研究開発報告書類


JAERI-Tech
1999年


27203
電子ビーム加熱蒸発で生成したウラン原子ビームの組成
柴田猛順・小倉浩一
JAERI-Tech 99-001;Jan. 1999, 11p.

 電子ビーム加熱蒸発で生成したウラン原子ビーム組成を質量分析計を用いて行った.不純物としてUOのみが検出され,その量はウラン原子ビームの1%以下であった.U2+(M=476)のピークは検出されず,原子ビーム中にU2分子やウランクラスターが原子ビーム中に混在していないことがわかった.またタングステンも検出されず,液体ウラン内に対流熱伝導抑制のために入れたタングステンが,ウランとともに蒸発することは非常に少ないことがわかった.これは蒸着ウランの化学分析で,タングステンが検出限界以下であることと一致した.


27204
JRR-3シリサイド燃料炉心近傍の遮蔽に関する安全解析
木名瀬政美
JAERI-Tech 99-002;Jan. 1999, 50p.

 JRR-3Mでは,使用済燃料発生本数の低減等を図るために,現在のアルミナイド燃料に代わって,ウラン含有量が多いシリサイド燃料を使用する計画が進められている.この計画では,炉心近傍機器を含むその他の機器及び設備の変更は行わない.シリサイド燃料化に伴い,原子炉施設の安全性確認の観点から,通常運転時におけるJRR-3シリサイド燃料炉心近傍での線量当量率及び放射線分布の計算を実施した.本報告書は,その計算結果を述べるとともに,計算結果とJRR-3遮蔽設計基準線量率を比較することにより,シリサイド燃料炉心に対する炉心近傍の即設設備の遮蔽性能についても述べる.


270278
High γ-rays irradiation tests of critical components for ITER (International Thermonulear Experimental Reactor) in-vessel remote handling system
小原建治郎・角舘聡・岡潔・田口浩*・伊藤彰*・小泉興一・柴沼清・八木敏明・森田洋右・金沢孝夫・多田栄介
JAERI-Tech 99-003; Feb. 1999, 312p.

 ITER(国際熱核融合実験炉)の工学R&Dにおいて,日本ホームチームが分担し,進めてきた遠隔保守装置用機器・部品のγ線照射試験の結果と耐放射線性機器の現状について述べる.試験された機器・部品の総数は約70品目で,その仕様は市販品,市販品を改良・改質した機器,及び新規に開発した機器に分類され,高崎研究所のγ線照射施設を使用して実施された.その結果,セラミック被覆電線によるACサーボモータ,耐放射線性ペリスコープ,CCDカメラが開発された他,高γ線照射下で使用可能なITER用遠隔保守装置用機器・部品の開発が着実に進展した.


27205
放射線測定器の性能試験に用いるX線校正場の特性評価
清水滋・高橋史明・澤畠忠広*・當波弘一*・菊池寛*・村山卓
JAERI-Tech 99-004;Feb. 1999, 89p.

 γ(X)線用の放射線測定器の性能試験及び校正には,光子エネルギー10keVから300keVの領域において,X線発生装置から発生する連続X線をフィルタでろ過し,エネルギースペクトルを単色化させたX線校正場を使用する.このため,X線校正場の線質条件としては,実効エネルギー,均等度及び線質指標を評価する必要がある.本報告書では,東海研究所放射線標準施設等に設置した校正用X線発生装置のX線校正場の約60線質の設定結果及び各線質の照射線量率,1cm線量当量率,フルエンス率単位のスペクトル分布を明らかにし,並びに照射野の線量・スペクトル分布の一様性及び照射場の散乱線の影響等を明らかにした.これらの結果,X線線質等の詳細な特性データが明らかになり,X線校正場の品質及び校正精度の向上が図れた.


27206
γ線によるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の放射線架橋技術の開発
池田重利*・笠井昇・大島明博*・草野広男*・春山保幸・瀬口忠男
JAERI-Tech 99-005;Feb. 1999, 37p.

 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に60Co-γ線を照射して架橋させる照射容器を製作し,架橋の研究を行った.γ線を使用すると,厚肉の試料や複雑な形状の試料について適切な架橋が可能であった.また,照射による試料の温度上昇が小さく,試料の温度を一定に制御できた.


270279
LiCl-KCl共晶塩中のU/U3+平衡電位測定によるAg/AgCl参照電極の特性の検討
小林紀昭・北脇慎一*・天本一平*・五十嵐幸*
JAERI-Tech 99-006; Feb. 1999, 19p.

 塩化物溶融塩系で用いるAg/AgCl参照電極の特性をセル:U(s)|UCl3,LiCl-KCl‖LiCl-KCl,Ag+|Ag(s)において温度及びUCl3濃度を変えてU/U3+平衡電位を測定して調べた.液絡部にムライト系隔膜及びパイレックスガラス膜を用いた参照電極の特性は,ほぼ同じであった.また,参照電極の再現性は773Kで標準偏差は0.003Vであった.


270280
原子力用材料データフリーウェイを用いた耐熱合金諸特性の検索結果(共同研究)
加治芳行・辻宏和・崎野孝夫*・藤田充苗*・衣川純一*・舘義昭*・斉藤淳一*・加納茂機*・志村和樹*・中島律子*・岩田修一*
JAERI-Tech 99-007; Feb.1999,32p.

 科学技術庁金属材料技術研究所,日本原子力研究所及び動力炉・核燃料開発事業団は,機関間を越えて原子力材料情報を相互利用できる分散型材料データベースシステムである原子力用材料データベース(データフリーウェイ)の基本システムを平成6年度までに構築した.さらに新たに科学技術振興事業団を加えた4機関でデータフリーウェイの利用技術の開発に関する共同研究を平成7年度から開始し,平成11年度末に一般公開するスケジュールで研究開発を継続している.この共同研究では,インターネット上のパソコンからデータフリーウェイシステムを利用して,耐熱合金の諸特性に関しての検索を行い,新たな知見を得た.今後,平成11年度末の一般公開に向けて,使いやすさの向上のためのシステムの改良を行い,データ量の確保とデバッグを含むデータの拡充を進めていく予定である.


270281
原子力船の高度自動化運転システムの開発,1; 通常時の全自動化運転システムの開発
中沢利雄・藪内典明・高橋博樹・島崎潤也
JAERI-Tech 99-008; Feb. 1999, 45p.

 実用原子力船においては,経済性向上の面から運転の省力化を図るとともに,陸上からの運転支援が困難であることから,原子炉運転の完全自動化と異常の予知等の運転支援システムの整備が重要である.本自動化システムの開発は,原子炉起動から出力上昇及び原子炉停止までの一連の通常時の運転操作の完全自動化を目的に,手動操作が主体であった原子力船「むつ」プラントの通常運転をモデルに,「むつ」の運転経験をもとに通常運転時の完全自動化を検討したものである.本報告書は,通常時の全自動化システムについて,開発したシステム構成と原力船エンジニアリング・シミュレータを用いた検証の結果についてまとめたものである.


270282
Design and development of in-vessel viewing periscope for ITER (International Thermonuclear Experimental Reactor)
小原建治郎・角舘聡・伊藤彰*・柴沼清・多田栄介
JAERI-Tech 99-009; Feb. 1999, 83p.

 ITERの炉内観察装置の主案に選定され,日本ホームチームによって開発が進められたペリスコープ型炉内観察装置のR&Dと設計検討の結果について述べる.開発は,耐放射線性屈折法光学ペリスコープのγ線照射試験(目標耐放性:10KGy/hで100MGy以上)を中心に進められ,それをもとに試作された実機サイズ(15m)ペリスコープの高温(最大250℃)下での試験結果からITERに最適な炉内観察ペリスコープの設計検討を行った.


270283
FNS用バケット型イオン源の開発
宮本直樹*・関正和・金正倫計・小栗英知・奥村義和
JAERI-Tech 99-010; Feb. 1999, 27p.

 核融合中性子工学研究用D-T中性子源(FNS)の中性子束強度増大のために,新たに重水素イオン源を設計製作し試験を行った.このイオン源はバケット型であり,多極磁場型プラズマ源と3枚電極の引出部から構成される.高プロトン比を得るためにイオン生成部に強力なプラズマ閉じ込め磁場及び磁気フィルターを持つことを特徴とする.試験の結果,引き出し電圧50kVでビーム電流130mA,発散角10mrad,プロトン比80%の水素ビーム引き出しに成功し,FNSの前段加速系において90mA以上の重水素イオンビームを得られる見通しを得た.


270284
陽子蓄積リングの概念検討
金正倫計・野田文章*
JAERI-Tech 99-011; Feb. 1999, 46p.

 原研が進めている中性子科学研究計画では,大強度陽子ビーム及びそれによって駆動される強力中性子を用いて,基礎科学研究や工学研究の展開が提案されている.その中でも,短パルスで大強度の中性子を用いての中性子散乱実験は,この計画の大きな柱の1つである.線形加速器のみで,短パルス(1μs以下)で大強度(5MW)もの中性子ビームを発生させることは不可能であるので,線形加速器からのビームを短パルスで蓄積し,大強度ビームとして発生させる蓄積リングが必要となる.今回この蓄積リングの概念検討を行ったので,これまで検討した結果を報告する.


270285
短繊維を充填したポリテトラフルオロエチレンの放射線架橋
大島明博*・宇田川昂・森田洋右
JAERI-Tech 99-012; Feb. 1999, 15p.

 高分子複合材料のマトリクスとして評価するため,短繊維を充填したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の放射線架橋を検討した.PTFEは,330℃〜350℃で無酸素雰囲気下において放射線照射すると架橋するが,繊維の存在が架橋反応を妨害することはなく,同じ効率で架橋することがわかった.架橋したPTFEは,繊維との界面で接着性はないが,PTFEのモルフォロジーが変化することで,繊維の補強効果が現れることがわかった.


270415
Analysis of steam generator tube rupture as a severe accident using MELCOR1.8.4
H. Yang*・日高昭秀・杉本純
JAERI-Tech 99-013; Mar.1999,97p.

