研究開発報告書類


JAERI-Tech
2003年


310191
JRR-3中性子導管ガラス母材の機械的強度に関する検討
小林哲也
JAERI-Tech 2003-001; Feb.2003,21p.

 JRR-3に設置されている熱中性子導管は,設置後6年を経過した際に寿命評価が実施され鏡管ユニット側面のガラス母材に内部まで貫通するクラックの発生が確認された.そして,その原因について検討が行われた結果,γ線照射によるガラス母材の脆化に加え,中性子導管を直接真空引きする方式による鏡管ユニットの静的疲労が主たる原因であるという結論が得られた.本報告書はこのような結果をもとにガラス母材の機械的強度について定量的に評価し,さらに疲労破壊に達するまでの時期について予測するものである.なお,この予測に基づき中性子導管の寿命評価を行い,2000年及び2001年に行われた熱中性子導管T1及びT2のスーパーミラーへの更新時期について,その妥当性を確認した.


310192
ホウ素中性子捕捉療法のためのBNCT線量評価システム(JCDS)の開発(協力研究)
熊田博明 ; 山本和喜 ; 鳥居義也 ; 松村明* ; 山本哲哉* ; 能勢忠男* ; 中川義信* ; 影治照喜* ; 内山順三
JAERI-Tech 2003-002; Mar.2003,49p.

 JRR-4に整備した中性子ビーム設備によって,熱外中性子ビームを用いたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を実施することが可能となった.熱外中性子ビームBNCTの実施に必要な治療計画を作成するためには,患者への吸収線量を事前に評価することが不可欠である.患者頭部内の線量分布を数値シミュレーションによって評価し,治療計画作成を支援するBNCT線量評価システム(JCDS)の開発を行った.JCDSは,医療画像であるCT,MRIデータをもとに患者の頭部モデルを作成し,頭部内の中性子及びγ線の線束分布をモンテカルロ・コードMCNPで計算するための入力データを自動作成して線量計算を行い,この計算結果を医療画像上に表示させることのできるソフトウェアである.JCDSの特徴として,(1)CTデータとMRIデータの両方を取り扱うことにより,患者の正確な頭部モデルを簡便に作成する機能,(2)日本で実施されている開頭手術を伴ったBNCTに対応し,頭部モデルの形状を編集する機能,(3)計算によって導かれた照射位置に患者を正確にセッティングするための情報を出力する機能などを有している.本報告は,JCDSの基本設計と各処理機能,及びJCDSの計算性能を検証した結果について記述したものである.


310193
血管内照射用192Ir線源の開発
木暮広人 ; 反田孝美 ; 岩本清吉 ; 永田靖* ; 平岡真寛* ; 岩田和朗* ; 河内幸正* ; 鈴木一寿*
JAERI-Tech 2003-003; Mar.2003,26p.

 血管内小線源治療は,低線量の放射線照射を用いた冠動脈再狭窄症に対する新しい治療法である.平成10年度から原研と京都大学は「冠動脈再狭窄症に対する血管内小線源療法の安全性と有効性に関する研究」を協力研究として開始し,臨床用192Ir線源の開発を進めている.この線源は,狭窄部にカテーテル(血管内に直接挿入する線源誘導チューブ)を介して導入し,病変部の照射を行うことを目的としている.開発した血管内照射用線源は,柔軟な被覆チューブ内に192Irシード線源(φ0.4mm×2.5mm)とスペーサ(φ0.3mm×1.0mm)を各10個程度交互に配置した後にコアワイヤ(芯線)を配置して収縮固定した構造で,直径0.46mm,全長約3mである.血管内挿入のための線源追随性試験と病変部の均一な線量分布を得るための試験により物理的に最適なデザインを決定し,臨床応用可能な血管内照射用小線源の製造方法を確立した.


310194
ITER NBI保守用セシウム除去装置の概念設計
岡潔 ; 柴沼清
JAERI-Tech 2003-004; Mar.2003,57p.

 ITERプラズマ加熱装置の1つである中性子入射装置(NBI装置)において,負イオンを安定に発生させるためにセシウムが必要となる.しかし,NBI装置を長時間運転したあと,セシウムは電極の支持部分を絶縁する部分(碍子)に付着するため,碍子の絶縁抵抗値が低下し,運転の継続が困難となる.このため,一定期間ごとに碍子部分のセシウムを除去及び清掃する必要がある.NBI装置は,プラズマからの中性子照射によって放射化されるため,遠隔操作によるセシウム除去及び清掃を実施するためのシナリオとセシウム除去装置の検討が必要である.このような背景の下,本報告では,レーザーアブレーション法をセシウム除去に適用した場合の除去手順と,遠隔によるセシウム除去装置の概念設計について,その検討結果を報告するものである.


310310
IFMIF-KEP; International Fusion Materials Irradiation Facility key element technology phase report
IFMIF国際チーム
JAERI-Tech 2003-005; Mar.2003,559p.

 国際核融合材料照射施設(IFMIF)活動は1995年からIEA協力で国際的に実施されている.IFMIFは加速器を用いた重陽子−リチウム(Li)中性子源であり,核融合の候補材料の試験のため,強力な中性子場(2MW/m2,鉄に対して20dpa/年)を発生する.IFMIFの重要要素の技術リスク低減のため,3年間の要素技術確証フェーズ(KEP)が2000年に開始された.KEPでは,電流250mAでエネルギー40MeVの高出力重陽子(D+)加速器,体積9m3の液体Liを循環するLiループ,温度制御された照射試験施設,照射後試験(PIE)施設及びその他の施設を運転するのに必要なIFMIF建屋及びユーティリティのシステム設計も実施されている.本タスク報告書では,3年間に実施した加速器,ターゲット,テストセル,設計統合のKEPタスク結果について記載した.


310311
セシウム添加型負イオン源におけるプラズマ電極材質の違いが負イオン生成に与える影響
清水崇司* ; 森下卓俊* ; 柏木美恵子 ; 花田磨砂也 ; 伊賀尚* ; 井上多加志 ; 渡邊和弘 ; 和田元* ; 今井剛
JAERI-Tech 2003-006; Mar.2003,26p.

 セシウム添加型負イオン源におけるプラズマ電極の材質の違いが,負イオン生成効率に与える影響について実験的に調べた.本研究においては,金,銀,銅,ニッケル,モリブデンの5種の電極について調べた.実験では,プラズマ電極がフィラメント陰極材によって覆われることを防ぐために,2.45GHzのマイクロ波イオン源を用い,各電極において仕事関数と負イオン電流の相関性を測定した.その結果,得られる負イオン電流量は,その時の電極の仕事関数によって一意的に決まり,電極材質そのものには無関係であることが明らかになった.つまり,電極材質の違いが仕事関数の違いをもたらし,仕事関数の違いによって負イオン生成量が変わることがわかった.用いた材質の中では,金が最も低い仕事関数1.42eVを示し,負イオン生成効率も20.7mA/kWの高い値を示した.この値は,従来から電極として用いられている銅やモリブデンより30%高い値であった.さらに,セシウムとタングステンを同時堆積させた場合には,24.6mA/kWと最も高い効率を得た.


310195
アーク放電型イオン源における高プロトン比プラズマ生成機構
森下卓俊* ; 井上多加志 ; 伊賀尚* ; 渡邊和弘 ; 柏木美恵子 ; 清水崇司* ; 谷口正樹 ; 花田磨砂也 ; 今井剛
JAERI-Tech 2003-007; Mar.2003,16p.

 IFMIF(国際核融合材料照射施設)のために開発した小型アーク放電イオン源において,磁気フィルターを適用することによって90%のプロトン比でかつ,120mAの正イオンビーム生成が可能となった.小型イオン源においても高プロトン比プラズマが生成されるメカニズムは興味深い.そこでイオン源中の正イオン及び水素原子密度をレート方程式を用いて数値的に求めた.主要なプロトン生成は分子イオンの解離反応であり,イオン源中心部では高プロトン比プラズマは生成されない.しかし磁気フィルター領域では分子イオンの生成は小さく,熱電子により分子イオンが解離しプロトンが生成されて分子イオン密度が減少し,プロトン比が増加することがわかった.同手法を用いて大型イオン源におけるプラズマ生成過程に関する計算を行った結果,放電領域において高密度のHが生成され,分子イオンを介さないHのイオン化によるプロトン生成により容易に高プロトン比プラズマ生成が可能であることがわかった.また,本計算で得られた正イオン,水素原子密度によって,大型イオン源における負イオン生成への各粒子の寄与を評価した結果,計算結果による負イオンビーム電流は実験結果と一致し,高密度水素原子による表面生成によって大量の負イオンが生成されることがわかった


310312
NSRR実験における燃料破損時の破壊力発生に及ぼす混合酸化物燃料富化度の影響の検討
中村仁一 ; 杉山智之 ; 中村武彦 ; 金沢徹* ; 笹島栄夫
JAERI-Tech 2003-008; Mar.2003,32p.

 原研・原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いた反応度事故の模擬実験において,将来のプルサーマル利用に対応するため,プルトニウム富化度12.8%までの混合酸化物(MOX)燃料の使用を計画している.この変更に伴うカプセルの安全設計への影響として試験燃料の破損時に発生する破壊力(衝撃圧力及び水撃力)に及ぼすMOX燃料の富化度の影響について検討した.試験燃料の破損時に発生する衝撃圧力は,燃料被覆管破損時に内部の高圧ガスが解放されて生じるものである.燃料棒内外差は初期圧,FPガス放出量に依存するが,MOX燃料のFPガス放出は富化度に依存しないため,衝撃圧力は富化度の影響を受けないと結論された.また,微粒子化した燃料と冷却水の熱的相互作用で発生する水撃力については,微粒化した燃料粒子から冷却水への熱流束を,高富化度化による熱物性値の変化を考慮して解析評価した.その結果,UO2燃料と同程度に微粒子化したMOX燃料粒子から破壊力が発生する極短時間において放出される熱流束は,MOX燃料はUO2燃料に比べてわずかに小さく,水撃力を増加させないものと判断された.


310313
高温・高圧下におけるNSRR再照射燃料からの放射性物質放出挙動; VEGA-5実験のγ線計測結果
日高昭秀 ; 工藤保 ; 中村武彦 ; 金沢徹* ; 木内敏男 ; 上塚寛
JAERI-Tech 2003-009; Mar.2003,30p.

 原研では,原子炉のシビアアクシデント条件下における照射済燃料からの放射性物質の放出機構解明とソースターム予測精度向上を目的としてVEGA計画を進めている.その第5回目のVEGA-5実験は,高圧のVEGA-2実験で観測された圧力効果の再現性を確認するとともに,短半減期放射性物質の放出挙動を調べることを目的とし,2002年1月に行った.試験燃料は,事前に研究炉(NSRR)で8時間,再照射した後,被覆管を取り除いた燃焼度47GWd/tU(約8.2年冷却)のPWR燃料ペレット2個(約10.9g)であり,1.0MPa,He不活性雰囲気条件で約2,900Kまで昇温した.実験では,高圧条件下におけるCsの放出抑制現象を再確認するとともに,これまでの再照射無しのVEGA実験では観測することができなかったRu-103,Ba-140等の短半減期核種の放出データをγ線計測により取得した.


310314
大強度陽子加速器計画における核破砕中性子源の3次元遮蔽設計
田村昌也* ; 前川藤夫
JAERI-Tech 2003-010; Mar.2003,54p.

 大強度陽子加速器計画(J-PARC)の下で建設が進められている物質・生命科学実験施設において,1MW核破砕中性子源施設の遮蔽性能に関する評価は,放射線安全及び機器配置の最適化の観点から重要である.本レポートは,核破砕中性子源全体を構成するすべての機器を隙間まで含めて詳細に3次元モデル化し,MCNPX2.2.6コード及びLA-150ライブラリを用いたモンテカルロ計算手法を用いて,遮蔽性能を評価した結果をまとめたものである.ストリーミング効果及びボイド効果の検討,コスト削減のための遮蔽の最適化,シャッター等機器の最適配置の検討を行った.水平方向の必要遮蔽厚さは,中性子ビームラインの角度により異なり,およそ6.5mから7.5mの範囲であることがわかった.また,他のビームラインと構造の異なる水平反射率計用の下向きビームラインのシャッター形状を検討し,その遮蔽性能が十分であることを示した.これらの結果より,生体遮蔽体の最適な形状を最終的に決定した.


310315
高エネルギー加速器施設対応中性子レムモニタのエネルギー応答特性評価
中根佳弘 ; 原田康典 ; 坂本幸夫 ; 小栗朋美* ; 吉澤道夫 ; 高橋史明 ; 石倉剛* ; 藤本敏明* ; 田中進 ; 笹本宣雄
JAERI-Tech 2003-011; Mar.2003,37p.

 原研とKEKが共同で建設している大強度陽子加速器施設(J-PARC)に適用する中性子レムモニタの開発を行った.熱エネルギーから中高エネルギー領域までの広範な中性子による線量率を精度よく測定できるモニタの開発を目的として,鉛ブリーダ付き中性子レムモニタを試作した.試作レムモニタのエネルギー応答に関し,遮蔽体を透過した後の中性子による被ばく評価において重要な,熱エネルギーから150MeVまでの中性子に対する応答特性を中性子輸送計算により評価するとともに,この評価精度を確認する目的で,65MeVまでの中性子場を用いて応答特性を測定した.得られたエネルギー応答特性を中性子の線量換算係数と比較した結果,試作中性子レムモニタは,熱エネルギーから150MeVまでの広範なエネルギー領域において優れたエネルギー応答特性を有することが確認でき,加速器施設用中性子レムモニタとして実用化の目処がついた.


310316
配管内部汚染分布測定装置の開発(受託研究)
伊藤博邦* ; 畠山睦夫* ; 立花光夫 ; 柳原敏
JAERI-Tech 2003-012; Mar.2003,34p.

