研究開発報告書類


JAERI-Tech
1998年


26193
高力率電流形PWMコンバータの開発, 1
三浦友史・松川誠・宮地謙吾・木村豊秋
JAERI-Tech 98-001;Jan. 1998, 41p.

 次世代トカマク形核融合装置の超伝導ポロイダル磁場コイル用電源は,プラズマ着火時に高電圧を必要とし,他は比較的低電圧で運転されるという特徴がある.従来のサイリスタ変換器では,力率が低下し,直流出力電圧の変動に伴い交流側無効電力が動揺することになる.このため,入力電力の力率1制御と交流側入力電流波形の制御が容易なPWMコンバータが,将来の核融合装置用電源として有望であると考え,スイッチング素子としてIGBTを用いた100kW級の電流形PWMコンバータを試作し,検討した.その結果,核融合装置用電源に必要な基本的な性能を実現できたが,交流側フィルタコンデンサの直流出力電圧変動時の過渡的な電圧上昇及び,超伝導コイル充電時の制御法などの新たな課題があることもわかった.


26194
高温ガス炉-水素製造システムの技術開発における火災・爆発解析コードの開発・整備方法の検討(受託研究)
中村正志*・西原哲夫
JAERI-Tech 98-002;Jan. 1998, 59p.

 高温ガス炉-水素製造システムでは,水素製造プラントの接続に起因し,想定すべき火災・爆発事象に対する原子炉の安全性を確保することが安全上重要な課題の一つである.この事象に対し,合理的な安全裕度を定めて評価方法を構築する必要がある.そこで,システムで想定される火災爆発事象について,事象推移と影響を詳細に解析できるコードシステムの開発を目指し,具体的開発方針を検討した.必要な解析機能と市販解析コードの解析機能を調査した結果,適当な汎用熱流動解析コードと爆発/爆ごう専用コードを組み合わせ,インターフェース等の不足機能を追加することによって,目標とするコードシステムが実現できると判断した.具体的には,実績等も考慮の上,汎用熱流動解析コードとしてPhoenicsを,爆燃専用コードとしてAutoReaGasを,爆ごう専用コードとしてAUTODYNを選定した.


26298
シビアアクシデント時の強放射能FPの挙動予測に関する研究;スコーピング実験とCs, Ba, Srに関する基礎的知見
山脇道夫*・J. Huang*・利根川雅久*・小野双葉*・安本勝*・山口憲司*・杉本純
JAERI-Tech 98-003;Feb. 1998, 32p.

 シビアアクシデント時のソースタームを精度良く評価するため,原研では照射燃料からのFP放出実験(VEGA)計画を開始している.燃料から放出されるFPは,化学形に応じて蒸気圧が異なるため,それに応じて大きく異なった移行挙動を示す.そこで,燃料から放出されたFPの高温雰囲気下での化学形及び蒸気圧を精度良く知ることにより,捕集装置までのFP移行挙動を明らかにするとともに,実炉での挙動を評価するためのモデルの開発を目指したVEGA計画の補完的な基礎研究を開始した.本研究では,FPを模擬したCs,Ba,Sr化合物をクヌッセンセルに導入し,水蒸気や水素の存在する高温雰囲気でのFPでの化学形と蒸気圧を求めるためのスコーピング実験を実施し,ソースターム評価上重要なCs,Ba,Srについて基礎的な知見を得た.


26195
大口径真空容器内観測窓用Oリング変形測定試験報告
塚原美光・閨谷譲・砂押秀則・蔀守正・長島章
JAERI-Tech 98-004;Jan. 1998, 20p.

 本試験は大口径観測ガラス窓における新たな真空シールの構造基準をバイトンOリングの潰し代の大気圧による変形量,ならびにJT-60Uと同等のベーキングにおけるバイトンOリングの塑性変形量の二つの点で評価検討し,この構造基準の妥当性を確認するとともに最適なバイトンOリングの断面形状を選定することを目的とした.この構造基準において大気圧による面圧では現在あるすべての真空窓においてギャップが確保できることを確認し,ベーキングにおけるバイトンOリングの塑性変形にも異常のないことを確認した.


26299
252Cf及び241Am-Be中性子源を用いた速中性子校正場の散乱線評価
J. R. Dumais*・吉澤道夫・山口恭弘
JAERI-Tech 98-005;Mar. 1998, 65p.

 原研・放射線標準施設棟には,中性子線量測定用の個人線量計やサーベイメータを校正するためのRI中性子源を用いた速中性子校正場が整備されている.この速中性子校正場には,線源カプセル,スタンド,空気及び壁等からの散乱線が含まれており,線量計の校正に影響を及ぼす可能性がある.そこで,MCNP-A4モンテカルロコードを用いた計算により,各散乱成分の割合及び中性子エネルギースペクトルの評価を行った.さらに,ボナー球検出器を用いた実験により中性子エネルギースペクトルを求め,これに基づき計算結果の補正を行った.その結果,線源から100cmにおける散乱線の混入割合は,中性子フルエンスについて252Cfで23%,241Am-Beで19%であった.これらを線量当量に換算すると,252Cfで13〜14%,241Am-Beで8〜10%であることが明らかになった.


26387
JT-60ICRFアンテナの健全性と表面温度計測の開発
平内慎一・横倉賢治・森山伸一・佐藤臣夫*・石井和宏*・藤井常幸
JAERI-Tech 98-006;Mar. 1998, 27p.

 JT-60におけるイオンサイクロトロン周波数帯(ICRF)加熱では,2基のアンテナを用いてプラズマに100MHz帯の大電力高周波を結合され,共鳴するイオンを加速することでプラズマ加熱を行う.アンテナは,高温のプラズマから近い位置に設置されるため,非常に過酷な条件下に置かれている.そのためICRFアンテナでは,プラズマ粒子の衝突によると思われる表面の溶融が問題になっており,その原因解明が重要な課題となっている.この損失の原因,機構を明らかにし,熱負荷の小さい運転条件を追究し,アンテナの健全性維持を目的として,赤外線熱画像装置を用いた「ICRFアンテナ表面温度計測装置」を開発した.これを利用し,温度計測を行い損傷を最小限に抑える運転が可能になってきた.


26388
Design and first integral test of MUSE facility in ALPHA program
H. Park*・山野憲洋・丸山結・森山清史・工藤保・Y. Yang.*・杉本純
JAERI-Tech 98-007;Mar. 1998, 62p.

 蒸気爆発(水蒸気爆発あるいは激しい燃料-冷却材相互作用)は,高温の液体が周囲の低温かつ揮発性の液体に接触するときに,瞬時に内部エネルギーを放出する現象である.この急速な伝熱により,蒸気の膨張による時間に比べてごく短時間に多量の蒸気が発生し,このため化学的な爆発と同じように局所的な高圧の発生,それにつづく膨張により周囲に被害をもたらすことがある.蒸気爆発による機械的エネルギーの発生は,高温液と低温液が接触したときに生じる初期粗混合条件に強く依存することが知られている.したがって,多様な接触モード(溶融物投下,層状,冷却材注入及び溶融物注入)における蒸気爆発について,同一の装置を用いてエネルギー変換率を測定し,これにより機構論的な解析モデルを評価するためのデータを取得する実験計画を新たに開始した.本法では,MUSE(多様な形状における水蒸気爆発)と呼ばれる新たな装置と,最初の実験結果を詳細に報告する.


26300
燃料サイクルシステムの総合的比較評価手法の開発
玉置等史・中島清*・幾島毅・野村靖
JAERI-Tech 98-008;Mar. 1998, 43p.

 これからの燃料サイクルシステムは国の方針で推進されていくのはもちろんであるが,そのオプションであるワンススルー,サーマルサイクル,ファーストブリーダサイクルなどの選択には,安全性,社会性,経済性,などの側面から総合的に比較評価していく必要がある.そこで,このような問題を社会的な意思決定問題としてとらえ,これらの側面から総合的に比較評価できる階層分析法(AHP:Analytic Hierarchy Process)を利用し,また,比較評価するうえで判断のよりどころとなる情報をデータベースとして整備し,燃料サイクルシステムの総合的比較評価手法としてた.