 本報告書は,シビアアクシデント事象として,2次側安全弁の一つが開固着した場合のSurry炉の蒸気発生器伝熱管破損事故(SGTR)に対するMELCOR1.8.4コードの計算結果をまとめたものである.炉心温度が上昇する事故開始後1.0×105秒までは,原子炉冷却系に関して一次系の正方向ループ流れを模擬したonce-throughモデルを用い,それ以降はホットレグ水平対向自然循環モデルも用いて計算を行った.得られた計算結果は,事故の進展,炉心溶融進展,放射性物質の放出及び移行,ソースタームの観点から詳細に記述した.主な結論として,高圧注水系が利用できれば炉心の温度上昇が大幅に遅延すること,CsIは開固着した安全弁から7%程度環境中に放出されることを明らかにした.また,SGTRではホットレグ水平対向自然循環はあまり発達しないため,それが事故進展に与える影響は小さかった.


270416
冷減速材内流動特性の研究,1; 流動パターンの測定と流動解析
麻生智一・神永雅紀・寺田敦彦*・日野竜太郎
JAERI-Tech 99-014; Mar.1999,113p.

 ターゲットシステムにおいて,超臨界水素を用いた冷減速材は中性子強度やパルス性能などの中性子性能に影響する重要な機器である.特に減速材容器内における水素温度の上昇が中性子収率に影響を与えるため,減速材容器の設計では再循環流や停滞流の発生を抑制して水素をスムーズに流動させる必要がある.そこで,減速材容器の概念設計に反映させるため,減速材容器を模擬した試験体を用いて,減速材入口管からの衝突噴流による流動状況を明らかにするために水による予備的な流動実験を行った.実験の結果,衝突噴流によって大きな再循環流が発生していることが確認でき,STAR-CDコードによる流動解析結果とよく一致した.これらの結果をもとに,減速材容器構造の概念設計をさらに推進させ最適な容器構造を明らかにするために,今後の熱流動実験計画を立案した.


270286
FAME動画表示システムの開発
長谷川幸弘*・濱松清隆・白井浩・松田俊明・渡辺秀人*・板倉洋文*・田畑泰則*
JAERI-Tech 99-015; Feb. 1999, 27p.

 磁気流体平衡高速処理システム(FAME-II:Fast Analyzer for Magnetohydrodynamic Equilibrium-II)で計算した平衡解析結果を,ネットワークで接続されたワークステーションで動画として表示するFAME動画表示システムを開発した.このシステムは放電シーケンスと同期して自動的に動画を提供する.これにより,JT-60Uのオペレータが次の放電の制御パラメータを決定する際に有用な情報を提供することができるようになった.本報告書ではFAME動画表示システムの概要について述べる.


270287
高温ガス炉用ヘリウムガスタービンの空力設計に関する検討; ガスタービン設計条件の影響に関する検討
内海亮二*・武藤康・石山新太郎
JAERI-Tech 99-016; Mar. 1999, 155p.

 高温ガス炉ガスタービン発電システムのタービン及び圧縮機につき,Craig,Cox & Wilson及びKoch,Smith & Wilsonのモデルに基づく設計・性能推定プログラムを作成した.それらを用いて,システムの出力(流量)と作動ガス圧力を系統的に変えた3600rpm一軸式ガスタービンの概略設計検討を実施し,これらによる形状や性能の変化を明らかにした.また空力的・強度的に妥当な設計が可能となる出力と圧力の範囲が存在することを明らかにした.ただし本検討は軸受や軸系の技術的成立性について考慮しておらず,今後これらの面から,現存技術で設計が成立するための技術の見極めが必要であると思われる.一軸式では設計が困難な小出力・高圧の設計条件に対する対応策として,発電端出力100MWe,入口圧力6MPaの二軸式ガスタービンの計画を実施し,成立性が高く,かつ高効率の設計を得た.このケースでは,磁気軸受も現在の設計技術にて設計が可能と考えられる.


270288
RELAP5コードによる水銀流動基礎実験装置の過渡解析,2; 水銀物性値の整備と試解析
木下秀孝・神永雅紀・日野竜太郎
JAERI-Tech 99-017; Mar. 1999, 34p.

 原研の中性子科学研究計画を推進するため,5MW核破砕ターゲットシステムの概念設計を実用的な中性子性能と安全性の確保の観点から進めている.安全性に関しては,ターゲットシステムの安全解析で異常時の過渡挙動を把握することが重要であり,軽水炉で実績のあるRELAP5コードを用いて,水銀ターゲットシステムの解析を行うこととした.本報告では,水銀ターゲットシステムの解析を行えるように,水に対して開発されたRELAP5への水銀物性値の組み込みと試解析の結果について述べる.解析は水銀流動基礎実験装置を単純モデル化して定常状態を模擬した外乱なしの状態で行い,正常に解析できることを確認した.


270289
Flow study on the ESS target water model using UVP method
羽賀勝洋・武田靖*・G. Bauer*・B. Guttek*
JAERI-Tech 99-018; Mar. 1999, 41p.

 ESSは高出力陽子加速器を用いた5MWの出力を持つ次世代の中性子源であり,概念設計では水銀をターゲット物質としている.ターゲット容器の健全性を確保する上で,出口流路内で水銀の再循環領域の生成を抑止することが重要であるため,ドイツのユーリッヒ研究所で製作されたアクリル製のターゲットモデルを用いて水流動実験を行い,UVP法を用いてターゲット容器内の流れ場を測定した.実験では,ターゲット容器への水の全流量を0.88L/sに保持しながら,各入口流路の流量比率を1:0:1,2:1:2,1:1:1,1:2:1,0:1:0の5通りに変化させた.この結果,どの条件でも再循環領域が生じており,ターゲット容器下部の入口流路の流量比率が増すにつれ,再循環領域が大きくなることがわかった.また,ターゲット垂直断面内でもスパン方向に渦が生じていることがわかった.


270290
リブつき狭隘流路の温度助走区間における熱伝達特性
須々木晃*・金丸修久*・神永雅紀・日野竜太郎・数土幸夫
JAERI-Tech 99-019; Feb. 1999, 22p.

 核破砕中性子源(熱出力1.5MW)として機能する固体ターゲットでは,大強度陽子加速器からの陽子ビームによる核破砕反応で高密度の熱を発生する.これを効果的に除去するために冷却面に微小リブを設けた伝熱促進型固体ターゲット板について,特に温度助走区間の熱伝達特性に関する実験的検討を行った.温度助走区間は冷却材流路入口から水力等価直径の50〜60倍程度であり,その区間での熱伝達率はGnielinskiの式で表せることがわかった.


270291
原研中性子科学研究計画における大強度陽子加速器用高周波源の概念設計
千代悦司*・戸内豊*・金子広志*・高戸浩史*・沢田順一*・草野譲一・水本元治
JAERI-Tech 99-020; Mar. 1999, 56p.

 原研では,大強度陽子ビームを用いて基礎科学研究及び原子力工学研究を展開する中性子科学研究計画を提案している.本計画において陽子加速器は,エネルギー1.5GeV,出力8MWのビームを加速する.陽子加速器用高周波システムは,加速周波数の違いから低エネルギー加速部と高エネルギー加速部に大別される.本報告では,各加速部のRFシステムについて概念設計を行った.低エネルギー部では,1MW連続運転が可能な増幅管の検討を行い,システム構成要素の基本設計を行った.高エネルギー部では,空胴のRF励振方式や空胴チューニングエラーの影響を検討し,クライストロン1台当り四空胴を駆動するシステムでの基本設計を行った.またIOTでシステムを構築する時の考察やユーティリティーで必要とされる電源設備容量と冷却水量を見積もった.


270292
中濃縮ウラン燃料6体装荷のJMTR混合炉心の安全解析
田畑俊夫・小向文作・長尾美春・島川聡司・小池須美男・武田卓士・藤木和男
JAERI-Tech 99-021; Mar. 1999, 68p.

 JMTRでは1994年の第111サイクルから,1炉心あたり濃縮度約20%のLEU燃料(標準燃料要素20体,燃料フォロワ5体)と濃縮度45%のMEU燃料(標準燃料要素2体)を装荷した混合炉心で運転を行っている.保有する未使用のMEU燃料の有効利用と早期使用を促進するため,1炉心あたりのMEU燃料の装荷数を増加させる検討を行った.その結果,1炉心あたりのMEU燃料の装荷数を現在の2体から6体に増量することにより,炉心の核特性を大幅に変更することなく,かつ,MEU燃料の有効利用を進めることが可能であることがわかった.これに基づき,MEU燃料を6体装荷した炉心の安全解析を行い,現行の設置許可に述べられた安全性に関する設計方針及び安全評価の判断基準を満たすことを確認した.


270417
高耐放射線性アラミド繊維強化樹脂によるコンクリート補強材の開発,1; 室温で含浸できるエポキシ樹脂組成物(共同研究)
宇田川昂・森谷俊夫*・松原澄行*・本郷善彦*・瀬口忠男
JAERI-Tech 99-022; Mar.1999,31p.

 コンクリート構造物に用いられる鉄筋の磁化あるいは誘導電流をさけるため,アラミド繊維強化プラスチック(ArFRP)の棒材を開発した.高分子母材としてはスチレンオキサイド(10%),ジグリシジルエーテルオブビスフェノールA(60%),テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(30%)と芳香族ジアミンを硬化剤とする新たなエポキシ樹脂組成物が最良であることを見いだした.この樹脂組成物は室温でアラミド繊維の組み紐に容易に含浸する.ArFRPの棒材は高い耐放射線性を備え,引張り強度は100MGy(吸収エネルギー100MJ/kg)照射した後で98%(1.45GPa)保持しており,超電導磁石を利用する核融合炉を格納するコンクリート構造物の補強材として有効である.


270293
NMTC/JAERIを用いたはじき出し損傷断面積及びDPA計算
伊賀公紀*・高田弘・池田裕二郎
JAERI-Tech 99-023; Mar. 1999, 32p.

 核子・中間子輸送コードNMTC/JAERIにLindhard-Robinsonモデルに基づくはじき出し損傷断面積計算機能を追加した.はじき出し損傷断面積を正確に評価するため,核子−原子核断面積の950MeV以上への拡張,弾性散乱角度分布の修正を同時に行った.機能拡張したNMTC/JAERIコードを用いてCr,Fe,Ni及びSUS316のはじき出し損傷断面積を計算した結果,弾性散乱によるはじき出し損傷断面積の計算値が20MeVでJENDL PKAファイルの値と滑らかに接続することが確認できた.これらの値を用いて,1.5GeV,5MW陽子入射の核破砕水銀ターゲットのビーム入射窓及びターゲット容器におけるDPAを評価した.本研究で得られたDPA値とは,他の機関の核破砕中性子源設計における結果とおおむね同じ値であることがわかった.