 配管内面の低レベル放射能汚染を測定するため,配管内部を検出器が移動する配管内部汚染分布測定装置(Measuring Device for Inner Surfaces of Embedded Piping: MISE)を開発した.MISEは,円筒型2層構造の検出器と配管移動ロボットから構成され,各々独立した装置として製作したものである.放射能汚染の測定においては,配管表面に近い外側の円筒状検出器でβ線とγ線を測定し,内側の円筒状検出器では2つの検出器間に配置した遮へい板によりβ線を遮蔽し,γ線のみを測定する.β線計数率は,外側の円筒状検出器でのβ線とγ線計数率の和から内側の円筒状検出器でのγ線計数率を差し引くことにより導き出される.配管移動ロボットは,配管内部を観察しながら円筒型2層構造の検出器を運ぶことができる.60Coに対する検出限界値は,30秒の測定時間で約0.17Bq/cm2であることがわかった.60Coのクリアランスレベル(0.4Bq/g)に相当する0.2Bq/cm2の場合,2秒の測定時間で配管内面の放射能汚染を54m/hの測定効率で評価可能である.


310317
水を用いた外部冷却による超高限界熱流束の研究; 超高熱流束冷却の実現と限界熱流束の予測精度の改善,原子力基礎研究 H11-004(委託研究)
門出政則* ; 光武雄一* ; 石田賢治* ; 日野竜太郎
JAERI-Tech 2003-013; Mar.2003,56p.

 次世代原子力機器での100MW/m2オーダーの超高熱流束除熱技術の確立を目的として,高サブクール衝突噴流冷却による超高限界熱流束の実現の可能性を実証するための実験的研究を,噴流速度5〜60m/s,系圧力0.1〜1.0MPa,噴流サブクール度80〜170Kの範囲で行った.その結果,限界熱流束の最大値として,圧力0.5MPa,サブクール度151K,噴流速度35m/s,加熱面長さ5mmの条件で212MW/m2が達成された.なお,大気圧条件下の限界熱流束は,気液界面での気体分子運動論に基づく理論上の最高熱流束の48%まで到達し,従来の最高値30%に対して60%も向上できた.本研究の結果,衝突噴流による超高熱流束冷却の実現の可能性が示された.


310318
結晶粒界構造制御による原子炉配管材料の粒界鋭敏化抑制効果,原子力基礎研究 H11-023(委託研究)
粉川博之* ; 嶋田雅之* ; Wang, Z.* ; 佐藤裕* ; 佐藤嘉洋* ; 木内清
JAERI-Tech 2003-014; Mar.2003,22p.

 原子炉用SUS304ステンレス鋼やインコネル600などの原子炉配管材料の熱鋭敏化を抑制する手段として,結晶粒界構造の制御に着目した解析研究を実施した.鋭敏化と結晶粒界構造との相関性をTEM観察等により解析して,低エネルギー結晶粒界の構造を持つ場合には,鋭敏化が抑制されることを見いだした.さらに低エネルギー結晶粒界を持つような材料に改善するための加工熱処理法を検討して,鋭敏化を生じにくい材料を開発した.


310319
陽電子親和力による量子ドット内閉じこめを利用した原子炉圧力容器鋼及びそのモデル合金(Fe-Cu)中の超微小銅析出物の形成過程と構造解明,原子力基礎研究 H11-034(委託研究)
長谷川雅幸* ; 永井康介* ; Tang, Z.* ; 湯葢邦夫* ; 鈴木雅秀
JAERI-Tech 2003-015; Mar.2003,137p.

 材料試験炉(JMTR)で中性子照射した原子炉圧力容器銅のモデルFe‐Cuについて陽電子消滅実験を行い,照射によって生じたナノボイドや超微小Cu析出物を調べた.その結果,ナノボイドの表面は,Cu原子で覆われていること,このようなナノボイドは,約400℃の焼鈍でその内部の空孔が解離・消滅するために超微小Cu析出物となることを見いだした.また,照射脆化に重要な役割を果たすと考えられているNi,Mn,PなどをFe‐Cuモデル合金に添加した効果を調べた結果,(1)NiやPは,ナノボイド形成を促進するが,Mnは逆に遅らせること,(2)約400℃の焼鈍によって生ずる超微小Cu析出物はほぼ純銅でこれら添加元素を含んでいないこと,などを見いだした.さらに単結晶Fe‐Cuの陽電子消滅2次元角相関(2D‐ACAR)測定から,Fe中に埋め込まれた超微小Cu析出物(体心立方結晶構造)のFermi面を求めた.この結果はバンド計算の結果と良く一致した.FeCuモデル合金中のCu集合体の陽電子親和力閉じ込めの理論計算を行い,約1nm以上の埋め込み粒子になると陽電子量子ドット状態が実現することがわかった.


310320
小型軽量化を極限まで追求した超安全・超小型原子炉の研究,原子力基礎研究 H11-002(委託研究)
神戸満* ; 角田弘和* ; 三島嘉一郎* ; 川崎亮* ; 岩村公道
JAERI-Tech 2003-016; Mar.2003,68p.

 本研究は,月面用の超安全・超小型原子炉RAPID-L(ウラン窒化物燃料リチウム冷却高速炉:電気出力200kW)に関するものである.原子炉はリチウム冷却の高速炉で,熱電変換システムにより発電し,廃熱はラジエーターパネルからの放射によって逃がす.RAPID-Lでは10年間連続運転が可能なウラン窒化物燃料の炉心を採用している.さらにRAPID燃料交換方式を採用する.これはカートリッジ式の一体型炉心を使う方式で,月面上でも迅速容易な燃料交換を可能にしている.したがって燃料交換後さらに10年間の運転が可能になる.本原子炉では従来型の制御棒を削除し,液体ポイズンのリチウム-6を使用する反応度制御装置(Lithium Expansion Module: LEM),原子炉停止装置(Lithium Injection Module: LIM)及び原子炉起動装置(Lithium Release Module: LRM)を採用し,無人での完全自動運転を可能とした.原子炉は総重量7.6tonで,通常のロケットにより1回で打ち上げが可能な寸法及び重量である.原子炉構造は直径2m,高さ6.5mである.信頼性向上のため可動機器を削除する方針で,エネルギー変換方式としては筆者らが開発中の高性能熱電変換システムを採用する.


310321
均圧注入系を模擬した体系に生じるカオスの研究; 受動的安全炉の特性解析,原子力基礎研究 H12-012(委託研究)
斑目春樹* ; 岡本孝司* ; 田中源太郎* ; 森元雄一郎* ; 佐藤聡* ; 近藤昌也
JAERI-Tech 2003-017; Mar.2003,156p.

 原子炉圧力容器と格納容器気相部とを加圧管と注入管によって繋いだ均圧注入系の挙動をU字管内の液柱で模擬した実験と解析を行った.実験は,カバーガスをU字管内気相部に一定流量で注入してゆき,水位があるレベルに達するとガスを放出,水位が回復するとガス放出を停止することによって行った.実験の結果,ガス放出の周期は一定間隔とはならず,大きくばらつくことがわかった.そこで,圧力上昇時と下降時それぞれの挙動に対し線形方程式を立て,それをつないだ区分線形モデルを作成した.区分線形モデルは接線分岐,周期倍分岐,周期加算分岐といったカオス特有の性質を示したため,ガス放出の周期がばらついたのはカオスである可能性が高いことを示した.


310322
高エネルギー中性子ストリーミング計算コードDUCT-IIIの検証
増川史洋 ; 中野秀生* ; 中島宏 ; 笹本宣雄 ; 田山隆一* ; 半田博之* ; 林克己* ; 平山英夫* ; 秦和夫*
JAERI-Tech 2003-018; Mar.2003,42p.

 高エネルギー陽子加速器施設の遮へい設計では,膨大でかつ複雑多岐にわたる条件のストリーミング計算が必要である.それら全てを詳細計算に頼ることは困難であり,簡易計算法がしばしば用いられる.高エネルギー中性子を対象として開発された簡易ストリーミング計算コードDUCT-IIIの精度評価を目的として,2種類のストリーミングベンチマーク計算を実施した.実験値及びモンテカルロコードによる詳細計算結果との比較検討の結果,本コードが大強度陽子加速器施設のストリーミング計算に十分適用可能な計算精度を有することを実証した.


310323
大強度陽子加速器計画における核破砕中性子源遮蔽体の基本設計
吉田勝彦* ; 前川藤夫 ; 高田弘
JAERI-Tech 2003-019; Mar.2003,52p.

 原研-KEKの大強度陽子加速器計画(J-PARC)の物質・生命科学実験施設の主要施設として,3GeV-1MWの陽子ビーム駆動による核破砕中性子源の建設が計画されている.本報告書は,モンテカルロ計算による遮蔽性能の評価によって全体寸法が決定された中性子源の生体遮蔽体について,コスト及び取扱いの点で最適な分割方法ならびに,強度面からの設計検討を行った結果についてまとめたものである.強度検討に関しては,異常時荷重として震度5.5(250Gal)程度の地震が発生した場合について,遮蔽体が転倒あるいは,横ズレ等しないかどうかについて検討を行った.長い支持スパンで両端支持される天井遮蔽体に関しては,中央部の最大曲げ応力,最大撓み量に関する検討を行った.


310324
弱結合相互干渉系臨界解析のマトリックス固有ベクトルを用いた収束性加速
野村靖 ; 高田友幸* ; 角谷浩享* ; 黒石武*
JAERI-Tech 2003-020; Mar.2003,88p.

 弱結合中性子相互干渉系の中性子増倍率をモンテカルロ法計算コードにより求める場合に,しばしば解の収束性に関する問題が生じる.本報告では,この計算コードによる解の収束性に関して,一般的な中性子輸送方程式から導いた理論により,マトリクスK手法による解の収束性加速について考察を加えた.これにより,連続エネルギーモンテカルロ法コードMCNPにマトリクスK計算機能及び収束加速手順を組み込んだ.さらに,新たに開発した計算コードを用いてOECD/NEA臨界計算ベンチマークの2問題について解析を試み,マトリクスKによる解の収束性加速の有効性を確認した.


310325
Extended calculations of OECD/NEA phase II-C burnup credit criticality benchmark problem for PWR spent fuel transport cask by using MCNP-4B2 code and JENDL-3.2 library
黒石武* ; Hoang, A.* ; 野村靖 ; 奥野浩
JAERI-Tech 2003-021; Mar.2003,60p.

 OECD/NEAベンチマーク問題II-Cにおいて提案されたPWR使用済み燃料輸送容器を対象に,軸方向燃焼度分布の非対称性による反応度効果について研究した.炉内中性子束測定に基づき,軸方向燃焼度分布は21の組成領域で模擬される.連続エネルギーモンテカルロコードMCNP-4B2と核データライブラリーJENDL-3.2を用いて,3次元モデルの臨界計算を実施した.アクチニドと核分裂生成物を考慮する手法に加え,アクチニドのみ考慮する手法についても実施した.計算の結果,燃焼度A.O.の増加に伴って,実効増倍率及び端部効果はほぼ直線的に増加することが示された.また,より高い燃焼度に対して,燃焼度分布非対称性の端部効果への感度はより高い.軸方向分布を持つ燃焼度に対して,核分裂源分布は,燃料下端部より燃焼度の低い上端部に向かってピークがシフトするという強非対称になった.さらに,平均燃焼度の増加に伴って,核分裂源分布のピークはより高くなった.実測値から得られた最も非対称性の強い軸方向燃焼度分布を用いてアクチニドと核分裂生成物を考慮する手法に基づく実効増倍率計算結果と比較することより,一様燃焼度分布を仮定したアクチニドのみ考慮する手法の保守性を定量的に評価することができる.


310326
革新的小型炉用内装型制御棒駆動装置の開発(受託研究)
頼経勉 ; 石田紀久
JAERI-Tech 2003-022; Mar.2003,118p.

 これまで原研は舶用炉用として,高温・高圧水環境下で動作するモーター駆動方式の内装型制御棒駆動装置を開発している.この研究成果をもとに,革新的小型炉に過酷な条件の高温蒸気中で使用できるように,駆動モーターのコイル及び軸受けを開発した.駆動モーターについては,高温蒸気中用駆動モーターを製作し,性能試験を実施し,試験結果及びこれまでの高温水中性能評価試験結果に基づき,高温蒸気中での電磁特性及び冷却特性を解析・評価した.その結果,高温蒸気中駆動モーターの駆動コイル性能を確認し,本モーターが高温蒸気中においても十分性能を発揮できることを確認した.また,軸受については,複数の材料特性試験用試験片を製作し,高温蒸気中での転がり摩耗試験を実施し,軸受材としての性能を評価するとともに,蒸気中雰囲気で使用可能な軸受材料を選定した.


310427
高温工学試験研究炉(HTTR)内炉心支持黒鉛構造物の供用期間中検査装置の開発
角田淳弥 ; 塙悟史 ; 菊地孝行 ; 石原正博
JAERI-Tech 2003-023; Mar.2003,37p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)では,炉心支持黒鉛構造物の健全性を確認するために,供用期間中検査(ISI)としてのTVカメラを用いた炉心支持黒鉛構造物の目視検査及びサーベイランス試験片を用いた物性値の測定を行うこととしている.そこで,平成8年9月から平成10年6月にかけて視検査に用いる供用期間中検査装置の開発を行った.また,開発した検査装置を用いて炉心支持黒鉛構造物の初期据え付け時における目視検査を行った.その結果,TVカメラを用いた炉心支持黒鉛構造物の目視検査で,鮮明な画像が得られることを確認するとともに,炉心支持黒鉛構造物の初期据付時の健全性を確認した.


310327
銀媒体電解酸化法を用いたMOX溶解基礎試験
梅田幹 ; 中崎正人 ; 木田孝 ; 佐藤賢二 ; 加藤忠仁 ; 木原武弘 ; 杉川進
JAERI-Tech 2003-024; Mar.2003,23p.

 燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)では,定常臨界実験装置(STACY)で用いる硝酸プルトニウム溶液燃料の調製のため,銀媒体電解酸化法を用いたMOX粉末の溶解を計画している.銀媒体電解酸化法は,酸化力の強いAg(II)イオンを用いて二酸化プルトニウムなどを溶解する手法であり,硝酸には難溶性のMOXの溶解に対しても有効な手法であると考えられる.本報は,NUCEFのMOX溶解設備への銀媒体電解酸化法の適用にむけて,同法によるMOX粉末の溶解速度,溶解液組成等の確認のため,約100gのMOX粉末を用いたビーカー規模の溶解基礎試験の結果についてまとめたものである.試験結果より,STACYに用いる予定のMOX粉末は銀電解酸化法により完全に溶解できることを確認した.また溶解液については,NO2ガス通気によりPu(VI)イオンを完全に4価に還元できることを確認した.


310328
BATAN; 多目的研究炉RSG-GASの燃料破損検出システムの改修
春山満夫 ; 蔀肇 ; 中村清
JAERI-Tech 2003-025; Mar.2003,29p.

 原研とインドネシア原子力庁(BATAN)との取決め「付属書III炉物理及び技術の分野における協力」に基づく技術協力の一環として,燃料破損検出システム(FFDS)の改修が多目的研究炉RSG-G.A.Siwabessy(RSG-GAS)においてジョイントワークにより実施された.システムは遅発中性子検出法を採用している.改修に対する設計上の要求は,(1)現用システムのユニット及び手持ちの予備品を出来るだけ長く使うこと,及び,(2)メンテナンスの困難なユニットをメンテナンスの容易なものまたは市場で入手容易なものと置き換えること,である.改修したシステムは,従来のものより約2倍高い遅発中性子感度とともに多重監視を可能とすることによって,より高い信頼性を実現した.本報告では,改修したシステムの仕様,設置,調整方法及び特性並びに高出力炉運転におけるFFDSとしての運用方法を述べる.


310428
1MW核破砕中性子源における陽子ビーム窓の構造設計検討
寺奥拓史* ; 寺田敦彦* ; 前川藤夫 ; 明午伸一郎 ; 神永雅紀 ; 石倉修一* ; 日野竜太郎
JAERI-Tech 2003-026; Mar.2003,77p.

 原研とKEKが共同で推進している大強度陽子加速器計画(J-PARK)では,物質・生命科学研究の展開を図るため,1-MWの核破砕中性子源を建設する.陽子ビームは陽子ビーム窓を通過し,中性子源ターゲットに入射する.この陽子ビーム窓は,陽子ビームラインの高真空領域とターゲットやモデレータを格納しているヘリウムベッセル内のほぼ大気圧のヘリウム雰囲気との境界壁となる.陽子ビームとの反応で窓材料は高密度の熱を発生するため,陽子ビーム窓は軽水で冷却される.したがって,過大な熱応力や冷却水沸騰の要因となるホットスポットが発生しないように窓部における均一な流量配分を実現し,冷却水の内圧応力や発熱による熱応力に対する十分な構造強度を満足する必要がある.本報では,製作性に優れた平板型構造及び応力的に有利な曲面型構造の陽子ビーム窓を提案し,設計検討の一環として構造強度評価及び熱流動解析評価を行った.その結果,窓部では均一な冷却水の流動により十分な除熱性能が確保でき,また内部の冷却水圧力による応力及び熱応力を許容応力値以下に抑えることができたため,現設計で陽子ビーム窓として成立することを確認した.


310429
極低温機器用異材接合技術の開発,2; 銅合金と純チタン及び極低温用ステンレス鋼のHIP接合
斎藤滋 ; 大内伸夫 ; 深谷清* ; 石山新太郎 ; 土屋佳則* ; 中嶋秀夫
JAERI-Tech 2003-027; Mar.2003,63p.

 超伝導加速器や核融合炉等の超伝導コイル及びその周辺には,複数の異材継ぎ手が必要である.核融合炉の場合,超伝導コイルジャケットの候補材の一つに純チタンが挙げられている.純チタンは超伝導コイル焼成時の酸素濃度管理が比較的楽であるほか,熱収縮率,非磁性,耐食性,加工性などの面でも優れているためである.また,コイルの接続部には電気抵抗が小さい銅合金が使われ,支持構造材には極低温用のステンレス鋼が使用される.そのため機器の製作にはこれらの材料の接合技術の開発が不可欠であり,原研では熱間等方加圧(Hot Isostatic Pressing ; HIP)法による接合技術の開発に着手した.HIP法は接合強度や寸法精度に優れ,立体面や大型機器の接合も可能である.本研究ではHIP法による銅合金と純チタン及び極低温用ステンレス鋼(JJ-1)の接合試験を行い,組織観察や引張り,曲げ試験等により最適なHIP条件の選定と接合強度の評価を行った.


310329
熱外中性子検出によるTRACY超臨界実験の出力履歴の測定
中島健 ; 柳澤宏司 ; 三好慶典
JAERI-Tech 2003-028; Mar.2003,31p.

 TRACYを用いた超臨界実験における出力履歴を精度良く測定するために,熱外中性子検出による出力測定を試みた.熱外中性子の測定のために,カドミウム(Cd)被覆の235U核分裂電離箱を使用し,中性子検出効率を向上させるための中性子減速材としてポリエチレンをCd被覆内に設置した.また,γ線によるノイズの影響を低減するために鉛遮蔽体を設けた.測定結果を熱中性子検出器の結果と比較したところ,従来の熱中性子検出では中性子が検出器に到達するまでの飛行時間によって生じる時間遅れの影響により出力に歪みが生じ,また,出力ピーク値が減少することが明らかになった.出力ピーク値の減少率は,添加反応度1.5$の比較的ゆっくりとした出力変化の場合には約4%であったが,反応度が約3$の高速出力変化では,40%以上と大きくなった.


310430
STACY非均質炉心における位置検出型比例計数管による中性子束分布の測定と解析,1(受託研究)
村崎穣* ; 宇野祐一* ; 三好慶典
JAERI-Tech 2003-029; Mar.2003,107p.

 未臨界度測定手法の開発のため,STACY非均質炉心体系の実験において,位置検出型比例計数管(PSPC)により,炉心タンク外側近傍における中性子束分布の測定を行った.測定の結果,硝酸ウラニル溶液のウラン濃度50g/L〜210g/Lの範囲における臨界時及び未臨界時の中性子束分布を±13mmの位置精度で得た.また,パルス中性子実験における測定により,即発中性子減衰定数αを求めた.さらに,連続エネルギーモンテカルロコードMCNPにより,PSPC測定位置における中性子束分布及び3He反応率分布を求め,PSPC測定値との比較を行った.比較の結果,カドミウムカバー付きPSPCの測定値に対して,計算値は,臨界液位の半分の高さより上部ではおおむね一致したが,それより下部では両者の差が大きくなった.一方,カドミウムカバーなしの測定値に対して,計算値は良く一致した.


310431
JT-60U ECHジャイロトロン用超伝導コイルの運転経験
五十嵐浩一* ; 関正美 ; 下野貢 ; 寺門正之 ; 石井和宏* ; 高橋正己*
JAERI-Tech 2003-030; Mar.2003,40p.

 JT-60Uにおける電子サイクロトロン加熱(ECH)装置は,局所加熱あるいは電流駆動をすることが可能であり,動作周波数110GHzにおいて,出力約1MW,最大パルス幅5秒を出力するジャイロトロン4基を用いる.電子サイクロトロン波によるジャイロトロンが110GHzの高周波を発振するために必要な超伝導コイル(以降SCMと記す)は,ジャイロトロン内部のキャビティ付近に最大4.5Tの強磁場を発生する.この超伝導コイルの特徴は,4Kヘリウム冷凍機をコイルに搭載することによって,液体窒素を全く使用することなく運転することが可能であり,メンテナンス性が非常に優れていることである.ジャイロトロン用超伝導コイルを高出力・長パルスの環境で長期間継続運転した経験の報告は,これまであまりなく,大変貴重である.ジャイロトロン用超伝導コイルの運転経験から,ECH装置の運転における以下のような重要な知見を得た.4Kヘリウム冷凍機の交換時期の推定方法を試案して,ECH装置の順調な運転に寄与した.さらに,4Kヘリウム冷凍機停止が,150時間以下の場合には再起動後200時間程度以内でSCMの温度が通電可能温度(5.0K以下)まで到達することを実証できた.


310330
SILENEにおける臨界事故時線量評価解析(受託研究)
中村剛実* ; 外池幸太郎 ; 三好慶典
JAERI-Tech 2003-031; Mar.2003,38p.

 経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)が,各国の線量測定システムの相互比較を行うために,仏国バルデュック研究所の過渡臨界実験装置SILENEで臨界事故時線量評価国際比較試験を実施した.これは,同一の照射場において各国が線量測定を行い,測定結果を相互に比較するものである.筆者は,SILENEのγ線量及び中性子線量を測定するために本試験に参加した.使用した線量計は,TLD及びアラニン線量計である.この試験において,中性子用TLDの測定値である周辺線量当量から,組織吸収線量を算出するための中性子用評価式を導き出した.本評価式を用いて算出した組織吸収線量をOECD/NEAに報告した.中性子用評価式を検討する目的で,日本原子力研究所のTRACYにおいて中性子用TLDを照射した.中性子用TLDの結果は,MCNPによる計算とアラニン線量計の測定結果で比較検討した.その結果,中性子用評価式の結果はアラニン測定結果に対する比が0.94となり,6%以内で一致することがわかった.このTRACYの試験より,OECD/NEAに報告した値は同等の精度を有することが言える.


310432
JT-60高周波加熱装置制御システムの改良
篠崎信一 ; 森山伸一 ; 平内慎一 ; 佐藤文明*
JAERI-Tech 2003-032; Mar.2003,48p.

 JT-60高周波加熱装置において,近年制御システムの老朽化にともなう稼働率の低下が大きな問題となっていた.そこで,トラブルの主原因となっていたCAMACから構成される入射制御系を,マイクロプロセッサに置き換え信頼性をあげるとともに,自動入射波形設定機能を導入し,オペレータの負担を大幅に軽減させた.また,装置の監視部にはパソコンとネットワーク通信を用いたシステムに更新しシステム全体の保守機能を向上させた.この結果,RF加熱装置の稼働率が大幅に向上した.


310433
HTTR水素製造システム実規模単一反応管試験装置のヘリウムガス循環機の性能確認試験結果(受託研究)
清水明 ; 加藤道雄 ; 林光二 ; 藤崎勝夫 ; 会田秀樹 ; 武田哲明 ; 西原哲夫 ; 片西昌司 ; 高田昌二 ; 稲葉良知 ; 大橋弘史 ; 森崎徳浩 ; 榊明裕* ; 前田幸政* ; 稲垣嘉之 ; 重本雅光 ; 岩月仁*
JAERI-Tech 2003-033; Mar.2003,105p.

 HTTR水素製造システムのモックアップモデルとして建設した「実規模単一反応管試験装置」のヘリウムガス循環機に付き,2001年度に実施した総合機能試験結果を解析し,その特性を述べた.試験データを解析し,昇温値,電力,昇温値に関する性能曲線を求めた.また,これらの性能曲線を使い「循環機性能予測計算コード」を作成した.さらに,ヘリウムガス供給系主循環設備の全体圧力損失を評価した.ヘリウムガス循環機は,試験において圧力2.7MPa〜4.0MPa,流量250g/s〜400g/s,昇温値〜250kPaの運転が必要となるが,最大入力電力150kW,最大回転数12,000rpm以内という循環機運転制限値内で達成できることが確認できた.


310507
HTTR水素製造システム実規模単一反応管試験装置の機能試験結果報告(受託研究)
稲垣嘉之 ; 林光二 ; 加藤道雄 ; 藤崎勝夫 ; 会田秀樹 ; 武田哲明 ; 西原哲夫 ; 稲葉良知 ; 大橋弘史 ; 片西昌司 ; 高田昌二 ; 清水明 ; 森崎徳浩 ; 榊明裕* ; 前田幸政* ; 佐藤博之* ; 重本雅光* ; 岩月仁* ; 真野多喜夫*
JAERI-Tech 2003-034; May 2003,129p.

 HTTR水素製造システムの中間熱交換器から下流の水素製造設備を模擬した実規模単一反応管試験装置の機能試験の結果について報告する.本試験装置は,HTTR水素製造システムの水蒸気改質器反応管1本を実寸大で模擬した装置で,熱源には原子炉の代わりに電気ヒータを用いて,HTTR水素製造システムと同じ温度・圧力の条件で試験を行うことができる.試験装置は,平成9年より設計,製作を開始し,平成13年9月に据付を完了した.平成13年10月から平成14年2月まで実施した機能試験において,各設備の性能確認を行うとともに,高温ヘリウムガスを熱源として120m3N/hの水素製造を達成して,試験装置を完成させた.また,本報告では,機能試験時に発生した不具合事項とその対策についても合わせて述べる.


310434
着色酸化アルミニウム皮膜線量計の開発
小原建治郎 ; 八木敏明 ; 横尾典子* ; 柴沼清
JAERI-Tech 2003-035; Mar.2003,107p.

 高線量率(〜10kGy/h)下で高照射量(〜70MGy)測定が可能な色素線量計を開発した.本線量計は,アルミ合金の薄板表面に作製した酸化膜中にアゾ系の染料を含浸させたもので,丈夫で安価,測定が容易であるなどの特長を持っている.照射量は,γ線によって退色するアゾ線量の色相あるいは明るさの変化をマンセルの色立体に基づき調整してある分光式色差計によって測定し,別に作成する校正曲線を用いて知ることができる.報告では,本線量計の特性試験(線量計や酸化膜厚,染料種依存性,温度や紫外線による影響)のほか,実用化に向けての課題について述べる.


310331
非均質体系におけるJACSコードシステム解析結果の再評価; 燃料ロッドとU+Pu硝酸水溶液混在体系
高田友幸* ; 三好慶典 ; 片倉純一
JAERI-Tech 2003-036; Mar.2003,80p.

 臨界安全性評価コードシステムJACSのうち,多群定数ライブラリーMGCLと3次元モンテカルロ計算コードKENO-IVの組み合わせによる臨界計算の精度評価を行うために,ベンチマーク計算が1980年から1982年に実施された.その中で非均質体系において計算された中性子実効増倍率が0.95を下回るケースがいくつか見られた.本報告書ではJAERI-M 9859に示されている中性子毒を含むU+Pu硝酸水溶液体系のうちの非均質体系について,その原因を検討し,再計算を実施した.検討の結果,JAERI-M 9859に示されている0.95を下回る実効増倍率は,KENO-IVの計算モデルにおいて円筒容器の下部に水反射体が設定されていないことに起因することが判明した.これを考慮すると0.95を下回ることはなく,実験値1.0に近いものとなる.


