研究開発報告書類


JAERI-Tech
2001年


290281
HTTR出力上昇試験(1)及び(2)'における放射線管理測定データ報告書
仲澤隆 ; 吉野敏明 ; 安和寿 ; 足利谷好信 ; 菊地寿樹
JAERI-Tech 2001-001; Feb.2001,101p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)は,定格熱出力30MW原子炉出口冷却材温度850℃の低濃縮二酸化ウラン被覆粒子燃料を用いた「黒鉛減速・ヘリウムガス冷却型」で日本最初の高温ガス試験研究炉として平成10年11月10日に初臨界に達し後,平成11年9月16日から平成12年7月8日の間で出力上昇試験(1)の9MW単独・並列運転を終了し,引き続き出力上昇試験(2)の単独運転による出力上昇中に自動スクラム停止した.本報告書は,今後予定している出力上昇試験及び定期自主検査作業等における放射線レベルの測定評価に役立てるため,これまで実施した出力上昇試験(1)及び(2)'において得られた放出放射線物質濃度,線量当量率などのモニタリングデータをまとめたものである.


290356
高温工学試験研究炉の燃料体からのγ線測定; 方法と結果
藤本望 ; 野尻直喜 ; 高田英治* ; 山下清信 ; 菊地孝行 ; 中川繁昭 ; 小嶋崇夫 ; 梅田政幸 ; 星野修 ; 金田誠* ; 小林正一 ; 石仙繁 ; 川崎幸三 ; 國富一彦
JAERI-Tech 2001-002; Feb.2001,64p.

 HTTRの炉心内の情報を得ることを目的として,炉心から燃料体を取り出し再装荷する過程での燃料体からのγ線の測定を行った.測定は,燃料体が通過する床上ドアバルブに設置したGM管及びCZT半導体検出器と,スタンドパイプ室に設置したエリアモニタで行い,炉内のウラン濃縮度配分の対称性を考慮して4カラムの燃料体計20体について行った.測定の結果GM管及びCZT検出器による測定では,各カラムでの軸方向の相対分布は解析とほぼ一致したが,炉心上部では解析値が高く,炉心下部では低くなった.エリアモニタによる測定でも軸方向の分布を測定することができた.さらにカラム間の比較も行った.今後は測定結果について詳細な解析・評価を行い,炉内出力密度分布等の評価精度の向上に役立てる予定である.


290282
TIG溶接法によるアルミニウム合金溶接部の欠陥低減化技術
前田彰雄 ; 大場敏弘 ; 菊池博之 ; 柴田勝之
JAERI-Tech 2001-003; Feb.2001,48p.

 アルミニウム合金は,研究炉や試験炉の構造材料として使用実績が高い.しかし,材料強度に関するデータが少なく,研究炉等における構造強度評価のために材料データ特に,溶接の強度データが必要である.そのため,母材と溶接部の諸性質を知る目的として,構造材であるA5052及びA6061について,各種の材料試験が実施された.工作課は,試験に使用する溶接継手板の製作に協力し,JIS-Z3105アルミニウム平板突合わせ溶接部の放射線透過試験の判定基準1類を満足する溶接継手板の製作を目標に,溶接施工法の検討と改良を主眼として技術検討を行った.本報告は,これらの溶接施工の問題点及び欠陥対策について,検討改良を行い,欠陥の極めて少ない溶接施工を行った技術資料としてまとめたものである.


290357
BNCT用線量評価システムに関する各国のシステム開発及び運用状況調査(委託研究)
研究炉利用課
JAERI-Tech 2001-004; Mar.2001,49p.

 現在原研では,熱外中性子によるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を実施するため,BNCT線量評価システム(JCDS)を開発している.このシステム開発にあたり,治療計画作成に必要となる機能,本システムのメリット,デメリットと今後の課題を的確に把握するため,他国のBNCT施設で使用されている線量評価システムについて,その開発,運用状況を調査した.海外の線量評価システムの特徴とその開発及び維持・運営状況と,そのシステムを利用する各BNCT施設の使用状況を報告する.また,原研の線量評価システムの特徴と現在の開発状況を報告するとともに,海外のシステムの調査結果を基とした今後の開発課題について報告する.


290358
ガス処理装置仕様
寺岡有殿 ; 吉越章隆
JAERI-Tech 2001-005; Mar.2001,45p.

 SPring-8の原研軟X線ビームラインに表面化学研究用の実験ステーションとして表面反応分析装置を設置した.表面反応分析装置では固体表面と気体分子の表面反応機構を研究することを目的としている.そのため,反応ガスをその装置に供給する必要がある.使用するガスとして,酸素等のほかに塩素と有機金属ガスを想定している.塩素には腐食性,毒性があり,有機金属ガスは可燃性であるため,安全な取り扱いと排気ガスの除害が必要である.本ガス処理装置は,おもにガス漏洩対策を施したシリンダーキャビネット,ガスミキサー,さらに,ガス除害装置,緊急除害装置から構成されている.本報告ではそれらについて仕様の詳細を述べる.


290462
表面反応分析装置仕様
寺岡有殿 ; 吉越章隆
JAERI-Tech 2001-006; Mar.2001,91p.

 SPring-8の原研軟X線ビームラインに表面化学研究用の実験ステーションとして表面反応分析装置を設置した.本装置では,固体表面と気体分子の表面反応において,入射分子の並進運動エネルギーの効果を研究することを目的としている.そのため,超音速分子線発生装置,電子エネルギー分析器,質量分析器等を用いて,おもに放射光を利用した光電子分光実験と反応性分子線散乱実験を行う.本報告では,表面反応分析装置の仕様の詳細を述べる.


290463
BWRの外部電源喪失起因の重要炉心損傷シーケンスの発生頻度へのヒューマンエラーの影響
横林正雄 ; 近藤雅明*
JAERI-Tech 2001-007; Mar.2001,90p.

 原子力発電所における運転員のヒューマンエラーは,プラントの安全性に大きな影響を及ぼす可能性があることから,確率論的安全評価(PSA)においてヒューマンエラーを考慮することは重要である.原子炉の安全系に関して想定される手動操作を抽出し,HRA手法としてよく知られているASEP法により,それらのヒューマンエラー確率(HEP)を定量化した.この定量化にはHRAを効率的に行うために主要なHRA手法を取り入れて開発した.HRA解析支援システムJASPAHRを用いた.これらのHEPを原研で実施されたBWRの外部電源喪失(LOSP)起因の事故シーケンスへ適用するとともに,感度解析を行った.その結果から,それぞれの手動操作の炉心損傷頻度(CDF)や重要シーケンスの発生頻度に対する重要性を確認した.本解析で作成された人間の介入のモデルや評価結果は今後のPSA適用研究を進めるうえでの基盤となり得るものであり,原研で進めてきたPSA研究の精度向上に役立てることができる.


290359
NUCEF分析業務報告書; 平成11年度
NUCEF管理課
JAERI-Tech 2001-008; Mar.2001,32p.

 燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)に設置された定常臨界実験装置(STACY),過渡臨界実験装置(TRACY)及び核燃料調製設備の運転にあたっては,燃料として用いるウラン硝酸溶液に関する分析結果が基本条件となる.平成11年度は,STACY及びTRACYの臨界実験前後のウラン硝酸液の性状分析,ウラン溶液燃料の調製のための分析等を行うとともに,核燃料物質の計量管理のため,計量槽に貯蔵してあるウラン溶液の分析等を行った.また,平成11年9月30日に発生したJCO臨界事故の調査支援の一環として,総核分裂数の評価のため沈殿槽に残っていた硝酸ウラニル溶液の分析等を行った.平成11年度における総分析試料数は,JCO臨界事故の調査支援のための分析を除き,351試料の分析を行った.本報告書は,平成11年度に行った分析等の業務についてまとめたものである.


290625
表面アトムプロセス評価装置の設計・製作
寺岡有殿 ; 吉越章隆
JAERI-Tech 2001-009; Mar.2001,41p.

 固体表面上で起きる化学反応を原子・分子レベルで解析することを目的として,SPring-8表面アトムプロセス評価装置を設計・製作した.本装置の目的は,反応初期の固体表面及び吸着表面の原子配列の解析並びにこれらの表面原子の持つ電子状態を走査型トンネル顕微鏡(STM)及び原子間顕微鏡(AFM)を用いて超高真空中(UHV)において原子分解能で明らかにすることである.本報告は,SPring-8表面アトムプロセス評価装置の設計・製作に関する技術情報を詳細に述べる.


290464
HTTRにおける放射線監視システム
仲澤隆 ; 菊地寿樹 ; 安和寿 ; 吉野敏明 ; 足利谷好信 ; 佐藤浩一 ; 箕輪雄資 ; 野村俊文
JAERI-Tech 2001-010; Mar.2001,125p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)は,熱出力30MWの高温ガス試験研究炉として,1998年11月10日に初臨界に達し,現在,放射線監視システムを活用して出力上昇試験における放射線管理データの測定を行っているところである.本報告書は,出力上昇試験,定期自主検査などにおける放射線管理を実施するうえで役立つように関連するHTTRの施設の概要を含めてHTTR放射線監視システムの設計方針,放射線管理設備及び放射線管理計算機システム等についてまとめたものである.


290465
Depressurization analyses of PWR station blackout with MELCOR 1.8.4
Antraiksawan, A. R.* ; 日高昭秀 ; 森山清史 ; 橋本和一郎*
JAERI-Tech 2001-011; Mar.2001,116p.

 PWRの全電源喪失事故(TMLB')では,高圧溶融物放出とそれに続く格納容器直接加熱により格納容器の健全性が脅かされることから,その防止・緩和対策として,一次系強制減圧が推奨されている.また,TMLB'では,一次冷却系ポンプのシール部が冷却不十分のために途中で破損する(ポンプシールLOCA; S3-TMLB')可能性がある.本報では,MELCOR 1.8.4コードを用いて行ったIndian Point 3号炉のTMLB'及びS3-TMLB'とその一次系減圧に関する解析結果について記述する.S3-TMLB'では,ポンプシールの破損タイミングによって事故進展が変化する.TMLB'中に加圧器逃がし弁を開放して減圧した場合の炉心損傷進展は,減圧しない時のそれとほぼ同じとなるが,安全弁も併せて開放すると,事故進展が約6000秒遅れた.


290466
JT-60Uにおける重水素デカボランを用いたボロナイゼーション
柳生純一 ; 新井貴 ; 神永敦嗣 ; 宮田克行* ; 荒井優*
JAERI-Tech 2001-012; Mar.2001,31p.

 臨界プラズマ試験装置(JT-60U)では第一壁コンディショニングとして,ボロンを第一壁に蒸着させるデカボラン(B10H14)を用いたボロナイゼーションを実施している.ボロナイゼーションは,ほかのDischarge-cleaning (DC) に比べて酸素不純物量及び水素リサイクリング量低減に有効であるが,ボロン膜中に含まれる軽水素の低減とDCグロー放電の安定化において問題があった.これらを解決するために,従来の軽水素によるデカボランに代わって重水素デカボラン(B10H14)を使用したボロナイゼーション処理技術の開発を進めた.この結果,ボロン膜中の軽水素は激減し,ボロナイゼーション直後の実験運転における調整放電の和が従来比で1/10まで削減した.また,ヘリウム雰囲気中で行えるため,DCグロー放電が安定し,ボロナイゼーションに要する処理時間が最大30時間節約でき,重水素デカボランを用いたボロナイゼーションが,非常に効率的,かつ効果的な第一壁コンディショニング手法であることを示した.


290467
高性能被覆管用材料の調査と基礎評価
井岡郁夫 ; 須賀正孝* ; 永瀬文久 ; 二川正敏 ; 木内清
JAERI-Tech 2001-013; Mar.2001,111p.

 発電炉の超高燃焼度化において,耐久性に優れた被覆管材料の開発は最重要課題である.高燃焼度用ジルカロイ被覆管の開発経緯,現用ジルカロイの事故時を含む安全性評価の考え方,超高燃焼度燃料用被覆管の候補材の一次絞り込み及び被覆管としての安全裕度の付加の観点から被覆管表面の改質技術について基礎調査を行った.ジルカロイを含むジルコニウム合金の開発経緯から,従来の耐食性模擬試験(炉外試験)ではジルカロイ合金の炉内での腐食を比較,評価することが困難であり,実環境下での被覆管の耐食性支配因子の解明と実施条件を模擬した試験技術の開発が望まれる.反応度事故(RIA)や冷却剤喪失事故(LOCA)時の観点から,重照射場・温度傾斜場での高温水腐食によるジルコニウム合金の脆化は高燃焼度化の支配因子と考えられる.超高燃焼度燃料用被覆管の候補材としては,実用性の高い耐食金属材料の調査,基礎評価をもとに,今後の開発・改良が見込まれる安定オーステナイトステンレス鋼と中低温で水素固溶限が大きく,耐食性の改善が期待されるニオブ合金を選定した.


290468
動力試験炉の遠隔解体作業から得られた知見(受託研究)
立花光夫 ; 白石邦生 ; 柳原敏
JAERI-Tech 2001-014; Mar.2001,42p.

