研究開発報告書類

JAEA-Research
2006年


34000212
世界を対象とした高速増殖炉サイクルの研究開発投資効果
川崎 弘嗣; 安松 直人*; 久保田 貞衣*; 塩谷 洋樹; 小野 清
JAEA-Research 2006-001; February 2006,60p.

  FBRサイクル研究開発を将来の実用化に向けて推進していくため、投資に対する便益を評価し、事業計画の妥当性を検討する一つの手段として、FBRサイクル研究開発投資効果の評価を実施した。FBRサイクルの研究開発投資効果を世界規模で評価(世界の評価ケース)するため、将来、世界のエネルギー需給シナリオにおいて原子力エネルギーが一定のシェアを持つことを前提に、そのシェアが徐々に軽水炉発電からFBR発電に置き換わっていくことを想定した。その場合、軽水炉がFBRにリプレースされたことにより得られる効果に加え、リプレースされない軽水炉発電部分にも天然ウラン燃料価格の上昇を抑制する効果が得られる。このような経済性向上効果を将来に渡って得られる効果額として試算するため、割引率を用いて現在価値換算して評価した。「世界の評価ケース」のリファレンスケースとして、例えば、FBRの導入時点を2050年として軽水炉と同等の発電コストを想定した場合は、ウラン燃料価格上昇に伴う発電コスト上昇を回避できることにより、約44兆円の効果が期待できるという試算結果を得た。全世界のFBRサイクル研究開発費(投資額)は、今後の国際共同開発による費用分担の程度にも依存するが、総額で数兆円と見込まれている。よって、FBRサイクルを実現することにより、研究投資を上回る経済効果が期待できるという試算結果が得られた。

34000213
Current profiles and major disruptions in a lower-hybrid current drive tokamak
上原 和也; 永島 孝*
JAEA-Research 2006-002; February 2006,15p.

  低域混成波による電流駆動トカマクにおける電流分布が色々なrfスペクトルの場合に計算され、メジャーディスラプションとの関連が議論されている。電流分布はrfスペクトルでガウス型のものが用いられ、準線形理論を用いて評価されている。メジャーディスラプションはテアリング不安定性の2つの磁気島が接触する際に起こるという基準が適用されていて、どのような電流分布がディスラプションに対して安定となるかが求められている。計算はJT-60における、低域混成波による電流駆動でメジャーディスラプションの回避に向けて、位相速度の実時間制御によって電流分布を制御する実験を想定して行われている。

34000214
4群群分離プロセスにおける白金族元素群の回収工程において沈殿したSrの回収方法の検討
藤原 武; 森田 泰治
JAEA-Research 2006-003; February 2006,22p.

  4群群分離プロセスにおいてTc-白金族元素群の回収方法としては脱硝による沈殿法を採用している。脱硝後液のpHがほぼ中性になる場合、Srの一部などの元素がTc-白金族元素群とともに沈殿する。これらのTc-白金族元素群とともに沈殿する元素の中でもSrは4群群分離プロセスでの回収対象元素でもあることから特に重要な元素であり、何らかの方法によってTc-白金族元素群から分離回収しなければならない。そこで、本報ではSrをTc-白金族元素群の脱硝沈殿から分離回収することを主な目的として、Tc-白金族元素群の回収工程における脱硝沈殿の溶解方法について検討を行った。Tc-白金族元素群の回収工程において白金族元素群とともに沈殿するSrは、pH2以上の酸(0.010mol/dm3硝酸等)で脱硝沈殿を洗浄することによって、白金族元素群を沈殿として残留させた状態で脱硝沈殿から定量的に溶出することができた。このときSrの溶出液に同伴するのはBaとNiであった。また、Srの溶出操作を行った後に脱硝沈殿を全量溶解しても、新たにSrが溶液中に見いだされることはなかった。一方、Sr溶出液のpHは2程度となるので、溶出したSrを無機イオン交換体で吸着処理するためにはSr溶出液のpHを中性付近(pH5以上)に調整する必要があるが、水酸化ナトリウム溶液を添加することによってSr溶出液のpHを中性付近に調整を行った場合でも、Srは再沈殿しないことが確認できた。