270418
ハステロイXR溶接継手のクリープ強度
橘勝美・西宏・衛藤基邦・武藤康
JAERI-Tech 99-024; Mar.1999,65p.

 高温工学試験研究炉の中間熱交換機や配管のライナーなどの高温構造物に使用されているNi基耐熱合金ハステロイXRについて,母材,TIG溶接継手,及び溶接金属の大気中クリープ(破断)試験を950℃で行った結果,以下の事項が明らかにされた.(1)溶接継手のクリープ破断強度は短時間側では母材と同等であるが,1000hを超えると母材よりも低くなる.この原因は,溶接金属のボロンが濃度勾配により母材へと拡散したためと考えられる.(2)溶接金属のクリープ破断強度は,短時間側では母材よりもわずかに高めであるが,2000hを超えると低下する傾向が認められる.これも溶接金属に含まれるボロンの影響として説明できる.(3)溶接金属強度の方向差については,破断時間に関してはビードと直角方向の強度がビード方向の強度よりもやや高いが,差はわずかである.しかしクリープ変形速度に関しては,明瞭に差が認められ,溶接線に対して直角方向の伸びが大きい.(4)高温時効の影響は,溶接継手に対しては認められるが,溶接金属については明瞭に認められない.高温時効による強度の低下が継手ほどでないのは,濃度勾配がないためにボロンが拡散し難しかったためと説明できる.


270294
ブランケット加熱試験設備の概要と性能試験
古谷一幸・原重充*・黒田敏公*・榎枝幹男・佐藤聡・秦野歳久・高津英幸・小原祥裕
JAERI-Tech 99-025; Mar. 1999, 45p.

 ITERの炉内に装荷されるブランケットモジュールの繰り返し熱負荷に対する除熱特性,構造健全性等の評価・実証を目的とした加熱試験設備の設計・製作を行った.ブランケットモジュール表面への熱流束(実機表面への平均熱流束:約0.25MW/m2)の模擬にはモジュール表面をほぼ均一に全面加熱することを考慮して赤外線加熱方式を採用した.本設備の赤外線ヒータの有効加熱面積は0.56×0.6m2であり,得られる熱流束はヒータ表面で約0.3MW/m2である.赤外線ヒータは真空雰囲気中(〜10-4Torr)で使用するため輻射熱及び自身の発する熱によるランプの破壊防止の観点からOリング(耐熱温度300℃)を使用しており,Oリングもまた,健全性担保のため空冷している.本設備の性能確認試験を通じ,設備の改良を施した結果,赤外線ヒータの定格運転及びサイクル運転に成功した.


270419
ITER cryostat main chamber and vacuum vessel pressure suppression system design
伊藤彰*・中平昌隆・高橋弘行*・多田栄介・中島義種*・上野修*
JAERI-Tech 99-026; Mar.1999,158p.

 クライオスタットは真空容器と超伝導コイルを格納する円筒状容器であり,4Kという低温で運転される超伝導コイルの真空断熱を目的に,クライオスタット内部は圧力が10-4Paに維持される.また,クライオスタットは放射性物質の第2障壁を形成する.圧力抑制システムは炉内冷却水漏洩により,真空容器内部圧力が設計値0.5MPa以上となることを防止するためのシステムであり,真空容器及び生体遮蔽体の下方に設置される圧力抑制タンク並びに真空容器とタンク間を接続する放出配管からなる.今回,ITER用クライオスタット及び圧力抑制システムの構造設計並びに製作,現地組み立て手順及びスケジュールの検討を行い,詳細構造を明らかにしたので,これを報告する.


270420
ITER cryostat thermal shield detailed design
伊藤彰*・中平昌隆・濱田一弥・高橋弘行*・多田栄介・加藤崇・西川明*
JAERI-Tech 99-027; Mar.1999,113p.

 クライオスタット用熱シールドは超伝導コイルへの熱負荷低減を目的に,クライオスタット内壁及び真空容器外表面に取り付けられる.熱シールドは熱絶縁用低輻射のオイル及び低温のヘリウムガスで冷却される遮蔽板から構成され,フォイルは多層に重ねられて,遮蔽板両面に固定される.フォイル用材質には,表面に銀コーティングを施したSUS304,ポリイミド及びポリエステルを使用する.SUS304は放射線量が10MGy以上の箇所に使用する.また,遮蔽板はその表面温度を100K以下に保つために,低温のヘリウムガスのための冷却配管が配置されている.今回,ITER用のクライオスタット熱シールドの構造設計並びに製作,組み立て手順の検討を行い,詳細構造を明らかにしたので,これを報告する.


270421
再処理特別研究棟における未精製ウラン廃液処理試験
河内昭典・三森武男・宮島和俊
JAERI-Tech 99-028; Mar.1999,51p.

 原研再処理特研では湿式再処理試験で発生した未精製ウラン廃液を利用して,TRU核種を含む放射性廃棄物を安定な形態に処理することを目的とした繊維状吸着材によるプルトニウム除去試験を実施した.処理プロセスは繊維状活性炭に無機系バインダーを添加し成型した吸着材カートリッジを充填した吸着塔に一定の空塔速度(SV)で通液することによってプルトニウムを除去するものである.平成8年〜9年の2年間で廃液約1.7m3の処理を完了し,次の知見を得た.本吸着材は多量のウランを含む廃液においてもプルトニウムに対し高い選択性を示した.またSVや温度の依存性が確認され,SV0.64h-1及び処理温度20〜30℃で処理することにより,95%以上のプルトニウム除去率を示した.以上の結果,繊維状吸着材を用いた処理プロセスが工学規模においても適用可能であることが実証された.


270422
遠隔着脱対応ボールベアリング付き耐放射線性電気コネクタの開発,2
伊藤彰*・小原建治郎・多田栄介・森田洋右・八木敏明・佐藤大*
JAERI-Tech 99-029; Mar.1999,36p.

 核融合実験炉(ITER)の炉内遠隔保守装置に使用される電気コネクタには,10KGy/hのγ線環境下で,積算線量100MGy以上の耐放射線性が要求される.また,遠隔保守装置の保守時には遠隔操作による着脱性も伴わせて要求される.そのため,本コネクタは絶縁材にセラミックスを使用し,プラグにはボールベアリングを取り付け,ロボットによる着脱が容易となるよう配慮した.汎用ロボット及び6軸力センサを組合せた着脱試験の結果,円滑な着脱性が確認できた.また,γ線による絶縁抵抗劣化の原因は,試料表面洗浄後の絶縁抵抗測定及びEPMA法による表面元素定性分析結果から,(1)セラミックス中不純物の拡散もしくは価数測定,(2)セラミックス表面での炭素の付着のいずれかと推測された.今後,詳細に検討を実施する予定である.


270423
中性子科学研究計画における研究施設; 第1次案
中性子科学研究計画施設検討グループ
JAERI-Tech 99-030; Mar.1999,203p.

 原研では,大強度陽子加速器による核破砕中性子源を新たに開発し広範な基礎科学と高レベル放射性廃棄物消滅処理技術開発に利用する中性子科学研究計画を進めている.本報告書は,これまで検討を進めてきた中性子利用研究計画及びそのための研究施設構想について,提案書としてまとめたものである.


270424
中性子科学研究計画における研究開発
中性子科学研究センター
JAERI-Tech 99-031; Mar.1999,453p.

 本報告書は,平成9年度に発足した原研の中性子科学研究センターにおける設計,研究開発に関して,平成10年秋までの成果及びこれまで約10年間の関連技術開発成果をまとめたものである.中性子科学研究計画の概要,大強度陽子加速器(イオン源,リニアック,蓄積リング等)の設計及び研究開発,中性子散乱実験施設の設計及び同施設用核破砕ターゲットの研究開発,消滅処理実験施設(ターゲット熱流動試験施設,材料照射試験施設,中性子核物理実験施設,炉物理実験施設,実験炉)の設計及び関連研究開発,中性子科学にとって共通の基盤技術研究開発(ニュートロニクス,材料,中性子利用技術,計測技術)のほか,放射線問題に焦点を当てた安全設計技術検討の状況について記述している.


270425
A Study on density, melting point, thermal expansion, creep, thermal diffusivity and thermal conductivity of the simulated rock-like oxide (ROX) fuels
柳澤和章・大道敏彦*・白数訓子・室村忠純・松田哲志*
JAERI-Tech 99-032; Mar.1999,65p.

 便宜的にPuO2をUO2で代替した模擬岩石型燃料を製造し,炉外試験に供した.得られた主たる知見は以下のとおり.(1)模擬岩石燃料のガス置換密度(GID)は,4.9から5.4g/ccの範囲であり,その値はUO2の47-52%であった.(2)模擬岩石燃料の融点(MP)は1,911±39℃であり,UO2の融点より30%低かった.(3)線膨張係数(LTE)は,温度1500℃まで模擬岩石燃料とUO2燃料に差異はなかった.(4)模擬岩石燃料のクリープ速度はMgAl2O4成分に強く依存した.(5)硬度(Hv)はMgAl2O4の構成成分であるAl2O3に対して敏感で,その量の増加によって模擬岩石燃料はより硬くなった.温度300℃までの範囲で模擬岩石燃料とUO2の硬度を比較したが,前者は後者に比べ著しく大きかった.(6)熱拡散率に関して,模擬岩石燃料とUO2との間に大きな差異はない.同様に,模擬岩石燃料とGd2O3を10wt%まで添加したUO2燃料との間の熱拡散率にも差異はなかった.模擬岩石燃料の熱伝導率とUO2のそれとに差異はなかった.


270426
臨界安全評価に利用できる反射材・隔離材効果に関するデータ(受託研究)
奥野浩・片倉純一
JAERI-Tech 99-033; Mar.1999,17p.

 臨界安全評価の際に,評価対象をモデル化する.このうち,反射材及び隔離材をモデル化するうえで有用な,これらの影響を示すデータを数値計算により算出した.(1)ステンレス鋼製の容器壁の反射の影響を,外側に反射体がない場合,及び外側に水反射体が付いている場合に検討した.(2)非減速燃料でコンクリートを隔離材とするときに,それらを介在した中性子相互作用の大きさを表す係数RFを導入し,その係数の隔離材の厚さの関係を示した.(3)隔離厚さと水素原子の原子個数密度との関係をさまざまな隔離材の種類について求めた.これらの計算結果は,既に「臨界安全ハンドブック」に引用されている.ここに,それらの計算の詳細を公開する.