 動力試験炉(JPDR)の解体実地試験では,遠隔解体装置の実証と作業に関する各種データを収集することを目的に解体作業を行った.そこで,作業の内容を分析し,これらの知見を安全性の考慮に関するもの,廃棄物対策に関するもの,作業の効率化に関するものに分類・整理した.例えば,作業の効率化には,施設に関する情報が重要であること,遠隔解体装置の作業手順の検討や問題の解決にはモックアップ試験が有効であることなどの知見が得られた.これらの知見は,ほかの廃止措置作業をより安全で効率的に実施するために有効と考えられる.本報告書は,JPDRの解体作業に開発した遠隔解体装置を適用する際の主な対策,その結果,解体作業を通して得られた知見をまとめたものである.


290469
ファントム内の2次元熱中性子束の分布測定と線量分布特性評価
山本和喜 ; 熊田博明 ; 鳥居義也 ; 岸敏明 ; 堀口洋二
JAERI-Tech 2001-015; Mar.2001,43p.

 BNCTにおける頭部照射を模擬することを目的に,水ファントム内の2次元熱中性子束分布をJRR-4中性子ビームに対して測定した.熱中性子束の2次元分布測定には金線を用い,これを相互遮蔽効果を避けるために30度ごとにスポーク状に配置した.データの処理には2次元ラグランジュ補間(半径方向,角度)を用いて行った.ファントム内の照射野にVoidを含んでいる場合,深部方向の線量改善に優れた効果があることがわかった.その反面,Void周りに円環状のピーク部分を持った歪んだ分布となっていることがわかった.これらの結果を用いて,BNCT時の線量評価を行い,コリメータの効果,Voidの効果などの線量コントロールについて議論し,照射時間コントロールを加えることで中性子のコントロールができることを示した.


290470
JRR-4即発γ線分析装置によるBNCT用血液サンプルのホウ素濃度測定
山本和喜 ; 岸敏明 ; 堀直彦 ; 熊田博明 ; 鳥居義也 ; 堀口洋二
JAERI-Tech 2001-016; Mar.2001,34p.

 BNCTにおいて,効果的な線量を与えるためには,患部内のホウ素濃度を正確かつ迅速に測定することが必要とされている.即発γ線分布装置は10B濃度測定に対し,高感度,前処理不要などの利点があり,本報告は,JRR-4に新設された即発γ線分析装置を用いたホウ素濃度の測定方法について報告する.ボロンのピークは一般に見られるガウス分布の形をとらない.これは10B(n,α)反応で生成された7Li核が高速運動中にγ線を放出するため,ドップラー効果により真のγ線エネルギーよりずれた波長を伴う.このドップラーピークの関係形態を明らかにするとともに,スペクトルデータより非線型最小二乗法を用いてフィッティングするプログラムの開発を行った.本方法で検証された検量線を用いて実際のBNCTが行われた.


290471
腫瘍細胞を用いたJRR-4中性子ビームの評価(協力研究)
山本和喜 ; 山本哲哉* ; 熊田博明 ; 鳥居義也 ; 岸敏明 ; 松村明* ; 能勢忠男* ; 堀口洋二
JAERI-Tech 2001-017; Mar.2001,38p.

 中性子ビーム線質の効果を観察するために,筑波大学と協力して,放射線感受性の異なる2種類のガン細胞を用いた細胞照射実験を実施した.使用したファントムは,円筒型のもので,内部に水を満たすことができるものである.培養した細胞懸濁液をウェルプレートに充填し,各モードで同じフルエンスになるよう照射を行った.結果,BSHを含んだ場合,最低生存率が0.001程度まで下がることがわかった.また,熱外中性子ビームが示すフラックス分布に比例し,深さ約2cmのところに最低生存率を示すこともわかった.線量単位についての考察から,熱外混合中性子ビームに対して従来から行ってきたホウ素+窒素線量を用いて整理,評価を行っても,十分対応可能であることを示した.


290472
RI・研究所等廃棄物の浅地中処分施設の概念設計
坂井章浩 ; 吉森道郎 ; 大越実 ; 山本忠利 ; 阿部昌義
JAERI-Tech 2001-018; Mar.2001,88p.

 RI・研究所等廃棄物は放射性同位元素(以下,RI)使用施設及び原子力研究開発機関から発生している.将来における円滑なRI等の利用及び研究開発を図るためには,RI・研究所等廃棄物を安全かつ合理的に処理処分することが必須の課題となっている.本報は,RI・研究所等廃棄物事業推進準備会における技術的事項の検討を支援するため,コンクリートピット型処分施設及び簡易型処分施設の概念設計を実施した結果についてとりまとめたものである.概念設計を実施するに当たっては,将来の処分施設の立地条件として,内陸部で地下水位が低い場所,内陸部で地下水位が高い場所及び海岸部の3種類の立地条件を想定した.また,その概念設計結果を基に,安全性及び経済性の評価を実施した.その結果,コンクリートピット型処分については,いずれのサイト条件においても,ベントナイト混合土層等の適切な遮水バリアを設けることによって,同等の安全性が確保できる見通しが得られた.簡易型処分施設については,地下水面よりも上に処分施設を設置することにより,各サイトにおける安全評価結果に有意な差がなかった.また,処分施設の建設にかかわる経済性については,処分施設の設置深度に依存する割合が大きいことがわかった.


290473
JT-60ペレット入射装置のためのペレット切断装置の開発
平塚一 ; 市毛尚志 ; 木津要 ; 岩橋孝明* ; 本田正男 ; 加藤敦史*
JAERI-Tech 2001-019; Mar.2001,39p.

 JT-60Uでは,プラズマの高密度長時間維持を目的に重水素ペレット(固体燃料)を連続的に入射するペレット入射装置の開発を進めている.ペレット入射装置は,立方体のペレットを生成して直線型アウターロータに供給し,それを遠心加速方式により高速で加速するものである.ペレット入射装置の高性能化を図るために立方体のペレットを繰り返し切断できる固体燃料切断装置を開発した.固体燃料切断装置は,高真空,低温下で生成された固体重水素を立方体のペレットに切断し,加速部に装填する機能を有している.単体試験の結果,気密性1×10-8Pam3/s以下,作動時間3ms以下,周期〜20Hz,ストローク2.5mmの性能を満足した.この固体燃料装填装置をペレット入射装置に組み込み試験を行った結果,周波数10Hz,速度690m/s,入射時間3.5sの性能を得た.


290523
有用金属捕集材実海域試験海上装置の製作と設置
長谷川伸 ; 瀬古典明 ; 田畑幸吉* ; 玉田正男 ; 片貝秋雄 ; 笠井昇 ; 渡邊勉 ; 川端幸哉* ; 縄田孝高 ; 須郷高信
JAERI-Tech 2001-020; Mar.2001,126p.

 放射線グラフト重合法を利用し,不織布へアミドキシム基を導入した繊維状の溶融金属捕集材を開発した.この捕集材を用い,有用金属の捕集性能を実海域にて評価するため,実海域試験装置の設計・製作を進め,平成11年9月末に設置を完了した.今回,これら試験装置の海上設備の設計,製作,設置について報告する.


290474
被覆管特性評価用高温水中腐食試験装置の開発,1
猪原康人* ; 井岡郁夫 ; 深谷清 ; 橘勝美 ; 鈴木富男 ; 木内清 ; 黒田雄二* ; 宮本智司*
JAERI-Tech 2001-021; Mar.2001,22p.

 発電炉の高度化に対応できる耐久性に優れた被覆管の開発には,被覆管が置かれる高温かつ温度傾斜をもった重照射場環境における腐食現象の解明と抑制が不可欠である.本研究では,現用材や開発材の高温水中での腐食挙動の解明と,今後のホットセル試験に必要な腐食試験技術開発のために,超臨界水仕様の高温水ループ腐食試験装置を製作した.本装置は,実際の被覆管の表面温度を超える450℃,圧力25MPaまでの超臨界水域における浸漬腐食試験や伝熱面腐食試験が可能である.本装置の特長は,一対のサファイア製観察窓を設置することにより,試験片表面のその場観察が可能なことである.小型高温水ループにおける長時間腐食試験では,各試験条件における制御安定性が求められるが,温度,圧力及び溶存酸素濃度が数%以下の変動範囲で制御できることを確認した.


290475
Development of the centrifugal pellet injector for JT-60U
木津要 ; 平塚一 ; 市毛尚志 ; 岩橋孝明* ; 笹島唯之 ; 正木圭 ; 佐々木昇* ; 本田正男 ; 宮直之 ; 細金延幸
JAERI-Tech 2001-022; Mar.2001,20p.

 JT-60Uプラズマ中心への燃料供給のために重水素固体ペレット入射装置を開発した.本装置は直線型のロッドを回転させ遠心力によってペレットを加速する機構となっており,0.3〜1.0km/sの速度で最大40個(1〜10Hz)で射出可能である.0.7km/s以下の速度でのペレット1個あたりの平均的な原子数は3.6×1020個である.加速中にペレットからの昇華ガスにより,ペレットの運動が乱されるのを防ぐために加速部品にメッシュ構造を取り入れ,また射出されたペレットを破壊せずにプラズマまで導くために適切な角度を持ったファンネル(テーパー管)を発したことにより,破壊なく高い確率でのペレット入射が可能となった.オーム加熱(OH)プラズマへの低磁場側からのペレット入射実験を行ったところ,ガスパフに比べて中心領域に供給が行えること,ダイバーター領域のDα発光強度も小さく押さえられ低リサイクリングを維持していることを確認した.


290476
使用済燃料の溶解と溶解液の調製法の選定(受託研究)
本岡隆文 ; 寺門正吾 ; 高野利夫 ; 浜田省三 ; 木内清
JAERI-Tech 2001-023; Mar.2001,29p.

 ピュレックス法を採用する六ヶ所再処理施設において耐硝酸性が重要となる主要機器の耐食安全性の評価試験として,実機規模の構造体を用いた小型モックアップ試験と小型試験片を用いて捕捉データを取得する実験室規模の比較試験を実施している.溶解槽材料の寿命評価では,高濃度のTRU,RFを含む強放射性の硝酸溶液を試験液として扱うため,燃料溶解液に対するモックアップ試験液の模擬性が重要である.本研究では,伝熱面腐食等の評価に必要なホット試験技術開発を実施した.六ヶ所再処理施設の受入基準最大の高燃焼度の使用済燃料を想定して,使用済燃料の溶解及び腐食試験液の調製等の各プロセスを選定した.選定したプロセスをもとにして,WASTEFのNo.3セルにおいて,使用済燃料の硝酸溶液溶解試験を行い,その溶解液を耐食性評価試験に必要な腐食試験に調製した.


290477
アルミニウム被覆カドミウム薄肉円筒中性子吸収体の製作
武山友憲 ; 千葉雅昭 ; 磯崎太* ; 雨澤博男 ; 板橋行夫 ; 菊地泰二 ; 小田部芳清* ; 平田雄二* ; 高勇 ; 大場敏弘
JAERI-Tech 2001-024; Mar.2001,32p.

 中性子スペクトル調整型キャプセルの製作にあたり,試料に高速中性子のみを照射する目的で,熱中性子吸収材であるカドミウムのアルミニウム被覆密封薄肉円筒を製作した.核設計,熱設計上からの要求は,カドミウムの肉厚5.5mm,内径23mm,全長750mm,アルミニウム被覆肉厚0.7mmであり,カドミウムの表面に酸化膜があってはならない,アルミニウム被覆は全面においてカドミウムと密着していることであった.この仕様を満足するため鋳造によって製作した.酸化を防止するためとカドミウムは特定化学物質であるため,真空溶液鋳造装置を製作して鋳造を行った.


290360
大型槽類遠隔解体装置のモックアップ試験(受託研究)
明道栄人 ; 岡根章五 ; 宮島和俊
JAERI-Tech 2001-025; Mar.2001,59p.

 再処理特別研究棟(JRTF)では,Purex法により発生した廃液を施設内の大型槽LV-3,4,5,6に貯留し,平成8年度までにその処理を終了した.これらの大型槽の解体にあたっては,大型槽がTRU核種に汚染しており,配管が密集した状態であるため,作業者の被ばく低減,安全性及び効率を図る必要がある.そのためJRTFでは,切断,回収等の複数の機能を備えた遠隔解体装置を製作した.製作した遠隔解体装置を用いて,模擬槽を対象に配管及び槽本体の切断性,切断片の回収性等を検討評価するモックアップ試験を実施した.その結果,性能,遠隔操作性を確認するとともに,取得した作業効率等のデータから,大型槽の解体手順を評価することにより,本装置が解体実地試験に適用できる見通しを得た.本報では,モックアップ試験結果及び得られた知見,評価結果等について報告する.


290524
軟X線絶対光子束測定用多段式イオンチェンバーの設計・製作
吉越章隆 ; 寺岡有殿
JAERI-Tech 2001-026; Mar.2001,17p.