310332
ROSA-V Large Scale Test Facility (LSTF) system description for the third and fourth simulated fuel assemblies
ROSA-Vグループ
JAERI-Tech 2003-037; Mar.2003,479p.

 大型非定常試験装置(LSTF)は,110万kW級のPWRを同一高さ及び体積比1/48で模擬し,小破断冷却材喪失事故や過渡事象時の熱水力応答を実規模圧力で総合的に模擬する試験装置である.またAP600に代表される次世代型炉をも良く模擬することができる.ROSA-V計画では,3次燃料集合体を使用したLSTFで89回の実験を実施し,2001年6月以降,新たに設置した4次燃料集合体を使用して5回の実験を行った.ROSA-V計画は,設計基準事故を超える事故を対象としたアクシデントマネジメント策の有効性確認をはじめ,将来型原子炉の新型安全系の有効性確認の実験,また非均一で多次元の熱流動現象を予測する計算コードやモデルの検証・開発に資する個別効果実験を実施してきた.本報は,3次及び4次燃料集合体を整備したLSTFの詳細情報を示し,実験計画立案と実験結果の解析に役立てるものである.


310435
JT-60U電子サイクロトロン加熱装置用入射制御系システムの構築と改良
平内慎一 ; 篠崎信一 ; 佐藤文明* ; 鈴木康夫* ; 横倉賢治 ; 森山伸一 ; 池田佳隆
JAERI-Tech 2003-038; Mar.2003,39p.

 JT-60U電子サイクロトロン加熱(ECH)装置は,周波数110GHzの高周波によりJT-60Uプラズマに対し局所加熱/電流駆動を行い,閉じ込め性能を向上させるものである.本装置は,4ユニットからなり各ユニットは,大電力の高周波を発生する大電力発振管(ジャイロトロン),それを駆動するための電源,発生した大電力高周波を伝送する伝送系及びプラズマに入射するアンテナなどから構成される.入射制御系の特徴は,プラズマ性能を向上させるため,アンテナの可動ミラ−を駆動してプラズマへの高周波ビームの入射方向を制御し,偏波変換器のミラ−を回転して高周波の楕円度や偏波角を任意に制御可能なことである.このシステムの設計,製作と運転経験をもとに行った改良について述べる.


310436
高速短パルス陽電子ビーム形成装置の開発
前川雅樹 ; 益野真一* ; 平野剛* ; 近藤政和* ; 河裾厚男 ; 伊藤久義 ; 岡田漱平
JAERI-Tech 2003-039; Mar.2003,52p.

 高温下・応力下など極限環境下にあるバルク試料の陽電子消滅寿命測定を行うために,高速短パルス陽電子ビーム形成装置を製作した.本装置は陽電子消滅寿命測定に必要な時間間隔を持つ陽電子パルスビームを形成するための低速陽電子ビームパルス化部と,パルス圧縮とビーム加速を同時に行うことができる可能な高周波加速管より構成されている.本装置の特徴は,パルス化に用いる1keVの低エネルギービームと最大1MeVの高エネルギービームという2種類のビーム制御を同時に行う点にある.電子ビームによる動作試験では,最大1MeVのビームエネルギーが達成可能であること,試料部にてφ0.5mmの低エミッタンスビームを形成できることを確認した.これらは陽電子測定に適合するものである.高速パルスビームの時間構造はサテライトパルスを含むものであったが,パルス化装置に入射する低速ビームのエネルギー広がりを低減すればシングルパルス形成が可能であるとの結果を得た.高速パルス陽電子ビーム形成では電子ビーム同様の加速エネルギーを確認した.エネルギー広がりに影響されにくいパルス化システムを構築しCW加速方式を採用することで高周波加速空洞を用いた陽電子消滅寿命測定システムを構築することが可能となることが明らかとなった.


310333
HTTR原子炉スクラム時の制御棒温度解析; 商用電源喪失試験の実測データに基づく評価
高田英治* ; 藤本望 ; 松田淳子* ; 中川繁昭
JAERI-Tech 2003-040; Mar.2003,23p.

 HTTRは1次冷却材の温度が最高約950℃に達するため,制御棒の金属材料には特殊合金としてAlloy800Hが使用されている.この制御棒の使用に関しては,Alloy800Hの強度データにより,制限温度を900℃以下と定め,これを超えるような環境で使用された場合には必要に応じて制御棒を交換することになっている.制御棒温度が900℃を超える可能性のある事象として高温試験運転からの商用電源喪失に伴う原子炉スクラムが挙げられる.本書では,出力上昇試験で得られた商用電源喪失試験時の実測データを用いて制御棒温度解析を実施した結果を示す.解析の結果,繰り返し使用を考慮した事象の中で制御棒温度が最も高くなる商用電源喪失が発生したとしても,制御棒温度は制限値を上回ることはなく,健全性が確保されることを確認した.


310334
高温ヘリウム漏えい箇所特定システムの開発(共同研究),2; 光ファイバ温度センサのHTTRへの適応性の検討
坂場成昭 ; 中澤利雄 ; 川崎幸三 ; 浦上正雄* ; 最首貞典*
JAERI-Tech 2003-041; Mar.2003,106p.

 高温ヘリウム漏えい箇所特定システムの開発の第2段階として,光ファイバ温度センサのHTTRへの適応性を検討した.光ファイバ温度センサは,漏えいしたヘリウムガスによる光ファイバの温度変化により漏えいの有無を検出する.本検討では,光ファイバ単体での検出方式に加えて,HTTRの高温機器用に保温材と一体となった検出方式の検討を行った.試験の結果,設定した目標時間2時間に対して,漏えい量が5.0〜20.0cm3/sでは,60分以内に漏えいを検知し,特に20.0cm3/sの漏えいでは,より早い漏えい検知が可能であった.


310335
照射キャプセル設計支援のための3次元温度計算用サブプログラムの開発
飛田正浩* ; 松井義典
JAERI-Tech 2003-042; Mar.2003,132p.

 炉内照射試験における照射温度の予測は,照射キャプセル設計において重要な項目の一つである.近年の照射試験では,種々の試験条件の要求に対応するため,複雑な構造のキャプセルが多く,照射温度の精度良い評価には,3次元計算を必要とするケースが増えている.しかし,3次元温度計算では一般に入力の作成等に複雑な作業を必要とし,多くのパラメータ計算を行う設計作業では大変な時間と労力を要する.このため,3次元有限要素法コードNISA1)(Numerically Integrated elements for System Analysis)の導入とともに,キャプセル設計者の入力作成作業を支援するサブプログラムを開発した.この結果,3次元温度計算がより容易に実施可能になるとともに,γ発熱率の自己遮へいによる構造物内部での減衰等の効果,炉内照射に特有の効果も取り扱えるようになった.


310336
HTTR高温試験運転の出力上昇試験計画
坂場成昭 ; 中川繁昭 ; 高田英治* ; 野尻直喜 ; 島川聡司 ; 植田祥平 ; 沢和弘 ; 藤本望 ; 中澤利雄 ; 足利谷好信 ; 川崎幸三 ; 伊与久達夫
JAERI-Tech 2003-043; Mar.2003,59p.

 HTTRは,原子炉出口冷却材温度950℃の達成を目指した高温試験運転による出力上昇試験を平成15年度に計画している.高温試験運転の実施にあたっては,被覆粒子燃料を使用し,ヘリウムガス冷却を行う我が国初の高温ガス炉であることを念頭に,これまで実施してきた出力上昇試験(定格運転30MW及び原子炉出口冷却材温度850℃までの試験)での知見をもとに計画する.高温試験運転においては,温度の上昇に従ってより厳しくなる,原子炉の核熱設計,放射線遮へい設計及びプラント設計が適切であることを確認しながら実施する.本報では,HTTRの安全性確保に重要な燃料,制御棒及び中間熱交換器について,定格運転モードでの運転データに基づき,高温試験運転時の安全性の再確認を行った結果を示すとともに,これまでに摘出された課題とその対策を示した.加えて,高温試験運転における試験項目摘出の考え方を示し,実施する試験項目を具体化した.その結果,原子炉施設の安全を確保しつつ,原子炉熱出力30MW,原子炉出口冷却材温度950℃の達成の見通しを得た.


310337
Accelerator technical design report for high-intensity proton accelerator facility projest, J-PARC
大強度陽子加速器プロジェクトチーム
JAERI-Tech 2003-044; Mar.2003,788p.

 大強度陽子加速器施設(J-PARC)計画の加速器技術設計の詳細を報告書として取りまとめたものである.本加速器は,400-MeV常伝導リニアック(600-MeV超伝導リニアック),3-GeVの速い繰り返しのシンクロトロン(RCS),50-GeV主シンクロトロン(MR)からなる.400 MeVのビームはRCSに入射され,3GeVまでRCSで加速され,1MWのビーム出力となる.RCSは核破砕パルス中性子源及びミュオン源を擁する物質生命科学実験施設にビームを供給する.一部はMRへ入射され,原子核素粒子実験施設またはニュートリノ生成標的に0.75MWの出力ビームを供給する.一方,超伝導リニアックで600 MeVまで加速されたビームは,核廃棄物変換実験施設で使用される.このように,本施設は世界的にもユニークな多目的加速器施設であり,多くの新しい発明,研究開発をもとに建設されるものである.


310508
熱流動解析コードPHOENICSを組み込んだ燃料溶液体系の動特性解析コードの開発及びTRACYの自然冷却特性実験の解析(受託研究)
渡辺庄一 ; 山根祐一 ; 三好慶典
JAERI-Tech 2003-045; Mar.2003,73p.

 燃料溶液体系の臨界事故では,正確な情報が必ずしも得られないことから,その熱流動の振舞いを把握するためにはパラメータサーベイ計算が必要である.しかし,一方では従来の熱流動解析計算は時間を要するため,許容できる計算精度の範囲内で計算時間を短縮できる実用的な計算手法が必要である.このため,汎用熱流体解析コードPHOENICSをサブルーチンとして取込み,熱流動を考慮した多領域動特性方程式に基づく中性子エネルギー1群の3次元動特性解析コードを作成した.核熱計算と流動計算の時間刻み幅を分離し,さらに出力の時間変化に応じて時間刻み幅を自動調整することによってコードの計算時間短縮化を図った.TRACYを用いた0.5ドルの反応度投入後の過渡出力に引き続く,緩やかな出力変化が5時間持続する自然冷却特性実験について解析計算を行った.実用的な時間の範囲内で計算が可能であり,出力及び温度変化についての解析値は実験値をほぼ再現する見通しを得た.


310509
水蒸気改質反応用触媒の反応特性(受託研究)
大橋弘史 ; 稲垣嘉之
JAERI-Tech 2003-046; May 2003,47p.

 炉外技術開発試験の試験項目の1つとして,HTTR水素製造システムと同温度・圧力条件下で水蒸気改質反応特性を明らかにすることを計画している.炉外技術開発試験における反応特性評価をより正確に実施するために,実験室規模の装置を用いて,メタン流量1.18×10-3〜3.19×10-3mol/s,反応温度500〜900℃,圧力1.1〜4.1MPa,メタンに対する水蒸気のモル比2.5〜3.5の条件下で,装置に依存しない触媒固有の性能である活性化エネルギーの評価を行った.この結果,炉外技術開発試験装置で使用する2種類のニッケル触媒の見かけの活性化エネルギーは,51.4及び57.4kJ/molであり,反応速度定数は圧力の-0.15〜-0.33乗に比例することを明らかにした.


310578
JT-60U電子サイクロトロン加熱装置の伝送系システム
横倉賢治 ; 平内慎一 ; 柴山実* ; 池田佳隆 ; 森山伸一 ; 篠崎信一 ; 佐藤文明* ; 春日井敦
JAERI-Tech 2003-047; Jun.2003,58p.

 本報告書は,JT-60U電子サイクロトロン加熱(ECH)装置の伝送系システムについて述べたものである.本装置は周波数110GHzを使用した,MW級の伝送系システムであり,基本設計,システム性能と特徴,建設での作業と過程,運転経験から建設に反映された改善について記述した.本伝送系では1系統あたり1.2MW,4秒の大電力伝送を実証し,伝送損失は基本設計と同等である20〜25%を得た.


310579
SPring-8原研軟X線ビームライン挿入光源ID23の位相駆動が誘起する閉軌道変動調査及び補正テーブルの作成
中谷健 ; 田中均* ; 高雄勝* ; 安居院あかね ; 吉越章隆 ; 竹内政雄* ; 青柳秀樹* ; 大熊春夫*
JAERI-Tech 2003-048; May 2003,29p.

 SPring-8原研軟X線ビームライン用挿入光源ID23は高速で位相駆動を行うのでその磁場変動は頻繁に発生する.その影響を抑えることを目的として,軌道変動抑制用補正励磁テーブルの作成を行っている.ビーム軌道変動データとID23の動きの相関を測定し補正テーブルを作成するためのデータを取得したので報告する.


310338
HTTR安全性実証試験(SR-1/S1C-1)の試験計画(受託調査)
中川繁昭 ; 坂場成昭 ; 高田英治* ; 橘幸男 ; 齋藤賢司 ; 古澤孝之 ; 沢和弘
JAERI-Tech 2003-049; Mar.2003,22p.

 高温ガス炉の固有の安全性を定量的に実証するために,HTTR(高温工学試験研究炉)を用いた安全性実証試験を行う.安全性実証試験のうち第1期の試験では,異常な過渡変化に相当する試験(ただし,スクラムなし)として,制御棒の引抜き試験及び1次冷却材流量の低下を模擬した試験を実施し,第2期の試験では,事故を模擬した試験を重点的に行う計画である.試験に対する挙動解析と実測データの比較検討により,炉心動特性コード,プラント動特性コード等の安全評価コードの高精度化と検証を行い,十分信頼性のある安全設計・評価技術を確立する.これらの成果は,高温ガス炉の安全設計方針,安全評価方針等の作成に役立てる.本報は,HTTRの安全性実証試験全体計画を示すとともに,2003年3月に計画している制御棒引抜き試験及び循環機停止試験の試験内容,試験条件,事前解析結果等について示す.


