-J 09882)
 本稿では、主として現在建設フェーズに入っている国際熱核融合実験炉ITERのダイバータの設計仕様及び機器の製作状況を述べ、ITERダイバータの技術的な延長として捉えた場合の原型炉用タングステンダイバータの開発にかかわる課題について説明する。日本国内機関は、ITERダイバータ機器のうち、外側垂直ターゲットを調達することになっており、現在、材料や製作手法に関するクォリフィケーションを行うとともに、外側垂直ターゲット実規模プロトタイプの製作に着手したところである。この実規模プロトタイプ製作で得られる知見をもとにして、今後、実機ダイバータ製作を開始する予定である。原型炉ダイバータは、これまでにITERダイバータ開発で得られた接合手法等をベースに、構造材となる低放射化フェライト鋼とアーマ材の接合手法等の要素技術開発を着実に進めつつある。

39001589
放射性廃棄物収納容器中のウラン放射能簡易定量評価のためのγ線計測方法
横山 薫; 杉杖 典岳
Radioisotopes 60(10), p.409-416(2011) ; (JAEA-J 09884) [link]
 放射性廃棄物収納容器中に含まれるウラン放射能を定量するため、廃棄物密度均一の条件で不均一な線源分布とγ線計数率を線形関係で結ぶ評価モデルを示した。この評価モデルにより廃棄物密度均一では、不均一な線源分布状態とγ線計数率の対応が評価でき、ウラン放射能が定量可能となることを示した。一方、廃棄物密度不均一,線源分布不均一の放射性廃棄物への適用は課題となっていた。このため、廃棄物密度不均一の放射性廃棄物収納容器のγ線計測を、廃棄物収納容器を取り囲む球面上に設定したポイントで実施し、計測値を幾何平均して、廃棄物密度不均一の放射性廃棄物から近似的に廃棄物密度均一の状態を作り出す方法を考察した。この結果、廃棄物密度不均一の状態であっても、線源分布状態とγ線計数率の関係を、ウラン系列で放出される二つのエネルギーでのγ線計数率幾何平均の比R、放出率の比kから定義される1/(ln(k/R))2と1001keVのγ線計数率幾何平均nで与えられることを示した。

39001590
原子力事故時の放射性物質の大気中での挙動
堅田 元喜
大気環境学会誌 46(6), p.A91-A94(2011) ; (JAEA-J 09885)
 原子力事故時に放出される放射性物質の大気中での動きを解説する。今回の福島第一原子力発電所事故の際に、大気中に放出された放射性物質の性質や、それらが風に乗って移動し、重力や降雨によって地面へと落下(沈着)する一連のプロセスを、モニタリングデータや数値シミュレーションの結果と合わせて説明する。

39001591
Effect of Λ(1405) on structure of multi-antikaonic nuclei
武藤 巧*; 丸山 敏毅; 巽 敏隆*
AIP Conference Proceedings 1374 , p.197-200(2011) ; (JAEA-J 09886) [link]
 K中間子が複数束縛した原子核の性質を調べた。特に、バリオンの共鳴状態Λ(1405)の効果を入れた場合、原子核の構造にどのような影響があるかを調べた。手法としては相対論的平均場模型とThomas-Fermi近似に基づく数値計算を用いた。Λ(1405)のpoleの寄与をK中間子の相互作用に取り入れたところ、これが引力的に働くことがわかり、中心密度や束縛エネルギーが増加することがわかった。また、K中間子数の増加に伴いK中間子のエネルギーが増加し、それがΛ(1405)の質量と核子の質量の差mΛ*-mNを超えると、p+K- ↔ Λ(1405)で共鳴していたK中間子が束縛しなくなるというメカニズムを明らかにした。

39001592
Operation status of the J-PARC negative hydrogen ion source
小栗 英知; 池上 清*; 大越 清紀; 滑川 裕矢; 上野 彰
AIP Conference Proceedings 1390 , p.235-244(2011) ; (JAEA-J 09887) [link]
 J-PARCで稼働中の負水素イオン源は、セシウム無添加の六ホウ化ランタン駆動型イオン源を使用している。本イオン源は、2006年11月から現在に至るまで35回のビームランにおいてビームを供給している。本イオン源は最大ビーム電流36mAの負イオンビーム生成を達成しているが、2008年9月に発生した高周波四重極リニアック(RFQ)の放電問題により、16mA以下のビームを定常的に加速器に供給している。ビーム供給運転は1か月単位で実施され、4又は5週間連続のビーム運転を行い、その後、数日間のメンテナンスを実施している。最近のビーム運転では約700時間の連続運転を達成し、J-PARCの当初目標である500時間の連続運転を達成した。またビーム供給運転中のイオン源トラブルによる加速器ビーム停止時間は各運転でおおよそ延べ数時間であり、イオン源の稼働率は99%以上と高い。さらなるビーム電流向上を目指し、テストスタンドによる試験も実施している。

39001593
Impedance measurement of an antenna with hydrogen plasma driven by 13.56 MHz-rf for J-PARC H- ion source
上野 彰; 滑川 裕矢; 大越 清紀; 池上 清*; 小栗 英知
AIP Conference Proceedings 1390 , p.292-299(2011) ; (JAEA-J 09888) [link]
 J-PARCにおいて六ホウ化ランタンフィラメントを使用したセシウム不使用負水素イオン源が運転されている。本イオン源では、J-PARC第一段階で必要な性能である負水素イオンビーム電流30mAと寿命500時間を達成しているが、セシウムを添加してもビーム強度が増強できないことが判明した。J-PARC第二段階で必要な性能である負水素イオンビーム電流50mAと寿命2000時間を達成するため、SNSで開発されたアンテナを使用し、13.56MHz-RFで駆動させる負水素イオン源の開発を開始した。開発の第一歩として、最も重要なパラメータの一つである水素プラズマ中のアンテナのインピーダンスを測定した。1.25kWと7.45kWのRF電力に対し、インピーダンス値11.82+80.22jΩと21.16+58.24jΩを得た。予想に反し、大きな実数成分と正のRF電力依存性であった。測定されたインピーダンスをもとに、回路シュミレーションコードLTSpice IVを使用し、接地電位の13.56MHz-RF源で、-50kV電位の真空容器内にRFプラズマを生成する回路設計を行った。