26389
大型放射光施設SPring-8の放射線遮蔽と安全評価
浅野芳裕・笹本宣雄
JAERI-Tech 98-009;Mar. 1998, 90p.

 大型放射光施設SPring-8で用いられた遮蔽安全設計評価法についてまとめた.第3世代放射光施設であるSPring-8は,蓄積電子エネルギー8GeV,ビームエミッタンス5.5nm・radという世界最大級の性能を持つ放射光施設であり,同施設に対して適用された遮蔽安全評価の項目は多岐に渡り,しかもその手法には最新の知見も必要とされた.本レポートでは,SPring-8に対して使用された遮蔽安全評価法である,バルク遮蔽,放射光ビームライン遮蔽,スカイシャイン計算,ダクトや迷路のストリーミング計算,空気や水,構造物の放射化計算,ビームの異常事象時の被曝評価について,これらの計算手法と計算条件を,それらの妥当性の検討結果とともに記述した.


26390
Alloy800Hのクリープ特性
橘勝美・西宏・衛藤基邦・武藤康
JAERI-Tech 98-010;Mar. 1998, 107p.

 鉄基耐熱合金Alloy 800Hについて,700〜950℃の温度で,大気中応力一定の条件下でクリープ試験を行い,クリープ曲線,最小クリープひずみ速度,3次クリープ開始時間,クリープ破断時間のデータを取得した.クリープ曲線は応力50MPaを境として,より高応力では典型的な1次+2次+3次クリープ特性を示すが,より低応力では時間とともに軟化する特異な形状を示すことが分かった.高応力側ではGarofaloの式を用いて,ほぼ定式化できた.低応力側では,クリープ曲線そのもののばらつきが大きいことから定式化が難しいが,指数関数を用いて一定の定式化を行うことができることが分かった.


26301
A Target-moderator-reflector concept of the JAERI 5MW pulsed spallation neutron source
渡辺昇*・勅使河原誠*・相澤一也・鈴木淳市・大山幸夫
JAERI-Tech 98-011;Mar. 1998, 15p.

 原研における中性子化学研究計画では,主加速器として陽子エネルギー1.5GeV,総ビーム出力約8MWの超伝導リニアックが考えられており,そのうちの約5MWを用いて世界最大級の短パルス核破砕中性子源施設の計画が目論まれている.本稿では,大強度核破砕中性子源施設の基本的なコンセプトを構築するために,まず,完成時に重要になると考えられる実験の種類,測定器を想定し,それらに必要な冷,熱及び熱外中性子ビームを得るためのモデレータの選定を行い,実験室内における測定器の最適配置をもとにターゲット・減速材・反射体システムのコンセプトを提案した.中性子源施設の性能指標としては,各ビームラインの中性子ビーム強度とビームラインの数の積で表せるが,できる限り多くの測定器が設置できるよう工夫した結果,中性子ビームラインが30本以上,中性子測定器が40台以上設置できる配置案が得られた.


26302
低レベル廃液の処理実験のための103Ruトレーサの調製
本木良蔵
JAERI-Tech 98-012;Mar. 1998, 25p.

 動力炉核燃料開発事業団では火災,爆発事故を引き起こしたアスファルト固化施設に代わり,LWTFによる低レベル廃液の処理を計画している.この廃液には除去の困難な化学種の 106Ruが含まれている.アイソトープ部では電池の材料の粉末を混合充填しカラムにより同種の106Ru化学種を除去した.現在,動燃ではこの方法について実用化に向けた開発を行っている.この実験には103Ruトレーサの利用が適している.そこで原子炉照射用ターゲットや32Pが放出するβ線による103Ru化学種の調製を行った.この結果,103Ruの化学種は32Pの濃度に応じて変化し,陰イオンの化学種は別の陰イオンの化学種となるなど,除去の困難な化学種の調製が可能であり,共沈率も低下した.このように調製した103Ru化学種は再処理の低レベル廃液の処理法開発に利用できるものと考えられる.


26391
HTTR原子炉格納施設に関する機能試験
坂場成昭・飯垣和彦・川路さとし・伊与久達夫
JAERI-Tech 98-013;Mar. 1998, 152p.

 HTTRの原子炉格納施設は,主冷却設備,補助冷却設備等を配置する原子炉格納容器(CV),1次ヘリウム純化設備,1次ヘリウムサンプリング設備等を配置するサービスエリア(SA)及び非常用空気浄化設備で構成され,1次冷却設備の二重管破断事故(減圧事故)時等に外部へ放出する放射性物質の量を低減する役目を担っている.このため,CVには漏洩率,SAには気密性,非常用空気浄化設備にはSAの負圧維持,ヨウ素及び微粒子の除去効率並びに起動時間を規定している.これら規定した事項を,原子炉格納施設の系統別機能試験として燃料装荷前に確認した.CVの漏洩率試験では,1次冷却材がヘリウムガスであるHTTRに適応するため,原子炉冷却材圧力バウンダリを閉鎖したまま試験を実施するという従来の軽水炉等とは異なる新しい試験方法を確立し,規定値を満たすことを確認した.また,SA及び非常用空気浄化設備の機能試験では,所定の性能を発揮することを確認した.原子炉格納施設の機能試験の結果,減圧事故時等に外部へ放出する放射性物質の量は所定値内に低減することができるといえる.


26442
ウラン濃縮研究棟火災事故技術調査報告;試料分析と外容器加圧試験・解析
火災事故技術調査ワーキンググループ
JAERI-Tech 98-014;May. 1998, 106p.

 平成9年11月20日に東海研究所ウラン濃縮研究棟で発生した火災事故の原因を究明するために,火災事故現場からウラン屑と飛散物を採取,分析した.また,抜け飛んだ外容器の蓋の詳細な観察を行うとともに,外容器の加圧試験及び外容器蓋の変形解析を行った.これらの分析,解析から,(1)ウラン屑は,組成は粒度に依存したが,おもに金属ウラン,ウラン炭化物及び酸化物から構成されていること,(2)ウラン屑は,加水分解反応により,可燃性ガスであるメタン及び水素を発生すること,並びに(3)ウラン屑を収納した外容器の蓋は,可燃性ガスの爆発的な燃焼による内圧上昇により抜け飛んだ可能性が高いこと,などを明らかにした.


26534
STACY及びTRACY用燃料サンプリング装置の改良
広瀬秀幸・桜庭耕一・小野寺清二・小川和彦・高月幸男*・森田俊夫*・曽野浩樹・有嶋秀昭・會澤栄寿・宮内正勝・大野秋男
JAERI-Tech 98-015;May 1998, 52p.

 日本原子力研究所燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の定常臨界実験装置STACY及び過渡臨界実験装置TRACYは溶液燃料を用いており,燃料組成を正確に測定することは,装置の安全運転及び実験精度の向上に必要とされている.サンプリング装置は各々の臨界実験装置で使用する溶液燃料の組成(ウラン濃縮度,ウラン(またはプルトニウム)濃度,遊離硝酸濃度,不純物量及び核分裂生成物の放射能)を把握するために溶液燃料を採取する装置である.従来型のサンプリング装置は,採取した燃料を装置内で希釈する設計で製作したため,ビュレット(分注器)内で硝酸水溶液を用い,シリンジ操作により溶液燃料の計量を実施してきた.ところが,平成8年度後半に,サンプリング時において硝酸水溶液がビュレット内の燃料に混入し,燃料濃度が薄くなる傾向が現れ出した.そこで,平成8年度中にサンプリング装置内での希釈を行わない,定量ポンプによる原液採取方式による新サンプリング装置へ変更した.そして,平成9年度に,改造した新サンプリング装置の性能確認を行った.ウラン濃度の変動量は0.14%であり,目標とする性能±0.2%(変動係数)を満足した.