34000428
Japan Sea expeditions for studies on water circulation and transport processes of radionuclides (Contract research)
外川 織彦; 伊藤 集通; 小林 卓也; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史
JAEA-Research 2006-004; February 2006,132p.
  本報告書は、1994年から2002年まで原子力機構(旧原研)が実施した、あるいは原子力機構が参加した日本海海洋調査(第1期)の成果をまとめたものである。最初に、日本海の海洋学的特徴,過去における主な海洋調査、及び日韓露共同海洋調査の主たる結果について説明する。次に、日本海海洋調査の概要を示し、調査で得られた観測・分析の結果と考察を記述する。最後に、成果の概要,関連したモデル開発及び今後の研究を含めて、結論を述べる。これらの調査では、水温,塩分,海流等の海洋学データを取得するとともに、調査海域内において海水,海底土及び沈降粒子試料を採取し、それらに含まれる放射性核種等の分析を行った。これまで実施した調査によって、現時点で日本海の調査可能な海域を大まかではあるがほぼ網羅し、広く連続した放射性核種等分析データ及び海洋学データを取得することができた。これまでの調査で得られた、海洋学的データ,海水及び海底土における人工放射性核種,沈降粒子中の主成分と微量元素及び放射性核種,放射性炭素とクロロフルオロカーボン類など各種のデータを解析し、日本海における海水循環及び放射性核種の移行過程に関する重要かつ新たな知見を得た。

34000215
1/1.8縮尺部分モデルによる原子炉容器内ガス巻き込み特性の評価; ガス巻き込み初生条件と発生メカニズムの把握
木村 暢之; 江連 俊樹; 中山 王克; 飛田 昭; 伊藤 真美*; 上出 英樹
JAEA-Research 2006-005; March 2006,45p.

  日本原子力研究開発機構ではFBR実用化戦略調査研究の一環として、ナトリウムを冷却材とした高速炉の検討を行っている。ガス巻き込みを含む炉上部プレナム内の流況を適正化するために、縮尺比1/1.8の大規模水流動試験体を製作し、ガス巻き込み現象を把握した。本試験体は、ガス巻き込み発生の要因となる下降流速が見られることから、出口配管(ホットレグ配管)を中心とする90度セクターを対象に、液面への流れを抑制するために設置されている水平板(ディッププレート、D/P)から液面までをモデル化した。ガス巻き込みの発生は可視化によって確認した。設計形状の体系(D/Pを2段で構成)では、定格時に予測される流速条件で、D/Pからの液位が定格時の液位の3%から100%の範囲でガス巻き込みの発生は見られなかった。D/Pを1段とした場合との比較から、D/Pを2段にすることで局所的な下降流速のピークを低減する効果があることがわかった。また、1段D/P形状で高液位(定格の50%の高さ以上)条件下では、周方向流速に依存してガス巻き込みが発生することが可視化結果、及び流速計測結果からわかった。発生条件は設計における定格条件に比べて、周方向流速で4倍以上大きいことがわかった。以上により、本体系の原子炉容器についてガス巻込み抑制の見通しが得られた。