 SPring-8の原研専用軟X線ビームライン(BL23SU)で得られる約500eVから1500eVのエネルギー領域における軟X線の絶対光子束を測定することを目的として,多段式イオンチェンバーを設計・製作し,実際に光子束を測定することに成功した.この多段式イオンチェンバー本体の設計及び製作に関して詳細に報告する.


290478
A Design stufy of hydrogen isotope separation system for ITER-FEAT
岩井保則 ; 山西敏彦 ; 西正孝
JAERI-Tech 2001-027; Mar.2001,29p.

 核融合実験炉ITER-FEAT設計作業の一環として,先に設計されたITERの規模縮小に基づく処理流量の減少に対応した水素同位体分離システム(ISS)の概念設計の予備的検討を行った.ISSには三種類のガス流が供給され,深冷蒸留法により高純度トリチウムガス流,高純度重水素ガス流及び軽水素ガス流が生み出される.本報ではシステムの簡略化とITER-FEATの運転シナリオを考慮し,4塔からなる独自の塔構成にISSを提案した.ISS内の最大トリチウムインベントリーについては,運転条件に対応して定まるペレット用のトリチウム濃縮流の検討の進展による低減の可能性を見いだした.また現状の塔構成では環境に排出する軽水素排ガス中のトリチウム濃度がISS運転中に加わるわずかな流量変動によって容易に変動する可能性を指摘し,この流れに対する2塔システムの対策を提案した.


290626
IFMIF用高輝度イオン源の開発と初期実験結果
伊賀尚* ; 奥村義和 ; 柏木美恵子*
JAERI-Tech 2001-028; May 2001,16p.

 原研では40MeV,250mAの重陽子ビームを発生する施設であるIFMIF(International Fusion Materials Irradiation Facility)用の高輝度イオン源の開発を進めている.このほど,熱陰極式の第1号機を開発し,ITS-2テストスタンドにおいて60keVまでのビーム光学を調べた.このイオン源は多極磁場型プラズマ源と4枚電極からなる2段加速系の引出し部から構成されている.イオンビームの等価質量を2.38(プロトン比30%)と仮定したビーム軌道計算結果は実験結果とよく一致した.最適パービアンス条件で得られたイオンビーム60keV/100mA H+は100keV/220mA H+(155mA D+)に相当し,ビーム光学を良好に保ったままIFMIF用イオン源の仕様を満足する大電流イオンビーム引出しの見通しを得た.


290525
照射済燃料からの放射性物質放出(VEGA)実験装置の運転・保守要領書
林田烈* ; 日高昭秀 ; 中村武彦 ; 工藤保 ; 大友隆 ; 上塚寛
JAERI-Tech 2001-029; Mar.2001,161p.

 照射済燃料からの放射性物質放出(VEGA)実験計画は,原子炉のシビアアクシデント時のソースタームに関する予測精度をさらに向上させることを主目的として,1999年9月から本実験を開始した.これまでに3回のホット実験を行い,いずれもおおむね成功裡に終了したが,いくつかの問題点も明らかになった.特に,装置の試運転を兼ねた第1回目のVEGA-1実験では,高熱・溶融による流路閉塞やヒータ故障があったため,不良箇所の改造や設計変更等を行い,装置の改善を図った.また,装置は小さいながらも複雑な構造をしており,適切な運転を行うためには装置を熟知する必要がある.このため,装置の改良点を確認し,装置の運転・保守に対する考え方を新たにする必要がある.本報は,VEGA実験について,装置の概要,実験の流れ,運転及び保守の要領をまとめたものである.


290479
核融合研究開発の波及効果
波及効果調査委員会
JAERI-Tech 2001-030; Mar.2001,35p.

 核融合研究は,物理学,電磁力学,熱力学,機械工学,電気・電子工学,材料工学,伝熱流動・熱工学,核工学,低温工学,化学工学,制御工学,計測工学,真空工学など,極めて広い学問分野に基礎をおき,核融合装置はそれらの先端技術の集積により構成されている.このため,核融合装置を構成する要素機器の開発に伴い個々の技術分野が進歩するだけでなく,分野間の相互刺激が科学技術全体のポテンシャルを高めることにも寄与している.その成果がもたらす波及効果は,半導体産業,大型精密機械加工などの一般民生用技術ばかりでなく,加速器技術,超伝導利用技術,計測診断技術,プラズマ応用技術,耐熱・耐重照射材料技術,真空技術,計算機シミュレーション技術など,物理,宇宙,材料,医学,通信,環境など,ほかの分野の先端技術開発や基礎科学研究の発展に多大の貢献を果たしている.本報告では,これらの波及効果の現状を,(1)実用化技術,(2)利用可能技術,及び(3)共通技術,の3つに分類し,他分野への応用の可能性を含め,核融合開発に携わる研究者の視点から取り纏めた.


290526
硝化溶媒と硝酸との熱分解反応に関わる安全性評価試験(受託研究)
塚本導雄 ; 高田準一 ; 小池忠雄 ; 渡邊浩二* ; 宮田定次郎* ; 西尾軍治* ; 村田幹生* ; 内山軍蔵
JAERI-Tech 2001-031; Mar.2001,47p.

 再処理溶媒(溶媒)と硝酸との異常化学反応に起因した爆発は,再処理施設のDBAに選定されている.そこで,原研では爆発がプルトニウム濃縮缶で起きた場合を想定し,セル換気系の安全性とHEPAフィルタの健全性が確保できることを実証するため,溶媒と硝酸とを反応容器に貯え,密封し,種々の加熱条件下で生成した硝化溶媒(TBP錯体等)を急激に熱分解させて,爆発を誘起させるニトロ化溶媒爆発試験を実施した.試験の結果,以下に述べる知見を得た.硝化溶媒の熱分解により溶媒1kgが噴出して爆発を起こした場合,実験的方法により導出した最大質量放出速度と最大エネルギー速度は,0.59[kg/s]と3240.3[kJ/kg・s]である.この爆発による波及がセル換気系に与える影響は小さく,HEPAフィルムの健全性が確保できることを実証した.


290527
連続水素製造試験装置(毎時50NL規模)の安全対策
小貫薫 ; 秋野詔夫 ; 清水三郎 ; 中島隼人 ; 東俊一 ; 久保真治
JAERI-Tech 2001-032; Mar.2001,63p.

 熱化学水素製造法ISプロセスでは,硫酸,ヨウ素,ヨウ化水素酸等の有害な薬品を使用するため,試験研究の実施に際しては安全性に対する配慮が重要である.そこで,ISプロセスの閉サイクル運転制御方法に関する研究を行うことを目的とする水素発生量毎時50NL規模の連続水素製造試験装置の製作にあたり,その設計製作仕様から装置を用いた試験内容に関して,安全性確保の観点から検討を行った.特に,連続水素製造試験装置は主要材料にガラスを用いているため装置破損防止対策及び地震等の異常時の評価と安全対策に重点をおいた.本報告書はそれらの検討結果を取りまとめたものである.


290627
多段積層ゴム・空気ばねタイプ3次元機器免震試験システムの振動台試験及び地震応答解析
堤英明* ; 山田博幸 ; 蛯沢勝三 ; 柴田勝之 ; 藤本滋*
JAERI-Tech 2001-033; Jun.2001,124p.

 日本原子力研究所では,1991年より原子力機器の免震技術を導入した場合の有効性評価に関する研究に着手し,機器免震の有効性評価手法及び評価コード(EBISA: Equipment Base Isolation System Analysis)を開発した.さらに,上記評価コードを高度化するために,1996年より機器免震試験システムの動的挙動を把握するとともに,有効性を検証するための確証試験を実施している.有効性確証試験では,特性の異なる2種類の3次元機器免震試験システムを製作し,特性試験によりそれぞれの動的特性と免震効果を検証している.上記試験システムの1台は,免震装置としてボールベアリングと空気ばねを用いたもので,現在大洗研究所敷地内のテストベッドに設置し,自然地震動下で応答を観測しており,いくつかの地震動により顕著な免震効果を確認した.また,ほかの1台は,免震装置として多段積層ゴムとコイルばねを用いたもので,3次元連成振動の影響と免震効果を確認するために種々の周波数特性の地震動による振動台試験を実施した.本報告書は,多段積層ゴム・コイルばねタイプ3次元免震システムの概要,振動特性,振動台試験及び地震応答解析結果についてまとめたものである.


290628
風洞及び野外拡散試験から求めた放出源有効高さ
林隆 ; 茅野政道 ; 山澤弘実 ; 永井晴康 ; 森内茂* ; 石川裕彦* ; 安達隆史* ; 小島啓美* ; 岡野博* ; 小田川文明* ; 大場良二* ; 岡林一木*
JAERI-Tech 2001-034; Jun.2001,137p.

 基本拡散式(ガウスプルーム式)を用いて,風上平地から放出され筑波山塊に移流拡散したガス濃度を計算するために,放出源の有効高さを野外拡散試験と風洞試験から求めた.この放出源有効高さを用いて行う濃度計算の評価法の妥当性について検討した.


290629
ITER真空隔壁用SUS316L溶接継ぎ手の機械的特性,2; 中性子照射試験及び照射後試験
斎藤滋 ; 深谷清 ; 石山新太郎 ; 雨澤博男 ; 米川実 ; 高田文樹 ; 加藤佳明 ; 武田卓士 ; 高橋弘行* ; 小泉興一
JAERI-Tech 2001-035; Jun.2001,81p.

 国際熱核融合実験炉(ITER)の真空容器は,炉心の中心構造体としてブランケット,ダイバータ等の炉内機器を支持し,超高真空を保持するなどの機能が求められている.また,トリチウム閉じ込めの第一隔壁として安全設計上最も重要な機器と位置づけられている.しかし二重壁という特殊な構造のため,健全性の評価にあたっては従来の規格・基準が適用できない部分がある.原研では,このような特殊な構造に適用できる設計の基準案の整備とそれを裏付ける技術データの取得作業を行っている.本報告書ではそれらの中の一つである,溶接継ぎ手の中性子照射効果を明らかにするため,JMTRを用いてSUS316L母材及び溶接継ぎ手(TIG,TIG+MAG及びEB溶接)の中性子照射試験及び引張り試験やシャルピー衝撃試験などの照射後試験を行い,材料の機械的特性に与える照射の影響を調べた.


290750
地震情報緊急伝達システムの研究開発
地震情報伝達研究特別チーム
JAERI-Tech 2001-036; Jun.2001,294p.

 平成7年1月の阪神・淡路大震災を契機に,科技庁は,総合的地震調査研究を推進するため,「地震総合フロンティア研究」開始した.この一環として,原研はリアルタイム地震情報研究を9年度から開始した.この震災の経験をもとに大地震発生直後に正確かつ迅速な地震情報の伝達の重要性が認識され,この背景から,原研では,「地震情報緊急伝達システムの研究開発」を4年計画で進めた.本報告書は,「地震情報緊急伝達システム」の成果をまとめたものである.地震情報緊急伝達システムの開発では,最新の地震工学の知見を反映した震源・地震動パラメータの推定手法開発を行うとともにこの手法や最新の通信・情報伝達技術を反映したシステム造りを進めた.システム開発は,地震情報に一方向で伝達する基本システムと災害情報センターとユーザサイトで構成され,双方向情報伝達が可能な地震防災システムの概念構築とプロトタイプシステム開発に分けて行った.現在,基本システムを試験的に運用しており,地震発生時には,数分以内に震源・地震動パラメータを電子メール及びホームページにより発信している.また,応用システムの開発では,防災システムの概念を構築するとともにプロトタイプシステムを完成するとともに,東海村を対象にしたデモを行い良好な結果を得ている.


290630
機器免震有効性評価における地震応答解析手法の検討
森和成* ; 堤英明* ; 山田博幸 ; 蛯沢勝三 ; 柴田勝之
JAERI-Tech 2001-037; Jun.2001,85p.

 免震技術は一般構造物と同様に原子炉機器の耐震設計においても,機器に作用する地震力を低減する有効な手段として期待されている.原研では,1991年より原子力機器の免震化に関する研究に着手し,確率論に基づく機器免震の有効性評価手法及び評価コード(EBISA: Equipment Base Isolation SystemAnalysis)を開発した.さらに,上記評価コードを高度化するために,1996年より機器免震システムの動的挙動を把握するとともに,有効性を検証するための確証試験を実施している.上記有効性評価手法においては,詳細法を用いて機器の現実的応答を求め,機器の応答と損傷限界から損傷頻度を算定し,非免震機器と比較して有効性を評価する.詳細法は,対象サイトにおいて想定される種々の入力地震動に対して,地盤・建屋・機器の非線形挙動やそれらの物性値あるいは振動特性等のばらつきを考慮して機器の現実的応答を求めるものである.したがって,損傷頻度を精度良く評価するためには,地盤・建屋・機器の地震応答解析手法の選定と,解析モデル及びばらつきを含めた解析条件の設定方法が重要である.また一方で,計算の効率化を図るために,地震応答解析において考慮すべきばらつきの要因を絞り込む必要がある.本報告は,機器免震有効性評価手法において地盤・建屋・機器の地震応答解析で用いる解析手法や解析モデルについておもに精度の面から妥当性を検討するとともに,地盤物性や建屋の振動特性等について応答のばらつきに大きな影響を及ぼす要因についてまとめたものである.