26535
STACY800mmφ円筒炉心における10%濃縮ウラン硝酸水溶液燃料を用いた臨界実験の予備解析
曽野浩樹・三好慶典・大野秋男
JAERI-Tech 98-016;May 1998, 88p.

 燃料サイクル安全工学研究施設NUCEFの定常臨界実験装置STACYでは,直径800mmの円筒タンクにおいて,ウラン濃縮度10wt%のウラン硝酸水溶液燃料を用いた一連の臨界実験を計画している.これらの臨界実験では,ウラン濃度及び燃料温度を実験パラメータとして,臨界液位及び温度反応度係数の測定をおもな目的とする.そこで,ウラン濃度調整のための溶液燃料希釈計画の見通し,及び燃料温度上昇時の反応度効果等を把握するため,臨界実験の予備解析を行った.予備解析で求められた炉心パラメータの簡易評価式は,詳細計算の結果と比較しても±0.1〜3.5%の近似精度であり,十分な精度で実験計画及び運転管理に供することができる.また,温度反応度係数が約3.85cent/℃と見積もられた.


26536
高温工学試験研究炉(HTTR)の過剰反応度測定での制御棒干渉効果の解析評価
中野正明*・山下清信・藤本望・野尻直喜・竹内光男・藤崎伸吾・徳原一実*・中田哲夫*
JAERI-Tech 98-017;May 1998, 61p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)の過剰反応度を燃料追加法によって測定する場合について,制御棒の干渉効果が過剰反応度に与える影響を評価した.制御棒が全引き抜き状態の実効増倍率から求める過剰反応度に比べて,制御棒操作を考慮することによって,-10%〜+50%程度の測定値が変化することがわかった.また,干渉効果の影響を小さくするためには,被測定制御棒,補償制御棒とも複数の制御棒を用いればよく,(1)被測定制御棒として第3リング制御棒を除く13対を用い,そのうちの1対の反応度測定の際にその他の12対を補償制御棒として用いる組合わせ,(2)第1リング制御棒6対を(1)と同様に用いる組み合わせ,が過剰反応度測定に適していることが明らかになった.


26537
波長可変レーザー励起用全固体グリーンレーザーの開発, 1;シングルパス増幅システムの開発
丸山庸一郎・加藤政明・大場正規
JAERI-Tech 98-018;Jun. 1998, 45p.

 波長可変レーザーの励起光源として半導体レーザーで励起されるジグザグスラブタイプのNd:YAG結晶をレーザー発振媒質とした全固体グリーンレーザーを設計・試作した.レーザーは,固体レーザー発振器,1台の増幅器及び波長変換装置より構成される.発振器で発生する平均出力約9Wの基本波(1064nm)を増幅器で増幅することによって,平均出力33Wを得た.増幅後のレーザー光の波面歪みは約3波長,共振器ミラーに起因するデフォーカスを除いた高次の歪み量は約0.3波長,また,レーザービームの質を表すM2は約1.5で回折限界に近いビーム質であった.その基本波を波長変換用結晶によって第二高調波(532nm)に変換することによって15.5Wの平均出力を得た.波長可変レーザーなどの励起に使用する第二高調波の波面歪みは少なく,高繰り返し条件下においても高い効率で高品質の第二高調波を発生できた.また,基本波を第三(355nm),第四(266nm)高調波に変換し,それぞれ,平均出力15.5W,1.2W,2.3Wを得た.


26614
事故時格納容器挙動試験(ALPHA);装置設計報告書
山野憲洋・丸山結・工藤保・森山清史・伊藤秀雄・小森慶一・園部久夫・杉本純
JAERI-Tech 98-019;Jun. 1998, 105p.

 本報は軽水炉のシビアアクシデント時に格納容器に加わる負荷,格納容器からのリーク及び格納容器内でのFPエアロゾル挙動を定量的に評価することを目的とした事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画の実験装置の設計について述べたものである.本試験計画では,シビアアクシデント時の格納容器内におけるおもな事象のうち,溶融物冷却材相互作用,溶融物コンクリート相互作用,FPエアロゾル挙動及び格納容器貫通部からのリーク挙動を対象としている.試験装置の設計にあたってこれら諸現象を忠実に模擬できること,高温・高圧をはじめ,従来の研究で不十分だった範囲をカバーできること,アクシデントマネージメントの観点からも独自な試験が行えること等に配慮した.本報では,試験目的,方法等に基づいて決定された装置の仕様,テスト部の諸元等について詳述する.


26615
電子ビーム加熱で生成した希土類金属の原子ビームの速度
岡崎哲治・田村浩司・足立肇・大場弘則・雨川和博*・柴田猛順
JAERI-Tech 98-020;Jun. 1998, 17p.

 希土類金属(セリウム,ガドリニウム,ディプロシウム,サマリウム,イッテルビウム)を電子ビーム加熱により蒸発させ,その原子ビーム速度を真空天秤を用いて測定した.蒸発源から382mm上方に設置した天秤蒸着板への蒸発原子蒸着による運動量変化に伴う重量変化から蒸着速度と原子ビーム速度を算出した.セリウム,ガドリニウムの速度は,蒸発量増加に伴い1000〜1100m/sまで加速されるが,ディスプロシウム,サマリウム,イッテルビウムの昇華性金属の速度は蒸発量にあまり依存せず,450〜650m/sとほぼ一定で熱平衡速度に近い値であった.昇華性金属を電子ビーム加熱した場合は,広い領域から蒸発するので蒸発面近傍での原子間衝突が少なく,膨張冷却による加速がないためと考えられる.


26616
高温工学試験研究炉(HTTR)臨界試験の予備解析結果;HTTR核特性解析コードシステムに基づく解析
藤本望・野尻直喜・中野正明*・竹内光男・藤崎伸吾・山下清信
JAERI-Tech 98-021;Jun. 1998, 66p.

 本報は,HTTR核特性解析コードシステムの炉心解析モデルの改良と,このモデルを用いて行った臨界試験の予備解析結果について報告するものである.解析モデルは,BPの軸方向装荷パターンがゼブラ状であることならびに燃料体内での径方向位置をモデル化できるよう及び制御棒挿入孔等からのストリーミングを考慮できるよう改良した.予備解析では,燃料装荷に伴う実効増倍率の変化,中性子検出器の応答確認,逆増倍係数,制御棒反応度価値,炉停止余裕,動特性パラメータ,中性子束分布及び出力換算係数に関する解析を行った.本報に示した結果は,既に試験計画及び使用前検査に用いている.今後は,この結果と臨界試験結果を比較し,モデル及び試験結果の妥当性の確認を行う計画である.


26617
超ウラン元素用高温X線回折装置の製作と性能試験(共同研究)
荒井康夫・中島邦久・芹澤弘幸・菊地啓修・鈴木康文・井上正*
JAERI-Tech 98-022;Jun. 1998, 21p.

 超ウラン元素化合物や合金の高温物性や相状態に関する研究を行う目的で製作した高温X線回折装置について記述したものである.高温X線回折装置は,X線発生装置,ゴニオメーター,X線計数装置,試料高温装置,冷却水送水装置,真空排気系,ガス供給系,ワークステーション及び格納用グローブボックスから構成される.また,装置の据え付け終了後に行った各種性能試験の結果についても述べた.


26618
平成9年度における定常臨界実験装置STACYの運転記録;280T平板炉心・10%濃縮ウラン硝酸水溶液(受託研究)
小野寺清二・曽野浩樹・広瀬秀幸・高月幸男*・長澤誠*・村上清信・高橋司・桜庭耕一・宮内正勝・菊池司・三好慶典・大野秋男
JAERI-Tech 98-023;Jun. 1998, 66p.

 燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の定常臨界実験装置STACYでは,平成9年度に,約10%濃縮のウラン硝酸水溶液を燃料として,厚さ約28cm,幅約74cm,高さ約1.5mの平板型炉心タンクを用いた臨界実験を,計53回行った.実験は,主として,コンクリート,ポリエチレン等の固体反射体を用いて,種類や厚さの違いによる反応度効果を調べる反射体実験を行った.本書は,これらの実験における運転記録として,燃料組成の経時変化,ならびに各運転毎の反応度添加,臨界量,炉出力等に関する運転データをまとめたものである.燃料組成のうち,ウラン濃縮は約0.1gU/l/dayの増加傾向を示した.また,液位反応度は,ウラン濃縮の違いや,反射体の種類に依らず,臨界液位のみで決まるとしても運転管理上,信頼性を失わないことが再確認された.


26619
波長可変レーザー励起用全固体グリーンレーザーの開発, 2;ダブルパス増幅システムの開発
大場正規・加藤政明・丸山庸一郎
JAERI-Tech 98-024;Jun. 1998, 15p.

 半導体レーザー励起ジグザグスラブYAGレーザーダブルパスMOPAシステムを試作し,増幅出力43Wを得た.増幅特性を解析した結果,増幅器の蓄積エネルギーに対するエネルギー抽出効率は最大40%,電気入力に対するエネルギー効率は3.7%であった.また,KTP結晶によるグリーン光への変換を行い,グリーン出力で19W,基本波-グリーン光変換効率46%を得た.このときのシステムの電気入力に対するエネルギー効率は1.4%であった.また,波面やビーム拡がりなどのモード測定を行い,ジグザグスラブ増幅器では増幅によるモード劣化の少ないことを明らかにすることができた.


26620
高燃焼度高温ガス炉用被覆燃料粒子の設計
沢和弘・吉牟田秀治*
JAERI-Tech 98-025;Jun. 1998, 32p.

 高温ガス炉(HTGR)は,被覆燃料粒子を用いることにより高い原子炉出口温度を達成できる.被覆燃料粒子は,直径500〜600μmの燃料核をセラミックで被覆した球である.高温ガス炉では,運転中に被覆燃料粒子の僅かな追加破損が生じる.高温工学試験研究炉(HTTR)の燃料設計方針では,運転中の被覆層の追加破損は十分小さな値に制限することとしている.そのため,初装荷燃料の最高燃焼度は33GWd/tに制限している.被覆燃料粒子の被覆層の厚さを調整することで,最高燃焼度を高くすることができると考えられる.そこで,高い燃焼度まで健全性を保てる被覆燃料粒子(高燃焼度燃料)の設計を行うための手法を検討し,本手法を用いて予備設計を行った.


26621
WIND計画における配管内FPエアロゾル挙動解析(受託研究)
日高昭秀・丸山結・柴崎博晶*・前田章雄・原田雄平・長嶋利夫*・吉野たけひと*・杉本純
JAERI-Tech 98-026;Jul. 1998, 83p.

 WIND計画の配管内エアロゾル挙動解析では,原研のFPエアロゾル挙動解析コードART及び米国SNLのVICTORIAコードを用いて,BWR高圧シーケンスにおける逃し安全弁配管内でのFPエアロゾル挙動を解析するとともに,WIND計画で実施したWAD4及び5試験の解析を実施した.その結果,以下の知見が得られた.逃し安全弁配管へのエアロゾルの主要な沈着機構は乱流沈着である.沈着したFPからの崩壊熱により,逃し安全弁配管の温度は上昇するが,自然対流による除熱により破損には至らない.WAD4及び5試験で得られたCsIの沈着分布は,両コードによりほぼ適切に再現された.CsIガスの凝縮/再蒸発挙動に関して両コードに差が見られ,ARTの方が実験結果をよく再現した.WAD4及び5試験の配管接続部におけるCsI沈着量は比較的大きいので,今後はその部分の測定も実施する.


26683
高温工学試験研究炉の1次上部遮へい体の昇温防止対策;追加昇温防止対策及び確認試験結果について
橘幸男・國富一彦・本谷浩二*・沢和弘・竹田武司・七種明雄・川路さとし・伊与久達夫
JAERI-Tech 98-027;Jul. 1998, 74p.

 高温工学試験研究炉において,非核加熱で1次ヘリウムガスを昇温する試験を実施中に,スタンドパイプ内雰囲気及び1次上部遮へい体の温度が想定以上に上昇した.スタンドパイプ内構造物の一部構造変更を行い再度昇温したところ,温度は大幅に低下したが十分ではなかった.そこで追加の昇温防止対策について検討し,仮設の対策を施し確認試験を実施した.本報告は,追加昇温防止対策,確認試験結果,確認試験に関する解析結果等についてまとめたものである.定格条件での1次上部遮へい体最高温度は,試験結果の直線外挿では約100℃,有限要素法解析では約85℃となり,別途実施している遮へい体の含水量の測定結果とあわせて,定格運転時の遮へい性能を確保できる見通しを得た.


26684
原研大強度陽子加速器用DTL-SDTLの概念設計
伊野浩史*・千代悦司*・大内伸夫・長谷川和男・水本元治・壁谷善三郎*
JAERI-Tech 98-028;Aug. 1998, 357p.

 原研が提案している中性子科学研究計画の中心となる陽子加速器は,イオン源,RFQ(radio-frequency quadruple),DTL(drift tube linac),SDTL(separated-type drift tube linac),超伝導加速空洞,及び蓄積リングで構成することを検討しており,加速エネルギー1.5GeV,最大ビームパワー8MWを想定している.このうち,DTL-SDTLは加速エネルギー2〜100MeVの低エネルギー部に用いる.DTL-SDTLは高いピーク電流に加え,CWで運転されるため,設計にあたってはビームダイナミックスと除熱の検討が重要となる.本報告書はこれらの点を考慮しながら,DTL-SDTLと各トランスポート系(RFQ-DTL間,Pulse-CWライン合流部,及びSDTL-超伝導加速空洞間)の概念設計を行ったものである.


26685
レーザーイオン源イオンビーム強度分布
足立肇・田村浩司・岡崎哲治・柴田猛順
JAERI-Tech 98-029;Aug. 1998, 32p.

 平行平板電極板間で原子ビームにレーザー光を照射して共鳴電離により生成させたイオンを低電位側の電極板の開孔を通して引き出すレーザーイオン源からのイオンビームの断面強度分布を調べた.イオン引出し孔の直径,補助電極の使用の有無,引出し孔のメッシュの有無,各電極の印加電圧,イオン引出し電極からの距離等をパラメータとして二次元イオン強度分布を小型多チャンネルのファラデーカップイオン検出器を用いて測定し,ビーム広がりの少ない条件を把握した.その結果,イオンビームの広がりはイオンの空間電荷力による発散,イオン引出し電極形状による電位分布,光電離プラズマの上方向への移動等により説明できることがわかった.またこの結果は電荷移行断面積の測定装置の設計等に利用する.


26686
改良舶用炉MRXの中性子検出器案内管部遮蔽解析
三浦俊正*・石田紀久・平尾好弘*
JAERI-Tech 98-030;Aug. 1998, 38p.

 改良舶用炉MRXでは炉外核計装用中性子検出器を格納容器外側から原子炉容器周辺の所定の位置まで挿入するため検出器案内管を配置する.案内管は遮蔽欠損部なので放射線の透過やストリーミングのため格納容器外側の線量率を高める原因となる.そこで案内管部の最適遮蔽設計に資することを目的として同部分の遮蔽計算を行った.計算には二次元輸送計算コードとモンテカルロ計算コードの接続計算手法を用いた.ストリーミングに関するモンテカルロ計算では統計精度をあげるため案内管の近傍のみを解析した.この方法の信頼性はJRR-4における実験を解析することにより確かめた.MRXの遮蔽計算の結果,案内管出口での線量率は設計基準に近い値であった.線量率を下げるには案内管は線源部が直視できないように湾曲させればよいことが明らかとなった.