39001594
Improvement of voltage holding and high current beam acceleration by MeV accelerator for ITER NB
谷口 正樹; 柏木 美恵子; 井上 多加志; 梅田 尚孝; 渡邊 和弘; 戸張 博之; 大楽 正幸; 山中 晴彦; 土田 一輝; 小島 有志; 花田 磨砂也; 坂本 慶司
AIP Conference Proceedings 1390 , p.449-456(2011) ; (JAEA-J 09889) [link]
 原子力機構では、ITER中性粒子入射加熱装置(NBI)用として多孔多段型負イオン加速器(MeV級加速器)の開発を行っている。現在までに、MeV級加速器では796keV, 140A/m2の負イオン加速に成功したが、ITER要求値である1MeV, 200A/m2の負イオン加速達成には加速器の耐電圧性能改善が不可欠である。JT-60用加速器やMeV級加速器においてさまざまな加速器体系で実施した耐電圧試験の結果、実機の保持電圧は電極支持枠部の段差や角部における電界集中により、加速器の設計に用いた理想的電極での試験結果より50%低下することが明らかとなった。これらの知見に基づき、電極間ギャップの延長や支持枠角部の曲率を増加させるなど、電界集中を抑制するための改造を行った。その結果、真空下での保持可能電圧は835kVから1MVに向上し、加速された負イオンの電圧,電流は879keV, 157A/m2に増加した。

39001595
Study of beamlet deflection and its compensations in a MeV accelerator
柏木 美恵子; 井上 多加志; 谷口 正樹; 梅田 尚孝; Grisham, L. R.*; 大楽 正幸; 武本 純平; 戸張 博之; 土田 一輝; 渡邊 和弘; 山中 晴彦; 坂本 慶司
AIP Conference Proceedings 1390 , p.457-465(2011) ; (JAEA-J 09890) [link]
 原子力機構では、5段の多孔多段電極(MAMuG)加速器を用いて、ITERの設計値である1MeV, 200A/m2の水素負イオンビーム加速を目指している。最近の耐電圧試験で加速器内の局所的な電界集中を低減するために金属間ギャップを延長した結果、真空耐電圧が大幅に改善し、1MVで4000秒の電圧保持に成功した。これに伴い、ビームエネルギーも800keVから900keVレベルに増加したが、ギャップ長を長くしたために磁場と空間電荷反発で生じるビーム偏向が加速器内で顕著になり、ビームが電極に衝突し、絶縁破壊を誘発していることが明らかとなった。そこで、3次元マルチビームレット解析で、ビーム偏向量を明らかにし、その補正方法を検討した。この結果、磁場による偏向補正のために電子抑制電極の各孔に0.8mmの孔軸変位を、さらに空間電荷反発の補正のために孔部周辺に厚み1mmの電界補正板を設けることで、1MeVのビームを補正できる見込みを得た。この偏向補正法を加速器に組み込み、偏向試験を進めており、これらの結果を報告する。

39001596
Acceleration of 500 keV negative ion beams by tuning vacuum insulation distance on JT-60 negative ion source
小島 有志; 花田 磨砂也; 田中 豊*; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 井上 多加志; 梅田 尚孝; 渡邊 和弘; 戸張 博之; 小林 信一*; 山納 康*; Grisham, L. R.*; JT-60NBI開発グループ
AIP Conference Proceedings 1390 , p.466-475(2011) ; (JAEA-J 09891) [link]
 JT-60N-NBIの負イオン源は今まで耐電圧性能が400keVと設計値の500keVよりも低く、入射パワーが制限されているのが問題であった。そこで、実機負イオン源や小型電極を用いた真空耐電圧試験を行い、耐電圧低下の原因を調べた。その結果、従来の面積依存性だけでなく、電極孔や支持枠角部に代表される局所高電界の領域が広がることにより、耐電圧が低下することが明らかとなった。そこで、既存の加速器体系を大幅に改造することなく、この局所高電界を低下させて耐電圧を改善するために、電極間隔を広げて耐電圧試験を行った。しかし、最短距離が伸長されないために耐電圧の改善が飽和する傾向が観測された。そこで、最短距離の伸長を制限していたビーム放射シールドの再設計を行った。その際、ビームからの放射光がFRPに照射されるのを妨げる機能を保ちつつ、FRP表面電界と陽極電界を低減させて最適化する必要があった。そして、既存の体系の中でビーム放射シールドを最適化するとともに、電極間隔を調整した結果、負イオン源の耐電圧は500kV以上に改善した。この改良した負イオン源を利用して、500keVの負イオンビームを3Aまで加速することに成功した。

39001597
Development of the JT-60SA Neutral Beam Injectors
花田 磨砂也; 小島 有志; 井上 多加志; 渡邊 和弘; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 戸張 博之; 梅田 尚孝; 秋野 昇; 椛澤 稔; 大麻 和美; 小又 将夫; 薄井 勝富; 藻垣 和彦; 佐々木 駿一; 菊池 勝美; 根本 修司; 大島 克己; 遠藤 安栄; 清水 達夫; 久保 直也; 河合 視己人*; Grisham, L. R.*
AIP Conference Proceedings 1390 , p.536-544(2011) ; (JAEA-J 09892) [link]
 JT-60SAにおいては、12基の正イオン中性粒子入射(NBI)装置と1基の負イオンNBI装置を用いて、合計30-34MWの重水素中性粒子ビームを100秒間プラズマへ入射することが要求されている。正イオンNBIに関しては、JT-60SAの設計値である1基あたり2MW, 85keVの重水素中性粒子ビームの入射を達成している。その際、イオン源やイオンダンプ等のビームライン機器は、100秒入射が要求されるJT-60SAで既存の装置を改造することなく再使用できる見通しを得ている。また、10MW, 500keV入射が要求されているJT-60SAの負イオンNBI装置のための開発においては、500keV, 2.8Aの水素負イオンビーム生成に成功している。これは、1A以上の負イオンビームを500keV以上のエネルギーまで加速した世界初の成果である。今後、実験装置を整備し、負イオンの100秒間生成のための開発研究を実施する予定である。