290631
水中断熱構造の検討
斉藤和男* ; 楠剛 ; 石田紀久
JAERI-Tech 2001-038; Jun.2001,100p.

 改良舶用炉MRX及び深海調査船用原子炉DRXでは,水を張った原子炉格納容器内に原子炉容器や配管を設置する.これら原子炉容器や配管の内部流体は運転時には高温となるため,格納容器に張った水とは断熱して,熱の放散を防ぐ必要がある.一般のプラントにおける大気中の保温と比べて,水中での断熱方法はいまだ確立された技術とはいえない.配管の水中断熱について,従来方式である二重管とする方法以外の方法について検討し,蒸気層と耐熱プラスチック,ポリイミドを用いた断熱構造を試設計した.また,断熱の成立性を簡便なモデルにより確認した.


290632
舶用原子炉(MRX,DRX)蒸気発生器伝熱管の簡易流力振動評価
斉藤和男* ; 石田紀久
JAERI-Tech 2001-039; Jun.2001,25p.

 大型船舶用原子炉MRX及び深海調査船用原子炉DRXにおいては,蒸気発生器を原子炉容器に内装する一体型構造を採用している.蒸気発生器はヘリカルコイル貫流型であり,多数のコイル(伝熱管)が,炉心を内包する原子炉容器内筒を取り巻くようにアニュラー空間内に設置されている.この伝熱管の管外流及び管内流により発生すると予想される流力振動を簡易計算により評価し,支持点ピッチの妥当性を検討した.


290751
MRX原子炉容器内装型制御棒駆動装置の高温水中軸受の開発
布川浩* ; 頼経勉 ; 今吉祥* ; 笠原芳幸* ; 落合政昭 ; 石田紀久
JAERI-Tech 2001-040; Jun.2001,115p.

 改良舶用炉MRXで採用している原子炉容器内装型制御棒駆動装置の重要な要素技術の一つである高温水中軸受の開発を完了した.本報告書は,軸受けの開発の成果として軸受材料の調査検討から始まって,オートクレーブによる材料浸漬試験,小型試験片での各種転がり摩耗試験,そして,実機軸受による高温水中耐久試験についてまとめたものである.実機高温水中軸受の材料としては,内外輪にステライトNo.1,玉にサーメット,保持器にグラファイトを用いた組み合わせが有望であることがわかった.


290752
燃焼履歴が使用済燃料の反応度に及ぼす影響
林高史* ; 須山賢也 ; 望月弘樹* ; 野村靖
JAERI-Tech 2001-041; Jun.2001,158p.

 使用済燃料中の核種組成は,燃焼期間中のさまざまなパラメーターの変化に影響を受けることが知られている.本研究ではこれらのパラメーターのうち,これまで詳細に検討されていないホウ素濃度,ホウ素濃度変化,冷却材温度,冷却剤温度分布,比出力,運転パターン,定期検査の時間に着目し,これらのパラメーターを現実的に考えられる変動幅で変化させた場合の,使用済燃料の組成の違いを統合化燃焼計算コードSWATで計算した.次にこの組成の違いが中性子増倍率におよぼす影響を調べるために,使用済燃料の無限配列を想定して汎用核計算コードSRAC95または連続エネルギー中性粒子輸送計算コードMVPを用いて臨界計算を行い,中性子増倍率を求めた.本報告ではこの計算結果を,中性子増倍率を高く評価するパラメーターは何か,という視点で整理した.これは燃焼度クレジットを導入する際の燃焼計算の計算条件の選定に有用な情報を与えること考えられる.


290753
高エネルギー陽子加速器施設の遮へい設計計算のための線量換算係数
坂本幸夫 ; 山口恭弘
JAERI-Tech 2001-042; Jun.2001,29p.

 国際放射線防護委員会(ICRP)1990年勧告(ICRP Publication 60)の放射線障害防止法等の国内制度への取り入れにより,遮へい壁等の設計の際に評価すべき量が,従来の1センチメートル線量当量から実効線量に変更された.加速器施設の遮へい計算に用いる線量換算係数として,20MeV以下の中性子に対してICRP Publication 74に基づく前方(AP)照射条件の値が放射線障害防止法等の告示別表に示されているが,20MeV以上の中性子に対する値は示されていない.そこで,20MeV以上の中性子に対する線量換算係数の現状を調査するとともに,陽子加速器施設の遮へい体後方の典型的な中性子スペクトルを用いて線量率を試算し,幾つかの線量換算係数を用いた場合の実効線量率等を調べた.この検討結果を基に,陽子加速器施設の遮へい設計計算用の線量換算係数として,20MeV以上の中性子に対してはHEREMESコードシステムによるAP照射条件での実効線量への換算係数を推奨し,熱エネルギーから2GeVまでの中性子77群構造の線量換算係数を作成した.


290847
SPring-8原研軟X線ビームラインBL23SUのH12年運転・整備録
安居院あかね ; 吉越章隆 ; 中谷健 ; 斎藤祐児 ; 寺岡有殿 ; 横谷明徳
JAERI-Tech 2001-043; Jul.2001,64p.

 SPring-8の原研軟X線ビームラインBL23SUは1996年から建設が本格的に始められた.1999年後半に入り,各実験ステーションがビームラインに設置され始めるとともに,測定方法の開発の一つとして,挿入光源の周期的連続位相駆動による偏光の切り替え実験が試みられた.本報告では,2000年に行われた挿入光源,分光器,制御システム等のビームラインの整備・調整に関して,SPring-8の運転スケジュールに沿ってまとめる.


290754
Analytical study of narrow channel flow for a spallation target system design
Islam, M. S.* ; 寺田敦彦* ; 木下秀孝 ; 日野竜太郎 ; 門出政則*
JAERI-Tech 2001-044; Jul.2001,49p.

 十分に発達した乱流域での水の熱伝達と圧力損失特性について高さ1.2mmの狭隘矩形流路内で2次元的に解析を行った.流路形状や流動条件は核破砕ターゲットシステムにおける陽子ビーム窓や固体ターゲット模擬した.解析は高レイノルズ数モデルの標準k-εモデルとRNG k-εモデルを用い,壁関数を利用してレイノルズ数(Re)が7,000〜22,000の範囲で行った.熱伝達特性に関しては標準k-εモデルで得られたヌセルト数がDittus-Boelterの式とよく一致した.しかし,摩擦係数に関してはリブのついた管における値を再現しなかった.また,二つの乱流モデルで計算される摩擦係数に大きな違いはなく,ブラジウスの式の値とよく一致した.


290848
原子動力海中航行船及び搭載超小型原子炉の概念検討
楠剛 ; 高橋照雄* ; 西村一* ; 徳永三伍* ; 小田野直光 ; 頼経勉 ; 石田紀久
JAERI-Tech 2001-045; Jul.2001,68p.

 海洋調査への原子力利用の拡大を目的として,潜航深度600m級の海中航行観測船の概念検討ならびに同船に搭載する超小型原子炉の概念検討を行った.海中航行観測船は,地球の環境変動を予測するための環境変動メカニズム解明の研究に用いられる.本船の主な活動域は,地球環境変動の大きな影響があるにもかかわらず,通常の船舶が活動し難い北極海及び高緯度の荒天海域である.観測活動の要求に基づき,海中航行観測船の基本性能を,船体規模500ton級,潜水深度600m,最大船速12ノット(約22.2km/h),乗員数16名とした.また,動力源への要求を明らかにした.原子動力は海中で長期間にわたり大出力を供給できる点で優れている.海中航行観測船の概念検討を通じて得られた動力源への要求に基づき,500kWの電気出力を供給するために,小型,軽量で安全性に優れた超小型原子炉SCR2基を調査船に搭載することとした.


290849
直流アーク放電型プラズマ中性化セルの開発
柏木美恵子* ; 奥村義和 ; 花田磨砂也 ; 森下卓俊* ; 渡邊和弘 ; 折田善崇* ; 堀池寛* ; 井門俊治*
JAERI-Tech 2001-046; Jun.2001,19p.

 負イオンビームを用いた中性粒子入射装置の高効率化にために,中性化効率が60%である現在のガス中性化セルに対し80%以上となるプラズマ中性化セルの開発が重要である.本研究ではプラズマ中性化セルの実現に向けて,アーク放電型の円筒形多極磁場型大容量プラズマ源(長さ2000mm×直径600mm)を設計製作し,プラズマ生成実験を行った.プラズマの閉じ込め性能比較のために小型の円筒形プラズマ源での試験も実施した.その結果,閉じ込め性能の高いプラズマ源では低ガス圧で電離度の高いプラズマが得られることが確認され数値解析による傾向と一致した.さらに高電離プラズマ生成を目指してアルゴンプラズマ生成実験を行い,中性化実験に必要な電離度(10%)とプラズマ線密度(4.5×1015cm-2)を得た.また,アークパワー30kW,0.027Paにおいて17%の電離度を得た.


290850
Basic characteristics examination of DIS (Direct Ion Storage) dosimeter
Dung, N. P.* ; 村山卓 ; 尾辻勝洋* ; 小畑一一 ; 村上博幸
JAERI-Tech 2001-047; Jul.2001,28p.

 RADOS Technology社により製造されたDIS線量計の特性試験を行った.試験は,DIS線量計の均一性,フェーディング特性,線量直線性及び種々の光子エネルギーに対するエネルギー特性,方向特性について行った.照射には,国家標準とのトレーサビリティが確保されている放射線標準施設棟のX線発生装置,γ線照射装置を用いた.測定した線量は,個人線量当量,Hp(10),Hp(0.07)である.特性試験の結果は,個人及び環境モニタリングのためのTLD国際規格(CEI/IEC 1066)を満足しており,DIS線量計は,正式な個人線量測定システムとして適用できることがわかった.


290755
個人外部線量測定用蛍光ガラス線量計の基本特性,平成12年度
伊藤精 ; 白石明美 ; 村上博幸
JAERI-Tech 2001-048; Jul.2001,20p.

 日本原子力研究所は,放射線業務従事者の被ばく線量を測定するための個人線量計として,原研創立以来使用してきたフィルムバッジに替えて,蛍光ガラス線量計を使用することとし,平成12年度より導入した.蛍光ガラス線量計の使用開始に先がけて,同線量計による測定評価の信頼性を確認するために,個人線量計としての基本的特性,即ち,線量直線性,エネルギー特性,方向特性,異種の放射線の混合照射時の測定性能,経時変化特性等についての試験を行った.この結果,蛍光ガラス線量計は,上記項目のすべてに対して実用上十分な特性を有することが確認された.本報は,この試験で得られた蛍光ガラス線量計の基本特性を纏めたものである.


290851
原子動力海中航行観測船の運航条件及び運航システムの検討; 海洋調査への超小型炉の活用検討ワーキンググループ報告
浦環* ; 賞雅寛而* ; 西村一* ; 青木太郎* ; 上野道雄* ; 前田俊夫* ; 中村溶透* ; 島津俊介* ; 徳永三伍* ; 柴田陽三* ; 外川織彦 ; 石田紀久 ; 島崎潤也* ; 小田野直光 ; 高橋照雄* ; 楠剛 ; 頼経勉
JAERI-Tech 2001-049; Jul.2001,154p.

 原研では,改良舶用炉の設計研究の一環として,北極海を主な調査海域とする原子動力海中航行観測船の検討及び搭載する超小型原子炉SCRの検討を行っている.本報告書は,船体設計,音響測位,船体運動,海洋調査等の専門家による原子動力海中航行観測船の運航条件及び運航システムの検討結果を示したものである.わが国の潜水船の船体運動に関する設計条件を調査するとともに,北極海における調査活動を想定して水中航行時及び水上航行時の船体運動を推定した.また,想定した船体運動が超小型原子炉SCRの出力に与える影響を評価した.運航システムとしては氷の下での活動を想定して,海底トランスポンダ方式及び氷上通信ブイ方式による測位及び通信方法を検討し,トランスポンダまたは通信ブイの設置間隔を130kmと定めた.また,船体及び原子炉の事故事象を整理して,安全確保の方法を検討した.これらの検討は原子動力海中航行船の概念に反映され,今後の検討課題が明らかとなった.