270427
火災事故時の施設内への放射性物質閉じ込め効果に対する給気停止の影響の検討
阿部仁・渡邊浩二*
JAERI-Tech 99-034; Mar.1999,21p.

 1997年11月,東海研究所ウラン濃縮研究棟で火災事故が発生した.管理区域内で火災が発生すると大量の煤煙による排気系フィルタの目詰まりとブロアの排気能力の低下によって管理区域内圧力の負圧から正圧への逆転と煤煙を含んだ気体の区域外への流出が引き起こされる可能性がある.このような危険性を回避するためには,給気の停止が有効な手段であると考えられるが,施設内閉じ込め効果に対する給気停止の影響を定量的に評価した例はこれまでない.そこで熱流動解析コードCELVA-1Dを用いて施設内閉じ込め効果に対する給気流量の停止の影響を定量的に評価することを試みた.その結果,火災発生セルへの強制給気を停止した方が停止しない場合に比べて施設内閉じ込め機能は若干長い時間持続されるが,その効果は事故規模が大きくなるにつれて無視できるようになることがわかった.


270428
Development of compact surveillance and monitoring system, COSMOS
小川弘伸・向山武彦
JAERI-Tech 99-035; Mar.1999,106p.

 日本原子力研究所は,国際原子力機関(IAEA)の保障措置実施のために,小型ビデオ監視装置「COSMOS」を日本の対IAEA保障措置支援計画のもと,ソニー株式会社の協力を得て開発した.IAEAはこれまで,8mmフィルムを使用した2台のカメラからなるツイン・ミノルタを用いてきた.COSMOSは,この装置の代替機として開発し,一体化して小型軽量,録画容量3万シーン,バッテリーによる連続3ヶ月以上の運転,操作の容易さを達成した.本システムは録画ユニットとセットアップ・レヴューユニットからなり,録画ユニットはタンパー表示付ケース内メインフレームに,CCDカメラ・VTR,制御回路,映像メモリ,DCまたはAC電源の各モジュールで構成されている.1993年8月にIAEAはCOSMOSを査察機器として承認し,90台を使用している.


270429
Research program (VEGA) on the fission product release from irradiated fuel
中村武彦・日高昭秀・橋本和一郎・原田雄平・西野泰治・金沢浩之・上塚寛・杉本純
JAERI-Tech 99-036; Mar.1999,34p.

 原子炉シビアアクシデント時のソースタームを評価するうえでは燃料からのFP放出挙動の評価が重要である.このため欧米で種々の実験が実施されてきた.しかしながら,これらの実験の回数及び実験条件は限られているため,短半減期FP,低揮発性FPの放出,及び燃料溶融を含む高温高圧条件の放出データを中心に大きな不確実性を含んでいる.これらの点を明確にするため,原研では国内の発電用原子炉で照射された燃料を用いてFPの放出挙動を調べるVEGA実験計画を開始した.同実験では,ホットセル内で短尺燃料を事故を模擬した高温まで誘導加熱する.この計画では,燃料を融点を超える高温まで,1.0MPaまでの高圧条件で加熱し,データの少ない低揮発性及び短半減期FPに注目してその放出及び移行挙動を調べる.


270547
JRR-4運転支援システムの開発
高橋博樹・山本和喜・頼経勉・新井信義・美留町隆
JAERI-Tech 99-037; Mar.1999,44p.

 JRR-4では,1996年2月に高濃縮燃料から低濃縮燃料への炉心改造を開始し,1998年5月に全作業工程を終了した.この改造工事の一環として,計測制御システムと主制御盤等の更新を行い,それにあわせて運転支援システムを設計・製作した.本報告書は,開発したJRR-4運転支援システムの構成・特徴についてまとめたものである.このシステムは運転員の負荷軽減・誤操作防止,利用者への適切な運転データ提供などを目的に開発した.システムは,おもにワークステーション,プロセス計算機とパーソナルコンピュータの計3台で構成されている.データ収集・保管,監視・制御及び運転支援を行う.これにより,運転に対応した監視画面の提供,運転データの保管などが容易に行える.さらに,一部運転操作の自動化も実現した.


270548
10%濃縮硝酸ウラニル水溶液の平板形状基本炉心の臨界特性
菊池司・三好慶典・鳥井義勝*・山根祐一・外池幸太郎
JAERI-Tech 99-038; Apr.1999,61p.

 燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の定常臨界実験装置STACYで,厚さ28cmの平板形状炉心タンクを用いた臨界実験を行った.このうち,水反射条件及び反射なし条件の基本炉心の臨界特性について報告する.実験ではディジタル反応度計を用い,臨界近傍での給排液操作による反応度測定を行った.この測定データに基づき,臨界液位と液位微分反応度を導出した.さらに,実効遅発中性子割合の評価の基礎となる反応度バックリング係数も与えた.一連の実験で得られた平板形状基本炉心の臨界データはウラン濃度約300〜460g/lの範囲で,水反射条件7点,反射なし条件5点である.


270632
再処理溶媒及びその劣化物と硝酸との反応に関する安全性試験(受託研究)
宮田定次郎・高田準一・井田正明*・中吉直隆*・塚本導雄・小池忠雄・渡邊浩二*・西尾軍治*
JAERI-Tech 99-039; May 1999,70p.

 溶媒及び劣化溶媒と硝酸との反応の反応特性及び発熱特性に関する情報収集を目的として,純粋な溶媒並びに熱化学的及び放射化学的に劣化させた溶媒を用いて,密封セル示差走査熱量計(SC-DSC)及び加速速度熱量計(ARC)による熱分析試験,並びに密閉容器(内容量3.0)による熱分解試験を実施し,以下に述べる結果を得た.硝酸飽和溶媒,100%TBP溶媒(100%TBP/〜2.7M HNO3)及びドデカン含有溶媒(30%TBP/70%n-ドデカン/〜0.8M HNO3)は,約170℃と約210℃に極大を有する発熱ピークを与え,前者のピークは溶媒と硝酸との反応に起因し,その活性化エネルギーと頻度因子は124kJ/mol及び8.4×1013sec-1である.硝酸水溶液共存下での,密閉系における硝酸による溶媒の急激熱分解の開始温度は,開放系の場合とほぼ等しく140℃以上である.過濃縮したCe(NO3)3含有硝酸配位溶媒は約180℃以上で急激に熱分解する.ドデカノン,n-ブタノール,硝酸n-ブチル等の溶媒劣化物は約80℃以下で硝酸と発熱的に反応する.


270633
レッドオイルの合成と化学形同定(受託研究)
宮田定次郎・高田準一・中吉直隆*・小池忠雄・塚本導雄・渡邊浩二*・西尾軍治*
JAERI-Tech 99-040; May 1999,194p.

 耐圧ガラス製反応装置(内容積約1000ml)を用いて,4種類の溶媒系(100%TBP,100%TBP/U,30%TBP/70%n-ドデカン及び30%TBP/70%n-ドデカン/U)を温度129〜192℃,反応時間90〜270分の条件の下で硝酸と反応させる方法によりレッドオイル(Red Oil)を合成し,その成分及び合成時に発生したガス成分をガスクロマトグラフ(GC)及びガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)により同定・定量した.レッドオイルは150種類以上の成分からなりその中の94成分の化学形を確定または推定した.レッドオイルの主要な成分はn-ドデカンとTBPのモノ及びジニトロ化物,ドデカノン,硝酸n-ブチル,DBP及びMBPである.合成時に発生した気体成分(vol%)はNO2(23〜50)が最も多く,以下CO2(17〜34),N2O(5.5〜15),N2(4.3〜12),CO(4〜12),NO(1.5〜8),炭化水素(0.7〜1.2)の順に減少し,O2とH2はほとんど検出されなかった.蒸発成分の水冷却凝縮液の大部分は硝酸n-ブチルであり,n-ブタノールは非常に少ない.


270634
Development of authentication system for the Fast Critical Assembly(FCA)Portal Monitor(P/M)and Penetration Monitor(PN/M)systems of JAERI
小川弘伸・向山武彦
JAERI-Tech 99-041; May 1999,188p.

 日本原子力研究所の高速炉臨界実験装置施設FCAの統合型封じ込め・監視システムは,ポータル・モニターとペネトレーション・モニターの2つの相互に補完するシステムで構成されている.本システムの開発は1988年に完了し,1990年に国際原子力機関(IAEA)は,保障措置目標を達成するシステムとして受け入れた.ただし,本システムのデータ真正性の担保手段として,IAEAの独立したオーセンティケーション措置の具備を条件とした.オーセンティケーション・システムの開発は,日本原子力研究所,米国サンディア国立研究所とIAEAの3者共同により実施した.開発は2期に分けて行われ,第1期は独立にデータを収集する機器の開発を実施し,第2期においては収集したデータとFCA封じ込め・監視システムのデータとを自動比較するシステムの開発を実施した.


270549
溶融炉心の原子炉下部ヘッド内堆積挙動に関する熱水力的基礎実験
柴本泰照・中村秀夫・安濃田良成・久木田豊*
JAERI-Tech 99-042; May.1999,41p.

 シビアアクシデント時の溶融燃料の原子炉圧力容器下部ヘッドにおける燃料冷却材相互作用(molten fuel and coolant interactions,MFCIs)を伴う落下中及び落下後の堆積挙動に関する模擬基礎実験を行い,中性子ラジオグラフィ(neutron radiography,NRG)を中心とした流動の可視化観察を行った.実験では,低融点の溶融合金(鉛-ビスマス)を圧力容器の下部ヘッドに見立てた小型の試験容器に落下させ,溶融合金単相の振る舞い及び冷却材との相互作用を観察した.また,NRG実験の検証・補完のため,耐熱ガラス容器を用いた流動の直接観察実験及び赤外線ビデオカメラを用いた容器外表面の温度分布の変化を測定した.本レポートは,これらの実験方法と観察結果をまとめたものである.


270635
ハイブリッドK吸収端/蛍光X線濃度計の長期安定性
薗田暁・冨樫喜博・宮内正勝・岡崎修二*
JAERI-Tech 99-043; May 1999, 16p.