26776
NSRR実験用未照射ウラン水素化ジルコニウム燃料の製作
笹島栄夫・更田豊志・石島清見・黒羽裕・池田良和・会沢啓一*
JAERI-Tech 98-031;Aug. 1998, 225p.

 NSRRでは,代表的な研究・訓練用原子炉であるTRIGA炉用燃料として世界的に使用されているウラン水素化ジルコニウム燃料の反応度事故時の破損しきい値及び燃料挙動を調べることを目的として,パルス照射試験を計画し,その実施へ向けて準備を進めている.本報告書は,ウラン水素化ジルコニウム燃料の設計・製作及び組立並びにパルス照射前検査をとりまとめたものである.その実験によって得られる知見は,TRIGA炉の性能向上に大きく寄与するとともに,安全評価のデータベースを拡充し,次世代型TRIGA炉の開発,安全評価に大きく資するものと期待される.


26687
高温工学試験研究炉(HTTR)臨界試験の予備解析試験;モンテカルロコードMVPに基づく解析
野尻直喜・中野正明*・安藤弘栄・藤本望・竹内光男・藤崎伸吾・山下清信
JAERI-Tech 98-032;Aug. 1998, 59p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)の臨界試験の事前評価として,連続エネルギー法に基づくモンテカルロ計算コードMVPにより核特性解析を行った.拡散理論による炉心計算では直接モデル化が困難であった,燃料コンパクト,燃料棒,燃料棒挿入孔,反応度調整材等の燃料体内の非均質構造,制御棒及び制御棒挿入孔,後備停止系ほう素ペレット落下孔,炉心構成要素間の間隙等を詳細にモデル化した.解析により,初回臨界は16カラム前後燃料を装荷した状態で到達する見込みであること,その際第1,2,3リング制御棒を全引き抜きし中心制御棒だけを操作することで臨界調節が可能であることを確認した.また,臨界時の制御棒位置,過剰反応度,炉停止余裕等を求めた.これらの解析結果を臨界試験の計画策定に用いた.


26777
定常臨界実験装置(STACY)の製作
村上清信・小野寺清二・広瀬秀幸・曽野浩樹・高月幸男*・安田直充*・桜庭耕一・小川和彦・會澤栄寿・有嶋秀昭*・森田俊夫*・高橋司・志垣康展・板橋隆之*・三好慶典・大野秋男・井沢直樹・竹下功
JAERI-Tech 98-033;Aug. 1998, 70p.

 核燃料サイクル技術の臨界安全性に関する研究を行うために燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)が建設され,2つの臨界実験装置(定常臨界実験装置(STACY)及び過渡臨界実験装置(TRACY))が設置された.STACYは,ウラン硝酸水溶液,プルトニウム硝酸水溶液及びウランとプルトニウムの混合硝酸水溶液を燃料とする臨界実験装置で,溶液燃料体系のベンチマークデータの提供及び再処理施設の溶液取り扱い系における臨界安全裕度の確認を目的とし,燃料の濃度及び種類,炉心タンクの形状及び寸法,反射体の種類及び大きさ等をパラメーターとする臨界データを取得することのできる装置である.STACYは平成7年2月に初臨界を達成,平成7年5月に科学技術庁の使用前検査に合格し,その後235U濃縮度10w/oのウラン硝酸水溶液燃料を用いた実験が行われている.


26688
JT-60NBIクライオポンプを用いたダイバータ排気システム
秋野昇・栗山正明・大賀徳道・関宏*・棚井豊*
JAERI-Tech 98-034;Aug. 1998, 22p.

 JT-60のW型ダイバータ化に伴い,ダイバータ部の排気をNBIクライオポンプで行うこととした.排気に使用するビームラインは,♯1,♯5,♯11の3ユニットとし,トロイダル方向に分散させることによってトロイダル方向一様に排気できるようにした.また,NBIポートに設置してある高速シャッタの開口率を調節できるように改造したことで,ダイバータ部の中性粒子圧力制御が可能となった.ダイバータ実験時のダイバータ部におけるNBIクライオポンプ3ユニット合計の排気速度は,重水素ガスに対して概略13〜15m3/sであった.本報告は,ダイバータ部の粒子をJT-60NBIクライオポンプで排気するために行った改造内容,改造後の単体試験結果及び,JT-60ダイバータ放電時における粒子排気特性について述べたものである.


26778
Auto-identification fiberoptical seal verifier
山本洋一・向山武彦
JAERI-Tech 98-035;Aug. 1998, 31p.

 日本原子力研究所は,IAEA保障措置の査察効率向上のために光ファイバー封印検認器の開発を進めてきた.本検認器は,光ファイバー封印(コブラ封印)の現場検認において,より簡単で解析的な判定手法を提供するものである.今回開発した検認器は,小型・軽量の携帯型装置で,バッテリーまたはAC電源により作動する.装置内蔵のCCDカメラで読み取ったコブラ封印の光学パターンをデジタル処理して,パターン間の比較判定を行い,最終的な検認結果を表示する.1996年7月に検認器の製品モデルが完成した.本報告書は,コブラ封印自動検認器の構成,動作原理,機能及び性能試験についてまとめたものである.


26779
Development of multi-channel optical-fiber feed through for ITER
杉江達夫・鳥谷智晶*・河西敏
JAERI-Tech 98-036;Aug. 1998, 31p.

 ITERにおける第2真空境界(クライオスタット容器壁)を通して,可視及び赤外域の光を貫通させるための多チャンネル光ファイバー導入端子,及びコネクターを開発した.導入端子部の製作にあたっては,個々のチャンネルの接続精度を向上させるために,光ファイバー(コア径200μm)を精度良く中心に埋め込んだ石英ロッド(径2.5mm)を一体成型により製作し,そのロッドを高温ハンダで真空フランジに固定した.その結果,53チャンネルの導入端子個々の接続損失がすべて3dB以下になり,チャンネル間の一様性も60%以上となった.また,耐圧力,耐衝撃に関して,それぞれ5気圧,15Gまでの試験に合格し,使用温度については室温から200度までの試験に合格した.導入端子部の真空リークは,検出限界(5×10-12pa・m3/s)以下であった.


26780
MOX溶解用電解酸化方式型Pu溶解槽の臨界安全解析
梅田幹・杉川進・中村和仁*・江頭哲郎*
JAERI-Tech 98-037;Aug. 1998, 29p.

 Pu溶解槽は,MOX粉末を供給する供給部,供給されたMOX粉末を溶液に分散・循環させる循環部,MOX粉末の溶解に利用する銀を2価に酸化する電解部の3槽と各槽を接続する配管から構成される.Pu溶解槽の臨界管理には,質量制限値を設定した全濃度の形状寸法管理を適用した.臨界安全性の評価には,モンテカルロコードKENO-IV及び核データファイルENDF/B-IVに基づき作成されたMGCL-137群ライブラリを用いた.臨界安全解析では,製作上必要な寸法を考慮した1槽の円筒直径,3槽間の中心間距離を評価した.この結果,Pu溶解槽の単一ユニットでの臨界安全性を確認した.さらに,Pu溶解槽が設置される部屋について複数ユニットでの臨界安全解析も行い,今回設計したPu溶解槽の臨界安全性が十分確保されていることを確認した.


26781
フルオロカーボンによるトロイダル磁場コイルの冷却
宮田寛*・新井貴
JAERI-Tech 98-038;Sep. 1998, 49p.