290852
HTTR(高温工学試験研究炉)の1次加圧水冷却器伝熱管の非破壊検査に対する自動探傷システムの適用(共同研究)
竹田武司 ; 古澤孝之 ; 宮本智司*
JAERI-Tech 2001-050; Jul.2001,37p.

 HTTR(高温工学試験研究炉)の1次加圧水冷却器(PPWC)伝熱管は,1次冷却材圧力バウンダリを形成しており,安全上重要である.PPWC伝熱管の探傷試験技術を確立するため,渦流探傷試験(ECT)用ボビン型プローブ,回転型及び超音波探傷試験(UT)用回転型プローブを用いた自動探傷システムを開発した.本システムを用いて,HTTRの原子炉停止期間(報告時点における最高到達原子炉出力は約55%)において68本(抜取率50%)のPPWC伝熱管の非破壊検査を実施した.その結果,ECTにおける信号/ノイズ比の最大値は1.8であり,当該PPWC伝熱管で得られたリサージュ波形の軌跡及び位相は,模擬欠陥試験体に対して得られた結果と異なった.さらに,UTにおけるエコ−振幅はいずれの検査部位も20%距離振幅校正曲線を下回った.ゆえに,検査したPPWC伝熱管にプローブの検出指標を超える深さの外面欠陥は無いことが確認できた.


290853
冷減速材用プレモデレータの熱流動及び構造強度予備解析
麻生智一 ; 神永雅紀 ; 寺田敦彦* ; 日野竜太郎
JAERI-Tech 2001-051; Aug.2001,22p.

 原研で開発を進めているMW規模の核破砕ターゲットシステムでは,中性子性能の向上を目指して,液体水素冷減速材の周りには薄肉構造のアルミ合金製の軽水冷却型プレモデレータを設置する.このプレモデレータは,核破砕中性子源となるターゲット間近に設置する必要があり,核発熱を効果的に除去するために流れの停滞等のない平滑な軽水循環が不可欠である.また,軽水内圧に対して薄肉構造の健全性を確保する必要がある.予備的な熱流動解析を行った結果,円滑な流動を実現して,内部での軽水温度上昇を1℃以下に抑制できる見通しを得た.これにより,所定の中性子性能を確保できるものと考えられる.また,構造健全性については,構造強度解析結果をもとにして,アルミ合金の許容応力条件を満たすための方策を提案した.


290854
核破砕水銀ターゲットループの過渡解析
木下秀孝 ; 神永雅紀 ; 日野竜太郎
JAERI-Tech 2001-052; Aug.2001,41p.

 核破砕水銀ターゲットシステムの設計では安全保護系の概念構築が急務である.水銀ループのFMEAでは,強制流動喪失と冷却材流出がターゲットの熱除去性能を著しく損なうことを示している.そこで,RELAP5を用いて強制流動喪失と冷却材流出時の過渡解析を行った.強制流動喪失時には,流動している水銀の持つ慣性力が大きく過大な温度上昇は起きないことがわかった.冷却材流出時には,圧力変動等が起こるが,極端な温度上昇等,重大事故に至るような挙動は見られなかった.今回の解析をもとにした安全保護系の設計を行うとともに,水銀システムの合理化を図っていく予定である.


290855
位置検出型核分裂計数管の開発と中性子空間分布計測試験
山岸秀志 ; 曽山和彦 ; 角田恒巳 ; 落合政昭 ; 岩村公道 ; 最首貞典* ; 浦上正雄* ; 増田尚宏* ; 山内祐樹* ; 大谷順一* ; 丁塚輝雄*
JAERI-Tech 2001-053; Aug.2001,19p.

 高中性子束かつ高γ線下で使用可能な位置検出型核分裂計数管(PSFC)と中性子分布計測システムの開発を進めている.今回,有感長1000mmを有するPSFCを試作し,その出力信号特性の詳細と中性子空間分布の計測試験を実施した.この結果,PSFCは,特殊電極構造で製作されているにもかかわらず,一般の有感長200mm程度の核分裂計数管と比較して,同等以上の出力信号特性を有していることを確認できた.また,PSFCによりグラファイトパイル側壁の中性子空間分布をリアルタイムで計測できることを確認できた.本開発試験により,ソレノイド電極構造のPSFCの実現性を実証でき,また,PSFCが中性子分布計測用として,極めて有効であることを証明できた.


290945
Variation of radiological consequences under various weather conditions
Liu, X.* ; 本間俊充
JAERI-Tech 2001-054; Aug.2001,49p.

 確率論的安全評価のレベル3計算においては,事故影響の完全なスペクトラムを予測するために気象シーケンスを決めるための層別サンプリング法が広く用いられている.気象ビン分類で用いる指標に対応した事故影響の変化の一般的な知見を得るために,さまざまな気象ビンに対する広範な計算を行った.この研究の結果から,放出時最初の気象条件の他に,例えば気象パラメータの時間積分のような事故影響結果に影響を与える因子があることが示唆された.層別サンプリング法における気象シーケンスのグループ化規準の選定には改善の余地がある.


290856
燃焼度クレジット導入ガイド原案(受託研究)
燃料サイクル安全研究委員会
JAERI-Tech 2001-055; Jul.2001,92p.

 使用済燃料を取り扱う施設の臨界安全管理に対して,燃焼度クレジットを採用することが検討されている.本資料は,今後国内の使用済燃料を取り扱う施設において燃焼度クレジットを採用することを目的として,使用済燃料の同位体組成と臨界性の予測に関する技術的現状,安全評価上考慮すべき点,そして規制に関する現状をまとめたものである.


290946
JT-60電源を用いたITER中心ソレノイドモデルコイルのパルス通電試験寺
門恒久 ; 岡野潤 ; 島田勝弘 ; 三浦友史 ; 山下睦樹* ; 松川誠 ; 細金延幸 ; 辻博史 ; 安藤俊就* ; 高橋良和 ; 中嶋秀夫 ; 加藤崇 ; 檜山忠雄 ; 杉本誠 ; 礒野高明 ; 河野勝己 ; 小泉徳潔 ; 濱田一弥 ; 布谷嘉彦 ; 松井邦浩
JAERI-Tech 2001-056; Aug.2001,24p.

 国際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動の一つとして,中心ソレノイド(CS)モデルコイルの開発が,日本,欧州連合,ロシア及び米国の共同で1992年から開始された.CSモデルコイルの通電試験は,日本原子力研究所那珂研究所の試験設備を用いて,国際共同実験チームにより行われた.通電試験には,直流通電試験とパルス通電試験があり,このうち直流通電試験は超電導磁石研究室の低電圧電源を用いた.一方,パルス通電にはJT-60のポロイダル磁場コイル電源を使用した.本レポートは,このパルス通電を行うために実施したJT-60ポロイダル磁場コイル電源の改造や,制御特性改善のためのリアルタ イム制御手法の改良,及び得られた試験結果について報告する.


290947
平成12年度におけるSTACYの運転記録; 2基の平板型炉心タンクと10%濃縮硝酸ウラニル水溶液を用いた中性子相互干渉体系の実験,2(受託研究)
小野寺清二 ; 広瀬秀幸 ; 井澤一彦 ; 谷野秀一 ; 神永城太* ; 桜庭耕一 ; 宮内正勝 ; 外池幸太郎 ; 三好慶典 ; 柳澤宏司 ; 大野秋男
JAERI-Tech 2001-057; Sep.2001,54p.

 NUCEF(燃料サイクル安全工学研究施設)のSTACY(定常臨界実験装置)では,平成11年度に引続き,中性子相互干渉体系の臨界実験を行った.この実験では,2基の平板型炉心タンクと10%濃縮硝酸ウラニル水溶液を用いた.炉心タンクの寸法は,厚さ35cm,幅70cm,高さ150cmである.平成12年度には,2基の炉心タンクの間に設置したコンクリート,ポリエチレンの中性子隔離材やハフニウム,カドミウムの中性子吸収材による反応度効果を測定した.本報告書は,平成12年度に実施した計57回の実験に関する運転管理及び燃料管理データをまとめたものである.


291077
原子炉の廃止措置における残存放射能評価方法の検討(受託研究)
助川武則 ; 畠山睦夫 ; 柳原敏
JAERI-Tech 2001-058; Sep.2001,81p.

 原子炉に残存する放射化放射能は,基本的には中性子輸送コード及び放射化計算コードにより求めることが可能であるが,原子炉の複雑な構造等,諸々の問題を考慮した場合,測定値で確認する必要がある.そこで,放射化放射能の評価方法について,JPDRを対象とした評価で採用した計算と測定の方法やその結果を分析することで検討した.その結果,炉内構造物等では比較的精度良く計算でき(約2倍),生体遮蔽体では2〜10倍程度の誤差があったが,水分量や背筋割合が計算値に強く影響することがわかった.原子炉圧力容器母材や生体遮蔽体表面部の詳細な測定結果は,放射化計算の手法を検討する有効なデータとなった.また,試料採取法による放射能測定や線量当量率の測定が計算値の検討に有効であり,複雑形状の構造物,生体遮蔽体の深部等では計算値の補正に役立った.全体として,計算値と測定値を組み合わせることによって施設全体の放射能濃度分布を精度良く決定できることが判明した.


290948
超音波式肉厚自動測定装置の製作
大場敏弘 ; 柳原隆夫 ; 加藤千明 ; 浜田省三
JAERI-Tech 2001-059; Sep.2001,36p.

 原研では,文部科学省からの受託研究として「再処理施設新材料耐食安全性実証試験」を実施してきた.この試験においては,六ヶ所再処理施設の主要機器の一つである酸回収蒸発缶の小型モックアップ試験体を用いた実証試験を進めてきた.この試験体の一部である伝熱管及び短い管材を用いた実験室規模の伝熱面腐食試験片に対して,それらの内表面の腐食減肉を知るために,伝熱管の肉厚を非破壊・高精度で測定できる超音波式肉厚自動測定装置を製作した.この装置は,超音波測定器にパソコン制御方式を組合わせることにより自動的に肉厚を測定・記録できるものである.製作した装置で得られた肉厚の値は,光学顕微鏡で測定した肉厚と非常に良い一致を示し,本装置の測定精度のよいことが確認された.


291078
原子力施設解体におけるエアロゾル飛散挙動の研究(受託研究)
島田太郎 ; 立花光夫 ; 柳原敏
JAERI-Tech 2001-060; Sep.2001,44p.

 原子力施設解体時のエアロゾルの飛散挙動を評価するため,グリーンハウス内でプラズマアーク切断を行い,グリーンハウス内の空気及び高温ガス流れを可視化するとともに,グリーンハウス内温度分布の時間変化,排気の温度変化,エアロゾル個数密度及び粒子径分布を測定した.その結果,切断中は,エアロゾルの飛散挙動は浮力によって上昇する高温ガスの流れと一致することが明らかになった.切断後は,高温ガスによる流れは消滅し,温度成層が形成されて高温ガスの速度が低下するため,エアロゾルは沈降する傾向にあったが,床面近傍に到達すると吸排気によって形成される床面に沿った比較的速い流れに乗って再び浮遊することがわかった.


291079
リブ付き狭隘矩形流路における限界熱流束,1; 実験装置と予備実験
木下秀孝 ; 寺田敦彦* ; 神永雅紀 ; 日野竜太郎
JAERI-Tech 2001-061; Oct.2001,43p.

 陽子ビーム窓やセーフティハルの構造設計では,冷却水量を低減して中性子吸収量を抑制する観点から,低流速の狭隘流路構造とする必要がある.低流速で高熱伝達率を維持するために,製作性の良い2次元リブ付き流路に着目して,安全性にかかわる限界熱流束(CHF)を調べる実験に着手した.本報では,従来のリブ付き流路における熱伝達特性をまとめ,さらに,実験装置の概要と予備実験の結果を報告する.予備実験では,リブのない流路に対して壁面摩擦係数は約3倍,熱伝達率については約2倍の値を得,限界熱流束は従来のモデルとほぼ同一の値を示した.


291080
海水中有用金属捕集材実海域試験で捕集した有用金属の輸送
武田隼人* ; 大沼謙二* ; 玉田正男 ; 笠井昇 ; 片貝秋雄 ; 長谷川伸 ; 瀬古典明 ; 川端幸哉* ; 須郷高信
JAERI-Tech 2001-062; Oct.2001,66p.

 放射線グラフト重合法によって合成した金属捕集材の実海域での適応性を調査検証するため,海水中に極低濃度で溶存するウラン,バナジウム等の有用金属の捕集試験をむつ事業所沖合いの実海域で実施している.捕集材から溶離した有用金属はキレート樹脂に再吸着して分離・精製施設に輸送して精製した.キレート樹脂はPVC製の樹脂筒に収納しさらにステンレススチール製の輸送容器に収納してトラックで専用積載として輸送した.本試験で取り扱うウランの量は,1回の試験当り150g(1.92MBq)以下としたので,ウランの濃度は最大で60Bq/gであり,取り扱い量も濃度も法規制の対象外である.したがって,輸送も一般の物質として行うことができるが,自主的にL型輸送物に準拠して輸送することにした.L型輸送物は法令上輸送容器に関する構造強度上の要求はないが,輸送に当って安全を期すため上位輸送区分であるIP-2型相当の強度を有することをあらかじめ解析評価して,通常の取扱い条件において輸送容器の健全性を確保できることを確認した.また,輸送に当っては,あらかじめ輸送計画書を作成し,これに従って実施した.


291081
酸回収蒸発缶試験体における伝熱管の破壊試験(受託研究)
浜田省三 ; 深谷清* ; 加藤千明 ; 柳原隆夫 ; 土井正充* ; 木内清
JAERI-Tech 2001-063; Oct.2001,49p.