310510
有限要素解析ソフトの利用環境整備; ADVENTUREシステム利用手引書
山崎一郎* ; 吉村忍*
JAERI-Tech 2003-050; May 2003,58p.

 ITBL利用推進室では,ITBLの利用・普及を目的として,共有化ソフトウェア・データベースの整備や利用マニュアルの整備などを実施しており,その一環として超並列環境で高い並列処理性能を持つ設計用大規模並列有限要素法解析システム:ADVENTURE(代表開発者:東京大学教授,吉村忍)の利用環境整備を行った.本報告書では,ADVENTUREシステムの一連のプロセスの操作方法やPCクラスタへのインストール方法について報告する.


310580
JMTRベリリウム枠の一部更新
神永勝男 ; 坪井一明 ; 楠秀彦 ; 浅野典一 ; 箭内智博
JAERI-Tech 2003-051; May 2003,26p.

 JMTRは,1968年に初臨界に達し,2002年7月までに原子炉積算出力量で141,454.5MWdの運転を行い,この間に炉心のベリリウム枠の交換を過去4回行ってきた.過去4回の交換は東・西・北枠の全枠を交換してきたが,今回は,これまでの経験を踏まえて,高速中性子照射量が他の枠に比べて小さく,したがって曲がりも小さい東枠を継続使用とし,西枠及び北枠を新規製作し炉心に設置したことにより,予算の削減及び廃棄物の低減を図った.製作に際しては,継続使用する東枠の曲がり量を評価して,組立に用いるジョイントの寸法を検討した.2002年のオーバーホール時に行った交換作業は順調に推移し,予定どおり約1ケ月の作業で完了した.


310581
地域熱供給システムに利用する超小型原子炉の出力規模に関する検討
高橋博樹 ; 中島伸也 ; 楠剛
JAERI-Tech 2003-052; Jun.2003,59p.

 原子力エネルギーの利用拡大の視点から,民生用エネルギー,とりわけ冷房・暖房の空調用及び給湯用熱源としての利用に着目し,その可能性の検討を進めてきた.原子力エネルギーは,今までほとんど発電用として利用されてきたことから,熱供給システムの熱源としての利用検討はほとんど行われていない.本報告では,熱供給地域の短・長期的な熱需要変化を予測するため,モデル都市を設定して解析するとともに,熱供給システムの最適化検討を行った.特に,熱供給においては,熱供給可能範囲が半径5km程度であるとされているため,熱供給地域の熱需要に適した熱源規模を検討する意図は,システム全体像を把握するためにも重要は過程と言える.その結果,地域熱供給湯用原子炉としては,熱出力100MWtを基本として,必要な熱源を複数基で対応すること,初期導入されたシステムはその後30年以上の利用が可能であること,蓄熱あるいは蓄冷熱システムの導入が不可欠であることなどが明らかになり,熱供給用超小型炉の可能性を明らかにした.


310582
JT-60U ECH装置用ジャイロトロンにおけるアノード電圧制御による出力変調運転
寺門正之 ; 関正美 ; 下野貢 ; 五十嵐浩一* ; 満仲義加* ; 諫山明彦 ; 安納勝人 ; 池田佳隆
JAERI-Tech 2003-053; Jun.2003,25p.

 臨界プラズマ試験装置(JT-60U)では,電子サイクロトロン加熱(ECH)装置を用いて,局所的にプラズマを加熱あるいは電流駆動しプラズマの性能向上実験を実施している.また,プラズマの熱伝導率を測定し閉じ込め性能を調べるため,ECH装置の高周波源であるジャイロトロンの高周波出力を数十から数百Hz程度に変調し,プラズマ中へパルス的に入射している.JT-60Uでは,ジャイロトロンのアノード電圧を制御することで高周波出力の変調運転に成功した.アノード電圧を約10%変化させることで,変調度が約80%の出力変調運転を行うことができる.変調周波数は,12.2Hz〜500Hzである.なお,出力変調運転中に主モードの発振効率が低下することにより放射器が加熱される.この原因は,放射器入口部における寄生発振と推測される.しかし,放射器の温度を監視することでジャイロトロンを保護することができる.


310583
大強度陽子加速器計画1MW核破砕中性子源施設の設計; ヘリウムベッセルの設計
本村士郎* ; 寺奥拓史* ; 吉田勝彦* ; 高田弘 ; 前川藤夫 ; 春日井好己 ; 日野竜太郎 ; 渡辺昇 ; 古坂道弘*
JAERI-Tech 2003-054; Jun.2003,62p.

 大強度加速器計画(J-PARC)の中核施設である物質・生命科学実験施設では,核破砕反応により発生した大強度の中性子を物質・生命科学等の先端分野の研究に利用する.中性子源ステーションの中心部に設置するヘリウムベッセルは,多重防護のための一つのバウンダリを形成する容器であるため,地震等に対し構造健全性を確保することが重要である.また,ヘリウムベッセルは中性子ビームラインの原点並びに方位を規定する構造体であるため,中性子ビームポートの位置・姿勢精度を確保することが重要である.ヘリウムベッセルに収納するターゲット,モデレータ,リフレクタ,並びにヘリウムベッセルに組付ける機器である陽子ビーム窓は放射線損傷を受けるため一定期間運転後にリモートハンドリングによる交換が必要となる.したがって,これら機器の遠隔操作による交換が容易かつ確実に実施しできるように支持構造,位置決め構造及びシール構造を与えることが重要である.本報告書は,このようなヘリウムベッセルについて,設計方針・設計条件の策定を行うとともに強度及び温度解析評価を行い,基本構造仕様を得た結果をまとめたものである.


310626
大強度陽子加速器計画3GeVシンクロトロン用入射ダンプの熱解析
倉持勝也* ; 山本風海 ; 金正倫計
JAERI-Tech 2003-055; Jul.2003,148p.

 大強度陽子加速器計画において,3GeVラピッドサイクリングシンクロトロン(3GeV-RCS)用の入射ビームダンプは,黒鉛薄膜でH+に変換できなかったH-とH0ビームを吸収廃棄するために設置される.ビームダンプに吸収されるパワーは,現在の設計では1kWに達するため,ビームダンプの成立性を検討するうえで,ダンプにおける最高温度及び熱応力を評価する必要がある.そこで,MARSコードを用いて発熱分布を評価し,それを基にしてANSYS コードで温度と熱応力分布の解析評価を行った.その結果,1kW入射条件下で数回の運転サイクル(3週間のビーム運転と1週間のビーム停止期間を合わせて1サイクル)を繰り返した後,鉄部の中心で370Kに達するものの,ビームダンプの鉄部とトンネルのコンクリート壁との境界はコンクリートの許容耐熱温度よりも低い320K程度に抑制できることが分かった.また,最大ミーゼス応力(相当応力)は鉄部で96MPa,コンクリート壁で約0.2MPaとそれらの許容応力よりも低い値であった.


310584
瞬時計測型ボイド率計の改良; 即応型整流回路の設計
柴本泰照 ; 佐川淳* ; 井口正 ; 中村秀夫
JAERI-Tech 2003-056; Jun.2003,29p.

 原研では,THYNC装置を用いて核熱結合安定性試験を行っている.これは,電気ヒーター炉心によってボイド反応度フィードバックを実験的に再現するもので,シミュレーションには沸騰流路の平均ボイド率計測が重要な役割を果たしている.低周波の交流信号を沸騰流路内に印加し,気液二相流路内の二電極間電気インピーダンスを瞬時計測することでボイド率見積もりを行う.交流信号は,整流回路を用いて振幅の変化を直流信号として取り出される.初期の設計段階では整流回路の時定数が大きく,計測系の遅れが問題となっていた.炉心動特性模擬の観点でからは,ボイド率検出部の遅れは無視できるほど小さくする必要がある.本研究では,全波整流とピークホールド回路を組み合わせた回路を作成し,整流の遅れに対する問題を解決した.これは,位相遅れなしにキャリア周波数成分を低減できる方法として有効であった.


310585
Evaluation of neutronic characteristics of STACY 80-cm-diameter cylindrical core fueled with 6% enriched uranyl nitrate solution
柳澤宏司 ; 曽野浩樹
JAERI-Tech 2003-057; Jun.2003,39p.

 定常臨界実験装置(STACY)の次期実験炉心構成の核的安全設計を検討するために,6%濃縮硝酸ウラニル溶液を燃料とした80cm直径円筒炉心の核特性を計算解析によって評価した.本解析では,中性子断面積データとして最新の核データライブラリJENDL-3.3を使用した.SRACコードシステムの拡散コードCITATIONと連続エネルギーモンテカルロコードMVPを用いて中性子拡散及び輸送計算を行った.ウラン濃度(最大500gU/l),遊離硝酸濃度(0〜8mol/l),ガドリニウム及びホウ素の可溶性中性子毒物の濃度をパラメータとして炉心の臨界液位を得た.評価の結果,すべての臨界炉心はSTACYの運転に要求される過剰反応度,反応度添加率,安全棒による停止余裕に関する安全基準に適合することが確認された.


310586
Nuclear, thermo-mechanical and tritium release analysis of ITER breeding blanket
古作泰雄 ; 黒田敏公* ; 榎枝幹男 ; 秦野歳久 ; 佐藤聡 ; 佐藤真一* ; 大崎敏雄* ; 三木信晴* ; 秋場真人
JAERI-Tech 2003-058; Jun.2003,69p.

 ITERの増殖ブランケット設計は,中性子増倍材微小球充填層中にトリチウム増殖材微小球の管状充填層(BIT)を置く構造を採用している.設計は,遮蔽ブランケットと同一のモジュール支持構造と冷却マニフォールドを使用することを仮定したものである.本研究では,微小球充填層型増殖ブランケットに特有の設計課題である,トリチウム増殖性能核解析,トリチウム放出挙動解析,ペブル充填層を考慮した熱機械特性解析を実施し,設計が妥当であることを明らかにした.


310627
JFT-2M本体付属設備の制御システム
岡野文範 ; 鈴木貞明
JAERI-Tech 2003-059; Jun.2003,57p.

 JFT-2M本体付属設備は,JFT-2M本体装置を運転・維持管理するうえで必要とする周辺設備であり,真空排気設備,ガス導入設備,本体リークテスト設備,冷却設備,Heグロー放電洗浄・ボロナイゼーション設備及びベーキング設備からなる.ベーキング設備を除いた本体付属設備の制御システムは,平成12年度から14年度にかけて改造を行った.本体付属設備の従来の制御システムは旧式のため種々の機器の能力不足が著しく,JFT-2Mの多様な実験モードに対応できなくなってきた.そのため,制御システムはパーソナルコンピュータ(PC)を用いた統括制御により,設備内各機器からの大量な情報の収集機能や操作性の大幅な向上を図り,トラブルの早期発見・早期対策が可能なシステムに改造した.本報告書は,改造を行った本体付属設備の概要を含めて制御システムの機能を詳細に記載した.特にHeグロー放電洗浄・ボロナイゼーション設備については,制御機能に関する複雑でシーケンシャルな動きも詳細に記載し,運転マニュアルとしても用いることができる内容とした.


310628
JMTR計測用配管のき裂発生原因の調査報告書; JMTRホットラボにおける圧力計導管の検査に関するデータ集
き裂発生原因の調査ワーキンググループ
JAERI-Tech 2003-060; Jul.2003,183p.

 日本原子力研究所大洗研究所の材料試験炉(JMTR)において,平成14年12月10日に一次冷却系統の精製系統充填ポンプNo.1の出口配管に取り付けられた圧力計導管に水漏れが確認された.また,水漏れ停止後に行った外観観察及び浸透探傷試験の結果,当該圧力計導管にき裂が確認された.このため,水漏れ発生の原因と対策及び安全管理への取組みについて検討するために,日本原子力研究所内外の専門家から構成する「JMTR計測用配管水漏れ調査検討委員会」が平成14年12月16日に設置された.これを受けて,当該圧力計導管におけるき裂発生の原因を調査するためのワーキンググループを材料試験炉部に設置し,圧力計導管とその溶接部分を含む試料を切り出し,ホットラボ施設において外観検査,破面観察,金属組織観察,硬さ測定等を実施した.本報告書は,これらのデータをまとめたものである.


310629
SPring-8原研アンジュレータービームラインBL11XUの液体窒素循環冷却装置の立ち上げ・調整
桐山幸治 ; 塩飽秀啓 ; 戸澤一清*
JAERI-Tech 2003-061; Jul.2003,21p.

 X線の質及び強度を向上させるために,BL11XUでは液体窒素冷却したシリコン分光結晶(Si(111)とSi(311))を導入した.その分光結晶の冷却には内部循環方式の液体窒素循環冷却装置を採用した.この液体窒素冷却シリコン結晶を導入した後に放射光利用実験を円滑に進めるためには,液体窒素温度付近まで分光結晶を,安全かつ短時間に冷却することが望まれている.しかし,これまでは簡便な取り扱い説明書しか無く,立ち上げ手順や操作手順が系統的にまとめられていないために,必ずしも効率の良い作業ができるとはいえなかった.そこで今回,BL11XUで使用するために液体窒素循環冷却装置の取り扱い上のノウハウを含む系統的な手順書としてまとめた.その結果,装置本体の立ち上げを間違いなく確実に行うことができるようになり,速やかな装置立ち上げが可能となった.


310587
1次加圧水冷却器ヘリウム流量低によるHTTR自動停止の調査結果
高松邦吉 ; 中澤利雄 ; 古澤孝之 ; 本間史隆 ; 齋藤賢司 ; 石仙繁 ; 鎌田崇 ; 太田幸丸 ; 石井喜樹 ; 江森恒一
JAERI-Tech 2003-062; Jun.2003,94p.