39001598
A Study on mechanical behaviors of concrete lining and rock caused by shaft sinking at the Horonobe Underground Research Laboratory
津坂 仁和; 稲垣 大介; 小池 真史*; 井尻 裕二*; 羽出山 吉裕*
Harmonising Rock Engineering and the Environment , p.305-308(2011) ; (JAEA-J 09893) [link]
 幌延深地層研究所では、3本の立坑を深度500mまで順次掘削しており、2010年末には、換気立坑(内径4.5m)と東立坑(内径6.5m)を深度250mまで掘削した。先行する換気立坑の施工において、ショートステップ工法の施工手順を詳細に再現した三次元逐次掘削解析を実施し、覆工コンクリート内に大きな応力勾配が生じることが算出された。このため、後進する東立坑の深度220m付近にて、立坑掘削に伴って生じる覆工コンクリート内の円周方向応力分布と立坑壁面周辺岩盤の変形を、三次元逐次掘削解析と併せて現場計測にて評価した。一般的な覆工コンクリート応力の計測手法では、高さ2mの覆工コンクリートのほぼ中央かつ同一水平面内に応力計を配置するが、今回は、初期地圧の主応力方向の縦断面内に各5個の応力計を配置し、同コンクリート内の三次元応力分布を計測した。また、立坑壁面周辺岩盤の挙動を、長さ6mの地中変位計によって計測した。その結果、厚さ60cm、高さ2mのリング形状の覆工コンクリート内の応力分布にて、その最大値と最小値の生じる箇所や、その応力差が10MPa以上と顕著であること、さらに、地中変位計の計測結果により、覆工コンクリートを構築した後には、立坑壁面近傍の岩盤に圧縮ひずみが分布することが明らかとなった。

39001599
Characteristic evaluation and scenario study on fast reactor cycle in Japan
塩谷 洋樹; 小野 清; 難波 隆司
Nuclear Power; Deployment, Operation and Sustainability (Internet) , p.91-112(2011) ; (JAEA-J 09894) [link]
 現在から将来に渡る我が国の原子力システムについて、平衡期及び移行期の原子力全体のシステム評価が可能なモデルを開発した。そのツールを用いてFaCTの評価や我が国の原子力システムのシナリオ評価の結果を示す。

39001600
Analysis of reacting gas jets in liquid pools using the SERAPHIM program
内堀 昭寛; 渡部 晃*; 大島 宏之
Proceedings of 14th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-14) (CD-ROM) , 11p.(2011) ; (JAEA-J 09896)
 高速実用炉蒸気発生器の伝熱管破損時安全評価に資することを目的として、圧縮性混相流・ナトリウム-水反応現象数値解析コードSERAPHIMを開発している。本研究では、反応性混相流現象に対する解析モデルの適用性を検証するため、Na-NaCl混合液中塩素ガス音速噴出実験を対象として検証解析を実施した。混相流の解析モデルとして圧縮性を考慮した多流体モデルを用い、基礎方程式の解法として圧縮性混相流に適用できるよう修正したHSMAC法を用いた。化学反応に伴う物質生成・消滅速度については、気液界面への気相の輸送速度が化学反応の進行を律するとした表面反応モデルを適用して評価した。塩素ガスの噴出条件やNaの濃度を変更した複数ケースの解析を実施した結果、化学反応に伴い噴流がある高さで消滅する現象を再現可能であるとともに、いずれのケースにおいてもその消滅高さが実験結果とよく一致することを確認した。以上の検証により、著者らが提案する解析モデルの適用性を示した。

39001601
Development of core hot spot evaluation method for natural circulation decay heat removal in sodium cooled fast reactor
堂田 哲広; 大島 宏之; 上出 英樹; 渡辺 収*; 大久保 良幸*
Proceedings of 14th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-14) (CD-ROM) , 13p.(2011) ; (JAEA-J 09897)
 ナトリウム冷却高速実用炉(JSFR)の崩壊熱除去系として完全自然循環式崩壊熱除去系が採用されている。完全自然循環システムの成立性を評価する目的で、定格運転状態から自然循環崩壊熱除去状態への移行時における炉心最高温度評価手法を開発した。本評価手法は、自然循環時に特徴的な物理現象である集合体間熱移行や集合体間及び集合体内の流量再配分効果を考慮するため、3ステップの熱流動解析で構成するものとした。また、3ステップ目の解析(サブチャンネル解析)は比較的計算負荷が大きいため、簡易評価モデルを開発し、その低減を図った。本評価手法を大型炉の外部電源喪失事象及び2次ナトリウム漏えい事故時の評価に適用した。

39001602
Experimental study on influences of kinematic viscosity on occurrences of cavitation due to sub-surface vortex
江連 俊樹; 木村 暢之; 小林 順; 上出 英樹
Proceedings of 14th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-14) (CD-ROM) , 13p.(2011) ; (JAEA-J 09898)
 液中渦キャビテーション発生に対する動粘性係数の影響を把握するため、円筒容器中での水試験を実施した。水温を10℃から80℃(ν: 1.3×10-6 - 3.7×10-6m2/s)の範囲で数条件に変化させ、水の粘性を変えた試験を実施し液中渦の発生の把握を行った。加えて、液中渦周囲の速度分布を粒子画像流速測定法により計測した。その結果、動粘性係数が比較的大きい領域では発生条件への影響がみられたが、その影響は動粘性係数が減少するか、吸込み流速が増加するにつれて見られなくなることがわかった。加えて、これら傾向を整理する指標として、無次元化循環Γ*を見いだした。

39001603
Unsteady hydraulic characteristics in pipe with elbow under high Reynolds condition
小野 綾子; 木村 暢之; 上出 英樹; 飛田 昭
Proceedings of 14th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-14) (CD-ROM) , 13p.(2011) ; (JAEA-J 09899)
 アドバンストループ型高速炉は、ループ数削減に伴い、従来設計に比べて一次冷却系配管の口径が大型化し、管内流速も増加する設計となるため、エルボ曲がり部での流れの偏りに起因する流体励起振動の発生が懸念されている。流体励起振動のメカニズム把握するためには、エルボ内の流動構造と流動変動によって生じる圧力変動特性を把握する必要がある。本研究では、エルボ内の非定常流動構造を明らかにするために高速PIVにより流速場計測を行うとともに、圧力センサを用いエルボ腹側壁面での圧力変動計測を行った。曲率比をパラメタとすることで流体剥離の程度を変化させ、剥離域の形成が壁面圧力変動に及ぼす影響を調べた。その結果、剥離域が形成されると再付着点近傍において、その揺動に対応した周期的な圧力変動が生じること、二次流れの腹側への流入が剥離域近傍の流動変動の周期に影響を及ぼすことがわかった。