 原研では六ヶ所再処理施設の主要機器の一部である酸回収蒸発缶及び溶解槽に関して,長時間使用における耐食安全性に対する評価を行うために,平成7年度からそれぞれの小型モックアップ試験体を用いた実証試験を実施した.酸回収蒸発缶の小型モックアップ試験体については約2.5年(約20,000時間)の実証試験を完了した.試験終了後酸回収蒸発缶モックアップ試験体の加熱部にある7本の伝熱管のうち4本を加熱部から引抜き,このうちの1本に対して,伝熱管内面の腐食状況の直接観察のほか,機械的特性を評価するために破壊試験を実施した.その結果,伝熱管の内表面では粒界腐食が進行しているが,その粒界侵食深さは一結晶粒程度の統計分布を有していることが確認された.また,本伝熱管の機械的特性に変化を及ぼすような材質変化は生じていないことが確認された.


300008
国際熱核融合実験炉(ITER)における高面圧型免震要素の特性評価研究; 小中規模免震要素試験(委託研究)
高橋弘行* ; 中平昌隆 ; 矢花修一* ; 松田昭博* ; 大鳥靖樹*
JAERI-Tech 2001-064; Nov.2001,111p.

 国際熱核融合実験炉(ITER)では,建屋基礎盤の面積に比して支持重量が大きく,また配置性の観点から免震要素の個数が制限されるため,7.35MPa〜14.7MPa程度の面圧の「高面圧型免震要素」の使用が検討されている.これまでも,原子力施設への免震導入に関して,2.45MPa〜4.90MPa程度の面圧を中心に数多くの研究が行われてきたため,高面圧型免震要素に対する設計用のデータは十分に整っているとは言えない.このため,使用される高面圧条件下における積層ゴムの種々の力学特性・強度特性を評価し,設計用データの蓄積を図る必要がある.平成9年度から平成11年度にわたり高面圧型免震要素の特性評価研究として,小中規模の免震要素を中心に試験を実施した.本研究ではこの成果をまとめて報告する.


300009
有用金属捕集材実海域試験における海上設備の漂流防止対策; 海上設備位置監視装置と測定精度の向上
玉田正男 ; 笠井昇 ; 瀬古典明 ; 長谷川伸 ; 川端幸哉* ; 大沼謙二* ; 武田隼人* ; 片貝秋雄 ; 須郷高信
JAERI-Tech 2001-065; Nov.2001,39p.

 有用金属捕集材の性能評価のために設置した実海域試験装置の海上設備の安全に配慮するため,その位置を監視する装置を設計・製作した.位置監視装置は海上設備の浮体である鋼管フレームに取付け,その測位情報をGPSにより取得したのち,衛星通信回線を経て,むつ事業所及び高崎へ送信することにより,位置をモニターできるようにした.位置監視装置は損傷を避けるため,捕集材の引上・浸漬作業の終了後,鋼管フレームのコーナー上方に設置した.実海域での20日間の特性試験で,2時間毎に262データを取得し,9回の誤信号が発生した.実測精度は,223.7mであった.測位精度を向上させるため,位置監視装置用ファームウェアの改良を行った.測位分解能を0.001°から0.00001°とするとともに,定時刻に連続5回の測位を行い緯度・経度毎に5回の測位結果から最大値,最小値を除いた計3回の測位結果を平均化することとした.この変更にともない,標体のサイズを大きくして電池容量を大きくし,ファームウエアの作動を可能にした.改良により,誤信号は計測されなくなり,測位の平均値は6.74mまで向上し,鋼管フレームの測位をおこなうことにより,事前に漂流などを阻止可能なレベルに達した.


291082
Design of in-vessel neutron monitor using micro fission chambers for ITER
西谷健夫 ; 海老澤克之* ; Walker, C.* ; 河西敏
JAERI-Tech 2001-066; Oct.2001,57p.

 マイクロフィッションチェンバーを用いた,コンパクトITER(ITER-FEAT)用中性子モニターの設計を行った.中性子モンテカルロコードMCNP-4bを用いて,マイクロフィッションチェンバーの応答を計算し,マイクロフィッションチェンバーを取付けるための最適な位置を決定した.その結果,外側上部及び下部の遮蔽ブランケットモジュールの裏面にマイクロフィッションチェンバーを取付け,その出力の平均を取ることによって,プラズマ位置や中性子発生分布の変化の影響を受けずに中性子発生量を測定できることを明らかにした.またγ線等によるノイズを評価するために,235Uを含むマイクロフィッションチェンバーと核分裂物質を含まないダミーチェンバーを併せてブランケット裏面に取付けることとした.信号処理ではパルス計数方式とキャンベル方式を併用することによって,ITERの要求仕様である7桁のダイナミックレンジと1msの時間分解能を達成できることを示した.また1011n/sの強度中性子発生装置を真空容器内で移動させることにより,マイクロフィッションチェンバーのその場較正試験が可能であることを,MCNP計算により示した.最終的に,この中性子モニターはITERの要求精度10%を満足するものである.


300010
多重Oリング装着によるヘリウムガスの透過漏洩抑制
大場敏弘 ; 菊地泰二 ; 高勇;磯崎太* ; 千葉雅昭 ; 石川和義 ; 井上広己* ; 照沼勲* ; 沢辺正樹* ; 津田和美* ; 武山友憲
JAERI-Tech 2001-067; Nov.2001,29p.

 原子力関連機器の気密漏洩検査としてヘリウム漏洩検査が行われているが,この検査においては検査箇所の気密を維持するためにシール用ガスケットとしてゴム製のOリングが使用される.一方,ヘリウムは透過性が強いため該Oリングをも透過漏洩し,漏洩検査時にこのヘリウムが検出され検査が阻害される問題がある.この問題を回避するためにOリングを2重に装着してヘリウムをシールする方法を考案し,ヘリウム透過漏洩量の時間変化の測定試験を行った.この結果,2重に装着したOリング間の空間の存在がOリングを透過して漏洩するヘリウムを抑制するうえで極めて有効であることが確認された.


300011
原子力船エンジニアリング・シミュレーション・システムの改良; ハードウェア更新と一体型炉シミュレータのインターフェース改良
高橋博樹 ; 狩野忠* ; 高橋照雄* ; 京谷正彦 ; 島崎潤也*
JAERI-Tech 2001-068; Oct.2001,78p.

 原研は,将来の原子力船の動力源として,軽量・コンパクトで受動的安全設備を備えた一体型炉(改良舶用炉)について設計研究を実施し,工学設計を完了した.この一体型炉の設計性能及び運転性能を確認するとともに,一体型炉の運転操作の自動化研究に使用するために,一体型炉シミュレータを開発した.これは,今後,革新的小型炉等の研究開発にも利用が可能である.しかしながら研究開発に利用するにあたって,ハードウェアの性能向上及びソフトウェアのヒューマン・マシン・インターフェース向上が必要となり,ハードウェアの更新とソフトウェアの改良を行った.これにより,一体型炉シミュレータの操作性が向上した.また,市販のハードウェア及びソフトウェアを使用して,システムの改良を行ったことにより,汎用性が向上したとともに,保守性,拡張性及び移植性が向上した.本報告書は,一体型炉シミュレータのハードウェア更新及びインターフェース改良について,ヒューマン・マシン・インターフェース向上の内容を重点に報告する.


291083
JMTR改良LEU炉心の核的な照射場特性の評価; 炉心中性子束分布及び中性子スペクトルのLEU炉心との比較
長尾美春 ; 竹本紀之 ; 武田卓士
JAERI-Tech 2001-069; Oct.2001,83p.

 JMTRでは,第142運転サイクル(2001年11月)から,炉心構成を従来のLEU炉心(LEU燃料を27本装荷した炉心)から改良LEU炉心(LEU燃料を29本装荷した炉心)に変更する.そこで,この炉心構成の変更が照射試験に対して及ぼす影響を検討するため,照射場の核的な特性について連続エネルギーモンテカルロコードMCNPにより解析を行った.その結果,燃料領域において高速中性子束は従来のLEU炉心とほぼ同じであること,熱中性子束は燃料領域で数%増加すること,中性子スペクトルは大きな相違がないことを確認した.また,第144運転サイクルからは運転日数が増加することに伴い,1サイクルあたりの中性子照射量は10数%増加する.


300012
積層圧電アクチュエータバルブの開発
三代康彦 ; 平塚一 ; 増井浩史* ; 細金延幸 ; 宮直之
JAERI-Tech 2001-070; Nov.2001,33p.

 臨界プラズマ試験装置JT-60で使用するガス注入弁を更新するため,新規にバルブの開発を行った.従来のガス注入弁は,1985年4月の実験運転開始から用いられており,バルブの駆動源である圧電素子の老朽化によって,注入弁としての性能を維持することが出来なくなっている.JT-60ではこれまでもガス注入弁の試作開発を実施してきており,今回の開発においては,これまでの経験を生かし,(1) シートリークを起こしにくい構造であること,(2)大気側に調整機構を持ち,系内を大気開放せずに調整・修復することができること,(3)従来のものと比較し,小型,軽量であること,(4)市販品の圧電アクチュエータと駆動電源を用いることにより保守性を向上させること等を目的とした.開発されたガス注入弁について,流量特性,磁場中における影響,周囲温度による影響,ガス注入量の経時的変化について試験を実施した結果,JT-60の使用環境に適合したガス注入弁であることを確認した.


300013
NUCEF分析業務報告書; 平成12年度
田上隆広 ; 軍司一彦 ; 芳賀孝久* ; 深谷洋行 ; 薗田暁 ; 坂爪克則 ; 新妻泰 ; 宮内正勝 ; 白橋浩一 ; 佐藤猛
JAERI-Tech 2001-071; Nov.2001,30p.

 燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の分析設備においては,定常臨界実験装置(STACY),過渡臨界実験装置(TRACY)及び核燃料調製設備の運転にあたって,溶液燃料(硝酸ウラニル溶液)に関する分析を実施している.平成12年度は,STACY及びTRACYにおける臨界実験前後の硝酸ウラニル溶液の性状分析,硝酸ウラニル溶液燃料調製のための分析等を行うとともに,核燃料物質の計量管理のため,計量槽に貯蔵してある硝酸ウラニル溶液の分析等を行った.また,平成12年度にNUCEFへMOX燃料が搬入され,プルトニウム(Pu)溶液燃料調製に向けたPu予備試験が開始されたことに伴い,当該予備試験にかかわる分析を行った.平成12年度における総分析試料数は,483試料であった.本報告書は,平成12年度に行った分析等の業務についてまとめたものである.


300014
逆動特性法を用いた大きな負の反応度測定法の開発
高橋広幸 ; 竹内光男 ; 村山洋二
JAERI-Tech 2001-072; Nov.2001,58p.

 逆動特性法(IKRD法)による大きな負の反応度の測定は,所定の原子炉出力の臨界状態から深い未臨界状態までの炉内平均中性子数の時間変化を測定することにより算出する方法である.中性子数の測定は,遅れ応答のないパルス信号または電流信号に変換する中性子検出器を用いて行う.電流信号出力の中性子検出器を用いる計測系の場合は,中性子数変化が3桁以上と広範囲な計測が必要となるため,信号の増幅に対数増幅器を用いることから対数増幅器の遅れ応答特性が測定結果に影響を及ぼすこととなる.そこで,逆動特性法を用いた測定手法の対数増幅器の遅れ応答特性による影響の修正法を新たに開発し,JRR-3Mシリサイド燃料初装荷炉心の特性試験時の計測記録を用いて,測定手法の妥当性及び測定精度向上の確認を行った結果,精度良く測定できることが明かになった.


300015
JT-60U用負イオンNBI装置の建設
河合視己人 ; 秋野昇 ; 海老沢昇 ; 本田敦 ; 伊藤孝雄 ; 椛澤稔 ; 栗山正明 ; 藻垣和彦 ; 大賀徳道 ; 大原比呂志 ; 奥村義和 ; 佐藤藤雄* ; 薄井勝富 ; 山本正弘 ; 渡邊和弘
JAERI-Tech 2001-073; Nov.2001,98p.

 JT-60U用負イオンNBI装置(N-NBI)は,世界初の負イオン源を用いた高エネルギー中性粒子入射加熱装置で,JT-60Uにおけるプラズマ中心部の高密度領域でのビーム電流駆動と加熱の実験を行うことを目的に,1996年3月に完成した.N-NBIは,イオン源2台,ビームライン1基,イオン源用電源,その他の設備から構成され,装置の建設終了後,イオン源や電源の調整試験や改良を行いながら初期プラズマ加熱実験を行った.1997年9月より本格的加熱実験を開始し,ビーム性能向上のための試験を行いながら,現在までに最大400keV,5.8MWの重水素ビームのプラズマへの入射を達成した.現在もビームエネルギー,及び入射パワーの増大のために各種改良を加えながら入射実験を行っている.