34000429
Na冷却炉設計研究; 平成16年度成果概要(共同研究)
菱田 正彦; 村上 勤*; 木曽原 直之; 藤井 正; 内田 昌人*; 早船 浩樹; 近澤 佳隆; 臼井 伸一; 池田 博嗣; 宇野 修; 惣万 芳人*; 此村 守
JAEA-Research 2006-006; March 2006,125p.
  実用化戦略調査研究フェーズIにおいて、経済性目標を初めとする設計要求を満足する可能性のある有望なNa冷却炉概念として、アドバンスト・ループ型炉が抽出された。フェーズIIでは、合理化検討とプラント概念の構築を行ってきている。本報告書は、フェーズIIの4年目である平成16年度に実施したNa冷却炉設計研究の成果をまとめたものである。本研究では、平成15年度の中間評価結果でレファレンス概念に選定された改良内部ダクト型燃料集合体及び直管型密着2重管蒸気発生器(SG)を反映して、炉心設計及び大型炉プラント概念設計を行った。本SGについては、安全ロジックを含めた検討を実施し、構造概念を構築した。また、保守・補修方針に適合したプラント概念設計を行った。さらに、要素技術開発成果の反映による成立性評価の高度化,各種バックアップ概念の構築を行ったほか、BOP及びNSSSについて、原子力級部材の適用除外,自主基準化,規制緩和などによる設計合理化,システム化規格の検討状況を踏まえ、さらなる合理化方策も検討した。今後は、フェーズIIのまとめとしてプラント概念の仕上げを行うとともに設計方針類の整備を行う。また、要素研究成果を反映し、残された技術課題の検討を行う。

34000216
固体銅接合型蒸気発生器の概念検討; 常温におけるガス加圧によるき裂進展試験
近澤 佳隆; 相澤 康介; 此村 守
JAEA-Research 2006-007; March 2006,114p.

  高速増殖炉実用化戦略調査研究の一環として、ナトリウム冷却炉の2次系簡素化概念を検討している。銅を熱媒体として中間熱交換器と蒸気発生器を一体にした固体銅接合型蒸気発生器はその概念候補案の一つとして検討している。平成16年度では、実機で発生するき裂の進展挙動を明らかにすることを目的として、実機蒸気発生器伝熱管部を模擬した3×3伝熱管試験体を用いて、ガス加圧による疲労試験を行った。平成15年度に実施した曲げ試験と比較すると、試験体形状の効果によりき裂発生及びき裂進展が大幅に阻害されることがわかった。また、固体銅蒸気発生器のさらなる経済性を追求するために、クリープ歪み評価を実施し、クリープ歪み制限を満たしつつ伝熱管仕様の最適化を行った。伝熱管長さを15mとした場合は物量が2次系ありのプラントと同等になり、加工費を含んだ概算建設費は2次系ありのプラントと比較して70%程度になると評価した。実機におけるき裂進展挙動の評価については、平成15年度に実施した曲げ試験によるき裂進展試験の結果を利用して、き裂進展に必要な条件を考察した。応力解析の結果、水蒸気管壁の75%以上の初期き裂が存在する場合は管束中間部においてき裂が進展して熱媒体銅まで到達する可能性があるが、熱媒体銅まで到達すると、き裂進展は止まることがわかった。

34000430
FCA軽水炉模擬体系における238Uドップラー効果の予測精度評価; JENDL-3.3ライブラリー及びSRACシステムによる解析(共同研究)
川ア 憲二*; 安藤 真樹; 岡嶋 成晃; 福島 昌宏; 中野 誠*; 松本 英樹*
JAEA-Research 2006-008; March 2006,40p.
  軽水減速ウラン燃料模擬体系FCA-XXI-1D2炉心及びMOX燃料模擬体系FCA-XXII-1シリーズ炉心で測定された238Uドップラー効果に対する最新の核データJENDL-3.3及び熱中性子炉解析コードシステムSRACを用いた解析手法の予測精度を評価するため実験解析を実施した。解析の結果、拡散計算と実験値との差は800℃において-4%〜+11%となり、全般的に過大評価となったが、軽水炉に近い比較的軟らかいスペクトルを持つ炉心においては、おおむね実験誤差の範囲内で実験値と一致した。