39001604
Effectiveness of Core Exit Thermocouple (CET) indication in accident management of light water reactors
中村 秀夫; Tóth, I.*; Sandervag, O.*; Umminger, K.*; Dreier, J.*; Prior, R.*; Alonso, J. R.*; Muellner, N.*; D'auria, F.*; Mühleisen, A.*; Amri, A.*
Proceedings of 14th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-14) (CD-ROM) , 15p.(2011) ; (JAEA-J 09900)
 OECD原子力機関(NEA)の原子力施設安全委員会(CSNI)の事故の分析と管理ワーキンググループ(WGAMA)は、軽水炉(LWR)のアクシデントマネジメント(AM)における炉心出口温度計(CET)の有効性に関するタスクを実施した。同タスクはNEA加盟国に対してCETの利用に関する調査を行い、軽水炉事故時のAM策へのCETの利用に際するCETの設計基準を調べるとともに、特に事故時の炉心温度上昇に対するCET温度表示の時間遅れや温度表示の乖離に焦点を当て、LOFT, ROSA/LSTF, PKL, PSB-VVERなどのシステム効果実験装置で行われてきた実験結果を調べた。また、それらの実験結果の実機LWRへの外挿適用について、スケーリング上の課題を議論した。本論文は、同タスクによって得られた成果をまとめ、今後の課題を示すものである。

39001605
Sodium experiment on fully natural circulation systems for decay heat removal in Japan sodium-cooled fast reactor
上出 英樹; 小林 順; 小野 綾子; 木村 暢之; 渡辺 収*
Proceedings of 14th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-14) (CD-ROM) , 16p.(2011) ; (JAEA-J 09901)
 ナトリウム冷却高速炉の実用化に向けて、完全自然循環方式崩壊熱除去システムに関する研究開発を進めている。本報告では、中間熱交換器に挿入する形式の崩壊熱除去系(PRACS)冷却器の伝熱特性並びにループの流動抵抗係数をパラメータとした自然循環過渡特性に関するナトリウム試験を実施した結果を示す。1次系並びに崩壊熱除去系の流動抵抗係数は、温度差と流量が補償し合うことで自然循環に与える影響が限定的となることを実験的に明らかにした。

39001606
Thermal hydraulics of sodium-cooled fast reactors; Key issues and highlights
二ノ方 壽*; 上出 英樹
Proceedings of 14th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-14) (CD-ROM) , 20p.(2011) ; (JAEA-J 09902)
 NURETH-14国際会議のKeynote Lectureとして、日本における高速炉開発に関して特にJSFRの設計研究と関連する熱流動研究に焦点を当てて重要なポイントを述べる。JSFRでは幾つかの革新技術、例えば完全自然循環方式崩壊熱除去系、炉心損傷事故時の再臨界を排除できる炉心概念が、より高い安全レベルを達成するために研究され、その評価が進んでいる。ここではその成果を紹介する。

39001607
Corrosion test of metallic materials in high temperature acidic environments of IS process
田中 伸幸; 長江 正寛*; 井岡 郁夫; 岩月 仁; 久保 真治; 小貫 薫
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 4p.(2011) ; (JAEA-J 09903)
 熱化学水素製造法ISプロセスの耐食材料研究の一環として、硫酸及びヨウ化水素酸の高温強酸環境における新規な金属材料の耐食性試験を実施した。硫酸環境では、Mo及びMo合金の窒化物に対して90wt%硫酸を用いて300℃の浸漬試験を行った。本試験では十分な耐食性を示す試験片はなかったが、合金化することで耐食性が向上させることが可能であることを明らかにした。ヨウ化水素酸環境では、Nb-W合金に対して、200℃の浸漬試験を行った。腐食速度は浸漬時間とともに十分な耐食性である0.1mm/y以下まで減少することを見いだした。

39001608
Development of hydraulic analysis code for optimizing ceramics reactors
寺田 敦彦; 竹上 弘彰; 野口 弘喜; 上地 優; 石倉 修一*
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 6p.(2011) ; (JAEA-J 09904)
 日本原子力研究開発機構は、ISプロセス法による水素製造技術の研究を進めている。ISプロセス機器の設計研究では、熱流動と構造健全性の観点からセラミックス反応器の高性能化が重要である。そこで、2成分系の硫酸分解蒸発過程を考慮したセラミックス反応器設計のための簡易流動解析コードを開発した。本報告では、これと汎用のFEMコードを組合せて、硫酸分解器のセラミックス構造体の構造強度解析評価に適応した予備解析結果について報告する。

39001609
Numerical simulation of two-phase critical flow with the phase change in the nozzle tube
石垣 将宏; 渡辺 正; 中村 秀夫
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 6p.(2011) ; (JAEA-J 09905)
 ノズル内二相臨界流をBest EstimateコードTRACE及びCFDコードFLUENTにより解析し、また数値計算コードによる流量の予測性能評価を行った。TRACEコードによる解析において、臨界流オプションを有効にした。FLUENTコードによる数値シミュレーションには、二相流解析のためのmixtureモデルを用い、相変化を模擬するためcavitationモデル及びevaporation-condensationモデルを適用した。先細末広ノズル内の臨界流(Super Moby Dick実験)及び蒸気発生器伝熱管破損事故模擬実験における破断ノズル内流れの2つのテストケースについて数値解析を行った。各テストケースについて、数値シミュレーションによる破断流量の計算結果は実験値とよい一致を示した。