300016
ORIGEN2によるPWR燃料燃焼計算結果に適用する核種組成補正因子の導出
須山賢也 ; 村崎穣* ; 望月祐志* ; 野村靖
JAERI-Tech 2001-074; Nov.2001,119p.

 臨界安全評価上保守的な使用済燃料核種組成を簡便に与えることを目的として,ORIGEN2による燃焼計算結果に適用する核種組成補正因子をもとめ,その保守性をMVPを用いた臨界計算によって確認した.この補正因子の算出のため,使用済燃料同位体組成測定結果の解析をORIGEN2によって行った.そして,その計算結果から得られた測定値に対する計算値の比(C/E値)の最大あるいは最小値を補正因子として与えた.求められた補正因子は使用済燃料とORIGEN2ライブラリの組み合わせごとに与えられる.得られた補正因子は,従来の臨界安全ハンドブックにおいて与えられていた推奨核種組成の再定義と考えられるものである.


300136
大強度陽子加速器計画物質・生命科学実験施設内の陽子ビームライントンネル技術課題の検討
坂元眞一* ; 明午伸一郎 ; 今野力 ; 原田正英* ; 三宅康博* ; 春日井好己 ; 武藤豪* ; 藤森寛* ; 小野武博* ; 池田裕二郎
JAERI-Tech 2001-075; Dec.2001,168p.

 大強度陽子加速器計画の中で重要な施設である物質・生命科学実験施設に共存するミュオンターゲットと核破砕中性子源の設計では,いかに上流に置かれるミュオン標的で生ずるビームロスによる影響を低減できるかが課題である.本レポートは,1年間かけて検討してきた技術課題の定量評価とその対応の仕方について得られた結果をまとめたものである.


300137
多孔体に相変化物質を含浸させた複合蓄熱体の温度特性に関する研究; セラミックス及び金属多孔体を用いた場合(協力研究)
椎名保顕 ; 小牧克哉* ; 田中学* ; 菱田誠*
JAERI-Tech 2001-076; Nov.2001,49p.

 高熱伝導率の多孔体に相変化物質を含浸させ,実効熱伝導率を向上させた潜熱蓄熱体により,熱伝達流体の温度変動を効果的に吸収することができる.これを用いると,高温ガス炉に接続された熱利用系の安全性を高めることができるのみならず,一般産業においても,一定温度の安定した熱源を作ることができるなど,多方面に利用することができる.多孔体にはセラミックスとしてジルコニア(ZrO2,気孔率45.3%),金属としてニッケル・クロム(92.6%)及びニッケル(95.3%)を用い,それらにパルミチン酸を含浸させた複合蓄熱体を製作し,温度変動実験及び数値解析を行うことにより,複合蓄熱体の空間的・時間的温度変動を調べた.その結果,セラミックスを用いた複合蓄熱体に対して,金属多孔体を用いた複合蓄熱体は,内部温度の均一性が高いこと,長時間相変化温度に保持されることが示された.この理由は,金属多孔体を用いた複合蓄熱体は,気孔率が非常に高いにもかかわらず実効熱伝導率が高くなること,高い気孔率のために多量の相変化物質を含浸できるためであると結論できる.数値解析結果は実験結果と比較的良く一致した.さらに精度を上げるためには,気孔率の高い複合蓄熱体の物性値評価の精度向上,相変化物質の融解・凝固特性の正確な把握等が必要であることが示された.これらから,セラミックス多孔体より,金属多孔体を用いた方が温度吸収に用いる潜熱蓄熱体として有効であることが明らかになった.


300138
高温ガス炉システムの安全機能に関する検討(受託研究)
西原哲夫 ; 武藤康 ; 内田正治* ; 吉岡直樹*
JAERI-Tech 2001-077; Dec.2001,44p.

 本報告書は原研が文部科学省の委託を受け,平成8年度から平成12年度にかけて実施した「高温発電システムのフィージビリティスタディ」の中から,需要地近接立地を念頭においた安全目標の設定,並びに,経済性向上のための安全設備の合理化に関する検討結果を纏めたものである.高温ガス炉システムの安全目標として,許容被ばく線量は軽水炉に適用される値を用いることとしたが,設計基準事象及び設計基準外事象として考慮する事象の発生頻度を軽水炉より低く設定し,安全余裕を大きくとることとした.安全評価事象に関しては,高温ガス炉ガスタービン発電システムを対象として代表的な起因事象及び原子炉を安全に停止させるための保護動作を適切に設定してイベントシーケンスを展開し,起因事象及び保護動作に確率論的考えを導入して設計基準事象及び設計基準外事象を摘出した.そして,高温ガス炉の特徴である大きな安全余裕を考慮することにより,軽水炉で要求されているいくつかの安全設備を合理化しても,安全目標を満足できることを明らかにした.最後に,安全機能の重要度,各設備の機器種別の設定を行った.


300139
超臨界水冷却固体増殖ブランケットシステムの概念検討
榎枝幹男 ; 小原祥裕 ; ;秋場真人 ; 佐藤聡 ; 秦野歳久 ; 古作泰雄 ; 黒田敏公* ; 菊池茂人* ; 柳義彦* ; 小西哲之 ; 飛田健次 ; 西尾敏 ; 柴沼清 ; 中村博文 ; 河村繕範 ; 河村弘 ; 石塚悦男 ; 土谷邦彦 ; 中道勝 ; 實川資朗 ; 多田栄介 ; 岡野邦彦* ; 朝岡善幸*
JAERI-Tech 2001-078; Dec.2001,120p.

 本報告書は,経済的競争力の強化と技術的な堅実さの維持を両立する原型炉ブランケットの概念構築を目的として行われた平成12年度の原型炉ブランケット設計会議での作業内容をとりまとめたものである.平成11年度の核融合会議戦略検討分科会の議論等から,原型炉の果たすべき使命に関して見直しがなされ,経済的な競合性を有する実用炉の原型であり,それと同じ材料と設計を使用して商業的に魅力ある動力炉の原型であるから,原型炉で,実用化に必要な技術はすべて開発し実証する,と結論付けられた.この見直しを受けて,過去数年にわたるプラズマ研究や炉工学技術開発の進展を勘案して,開発目標として再設定をし,原型炉としてA-SSTRで提案された超臨界水冷却方式の固体増殖ブランケットを目標とし,その概念検討を行った.本概念検討の結果,除熱,発電,燃料増殖,遮蔽などの基本的な性能に関して,超臨界水冷却固体増殖ブランケットの実現可能性が示された.また,電磁力に関する検討,超臨界水による腐食防止に関する予備調査,トリチウム生成挙動と回収方式の検討,冷却発電システムの検討,モジュール製作性の検討,遠隔保守着脱機構,交換計画の検討などを行い,今後解決するべき検討課題を明らかにした.


300140
ステンレス鋼における表面酸化皮膜の微細構造観察に関する検討
根本義之* ; 三輪幸夫 ; 塚田隆 ; 菊地正彦 ; 辻宏和
JAERI-Tech 2001-079; Dec.2001,25p.

 現在,軽水炉の高経年化との関連において重要な検討課題とされているオーステナイト・ステンレス鋼の照射誘起応力腐食割れ(IASCC: Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking)の基礎的な研究のため,表面酸化皮膜の解析技術の検討及び解析を行った.酸化皮膜の微細構造観察用の薄膜試料の作製を集束イオンビーム加工法(FIB: Focused Ion Beam)によって行い,加工の際の表面酸化皮膜の保護方法などについて検討した.断面観察用試料作製時の酸化皮膜の保護方法として,Ni(ニッケル)メッキとCu(銅)メッキの比較を行った.その結果,表面酸化皮膜が合金から剥離せず,破壊されない状態で観察可能な薄膜試料にまで仕上げる方法を得た.またその方法によって試料を作製し,SUS304及びSUS304Si(シリコン)添加材の表面に288℃,飽和溶存酸素濃度の高温高圧水中で生成させた酸化皮膜の断面の微細構造観察及び化学組成分析を行った.酸化皮膜は厚いところで約1μmの厚さで,酸化スケールは直径約100nm程度の微細なFe(鉄)酸化物の析出物で構成されていた.また合金素地との境界には厚さ10nm程度のCr(クロム)酸化物の不動態皮膜が生成していた.


300141
IASCC照射試験のための水環境制御装置に関する設計検討
菅野勝 ; 鍋谷栄昭 ; 森雄一郎* ; 松井義典 ; 飛田正浩* ; 井手広史 ; 板橋行夫 ; 小森芳廣 ; 塚田隆 ; 辻宏和
JAERI-Tech 2001-080; Dec.2001,57p.

 高経年軽水炉の信頼性,安全性を確保するうえで,炉内構造物に発生するおそれのある照射誘起応力腐食割れ(IASCC)は,重要かつ緊急な検討課題とされており,このための材料照射研究が計画されている.このために,軽水炉(BWR)の炉内環境を模擬した照射試験を行うことができる高度材料環境照射装置をJMTRに設置するための設計検討を進めている.高度材料環境照射装置は,照射試験片を収納し炉内に装荷される飽和温度キャプセル,飽和温度キャプセルに高温高圧水を供給する水環境制御装置から構成される.本報告は,このうち,水質制御機能を備えた水環境制御装置に関し,各構成機器の仕様・性能等,主に,1999年に行った設計検討の結果をまとめたものである.


300142
3GeVシンクロトロン用セラミックビームダクトの真円度・真直度計測
西澤代治* ; 金正倫計 ; 金澤謙一郎* ; 久保富夫* ; 佐藤吉博* ; 齊藤芳男*
JAERI-Tech 2001-081; Dec.2001,117p.

 大強度陽子加速器施設3GeVシンクロトロンでは,大口径(φ200〜φ250)の円筒状セラミックビームダクトを採用する.特に偏向電磁石部には長尺(約3500mm)のダクトを必要とするが,これは長さ500mm程度のユニットダクトを金属接合して製作するため,真円度と真直度を把握して接合面積の確保,ダクトの軸ズレの極小化を計ることが非常に重要となる.われわれは大口径セラミックダクト用の真円度・真直度計測器を製作するとともに,その計測法,Excelを用いたデータ解析法を確立した.そして3種類7本の供試体を用い世界に先駆けて真円度・真直度データを取得し,真円度数百μmかつ真直度0.2〜1mm程度以内の精度でユニットダクトを製作できること,真直度はダクト長とともに悪化すること,真円度は扁平率に正比例して増大することなどを明らかにした.


300143
Development of magnetic j×B sensor
河西敏 ; 中山尚英* ; 石塚悦男
JAERI-Tech 2001-082; Dec.2001,23p.

 改良型j×B磁場計測センサーを設計,製作した.その基本構造は,以前開発したセンサーと同じであるが,使用したロードセル(ロードセルとセンサービームから構成)とセンシングコイルの材質には,中性子照射に耐えるものを採用した.センサー出力の温度によるドリフトを少なくするため,電気的特性,幾何学的大きさが同じ歪ゲージ2枚を一組として,センサービームの表と裏にアルミナ溶射により張り付けてロードセルを製作した.この4枚の歪ゲージがホイートストンブリッジを構成するように接続して温度による出力のドリフト低減をはかった.特性試験の結果,以下のことがわかった.j×B磁場計測センサーに使用するロードセル出力の零ドリフトを以前開発したものに比べ,約1/20に減らすことができた.ロードセル出力の温度依存性は小さいが,荷重に対するロードセル出力及びセンサー感度は非直線性を示した.j×B磁場計測センサー感度の最小2乗フィッティングラインからのずれは,高磁場側で7%以下であった.センサーの中性子照射試験からは,中性子照射量が1.8〜2.8×1023n/m2のとき,感度は高磁場側では約30%減少することがわかった.照射中も感度に非直線性が観測された.


300286
高温工学試験研究炉の高温照射試験取扱設備(使用済燃料検査室(I))の設計
猪博一* ; 植田祥平 ; 鈴木紘 ; 飛田勉* ; 沢和弘
JAERI-Tech 2001-083; Jan.2002,46p.

 本報は,高温照射試料取扱設備(使用済燃料検査室(I))の設計条件及び設計結果をこれらの主要な設備ごとにまとめたものである.高温照射試料取扱設備は,同じ建家内にあるHTTRで照射を行った使用済燃料,高温照射試料を対象として検査及び照射後試験の一部を行う小型のセルである.本設備は既設の高温工学試験研究炉(HTTR)原子炉建家内の限られたスペースに追設するものであり,取合条件を考慮して限られたスペースを有効に利用できるよう設計した.本設備は3つのセルで構成され,主要な設備として使用済燃料等からの中性子線及びγ線を遮蔽するための遮蔽体,換気空調装置,試料の取扱に用いる内装機器等がある.今後,本設備及び大洗研究所のホットラボを利用してHTTR燃料・材料の照射後試験を実施し,高温ガス炉技術基盤を確立するとともに,長期的にはHTTRにおける照射試験・照射後試験を通じて,要素技術の開発,先端的基礎研究を行っていくこととしている.