 JT-60のトロイダル磁場コイル(TFC)において,割れが検出された導体用冷却管に水に代わりフルオロカーボンを流すことを検討した.フルオロカーボンであるフロリナート(3Mの登録商標)の特性調査に基づき,沸点以下で使用すれば地球温暖化への影響を無視できることから,TFC導体の使用温度よりも沸点が高く,かつ熱容量の比較的大きい「FC-43」を選択した.この「FC-43」を冷媒とした熱解析により,TFCへの冷却効果はかなり期待できることを明らかにした.さらにこの冷媒とTFCの各部及び冷却通路を構成する材料との腐食反応を,JT-60の経年劣化及び短絡等の異常事象をも考慮した条件下で評価し,特に問題のないことを実証した.以上により,通水不能の冷却管の増加時にはフロリナートによる冷却はJT-60の運転に有効であることを示した.


26855
SPring-8における高エネルギー加速器の放射線管理の現状と問題点
宮本幸博・植田久男・原田康典
JAERI-Tech 98-039;Sep. 1998, 44p.

 SPring-8における高エネルギー加速器施設の放射線管理の現状と問題点をまとめた.第3世代放射光施設であるSPring-8においては,放射線管理を行う上で,高エネルギー大型加速器特有の問題点が多い.本報告では,パルス状放射線のモニタリング技術,低エネルギー及び高エネルギー放射線のモニタリング技術について現状と問題点を記述するとともに,放射化の問題,電磁波ノイズの問題等について議論した.


26856
中性子科学研究用超伝導陽子加速器の概念設計検討, 1
本田陽一郎*・長谷川和男・大内伸夫・草野譲一・壁谷善三郎*・水本元治
JAERI-Tech 98-040;Sep. 1998, 77p.

 原研で進めている「中性子科学研究計画」の中核となるのは,加速エネルギー1.5GeV,平均出力8MWのパルスビーム及びCWビームを出力する大強度陽子加速器である.本加速器の最大の特徴は高エネルギー部(100MeV〜1.5GeV)にCWモードの運転に有利な超伝導加速器を選択することにある.本報告書は超伝導加速器に関する概念設計についてまとめたものである.超伝導加速器は8つのβセクションから成る設計とした.キャビティの総数は284個,加速器長は690mとなった.ラティス設計にはEquipartitioned条件とMatched envelope equationを採用した.ビームシミュレーションの結果,rmsエミッタンスグロースは1%程度となった.RF誤差や四極電磁石誤差がある場合の加速器性能について,ビームシミュレーションを行い評価した.


26857
照射試験片の再生技術の開発, 3;平成7, 8年度原研・IHI共同研究成果報告書(共同研究)
西山裕孝・深谷清・鬼沢邦雄・鈴木雅秀・中村照美*・貝原正一郎*・吉田和夫*・佐藤彰*
JAERI-Tech 98-041;Oct. 1998, 30p.

 本報告書は平成7,8年度に実施した照射試験片の再生技術の開発に関する原研・IHI共同研究の成果をまとめたものである.当該年度は,表面活性化接合法の高度化を図るために,接合面形状の変更を行い,接合制御パラメータとしてトルクを導入した.また,接合した試験片の非破壊検査,接合中の試験片の温度測定等を行うとともに,接合がシャルピー衝撃試験結果に与える影響等について詳細に検討した.さらに,中性子照射を受けても接合部の健全性が確保できることを示した.


26858
JT-60NBI用正イオン源のパワー増大
河合視己人・秋野昇・海老沢昇・本田敦・伊藤孝雄・椛澤稔・栗山正明・藻垣和彦・大賀徳道・大原比呂志・大森憲一郎・大島克己*・薄井勝富
JAERI-Tech 98-042;Sep. 1998, 32p.

 JT-60NBIは,1986年に水素ビームを用いたNBI加熱実験を開始し,定格中性粒子ビームパワー20MWの入射に成功した.その後,1991年に重水素ビーム対応,高エネルギー化の改造を実施し,重水素ビームで40MWの入射パワーを得るために,イオン源での放電破壊対策を講じながら運転の安定化に努めた.イオン源の構造上の問題からこの目標を達成できなかったため,高エネルギー領域から大電流領域での運転へ方針変更し,加速部ギャップ長の短縮化を行った.この結果,1996年7月にビームエネルギー〜96keV,40MWの入射を達成した.


26859
シンチレーション発光のパルス波形測定
八木秀之・伊藤浩・浅野芳裕・臼田重和
JAERI-Tech 98-043;Sep. 1998, 27p.

 シンチレータの正確な発光パルス波形を得るために,簡便で有効な測定方法を考案した.光電子増倍管の出力電流によって充電された積分容量に現れる電圧パルス波形をデジタル・オシロスコープで観測した.シンチレーション発光のパルス波形は電圧パルスデータの算術的差分から得られる.代表的な無機シンチレータについて発光の減衰時間を推定した.


26978
HTTR水素製造システムのトリチウム・水素透過に関する研究, 1;ハステロイXRの水素透過係数(受託研究)
武田哲明・岩月仁*・稲垣嘉之・小川益郎
JAERI-Tech 98-044;Nov. 1998, 34p.

 日本原子力研究所では高温工学試験研究炉(HTTR)の建設を進めており,1998年中頃の初臨界を予定している.原子炉の性能試験,安全性実証試験に引き続き,天然ガスの水蒸気改質による水素製造システムを接続する予定であり,HTTR水素製造システムの安全性,制御性及び性能等を実証するための炉外実証試験と要素試験が計画されている.そこで,安全審査及び数値解析コード開発に資するため,水素透過試験を実施した.本研究では水素透過量の低減が期待される水素同位体対向拡散による低減効果,酸化膜等による低減効果等の定量評価を行うことを目的とし,ハステロイ等の高温耐熱合金の水素同位体透過係数を取得する.本報告書は,試験装置の概略と本装置を用いて得られた600℃〜850℃の高温条件下に対するハステロイXRの水素透過係数についてまとめたものである.


26979
アコースティック・エミッション法を用いた高温工学試験研究炉の1次冷却材漏えい及び熱交換器伝熱管の流体振動の監視装置の開発
橘幸男・國富一彦・古澤孝之・篠崎正幸・佐藤善之*・柳橋実*
JAERI-Tech 98-045;Oct. 1998, 36p.

 アコースティック・エミッション法を用いた高温工学試験研究炉(HTTR)1次冷却設備二重管の1次冷却材(ヘリウム)漏えい及び熱交換器(中間熱交換器,1次加圧水冷却器,補助冷却器)の伝熱管の流体振動監視装置について検討し,HTTRに適用した.実機への適用に先立ち,1次冷却設備二重管の外管の1/4スケールの試験体を用いた炉外漏えい試験を実施し,検出可能な漏えい量,各種パラメータ(気体,圧力,漏えい箇所の形状,漏えい箇所からの距離)の影響について検討した.その結果,約5Ncc/secの漏えいを検知できることが明らかになった.HTTRの運転開始後に,ノイズ対策を実施する必要があると考えられるが,漏えい検知に有効な方法となる見通しを得た.


26980
JRR-3M放射化分析設備による半減期秒オーダーの短寿命核種を利用する中性子放射化分析
米澤仲四郎・市村茂樹・黒沢達也*・松江秀明
JAERI-Tech 98-046;Nov. 1998, 79p.

 JRR-3Mの放射化分析設備を使用し,半減期秒オーダーの短寿命核種を利用する中性子放射化分析(NAA)の基礎検討を行った.短寿命核種NAAで重要な高計数率γ線測定法,照射カプセル材質,中性子束の変動等の基礎条件の検討を行い,(n,γ)反応によって半減期0.7〜100sの放射性核種を生成する20元素の分析感度と検出限界を測定した.本法ではSc,In,Dy,Hfが最も高感度であり,その検出限界は4.2〜14ngであった.また,他の方法では定量が困難なFの検出限界が530ngと低いことから,本法を自動車用エンジン材料として注目されている窒化ケイ素中のppmレベルFの定量に応用した.単一照射法と繰返し照射法について検討を行い,窒化ケイ素中2μg/g以上のFの定量法を確立した.さらにまた,本法で高感度な元素Se,Sc,Hf,In,Dyについて,各種標準物質等の分析に適用し,精度,正確さ及び検出限界を評価した.


