研究開発報告書類


JAERI-Tech
2005年1月〜9月


330146
JRR-4熱交換器の管理技術
堀口洋徳 ; 大山光樹 ; 石黒裕大 ; 平根伸彦 ; 伊藤和博 ; 亀山巌
JAERI-Tech 2005-001; Feb.2005,38p.

 JRR-4では,1992年に炭素鋼製からステンレス鋼製の熱交換器に更新した.その後,熱交換器の管理方法の検討を重ねてきた.その主なものが,熱交換器の洗浄技術である.旧熱交換器の冷却性能の回復には化学洗浄のみを行ってきたが,新たな方法として化学洗浄と乾燥洗浄を組合せた回復・維持を行っている.これは,伝熱管や配管への負担を軽減するとともに,コスト面にも大きな役割を果たしている.本書では,実績に基づく熱交換器の管理技術のまとめとして,JRR-4熱交換器の性能管理方法,洗浄方法及び冷却水の管理方法について報告する.


330248
先端的基礎研究用セラミックス材料の予備照射試験
馬場信一 ; 山地雅俊* ; 柴田大受 ; 石原正博 ; 沢和弘
JAERI-Tech 2005-002; Feb.2005,83p.

 高温工学に関する材料系科学技術分野において,将来の技術革新の契機となる各種新技術の創製に大きな貢献が期待される先端的基礎研究について,高温工学試験研究炉(HTTR)を用いて行うことが重要と考えられる.HTTR利用検討委員会において選定された8つの研究課題について,先端的基礎研究用セラミックス材料の予備照射試験が,平成6年度以来JMTRにおいて実施されてきた.本報告はこれまでに実施してきた照射試験の内容についての照射実績(照射量,温度)及び装荷試料について記述するとともに,照射挙動を明らかにするために使用した試験装置等の仕様・性能についても記述した.


330147
SPring-8原研アンジュレータービームラインBL11XUの分光結晶の振動の現状と対策
桐山幸治* ; 塩飽秀啓 ; 望月哲朗* ; 菖蒲敬久* ; 戸澤一清*
JAERI-Tech 2005-003; Mar.2005,36p.

 大型放射光施設SPring-8に設置した原研アンジュレータービームラインBL11XUにおいて,液体窒素冷却分光器(以下,分光器)に見られる振動及び出射光の時間的強度変化を抑制するために,分光結晶の振動対策を行った.振動の種類や振幅を測定した結果,1〜10Hz, 30Hz, 50Hzの振動成分が特に顕著だった.分光器のブラッグ角や分光結晶を冷却する液体窒素循環冷却装置や真空系機器の運転条件を系統的に変化させて調べた結果,これらの振動源は液体窒素の流れによるものと分光器外部の機器からの伝播によるものということがわかった.さらに,循環させている液体窒素の流量・内圧の不規則な変動と,温度に温度調整による一定周期の変動が見つかった.そこで,それぞれの原因に対策を行った結果,振動の除去,もしくは減少させることができた.また,液体窒素の流量・内圧の変動も抑えることができた.その結果,出射光の時間的強度変化は対策前に4.47%(標準偏差:0.0113)であったが,対策後は0.85%(標準偏差:0.0011)と減少し,出射光強度の安定性が改善された.今回BL11XUで行った振動対策は,液体窒素冷却分光器を持つSPring-8の他のビームラインに対しても十分有効だろう.


330249
核燃料調製設備の運転記録
石仙順也 ; 関真和 ; 阿部正幸* ; 中崎正人 ; 木田孝 ; 梅田幹 ; 木原武弘 ; 杉川進
JAERI-Tech 2005-004; Mar.2005,53p.

 本報告書は燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の定常臨界実験装置(STACY)及び過渡臨界実験装置(TRACY)へ10%及び6%濃縮硝酸ウラニル溶液燃料を供給することを目的として,平成6年度から平成15年度までに実施したウラン酸化物燃料の硝酸による溶解及び硝酸ウラニル溶液の濃縮・脱硝についての特性試験及び運転記録をまとめたものである.


330250
Li2TiO3微小球充填体を装荷した照射済試験体のJMTR炉心からの取出方法に関する検討
池島義昭 ; 石田卓也* ; 土谷邦彦 ; 冨田健司 ; 海老沢博幸 ; 馬籠博克 ; 中道勝* ; 北島敏雄 ; 河村弘
JAERI-Tech 2005-005; Feb.2005,37p.

 JMTRを照射場として,トリチウム増殖材(Li2TiO3)微小球充填体を装荷した照射試験体を用いた第1期照射試験(ORIENT-I,JMTRキャプセル名:96M-37J)の終了に伴い,JMTR炉心からの照射済試験体の取出方法の検討及び取出試験を行った.本報告書は,Li2TiO3微小球充填体を装荷した照射済試験体の取出しに備えて行った,トリチウム除去及びトリチウム脱離に関する特性試験及び作業者の内部被ばくに関する試験前評価の結果,並びに,照射済試験体の取出し実績及びそこから得られた知見についてまとめたものである.


330251
レーザ誘起蛍光法による空間・時間高分解能電界計測用高効率励起ヘリウム原子線生成に関する研究,原子力基礎研究H13-013(委託研究)
吉川潔* ; 多幾山憲* ; 大西正視* ; 山本靖* ; 長崎百伸* ; 増田開* ; 督壽之* ; 堀池寛*
JAERI-Tech 2005-006; Mar.2005,116p.

 ヘリウムのシュタルク効果を用いたレーザ誘起蛍光電界分布計測を球状静電閉じ込め型核融合中性子/陽子源装置中の重水素プラズマに適用可能とするため,入射用ヘリウム励起パルス原子線の高効率発生法を開発,確立するための研究を行った.さまざまなプラズマ生成方式を検討し,最終的にマグネトロン方式により,ヘリウム原子線との相互作用長の長いレーストラック形状のプラズマの低圧力化での生成が,簡潔・コンパクトな構成で可能となった.また,高密度の超音速パルス原子線の高繰り返し入射を実現するための装置を設計・製作して,性能を評価した.そして,高密度化を達成するための装置の改善点が明らかとなり,当初目標の達成が十分視野に入るまでになった.


330252
Frischグリッド付きアバランシェダイオードを用いた低被曝量CT開発の基礎研究,原子力基礎研究H13-011(委託研究)
今西信嗣* ; 伊藤秋男* ; 神野郁夫* ; 吉田紘二* ; 尾鍋秀明*
JAERI-Tech 2005-007; Mar.2005,45p.

 低被曝量CT開発の基礎として,高効率・高計数率を実現するFrischグリッド付きアバランシェダイオード検出器の基礎研究を行った.このため,Siを用いた一体型Frischグリッド付き検出器を製作し,その動特性を研究した.また,表面活性化法によるSi接合の開発を行い,製作したpn接合が整流性の電流−電圧特性を示すことを確認した.さらに,低被曝X線撮像法としてフィルターX線とエネルギー差分法を用いることを提案した.本方法では白色X線を用いたエネルギー差分法に比較して,被曝量が30%まで低減可能であることを確認した.低被曝X線撮像法とFrischグリッド付きアバランシェダイオード検出器とを組合せることにより,高性能X線撮像システム・低被曝CTの開発を行うことができる.


330253
CANDLE燃焼方式の種々の原子炉への適応に関する研究,原子力基礎研究H13-002(委託研究)
関本博*
JAERI-Tech 2005-008; Mar.2005,111p.

 CANDLE燃焼は原子炉の新しい燃焼法であり,これを採用すると,燃料領域は,燃焼に伴い核種数密度や出力の空間分布を変えることなく,軸方向に出力と比例した速さで移動していく.燃焼反応度制御のための装置は不要であり,燃焼が進んでも反応度も炉特性も変化しない.安全はもとより安心を与える原子炉と言えるであろう.この燃焼法を中性子経済に優れる高速炉に適用すると,取替新燃料として濃縮ウランやプルトニウムを必要としなくなり,新燃料として用いた天然ウランや劣化ウランの約40%が燃える.われわれは既に大量の劣化ウランを保有しているが,これを用いれば,ウラン採鉱も濃縮施設も再処理施設も無しに,何百年も原子力を利用し続けることができる.また燃焼度の高い分,使用済み燃料の量も飛躍的に少なくなる.このような高燃焼度を達成するためには革新的な燃料を開発する必用がある.これには多くの時間がかかるであろうが,被覆材を交換するだけの簡易再処理を採用すれば,上記のシナリオは容易に達成できる.高速炉への本燃焼法の適用には幾つかの技術開発を必要とするが,ブロック燃料を用いた高温ガス炉ならほとんど技術開発無しに適用することが可能である.本書では,高温ガス炉と中性子経済に優れる高速炉への適用についての研究について説明する.


330254
HTTR水素製造システム実規模単一反応管試験装置触媒粉塵用フィルタノズル部損傷の原因調査と再発防止対策に関する報告(受託研究)
森崎徳浩 ; 林光二 ; 稲垣嘉之 ; 加藤道雄 ; 藤崎勝夫* ; 前田幸政* ; 水野貞男*
JAERI-Tech 2005-009; Mar.2005,37p.