39001610
Experimental study on upward fuel discharge during core disruptive accident in JSFR; Results of an out-of-pile experiment with visual observation
松場 賢一; 磯崎 三喜男; 神山 健司; 飛田 吉春
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 6p.(2011) ; (JAEA-J 09906)
 JSFRでは、炉心崩壊事故時の炉心内部での溶融燃料の急速な凝集による厳しい出力バーストの回避を目的として、溶融燃料を集合体単位で流出させる「内部ダクト付き燃料集合体」の導入を検討している。現在は、炉心上端部に向かって開口(下端部はほぼ閉止)を有する設計オプションを選択している。本研究では、内部ダクトを通じた燃料流出にかかわる物理メカニズムを解明するため、模擬物質(低融点合金及び水)を用いた炉外可視化基礎試験を実施した。本基礎試験を通じて、融体の流出初期段階でのダクト内の冷却材のボイド化、及び実機相当ダクト体系での蒸気に駆動された高密度融体の上方流出挙動を確認できた。

39001611
Experimental study of airflow-mixture by using PIV
上地 優; 寺田 敦彦; 杉山 均*
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 7p.(2011) ; (JAEA-J 09907)
 原子力機構では、高温ガス炉の熱利用システムに関する研究開発を実施している。システムの一つである熱化学法ISプロセスによる水素製造法の安定運転及び低消費エネルギー化に対して、再生熱交換技術は効果的であると考えられる。著者らは気流混合による温度制御に着目し、小型高性能復熱器の設計研究を進めている。一方この温度制御機構はHVACユニットに用いられ研究が行われている。しかし数値解析では複雑形状に対して定量的な精度を欠き、また複雑形状に対する実験結果は報告されておらず、乱流混合に対する知見は不足している。PIVを用いた気流混合実験を行い、混合流れ場の乱流エネルギーを取得した。また流量配分変更時のエネルギー値の変化について明らかにし、温度分布との関連性を解明する。結果から、主流に対し傾斜するドア開度の場合先端で不安定な流れが生成しエネルギーが増大することがわかった。特に混合部では、ドア付近の乱れの影響でエネルギーは大きく上昇する。また、ヒータ通過空気の一部がドア部はく離領域へ流れ込むことで混合が早期に発生し、温度拡散が促進されることがわかった。

39001612
Measurement of mass transfer coefficient in direct contact sulfuric acid concentration for IS process
杉山 功晃*; 野口 弘喜; 竹上 弘彰; 小貫 薫; 金子 暁子*; 阿部 豊*
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 7p.(2011) ; (JAEA-J 09908)
 直接接触式熱交換器を熱化学水素製造法ISプロセスの硫酸工程に適用して高温の硫酸分解ガスと低温の原料硫酸を直接接触させることにより、硫酸分解ガスに含まれる未反応硫酸の回収,同ガスからの熱回収、及び、原料硫酸の濃縮を単一機器で行うことが可能となり、プロセス機器の簡素化,効率化を図ることができる。この機器の最適設計に必要な直接接触硫酸濃縮における物質移動係数の測定方法を検討し、機器型式として濡れ壁塔、測定対象パラメータとして気相物質移動係数を選定するとともに、測定阻害要因である液相抵抗を除去するため共沸硫酸を試験液として用いることを提案した。さらに、フラッディング発生条件及び液膜形成条件を推算し、測定条件を定めた。

39001613
Reaction path analysis of sodium-water reaction phenomena in support of chemical reaction model development
菊地 晋; 大島 宏之; 橋本 健朗*
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 8p.(2011) ; (JAEA-J 09909)
 ナトリウム冷却型高速炉では、炉心から発電に必要な蒸気発生器へのエネルギーの伝達のために冷却材としてナトリウムが使用されている。万が一、この蒸気発生器が損傷すると、高圧の水蒸気が液体ナトリウム側に噴出し、ナトリウム-水反応が発生する。このナトリウム-水反応により形成された高温の反応ジェットが隣接する蒸気発生器伝熱管表面に熱的及び化学的な影響を及ぼす。そのため、蒸気発生器の安全評価上、ナトリウム-水反応現象を解明することが重要となる。本報では、第一原理計算によりナトリウム-水反応の表面反応について研究した。ここでは、液体ナトリウム表面における水分子の連続的な水酸基開裂について着目した。また、可能性のある反応経路及び障壁高さ等の相対エネルギーについて報告するとともに、水酸基開裂に関する反応速度定数についても検討した。

39001614
Study on turbulent modeling in gas entrainment evaluation method
伊藤 啓; 大島 宏之; 今井 康友*
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 8p.(2011) ; (JAEA-J 09910)
 ナトリウム冷却大型高速炉の設計研究において、自由液面渦によって誘起されるガス巻込み現象を抑制することが重要である。しかし、ガス巻込み現象の非線形性や局所性のため、ガス巻込み発生を正確に予測するのは簡単ではない。このため、著者らは、非線形性や局所性を考慮できる数値解析に基づく評価手法の構築を進めている。本研究では、ガス巻込み現象の評価精度向上のため、乱流渦モデルを開発し、基礎実験におけるガスコア長さを評価対象として検証を行う。改良したガス巻込み評価手法によって求められたガスコア長さは、従来の評価結果よりも短いものとなり、実験結果に近づいた。

39001615
Numerical analysis of turbulent flow with heat transfer in a square duct with 45 degree ribs
岡垣 百合亜*; 杉山 均*; 加藤 直人*; 寺田 敦彦; 日野 竜太郎
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 8p.(2011) ; (JAEA-J 09911)
 高温のヘリウムガス熱交換器の伝熱促進等に有用な45度に傾斜した矩形リブを配した矩形ダクト内の乱流熱伝達特性について、新たに開発した代数応力モデルを用いて数値解析を実施した。解析結果は、PIVによる高レイノルズ数の乱流場における実験結果をよく再現しており、解析モデルの妥当性を確認できた。