 本報告は,平成12年7月8日に高温工学試験研究炉(High Temperature Engineering Test Reactor: HTTR,熱出力30MW)で生じた原子炉自動停止の調査結果をまとめたものである.原子炉運転中の1次ヘリウム循環機の振動センサの温度挙動により,パルス状の振動信号(擬似信号)が発生することを明らかにした.また,振動センサが温度の影響を受け難くなる熱遮へい対策,並びに擬似信号による循環機トリップ事象を除外するため,上下振動センサが同時にトリップ設定値を長時間越えた場合にトリップ動作を行うとする対策について報告するものである.


310630
D-T中性子スカイシャイン実験における2次γ線測定
田中良平* ; 落合謙太郎 ; 中尾誠* ; 山内通則* ; 堀順一* ; 和田政行* ; 佐藤聡 ; 西谷健夫
JAERI-Tech 2003-063; Jul.2003,62p.

 原研FNSにおいて天井に設けられているスカイシャインポートを開放した状態でD-T中性子のスカイシャイン実験を実施し,2次γ線の測定を行った.NaI(Tl)シンチレーション検出器を用いて,中性子発生源から最大300mまで測定を行った.それにより得られた実験データをアンフォールディングしてフラックスを求め,それに線量当量換算係数を掛け合わせ線量率を算出した.この線量率をモンテカルロコードMCNP-4Bによるシミュレーション計算により得られた値と比較した結果,実験値と計算値は20%内で一致した.この測定で得られた線量率から300mまでではあるが半経験式の導出を行った.また高純度Ge半導体検出器を用いて発生中性子に起因する建屋依存による周辺での2次γ線核種同定の測定を実施した.その結果,建屋構造材に使用されている鉄からのピークを検出した.また,水素,ケイ素の放射捕獲反応によるピークが検出されたことから,2次γ線の発生源はこれまで考えられていた中性子と空気との散乱反応よりむしろ,土等によるスカイシャイン中性子の放射捕獲反応が主になっていることを示唆する結果を得た.


310806
JMTR計測用配管のき裂発生原因の調査報告書; 配管部の振動解析と応力解析の結果
塙悟史 ; 橘幸男 ; 伊与久達夫 ; 石原正博 ; 伊藤治彦
JAERI-Tech 2003-064; Jul.2003,25p.

 材料試験炉(JMTR:Japan Materials Testing Reactor)は,第147サイクルの共同利用運転中に,一次冷却系統の精製系統充填ポンプNo.1の出口配管に取り付けられた圧力計導管からの水漏れが確認されたため,12月10日に原子炉を手動停止した.当該圧力計導管については,充填ポンプが加振源となり圧力計導管が振動し,その繰り返し荷重によりき裂が発生・進展した可能性がある.このため,当該部の振動解析と応力解析を実施した.振動解析の結果,充填ポンプNo.1圧力計導管の固有振動数は53〜58Hz程度と推定され,共振周波数である50Hz(充填ポンプ回転数)に近い状態にあった.応力解析の結果,振動により当該圧力計導管に発生する応力は固有振動数53Hzで63MPa,58Hzで25MPaと求められた.振動による応力と,自重と内圧による応力の合計値を計算すると,固有振動数53Hzで112.2MPa,58Hzで74.2MPaになる.これらの発生応力は使用材料の疲れ限度に近い値であり,充填ポンプNo.1の圧力計導管に生じたき裂は,充填ポンプの振動に起因する疲労によるものと推測された.


310631
棒状燃料格子間隔1.5cmのSTACY非均質炉心の核特性解析
曽野浩樹 ; 深谷裕司 ; 柳澤宏司 ; 三好慶典
JAERI-Tech 2003-065; Jul.2003,61p.

 日本原子力研究所の定常臨界実験装置STACYでは,2003年度に,非均質炉心での臨界実験が計画されている.当該炉心は,硝酸ウラニル溶液(235U濃縮度6wt%)及び格子間隔1.5cmの二酸化ウラン棒状燃料(235U濃縮度5wt%)333本で構成される.その実験に先立ち,当該炉心の核的安全性及び核的制限値の評価を目的とする核特性解析を行った.解析対象とした項目は,臨界,反応度及び原子炉停止余裕に関するパラメータである.解析には,モンテカルロコードMVP及び核計算コードシステムSRAC,断面積ライブラリにはJENDL-3.3を用いた.計算された核特性値からそれらを補間するための簡易推定式及び当該炉心の核的制限値を評価した.また,当該実験のすべての燃料条件下において,原子炉停止余裕が安全基準に適合する見通しであることを確認した.


310714
超高真空中におけるSi(001)表面へのCH3Clの化学吸着
今中壮一* ; 岡田美智雄* ; 笠井俊夫* ; 寺岡有殿 ; 吉越章隆
JAERI-Tech 2003-066; Aug.2003,36p.

 Si(001)表面と有機分子との反応は,LSI,分子素子,センサー,非線形光学材料,触媒,コーティングや防腐食など非常に幅広い応用が期待されていることから,多くの研究がなされている.なかでも,CH3Clの解離吸着反応は,ダイヤモンド薄膜やシリコンカーバイド薄膜の生成に関して重要となる.解離吸着のメカニズムを完全に解明するうえでは衝突CH3Clの分子配向を制御した研究が必要となってくる.その基礎研究として,超高真空下における清浄なSi(001)表面へのCH3Clの吸着の様子を走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて観察した.その結果,Si(001)表面上へのCH3Clの解離吸着は,CH3Cl(g)→CH3(a)+Cl(a) , CH3Cl(g)→CH3(a)+Cl(g)の2つの経路を経由することがわかった.


310632
JMTR運転中の自動制御棒の挙動解析
長尾美春 ; 宮澤正孝 ; 小向文作 ; 藤木和男
JAERI-Tech 2003-067; Jul.2003,33p.

 大洗研究所JMTR(定格出力50MW)は,第145サイクルの共同利用運転を行っていた2002年5月14日午前11時40分頃,「制御棒外部コイル追従不良」のスクラム信号が発信し自動停止した.本件について原因調査を行った結果,5本の制御棒のうちの一つであるSH-3について追従不良検出回路のリレー端子に緩みがあり,接触不良によってリレーが作動してスクラム信号が発信したと判断された.しかし調査の過程で,自動制御棒に使用されていた制御棒SR-1位置の記録から,自動停止前数時間のSR-1の挙動が複雑で実際に追従不良が生じた可能性も否定できなかったため,SR-1の挙動について,原子炉の動特性の観点から分析を行った.その結果,当日午前7時前後から自動停止に至る約5時間のSR-1の位置変化は,1次冷却水の温度変化による減速材温度反応度,運転員による出力調整,燃料中の235Uの燃焼による反応度変化,の影響が重なり合ったものであることがわかった.


310633
γ線照射下における硝酸溶液中のヨウ素種存在割合の測定
岡川誠吾 ; 永井斉 ; 阿部仁 ; 田代信介
JAERI-Tech 2003-068; Aug.2003,17p.

 再処理施設における臨界事故時に,核燃料溶解液から放出されるヨウ素の放出機構を解明するには,さまざまな溶液条件でのヨウ素の酸化還元特性を調べることが必要である.本研究では硝酸濃度,1M, 3M溶液中で同特性に対するγ線照射の影響を調べるとともに,有機ヨウ素種の生成に関係する有機種とγ線照射効果について簡単な検討を行った.γ線を照射しない場合,硝酸濃度1M溶液では大部分のヨウ素がI3-で存在したのに対して,硝酸濃度が3M以上ではI2まで酸化された.照射線量4C/kg以上のγ線照射をすると硝酸濃度に関係なく,I3-は存在しなかった.照射線量120C/kgのγ線照射では硝酸濃度に関係なく,ヨウ素はIO3-まで酸化された.照射線量4800C/kgのγ線照射を行うと,硝酸濃度1M溶液では,大部分がIO3-であったのに対して,硝酸濃度3M溶液では大部分がI2となり還元が進んだ.この溶液中には,硝酸がγ線照射によって一部分解したと考えられる亜硝酸イオンの生成を確認した.使用した有機種とγ線照射の結果,有機ヨウ素種の生成は確認できなかった.


310807
Effects of volume fraction and non-uniform arrangement of water moderator on reactivity
Cao, X* ; 須崎武則 ; 久語輝彦 ; 森貴正
JAERI-Tech 2003-069; Aug.2003,36p.

 燃料棒の貯蔵と輸送に関する臨界安全性の観点から,日本原子力研究所の軽水臨界実験装置TCAを用いて,水ホールの大きさ,水ギャップ幅,軽水対燃料体積比及び軽水減速材の非一様配置の反応度への影響を評価する実験が行われている.本研究では,軽水減速材の体積比率と非一様配置の反応度への影響を水位反応度差法により評価するとともに,SRACコードを用いて解析評価した.実験値と解析値の持つ誤差,特に解析におけるエネルギー群モデルについて検討した.17群モデルを用いた拡散計算による解析結果は実験結果と最大数十セント以内で良い一致を示した.


310808
溶融塩と金属材料の共存性試験,2
椎名保顕 ; 栗木良郎*
JAERI-Tech 2003-070; Aug.2003,47p.

 溶融塩を用いた潜熱蓄熱技術を用いると,高温から中温までの熱負荷変動を相変化潜熱で吸収させることができる.これを,高温ガス炉の複数の熱利用系の後段に取り付けることにより,核熱を高温から低温までカスケード的に利用することが可能となる.この場合,溶融塩と金属材料との共存性が問題となる.本研究では,前報に引き続き,溶融塩としてCaCl2+NaCl, LiCl, Li2CO3, NaClの4種類を,また,金属構造材料としては,アロイ600, ハステロイB2, ハステロイC276, SUS310S及び純ニッケルを選択し,100時間の耐食性試験を実施して共存性を調べた.実験の結果,純ニッケルが卓越した耐食性を示した.ニッケル基合金であるアロイ600, ハステロイはLi2CO3, NaClに対して比較的低い耐蝕性を示した.SUS310Sはニッケル基合金と同程度の耐食性を示した.多少の腐食を許容するのであれば,一般に用いられるSUS310Sも構造材料の候補になりうると考えられる.溶融塩では, Li2CO3が腐食性が高く,蓄熱材料として用いるには注意を要すると考えられる.


310809
RI・研究所等廃棄物の埋設処分における安全評価上重要核種の選定,2; 原子炉施設及び照射後試験施設から発生した廃棄物の核種分析手法の検討
浅井志保 ; 坂井章浩 ; 吉森道郎 ; 木原伸二
JAERI-Tech 2003-071; Aug.2003,46p.

 RI・研究所等廃棄物処分の放射能インベントリー調査において,実廃棄物を対象とした放射化学分析により,計算・記録により求めた核種組成比の検証を行うため,原子炉施設及び照射後試験施設から発生した廃棄物を対象として,RI・研究所等廃棄物の核種組成比にかかる特徴を考慮した分析スキームを検討した.本分析法は,分離工程を合理化するものであるが,59Ni及び238Uのような組成比の小さい核種を含む全ての核種について相対誤差が数〜10%程度で定量値が得られ,かつ各分離系統における回収率がおおむね良好であった.これらの結果から,検討した分析スキームは,原子炉施設及び照射後試験施設から発生する廃棄物の放射化学分析法として簡便かつ妥当であることを確認した.


310810
JRR-2の解体,1
中野正弘 ; 有金賢次 ; 大川浩 ; 鈴木武 ; 岸本克己 ; 照沼章弘 ; 矢野政昭 ; 桜庭直敏 ; 大場永光
JAERI-Tech 2003-072; Aug.2003,92p.

 JRR-2の解体計画及び第3段階前半までの解体工事の実施内容,放射性廃棄物発生量及び放射線業務従事者の被ばく等についてまとめた.JRR-2は我が国最初の汎用研究炉として,昭和35年10月に初臨界を達成以来,原子力の研究・開発に利用されてきたが,原研の「長期事業計画」(平成8年1月)に基づき平成8年12月に原子炉を永久停止し,平成9年5月原子炉の解体届を提出した.解体工事は,平成9年度から平成19年度までの11年間を4段階に分けて実施し,第4段階で原子体を一括撤去した後残存する原子炉建屋等を有効利用する計画で,平成9年8月工事を開始した.第1段階の原子炉の機能停止措置等は平成10年3月に,第2段階の原子炉冷却系統施設の系統隔離及び原子炉本体の密閉等は平成12年2月に,第3段階前半のトリチウム等の除染試験等は平成14年3月にそれぞれ計画どおり終了した.現在,平成15年度末終了の計画で,第3段階後半の原子炉冷却系統施設等の撤去工事を実施している.


310811
炉心シュラウドにおけるき裂進展解析による健全性評価に関する調査(受託研究)
鬼沢邦雄 ; 堤英明* ; 鈴木雅秀 ; 柴田勝之 ; 上野文義 ; 加治芳行 ; 塚田隆 ; 中島甫*
JAERI-Tech 2003-073; Aug.2003,125p.

 沸騰水型原子力発電所炉心シュラウドのひび割れに関し,原子力安全委員会による事業者による健全性評価報告書の妥当性確認に資するため,SCC進展評価線図の妥当性,き裂進展量の評価,及び健全性評価に関する調査を実施した.調査は,東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所3号機のシュラウド下部リング部及びサポートリング部,並びに福島第一原子力発電所4号機のシュラウド中間胴部の溶接部近傍に確認された応力腐食割れを対象とした.SCC進展評価線図に関しては,リング部の材料・環境条件に対するSCC進展評価線図のデータを分析し,日本機械学会維持規格の線図の保守性を確認した.き裂進展量の評価に関しては,き裂形状のモデル化を行い,最適な応力拡大係数算出式を採用してき裂進展解析を行った結果,リング部及び中間胴部ともに,事業者の評価結果が保守的であることを確認した.シュラウドにき裂が存在する場合について,剛性の低下に関する構造解析を実施した結果,剛性低下はわずかであり,地震荷重に対するき裂の影響は小さいことを確認した.シュラウドの健全性に関して,運転時及び地震時の荷重条件から必要残存面積及び許容き裂長さを算定し,き裂進展解析結果と比較を行った.この結果,リング部及び中間胴部ともに,実運転4年間後も健全性は確保されることを確認した.