 実規模単一反応管試験装置の触媒粉塵用フィルタのノズルフランジと鏡の溶接部近傍の損傷(き裂)に関し,損傷の原因調査及び再発防止対策等について審議検討を行った.損傷の原因は,内面側から発生した応力腐食割れ(SCC)によるものと推定された.このため,触媒粉塵用フィルタ内の凝縮水発生防止,溶接残留応力低減,溶接鋭敏化低減を行うためのフィルタの改修を行った.また,試験装置の類似継ぎ手構造部の健全性確認を実施した結果,いずれの箇所にも欠陥は検出されず,健全性が確保されていることを確認した.


330255
HTTR出力上昇試験における放射線モニタリングデータ; 高温試験運転モード30MWまでの結果
足利谷好信 ; 川崎朋克 ; 吉野敏明 ; 石田恵一
JAERI-Tech 2005-010; Mar.2005,81p.

 高温工学試験研究炉(HTTR)は,平成11年9月16日から出力上昇試験が開始され,出力上昇試験(4)の定格運転モード(原子炉出口冷却材温度850℃,原子炉熱出力30MW)の単独・並列運転に続いて,平成16年3月21日から平成16年7月7日にかけて,出力上昇試験(5)として高温試験運転モード(原子炉出口冷却材温度950℃,原子炉熱出力30MW)の単独・並列運転を実施し試験は無事終了した.本報は,高温試験運転モードの出力上昇試験(単独・並列運転)における原子炉運転中及び停止後の放射線モニタリング結果についてまとめたものである.高温試験運転モードの放射線モニタリング結果は,定格運転モードと同様に,原子炉運転中における作業者が立ち入る場所の線量当量率,放射性物質濃度等は,バックグラウンドであり,また,排気筒からの放射性物質の放出もなく,放射線レベルは十分低いことが確認された.なお,定格運転モード(原子炉出口冷却材温度850℃,原子炉熱出力30MW)の出力上昇試験における放射線モニタリングデータについても一部掲載した.


330319
原子力発電所の廃止措置に関する施設特性と廃止措置費用に及ぼす影響評価
水越清治 ; 大島総一郎 ; 島田太郎
JAERI-Tech 2005-011; Mar.2005,122p.

 原子力発電所の廃止措置における解体計画や廃棄物管理計画の観点から米国原子力規制委員会(NRC)が作成したNUREG報告書の110万KWe級参考原子力発電所の機器・構造物重量や放射能特性等の廃止措置に関する基本データを分類,整理し,国内商業用原子力発電所やJPDRと比較,検討した.その結果,参考原子力発電所(BWR)の機器・構造物重量データは国内商業用原子力発電所(BWR)に比べて放射性機器・構造物重量で約28,000トン,非放射性の建屋構造物重量で約124,000トン少ないこと,また,これらの重量の差異が廃止措置費用のおもに解体撤去費用に影響していることが明らかになった.さらに,参考原子力発電所のコンクリートの元素組成割合は放射化に影響を及ぼすB, Ni, Nb等の元素組成割合が国内商業用原子力発電所(PWR)やJPDRとの間で1桁以上の差異があること,これらの元素組成割合の差異は放射能濃度で2〜3倍程度の差異となり,廃止措置費用のおもに,輸送,処分費に影響を及ぼすことが明らかになった.


330320
黒鉛パイルを用いた熱中性子校正場の特性評価
内田芳昭* ; 三枝純 ; 梶本与一 ; 谷村嘉彦 ; 清水滋 ; 吉澤道夫
JAERI-Tech 2005-012; Mar.2005,31p.

 日本原子力研究所東海研究所・放射線標準施設棟には,中性子個人線量計やサーベイメータを校正するための熱中性子校正場が整備されている.この校正場では,中性子源を黒鉛パイル内に設置し,中性子を減速させることによって熱中性子場を得ている.2003年1月に行った黒鉛パイルの更新及びサイズの変更に伴い,熱中性子フルエンス率及び中性子エネルギー分布を測定した.また,平行場における個人線量当量を求めるため,熱中性子入射角度分布を計算により評価した.金箔放射化法を用いた測定により,等方場及び平行場の熱中性子フルエンス率を決定した.また,ボナー球型スペクトロメータを用いて,平行場における中性子エネルギー分布を評価した結果,全エネルギーに対する熱外中性子の割合は線量当量で南側校正場が9%であり,西側校正場が12%であることがわかった.平行場における個人線量当量を評価する際,熱中性子が平行に入射すると仮定した場合と,入射する熱中性子の角度を考慮した場合で,前者が後者に比べて約40%高い値であることがわかった.


330321
Low temperature tritium release experiment from lithium titanete breeder material
土谷邦彦 ; 河村弘 ; 中道勝* ; 佐川尚司
JAERI-Tech 2005-013; Mar.2005,56p.

 核融合炉ブランケットを設計するためには,微小球を用いたブランケット構造体の中性子照射試験に関する工学的データが必要不可欠である.工学的データのうち,トリチウム生成・放出特性は,最も重要なデータの1つである.このため,トリチウム増殖材の候補材であるチタン酸リチウム(Li2TiO3)微小球からのトリチウム生成・放出試験をJMTRを用いて行い,トリチウム放出特性に対するスイープガス流量,照射温度,スイープガス中の水素添加量等の効果について調べた.本試験において,100〜140℃でLi2TiO3微小球からの生成トリチウムの放出が始まり,照射温度の上昇とともにトリチウム放出量が増加した.また,トリチウム放出は,定常状態ではスイープガス流量に影響されないこと,及びスイープガス中の水素添加量に影響されることがわかった.なお,本報告書は,ITER工学設計報告書に対して補筆を行ったものである.


330256
HTTR水素製造システム実規模単一反応管試験装置を用いた動特性解析コードの検証; 蒸気発生器及び放熱器を用いた2次ヘリウムガス冷却システム(受託研究)
佐藤博之* ; 大橋弘史 ; 稲葉良知 ; 前田幸政* ; 武田哲明 ; 西原哲夫 ; 稲垣嘉之
JAERI-Tech 2005-014; Mar.2005,89p.

 原子炉と水素製造設備の接続にかかわる技術課題の一つとして,水素製造設備の化学反応器の負荷変動に起因する2次ヘリウムガス温度変動が原子炉へ伝播することによる原子炉スクラムの回避が挙げられる.この対策として,原研は化学反応器の下流に蒸気発生器及び放熱器を用いた2次ヘリウムガス冷却システム(以下,「冷却システム」と呼ぶ)を配置し,本冷却システムにより2次ヘリウムガスの熱過渡を吸収緩和し中間熱交換器入口2次ヘリウムガス温度を一定に制御することを提案している.蒸気発生器と放熱器を用いた冷却システムについて解析コードの検証を行った.本冷却システムは放熱器の伝熱管外を流れる空気で冷却することにより蒸気発生器の圧力制御を行い,蒸気発生器出口2次ヘリウムガス温度を一定に保持する.この圧力制御特性は放熱器伝熱管外を流れる空気の伝熱特性に支配される.このため,実規模単一反応管試験装置による試験結果から空気の伝熱特性を明らかにし,これをもとに解析を行った結果,解析は冷却システムの圧力,温度,流量及び熱交換量等の試験結果をよく模擬でき,本解析コードの検証を行うことができた.


330322
Safety demonstration test (SR-3/S1C-3/S2C-3/SF-2) plan using the HTTR (Contract research)
中川繁昭 ; 坂場成昭 ; 高松邦吉 ; 高田英治* ; 栃尾大輔 ; 大和田博之*
JAERI-Tech 2005-015; Mar.2005,26p.

 高温ガス炉固有の安全性を定量的に実証し,また実用高温ガス炉及び第4世代原子炉(Generation IV)の候補の一つであるVHTRの研究開発に資するため,HTTR(高温工学試験研究炉)を用いた安全性実証試験が2002年より実施されている.本報は,2005年3月に計画している制御棒引抜き試験(SR-3),循環機停止試験(S1C-3/S2C-3),流量部分喪失試験(SF-2)の試験内容,試験条件,事前解析結果等について述べたものである.事前解析の結果,炉心の負の反応度フィードバック特性により原子炉出力が低下し,原子炉が安定に所定の状態に落ち着くことが明らかとなった.


330323
中性子束分布計算に3次元体系を導入したJRR-2原子炉本体放射化放射能量評価
岸本克己 ; 有金賢次*
JAERI-Tech 2005-016; Mar.2005,83p.

 現在解体を進めているJRR-2では,1997年に提出した解体届に記載されている原子炉本体の放射化放射能量に対する再評価を行った.再評価では,当初2次元体系で行っていた中性子束分布計算に3次元体系を導入し,3次元輸送計算コードTORTを用いて計算することにより,多様な水平実験孔における中性子ストリーミング効果の影響を精度よく評価することができた.その結果,水平実験孔及び生体遮蔽体における過剰な過大評価傾向が改善され,両構造物の合計放射化放射能量が解体届における評価の1/18(原子炉永久停止から1年後の場合)まで低下した.それに伴い,両構造物が6割程度を占めていた原子炉全体の放射化放射能量に対する割合も大きく低下し,放射化放射能量の上位構造物が変化することとなった.このことは,多様な実験孔を多く持ち,炉体形状が複雑な研究用原子炉の放射化放射能量評価における3次元体系導入の有効性を示している.再評価による原子炉本体の放射化放射能量は,制御棒,熱遮蔽板及び水平実験孔に依存し,原子炉永久停止から1年後では1.9×1014Bqとなった.