 核物質の計量管理及び保障措置分析における溶液試料に適用可能な高精度の非破壊分析法の確立のため,原研では,米国・DOEとの研究協力協定のもと,ハイブリッドK吸収端/蛍光X線濃度計(HKED)をNUCEFに設置し,溶液試料中のウラン及びプルトニウムの非破壊測定技術の共同開発を進めている.HKEDは査察機器として使用される予定であるため,装置が破壊分析法と同様の測定精度を持ち長期にわたり安定した測定ができなければならない.本報告書は,HKEDの長期安定性及び装置の健全性を示すための標準の長期安定性,さらに試験を通して得られたX線管の出力変動が測定結果に与える影響についてまとめたものである.


270636
A Study on density, porosity and grain size of unirradiated ROX fules and simulated ROX fuels
柳澤和章・大道敏彦*・白数訓子・山下利之・木村康彦・小野澤淳・長島久雄・金沢浩之・金井塚文雄・天野英俊
JAERI-Tech 99-044; May.1999,46p.

 未照射岩石型(ROX)燃料及び模擬岩石型燃料について,密度,気孔率及び結晶粒度に関する研究を実施し以下の結論を得た.(1)岩石燃料:推定理論密度(TD)値は,ROX-SZRで5.6g/cc,ROX-ThO2で6.2g/ccであった.岩石燃料の理論密度値はUO2(10.96g/cc)の約半分であった.本研究から得られた焼結(製造)密度は,ROX-SZRで4.6g/cc(82%TD),ROX-ThO2で5.2g/cc(83%TD)であった.%TDはUO2のそれ(通常95%TD)よりかなり小さかった.平均気孔径は約3μm,気孔率は17-18%の範囲にあった.結晶粒径は約2μmであった.(2)模擬岩石燃料:推定理論密度値は約5.0-5.7g/ccの範囲にあった.模擬岩石燃料の理論密度値はUO2の約半分であった.本研究から得られた焼結密度は約4.5-5.5g/ccの範囲にあった.模擬岩石燃料の%TDは94-98%TDと現行のUO2並になった.平均気孔径は約4-8μm,気孔率は6%以下であった.結晶粒径は約1-4μmであった.


270726
NUCEF放射性廃棄物の廃棄施設
小林紀・川村隆一
JAERI-Tech 99-045; Jun.1999,141p.

 NUCEF内の放射性廃棄物の廃棄施設は,気体廃棄物の廃棄施設,液体廃棄物の廃棄設備,固体廃棄物の廃棄設備からなる.NUCEF内で発生する気体廃棄物は,フィルタ装置によって,十分に放射性気体廃棄物を処理して排出基準値以下の濃度で排気筒から排気する.また,液体及び固体の放射性廃棄物はそれらの性状に応じて,NUCEF内及び東海研究所内の放射性廃棄物処理施設で処理可能な物は処理を行った後,廃棄する.そのほかのものは本施設内で厳重かつ十分な維持・管理の下に貯蔵・保管を行う.本書は,これら放射性廃棄物の廃棄施設,設備の概要,設計条件,機器仕様等についてまとめたものである.


270727
植物検疫を目的とした食品照射技術の検討; 食品照射技術検討ワーキンググループ報告書
須永博美・伊藤均*・高谷保行*・滝沢春喜・四本圭一・平野剛*・田中隆一・徳永興公*
JAERI-Tech 99-046; Jun.1999,63p.

 我が国における食品照射の実用化は,馬鈴薯の発芽防止を目的として1973年に世界に先駆けて開始された.その後,馬鈴薯以外の食品照射は,我が国では実用化されていない.しかし,食品の検疫処理に多量に用いられている臭化メチルの使用禁止への国際的な動向及び国内における病原大腸菌等による食中毒の多発という食品を取り巻く最近の状況変化を考慮すると,近い将来食品照射が必要とされる可能性は極めて高い.そこで,食品照射における照射効果や照射技術の両者に関する研究実績を有する我が国唯一の研究機関である高崎研では,我が国における食品照射の実用化を技術面から支援するため,平成9年8月に環境・資源利用研究部及び放射線高度利用センターから成るワーキンググループを結成した.本報告は食品照射実用化に必要な技術的課題,問題点について検討した結果である.


270637
電子ビーム加熱によるウラン金属の蒸発
大場弘則・小倉浩一・西村昭彦・柴田猛順
JAERI-Tech 99-047; Jun.1999,40p.

 ウラン内にタングステン粒,タングステン円筒,多孔質タングステン円柱を入れて,電子ビーム加熱によりウラン金属を効率良く蒸発させることを試みた.タングステンを入れない液体ウランからの蒸発に比べ,いずれの場合でも蒸発効率が向上することを確認した.また,蒸発試料の断面観察を行った結果,るつぼ内に入れた粒,円筒,多孔質円柱のタングステンは,ともに液体ウラン腐食により原型からは大きく変形又は減肉しており,液体ウランに取り込まれたタングステン粒又は溶解タングステンの析出が見られた.これらのタングステン粒が液体ウランの対流熱伝導を抑制して,蒸発効率を向上させているものと考えられる.


270884
Development of pipe welding, cutting & inspection tools for the ITER blanket
岡潔・伊藤彰*・田口浩*・瀧口裕司*・高橋弘行*・多田栄介
JAERI-Tech 99-048; Jul.1999,222p.

 核融合実験炉において,ブランケットを交換・保守する際,それらに付属する冷却配管をあらかじめ切断し,撤去を行い,その後,新しいブランケットを設置し,冷却配管を再溶接する作業が必要である.また,溶接後は溶接部の健全性評価のための検査が必要である.これら一連の作業は,遮蔽領域の確保と狭小なポートからのアクセスという観点から,新しい作業概念の適用が要求されている.本報告では,これまでに開発を行ってきた枝管用溶接・切断装置について報告するとともに,ブランケットの冷却配管保守に関して,母管用の溶接・切断装置の開発,枝管用非破壊検査装置の開発,枝管用リーク試験装置の開発,溶接・切断・観察を行うことが可能な複合型光ファイバの開発を,併せて報告する.


270885
冷減速材内流動特性の研究,2; 流動パターン測定・解析と冷減速材容器内熱流動解析
麻生智一・神永雅紀・寺田敦彦*・日野竜太郎
JAERI-Tech 99-049; Jun.1999,45p.

 原研で開発中のMW規模の核破砕ターゲットシステムにおいて,超臨界水素を用いる冷減速材は中性子性能に直接影響する重要な機器である.冷減速材容器内における水素温度の上昇が中性子収率に影響するため,再循環流や停滞流などホットスポットの発生要因を抑制して円滑な流動を実現する必要がある.冷減速材容器の概念設計に反映するため,簡易モデル試験体を用いて入口噴流管による衝突噴流とその随伴流の流動パターンを水流動条件下で測定した.入口噴流管の位置が底面より10mm以上で噴流速度が1m/s以上では再循環流領域の高さは約50mmであり,STAR-CDによる流動解析結果はこの流動パターンをよく再現した.この結果をもとに実機用冷減速材容器内の予備的な熱流動解析を行い,水素の局所的な温度上昇を3K以内に抑制するための流動条件を明らかにした.


270728
通電加熱されたフィラメントの温度分布
田村浩司・大場弘則・柴田猛順
JAERI-Tech 99-050; Jul.1999,8p.

 通電加熱したフィラメントの表面温度分布を測定した.直径0.25mm,長さ24.7mmの5%レニウム入りタングステンフィラメントを5Aから7Aの直流電流で通電加熱し,その表面をCCDカメラで撮影録画し,放射強度分布を得た.フィラメント中心部では放射強度が数mm以上にわたってほぼ一定であった.中心部の温度は投入電力と放射損失のバランスから求めた.この温度を基準点として放射輝度比からプランクの式を用いてフィラメントの温度分布を決定した.本方法により,容易にフィラメントの温度分布を測定できることがわかった.


270886
水銀流動基礎実験,1; 壁面摩擦係数測定試験及び今後の試験計画
神永雅紀・木下秀孝・羽賀勝洋・日野竜太郎・数土幸夫
JAERI-Tech 99-051; Jul.1999,56p.

 水銀ターゲット技術を確立するため,熱流動特性,機器健全性,エロージョン特性等の設計に不可欠な試験が可能な装置の検討を行い,最大流量15L/minの水銀流動基礎実験装置を製作した.水銀流動試験の第一段階として,非加熱流路を用いた壁面摩擦係数測定を実施した.その結果,水銀の濡れ性が運転時間の増加とともに改善され,壁面摩擦係数が増加することが明らかとなった.壁面摩擦係数は,試験開始直後には壁面での水銀のスリップにより,なめらかな管の摩擦係数評価式であるBlasiusの式で求めた値よりも小さいが,運転時間が11時間を越えると10%以内の偏差でよく一致し,Blasiusの式が設計に使用可能であるとの見通しを得た.また,本報告書では,装置の特性や水銀循環時に生じた技術的な問題について述べるとともに,ターゲット開発に不可欠な今後の試験計画も示した.


270887
Thermo-mechanical analysis of an acceleration grid for the ITER-NBI system
藤原幸雄・花田磨砂也・宮本賢治・奥村義和・鈴木哲・渡邊和弘
JAERI-Tech 99-052; Jul.1999,52p.

 ITER-NBI用加速電極の熱・機械的特性を3次元有限要素コード(ABAQUS)を用いて解析し,加速電極の機械的信頼性並びにビーム偏向量を評価した.数値解析の結果,加速電極1段あたりの熱負荷が1.5MWの場合,電極の最高温度は300℃程度,ミーゼス等価応力の最大値は150MPa程度になることがわかった.したがって,融解は生じないものの,加速電極の一部が塑性変形するものと予想される.塑性変形を避けるためには,熱負荷を1MW以下に下げる必要がある.また,熱変形による電極孔の最大軸ずれ量は0.7mm程度になることがわかった.薄型レンズ理論を適用すると,電極孔の軸ずれによるビームレットの偏向角は最大で2mrad程度となり,ITER-NBI工学設計の制限値を満たすものと評価された.


270888
高温工学試験研究炉の本設中性子源に対する取扱い技術の確立
竹田武司・飛田勉*・茂木春義・五味邦博*
JAERI-Tech 99-053; Jul.1999,57p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)の本設中性子源(NS)には,優れた中性子収率を有し,使用温度(約600℃)で安定な252Cfを用いた.NSは,フランスで製作し,日本アイソトープ協会のホットケーブに移送後,放射性同位元素輸送容器から取り出した.NSをホルダに入れることにより,遠隔での取り扱いによるNSの交換を可能にした.NS入りホルダは,放射性同位元素移動容器に収納してHTTRに移送した.HTTRのメンテナンスピットにおいて,マニプレータを遠隔操作することにより,新たに考案したNS用取り扱い治具を介して,ホルダを制御棒案内ブロックのNS挿入孔に装荷した.炉心とメンテナンスピット間の制御棒案内ブロックの移動は,燃料交換機を用いて行った.提案した取り扱い手順で,NSはHTTRの炉心に安全かつ確実に装荷でき,HTTRのNSに対する取り扱い技術を確立した.