26981
Design of divertor impurity monitoring system for ITER, 2
杉江達夫・小川宏明・勝沼淳*・丸尾光正*・北好夫*・海老沢克之*・安東俊郎・河西敏
JAERI-Tech 98-047;Nov. 1998, 195p.

 このシステムは,ダイバータ部での不純物粒子の同定と,粒子流入束の二次元測定等をおもな目的とし,200nmから1000nmの広い波長領域の光を分光計測する.ダイバータ領域の二次元測定は,ダイバータカセット内部にモリブデン製ミラーを設置し,互いに交差する視野で行う.また,ダイバータカセット間の隙間を利用した視野により,ダイバータ領域の上部半分をX-点まで測定する.今回は,おもに光学系の詳細設計,及び機械設計を行った.光学設計では,光線追跡による解析を駆使して,ダイバータ部から分光器までの光学系の最適化を行い,約10mmの空間分解能を可能とした.その他,測定限界,ニュートロンとγ線照射が観測窓に及ぼす影響,感度較正方法,光軸調整方法,機器のリモートハンドリングの方法,及びデータ処理方法についても検討した.


26982
JFT-2MトカマクにおけるTVトムソン散乱装置の技術開発と運転
椎名富雄・山内俊彦・石毛洋一*・高橋明*・吉田英俊・小澤皓雄・河村茂*・秋本宣章*・D. Dimock*・B. LeBlanc*・J. Felt*・D. Johnson*
JAERI-Tech 98-048;Oct. 1998, 49p.

 TVトムソン散乱装置(TVTS:プリンストン大学と共同で開発した計測器)が完成し,運転を始めてから6年(1993〜1998)が経過した.その間にハードウェア上及びソフトウェア上の問題点が数多く発生し,その都度装置の改良に迫られたが,現象を慎重に検討し,運転をしながら問題点を解決してきた.本報告書では,蓄積されたTVTS装置の運転上のノウハウについてまとめるとともに,TVTSの運転方法も記述した.


27009
JT-60UのW型ダイバータの設計と据付け
児玉幸三・正木圭・笹島唯之・森本将明*・高橋昇龍*・櫻井真治・岸谷和広*・西堂雅博・井上雅彦*・河内俊成*・馬越俊光*・平松貴志*・原正秀*・細金延幸
JAERI-Tech 98-049;Nov. 1998, 151p.

 JT-60のダイバータは,エネルギー閉じ込めと放射ダイバータの両立とダイバータ機能の向上を図ることを目的としてW型ダイバータに改造された.W型ダイバータの改造は,平成7年度から設計作業が開始され,平成9年の5月の据付作業の完了をもって終了した.本報告書は,W型ダイバータの設計,据付け及び平成9年の運転状況が含まれる.


27010
国際熱核融合実験炉ITER磁場補正(コレクション)コイルの設計
久保博篤*・小峰武司*・吉田清
JAERI-Tech 98-050;Nov. 1998, 69p.

 日,米,EC,ロシアの4極の協力により国際熱核融合実験炉計画が進められている.プラズマを閉じ込めるため磁場を発生させるコイルとして超電導コイルが使用される.このコイルのうち,ポロイダル磁場(PF)コイルと呼ばれる真空容器中のプラズマ位置や断面形状を制御するコイルが設置される.この磁場にはPFコイル製作による誤差据付け公差により磁場の誤差が生じる.この誤差を補正する目的のためPFコイルの周囲をコレクションコイルと呼ばれる磁場補正超電導コイルが設置される.このコイルには大電流による電磁力,TFコイルから受ける変位による荷重が作用する.この機械特性を評価し設計に反映させるために電磁力とTFコイルの変位による応力解析,クランプのボルト等の検討を行うことにより提案クランプ位置に設定することで許容応力内に収まることを確認した.


27011
ITER breeding blanket module design & analysis
黒田敏公*・榎枝幹男・菊池茂人*・大森順次*・佐藤真一*・大崎敏雄*・古谷一幸・秦野歳久・佐藤聡・高津英幸
JAERI-Tech 98-051;Nov. 1998, 71p.

 トリチウム増殖材と中性子増倍材をいずれも微小球ペブル状として充填する設計となっているITER増殖ブランケットに対し,とくにペブル充填層の熱・機械特性に着目して汎用熱・構造解析コードABAQUSの特殊計算オプションを使用した熱・機械解析を実施した.また,耐高熱負荷が問題となる第一壁について,Beアーマとステンレス鋼構造材の接合部における熱応力履歴を弾塑性解析により求めるとともに,これに基づいて,アーマ/構造材接合部における強度評価方法について検討した.さらに,増殖ブランケット・モジュールの製作に関し,第一壁及び冷却パネル,増殖材充填部等の各構成要素を個々に製作し,それらを組み合わせることを基本として各構成要素の製作方法及び全体組立手順を検討した.


27012
原研研究炉における重水の計量管理
吉島哲夫・田中純利・根本傳次郎
JAERI-Tech 98-052;Nov. 1998, 69p.

 研究炉部では,3基の研究炉を運転管理し,減速材,冷却材及び反射材として使用するために約41トンの重水を保有している.これらの重水は,米国,カナダ及びノルウェーから輸入している.このうちのカナダから輸入した重水は,日加原子力協定において国際規制物質としての管理が義務付けられていることからすべての重水は国際規制物質に準じた方法で厳密な計量管理を実施している.本報告書は,各炉での在庫量の変動と重水の計量管理等についてまとめたものである.


27013
第4研究棟2F, 3F排気ダクト更新工事作業記録
安達武雄・伊藤光雄・山口仁志・武石秀世・大崎章・小川力男・太田三郎・関野伯明・池田三郎・伊藤幸夫・稲野辺浩・菅沼明夫・山本高通*・宮本俊寛・高橋健一・川崎隆行・黒川勇・松本裕之
JAERI-Tech 98-053;Dec. 1998, 46p.

 腐食,劣化の著しい第4研究棟西棟2F,3Fの排気ダクトを撤去し,硬質塩化ビニール製ダクトに更新した.準備作業を平成9年7月から始め,12月に更新工事を開始し,平成10年4月に終了した.本報告は,第1種管理区域内でのダクト更新工事の概要を作業記録としてまとめたものである.


27014
センサベース自律的ロボットシステムを用いた障害物回避実験
藤井義雄・鈴木勝男
JAERI-Tech 98-054;Dec. 1998, 65p.

 原子力施設の高放射線区域における作業員の放射線被曝を低減する観点から,種々の不定型作業を能率的に遂行するための遠隔ロボット技術の開発が求められている.このため,環境知覚システムと冗長マニピュレータを製作し,不定型環境下で複雑な作業に適用可能なロボットシステムを開発した.本システムは,冗長マニピュレータに環境を知覚するための各種センサを搭載し,センサから得られる信号に基づいて,自律的に作業を遂行する機能を備えている.本報告書は,一次元X軸駆動機構に本ロボットシステムを搭載し,狭隘な壁孔を通して壁の裏側にあるバルブ・ハンドルを回転させる実験とその評価結果をまとめたものである.この実験を通して,本ロボットシステムは,非冗長マニピュレータでは操作不可能な狭い空間における作業を障害物を回避しながら自律的に遂行できる機能を備えていることを確認した.


27108
Design & analysis of ITER shield blanket
大森順次*・秦野歳久・江里幸一郎*・原重充*・三浦秀徳*・黒田敏公*・古谷一幸・佐藤聡・榎枝幹男・高津英幸・小原祥裕
JAERI-Tech 98-055;Dec. 1998, 97p.