330324
東海研究所における原子力施設等の解体に関する技術的検討
富居博行 ; 松尾浄* ; 白石邦生 ; 加藤六郎 ; 渡部晃三 ; 東山豊 ; 長根悟* ; 塙幸光*
JAERI-Tech 2005-017; Mar.2005,65p.

 日本原子力研究所東海研究所では,JPDRが解体撤去されて以来,使命を終えた研究用原子炉施設,核燃料物質使用施設及び放射性同位元素等使用施設の解体が行われてきた.現在,解体対象の原子力施設は約20施設となっており,解体計画が重要な課題となっている.しかしながら,多様な原子力施設等に対応した解体に関する課題は必ずしも明確にはなってない.このことから,解体作業や法的手続を安全かつ確実に実施するために,これまでの解体経験や知見に基づく技術的な検討を行った.本報告書は,法的手続や解体作業に共通する事前評価及び廃棄物の取扱等について,これまでの解体経験から技術的課題を抽出し,検討したものである.今回の検討では,クリアランスの検認にかかわる事前評価や管理区域解除等の測定技術に幾つかの課題が見られた.


330325
JRR-2の解体,2
鈴木武 ; 中野正弘 ; 大川浩 ; 照沼章弘 ; 岸本克己 ; 矢野政昭
JAERI-Tech 2005-018; Mar.2005,84p.

 JRR-2は我が国最初の汎用研究炉として,昭和35年10月に初臨界を達成以来,原子力の研究・開発に利用されてきたが,原研の「長期事業計画」(平成8年1月)に基づき平成8年12月に原子炉を永久停止した.その後,平成9年5月に原子炉の解体届を科学技術庁に提出し,解体工事を開始した.JRR-2の解体工事は,4段階に分けて実施することになっており,平成9年度から平成15年度までに,第1段階から第3段階までの工事をトラブルもなく終了した.第4段階においては,原子炉本体を一括撤去した後,残存する原子炉建屋等を有効利用する計画である.当初の計画では,第4段階は,平成16年度から開始し,平成19年度に終了する予定であったが,第4段階で発生する放射性廃棄物を低減するため,解体計画の見直しを行い,第4段階の工事に着手するまでの間,原子炉本体を安全に貯蔵することとした.本報告書は,第3段階後半について,解体工事の実施内容,放射性廃棄物発生量及び放射線業務従事者の被ばく等について報告するものであり,既刊の「JRR-2の解体,1」の続編である.


330326
1MW陽子ビーム入射時におけるモデレータ容器内の極低温水素への熱伝達評価
達本衡輝 ; 加藤崇 ; 麻生智一 ; 牛島勇* ; 長谷川勝一 ; 大都起一*
JAERI-Tech 2005-019; Mar.2005,16p.

 大強度陽子加速器計画の一環として,物質・生命科学実験施設では,核破砕反応によって発生した高速中性子を極低温水素で減速させる水素循環システムの設計・製作を行っている.本実験施設では,核破砕反応で発生した熱中性子の冷中性子への減速材(モデレータ)として極低温水素(温度20K,圧力0.5から1.5MPa)が採択された.1MWの陽子ビームにより発生した中性子によるモデレータ容器内での核発熱量は3.75kWと見積もられている.極低温水素循環システムは,極低温水素を強制循環させてモデレータ容器に供給することにより,熱中性子,及び,モデレータ容器の冷却を行う.運転圧力,及び,流速条件によっては,モデレータ容器内で沸騰を起こす可能性があり,中性子性能,及び,モデレータ容器の安全性に影響を与える沸騰を防止する設計とする必要がある.このためには,モデレータ容器内の極低温水素の熱伝達を評価する必要があるが,極低温水素の熱伝達特性はほとんど解明されていないのが現状である.本報告では,極低温水素の浸漬冷却・強制冷却特性を一般に用いられている熱伝達相関式に極低温水素の物性に合わせて評価し,極低温水素循環システムの運転状態の違いによるモデレータ容器の温度特性の検討を行った.


330327
J-PARC核破砕中性子源のターゲット台車の遮蔽設計
田村昌也* ; 前川藤夫 ; 原田正英 ; 羽賀勝洋 ; 今野力
JAERI-Tech 2005-020; Mar.2005,58p.

 J-PARC核破砕中性子源施設における水銀ターゲット台車設計の詳細化及び建屋設計の変更に伴い,ターゲット台車の遮蔽性能評価を行った.目標線量は,台車後方にある1.5mのコンクリート壁の背後にあるマニピュレータ室で25μSv/h以下,さらに1.5mのコンクリート壁の背後にある一般区域で0.5μSv/h以下である.屈曲した水銀配管及びターゲット台車と台車周りのライナーとのギャップ等を詳細に3次元モデル化することで,ストリーミング効果等を評価できるようにし,ターゲット台車周辺の線量分布を3次元モンテカルロコードNMTC/JAMを用いて求めた.コンクリート壁は単純なバルク遮蔽計算で十分であるため,MCNPXコードにより先の計算で求めた台車後端部の中性子束を線源とした1次元球体系モデルを用い,マニピュレータ室及び一般区域における線量を求めた.鉄遮蔽の増加,さらにギャップ等によるストリーミングを抑制することで,マニピュレータ室及び一般区域で目標線量限度以下にできるターゲット台車の遮蔽構造を決定した.


330328
核変換実験施設の概念検討,2; ADSターゲット試験施設の概念検討
佐々敏信 ; 梅野誠* ; 水林博* ; 森恵次郎* ; 二川正敏 ; 斎藤滋 ; 甲斐哲也 ; 中井公一* ; 雑候章* ; 笠原芳幸* ; 岩田東* ; 北野照明* ; 小野幹訓* ; 林克己* ; 田山隆一* ; 辻本和文 ; 西原健司 ; 倉田有司 ; 菊地賢司 ; 大井川宏之 ; 池田裕二郎 ; 高野秀機*
JAERI-Tech 2005-021; Mar.2005,114p.

 日本原子力研究所では,加速器駆動核変換システム(ADS)にかかわる技術の研究開発を進めるため,大強度陽子加速器施設J-PARC計画の下で核変換実験施設の建設を検討している.核変換実験施設は,ADSの未臨界炉心に関する物理的特性の実験的研究を行う核変換物理実験施設と,ADSを設計するための材料データベース構築及び核破砕ターゲットの工学的特性の試験を行うADSターゲット試験施設から構成される.本報告は,ADSターゲット試験施設について,施設の目標,実用ADSと本実験施設との関連について述べ,台車搭載型核破砕ターゲットを採用した実験施設の検討結果についてまとめたものである.


330329
原研ERL-FELのための制御・データベースシステムの開発
菊澤信宏
JAERI-Tech 2005-022; Mar.2005,48p.

 原研ERL-FELではパーソナルコンピュータ(PC)ベースのネットワーク分散処理型制御系を独自開発し,運転を行ってきた.その制御系はイーサネットで接続されたPC(NEC製PC98シリーズ)上に構築された.しかしながら,PCは使用開始からすでに10年以上が過ぎてPCの規格が変わってしまったために修理や交換部品の入手が難しく,今後の機能の維持が困難となっていた.さらに,オペレーティングシステム(OS)のメーカサポートの打ち切りにより修正プログラムが提供されなくなったため,多数のPCをネットワークで接続して使用することはネットワークセキュリティ上の問題があった.このため,従来のPCベースのネットワーク分散処理型制御系の信頼性や安全性を向上させるために,高い信頼性が要求される産業用機器や家電などに多くの導入実績を持つμITRONをOSとして組み込んだコントローラを開発した.このローカルコントローラの開発とあわせて,将来のコンソール用計算機の更新が容易なように,多くの処理系で高い互換性を持つJava言語により制御用プログラムを新規に開発した.これらによって,高い信頼性と互換性が確保されたため,長期間の連続運転を前提とした信頼性の高い独自の制御系の開発に成功した.


330330
HTTR水素製造システム実規模単一反応管試験装置の改善事項(受託研究)
榊明裕* ; 加藤道雄 ; 林光二 ; 藤崎勝夫* ; 会田秀樹 ; 大橋弘史 ; 高田昌二 ; 清水明 ; 森崎徳浩 ; 前田幸政* ; 佐藤博之* ; 塙博美 ; 米川日出男 ; 稲垣嘉之
JAERI-Tech 2005-023; Apr.2005,72p.

 水素製造システムと高温ガス炉の接続技術の確立のため,水蒸気改質法によるHTTR水素製造システム実規模単一反応管試験装置を平成13年度に製作し,同年度に機能試験運転を実施した.引き続き,平成13年度から16年度まで7回の試験運転を実施した.運転期間中に発生した不具合については,その都度,原因の究明,対策案による試験装置の改善を行い,試験を続行してきた.これにより,各種試験を行い,所定の目的を達成した.本報告は,平成13年から平成16年までに実施した試験装置の改善項目について記述したものである.