270889
JT-60U負イオン源用熱伝導型セシウム導入管の開発
山崎晴幸*・伊藤孝雄・薄井勝富・藻垣和彦・栗山正明・佐藤藤雄*・大島克己*・大森憲一郎・渡邊和弘
JAERI-Tech 99-054; Jul.1999,49p.

 JT-60U用負イオン源では負イオン生成効率向上のため,アークチェンバ内にセシウム(Cs)蒸気を導入する.従来のCs導入装置は高電圧ノイズにより,しばしば真空側のヒータが断線・故障した.このCs導入装置を高電圧ノイズに強くするため,熱伝導型導入管の開発とヒータ回路の改良を行った.熱伝導型導入管は,ヒータの断線時に修理を簡単にするため,大気圧側の導入管の一部を加熱して真空側を熱伝導で昇温する構造とした.開発にあたり,計算機でシミュレーションしてモデルを設計・製作し,性能確認試験を行った後,これを負イオン源に採用した.また,ヒータの断線を防止するため,加速電圧の印加中はヒータの電源を遮断するように回路を改良した.以上の2点の改良により,Cs導入装置のヒータに関する故障はほとんどなくなり,現在,順調に運転中である.


271045
Design of remote handling equipment for the ITER NBI
岡潔・多田栄介
JAERI-Tech 99-055; Aug.1999,138p.

 核融合実験炉では,3台の中性子入射装置(NBI)が最小半径6.25mでプラズマとの接線方向に設置される.NBI装置は,D-T運転により放射化されるため,遠隔操作による保守が必要となる.このような観点から,これまでに,NBI装置を遠隔にて取り扱うための手順及び各種のツールの設計を行ってきた.本報告では,これまでに検討を行ってきた保守手順に従って,イオン源とフィラメントを取り扱うツール,トランスファーキャスク等の設計及び保守時間,製作スケジュール,コストについて,それぞれ評価を行った結果を報告するものである.


270890
The Joint project for high-intensity proton accelerators
共同推進チーム
JAERI-Tech 99-056; Aug.1999,78p.

 大強度陽子加速器を用いた科学技術の総合的展開を図るために,高エネルギー加速器研究機構(以下「機構」という.)と日本原子力研究所(以下「原研」という.)は,機構の大型ハドロン計画と原研の中性子科学研究計画を共同で推進することとした.本報告書は,機構と原研が策定した大型ハドロン計画と中性子科学研究計画の加速器及び実験施設を原研の東海研究所に建設するための統合計画の提案書である.


271046
Power loading on the beamline components and beam divergence of the negative-ion based NBI system for JT-60U
L. Hu*・秋野昇・海老沢昇・本田敦・伊藤孝雄・河合視己人・椛澤稔・栗山正明・日下誠*・藻垣和彦・大賀徳道・大森憲一郎・大島克巳*・奥村義和・大原比呂志・佐藤藤雄*・関宏*・棚井豊*・薄井勝富・渡邊和弘
JAERI-Tech 99-057; Aug.1999,16p.

 JT-60では,負イオンNBI(N-NBI)を使った高エネルギー中性ビーム入射実験が進められている.N-NBIの目標性能は,500keVで10MWのビームを入射することであり,これまでに350keVで5.2MWのビーム入射を達成している.ビーム発散,ビームライン機器への熱負荷は,ビーム性能を評価する上できわめて重要な項目である.JT-60へのビーム入射実験中にドリフト管で評価した発散は,水平方向で4mrad,垂直方向で6mradであり,これは設計値の5mradに近い値である.ビームライン機器への熱負荷測定値も設計値と比べて妥当な値である.


271047
Development of Cr,Nd:GSGG laser as a pumping source of Ti:sapphire laser
田村浩司・有澤孝
JAERI-Tech 99-058; Aug.1999,13p.

 クロム,ネオジムドープのGSGGレーザーはヤグレーザーよりも原理的に効率が高く,チタンサファイアレーザーなどの高効率励起用光源となる可能性がある.そのため,GSGGレーザーを試作しその発振特性を調べた.発振効率はフリーランニングモードでヤグレーザーの2倍であった.Qスイッチモードにおいて基本波で50mJ,第2高調波で8mJを得た.レーザーの空間分布,時間波形,長時間安定性は固体レーザー励起に適したものであった.GSGGレーザーの第2高調波励起によりチタンサファイアレーザーの発振が達成できた.


271048
Gain measurements of Ti:sapphire amplifier
田村浩司・有澤孝
JAERI-Tech 99-059; Sep.1999,9p.

 チタンサファイア共振器からのレーザーパルスをヤグレーザーの第二高調波により励起することにより増幅し,出力レーザーパワーを測定した.励起のある場合とない場合の出力強度比から,シングルパスとダブルパスの小信号利得を励起レーザー光密度の関数として測定した.シングルパスの利得を2準位のレート方程式により計算した.得られた結果は実験結果をよく再現した.この結果に基づき共振器出力を多段階増幅部を用いて増幅した.


271049
レーザー結晶の特性評価技術の開発(共同研究)
田村浩司・有澤孝
JAERI-Tech 99-060; Aug.1999,18p.

 良質のレーザー用結晶の引き上げ育成を行うために,チタンサファイア結晶の光学特性を測定してその評価法を確立した.引き上げ条件を変えて育成された3種類のチタンサファイア結晶について,吸収スペクトル,励起光吸収波長と発振波長での線吸収係数,蛍光スペクトル,発振特性,レーザーによる結晶の損傷などについて測定を行い,育成結晶のレーザー媒質としての特性を総合的に評価した.


271050
高温ガス炉水素製造システムにおけるガス漏えい検知方法の検討
西原哲夫・中村正志*
JAERI-Tech 99-061; Sep.1999,70p.

 高温ガス炉水素製造システムでは大量の可燃性ガスを原子炉の近傍で取り扱うため,火災・爆発事故に対する原子炉の安全確保が重要な課題の一つとなる.そのため,可燃性ガス漏えい事故の早期発見が必要となる.そこで,可燃性ガスの漏えい検知に関する国内基準,国内外で採用されている漏えい検知器の検知原理,性能,信頼性,技術動向等の調査を行い,本システムに採用する漏えい検知方法を検討し,提案した.検討に際して,安全上のクレジットの有無,PA上の配慮を考慮した.安全上のクレジットを要求する場合には,対象機器・配管をセグメントジャケットで覆い,その内部を赤外線光センサーと接触燃焼式または熱線半導体式固体センサーを組み合わせて連続監視する方法を提案した.一方,安全上のクレジットを要求しない場合には接触燃焼式固体センサーを法規どおりに設置することとした.この場合,必要区画を不活性ガスで封入し,安全性を向上させる対策を提案する.PA上の配慮をする場合には,固体センサーに加え,光センサーの追加設置が有効である.


271051
炉外技術開発試験装置における水蒸気改質反応の熱化学解析(受託研究)
羽賀勝洋・須山和昌*・稲垣嘉之・林光二・小川益郎
JAERI-Tech 99-062; Aug.1999,31p.

 炉外技術開発試験装置のシステム動特性解析のために製作した熱物質収支解析コードを用いて,水蒸気改質器の性能解析を行い,原料ガス流量,温度,原料組成等をパラメータとした時の改質器の熱負荷特性を明らかにした.解析条件は,ヘリウム側の温度,圧力,流量等は一定とし,ヘリウムガスの入口及び出口エンタルピーの差,つまり水蒸気改質器のエンタルピー消費量を計算して,パラメータ変動に対する水蒸気改質器の熱消費量変化の応答特性を調べた.その結果,伝熱促進のためにフィンを外面に加工した触媒管では平滑な触媒管に比べて水素製造量が12.5%増加すること,熱消費量に最も影響を与えるのはプロセスガスの供給流量であることなどがわかった.これらの結果は炉外試験装置の運転計画作成のためのデータとなる.


271052
MEU6炉心の核的な照射場特性の評価; 炉心中性子束分布及び中性子スペクトルの混合炉心との比較
長尾美春・小向文作・田畑俊夫・武田卓士・藤木和男
JAERI-Tech 99-063; Aug.1999,57p.

 JMTRの炉心構成を,第125運転サイクル(98.11.17〜)から,従来の混合炉心(MEU燃料2体,LEU燃料20体及びLEUフォロワ燃料5体装荷した炉心)をMEU6炉心(MEU燃料6体,LEU燃料16体及びLEUフォロワ燃料5体を装荷した炉心)に変更した.そこで,今回の炉心構成の変更に伴う照射試験に対しての影響を検討するため,核的な照射場特性の変化について解析を行った.MEU6炉心の核的な照射場特性は,従来の混合炉心とほぼ同等あり,照射試験に対して大きな影響を与えないことを確認した.


271053
HTTR 1次加圧水冷却器用ISI装置の開発
篠崎正幸・和田茂行*・古澤孝之
JAERI-Tech 99-064; Aug.1999,46p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)の1次加圧水冷却器伝熱管の供用期間中検査(ISI)装置の開発を行った.この供用期間中検査装置は渦流探傷触子,超音波探傷触子,プッシャー及びマニピュレータロボット等から構成されている.1次加圧水冷却器の伝熱管のモックアップ装置を用いて,今回開発したISI装置の作動確認を行った.本報告書では,供用期間中検査装置のシステム構成,探傷触子のR&D結果,本装置の作動試験結果を報告する.


271147
高エネルギー核反応コードJAMによる150MeV〜24GeV陽子入射反応の解析
仁井田浩二*・奈良寧・高田弘・中島宏・千葉敏・池田裕二郎
JAERI-Tech 99-065; Sep.1999,42p.