39001616
Flowsheet study of HI separation process from HI-H2O-I2 solution in the thermochemical hydrogen production iodine-sulfur (IS) process
笠原 清司; Guo, H.*; 田中 伸幸; 今井 良行; 岩月 仁; 久保 真治; 小貫 薫
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 8p.(2011) ; (JAEA-J 09912)
 熱化学水素製造法ISプロセスに関して、電解電気透析(EED)と蒸留によってHI-H2O-I2溶液からヨウ化水素(HI)を分離する工程のフローシート解析を行った。解析のため、新たに、分離膜Nafionを用いたEED実験をもとに、EED操作の熱物質収支推算のための関係式を作成した。同式によるEED解析とシミュレータESPによる蒸留計算を組合せて、HI分離工程の熱物質収支を推算し、所要熱量に及ぼす操作条件(原料供給量,EEDによる濃縮度,蒸留塔の操作圧力)の影響を調べ、最適条件を明らかにした。その結果、EEDに用いる分離膜の特性(膜抵抗,濃縮限界濃度差)がHI分離所要熱量を支配し、その改良が高効率化に重要であることを示した。

39001617
Development of PIRT for fast reactor under natural circulation decay heat removal operations
堂田 哲広; 大島 宏之; 上出 英樹; 渡辺 収*
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 9p.(2011) ; (JAEA-J 09913)
 ナトリウム冷却高速実用炉(JSFR)で採用を検討している完全自然循環式炉心崩壊熱除去システムについて、これまでに保守性を考慮した決定論的評価をベースとする炉心高温点評価手法を開発してきたが、そのさらなる合理化及び安全評価の説明性の向上を目的に、統計的安全評価の考え方を導入する。本報では、その第1段階として、米国NRCのCSAU手法で採用されているPIRT(重要度ランクテーブル)のプロセスに従って、JSFRの自然循環崩壊熱除去運転時の重要現象を抽出するとともに、それらの重要現象に関連する不確定要因について、外部電源喪失事象を対象とした感度解析を実施した結果を報告する。

39001618
RELAP5 analyses of OECD/NEA ROSA-2 project experiments on intermediate-break LOCAs at hot leg or cold leg
竹田 武司; 丸山 結; 渡辺 正; 中村 秀夫
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 9p.(2011) ; (JAEA-J 09914)
 PWRの高温側配管ないし低温側配管で17%中口径破断冷却材喪失事故(IBLOCA)が生じたことを想定し、LSTFを用いたOECD/NEA ROSA-2プロジェクト実験を行った。高温側配管IBLOCA実験では、低温側配管内での蓄圧注入系水上の蒸気凝縮に誘発されたループシールクリアリング(LSC)に伴う炉心露出が生じた。また、炉心からの蒸気上昇流に起因した気液対向流制限(CCFL)による上部プレナム内上部炉心板での滞水が見られた。一方、低温側配管IBLOCA実験では、LSCの前に高速の蒸気流に起因したCCFLにより上部プレナム,蒸気発生器伝熱管上昇流側と入口プレナムに蓄水が見られ、炉心水位の急速な低下によりドライアウトが生じた。RELAP5/MOD3.2.1.2コードを用いた実験後解析では、特に、炉心出口でのCCFLを考慮するとともに炉心相間摩擦を1/10に低減することで燃料棒被覆管温度の予測は改善したが、依然として過小評価した。これは、RELAP5コードによる一次系冷却材分布の予測に課題が残存していることを示唆している。

39001619
Interpretation of hydrogeological characteristics based on data from long-term cross-hole pumping test
尾上 博則; 竹内 竜史; 三枝 博光; 大丸 修二; 狩野 智之
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 9p.(2011) ; (JAEA-J 09915)
 Groundwater flow conditions in crystalline rock are usually heterogeneous due to presence and characteristics of faults. Uncertainty of the hydraulic heterogeneity is influenced to safety assessment for geological disposal of high-level radioactive wastes. Therefore, evaluation of hydraulic and solute transport properties of the faults are a high priority investigation issue. A long-term cross-hole pumping test was carried out to evaluate hydraulic properties of a major fault in study area. In the test, completely different pressure responses were measured in monitoring boreholes on opposite sides of the fault. As a result, adequacy of groundwater flow conceptual model taking into account a hydraulic compartment structure was confirmed, and additional hydraulic compartment structure was inferred to occur. This study indicates long-term cross-hole pumping test are an effective method for hydrogeological characterization of heterogeneous fractured rock.

39001620
Verification of JUPITER standard analysis method for upgrading Joyo MK-III core design and management
前田 茂貴; 伊藤 主税; 関根 隆; 青山 卓史
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 10p.(2011) ; (JAEA-J 09916)
 高速実験炉「常陽」の炉心設計・炉心管理高度化のためのJUPITER標準解析手法の検証を、MK-III性能試験及び定格運転サイクルにおける炉物理試験結果を用いて実施した。解析結果と実験値との比は、5%以内とよく一致した。この比較を通じて、JUPITER標準解析手法の「常陽」MK-III炉心における計算精度を確認した。本研究の結果、制御棒価値をはじめとする核特性の設計裕度が合理化できる。これにより、燃料交換体数を節約した効率的な炉心設計・炉心管理が実施でき、節約した燃料により多くの照射試験が実施可能となる。

39001621
Tightly coupled multiphysics simulations for prismatic reactors
佐藤 博之; Park, H.*; Knoll, D.*
Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM) , 10p.(2011) ; (JAEA-J 09917)
 本研究では、ブロック型高温ガス炉で想定される異常過渡及び事故時における非定常現象を高精度に予測可能な強連成核熱結合計算手法の開発を行った。最初のステップでは、熱伝達及び圧力損失相関式群を導入し、ブロック型高温ガス炉の炉心における熱流動評価モデルを構築した。次のステップとして、導入したモデルとRELAP5-3Dコードとのベンチマーク計算を行うことにより信頼性を確認した。その後、連続の式,運動量保存式,エネルギー保存式及び多次元中性子拡散方程式を強連成させて解くシミュレータを作成した。シミュレータの妥当性を確認するため、熱出力600MWのGT-MHR定格時を対象とした定常解析を行い、設計条件をよく再現することを明らかにした。

