研究開発報告書類

JAEA-Technology
2005年10月〜12月


34000122
Neutron irradiation test of copper alloy/stainless steel joint materials
山田 弘一; 河村 弘
JAEA-Technology 2005-001; January 2006,28p.
  国際熱核融合実験炉(ITER)における冷却配管のための銅合金とステンレス鋼の接合方法に関する研究として、銅合金にアルミナ分散強化銅(Al2O3含有率:0.5wt%(CuAl-25))及びCuCrZrを選定し、ステンレス鋼(SUS316LN-IG)との各種接合方法による接合材を製作し、中性子照射効果の評価を行った。照射試験として、高速中性子照射量約2×1024n/m2(E>1MeV)及び照射温度約130℃にて中性子照射を行った後、照射後試験として、引張試験,硬さ試験及び破面観察を行った。その結果、中性子照射により、いずれの接合材も脆化したが、接合による影響に起因する中性子照射効果は認められなかった。接合による影響としては、硬さ試験の結果から、鋳込み接合法及び摩擦圧接法では、接合による影響で接合界面近傍の銅合金の硬さの低下が確認された。しかしながら、中性子照射前後とも、引張強度は接合材,銅合金ともに同等の特性であった。一方、ロウ付け接合材は照射材,未照射材とも、接合により著しい引張強度の低下が見られた。以上のことから、鋳込み接合材及び摩擦圧接接合材については、本研究で用いた接合要領が、核融合炉における異種接合方法として適用できることを明らかにした。

34000123
単段多孔型長ギャップ加速電極による水素負イオンビームの加速
渡邊 和弘; 高柳 智弘; 奥村 義和; 花田 磨砂也; 井上 多加志; 柏木 美恵子; 森下 卓俊; 谷口 正樹
JAEA-Technology 2005-002; January 2006,19p.
  高エネルギー負イオン加速器の単純化開発の初期試験として、負イオン引き出し部電極と接地電極から構成したギャップ長0.5mの単段多孔型加速電極による負イオン加速試験を行った。本加速電極を用いて長ギャップ耐電圧特性の測定及び改良を実施した後、水素負イオンビームの加速を行い、以下の結果を得た。長ギャップにおける負極高電位部の電界緩和は、放電破壊を防止する観点で短ギャップの場合に比べてより重要であることがわかった。一方、接地電極側の電界集中部分に関する電界緩和は、耐電圧性能向上にほとんど寄与しないことを確認した。水素ガス導入による耐電圧上昇が従来の5段加速系と同様に観測されたが、耐電圧上昇の効果は5段加速系より顕著であり、ガスの導入により300kV以上の耐電圧上昇が得られた。また、真空放電からグロー放電への遷移領域の圧力距離積(p・d積)は、ほぼ0.2Pa・mであり、他のギャップ長での測定値とよく一致することを確認した。14mmφの引き出し孔25個から水素負イオンを引き出し、500keV, 300mA(82A/m2),パルス幅1秒の負イオンビームを安定に加速した。

34000221
Breeding blanket development; Tritium release from breeder
土谷 邦彦; 河村 弘; 長尾 美春
JAEA-Technology 2005-003; January 2006,73p.
  核融合炉ブランケットを設計するためには、微小球を用いたブランケット構造体の中性子照射に関する工学的データが必要不可欠である。工学的データのうち、トリチウム生成放出特性は、最も重要なデータの1つである。このため、トリチウム増殖材料の候補材であるチタン酸リチウム(Li2TiO3)微小球からのトリチウム生成放出試験を行い、トリチウム放出特性に対するスイープガス流量,照射温度,スイープガス中の水素添加量,熱中性子束の変化等の効果について調べた。本試験の結果、(1)Li2TiO3微小球充填体の外壁温度が100℃以上になった時、トリチウム放出が観測された。また、充填体の外壁温度が300〜400℃のとき、トリチウム生成・放出率(R/G)は1に到達した。(2)スイープガス流量を100〜900cm3/min(Li2TiO3微小球充填体の空塔速度:0.53〜4.8cm/s)の範囲で変化させても、定常時におけるLi2TiO3微小球充填体からのトリチウム放出に影響はなかった。(3)スイープガス中の水素添加量はトリチウム放出に影響することがわかった。

34000222
J-PARC残留応力解析用パルス中性子回折装置のラジアルコリメータの設計
鳥居 周輝; 盛合 敦
JAEA-Technology 2005-004; February 2006,31p.
  大強度陽子加速器計画のMLF物質・生命科学実験施設に設置される残留応力解析用パルス中性子解析装置用のラジアルコリメータの設計を行っている。このラジアルコリメータは測定試料内のゲージサイズを規定するために用いる機器である。本装置は、1mm〜10mmの範囲で数種類(1, 3, 5mm, etc)のゲージサイズを規定できるコリメータを製作予定である。コリメータ設計に際し、規定するゲージサイズの誤差に正規分布を適用することで、ゲージサイズとラジアルコリメータの設計パラメータとの関係性を表現する数式を作成した。現在までに、この関係式を用いた幾何学的計算を終了し、正規分布の半値全般が1mmに最適化された設計パラメータを求め、試作機の設計・製作を行っている。また、McStasを用いたモンテカルロ・シミュレーションによって、各ゲージサイズにおける設計パラメータの検証を行った。