 
 核子・中間子輸送コードNMTC/JAERIの適用上限エネルギー,核子で3.5GeV,中間子で2.5GeVを引き上げるために,NMTC/JAERIの核反応部分に,高エネルギー原子核反応を記述するモデルJAMを導入し,エネルギー上限が数100GeVの輸送コードNMTC/JAMを作成した.JAMは,核子当たりGeV領域から重心系で数10TeVまでの原子核反応を記述できるカスケードタイプのモンテカルロコードである.JAMをNMTC/JAERIに導入するために,反応後の残留核の核種,励起エネルギーが評価できるように改良を施し,JAMのエネルギー下限を150MeVまで引き下げた.本報告では,NMTC/JAMに組み込まれる核反応モデルJAMの説明と,150MeVから数10GeVの陽子入射薄膜核反応におけるJAMの計算結果と実験との比較,また,LAHET27の計算結果との比較を行い,JAMの妥当性を検討した.


271148
負イオン源セシウム導入装置用マーカー磁石付フロートを利用した液面レベル測定手法の開発
伊藤孝雄・山崎晴幸・薄井勝富・藻垣和彦・栗山正明
JAERI-Tech 99-066; Sep.1999,13p.

 JT-60負イオンNBI(N-NBI)のイオン源では,負イオンの生成率を上げるためイオン生成部にセシウム蒸気を導入している.このセシウムの蒸発率はセシウム導入装置の液体セシウムを貯めているオーブンの温度を変えることにより制御される.オーブン内のセシウム残量を監視するため,サマリウムコバルト系永久磁石を装置したフロートを利用したセシウム液面レベルの測定手法を新たに開発した.オーブン内のセシウム液面レベルはフロート内磁石からの磁場を測定することにより検知できる.また,このフロートはセシウム導入装置の高真空及び高温の環境下で使用できる.本液面レベル測定手法の有効性は,実証試験により確認され,これにより,負イオン源におけるセシウム消費の定量的な把握が可能となった.


271149
溶液燃料の過渡臨界事象に伴う放射性ヨウ素及び希ガス等の放出挙動の検討(受託研究)
阿部仁・田代信介・永井斉・小池忠雄・岡川誠吾・村田幹生
JAERI-Tech 99-067; Sep.1999,23p.

 核燃料再処理工程では溶液状燃料を取り扱うために,異常な過渡変化を越える事象の一つとして想定されている溶解槽の臨界事故時には,放射性物質が気相中へ放出され,さらに槽ベント系へと移行していくことが予想される.このような事故の下での槽ベント系の安全性能を実証するために原研ではNUCEFのTRACYを用いて臨界事故時放射性物質閉じ込め機能試験を実施している.本報告書は,平成10年度における同試験で得られた研究成果をまとめたものである.


271150
廃棄物処理処分開発棟における放射線施設廃止措置について
武部愼一・古宮友和
JAERI-Tech 99-068; Sep.1999,46p.

 廃棄物処理処分開発棟は昭和49年に設置され,海洋投棄処分に関する安全性試験研究等に使用されてきたが,施設の老朽化が問題となり,放射線施設としての廃止措置を行った.当施設は比較的小さな放射線施設であるが,今後予想される放射線施設の廃止措置並びに施設設備等の解体計画等の参考とするため,これら廃止措置にかかわる計画,放射線施設の汚染検査及び放射能測定,放射性廃棄物発生量の予測と実際,実施した作業内容,安全対策,最終汚染確認検査の方法,並びに当施設の廃止措置にかかわる経費等について報告するものである.


271151
Crystal growth of Li10B3O5
杉山僚・Gallagher, H. G.*・Han, T. P. J.*
JAERI-Tech 99-069; Sep.1999,27p.

 LBO非線形光学結晶は,(B3O7)5-ボレート系陰イオングループによって構成されているので,紫外光領域での高い透過率を示す.結晶の構成元素を同位体で置換すると(B3O7)5-イオンの固有振動数が増加し,透過率はさらに短い波長において高くなると予想される.この結果,従来のLBO結晶に比べて,波長変換が可能となる波長域が広くなると思われる.この特性変化を確認するために,今回10B2O3を結晶原料に用いて,Li10B3O5結晶の育成を行った.LBOは結晶の育成速度が遅いこと,原料の粘性が高いことからその育成が非常に困難であった.本報告では,原料の調製方法,熱バランスの改善及び育成条件の最適化についてわれわれの行った方法を詳細に記す.


271152
JFT-2M用多チャンネルX線モニターシステムの開発
岡野文範・海野一美
JAERI-Tech 99-070; Sep.1999,19p.

 高性能トカマク開発試験装置(JFT-2M)では,プラズマ放電(約6分周期,持続時間約1秒)に伴い,高エネルギーの逃走電子がリミタ等に衝突してX線が発生する.このX線発生量を管理区域境界において許容線量以下とし,安全管理をより確実なものとする目的で,JFT-2M多チャンネルX線モニターシステムを新たに製作した.本システムは,4台の電離箱型検出器をJFT-2M装置本体の周りに配置し,X線発生量のトロイダル方向分布を把握可能とした.検出器からの出力信号は光変換され,線量計本体を経由して,パーソナルコンピュータでデータ収集・処理される.また,X線発生量が過大となった場合,それを検知してプラズマ放電を安全に停止するインターロック機能も設けた.これにより,X線の発生状況をJFT-2Mのプラズマ制御に素早く反映することができ,より確実に管理区域境界における許容線量を超えないよう管理可能となった.


271243
被覆管高速加圧バースト試験装置の設計と製作
大友隆・永瀬文久・上塚寛
JAERI-Tech 99-071; Oct.1999,25p.

 
 軽水炉高燃焼度燃料棒のRIA破損挙動に関する基礎的な知見を得るために,燃料被覆管内圧を急速に加圧できる試験装置を考案し製作した.UO2パレット中のFPガスの膨張がPCMIに強く関与することを考慮し,本装置では油圧を用いて被覆管に均一な負荷を与えることとした.また,NSRR実験でのパルス幅に相当する短い時間で被覆管を加圧し破裂させるために,最大170MPaまで予加圧した高圧系と被覆管試料とを電磁弁を用いて瞬時に接続する加圧方法を考案した.製作した装置は,室温で最大3.4MPa/msの昇圧速度を達成し,未照射PWR用ジルカロイ被覆管が70msで破裂した.水素添加被覆管試料では,NSRR実験で破損した高燃焼度燃料棒と類似の破損形態を呈したことから,本装置によりパルス照射時にPCMI破損を十分に模擬できる.


271244
HTTR不純物濃度測定試験; 確認試験(3)における測定
坂場成昭・江森恒一・猿田徹
JAERI-Tech 99-072; Oct.1999,125p.

 
 HTTRの1次系には黒鉛の酸化防止及び配管材の腐食防止の観点から,1次系温度400℃以上において不純物濃度を規定している.系内の化学的不純物であるH2,CO,H2O,CO2,CH4,N2,O2はヘリウム純化設備の酸化銅反応筒,モレキュラーシーブトラツプ(MST),コールドチャコールトラップ(CCT)を用いて除去され,不純物濃度はヘリウムサンプリング設備の水分計及びガスクロマトグラフ質量分析計により測定される.本報では,系統別・総合機能試験の確認試験(3)において,HTTRとして初めて実施された,ヘリウムサンプリング設備の自動サンプリングを用いた正規の手順による不純物濃度測定試験について,不純物濃度変化を示すとともに,トラップの除去効率,除去速度及び除去量について評価した結果を示す.系統の到達温度約210℃までにおいて,酸化銅反応筒,CCTについては,十分な除去能力を有していることが確認された.また,MSTにおいては1次系のCO2に対する除去能力は十分であることが確認されたものの,H2O及び2次系のCO2に対しては想定値を下回った.今後は,出力上昇試験初期の不純物濃度に規定のない1次系温度400℃以下までの段階において,MSTの除去能力について再度検討・評価する.


271245
ブレードタイプクロスフロー型水銀ターゲットの開発, 第1報; 流動特性解析と検証モデルの製作
寺田敦彦*・神永雅紀・木下秀孝・日野竜太郎・内田博幸*・安保則明*
JAERI-Tech 99-073; Nov.1999,42p.

 
 原研では,中性子科学研究計画の下で,大強度陽子加速器(ビーム出力5MW)による中性子散乱施設の建設を計画している.本施設の核破砕中性子源となる水銀ターゲットについては,ターゲット材となる水銀による構造材のエロージョン低減と局所的な高温領域の抑制等の工学的課題が懸案となっている.そこで,これらの課題を改善するための構造概念として案内羽根を用いるクロスフロー方式のターゲット構造を提案し,内部流動特性の解析評価を行った.その結果,ターゲット先端部のビーム窓方向に対して案内羽根を延長し,また,補助羽根を設置することなどの方策で,発熱密度に応じた水銀の流量配分を実現できる目処を得た.この成果をもとにして,水流動条件下で解析結果を検証し,ブレード構造の有効性を確認するため,アクリル製の水銀ターゲットモデルを製作した.


271246
HTTR水素製造システムの炉外技術開発試験; 水蒸気改質器の構造の製作上の技術課題(受託研究)
稲垣嘉之・大内義弘・藤崎勝夫・加藤道雄・宇野久男・林光二・会田秀樹
JAERI-Tech 99-074; Oct.1999,63p.

 
 HTTR熱利用系として,天然ガスの水蒸気改質(反応式:CH4+H2O=3H2+CO)による水素製造システムが計画されている.HTTRと水蒸気改質システムの接続の前に,安全性及び制御性の実証,水素製造性能の確認等を目的として,HTTR水銀製造システムの1/30スケールモデルである炉外技術開発試験装置の製作を進めている.炉外技術開発試験装置は,中間熱交換器から下流の主要機器を模擬したもので,原子炉の代わりに電気ヒーターを使用して110Nm3/hの水素を製造する能力を有する.水蒸気改質器は,水蒸気改質により水素を製造する主要な機器である.炉外技術開発試験装置の水蒸気改質の製作においては,ヘリウムガスからの熱の有効利用並びにコンパクトな構造を目指して,バイヨネット型触媒管の採用,触媒管外表面に設けた直交フィンによるヘリウムガスの伝熱促進等の工夫を行った.また,伝熱促進を行うためには触媒管の肉厚を10mm程度にする必要があるため,触媒管の設計においては,ヘリウムガスとプロセスガスの全圧を考慮する全圧設計ではなく,両者の差圧をもとに触媒管の肉厚を定める差圧設計を適用した.この設計方法は,高圧ガス保安協会より初めて認可された.また,水蒸気改質器は可燃性ガスと電気ヒーターを内蔵することから防爆構造とした.本報告書は,炉外技術開発試験装置の水蒸気改質器の構造,触媒管差圧設計及び防爆構造の認可にかかわる内容について述べたものである.