34000431
非凝縮ガス濃度測定装置の開発
竹本 昌史; 中村 秀夫; 大和田 明彦; 大崎 秀機
JAEA-Research 2006-009; March 2006,48p.
  加圧水型原子炉のLOCA時には、ECCSの蓄圧タンクから注水が終了した後、同タンクから1次系に加圧用の窒素(N2)ガスが流入する。ガスは圧力容器の頂部や蒸気発生器などに蓄積されるため、蒸気発生器伝熱管内での凝縮熱伝達が阻害され、蒸気発生器の2次側減圧による1次系の減圧が充分に行えない事態が生じ得る。これらの熱伝達,減圧阻害を解明するためには、蓄積した非凝縮ガスの濃度の定量的な把握が必要とされているがN2ガスの濃度を直接測定することは難しいため、測定例は見あたらない。このような背景より、ROSA計画大型非定常実験装置(LSTF)の圧力容器や蒸気発生器に蓄積されるガス濃度が直接測定できるようにするため、蓄圧タンクの加圧ガスに空気を用いるとともに、ジルコニア酸素濃度計,タービンメータ等を組合せ,微少流量の高温、高圧状態の蒸気中の酸素濃度が計測できる非凝縮ガス濃度測定装置を開発した。本報では本装置の概要,操作方法等を紹介するとともに、性能確認のため各種条件下で行った酸素濃度測定結果及びLSTFへの適用性について報告する。

34000217
中性子吸収線量測定用の人体組織等価材料の開発
津田 修一; 遠藤 章; 山口 恭弘
JAEA-Research 2006-010; February 2006,47p.

  精度のよい中性子の吸収線量測定実験に使用するために、筋肉,肺及び骨組織に等価な吸収線量分布特性を有する組織等価材料を開発した。各組織等価材料の元素組成及び密度の検討には、吸収線量計算の可能なMCNPコードを用いた。数種類の高分子樹脂を選定し、溶融・混合することによって、均一な材質を有する組織等価材料を製作した。開発した組織等価材料に対して、単色中性子源及びCf-252線源を用いて吸収線量を測定するとともに、Co-60線源を用いて各組織等価材料の光子減弱率を測定した。MCNPによる計算値を測定値と比較した結果、両者はよく一致した。測定と同じ条件で人体組織内の吸収線量を計算し、測定した吸収線量結果と直接比較することによって、開発した組織等価材料の性能を評価した結果、本材料はCf-252中性子及び各単色中性子に対してよい組織等価性能を有することがわかった。開発した組織等価材料は、一般的な速中性子場における吸収線量分布測定に利用することが可能であり、実験的検証に基づいた精度のよい中性子線量評価に貢献すると考えられる。また開発した筋肉等価材料については、数10MeV準単色中性子源に対する吸収線量を測定し、100MeVまでの筋肉等価性能を評価した。その結果、開発した筋肉等価材料は、高エネルギー加速器施設,高高度環境等において問題となる数10MeVの中性子に対する線量測定にも利用できることがわかった。

34000432
Talspeak法へのDIDPA溶媒適用性の検討
藤原 武; 森田 泰治
JAEA-Research 2006-011; March 2006,24p.
  日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)で開発を進めてきた4群群分離プロセスでは、使用済核燃料の再処理に伴って発生する高レベル放射性廃液から、ジイソデシルリン酸(DIDPA)溶媒を用いて超ウラン元素を一括で抽出分離するが、そのとき、3価の超ウラン元素と同様に希土類元素等も抽出される。核分裂生成物として生成する希土類元素の高レベル廃液中の濃度は、3価の超ウラン元素であるAmとCmの濃度に対して約50倍程度であるので、Am等の長寿命核種を短寿命核種に核変換処理を行う場合には、核変換対象核種の純度を核変換システム側の要求する水準に合わせるために、両者を分離する必要があるのが一般的である。また、長寿命核種群として最終処分を行う場合においても、固化体の減容化を図るためには両者を分離することが必要である。一方、Talspeak法は、抽出剤にジ-2-エチルヘキシルリン酸(DEHPA)を用い、錯形成剤にDTPAを用いることによって、水相側に3価の超ウラン元素を選択的に分離回収する3価の超ウラン元素と希土類元素との分離法である。そこで、Talspeak法の抽出剤にDIDPA溶媒を適用することによって、3価の超ウラン元素と希土類元素を分離する方法について検討を行った。本研究では、Talspeak法の抽出剤にDIDPA溶媒を適用した場合について、DTPA等の錯形成剤を用いた逆抽出操作によってAmと希土類元素とを分離するための諸条件を、バッチ試験により検討した。