34000223
物質・生命科学実験施設データ集積・装置制御用システム検討案,1
中島 健次; 中谷 健; 鳥居 周輝; 髭本 亘; 大友 季哉*
JAEA-Technology 2005-005; February 2006,44p.
  J-PARCのMLFにおける計算機環境全般について、実験装置を設置する側からの立場で統合的に検討を行うことを目的として、高エネルギー加速器研究機構と独立行政法人日本原子力研究開発機構のグループにより、2003年にMLF計算環境検討グループが組織された。その中で、実験装置に最も近い側,データ集積,実験装置の制御を行う部分について検討を行うために作られたMLF計算環境検討グループのサブグループが、MLFデータ集積・装置制御用システム検討班である。本書は、MLFデータ集積・装置制御用システム検討班が2003年から2004年にかけて、MLFにおけるデータ集積・装置制御用ソフトウェアと関連するハードウェアのあり方についての検討をまとめた1回目の中間取りまとめである。

34000124
HTTRの1次加圧水冷却器の伝熱性能に関する評価
栃尾 大輔; 中川 繁昭
JAEA-Technology 2005-006; January 2006,116p.
  定格熱出力30MWの高温工学試験研究炉(HTTR)では、原子炉で発生した熱を主冷却系を構成する加圧水冷却器,中間熱交換器による熱交換を経て、最終的に加圧水空気冷却器により大気に放散している。HTTRの主冷却系熱交換器は原子炉出口冷却材温度850℃/950℃の条件下で原子炉で発生した30MWの除熱を行うための伝熱性能を有していなければいけない。本報では、HTTRにおいてこれまで実施してきた出力上昇試験,供用運転のデータから、主冷却系に設置されている熱交換器のうちの1次加圧水冷却器(PPWC)について伝熱性能を評価した。また、設計時におけるPPWCの伝熱性能との比較を行い、PPWCが設計時に要求された伝熱性能を有していることを確認した。

34000224
高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)用ヘリウムガス圧縮機インレットディストーションによる性能への影響評価(受託研究)
高田 昌二; 滝塚 貴和; Yan, X.; 黒河内 直浩; 國富 一彦
JAEA-Technology 2005-007; February 2006,241p.
  高温ガス炉ガスタービン発電システム用ヘリウムガス圧縮機では、入口主配管を吸込ケーシングの分配流路の流れ方向に直角に接続するため、分配流路に流入した流れが分配流路壁面からはく離して、逆流領域を形成することにより流動抵抗を増加させる。分配流路内における全圧の周方向差の増加に伴い、翼列入口での流速の差が増加し、圧縮機性能を劣化させるインレットディストーションが発生する可能性がある。圧縮機モデル性能試験装置により、インレットディストーションの大きさを変化させた試験を実施し、圧縮機性能への影響を評価した。逆流発生領域前後で周方向流速を均一化させるよう壁面から流れを注入して、はく離と逆流を解消させることにより、設計点でインレットディストーションを約2〜3%低減でき、定格流量における翼列間断熱効率を約0.5%向上させることができた。サージ点修正流量を10.0kg/sから9.5kg/sまで低減した。吸込ケーシング入口主配管にオリフィスを設置してインレットディストーションを約4%増加させることにより、翼列間断熱効率が約1%低下した。以上の結果から、定格流量における翼列間断熱効率のインレットディストーションに対する相関式を並行圧縮機モデルに基づき導出した。試験から得られた効率のレイノルズ数依存性から予測した断熱効率は90.2%であった。試験結果を用いて検証された設計コードによる実機圧縮機の効率は89.7%とよく一致し、設計値89.0%を満足した。

34000125
HTTRの反応度調整材の燃焼挙動と炉心特性の評価
藤本 望; 野尻 直喜
JAEA-Technology 2005-008; January 2006,45p.
  HTTRでは、燃焼による過剰反応度変化を補償するために反応度調整材(BP)を用いている。このBPは棒状であるため、燃焼による実効断面積の変化が大きくなる特徴がある。そこで、燃焼によるBPの実効断面積の変化の温度依存性,濃縮度依存性等について検討し、燃焼解析のためのモデルの改良を行った。さらに、このモデルをもとに燃焼解析を行い実験値や他のコードの結果との比較を行った。その結果、現在までに得られている測定結果や他のコードとの比較から、このモデルはほぼ妥当な結果を示すことが明らかとなった。

34000225
パルス時間間隔を利用したバックグラウンド補償型α線測定装置の開発
眞田 幸尚; 野原 尚史*; 安達 康敬*; 根本 和彦*; 川井 啓一*; 小林 博英; 橋本 哲夫*
JAEA-Technology 2005-009; January 2006,33p.
  時間間隔解析法を利用したウラン系列子孫核種によるバックグラウンドを低減しα線を測定する方法を開発した。まず、時間間隔解析法の理論を用いて222Ruの子孫核種で半減期の短い214Po(164μs)とその上位核種である214Biの相関事象ペアを測定する方法について検討を行った。検討結果から、測定に必要な装置の設計・開発を行った。測定システムには、検出器にSi半導体検出器を用い、システム全体として不感時間ができ得る限り短くなるような設計とした。製作したシステムについて、230Th電着線源を使用し相関事象を測定できることを確認するとともに、測定効率である相関事象率の測定を行った。また、実際に作業環境中で空気粉塵を採取し、相関事象の測定を行った。今回の研究から以下の事項が確認された。(1)時間間隔解析法による214Poの測定理論が示された。(2)214Poを測定できる装置を開発した。(3)相関事象測定の確認方法として、230Th電着線源を使用する方法を示した。(4)空気粉塵試料中の214Poを測定し、検出効率を評価した。(5)230Thの添加試験により、ランダム事象混入時の相関事象の測定方法を示した。今後、トリウム系列の子孫核種の減算方法等を検討し、実際の放射線管理に反映する予定である。

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