310812
Safety demonstration test (S1C-2/S2C-1) plan using the HTTR (Contract research)
坂場成昭 ; 中川繁昭 ; 高田英治* ; 橘幸男 ; 齋藤賢司 ; 古澤孝之 ; 高松邦吉 ; 栃尾大輔 ; 伊与久達夫
JAERI-Tech 2003-074; Aug.2003,37p.

 高温ガス炉固有の安全性を定量的に実証し,また第4世代原子炉(Generation IV)の候補の一つであるVHTRの研究開発に資するため,HTTR(高温工学試験研究炉)を用いた安全性実証試験が実施されている.安全性実証試験のうち第1期の試験では,異常な過渡変化に相当する試験として,制御棒の引抜き試験及び1次冷却材流量の低下を模擬した試験を実施し,第2期の試験では,事故を模擬した試験を重点的に行う計画である.本報は,2003年8月に計画している循環機停止試験の試験内容,試験条件,事前解析結果等について示す.事前解析の結果,循環機停止後,負の反応度フィードバック特性により原子炉出力が低下し,原子炉が安定に所定の状態に落ち着き,この間の炉内温度変化が緩慢であることが示された.


310907
JT-60U LHRF加熱装置用クライストロンの低出力・長パルス試験
下野貢 ; 関正美 ; 寺門正之 ; 五十嵐浩一* ; 石井和宏* ; 高橋正己* ; 篠崎信一 ; 平内慎一 ; 佐藤文明* ; 安納勝人
JAERI-Tech 2003-075; Sep.2003,29p.

 第一壁洗浄に有効な電子サイクロトロン共鳴(ECR)放電洗浄(DC)をJT-60Uで実証するために,高周波源としてJT-60U低域混成波(LHRF)加熱装置用クライストロンの低出力・長パルス試験を行った.LHRF加熱装置用クライストロンは,2GHz帯で単管当たり1MW-10秒出力性能を持つが,長パルス運転のために動作条件を変更しなければならない.そのために,まず電源性能から長パルス運転が可能となるビーム電流を評価した.この結果,ビーム電圧72kV,ビーム電流4.4Aにおいて電源は定常運転が可能であることが判明した.このビーム電圧及び電流において空洞共振器を調整した結果,クライストロン出力40kWを得た.さらに,出力40kWレベルで模擬負荷を用いて60秒の長パルス試験を行い,クライストロンのコレクター温度が約20秒で120℃の飽和温度になり,コレクター冷却性能から定常運転が可能と判断した.JT-60UでのECR-DC実験では,約30kW-45分の運転に成功した.


310908
核熱利用システムによる水素及びDME製造の経済性評価(共同研究)
椎名保顕 ; 桜木洋一* ; 西原哲夫
JAERI-Tech 2003-076; Sep.2003,52p.

 水素エネルギーは2020年頃の普及を目標に開発が行われている.しかし,水素の利用が社会の隅々まで普及するには長い時間がかかると考えられ,それまでの間,液体燃料と水素が併行して使われるものと考えられる.近年,そのような見地から,DME等の石油代替燃料が注目されてきている.それらは,水蒸気改質法により製造される合成ガスから作ることができるため,水素とともに高温ガス炉の核熱を利用した化学プロセスの候補になりうると考えられる.そこで,本研究では,水素とDMEを取り上げ,それらを商用プラントで生産する場合と熱源として核熱を利用して生産する場合について経済性評価を行った.その結果,一般産業による製品に比べて核熱を用いて生産した方が,水素の場合には約7%程度,また,DMEの場合は約3%程度安くなることが示された.CO2削減効果を評価すると,核熱の有効性はさらに高くなる.


310985
独立行政法人等研究開発機関基幹業務システム構築に関する考察
阿部真也* ; 仲田裕 ; 飯塚知章 ; 山岸耕二郎 *
JAERI-Tech 2003-077; Oct.2003,233p.

 わが国においては,経済の成熟化,市場の国際化等々の状況に適切に対応できるよう,地方分権化の推進,民間活動領域の拡大等の観点から行政改革が進められている.その一環として原研とサイクル機構は統合して独立行政法人となることとなった.独立行政法人制度には,効率的で透明性の高い組織・運営の実現を図るねらいがこめられている.本考察は,新法人が事務処理の効率化のみならず,情報公開に対応し,研究活動を効果的に支援できる財務・会計処理を行う基幹業務システムを構築することに資することを目的としている.


310986
モンテカルロ法臨界計算収束性ガイド資料; 原子力コード評価専門部会平成13,14年度活動成果
原子力コード研究委員会原子力コード評価専門部会
JAERI-Tech 2003-078; Nov.2003,107p.

 核分裂性物質を含むユニット間の中性子結合の弱い相互干渉系を対象とするモンテカルロ法臨界計算では,解の収束緩慢性が問題になることがある.本報告では,この種の問題に対する適切な判断と解決方法の手がかりを与えられるように,基礎的な臨界計算の理論と収束性にかかわる応用理論を主として述べてある.このためには,この科学技術分野にかかわる論文の現状調査を広く行って,その内容を検討・参考とし,必要に応じてガイド資料に引用した.さらに,核分裂マトリックス固有ベクトルを利用したモンテカルロ法臨界計算の収束性加速及び判定方法の開発を行い,経済協力開発機構原子力科学委員会(OECD/NEA/NSC)の臨界収束性専門家会合で提案されたベンチマーク問題の多種多様な物理体系により手法の検証を行った.


310987
JT-60U LHRF加熱装置のアンテナ先端部の損傷対策
石井和宏* ; 関正美 ; 下野貢 ; 寺門正之 ; 五十嵐浩一* ; 高橋正己*
JAERI-Tech 2003-079; Oct.2003,22p.

 JT-60Uでは,定常化運転を目指した開発研究の一つとして,低域混成波帯(LHRF)の高周波を用いた電流駆動の研究を行っている.その研究において,装置技術的課題は,LHRF加熱装置の重要な機器である大電力LHRFアンテナの開発である.LHRFアンテナは,効率的に高周波をプラズマに入射するために,プラズマから近い位置に置かれている.そのためLHRFアンテナは常にプラズマからの熱にさらされ,また大電力高周波の入射が要請されるため,先端部におけるプラズマからの熱負荷による溶融や高周波放電による溶融・変形が問題となっていた.その結果,プラズマへの入射パワーは徐々に減少してきた.この対策として,LHRFアンテナのエージングを行って,耐高周波電界性能の向上を図った.また,赤外線カメラによるLHRFアンテナの温度監視,LHRFアンテナ位置の調整,入射パワーを断続的に変調する電流駆動法の開発,そしてアークセンサによる高周波放電を検知して,LHRFアンテナ先端部の損傷を防止する保護対策を実施してきた.


310988
JT-60U ECH装置用110GHzジャイロトロンの運転実績
高橋正己* ; 関正美 ; 下野貢 ; 寺門正之 ; 五十嵐浩一* ; 石井和宏* ; 春日井敦
JAERI-Tech 2003-080; Nov.2003,27p.

 JT-60Uでは,局所的な加熱・電流駆動によるプラズマの安定性改善や予備電離の実験を行うことを目的として,電子サイクロトロン加熱(ECH)装置を導入してきた.JT-60UのECH装置は,動作周波数110GHz・高周波出力約1MWの発振管(ジャイロトロン)4基を持ち,2基の可動ミラー型アンテナを使用してJT-60Uプラズマへ入射するシステムである.110GHzを含む極めて高い周波数のミリ波帯での高出力発振は10年前まではなく,近年ITER用に開発されてきたジャイロトロンで初めて実現された.そのため,ジャイロトロンの運転にはさまざまな調整が必要である.ヒーターエージング後に,磁場調整,アノード電圧調整により1MWの発振条件を見つけ,その後,パルス幅を伸ばすエージングを行い,秒オーダーの運転を実現した.さらに,高出力,長パルスで安定な運転を行うため,ジャイロトロン管内で発生する不要高周波を吸収するRF吸収体を内蔵する改良を行った.その結果,1MW-5秒の設計目標を達成するとともに,4基のジャイロトロンでプラズマに約10MJの世界最高のミリ波エネルギーを入射できた.


310989
HTTR出力密度分布評価における拡散計算モデルの検討
高松邦吉 ; 島川聡司 ; 野尻直喜 ; 藤本望
JAERI-Tech 2003-081; Oct.2003,49p.

 HTTR炉心の燃料最高温度の評価においては,炉心出力密度分布の予測精度向上が重要であり,炉心管理コードとしても用いられる拡散燃焼計算モデルの改良を図る必要がある.拡散計算によるHTTR炉心の出力密度分布解析について,可燃性反応度調整材(BP)を燃料体内に均質に分布させたモデル(BP混合モデル)とBP領域を分離したモデル(BP分離モデル)の解析結果を,グロスγ線による出力密度分布測定結果及び連続エネルギーモンテカルロ計算コードMVPの計算値と定量的に比較した.その結果,BP混合モデルでは,炉心の軸方向出力密度分布に対する予測精度が不十分であること,BP分離モデルを用いることにより,予測精度が大幅に改善されることがわかった.


310990
JT-60U放電洗浄試験における排ガス組成の分析
堀川豊彦* ; 神永敦嗣 ; 中村博文 ; 東島智 ; 新井貴 ; 久保博孝 ; 小西哲之* ; 西川正史*
JAERI-Tech 2003-082; Dec.2003,66p.

 放電洗浄中の真空容器内からの排ガスの組成を調べることは,水素同位体の除去特性の評価のための基本的な事項であるとともに,核融合炉の燃料サイクルシステム設計上有益なデータとなる.JT-60Uで実施した放電洗浄試験において,ガスクロマトグラフを用いて真空容器から排出される水素,炭化水素等の化学種の濃度及びそれらの時間挙動を分析した.排ガスからは水素,炭化水素等が検出され,真空容器第一壁温度が高いほど,また洗浄方法ではグロー放電洗浄(GDC)において,化学種が増加する傾向が見られた.排出能力は,GDCで最も高く,テイラー放電洗浄と電子サイクロトロン共鳴放電洗浄では低く,別途測定されたトリチウムの排出との相関が認められた.炭化水素の化学種としてメタン,エチレン,アセチレン及びエタンが検出された.生成量はH2を用いたGDCで大きく,また第一壁温度に依存した.ITERの重要課題であるトリチウム炭素共堆積層の除去の観点から,反応に伴う炭素消費量を評価し,GDC1時間あたり単一層程度の除去であることがわかった.


310991
ITER真空容器溶接部のすきま腐食感受性評価
中平昌隆
JAERI-Tech 2003-083; Nov.2003,79p.

 ITER真空容器は,二重壁構造となっており,二重壁内部に冷却水を使用することが想定されている.この二重壁の外壁と補強リブの溶接継手には,部分溶け込み溶接が採用される予定であるが,この継手の冷却水に接する部分に,溶接に起因する,長さ5mm以下,すきま0.5mm以下のすきまが生じる.冷却水の水質などの環境条件によっては,このすきま部にすきま腐食の発生が懸念されている.したがって,この溶接継手すきま部の,すきま腐食感受性を評価する必要がある.ここでは,すきま腐食臨界電位概念に基づき, ITERの通常運転中の冷却条件である150℃の運転温度,200℃でのベーキング温度及び異常時点検用の乾燥後の通水プロセスなどの環境を模擬し,加速のために濃度を高めた複数の塩化物イオン環境下において,実機溶接すきま部のすきま腐食感受性を評価した.具体的には,SUS316L材から金属すきま試験片を作成し,上記条件のもとで,腐食すきま再不働態化電位(ER,CREV)の測定を実施した.得られた塩化物イオン濃度依存性データと,当該環境の定常腐食電位の推定値から局部腐食臨界電位概念に基づき,ITER溶接部のすきま腐食感受性を評価した.


310992
Quantitative experiments on thermal hydraulic characteristics of an annular tube with twisted Fins
江里幸一郎 ; 大楽正幸 ; 谷口正樹 ; 佐藤和義 ; 鈴木哲 ; 秋場真人
JAERI-Tech 2003-084; Nov.2003,49p.

 核融合炉内プラズマ対向機器用高性能冷却管開発の一環として,ねじりフィン付き同軸2重管(同軸スワール管)の限界熱流束(CHF)及び圧力損失の測定実験を行った.本冷却管は外管及び外壁にねじりフィン加工が施してある内管から構成される.冷却水はまず内管に供給され,端部のエンドプラグで外管と内管間の環状流路へ折り返し流れ,高熱流束を受ける外管を冷却する.この冷却構造により,プラズマ対向機器端部で問題となる冷却水折返用曲管を必要としない設計を可能とした.本冷却管では,高熱流束を除去するために環状流路にねじりフィンを導入し旋回流を発生させているが,このような流れの熱流動データはこれまで,ほとんど測定されていない.本実験の結果,本同軸スワール管のCHFは同外径寸法のスワール管と同等であることを確認できた.このとき,ITERダイバータ冷却に必要なCHF値(28MW/m2)を得るのに必要な冷却水の最小軸流速は7.1m/secであった.また,原研が開発したスワール管の熱伝達相関式が同軸スワール管に適用可能であることを示した.端部の折返し部の圧力損失は,外管内径と同半径の半球状エンドプラグで最小となることが確認され,環状旋回流部の圧力損失及び管摩擦係数を評価した.


310993
核変換実験施設の概念検討,4; 核変換物理実験施設の安全性検討
辻本和文 ; 田澤勇次郎* ; 大井川宏之 ; 佐々敏信 ; 高野秀機
JAERI-Tech 2003-085; Nov.2003,158p.