34000218
Effect of initial heat treatment on tensile properties and charpy impact properties of reduced-activation ferritic steel F82H irradiated by neutrons
若井 栄一
JAEA-Research 2006-012; March 2006,51p.

  核融合炉構造材料として開発しているF82H鋼の照射硬化と照射脆化に及ぼす照射前の熱処理効果について、JMTR等の原子炉で中性子照射実験を行い、検討した。照射前後での延性脆性遷移温度と降伏応力の変化を解析した結果、照射後の強度特性は照射前に行う焼き戻し時間や温度を調整することで性能向上を図れることを示した。

35000112
実機シュラウド材の3次元アトムプローブ分析(受託研究)
近藤 啓悦; 根本 義之; 三輪 幸夫; 加治 芳行; 塚田 隆; 永井 康介*; 長谷川 雅幸*; 大久保 忠勝*; 宝野 和博*
JAEA-Research 2006-013; December 2006,39p.
 沸騰水型軽水炉(BWR)炉心シュラウドなどにおいて低炭素オーステナイト系ステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)発生が報告されている。機構解明のためにBWR炉心シュラウドから採取されたサンプル(SUS316L)の3次元アトムプローブ分析を行った。その結果、粒内において偏析及び析出物生成,スピノーダル分解などに伴う溶質元素の不均一分布は観察されなかった。また、結晶粒界の分析の結果、粒界において原子層レベルでも明確なCrの欠乏層が存在しなかったことから、低炭素ステンレス鋼のSCCにはCr欠乏による耐食性劣化とは異なるき裂進展機構が存在することが明確に示された。他の溶質元素についてはMo及びSiが、粒界において従来のFE-TEM/EDSによって分析された濃度値よりも高濃度で濃縮している可能性が示唆された。

34000219
個別読み出し型中性子ガス検出器の位置分解能に関する研究
田中 浩基; 中村 龍也; 山岸 秀志; 曽山 和彦; 相澤 一也
JAEA-Research 2006-014; March 2006,17p.

  大強度パルス中性子に対応した位置敏感型中性子ガス検出器が必要とされている。特に高速<1μs,高位置分解能<1mm,高効率>80%(for thermal neutron)といった性能を満たすためにわれわれは個別読み出し型マイクロストリップガス検出器の開発を行ってきた。本稿では個別読み出し方式による位置分解能評価シミュレーションの構築・実験値との比較を行うことを目的とした。このシミュレーションは中性子ビームの形状とガス条件から位置分解能を評価することができ、中性子ビームを用いた実験値と良い一致を示した。また位置分解能とピークカウント数の均一性について併せて報告する。

34000433
埋め戻し材,プラグ,坑道及び処分孔等の性能保証項目にかかわる評価ツールの現状
川上 進; 藤田 朝雄; 油井 三和
JAEA-Research 2006-015; March 2006,25p.
  国が策定する緩衝材にかかわる安全基準,指針等に資するため、埋め戻し材,プラグ,坑道及び処分孔等の性能保証項目に対し、現状の評価方法を確認し、ツールの整備状況として一覧表形式でまとめた。また、一覧表に記載した評価ツール内容の具体例を示した。示している内容は、埋め戻し材,緩衝材の基本特性(膨潤特性,力学特性,透水特性),埋め戻し材の変形・変質の長期挙動に関する現象(流出,岩盤への侵入),コンクリート材料によるアルカリ影響(緩衝材,岩盤の変質・劣化,オーバーパックの腐食挙動),岩盤の力学的変形挙動であり、それぞれの項目で確認する具体的内容,評価方法(実験による確認により評価がなされるもの,実験式及びデータベースから推定されるもの,モデル計算より導出するもの)の種類,研究の概要及びその最新の結果を示した。