300287
逆動特性法を用いる制御棒校正用装置の実用化
山中晴彦 ; 林和彦 ; 本橋純 ; 川島和人 ; 市村俊幸 ; 玉井和夫 ; 竹内光男
JAERI-Tech 2001-084; Jan.2002,110p.

 JRR-3における炉心反応度の管理は,制御棒校正結果を用いて行っている.制御棒校正は,年1回の定期自主検査時等に,6本の制御棒の全駆動範囲について逆動特性法(IK法)を用いた反応度測定により行っている.IK法による反応度の測定は,従来のペリオド法(PP法)に比し作業時間が大幅に短縮できる長所がある.JRR-3では,約10年間のIK法を用いた反応度測定の実績を活かした測定装置の高機能化及び測定結果の信頼性向上を図った逆動特性法を用いる制御棒校正用装置を製作し,実用できることを確認した.本報は,JRR-3における制御棒校正の方法,製作した制御棒校正用装置の機能,性能及び平成12年度JRR-3定期自主検査時の制御棒校正データを用いて行った本装置の機能及び性能の検証結果について報告する.


300144
TF insert experiment logbook; 2nd experiment of CS model coil
杉本誠 ; 礒野高明 ; 松井邦浩 ; 布谷嘉彦 ; 堤史明* ; 田宮忠俊* ; 押切雅幸* ; 若林宏* ; 奥野清 ; 辻博史
JAERI-Tech 2001-085; Dec.2001,104p.

 CSモデル・コイルの第2回実験が2001年8月より開始した.第2回目の実験では,CSモデル・コイルの内側にTFインサート・コイルを設置し,実験を行った.CSモデル・コイルとTFインサート・コイルの予冷は同年8月20日から開始して,約1ヶ月を費やした.その後直ちに9月17日より通電試験を行った.同年10月19日に通電試験を完了した.この間,実験番号は88を数え,収集したデータはバイナリ形式で4GBに達した.本報告書は5週間にわたる実験のログ(日誌)とそのリストを集めたデータベースである.


300145
原子炉施設の廃止措置計画策定および管理のための計算システムの開発; 作業構成の簡易化と作業難易度が管理データに及ぼす影響の検討(受託研究)
大島総一郎 ; 助川武則 ; 白石邦生 ; 柳原敏
JAERI-Tech 2001-086; Dec.2001,83p.

 原子炉施設の廃止措置計画策定及び管理のための計算システム(COSMARD)を用いて,JPDR解体作業に関するプロジェクト管理データ(人工数,被ばく線量等)の計算を行い,計算値と実績値とを比較することにより,COSMARDの妥当性について検討した.また,準備作業と後処理作業の難易度を変更した計算に容易に対応できるよう,作業構成の設定方法やデータベースの構成を改良するとともに,切断・収納作業の各種作業条件に対する感度解析を試みた.この結果,実際の解体作業に対応した条件が容易に設定できること,計算結果と実績値が比較的良く一致することなどによりCOSMARDの妥当性が確認できた.また,解体作業における切断速度,準備作業と後処理作業における難易度は,各々±30%の範囲で人工数の変動に影響することなどが明らかになった.


300288
ワークステーションとVME-busを利用したJT-60新放電制御計算機システムの開発
赤坂博美 ; 末岡通治 ; 高野正二* ; 戸塚俊之 ; 米川出 ; 栗原研一 ; 木村豊秋
JAERI-Tech 2001-087; Jan.2002,109p.

 1985年の実験開始以来使用してきた放電制御計算機システムを,2001年3月に,ワークステーションとVME-busによって構成する分散型制御システムに更新した.ワークステーションは,VME-bus及びJT-60各設備との通信と放電制御における演算処理を分担し,リアルタイム処理に適しているVME-busは放電シーケンス制御を分担するものとした.この更新により,放電制御システムの制御機能及び信頼性が向上するにとどまらず,今後のJT-60の改造にも充分に対応できるものとなった.4月からの運転は順調に行われ,データ収集速度は従来の約2倍になったことを確認した.本報告書では,新放電制御計算機システムの機能,開発上の工夫及び初期運転結果についての詳細を述べる.


300289
酸回収蒸発缶材料用放射線下伝熱面腐食試験装置の開発(受託研究)
本岡隆文 ; 沼田正美 ; 木内清
JAERI-Tech 2001-088; Jan.2002,38p.

 酸回収蒸発缶材料であるステンレス鋼の伝熱面腐食に関して,これまでの腐食試験が実再処理環境を模擬しているかを検証するために,開発した放射性物質を含有した試験液が取り扱える伝熱面腐食試験装置について,装置の仕様と性能評価試験,比較試験並びにホット試験の結果をとりまとめた.開発装置は,耐放射性に優れた材料から構成されており放射線照射下での使用に耐えることができ,減圧沸騰下での使用と試験液漏洩防止を考慮している.性能評価試験より,高濃度硝酸溶液を用いて長時間にわたり安全に伝熱面腐食試験が行えることを確認した.また,純硝酸溶液を用いた比較試験より,既設装置と同様の結果が得られることを確認した.ホット試験では,ネプツニウムを含む硝酸溶液を用いて実験を行った.今後,開発装置によりホット環境での有益な腐食試験データが蓄積されるとともに,コールドでの腐食試験条件の選定が適切に行えることが期待できる.


300290
燃料溶解液を用いる伝熱面腐食試験装置の開発(受託研究)
本岡隆文 ; 寺門正吾 ; 高野利夫 ; 木内清
JAERI-Tech 2001-089; Jan.2002,52p

 原研では,使用済燃料再処理施設に設置される燃料溶解槽材料の腐食に対する安全性を,実機規模の構造体を用いた小型モックアップ試験及び小型試験片を用いた実験室規模の比較試験により評価している.本報告書では,燃料溶解槽材料であるジルコニウムの伝熱面腐食に関して,これまでのコールド腐食試験が実再処理環境を模擬しているかを検証するために開発した使用済燃料を溶解した硝酸溶液が取り扱える伝熱面腐食試験装置について,装置の仕様と性能評価試験,比較試験並びにホット試験の結果をまとめた.開発装置は,耐放射性に優れた部品から構成されており放射線照射下での使用に耐えることができ,常圧沸騰条件での使用と試験液漏洩防止を考慮している.性能評価試験より長時間にわたり安全に伝熱面腐食試験が行えること,溶解槽模擬液を用いた比較試験より既設装置と同様の試験結果が得られることを確認した後,燃料溶解液を用いたホット試験を行った.ジルコニウムは燃料溶解液中伝熱状態でも優れた耐食性を示すことが明らかとなった.今後,開発した伝熱面腐食試験装置により,ホット環境での有益な腐食試験データが蓄積されることが期待できる.


300291
出力上昇試験におけるHTTR炉心支持板温度上昇の原因と対策
藤本望 ; 高田英治* ; 中川繁昭 ; 橘幸男 ; 川崎幸三 ; 七種明雄 ; 小嶋崇夫 ; 伊与久達夫
JAERI-Tech 2001-090; Jan.2002,69p.

 HTTRでは,初臨界達成後,出力上昇試験として段階的に出力を上げ,各種の試験を行ってきた.その中で,炉心支持板の温度が各出力で予想される温度より高めの値を示し,100%出力で最高使用温度を超えるおそれのあることがわかった.そのため,炉心流量の異なる高温試験運転モードでの試験を行い,温度の予測精度を上げるとともに,原因の推定を行った.その結果,炉床部の漏れ流れが原因であることがわかった.さらに,炉心支持板とその下のシールプレートの間隙が炉心差圧により変化することによって炉心支持板の温度が局所的に上昇することが推定された.温度上昇に対しては,炉心支持板の最高使用温度を変更することにより対応することとした.最高使用温度の変更にあたっては応力解析を行い構造健全性が確保されることを確認した.


300458
高温工学試験研究炉用被覆燃料粒子製造工程の改良; 臨界安全対策
高橋昌史* ; 植田祥平 ; 安田淳* ; 吉牟田秀治* ; 加藤茂* ; 沢和弘
JAERI-Tech 2001-091; Jan.2002,29p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)では,被覆燃料粒子を燃料としている.被覆燃料粒子の製造は,燃料核工程で行われる.燃料核の製造設備のバッチサイズは,4.3kg-Uで,燃料核はいわゆる外部ゲル化法による硝酸ウラニルを用いた湿式工程である.HTTR燃料の235U濃縮度は,出力分布を最適化して燃料最高温度を低減化するために,3.4〜9.9wt%の計12種類で構成されている.HTTR燃料の製造は,原子燃料工業(株)東海事業所のHTR燃料製造施設において行う.平成11年9月30日に発生したJCO事故の重大さを踏まえ,HTTR燃料製造工程を再度見直すことにした.検討の結果,濃縮度10%の以下のウランを取り扱うHTR製造施設の湿式設備の臨界安全対策として,核的に安全な制限値を超えないよう,取り扱うウラン自体の質量を制限するシステムの設置(インターロックの設置等)を行うこととした.これらの検討結果を踏まえて設備の改造を行い,安全性に十分配慮してHTTR第2次燃料の製造に着手する予定である.


300292
HTTR出力上昇試験における放射線モニタリングデータ; 原子炉出力20MWまでの結果
足利谷好信 ; 仲澤隆 ; 吉野敏明 ; 安和寿
JAERI-Tech 2001-092; Jan.2002,76p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)は,定格運転の9MW出力上昇試験(単独・並列運転)に続いて,平成13年1月16日から定格運転及び高温運転試験モード20MW出力上昇試験(単独・並列運転)を実施し平成13年6月10日に終了した.本報は,定格運転及び高温試験運転モード20MW出力上昇試験における原子炉運転中及び停止後の放射線モニタリング結果をまとめたものである.20MW出力上昇試験の原子炉運転中及び停止後の放射線モニタリング結果では,放射線物質の放出管理及び放射線作業時の被ばく防護上の特別な配慮が必要な放射線レベルでないことがわかった.


300293
中性子散乱施設使用済ターゲット取扱・保管設備の概念検討,2
安達潤一* ; 神永雅紀 ; 佐々木忍 ; 羽賀勝洋 ; 麻生智一 ; 木下秀孝 ; 日野竜太郎
JAERI-Tech 2001-093; Jan.2002,108p.

 中性子散乱施設の使用済ターゲット容器等は高度に放射化するため被曝防止の観点から遠隔操作機器により交換する必要がある.また,使用済ターゲット容器の保管等に際しては,使用済ターゲット容器は崩壊熱を有するとともに内部に蒸発による外部汚染の可能性を有する水銀が残留していることを配慮する必要がある.このような使用済ターゲット容器等の取扱・保管設備について概念設計を行い,設備の基本概念を構築するとともに設備の基本仕様を明らかにした.本報告書は,合理化・簡素化を目的に行った,使用済ターゲット容器等の遠隔取扱機器についての最新の設計結果を反映した設備の基本概念と配置計画をまとめたものである.


300146
浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断部調査報告書
浜岡1号機配管破断部調査グループ
JAERI-Tech 2001-094; Dec.2001,60p.

 平成13年11月7日に発生した中部電力(株)浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故の原因究明等を行うため,原子力安全・保安院は配管破断部を切断して詳細調査を行うこととし,事業者による調査と並行して,第三者中立機関である原研に対しての配管破断部調査への協力についての指示を文部科学省に依頼した.原研は,配管破断部調査に全面的に協力することとした.調査にあたって,原研東海研究所に調査グループを設置し,燃料試験施設等の研究施設,走査型電子顕微鏡等の各種分析機器類を活用して,配管破断部の調査を行った.調査の結果,以下のことが明らかになった.(1)破断部近傍で大きな肉厚減少が認められた.(2)観察した試料のほぼ全ての破面はディンプル状であり,また,疲労によって生じたき裂の存在を示すような破面は確認されなかった.(3)金属組織は典型的な炭素鋼組織(フェライトとパーライトの混合組織)であり,破断部付近では,伸ばされた金属組織が観察された.(4)肉厚減少が著しいほど硬さが高い値を示していた.(5)試料分析の結果から,管内面には断熱材に使用していた珪酸カルシウムが部分的に付着していたほか,Zn,Pt等が認められた.これらの結果から,配管破断の主な原因は,配管に何等かの原因により過大な負荷が加わったためと考えられる.今後,過大負荷を生じた原因の究明が必要である.


300294
139La(p,n)139Ce反応による139Ceの製造
石岡典子 ; 出雲三四六 ; 橋本和幸 ; 小林勝利 ; 松岡弘充 ; 関根俊明
JAERI-Tech 2001-095; Jan.2002,23p.

 139Ceは半減期T1/2=137.2dayでEC崩壊して165.9keVのγ線を放出し,Ge検出器の計数効率校正用に利用される.本研究では,139La(p,n)139Ce反応によって139Ceを製造するために必要なターゲットの調整法ならびに139Ceとランタンとの化学分離法を検討した.その結果,金属ランタン及び酸化ランタン粉末は,139Ceを製造するためのターゲットとして用いられることを確認した.ランタンターゲットと生成した139Ceの分離については溶媒抽出法とイオン交換法を比較した.


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