330331
革新的高温ガス炉燃料・黒鉛に関する技術開発計画(受託研究)
沢和弘 ; 植田祥平 ; 柴田大受 ; 角田淳弥 ; 大橋準平* ; 栃尾大輔
JAERI-Tech 2005-024; Mar.2005,34p.

 第四世代(GEN-IV)原子炉システムの有力な候補となっている超高温ガス炉(VHTR)では,燃料は15〜20%FIMA,高速中性子照射量6×1025m-2(E>0.1MeV)においても健全性を保つ必要があるが,従来のSiC被覆燃料粒子では,このような厳しい条件下で健全性を保ったデータはない.原研で開発してきたZrC被覆燃料粒子は,SiC被覆燃料粒子よりも高温かつ高燃焼度下で健全性を維持できると期待されている.原研では,(1)従来よりも大型の被覆装置によるZrC蒸着技術の開発,(2)ZrC検査技術の開発,(3)ZrC被覆層の照射試験及び照射後試験を開始する.また,反応度投入試験を実施して被覆燃料粒子の破損機構を把握し,反応度事故時の燃料温度制限の緩和を目指す.VHTRでは,炉心の黒鉛構造物も高い中性子照射条件下で健全性を維持しなくてはならない.そこで,黒鉛構造物の超音波伝播特性や微小硬度計による圧子の押込み特性により,黒鉛構造物の機械的特性を非破壊的に評価できる技術を開発する.本報は,文部科学省からの受託研究として2004年11月から開始したこれらの研究開発の計画と2004年度の成果についてまとめたものである.


330332
3NBT陽子ビームモニター用のEPICSシステムの開発
大井元貴* ; 明午伸一郎
JAERI-Tech 2005-025; Mar.2005,52p.

 大強度陽子加速器施設(J-PARC)陽子ビーム輸送施設(3NBT)では,陽子ビームモニターとして,プロファイルモニター,ハローモニター,ロスモニター,陽子カレントモニターを設置する.これらのモニターからのアナログ信号は,CAMAC電源クレート上のADCによってデジタル情報に変換され,CAMACクレートコントローラーCC/NETにインストールされたEPICS IOCを通じてEPICSシステムで監視を行う.特に3NBTでは,陽子ビームモニターの情報を陽子ビーム周期と同じ25Hzで監視し,全てのデータをデータサーバーに保存する.そこで,本報告では,3NBT陽子ビームモニター用EPICSシステムを開発・構築し,CAMACとCC/NET, EPICSを用いたビームモニターシステムで十分な性能が得られるか検証を行った.その結果として,CC/NETとEPICSを組合せることによって,25Hz周期で陽子ビームモニターからの信号を欠損なくデータサーバーに保存し,また,監視できることを明らかにした.


330333
水銀ターゲット容器の破損確率評価解析
石倉修一* ; 志賀章朗* ; 二川正敏 ; 粉川広行 ; 佐藤博 ; 羽賀勝洋 ; 池田裕二郎
JAERI-Tech 2005-026; Mar.2005,65p.

 本報は,大強度陽子加速器計画(J-PARC: Japan Proton Accelerator Complex)の中核施設である物質・生命科学実験施設の核破砕中性子源となる水銀ターゲット容器(3重壁構造)の構造健全性評価を行うための基本データとするために,水銀容器及び保護容器(別名セーフティーハルで2重壁リブ構造)で想定される荷重条件下(水銀容器及び保護容器の内外圧と定常熱応力,水銀容器内の25Hzの熱衝撃に伴う圧力波による応力)で発生する応力値をもとに,実験から求められた照射と壊食による材料強度劣化(疲労寿命の低下)を考慮して,確率論的手法により破損確率の算定を行った.水銀容器と保護容器の破損確率を評価した結果,(1)水銀容器は圧力波による応力サイクルと壊食による疲労強度の低下が大きいために,5000hrを仮定した寿命中の破損確率は12%である.(2)保護容器は圧力波が作用しないために寿命中の破損確率は10-11と十分低く,破損する可能性はほとんどない.したがって,万が一水銀容器が破損して水銀が漏洩した場合でも,保護容器が漏洩水銀を収納するとともに,同時に水銀漏洩検知器が機能することにより,漏洩水銀は保護容器内部に閉じ込めることが十分可能であることを定量的に示した.


330334
SPring-8原研軟X線ビームライン挿入光源ID23の補正テーブルの作成及び漏れ磁場遮蔽の効果
中谷健 ; 安居院あかね ; 吉越章隆 ; 田中均* ; 高雄勝* ; 竹内政雄* ; 松下智裕* ; 青柳秀樹*
JAERI-Tech 2005-027; May 2005,29p.

 SPring-8の蓄積リングに設置された原研軟X線ビームライン用挿入光源ID23はギャップ駆動及び位相駆動に依存する電子軌道変動を引き起こす.この変動を抑える補正励磁テーブル作成のためのスタディを行った.ID23駆動時に使用する補正励磁テーブルを新たに作成するために,リングのアーク部に置かれているビームポジションモニターとX線ビームポジションモニターから得られた軌道変動データとID23パラメータとを同じ時間軸上で取得し,変動成分を補正するための励磁テーブルの作成を2001年12月から2002年11月にかけて行った.また,位相駆動用サーボモーターからの漏れ磁場により軌道変動が引き起こされることがわかったので,磁気遮蔽によりこれを軽減した.


330335
混相相互作用のX線による高速度可視化手法に関する検討
宇佐美力 ; 森山清史 ; 錦沢友俊 ; 中村秀夫
JAERI-Tech 2005-028; May 2005,37p.

 軽水炉シビアアクシデント時に炉心溶融物と冷却水の接触により発生する水蒸気爆発は,格納容器破損をもたらし得る現象の一つとして,安全研究上の課題とされてきた.水蒸気爆発の規模を予測するためには,初期条件となる高温液体の水中での混合状態に関する理解が必要だが,実験でそれを観察する場合には,発生した蒸気泡等のために可視光による観察が難しい.これを観察するためにはX線による透過撮影が適していると考えられる.そこで,撮像速度4500コマ/秒のイメージ・インテンシファイア付き高速度ビデオカメラと,CdWO4単結晶,ZnS(Ag),CsI(Tl)の3種類のシンチレータ(蛍光板)を用いた高速度X線撮影法について実験により検討した.被写体は水槽中に置いた金属物体及び気泡である.実験の結果,3種類のシンチレータのうち,CsI(Tl)により最も良好な画像が得られ,4500コマ/秒の高速撮影ができることを確認した.しかし,撮影した画像を1コマ抜き出した静止画ではノイズが大きくなり,画像が不鮮明になった.


330403
Remote handling design for moderator-reflector maintenance in JSNS
勅使河原誠 ; 相澤秀之* ; 原田正英 ; 木下秀孝 ; 明午伸一郎 ; 前川藤夫 ; 神永雅紀 ; 加藤崇 ; 池田裕二郎
JAERI-Tech 2005-029; May 2005,24p.

 J-PARCの物質・生命科学実験施設に設置する核破砕中性子源の建設が進められている.その中心部に設置されるモデレータや反射体は,放射線損傷により定期的に保守を必要とする.設置される機器の保守に必要な遠隔操作機器の設計概念並びに保守シナリオの検討の現状をまとめた.使用済みモデレータや反射体は,減容した後,施設外に運び出し保管する.この計画に従って遠隔操作機器の設計を行った.保守作業は,配管の着脱等の一部人手による作業を除いて,すべて遠隔操作によって行う.配管の着脱作業については,ベリリウム(7Be)の蓄積のため,将来的に配管接続部に遠隔化を図れる構造とした.6台の遠隔操作機器が必要となり,モデレータや反射体以外に陽子ビーム窓やミュオンターゲットの保守にも対応する.保守のシナリオは,使用済み機器の交換作業及び保管作業からなる.前者は,運転停止中に行う.運転停止期間を可能な限り短くするため廃棄作業と分離した.これら保守に必要な日数を見積もったところ,交換作業は約15日程度必要となり,保管作業については,乾燥作業(約30日)後に,約26日程度となった.


330404
高温ガス炉における原子炉出口冷却材温度の評価手法の提案
高松邦吉 ; 中川繁昭
JAERI-Tech 2005-030; May 2005,21p.

 高温工学試験研究炉(High Temperature engineering Test Reactor: HTTR)は原子炉出力30MW,原子炉出口冷却材温度(定格運転850℃/高温試験運転950℃)の黒鉛減速ヘリウムガス冷却型の高温ガス炉である.HTTRでは高温試験運転として2004年3月31日に開始し,4月19日に最大熱出力30MWの状態で1次冷却材原子炉出口温度950℃を達成した.高温ガス炉による原子炉出口冷却材温度950℃の達成は,今回HTTRが世界で初めて成功したものである.本報は,高温ガス炉における原子炉出口冷却材温度の評価手法の提案として,(1)PRM指示値と原子炉出口冷却材温度の関係,(2)PRM指示値と熱出力の関係,(3)VCS除熱量の予測値と実測値の関係,から原子炉出口冷却材温度の予測式を導出した.この予測式は高温ガス炉の原子炉出口冷却材温度の設計に用いることができる.また,本研究における原子炉出口冷却材温度の検討過程は,将来の高温ガス炉(HTGRs)の設計に十分活用することができる.