271247
分割型プールゲートの更新
大橋信芳・出雲寛互・亀山巌・井坂正規・中村清・門田吉博*・田面昭緒*
JAERI-Tech 99-075; Oct.1999,87p.

 
 JRR-4改造工事の一環としてプールゲートを更新した.ゲートの型式は二分割水頭差圧両面シール型で,原理的にも構造的にもシンプルで取り扱いが容易であるが,シール性能を確保するのが難しいタイプのゲートである.従来のゲートでは,パッキンシール面に凹凸や蛇行が生ずるため分割部などから漏洩を起こしやすく,適合するゴム材料の選択幅も極めて狭かった.ゲートの更新にあたっては,ゲート本体構造の改良とともにパッキンシール部のモックアップ試験を行い,低水位差の条件でも安定した水密性が確保でき、かつ、パッキンにかかる負荷の少ない新たなシール構造を開発した.更新ゲートは現地漏洩検査で高度の水密性が実証された.本書は,高水密分割ゲートの開発にかかわる技術的事項を中心に分割型プールゲートの更新工事全体をまとめたものである.


271248
低放射化Mn-Cr鋼の特性評価試験,1; 機械的特性及び溶接性
斎藤滋・深谷清・石山新太郎・衛藤基邦・佐藤育男*・楠橋幹雄*・畠山剛*・高橋平七郎*・菊池満
JAERI-Tech 99-076; Oct.1999,53p.

 
 現在,日本原子力研究所(以下原研)では,核融合炉の実現に向けて定常炉心試験装置(以下JT-60SU)の検討・評価作業を進めている.このJT-60SUの真空容器鋼としては,高強度,低放射化かつ非磁性であることが求められている.しかし既存の鋼種でこれらの要求を満たすものはないため,原研と(株)日本製鋼所は共同でNi,Coが無添加で低Mn型の低放射化非磁性鋼の開発を進めてきた.初めに合金と製造工程の検討を行い,平成9年までにVC9と名付けた鋼種が有望であるという結果を得た.平成10年度以降はこのVC9のJT-60SU真空容器鋼としての適性評価として,機械的特性・溶接性・耐食性・相安定性などさまざまな特性試験を行っている.本報告書はそれらの結果の中から機械的特性と溶接性についてまとめたものである.


271249
高温ガス炉用耐酸化燃料コンパクトの概念検討
沢和弘・飛田勉*・鈴木修一*・吉牟田秀治*・小田耕史*・渡海和俊*
JAERI-Tech 99-077; Nov.1999,41p.

 
 高温ガス炉では,直径500〜600μ程度の燃料核をセラミックスで多層被覆した球状の粒子を燃料として使用している.ピン・イン・ブロック型燃料では,黒鉛スリーブの中に被覆燃料粒子を含む燃料コンパクトを装填するが,燃料コンパクト外面と黒鉛スリーブ内面間のギャップにより燃料温度が上昇し,燃料健全性確保の観点から原子炉出口冷却材温度及び燃焼度等の性能向上を制限する原因の一つとなっている.被覆燃料粒子及び燃料コンパクト自身を酸化から保護できる燃料コンパクトを開発することにより,高温ガス炉の性能向上が可能になる.そこで,耐酸化機能を有するピン・イン・ブロック型燃料コンパクトの概念を提案し,製作性及び耐酸化性に関する予備的な検討を行った.本報は,試作及び酸化試験の結果について示すものである.


271250
HTTR水素製造システムの高温隔離弁の概念設計及び弁座盛金材料の選定(受託研究)
西原哲夫・岩月仁*
JAERI-Tech 99-078; Nov.1999,55p.

 
 HTTR水素製造システムでは,905℃,4.1MPaの高温高圧下で格納容器隔離弁が使用されるが,本条件で使用可能な弁はない.また,原子力製鉄プロジェクトでの隔離弁の開発成果から,いくつかの検討課題も報告されている.そこで,HTTR用高温隔離弁の概念設計を行い,3次元弾性応力解析により構造健全性を確認した.次に,弁座盛金材料として,ステライト合金及びニッケル基超合金について,溶接施工性,時効特性等の予備調査を行い,使用可能性について検討した.その結果,長時間時効,ヘリウム雰囲気での特性等を把握することが必要不可欠であることがわかった.そこで,これらの問題を解決するための試験計画を立案した.


280019
超弾性合金シールガスケットの開発
田口浩*・多田栄介
JAERI-Tech 99-079; Nov.1999,28p.

 
 ITERの中心部分を構成するブランケット及びダイバータ等の炉内機器は,DT燃焼により放射化及び損傷する.そのため損傷した炉内機器は,放射化物の飛散を防ぐ二重シール扉を備えたキャスクを用いて遠隔操作により保守交換を行う必要がある.その際,二重シール扉には放射化ダスト等の飛散を防止するシール性能,遠隔操作に適した取り扱いの容易性及び耐放射線(γ線)性が要求される.本研究では,従来の金属Cリングガスケットの弾性要素であるバネ材にTi-Ni系超弾性合金(Super Elastic Alloy: SEA)を適用して試験を実施した.この結果,標準品金属Cリングガスケットと比較して,少ない締付け力(機器の小型化の可能性)及び繰り返し使用時での気密性能を確保(容易な取り扱いの可能性)できる可能性が確認された.


271251
HTTR水素製造システムの水蒸気改質器触媒管健全性試験, 1; 全体計画, 試験装置の製作(受託研究)
西原哲夫・高野栄
JAERI-Tech 99-080; Nov.1999,30p.

 
 水蒸気改質器はHTTR水素製造システムの主要機器の1つで,管外を約880℃の高温ヘリウムガスが,管内を水素,水蒸気などの混合ガスであるプロセスガスが流れる.そのバウンダリーを形成する触媒管にはハステロイXRを使用する.ハステロイXRはヘリウム雰囲気で使用することを前提として材料強度基準が定められており,プロセスガスに対する適用性は明らかになっていない.そこで,プロセスガス雰囲気における腐食特性を明らかにし,予腐食材を用いた引張,疲労及びクリープ試験から強度低下量を測定することにより,既存の材料データがそのまま適用可能か評価するための試験(触媒管健全性試験)を計画した.本報告は,全体計画,腐食試験装置の概要,及び酸化雰囲気中での腐食試験結果についてまとめたものである.


280020
固体ターゲットの設計及び二次元流動解析による冷却水流量配分特性に関する研究
羽賀勝洋・須々木晃*・寺田敦彦*・石倉修一*・勅使河原誠*・木下秀孝・小林薫*・神永雅紀・日野竜太郎
JAERI-Tech 99-081; Nov.1999,43p.

 
 中性子科学研究計画の下で現在検討中の重水冷却方式固体ターゲットについて,タングステンをターゲット材とし,その冷却性,冷却水の体積割合,及び熱応力を主な設計条件として一次元の概略評価を行いターゲット板の厚さ配分を決定した.さらに二次元の熱応力解析を行い,厚さ配分の妥当性を確認した結果から,40枚のターゲット板を6つの冷却流路に分割し,それぞれをワンスルーで冷却する構造を提案した.次に,汎用流動解析コードを用いて流動解析を行った結果,ターゲット板間流速で1m/sから10m/sの広い範囲にわたって均一な流量配分を実現できる見通しを得た.また,圧力損失は1.5MW及び2.5MW規模の固体ターゲットを冷却するために必要な板間流速である5m/s,7m/sで,それぞれ0.09MPa,0.17MPa程度であることがわかった.


280021
原研軟X線ビームライン(BL23SU)用挿入光源の制御系の開発
平松洋一*・島田太平*・宮原義一*
JAERI-Tech 99-082; Dec.1999,274p.

 
 SPring-8の23番セルに設置された原研軟X線ビームライン用挿入光源の制御系を開発した.この挿入光源は,平面型可変偏光アンジュレータ(APPLE型)であり,上下に設置された2対の磁石列を相対的に動かして,水平直線偏光,垂直直線偏光,だ円偏光,左右円偏光の放射光を発生する装置である.本制御系では,磁石列のギャップ駆動と位相駆動に伴って,蓄積リングの電子ビーム軌道が変動するのを制御するために,10台の補正電磁石で速い(周期=24msecの)軌道修正をかけることができる.一定の周期(2secで,バラツキ誤差0.1%以下)の位相駆動を実現することにも成功した.開発したシステムは,SPring-8全体の制御系で採用されている「SVOCコマンド制御方式」に合致したものになっている.


280022
NUCEFプルトニウム臨界実験用分析方法の調査・選定
園部保
JAERI-Tech 99-083; Dec.1999,84p.

 
 NUCEFのプルトニウム運転時において,核燃料物質の計量管理及び原子炉施設の運転管理に必要となる分析マニュアルを作成するために,関連研究報告及び類似施設において実用されている分析手法を収集し,NUCEF分析設備に配備される分析機器及び設備運転の制約などを考慮して,分析項目ごとに対応する分析法を選択したものである.また,分析法の概略,使用する分析機器の測定原理についても記述し,分析業務従事者の理解を深め,習熟を容易にするための教育書として活用できる内容とした.


280023
平成10年度における定常臨界実験装置STACYの運転記録,1; 280T平板炉心・10%濃縮のウラン硝酸水溶液(受託研究)
小野寺清二・曽野浩樹・広瀬秀幸・谷野秀一・長澤誠*・村上清信・桜庭耕一・宮内正勝・菊池司・大野秋男
JAERI-Tech 99-084; Dec.1999,54p.

 
 燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の定常臨界実験装置STACYでは,平成9年度に引続き,約10%濃縮のウラン硝酸水溶液を燃料とし,厚さ28cm,幅74cm,高さ1.5mの平板炉心タンクを用いた臨界実験を,計46回行った.実験では,コンクリート,ポリエチレンの固体反射体を用い,おもに反射材の配置や厚さの違いによる反応度効果を測定した.本書は,これらの実験における運転記録として,燃料組成の経時変化,並びに各運転毎の反応度添加量,臨界量,炉出力等の運転管理データをまとめたものである.燃料管理については,燃料貯槽量及び燃料組成の変化の傾向を定量的に把握できた.また,運転管理データのうち,液位反応度測定値は,平成9年度に得られた臨界液位−液位反応度曲線とほぼ一致した.


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