34000220
ビーム状DT中性子を用いた荷電粒子放出二重微分断面積測定手法の開発(協力研究)
近藤 恵太郎; 落合 謙太郎; 久保田 直義; 西谷 健夫; 村田 勲*; 宮丸 広幸*; 高橋 亮人*
JAEA-Research 2006-016; March 2006,50p.

  核融合炉における核発熱,照射損傷の評価に必要となる荷電粒子放出二重微分断面積の精密測定のため、従来の測定手法の欠点を克服する測定手法を開発した。日本原子力研究開発機構核融合中性子工学用中性子源施設FNSのペンシルビーム状中性子源とシリコン半導体検出器によるカウンターテレスコープ法を用いることで、良好なS/N比,エネルギー分解能,角度分解能,粒子弁別能,幅広い測定エネルギー範囲を現実的な測定時間のもとで達成できる。この手法を用いて、27Alからの放出α粒子測定と水素の弾性散乱による反跳陽子測定を行った。これらの測定結果に基づいて、本測定手法の妥当性と優位性を結論した。

34000434
ナトリウム冷却炉の上部プレナム流動特性の研究; 水流動試験の検証解析と渦予測手法の適用性検討
藤井 正; 近澤 佳隆; 此村 守; 上出 英樹; 木村 暢之; 中山 王克; 大島 宏之; 成田 均*; 藤又 和博*; 糸岡 聡*
JAEA-Research 2006-017; March 2006,113p.
  実用化戦略調査研究で概念設計を進めているナトリウム冷却大型炉では、従来設計よりも高流速条件となる炉上部プレナム内の流動特性を把握するため、縮尺水流動試験が実施されている。本報告では、汎用熱流体解析プログラムを用いて水試験体系を対象とした流動解析を実施し、実機体系でのプレナム内流況と気泡を伴う水中渦の評価に対する適用性を検討した。(1)1/10縮尺プレナム試験を対象に、フルード数一致条件での定常解析を実施した。解析では、炉心上部機構内部から炉容器壁に向かう噴出し流れや、切込み部からの上昇噴流等の上部プレナムでの特徴的なフローパターンを再現できる見通しを得た。また、実機体系での全体流況が水試験体系と定性的に一致することを確認するとともに、解析における数値解法や境界条件等の設定がフローパターンに及ぼす影響が明らかとなった。(2)伸長渦理論に基づく渦予測評価手法を用いて、1/10縮尺試験のディッププレート下方領域における渦の分布を評価した。実機流速一致条件の場合には、水試験と同様、コールドレグ配管壁からホットレグ配管に吸込まれる2本の渦を、気泡を伴う水中渦として同定した。この結果より、上部プレナム内で定常的に発生する液中渦を渦予測評価手法により同定できることを確認した。

34000435
An Experimental study on effective depressurization actions for PWR vessel bottom small break LOCA with HPI failure and gas inflow, ROSA-V test SB-PV-04
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
JAEA-Research 2006-018; March 2006,140p.
  大型非定常試験装置を使用したROSA-V計画において、加圧水型原子炉(PWR)の小破断冷却材喪失事故模擬実験を実施し、全高圧注入系不作動時に重要なアクシデントマネジメント(AM)策の炉心冷却効果を調べた。原子炉底部計装管10本破断を模擬した実験(SB-PV-04)で、蒸気発生器逃がし弁全開操作と補助給水作動によるAM策は、蓄圧注入系からの非凝縮性ガス流入による著しい減圧阻害にもかかわらず、低圧注入系が作動して炉心露出防止に効果的であることを示した。AM策として1次系冷却速度-55K/hの減圧操作を実施した前実験では炉心露出に至ったことに比較し、急減圧操作は1次系保有水量を多く保存する効果があり、炉心冷却上有用であることを明らかにした。