330482
HTTR水素製造システム実規模単一反応管試験装置の熱交換器の伝熱性能評価結果(受託研究)
清水明 ; 大橋弘史 ; 加藤道雄 ; 林光二 ; 会田秀樹 ; 西原哲夫 ; 稲葉良知 ; 高田昌二 ; 森崎徳浩 ; 榊明裕* ; 前田幸政* ; 佐藤博之* ; 稲垣嘉之 ; 塙博美 ; 藤崎勝夫* ; 米川日出男
JAERI-Tech 2005-031; Jun.2005,174p.

 従来,高温ガス炉と水素製造設備を接続するためのシステムインテグレーション技術の確立を目的として,HTTRへメタンガスの水蒸気改質による水素製造設備の接続が検討されて来た.その水素製造設備のモックアップモデルである実規模単一反応管試験装置を2001年度に完成し,これまでに水蒸気改質器をはじめ,各種の熱交換器に関する運転データを取得した.本報告では試験装置の水蒸気改質器,蒸気過熱器,蒸気発生器,放熱器,ヘリウムガス冷却器,原料ガス加熱器,原料ガス過熱器等,試験に使用した熱交換器の仕様と構造,文献に掲載された管外と管内の熱伝達率算出式を摘出整理した.また,試験において実測された各熱交換器の出入口温度,圧力,流量のデータから伝熱性能を評価するコードを新規作成した.実測データから得られた熱貫流率と,伝熱式を使って計算した熱貫流率とを比較し評価した.その結果,全機器において伝熱性能と熱効率が妥当であることが確認できた.


330405
HTTR水素製造システム実規模単一反応管試験装置,平成13年度試験運転報告(受託研究)
林光二 ; 稲垣嘉之 ; 加藤道雄 ; 藤崎勝夫* ; 会田秀樹 ; 武田哲明 ; 西原哲夫 ; 稲葉良知 ; 大橋弘史 ; 片西昌司 ; 高田昌二 ; 清水明 ; 森崎徳浩 ; 榊明裕* ; 前田幸政* ; 佐藤博之*
JAERI-Tech 2005-032; Jun.2005,46p.

 本書は,HTTR水素製造実規模単一反応管試験装置の平成13年度試験運転報告である.平成13年度は平成14年3月1日から3月13日の2週間に第1回試験運転を実施し,水蒸気改質器の熱流動に関する試験,並びに試験装置の運転訓練を行った.水蒸気改質器の熱流動に関する試験は,ヘリウムガスとプロセスガス間の伝熱特性を評価するものである.本報告では,試験の概要,結果,並びに運転記録についてまとめている.


330593
火災・爆発解析コードシステムP2Aを用いたHTTR水素製造システムにおける可燃性ガスの移流拡散及び爆発に関する感度解析(受託研究)
稲葉良知 ; 西原哲夫
JAERI-Tech 2005-033; Jul.2005,206p.

 本報告書では,HTTR水素製造システムにおける火災・爆発事故の解析条件を適切に設定できるように,火災・爆発解析コードシステムP2Aを構成する3つの解析コードPHOENICS, AutoReaGas及びAUTODYNを用いて,漏洩ガスの移流拡散及び爆発解析における噴流の影響,ガス爆発解析における障害物,着火点位置及びメッシュサイズの影響,及び漏洩ガスの移流拡散解析における大気安定度の影響を調べた.また,PHOENICSに大気安定度を考慮するための機能追加,及びPHOENICSとAUTODYN間のインターフェイスの改良について述べた.最後に,これらの感度解析の結果を踏まえ,実規模単一反応管試験装置及びHTTR水素製造システム対象とした可燃性流体の漏洩事故解析を2ケース行った.その結果,今回設定した解析条件下では,漏洩した可燃性ガスが爆発しても,安全上重要な建屋への影響はほとんどないことがわかった.


330483
稠密格子体系ロッド位置変位のX線CTによる測定と伝熱特性への影響(共同研究)
光武徹* ; 勝山幸三* ; 三澤丈治 ; 永峯剛* ; 呉田昌俊* ; 松元愼一郎* ; 秋本肇
JAERI-Tech 2005-034; Jun.2005,55p.

 燃料棒と燃料棒の間隙が1mm程度の稠密格子体系では,わずかなロッド位置変位により伝熱特性に影響を及ぼす恐れがある.また,熱的限界出力を評価するサブチャンネル解析において,模擬燃料棒が設計位置からズレた場合の影響を定量的に確認しておくことは,実験解析の予測誤差原因を検討するうえで重要である.本研究では,低減速炉炉心模擬燃料集合体(7本バンドル)に対して,断面内の模擬燃料棒配置を実測し,その結果に基づいて各模擬燃料棒中心位置の変位と伝熱特性との関係について実験的に検討するとともに,サブチャンネル解析結果に及ぼすロッド位置変位の影響を評価した.X線CT装置による断面の可視化画像より,模擬燃料棒位置は設計位置から大きく変位していないことが確認できた.模擬燃料棒位置の変位は,最大0.5mm,平均は0.2mmであった.伝熱実験の結果,BT発生位置・時刻の観点から模擬燃料棒位置の変位の影響は小さかった.X線CT測定結果に基づく限界出力計算値(サブチャンネル解析)は,模擬燃料棒が設計位置にある結果よりも5%程度小さくなったが,過大評価の程度は約25%と依然大きかった.このことから,解析結果と実験結果との差異は,模擬燃料棒の変位(入力データの問題)だけでは説明はつかず,解析モデルの影響の大きいことがわかった.


330680
炉容器冷却設備冷却器の伝熱性能の変化とその回復作業について
濱本真平 ; 渡辺周二 ; 小山直* ; 太田幸丸 ; 栃尾大輔 ; 藤本望
JAERI-Tech 2005-035; Jul.2005,35p.

 HTTRの炉容器冷却設備(Vessel cooling system: VCS)は工学的安全施設の一つであり,配管破断や減圧事故時のような強制循環による炉心の冷却ができない場合に,炉心の熱を圧力容器の周りに設置した水冷管パネルで輻射及び自然対流によって除去する設備である.また,通常運転時には1次遮蔽体のコンクリート温度を制限値以下に保つ機能を有している.これまでの運転で,VCSによる除熱量の変化はないものの,VCSを流れる冷却水の温度レベルが徐々に上がりはじめた.さらに冷却水の温度上昇に伴い,遮蔽体であるコンクリート温度の上昇も懸念された.このまま運転を続けると,コンクリート温度が制限値に近づくことも予想されたため,VCS冷却水の温度レベルを低下させる対策を行うこととした.VCS冷却水の温度を管理している機器の1つにVCS冷却器がある.このVCS冷却器の伝熱性能を評価しその低下の程度を明らかにした.その結果,伝熱性能の低下が認められたため,伝熱管の洗浄を行い伝熱性能の回復を図った.これにより,VCS除熱量を変化させることなく,VCS冷却器の伝熱性能を大きく改善し,VCS冷却水の温度を低下させることができた.


330484
Compatibility of reduced activation ferritic/martensitic steel specimens with liquid Na and NaK in irradiation rig of IFMIF
湯谷順明* ; 中村博雄 ; 杉本昌義
JAERI-Tech 2005-036; Jun.2005,10p.

 材料の照射特性は温度依存性が強いため,照射中の試料温度測定は重要である.しかしながら,中性子照射損傷が20dpa/年以上となるIFMIFの高中性子束領域において,鉄ベースの合金を照射する場合,大量の核発熱が生じるため,試料温度を正確に計測することは,不活性ガスを照射試料と試料ホルダーとの間のギャップに充てんして試料温度を試料ホルダーに埋め込んだ熱電対によって測定する従来の方式では,照射中にギャップの熱伝達率が変化するため極めて困難である.その対策としてギャップの熱伝達率がより安定と期待される液体金属(ナトリウム又はナトリウム−カリウム合金)をギャップに充てんする方法が提案(FZKが提案)されているが,液体金属と低放射化フェライト鋼との両立性に懸念があった.本報告は,このような液体金属と低放射化フェライト鋼との両立性について検討し,照射リグ設計への提案として,充てん前の液体金属の純度管理や炭素原子移行を予防する材質選択上の注意を述べる.


330681
ARTISTプロセスにおける元素分離シミュレーション; 表計算による向流抽出器の分離シミュレーション
山口五十夫* ; 鈴木伸一 ; 佐々木祐二 ; 山岸功 ; 松村達郎 ; 木村貴海
JAERI-Tech 2005-037; Jul.2005,56p.

 溶媒抽出法による再処理では,大量処理と連続運転性に優れたミキサーセトラー型溶媒抽出器が多用されている.そこでARTISTプロセス開発で得られたデータをもとに,使用済み核燃料を用いてミキサーセトラーを運転した場合,各フラクションに分布する金属イオンの割合を,向流接触抽出計算式を表計算に組み込んでシミュレーションした.しかし,前出の向流接触抽出計算式は,ミキサーセトラー内の各ステージにおいて酸濃度変化等の影響で金属イオンの分配比が変化した場合の計算に対応していない.そのため,抽出剤の酸抽出分配比より,ミキサーセトラー内の各ステージの平衡酸濃度を求め,その酸濃度に対応した金属イオンの分配比から,ミキサーセトラーの各フラクションに分布する金属イオンの割合を求める計算法を開発した.これらの計算法は各フラクションに分布する金属イオンの割合ばかりでなく,M・S内の各ステージに分布する金属イオンの割合も求めることができる.


