研究開発報告書類


JAERIレポート
2001年


290161
Gyrokinetic analysis of micro-instabilities in negative shear tokamaks
井戸村泰宏
JAERI-1341; Jan.2001,91p.

 負磁気シアトカマクにおける微視的不安定性の性質を調べるために,ジャイロ運動論的方程式系から定式化される固有モード方程式を解く固有値問題コード,及び,ジャイロ運動論的有限要素PICコードを開発した.線形解析から,負磁気シア配位において,スラブイオン温度勾配駆動モードに加えて,スラブ電子温度勾配駆動モードがqmin面付近で強く不安定化されることがわかった.負磁気シア配位における電子温度勾配駆動乱流シミュレーションにおいて,qmin面両側の磁気シア有限の領域で準定常なE×B帯伏流が生成され,電子熱輸送係数が大幅に減少することがわかった.静電的K-H(ケルビン−ヘルムホルツ)モードの安定性解析から,E×B帯伏流の流速分布とK-Hモードを安定化する磁気シアが密接に関係していることを見いだした.


290261
ニューラルネットワークを用いた原子炉異常監視技術の研究
鍋島邦彦
JAERI-1342; Mar.2001,119p.

 本研究は,ニューラルネットワークに過去の正常な運転データを学習させることによって原子炉のモデル化を行い,原子力プラントの異常診断に利用する手法について検討したものである.もし,異常な運転パターンがネットワークに入力された場合には,各プラント変数のネットワーク推定値は測定値と大きく異なってくるはずである.したがって,その偏差を監視することにより,原子力プラント内の微少な異常兆候を検知することが可能になる.まず,さまざまな異常事象を容易に模擬できるPWRプラントシミュレータを利用して,フィードフォワードニューラルネットワークとリカレントニューラルネットワークの異常検知性能の評価を行った.適応学習法を取り入れたフィードフォワードニューラルネットワーク及びフィードバック結合を持つリカレントニューラルネットワークは,プラント動特性や緩やかな状態の変化にモデルを追従させることが可能で,しかも定常運転時だけでなく過渡運転時に発生した異常事象についても,従来の監視システムよりもはるかに早い段階で検知できた.次に,フィードフォワードニューラルネットワークによる異常監視システムを,実際の原子力発電所(PWR)に適用した結果を示した.1年間にわたるオフライン及びオンライン監視の結果,ニューラルネットワークが従来の監視システムや運転員が気づかないようないくつかの微小な異常事象を検知できた.さらに,ニューラルネットワークを用いた感度解析を行い,ニューラルネットワークが適切にプラントをモデル化できていることが証明された.最後に,ニューラルネットワークによる異常検知手法にエキスパートシステムを組み合わせた,高温ガス炉用ハイブリッド監視システムの開発について述べた.リカレントネットワークを採用することにより,比較的ゆっくりした動特性をもつ高温ガスのモデル化が可能になることがシミュレーション結果から明らかになった.


290841
JENDL FP decay data file 2000
片倉純一 ; 吉田正* ; 親松和浩* ; 橘孝博*
JAERI-1343; Jul.2001,79p.

 原子核工学分野での利用を目指してJENDL FP崩壊データファイル2000を開発した.このファイルはJENDL特殊目的データファイルの1つで,ENDF-6のフォーマットで編集されている.安定核142を含む1229の核種の崩壊形式,Q値,分岐比,β線,γ線及びα線の崩壊あたりの放出エネルギー及びスペクトルデータが収納されている.このファイルを用いた崩壊熱及びβ線やγ線のスペクトル計算は,測定値と良い一致を示し,総和計算への適用性を確認した.


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