 加速器駆動未臨界システム(ADS)を用いた核変換技術の炉物理に関する研究開発を目的とした「核変換物理実験施設」の安全性の検討を行った.まず,実験施設の設計に反映させるために,以前に作成した「核変換物理実験施設の安全設計方針」及び重要度分類を見直し,安全設計方針の各項目に対する適合のための設計方針を検討した.この結果に基づき,陽子ビーム導入にかかわる機器・系統及び安全上重要な機器・系統について具体的な設計方針と主要設備の検討を行った.また,安全上重要な機器・系統に関する設計方針の検討結果を反映して,以前に実施した安全評価の判断基準,主要な解析条件及び予備解析結果の再評価を行った.この際に,公衆被ばく評価事象については,ICRP1990年勧告を取り入れて改訂された安全評価指針類に基づく線量評価を行った.さらに,核変換物理実験施設における設計基準外事象として,再臨界事象に伴う炉心崩壊事故を最新の知見及び計算機コードを用いて解析した.解析の結果,再臨界事象時においても原子炉建家の閉じ込め性能は十分確保される見込みであることがわかった.


310994
燃料体からのグロスγ線の計測によるHTTR炉心の出力分布評価
野尻直喜 ; 島川聡司 ; 高松邦吉 ; 石井喜樹 ; 河野修一 ; 小林正一 ; 川本大樹 ; 伊与久達夫
JAERI-Tech 2003-086; Nov.2003,136p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)の出力分布を定量的に確認するために,燃料体の核分裂生成物から発生するグロスγ線を測定する出力分布測定実験を行った.測定した燃料体は使用中の燃料であり,平均燃焼度は約4400MWD/tであった.運転停止中に炉内から燃料体を一時的に取り出した状態でGM管によりγ線測定を行い,3次元の出力分布の情報を得ることができた.測定実験の決定誤差は,燃料コンパクト1個当たりの軸方向については3〜6%,燃料体1体当たりの炉心径方向及び軸方向については4%であった.実験結果からHTTRの出力分布はおおむね設計の通りであることが明らかになった.また,モンテカルロコードMVPと核種生成消滅コードORIGEN2によるγ線分布の計算値は測定値とよい一致を示した.本報は,出力分布測定実験の測定方法,測定手順,測定データの分析,補正方法,測定結果の評価及び計算値との比較についてまとめたものである.


310995
Applicability of LBB concept to tokamak-type fusion machine
中平昌隆
JAERI-Tech 2003-087; Dec.2003,28p.

 トカマク型核融合装置は,プラズマの自動消滅という固有の安全性を有している.わずか0.1g/s以下の水リークによりプラズマが消滅するが,この際ディスラプションを起こすことがある.このプラズマディスラプションは,真空容器及びプラズマ対向機器に電磁力を発生させる.真空容器は,トリチウムや放射性ダスト等の物理障壁であり,もし貫通き裂からのリークによって発生する電磁力に対し,不安定破壊することがなければ,構造安全性は確保され,固有の安全性を実証することになる.本報告では,上記のような破断前漏洩(Leak Before Break, LBB)概念の真空容器への適用性を評価するため,解析モデルを構築し,クラック状の貫通き裂を模した真空リーク試験によりその妥当性を検証した.本解析により,プラズマを消滅されるための限界き裂長さは約2mmと見積もられ,一方真空容器を不安定破壊させる限界き裂長さは約400mmと見積もられた.したがって真空容器は貫通き裂からのリークによって発生する電磁力に対し,不安定破壊することは無いと結論づけられ,構造安全性を確保するとともに固有の安全性を実証した.


320007
NSRRにおけるICRP Publication 60を採り入れた事故時の線量評価,平成15年
加島洋一 ; 滝光成 ; 菊地正光 ; 笹島栄夫 ; 中村武彦
JAERI-Tech 2003-088; Dec.2003,100p.

 現在NSRRでは,発電炉で照射した燃料を,発電炉の温度及び圧力条件の下で,パルス照射実験を行うこと等を計画し,準備を進めている.本報告書は,準備の一環として実施した事故時の周辺公衆の線量評価(安全設計評価及び立地評価)へのICRP Publication 60を採り入れた評価結果について述べたものである.評価の結果,線量評価に関する安全性及び立地評価の適否を判断する基準を十分満足することを確認した.


320008
SPring-8原研軟X線ビームラインBL23SUにおける四象限ブレード型光位置モニターの導入
安居院あかね ; 青柳秀樹* ; 吉越章隆 ; 中谷健
JAERI-Tech 2003-089; Dec.2003,23p.

 大型放射光施設の原研専用軟X線ビームライン用四象限グレード型光位置モニターを導入した.本光位置モニターは,可変偏光アンジュレーターより発生する軟X線放射光ビームの位置変動を計測することを目的とする.これはブレード構造検出素子を四枚有し,これらを独立に駆動することによってブレードからの光電効果による電気信号の各ブレードへの配分比を検出し,光の位置及び形状を算出することができる.


320081
JRR-1炉心構造物の放射能インベントリ評価
圷敦 ; 岸本克己 ; 助川武則 ; 島田太郎
JAERI-Tech 2003-090; Jan.2004,75p.

 我が国で初めて建設された研究用原子炉であるJRR-1は,1957年から1968年まで運転された後に永久停止された.現在,原子炉本体は安全貯蔵の状態で保存されている.JRR-1施設は当分の間展示室等として使用されるが,いずれJRR-1は解体撤去されると思われる.そこで,将来,JRR-1の解体撤去が計画されるときに備えて,中性子輸送計算コードDORT及び放射化計算コードORIGEN-MDを用いて,原子炉本体の放射能インベントリ計算を行った.その結果,2002年4月時点で,放射能濃度の最も高い機器・構造物は炉心タンクであり,その平均放射能濃度は6.40×105Bq/gであった.また,レベル別に分類した廃棄物量は,低レベル放射性廃棄物が約400kg,極低レベル放射性廃棄物が約14,000kg,放射性物質として取り扱う必要のない廃棄物が約250,000kgと推定された.


320009
静電輸送陽電子ビームによる反射高速陽電子回折(RHEPD)装置の開発
石本貴幸* ; 河裾厚男 ; 伊藤久義 ; 岡田漱平
JAERI-Tech 2003-091; Dec.2003,32p.

 反射高速陽電子回折(RHEPD)の表面研究のために装置開発を行い,1998年には,世界で初めてとなる明瞭な陽電子回折図形の観測に至った.初期に開発された装置は,三段のアインツェルレンズとコリメータによって平行陽電子ビームを得る仕組みになっていた.しかしこの装置では,ビームエネルギー分散とγ線によるバックグラウンドが鮮明な回折図形観察の妨げとなることがわかってきた.すなわちより精度の高い実験を行うためには,ビームエネルギー分散とγ線のバックグラウンドを低減し,かつ観測システムのダイナミックレンジを高める必要がある.そこで,初期の装置に対して同心円球状の静電偏向器と二段のアインツェルレンズを新たに加える改造を施した.その結果,γ線が起源のノイズを大幅に低減することができ,ビーム径1mm,エネルギー分散0.1%以下,及び角度分散0.1%以下の高品質陽電子ビームを得ることができた.また新たに画像観測システムを構築した.その本装置を用いて,従来の研究では観測不可能であったSi(111) 表面に付随する微弱な一次ラウエ帯の観測に成功した.


320082
軽水炉環境助長割れ現象解析装置の開発
中野純一 ; 塚田隆 ; 辻宏和 ; 寺門正吾 ; 高野利夫 ; 遠藤慎也
JAERI-Tech 2003-092; Jan.2004,54p.

 照射誘起応力腐食割れ(Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking, IASCC)は中性子照射,応力及び高温水等の腐食環境が複雑に作用して生じる炉内構造材料の損傷現象であり,軽水炉の高経年化に伴う重要な検討課題となっている.IASCCにおけるき裂の発生・成長のメカニズムを解明するにはき裂成長のプロセスとき裂発生のプロセスを分離して検討することが必要である.そのため,照射材を用いて高温高圧水中での低ひずみ速度試験(Slow Strain Rate Test, SSRT)を無人で長時間連続して行いながら,試験片表面のその場観察が可能な装置を開発した.本装置の性能確証試験として,未照射のSUS304ステンレス鋼試験片を用いて561K, 9MPaの高温高圧水中において,試験片表面のその場観察を実施しながらの引張試験と未観察でのSSRTを行った.それらの結果から以下のことを確認した.(1)ホットセル内での遠隔操作による試験片の取扱・観察,データの記録が可能であること.(2)高温水中でのその場観察が可能であり,試験片形状は平板型が観察に適していること.(3)長期の試験期間において,試験条件を一定に制御可能であるとともに無人で安全にデータ取得が可能であること.


320083
中性子散乱施設用液体金属ターゲットの構造評価,4; ターゲット容器ウィンドウ部の破壊力学的考察
石倉修一* ; 粉川広行 ; 二川正敏 ; 菊地賢司 ; 羽賀勝洋 ; 神永雅紀 ; 日野竜太郎
JAERI-Tech 2003-093; Jan.2004,55p.

 中性子散乱施設用液体金属(水銀)ターゲットの開発における工学的課題を明らかにするために,3GeV/1MWのパルス状陽子ビームがクロスフロー型液体金属ターゲットに入射するときの定常熱応力と動的熱衝撃解析を行った.解析モデルは,実機構造を模擬した半円筒ウィンドウ型と平板ウィンドウ型の2種類の構造を対象とし,NMTC/JAMによる核破砕発熱計算結果をもとに,衝撃解析コードLS-DYNAを用いて解析した.その結果,動的熱衝撃により発生する応力は,最も厳しい環境にあるウィンドウ中心部で半円筒型よりも平板型の方が構造設計上有利であり,応力分類として2次応力的な性質を持つことがわかった.また,ターゲット主要部に発生する応力は曲げ応力,疲労強度ともにJISの基準を満足していることがわかった.ウィンドウ内面で水銀が負圧になりキャビテーションが発生し,ターゲット容器に損傷を与えることが実験により確認されたため,生成するピットとピット先端のき裂を対象に破壊力学的観点から評価した結果,ウィンドウ先端部では定常熱応力により圧縮応力場にあり,き裂は進展しないことがわかった.また,水銀ターゲットを設計するにあたり,今後必要となるキャビテーションの評価手法について整理した.


320084
NSRRシミュレータの改良
村尾裕之 ; 谷内茂康 ; 太田和則 ; 村松靖之 ; 中村武彦 ; 寺門義文
JAERI-Tech 2003-094; Jan.2004,41p.

 NSRRで台形パルス運転及び合成パルス運転を行う場合は,あらかじめオフラインシミュレーション及びオンラインシミュレーションを行い,目的とする運転パターンの安全性や,妥当性を確認する必要がある.これらのシミュレータを用いることによって実際のNSRR炉出力をほぼ模擬することができるが,初期出力上昇時や出力制御運転時において,シミュレーション結果と実運転結果との間に若干の不一致が認められている.このため,制御棒の反応度価値及び燃料温度フィードバック係数を再評価しシミュレータに反映した.その結果,シミュレーション精度を向上させることができ,NSRRの台形パルス運転及び合成パルス運転の自由度を向上することができた.


320085
国際規格(ISO4037-1)に準拠した放射線測定器の性能試験に用いるX線照射場の整備
清水滋 ; Zhang, Q.* ; 梶本与一 ; 川崎朋克 ; 藤井克年
JAERI-Tech 2003-095; Jan.2004,52p.

 国際標準化機構の国際規格ISO4037-1では,放射線防護用測定器の性能試験に用いるX線基準場が設定され,世界的に適用している.原研の現行のX線基準場は,国内の利用を前提として構築されているため国内規格に適合しているが,上記国際規格とは異なっている.このため,国際的な性能試験に対応させるため,国際規格に準拠したNarrow series, Wide series及びHigh air-kerma seriesのX線基準場を,原研放射線標準施設棟の中硬X線照射装置を用いて整備した.本論文では,整備したX線場の線質設定,各線量単位のX線スペクトル等の評価を行うとともに,上記国際規格の線質やX線スペクトルとの比較を行った.この結果,原研のX線基準場の線質は,国際規格の線質とよく一致していることが確認でき,これにより放射線防護用測定器の広範囲な性能試験を国際規格に基づいて実施できることになった.


320086
TRACY水反射体付き炉心の核特性評価
曽野浩樹 ; 柳澤宏司* ; 三好慶典
JAERI-Tech 2003-096; Jan.2004,84p.

 過渡臨界実験装置TRACYにおける水反射体付き炉心での超臨界実験に先立ち,当該炉心体系の臨界性及び反応度に関する核特性を評価した.解析には,連続エネルギーモンテカルロ計算コードMVP及び2次元輸送計算コードTWOTRAN並びに核データライブラリJENDL-3.3を用いた.TRACYに既設の裸炉心体系における核特性との比較から,水反射体は,動特性パラメータを変化させないが,臨界液位を20%程度,温度反応度係数を6〜10%程度,ボイド反応度係数を18%程度,それぞれ減少させるものと見積もられた.また,Nordheim-Fuchsモデルによると,同一燃料条件及び同一反応度投入条件下では,水反射体系における第1出力バーストのピーク出力は,裸体系の場合に比べて15%程度小さくなるものと評価された.ただし,同モデルでは考慮されていないボイド反応度フィードバック効果が出力特性に与える影響については,同実験結果をもとに評価される予定である.


320087
HTTRの加圧水空気冷却器の除熱性能に関する評価
栃尾大輔 ; 中川繁昭 ; 高田英治* ; 坂場成昭 ; 高松邦吉
JAERI-Tech 2003-097; Jan.2004,55p.

 定格熱出力30MWの高温工学試験研究炉(HTTR)では,原子炉で発生した熱を加圧水冷却器,中間熱交換器による熱交換を経て,最終的に加圧水空気冷却器(ACL)により大気に放散している.したがって,ACLの2次側の条件となる外気温度は原子炉の除熱に影響を及ぼす運転上重要な因子である.外気温度の経時変化に対しては,冷却材である加圧水及び空気の流量を変化させることによりACLにおける冷却材温度を調整して安定な原子炉入口温度制御を可能としている.HTTRにおいてこれまで実施してきた出力上昇試験,供用運転のデータからACLの除熱性能を評価し,原子炉の除熱の観点から最も厳しい条件となる夏季の外気温度における原子炉の除熱について検討した.その結果,夏季の外気温度の条件においても30MWの除熱が可能であることが示された.


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