330594
水素供給コストに関する評価
西原哲夫 ; 武田哲明
JAERI-Tech 2005-038; Jul.2005,40p.

 日本原子力研究所では2025年頃の高温ガス炉水素製造システムの実用化を目指し,高温工学試験研究炉(High Temperature Engineering Test Reactor, HTTR)を用いて高温ガス炉と水素製造設備の接続技術,水からの水素製造プロセスである熱化学法ISプロセス技術の研究開発を進めている.燃料電池自動車の燃料として大量に水素を供給するシステムは,オフサイト型とオンサイト型に大別される.オフサイト型では水素製造コストのほかに,輸送や充填にかかわるコストも考慮しなければならない.さらに,化石燃料を利用した水素製造システムでは,二酸化炭素の処分にかかわるコストも必要になる.したがって,核熱を用いた水素製造システムの経済性評価には,水素製造コストだけではなく輸送や貯蔵を含めた総合的な水素供給コストを評価する必要がある.そこで,水素貯蔵,輸送及び充填にかかわる国内外のコスト評価結果を調査し,さまざまなオフサイト型システムとオンサイト型システムに対して,水素供給コストを評価した.


330595
超ウラン元素仕様高温音速弾性率測定装置及び円筒形試料成型機の製作及び性能試験
芹澤弘幸 ; 菊地啓修 ; 岩井孝 ; 荒井康夫 ; 黒澤誠 ; 三村英明 ; 阿部治郎
JAERI-Tech 2005-039; Jul.2005,23p.

 プルトニウム等超ウラン元素を含むセラミックス燃料及び合金燃料の高温における機械的性質に関する研究を実施するため,高温音速弾性率測定装置及び円筒形試料成型機並びに高温音速弾性率測定装置格納用グローブボックス(711-DGB)を製作した.セラミックス試料の加工を前提とした円筒形試料成型機は,大洗研究所燃料研究棟101号室既設のグローブボックス(142-D)内に設置した.高温音速弾性率測定装置は,超音波センサ,加熱装置,循環式冷却装置,空冷用エアーコンプレッサ,真空排気系及びガス供給系並びに制御用コンピュータから構成され,超音波のパルサ/レシーバー及びアンプは,制御用コンピューターに内蔵されている.グローブボックス内に敷設するため市販品を改造し,超ウラン元素化合物の使用を前提として,試料の小型化を検討するとともに安全機構を付加した.高温音速弾性率測定装置の最高使用温度は,1500℃である.装置本体及びグローブボックスは,それぞれ装置の性能及び安全性試験を実施した.


330682
HTTRの中間熱交換器の伝熱性能に関する評価
栃尾大輔 ; 中川繁昭
JAERI-Tech 2005-040; Jul.2005,39p.

 定格熱出力30MWの高温工学試験研究炉(HTTR)では,原子炉で発生した熱を加圧水冷却器,中間熱交換器による熱交換を経て,最終的に加圧水空気冷却器により大気に放散している.HTTRの主冷却系熱交換器は原子炉出口冷却材温度850℃/950℃を達成しつつ原子炉で発生した30MWの除熱を行わなければならず,主冷却系の熱交換器は設計時に定めた伝熱性能を有していなければいけない.本報では,HTTRにおいてこれまで実施してきた出力上昇試験,供用運転のデータから,主冷却系に設置されている熱交換器のうちの中間熱交換器(IHX)について伝熱性能を評価した.また,設計時におけるIHXの熱交換性能との比較を行い,設計時に用いたIHX伝熱性能評価手法の妥当性を検討した.


330683
HTTRの加圧水空気冷却器の伝熱性能に関する評価
栃尾大輔 ; 中川繁昭
JAERI-Tech 2005-041; Aug.2005,109p.

 定格熱出力30MWのHTTRでは,原子炉で発生した熱を加圧水冷却器,中間熱交換器による熱交換を経て,最終的に加圧水空気冷却器により大気に放散している.HTTRの主冷却系熱交換器は原子炉出口冷却材温度850℃/950℃を達成しつつ原子炉で発生した30MWの除熱を行わなければならず,主冷却系の熱交換器は設計時に定めた伝熱性能を有していなければいけない.本報では主冷却系に設置されている熱交換器のうちの加圧水空気冷却器(ACL)について,HTTRにおいてこれまで実施してきた出力上昇試験,供用運転のデータからACLの伝熱性能の評価及び設計値との比較を行い,実際に設置されたACLが設計時に要求された伝熱性能を有していることの確認を行った.さらに,外気温度に対する出力100%時の原子炉の除熱について検討し,ACL入口における空気温度が設計で想定した33℃の条件において,原子炉で発生した熱を除熱する能力を有していることを確認した.


330684
研究用原子炉(JRR-4)の制御棒挿入障害事象にかかわる再発防止対策
JRR-4管理課 ; 研究炉利用課
JAERI-Tech 2005-042; Jul.2005,58p.

 研究用原子炉(JRR-4)において,平成17年6月10日に,定格出力(3,500kW)で運転中,制御棒挿入障害事象が発生し,原子炉を手動停止した.原因調査の結果,制御棒挿入障害は制御棒の振れを止める部分のねじが緩み,このねじが制御棒と干渉して挿入をできなくしたものであることが判明した.原因となったねじを新品と交換し正常な状態に復旧するとともに,制御棒挿入障害事象の重みを考え,再発防止対策として,同様の事象を引き起こす可能性のある炉心上部の全てのねじ類の増し締め点検を行った.今後は,これらのねじ類について増し締め点検を定期的に実施していくこととした.本書は,再発防止対策として実施したねじ類の増し締め点検についてとりまとめたものである.


330778
難分析長寿命核種分析のための波長安定化レーザーの開発,3; コンピューターによる波長安定化システムの制御
宮部昌文 ; 大場正規 ; 加藤政明 ; 若井田育夫 ; 渡部和男
JAERI-Tech 2005-043; Aug.2005,27p.

 多段階共鳴電離法による難分析核種の分析では,発振波長を同位体の共鳴波長に素早く正確に同調でき,長時間一定に維持することのできるレーザー光源が不可欠である.本研究では,これまでに開発した周波数基準レーザーとエタロン干渉計によるレーザーの波長安定化システムを,デジタル回路とコンピューターを用いて制御する方式に改造し,発振波長を簡単に切り替えられるシステムを開発した.さらに,本システムの波長同調性能や波長安定度を,ヘテロダイン計測法や,カルシウム原子の多段階共鳴蛍光分光法を用いて測定し,分析用光源として十分な性能を有することを確認した.


330779
SPring-8原研アンジュレータービームラインBL11XUの真空排気ユニットの振動対策
桐山幸治* ; 塩飽秀啓
JAERI-Tech 2005-044; Aug.2005,16p.

 原研アンジュレータービームラインBL11XUの輸送部配管に接続されている真空排気ユニットの振動対策を行った.排気ユニットはターボ分子ポンプとスクロールポンプから構成されており,これらを運転させることで必然的に生じる振動が何らかの経路で分光器に伝わってしまうと,分光結晶の平行度が崩れて出射光の安定に影響を及ぼす可能性がある.そのため,排気ユニットの振動対策はビームラインの安定運転のために必要である.特に大きな振動を生じるスクロールポンプの振動をオフラインでさまざまな測定条件で測定した結果,スクロールポンプの振動を抑えるには,(1)スクロールポンプに制振装置を取り付ける,(2)排気ユニットの架台にスクロールポンプを置かず,床に置く,(3)フレキシブルチューブとスクロールポンプを床に固定するとよいことがわかった.これらの排気ユニットの振動対策を行った結果,分光結晶ホルダーにセットされた振動計の測定では,排気ユニットから分光器へ伝播していたスクロールポンプの振幅は従来の約5分の1に減少した.今回BL11XUで施した手法は,排気ユニットを導入している他ビームラインのスクロールポンプの制振対策としても十分有効な手段であろう.


330780
深冷水素蒸留装置用スパイラルフィン形状凝縮器の考案
岩井保則 ; 山西敏彦 ; 西正孝
JAERI-Tech 2005-045; Aug.2005,38p.

 核融合炉の水素同位体分離に用いられる深冷蒸留塔では,水素を液化させるヘリウム冷媒配管を,凝縮器外周に巻き付ける構造が採用されている.冷媒配管にトリチウムが混入する可能性を確実に除外するためこの構造が採用されているが,凝縮器に広い外表面積が必要なことから,凝縮器そのものが大型化する問題が生じる.この問題を解決するために,ヘリウム冷媒配管流路及び凝縮器内部にフィンを挿入したスパイラルフィン形状凝縮器の概念を考案した.これにより,従来型の凝縮器と比較して半分以下の大きさに縮小することが可能となった.さらに,凝縮器内部の水素同位体インベントリーを評価する簡易モデルを提案し,その妥当性を検証した.