39001622
Elementary reaction analysis on sodium-water chemical reaction field
出口 祥啓*; 今仲 浩一*; 高田 孝*; 山口 彰*; 菊地 晋; 大島 宏之
Proceedings of 3rd Asian Symposium on Computational Heat Transfer and Fluid Flow (ASCHT 2011) (CD-ROM) , 6p.(2011) ; (JAEA-J 09918)
 ナトリウム冷却高速炉では冷却材に伝熱特性に優れたナトリウムを用いている。一方、このナトリウムは水蒸気と反応すると化学的に極めて活性な性質を有している。ナトリウム冷却高速炉の設計基準事象の一つとして、蒸気発生器伝熱管の破損により液体ナトリウム中に水が噴出する事象がある。この事象はナトリウム冷却高速炉における伝熱設備に損傷を与えることとなるため、ナトリウム-水化学反応に関する研究は安全上極めて重要となっている。本研究では素反応解析によりナトリウム-水反応機構の解明を目的とした。解析の結果、気相反応においてNa+H2O→NaOH+Hが主要な素反応であることが示された。

39001623
Current status of SFR development in Japan
家田 芳明; 近澤 佳隆; 小竹 庄司*
Proceedings of Jahrestagung Kerntechnik Annual Meeting on Nuclear Technology 2011 (DVD-ROM) , 11p.(2011) ; (JAEA-J 09919)
 国際的な高速炉開発が停滞するなか、われわれは研究開発を継続してきた。その結果、開発目標を満足し得る日本の実用高速炉概念(JSFR)を提示した。もんじゅは2010年5月に運転再開を果たし、40%プラント出力試験を目指して炉内中継装置を回収する予定である。FaCTプロジェクトは、国・電力・メーカと原子力機構が協力し、高速炉サイクルの2050年頃からの実用化を目指して進められている。フェーズIでJSFRの枢要技術の評価を完了し、現在はフェーズIIへの移行を待っている状況である。しかし、原子力の必要性は変わらない。今後の原子力開発において、福島第一原子力発電所事故に学び、その経験を次世代の高速炉システムの安全設計クライテリアに反映する。

39001624
Development of level-1 PSA method applicable to Japan sodium-cooled fast reactor, 2; Seismic response analysis considering characteristics of the advanced seismic isolation system
皆川 佳佑*; 藤田 聡*; 山口 彰*; 高田 孝*; 栗坂 健一
Transactions of 21st International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT-21) (CD-ROM) , 8p.(2011) ; (JAEA-J 09921)
 本論文は、免震システムの地震応答解析及び感度解析について述べる。免震システムを構成する積層ゴムは、大きい変位を加えた場合、水平方向においてはハードニング特性を示し、上下方向にはソフトニング特性を示す。そのため、解析では積層ゴムの非線形性を考慮し、水平及び上下方向の非線形性を多直線モデルで表した。質点解析モデルを適用した。まず、積層ゴムの非線形性の建屋応答への影響を調査するために地震応答解析を実施した。次に積層ゴム,オイルダンパ及び建屋のパラメータのばらつきの建屋応答への影響を調査するために、感度解析を実施した。これらの解析の結果、積層ゴムの非線形特性が建屋及び内部設備の応答へ影響を及ぼすことを確認した。

39001625
Development of level-1 PSA method applicable to Japan sodium-cooled fast reactor, 1; Research plan and internal event evaluation related to reactor shutdown failure
栗坂 健一; 堺 公明; 山野 秀将; 藤田 聡*; 皆川 佳佑*; 山口 彰*; 高田 孝*
Transactions of 21st International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT-21) (CD-ROM) , 8p.(2011) ; (JAEA-J 09922)
 本論文は、ナトリウム冷却型高速炉JSFRに適用可能なレベル1PSA手法の開発について記述する。本研究は2010年8月に開始し、(1)内的事象について受動的安全特性,(2)外的事象(地震)について高速炉用免震システムの新評価手法の開発を目標としている。2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故後、研究計画が当初の4年から2年へ短縮され、一部の研究課題のみがこの2年間に遂行されることとなった。内的事象評価に関して、原子炉停止失敗による炉心損傷の頻度の評価を実施し、受動的原子炉停止の失敗をイベントツリーモデルにて考慮した。高速炉特有の機器故障率を既存の高速炉の運転経験をもとにプラント間のばらつきを考慮できる階層ベイズ法を適用して評価した。不確実さ解析の結果、主炉停止系と後備炉停止系間での確率パラメータの相関性についての想定が炉心損傷頻度の平均値へ感度を有することがわかった。

39001626
金属表面における分子ビームによる酸化・窒化反応制御とその放射光光電子分光観察
寺岡 有殿; 井上 敬介*; 神農 宗徹*; Harries, J.; 吉越 章隆
第55回日本学術会議材料工学連合講演会講演論文集 , p.236-237(2011) ; (JAEA-J 09923)
 原子力機構では、超音速分子線と高輝度・高分解能放射光を同時に試料表面に照射して、リアルタイムで表面をその場光電子分光観察する装置を開発し、SPring-8の専用軟X線ビームライン:BL23SUに設置した。質量分析器も併用すれば、表面の化学結合状態の変化と反応生成物の脱離収率を同時にモニタすることもできる。入射分子の運動エネルギーを反応制御パラメータとして、表面反応のダイナミクスにまで立ち入った反応機構の解明が期待できる。Si酸化では、900K以上の温度でO2分子線と反応するSi(001)表面を光電子分光観察すると同時に、脱離するSiO分子の収率をモニタすることで、酸化膜形成とエッチングが同時に起こる一見奇妙な表面反応の機構を解明した。アルミニウムはN2ガスと反応しないが、N2分子の運動エネルギーを2eVにまで高めたところ、表面温度が473Kで1nm程度の窒化膜が形成されることを見いだした。Ni酸化では酸素吸着曲線に見られるプラトーがO2分子の運動エネルギーに大きく依存して消失することを見いだした。他にTi, Ru, Cuの酸化においてもO2分子の運動エネルギー効果が見いだされた。