 ITERの1997年度の工学設計活動として,遮蔽ブランケットの電磁解析,モジュール及びバックプレートの製作方法の検討,ポートリミターの代替案の設計と製作方法の検討,逃走電子によるベリリウム第一壁の熱解析を行った.電磁解析では,ベリリウム第一壁に施すスリットの数と深さの最適値を提案した.ブランケットモジュール,バックプレート,ポートリミッタ等の製作性の検討では,製作手順,問題点等を明らかにした.逃走電子による第一壁の熱応答は,ベリリウムタイル表面の最大温度,溶融深さを求めた.


27109
多孔質セラミックス蓄熱体の試作及び熱物性と温度特性に関する研究;蓄熱媒体としてNa2CO3, MgCl2, CaCl2の混合塩を用いた場合
椎名保顕
JAERI-Tech 98-056;Dec. 1998, 64p.

 固液相変化蓄熱を利用した高温高密度の蓄熱技術開発の基礎研究として,多孔質セラミックスに溶融塩を含浸させたセラミックス蓄熱体を試作し,強度,熱物性,温度特性を調べた.多孔質セラミックスとしては熱衝撃に強いZrO2を用い,蓄熱物体としてはNa2CO3,MgCl2,CaCl2の混合塩を用いた.実験の結果,使用した溶融塩は空気中の水分を吸収し,変質したり,融解・凝固のくり返しにより蒸発し質量減少を生ずる可能性があるため,密閉雰囲気中で使用する必要があることが示された.また,温度変動域を適切に選択すると,雰囲気温度が変動しても蓄熱体中心温度の変動を小さく抑えることができるため,熱負荷変動吸収のために蓄熱体を利用できる可能性があることが示された.


27110
Development of steady state magnetic sensor
原重充*・長島章・中山尚英*・河西敏
JAERI-Tech 98-057;Dec. 1998, 12p.

 核融合実験炉(ITER)の長時間放電や定常放電において,定常磁場を計測できる新しい原理に基づくセンサーを開発した.このセンサーは,0.1Hz以下の低周波磁場を検出するため磁場感知コイルとロードセルから構成されたメカニカルセンサーと通常の磁気プローブから構成されている.最も重要な開発要素であるメカニカルセンサーについてプロトタイプを製作し,性能試験を行い,以下の結果を得た.(1)ロードセルの試験で加えた力に比例する信号が得られた.(2)温度によりセンサーの出力信号がドリフトするが,再現性のあることがわかった.(3)センサーの出力信号は定常磁場に対して再現性のあることがわかった.(4)7.2×106 Gyまでのγ線照射後も,ロードセル出力の直線性に対する誤差は顕著に増大しない.


27111
Fabrication and testing of small scale mock-ups of ITER shielding blanket
秦野歳久・佐藤聡・鈴木哲・横山堅二・古谷一幸・黒田敏公*・榎枝幹男・高津英幸・小原祥裕
JAERI-Tech 98-058;Dec. 1998, 77p.

 ITER遮蔽ブランケットの製作性を確認するとともに熱負荷試験による特性評価を行うことを目的として,一般第一壁及びバッフル第一壁,遮蔽ブロックと第一壁端コーナー部の小型モックアップを製作した.これらのモックアップは従来より実施してきた接合技術開発の成果を反映し,熱間等方加圧(HIP)法を用いて製作した.バッフル第一壁では銅合金の熱シンク上にアーマータイルとして炭素繊維複合材を二段ロウ付けを適用して接合した.いずれのモックアップも精度良く製作することができ,モックアップ端部の破壊試験から健全な接合が得られていることを確認した.また,熱機械的特性を評価するための高熱負荷試験では,熱解析より予想した除熱性能と良い一致を示すとともに,試験中の除熱性能の劣化は見られなかった.したがって,製作した構造体の健全性を確認した.


27200
Preliminary thermo-mechanical analysis of ITER breeding blanket
菊池茂人*・黒田敏公*・榎枝幹男
JAERI-Tech 98-059;Jan. 1999, 75p.

 ペブル状の増殖材,増倍材が採用される増殖ブランケットの熱・応力解析では,ペブル充填層に特有な熱・機械特性,すなわち,ペブル充填層の伝熱特性が圧縮応力の状態により変化する特性や,せん断力により容易に破壊(流れ)が生じる等の粉体としての機械特性を考慮する必要がある.ここでは,地盤(土壌)解析に使用される弾塑性モデルの一つであるドラッカー・プラガー/キャップモデルを採用するとともに,熱・変位連成解析により伝熱特性の圧縮応力依存性を考慮して,定常時ITER増殖ブランケットの熱・応力解析を行った.解析に必要な,ペブル充填層の熱・機械データは,文献に記載されるペブル充填層の応力-ひずみ測定試験と熱特性測定試験の結果をもとに評価した.解析により,現設計のITER増殖ブランケットは,温度の設計条件を満たすことを示した.


27201
Analysis of the HTTR's benchmark problems and comparison between the HTTR and the FZJ code systems
藤本望・U. Ohlig*・H. Brockmann*・山下清信
JAERI-Tech 98-060;Jan. 1999, 56p.

 IAEAの国際協力計画のひとつであるHTTRのベンチマーク問題について,1998年8月の第1回会合で報告された原研とドイツユーリッヒ研究センターの拡散計算モデルとその結果についての比較を行った.その結果,全炉心装荷した状態では良い一致を見たが,燃料装荷途中では原研の結果が約1%Δk高い値を示した.この原因を検討するため,エネルギー群数,制御棒挿入孔からの中性子ストリーミング,反応度調整材のモデルによる効果についての検討を行った.その結果,エネルギー群及びストリーミングによる差は比較的小さいことがわかった.反応度調整材については,セルモデルの寸法による感度解析を行いその効果を明らかにした.これらの結果をもとに,それぞれの解析モデルについて今後の改良項目を提案した.


27202
RELAP5コードによる水銀流動基礎実験装置の過渡解析, 1;モデル化と予備解析
木下秀孝・神永雅紀・日野竜太郎
JAERI-Tech 98-061;Jan. 1999, 55p.

 原研の中性子科学研究計画を推進するために,5MW核破砕ターゲットの設計を実用的な中性子性能と安全性の確保の観点から進めている.特に安全性に関しては,ターゲットシステムの安全性の向上を目指してRELAP5を導入した.第1段階として,ポンプトリップや配管破断のような異常事象時におけるターゲットシステムの過渡挙動を,RELAP5にもともと組み込まれている水物性値を用いて解析を行った.ポンプトリップ時には,加熱部の急激な温度と圧力の上昇を防止するうえで,慣性力の大きいポンプが有効であること,また配管破断時には,破断孔径が1mmの場合には圧力降下や流出も緩やかであるが,完全破断の際には大きな圧力変動に伴い数秒で流出することが示された.これらの解析結果をもとに,確証実験用のループ改造と,コードへの水銀物性値組み込みに着手した.


270277
高温工学試験研究炉1次上部遮へい体の昇温に関する解析
小川益郎・椎名保顕・文沢元雄・武田哲明・高田昌二・久保真治・稲葉良知
JAERI-Tech 98-062; Jan. 1999, 126p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)において,1次上部遮へい体昇温の原因について,数値計算,模擬実験等により検討した結果,1次上部遮へい体の昇温は,おもに,アニュラス部パージガス流量の低下によって生じていると考えられる.このアニュラス部パージガス流量が低下する原因を熱流体工学上妥当,製作上現実的と考えられる範囲内では,特定することができなかった.そこで,アニュラス部パージガス流量が低下する仮想的な原因を幾つか仮定し,そのもとで,HTTR定格運転時の1次上部遮へい体温度を予測した.仮定した幾つかの原因のもとでは,HTTR定格運転時のアニュラス部パージガス流量は,0.899g/sから2.69g/sの範囲となり,これらの値を入力した2次元熱流体計算の結果,コンクリート温度の計算値は,40℃以下から約86℃まで変化する結果となった.


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