330781
原子炉解体にかかわる廃止措置費用評価手法の検討; COSMARDを用いた廃止措置費用の計算
大島総一郎* ; 白石邦生 ; 島田太郎 ; 助川武則 ; 柳原敏
JAERI-Tech 2005-046; Sep.2005,46p.

 OECD/NEAが標準化した廃止措置費用項目に対して,費用特性に基づいたグループ分けを行い,労務費,装置資材費,経費からなる,廃止措置費用の評価モデルを作成し,原子炉施設の廃止措置計画策定及び管理のための計算システム(COSMARD)に実装した.そして,JPDRの廃止措置を対象に廃止措置費用評価のための入力データファイル及びデータベースを作成し,COSMARDを用いて廃止措置費用を計算した.その結果,全費用に寄与の大きい費用項目は,解体作業費用及び廃棄物の処理・処分費用であることがわかった.また,BWR大型原子力発電所の廃止措置を対象にCOSMARDを用いて廃止措置費用を計算し,COSMARDの適用可能性を検討した.これらの検討により,COSMARDを用いて原子力施設の廃止措置費用評価の検討が効率よく実施できることがわかった.


330782
Design of micro-fission chambers for ITER low power operations
西谷健夫 ; 山内通則* ; 泉幹雄* ; 草間義紀
JAERI-Tech 2005-047; Sep.2005,34p.

 ITERにおいてマイクロフィッションチェンバーは核融合出力を測定する重要な計測装置の一つである.マイクロフィッションチェンバーは真空容器内に取り付けられるため,高真空及び高温環境下で動作する必要がある.また核発熱とその除熱方法も考慮する必要がある.これまで,ITERの高出力運転用のマイクロフィッションチェンバーの設計開発を行ってきたが,今回は低出力運転用のマイクロフィッションチェンバーの設計を実施した.検出器は狭いギャップ内に取り付ける必要性から,全酸化ウラン量を1gになるようにマイクロフィッションチェンバーを並べて1つの検出器とする方式を提案した.12mm径と6mm径の2種類のマイクロフィッションチェンバーを基本要素とする,束型検出器を設計した.核発熱はMCNPコードによって評価した.熱輸送解析の結果,真空容器への熱伝達のみで検出器温度は250℃以下にできることを明らかにした.


330783
照射黒鉛中の炭素14の分離,1; Pechiney Q1及びIG-110黒鉛の空気酸化特性と細孔構造の変化(共同研究)
藤井貴美夫
JAERI-Tech 2005-048; Sep.2005,108p.

 天然ウランを燃料とする黒鉛減速炭酸ガス冷却型の日本原子力発電(株)東海発電所は,1998年3月31日に停止した.現在,同社において廃止措置に向けて検討が行われている.東海発電所や原研の高温工学試験研究炉の炉内には多くの黒鉛材料が使用されている.使用済み黒鉛を放射性廃棄物として考える場合,半減期が極めて長い炭素14(14C)が含まれるため廃棄処理・処分する際に問題となることが予想される.14C濃度の問題を解決する一つの研究として,平成11年度から原研−原電共同研究で基礎データを取得した.14C低減化方法の最適条件を選定するには,対象黒鉛材料の酸化反応と細孔構造に関する基礎データが必要である.ここでは,東海発電所に使用されているペシネQuality1黒鉛及びHTTRで使用されているIG-110黒鉛について,450℃〜800℃の温度範囲における空気酸化特性及び反応の進行に伴う,表面積と細孔分布の変化を調べた.


330784
高温ガス炉電力水素併産システム(GTHTR300C)の導入シナリオに関する検討,1
西原哲夫 ; 武田哲明
JAERI-Tech 2005-049; Sep.2005,19p.

 日本原子力研究所では,2030年頃の実用化を目指して高温ガス炉電力水素併産システムGTHTR300Cの研究開発を進めている.本システムが導入される前提条件として,水素需要が増大するとともに,新規原子力発電所のニーズがあることが上げられる.そして導入シナリオの作成のために,2030年頃の原子力発電所の運転状況,水素の主たるユーザーとなる燃料電池自動車の普及状況,既存設備の水素供給能力などを明確にしておく必要がある.本報告書では,現在運転中の原子力発電所のうち2030年までに廃炉となる可能性が高い発電所を推定し,その代替システムとしてGTHTR300Cが導入可能なモデル地区を選定する.そして,モデル地区における水素需要の推算,既存設備の水素供給能力の調査を行い,2030年における水素供給シナリオを検討する.


330785
放射性廃棄物から製作される溶融固化体の放射能迅速評価のための逆同時及び同時γ線スペクトロメトリーの検討
原賀智子 ; 亀尾裕 ; 星亜紀子 ; 米澤仲四郎* ; 中島幹雄
JAERI-Tech 2005-050; Sep.2005,35p.

 日本原子力研究所から発生する低レベル放射性雑固体廃棄物をプラズマ溶融して製作される溶融固化体の簡易・迅速な放射能評価法として,γ線放出核種の非破壊測定法を検討した.Ge検出器のみを使用する通常のγ線スペクトロメトリーで問題となる共存核種のコンプトン散乱に起因するバックグラウンド計数を低減させ,目的核種を選択的に測定するため,Ge検出器とBGO検出器を用いる,(1)逆同時γ線スペクトロメトリー,(2)同時γ線スペクトロメトリーを検討した.廃棄物中に多く含まれる60Coの存在下で,単一のγ線を放出する137Csの測定に対しては逆同時γ線スペクトロメトリーを,複数のカスケードγ線を放出する152Euの測定に対しては同時γ線スペクトロメトリーを適用した結果,137Csの検出限界値は約1/6に低減され,152Euの検出限界値は1/1.5に低減された.本法は放射能評価の迅速化に有効であることがわかった.


330786
マイナーアクチノイド化合物熱拡散率測定装置の整備(受託研究)
西剛史* ; 高野公秀 ; 伊藤昭憲 ; 赤堀光雄 ; 湊和生 ; 木崎實
JAERI-Tech 2005-051; Sep.2005,13p.

 マイナーアクチノイド(MA)化合物の熱拡散率を測定するための装置を整備した.不活性雰囲気のグローブボックス内に,レーザフラッシュ法熱拡散率測定装置を設置することにより,α崩壊核種のMA化合物の熱拡散率測定を可能にした.また,試料の形状に最適化した試料ホルダーを用いることにより,40mg程度の微小試料の測定を可能にした.さらに,この装置の性能を確認するため,タンタル,ニッケル及びセリウム酸化物の測定を行った.その結果,本装置で得た熱拡散率の値は,文献値及び汎用の熱拡散率測定装置により測定した値とほぼ一致し,微小なMA化合物の熱拡散率測定に本装置が有用であることを確認した.


330787
アルカリ金属水酸化物をドープしたアルミノケイ酸固体電解質上での水蒸気の不均化分解,原子力基礎研究H13-015(委託研究)
長瀬賢三* ; 森田昇* ; 渡部昭義* ; 浅尾豊信*
JAERI-Tech 2005-052; Sep.2005,99p.

 アルカリ金属水酸化物をドープしたアルミノケイ酸電解質上での水分子の電気分解において,ファラデー則を超える過剰の水素が生成することを見いだした.本現象は将来の低コスト水素製造具術として期待される.そこで,本現象の技術的成立性を評価し,解決すべき技術的課題を抽出するために,反応速度,反応機構の究明及び熱力学的考察を行った.その結果,水素が低温で,かつ効率的に発生するためには,無機高分子担体上での水分子による膨潤状態の出現と印可電圧及びアルカリ金属酸化物MOHの存在が不可欠な要件であることが判明した.また,本反応機構における最も可能性のある反応機構を考察した.


330905
Numerical analysis on deflagration-to-detonation transition of a hydrogen-oxygen mixture in a smooth tube
稲葉 良知; Kotchourko, A.*; Breitung, W.*
JAERI-Tech 2005-053; Sep.2005,24p.