39001627
超深地層研究所計画における地下水の地球化学に関する調査研究; 水質データの品質管理方法について
新宮 信也; 青才 大介; 水野 崇
日本地下水学会2011年秋季講演会講演要旨 , p.248-251(2011) ; (JAEA-J 09924)
 高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発の一環として実施している超深地層研究所計画では、研究坑道(2本の立坑とそれらを連結する水平坑道群)の建設を進めている。地下水の地球化学に関する調査研究では、現在、第2段階(研究坑道の掘削を伴う研究段階)として、第1段階(地表からの調査予測研究段階)で構築した地球化学モデルや解析手法などの妥当性を確認し、地球化学モデルを更新するとともに、研究坑道掘削に伴う地下水の地球化学特性の変化を把握することを目的とした調査研究を実施している。これらの調査研究では、地下水の水質データが基礎となるため、各データの追跡性や信頼度といった品質を確認し、目的を達成するための品質を満たさないデータを排除する必要がある。本報告では、地下水の地球化学に関する調査研究における水質データの品質管理方法について、これまでの実施内容を整理し、取りまとめたので報告する。

39001628
共同溝暑熱環境最適化への取り組み,1; 蒸気配管放散熱量の改善
石山 道; 川崎 一男; 松本 岳也; 寺田 秀行; 菊池 明夫; 溝口 剛*; 池田 博之*
日本保全学会第8回学術講演会要旨集 , p.82-87(2011) ; (JAEA-J 09925)
 核燃料サイクル工学研究所構内の共同溝には、所内各施設へ供給する電気,水(上水・工業用水)及び蒸気等、ユーティリティにかかわる配線及び配管等が設置されている。共同溝内は、蒸気配管が設置されていることから配管等からの放熱により暑熱環境にある。調査の結果、小口径バルブ周辺の保温材の未設置部分及び蒸気配管保温材の表面からの放熱が多いため、高温環境となることが判明した。このため、小口径弁でも適用できるフレキシブルな保温材の採用と蒸気配管への保温材の追加施工をすることで、配管等からの放熱を低減させることができた。本報告では、共同溝内の温度分布の調査,熱源の特定及び取り組んだ改善策について述べる。

39001629
周期配列突起を有する直線管路内の乱流解析
岡垣 百合亜*; 杉山 均*; 日野 竜太郎; 加藤 直人*; 寺田 敦彦
日本機械学会関東支部ブロック合同講演会講演論文集 , p.35-36(2011) ; (JAEA-J 09926)
 伝熱性能を向上させるため、壁面にリブと呼ばれる突起を周期的に配置することにより、乱れを増加させる手法が広く用いられている。今後の発展が期待される高温ガス炉(HTGR)では、水素製造プロセスなどへの効率的な核熱供給を行うため、リブによる伝熱促進を図ったプロセス熱交換器を用いる計画である。本研究は、熱交換器の設計コード開発の第一段階として、考案した代数レイノルズ応力モデルを用いて周期配列突起付き直線管路の乱流解析を行い、その妥当性を検証するため、CasarsaらのPIV計測実験結果と比較検討した。その結果、速度場,レイノルズ応力分布の実験結果との比較から、速度分布の結果は実験とほぼ一致するが、レイノルズ応力においては他の乱流モデルと同様に値や分布に違いがみられることがわかった。

39001630
沸騰気泡下における伝熱面温度・熱流束分布の計測
Liu, W.; 高瀬 和之; 永武 拓
日本機械学会熱工学コンファレンス2011講演論文集 , p.187-188(2011) ; (JAEA-J 09927)
 本研究は、沸騰気泡下における伝熱面温度及び熱流束分布の詳細計測を目的とする。伝熱面表面から深さ1.6μmの伝熱体内部に、気泡核の中心線から水平方向に0.1mm, 0.625mm, 0.819mm, 0.919mm, 9.228mm及び12.204mmの距離に、計6点の温度センサを設置した沸騰試験装置を用いて、大気圧で沸騰実験を実施した。沸騰気泡下における詳細な温度分布の計測と同期して、高速度カメラを用いて気泡の発生,成長,離脱等に関する観察も行った。実験の結果、気泡の成長中において、沸騰気泡の直下では伝熱面温度が最大8K程度低下することがわかった。温度低下の進行が、相界面の進行方向と同一であることから、三相界面での相変化が気泡成長に必要な熱源のルートとなっている可能性が高いことを明らかにした。また、気泡の成長から離脱までの気泡変形期において、二度目の小さな温度低下が観察された。これは相変化によるものか、又は気泡の変形により周囲の流体が気泡下部に流れ込みによるものかについては、今後検討する必要がある。

39001631
Development on in-reactor observation system using cherenkov light, 2
竹本 紀之; 土谷 邦彦; 長尾 美春; 北岸 茂; 那珂 通裕; 木村 明博; 佐野 忠史*; 宇根崎 博信*; 義本 孝明*; 中島 健*; 藤原 靖幸*; 奥村 清*
KURRI Progress Report 2010 , p.204(2011) ; (JAEA-J 09929) [link]
 原子炉内の核的・熱的情報をリアルタイムで取得するための計測技術の開発の一環として、京都大学原子炉実験所に炉内監視システムを設置し、原子炉出力変化時におけるチェレンコフ光の計測・評価を行った。まず、照度計を用いて、異なる透過率のNDフィルタ(Neutral Density Filter)によるチェレンコフ光の照度と透過率との相関関係を評価した結果、透過率はハロゲンランプと同様にカタログ値と良い一致を示した。次に、炉内監視システムを用いて、NDフィルタ及びカメラの絞りを変更してチェレンコフ光の観察を行い、得られた測定データの画像解析を行った結果、測定データから得られた透過率は高透過率において計算値との差が大きくなった。これは、ハレーションなどの影響と考えられることから、今後、測定方法及び画像解析方法について改善等を行い、測定精度の向上を図っていく。

39001632
Test measurement for investigating fast neutron capture reaction with a LaBr3 detector
原 かおる; 原田 秀郎; 藤 暢輔; 堀 順一*
KURRI Progress Report 2010 , p.202(2011) ; (JAEA-J 09930) [link]
 京都大学原子炉実験所・電子線型加速器施設において、高速中性子捕獲反応に対する中性子飛行時間(TOF)測定を行った。本研究では、強い「ガンマフラッシュ」の影響を避けるため、TOF測定にLaBr3検出器と光電子増倍管(PMT)ゲーティング技術を適用し、試験測定を行った。ガンマフラッシュの瞬間,PMTの電子増幅を外部ゲートによってオフにすることで、TOFスペクトルの中性子エネルギー測定可能領域が拡張した。

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