  Forschungszentrum KarlsruheのFlow and Combustion Engineering Divisionでは、日本とドイツのBWRで起きた放射線分解ガスの爆発事故を契機として、ステンレススチール製平滑円管内における水素の爆発実験を行った。この実験では、化学量論比濃度の水素−酸素混合気が用いられた。初期圧力をパラメータとして、管内の圧力や管の歪みが測定され、爆ごう時の構造応答や平滑管における爆燃から爆ごうへの遷移(DDT)過程が調べられた。本報告書では、この実験の1つを模擬した数値解析について述べた。数値解析には、Flow and Combustion Engineering Divisionで開発された乱流燃焼解析コードCOM3Dを用いた。COM3Dの燃焼モデルは、実験データに基づいた燃焼率の相関式を用いており、実験を正確に模擬するためには、この燃焼率の修正が必要である。著者らは、燃焼率が指数関数状に増加すると仮定して、計算を行った。その結果、計算においてもDDTを再現することができた。


330906
HLW-79Y-4T型核燃料輸送容器の解体と廃棄
山口 五十夫*; 森田 泰治; 藤原 武; 山岸 功
JAERI-Tech 2005-054; Sep.2005,61p.

  HLW-79Y-4T型核燃料輸送容器(通称サンドリオン)は、日本原子力研究所東海研究所における群分離試験において使用する高レベル放射性廃液を核燃料サイクル開発機構東海事業所より輸送する目的でフランスより購入し、日本の国内法規に適合するよう改造を行い、「核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する規則」に適合したBM型輸送物である。本輸送容器は1980年に核燃料輸送物設計承認を、1981年には輸送容器承認を受け、1982年から1990年にかけて5回の高レベル放射性廃液の輸送を実施した。その後は、所外の施設より高レベル廃液を搬入する手段を確保しておく必要性から、本輸送容器の健全性維持,承認容器としての更新手続きを実施してきた。しかし、研究の進展に伴い、所内においても高レベル廃液の入手が可能となったため、本輸送容器は、運搬容器としての使命を終えたと判断し容器承認を廃止した。不要となった輸送容器を廃棄処分するため、あらかじめ、輸送容器各部の線量当量率や表面密度を調査し、その結果から輸送容器を廃棄処分する方法を決定した。本報告書はこれらの決定事項に基づき、内容器内の放射性物質の除染,機構部解体,遠隔分別収納,容器表面放射性物質の除染等の諸作業を実施した結果についてまとめたものである。

330907
耐熱セラミックス複合材料の照射試験,2; 第2次(98M-41A),第3次(99M-30A)予備照射試験中間報告
馬場 信一; 根本 誠*; 相沢 静男; 山地 雅俊*; 石原 正博; 沢 和弘
JAERI-Tech 2005-055; Sep.2005,157p.

  高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた高温工学に関する先端的基礎研究の課題の1つとして「耐熱セラミックス複合材料の照射損傷効果に関する研究」のため、材料試験炉を用いて一連の予備照射試験を進めている。本報告は、このうちの第2次及び第3次の照射試験について記載したものである。両試験の照射温度は973K-1173K及び1273K-1473K,高速中性子照射量1×1025m-2(E>1MeV)の照射条件のもとで行った試料について、直径寸法の基本統計値,寸法変化及び熱膨張率の結果について報告する。

330788
MOX粉末体系の臨界性に対する粒子粒径の影響
高橋聡* ; 奥野浩 ; 三好慶典
JAERI-Tech 2005-056; Sep.2005,51p.

 ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料(以下,MOX燃料)加工施設において取り扱われる燃料の粒子粒径20μm以下では,非均質体系が均質系としてモデル化が可能であるか否かを検討した.まず,MOX燃料の均質体系で無限増倍率を計算して,各Pu富化度の最適減速条件を求めた.MOX燃料の非均質体系において水素対重金属原子個数比H/M固定条件で,立方体単位セル内の燃料球直径を変化させる臨界計算を実施して,100μm以上の燃料球直径では共鳴を逃れる確率が高くなることを検証した.臨界条件等の解析は連続エネルギーモンテカルロコードMVPIIと評価済核データJENDL-3.3の組合せを用いて実施した.ここに,これらの計算の詳細を公開する.これらの計算結果は,「臨界安全ハンドブック」の改訂等に利用される予定である.

330908
社会受容性に優れた分散型小型炉システムの検討; 大深度地下を利用した地域熱供給小型炉システム
中島 伸也; 高橋 博樹; 楠 剛; 三友 信夫
JAERI-Tech 2005-057; Sep.2005,54p.

  大都市の消費エネルギーの内訳は、冷房・暖房・給湯等が中心であり、比較的低質なエネルギーで供給可能であることから、大深度地下を利用した地域熱供給用原子力システムの可能性を検討した。都市の抱える社会構造,環境問題等を社会受容性の視点から調査,検討しシステムの要求事項をまとめた。このようなシステムの熱源規模を算定するために、人口10万人の仮想都市を設定し、熱出力100MWt(MR-100G)2基が必要であること,システムは約40年間の運転後もその規模は過不足なく有効に機能することを明らかにした。日本の大都市は河川の比較的軟弱な堆積地に開かれた場合が多いため、原子炉を設置できる地下空洞建設の可能性について地震時の空洞挙動等を検討し、軟弱地盤での技術的成立性を確認した。さらに、天然ガスボイラーによるシステムとの経済性比較を行い、長期運転の場合には小型原子炉システムの方が優れていることを明らかにした。

330909
ITERトカマク複合建家の振動解析モデル化に関する検討
中倉 健介*; 薬研地 彰*; 荘司 昭朗*; 荒木 政則; 閨谷 譲; 田中 栄一*; 島 裕昭*
JAERI-Tech 2005-058; Sep.2005,61p.

  国際熱核融合実験炉(ITER: International Thermonuclear Experimental Reactor)の設計は、工学設計活動(EDA: Engineering Design Activities)のもとに約9年間進められ、2001年7月に最終設計報告書として取りまとめられた。その後、調整技術活動(CTA)を経て、現在建設に向けての移行措置活動(ITA)の位置づけのもとに設計検討が進められている。日本原子力研究所では、トカマク複合建家について、我が国の原子力発電所耐震設計技術指針等に基づき、複数の代表的な解析手法による静的及び動的な予備的構造検討を実施した。トカマク複合建家は、原子炉建家と比べて外観上の大きな相違はないが、内部構造上は、トカマク本体近傍の放射線遮蔽壁に多数の大開口(ポート)が設けられるなど原子炉建家の特性と異なる部分が含まれており、工学設計に引き続き行われるサイト依存設計に向けた詳細検討を行うにあたり、これらの解析モデルの特性を把握する必要がある。本報告では、トカマク複合建家の詳細モデルと離散化モデルによる静的及び動的特性を比較・検討し、離散化モデルにおける放射線遮蔽壁及びその周辺床の剛性設定方法の妥当性を明らかにした。

330910
TRU高温化学モジュール(TRU-HITEC)の整備(共同研究)
湊 和生; 赤堀 光雄; 坪井 孝志; 黒羽根 史朗; 林 博和; 高野 公秀; 音部 治幹; 三角 昌弘*; 阪本 琢哉*; 加藤 功*; 肥田 隆彦*
JAERI-Tech 2005-059; Sep.2005,61p.

  乾式再処理プロセス及び酸化物燃料における超ウラン元素(TRU)の挙動に関する各種基礎データを取得するための実験設備として、燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)のバックエンド研究施設(BECKY)内に、TRU高温化学モジュール(TRU-HITEC)を設置した。本設備は、鉄及びポリエチレンで遮へいされた3基のα/γセルと含鉛アクリルで遮へいされた1基のグローブボックス、並びに内装された試験装置等から構成されており、セル及びグローブボックス内は高純度アルゴンガス雰囲気に維持されている。10グラムの241Amを使用可能なほか、TRUのNp, Pu及びCmを取り扱うことができる。本報告書は、TRU高温化学モジュールの概要,設備の構造及び性能,設備性能試験,内装試験装置、並びに試験装置の性能試験についてまとめたものであり、原研と東京電力(株),東北電力(株)及び日本原子力発電(株)との共同研究の成果である。

330789
JFT-2Mにおける3次元磁場計測装置の開発
山本正弘* ; 都筑和泰 ; 木村晴行 ; 佐藤正泰 ; 柴田孝俊 ; 岡野文範 ; 鈴木貞明
JAERI-Tech 2005-060; Sep.2005,16p.

 低放射化フェライト鋼は,核融合原型炉の構造材候補の一つである.しかしながら,フェライト鋼は強磁性材料であり,プラズマの閉じ込めや安定性が誤差磁場によって損なわれる恐れがある.そこで,プラズマとフェライト鋼との適合性について調査するためにトカマク型核融合装置JFT-2Mにおいて先進材料プラズマ試験(AMTEX)が実施された.AMTEXは,低放射化フェライト鋼板を段階ごとに設置して実施した.第3段階において,フェライト鋼板がブランケット壁を模擬して,真空容器の内壁のほとんど全部を覆うように設置された.この試験において,フェライト鋼板の設置の前・後における磁場強度分布の正確な測定が要求された.それゆえ,トロイダ方向の3次元の磁場分布を測定する装置を開発した.


330790
JFT-2Mボロンコーティング装置の開発
山本正弘* ; 岡野文範 ; 都筑和泰 ; 小川宏明 ; 鈴木貞明 ; 柴田孝俊
JAERI-Tech 2005-061; Sep.2005,11p.

 先進材料プラズマ試験(AMTEX)を実施するためJFT-2M真空容器内部にフェライト鋼板を設置した.フェライト鋼は錆び易く,かつ表面の不純物吸蔵量も多いことから,フェライト鋼表面をボロンコーティングするためのトリメチルボロン(TMB)を使ったコーティング装置を開発した.コーティング装置で使用されるTMBは毒性があるため,作業者をこの毒性から守るためにヘリウムガスで1%に希釈して使用した.コーティングした膜の一様性や安定性はトカマク真空容器内に設置した試料片を顕微鏡で測定することにより確認した.コーティング膜厚はX線光電子分光装置で測定し,約130nmであった.このボロンコーティングを実施した後のプラズマ実験では,実施前に比べて放射損失は1/3に減少し,また,酸素不純物は1/10に減少した.


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