34000725
陽子RBSを用いたリチウム-6濃縮チタン酸リチウム表面の定量分析(協力研究)
久保田 直義; 藤原 祥生*; 奥村 一貴*; 落合 謙太郎; 北村 晃*; 古山 雄一*; 谷池 晃*; 西谷 健夫
JAEA-Research 2006-019; June 2006,15p.
  トリチウム増殖候補材の一つである6Li濃縮チタン酸リチウム(Li2TiO3)の95%及び40%6Li濃縮試料表面近傍の6Li密度を調べるために、2.6MeVの陽子を用いたラザフォード後方散乱分光(RBS)分析を行った。両試料とも熱中性子輸送を評価するうえで十分な深さ分解能をもって、深さ2.0μmまでの領域を分析することができた。6Li密度は、両試料ともに、誤差27%の精度で測定することができたが、トリチウム増殖評価に必要な誤差5%の精度には達しなかった。また、試料の組成比はLi2TiO3に一致していることが確認でき、Li/Ti及びO/Tiの測定誤差は、それぞれ、30%及び15%程度であった。誤差の原因は、おもに複合核弾性散乱断面積データの精度であり、より信頼性の高い断面積が求められれば、RBSがトリチウム増殖材料の高精度分析手法の一つとして、十分適用できることがわかった。

34000436
堆積岩の水理・物質移行特性に関するデータ取得,2; 幌延地域に産する泥岩の孔径分布・化学組成・空気浸透率と物質移行特性の検討
原 彰男
JAEA-Research 2006-020; March 2006,137p.
  核燃料サイクル開発機構(現、日本原子力研究開発機構)が、幌延地域で掘削したボーリング孔(HDB-1孔,HDB-2孔,HDB-5孔)のコアより採取した声問層及び稚内層の試料について、細孔径分布,全岩化学組成,空気浸透率を測定し、声問層及び稚内層の浸透率の特徴について、珪藻化石の相変化と関連付けた検討を行った。SiO2を主成分とする珪藻化石がオパールA相に属する声問層においては半径1000Å程度の細孔の集中が見られ、浸透率も稚内層と比較して高い。一方、珪藻化石がオパールCT相に相変化する稚内層においては、半径20〜40Åの細孔が間隙中に集中するようになり、浸透率は急激に低下する。半径20〜40Åの細孔の集中の程度は、SiO2成分の含有率の高い試料ほど大きくなる。また、SiO2成分の含有率の高い試料ほど浸透率が低くなる傾向が認められた。半径20〜40Åの細孔の集中は、浸透率の低下に寄与している可能性がある。今回の分析の結果、声問層・稚内層を通じて、オパールA-CT境界から200〜300mの深度の地層において浸透率が最も低くなる傾向が認められた。声問層と稚内層の地層境界から600m程度の深度において採取した稚内層の試料においては、半径100Å程度の細孔の集中が見られ、上位層に比べて高い浸透率が測定された。オパールA-CT境界から200〜300mの深度にある稚内層は、圧力の保持や流体の移動を妨げるシール層としての機能や核種移行遅延性能を有している可能性がある。

34000643
芳香族分子を用いたイオンビーム蒸着法によるB-C-Nハイブリッド薄膜の合成
下山 巖; 重住 和也*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 平尾 法恵*; 永野 正光*
JAEA-Research 2006-021; June 2006,34p.
  ホウ素,炭素,窒素からなる二次元薄膜(B-C-Nハイブリッド薄膜)は新奇半導体超薄膜材料として注目されているが、その合成方法はまだ十分確立されていない。われわれは極低エネルギーイオンビーム蒸着法(IBD)を用いてB-C-Nハイブリッド薄膜合成を試みた。イオンビームの前駆体としてボラジン(B3N3H6),トリアジン(C3N3H3),ベンゼン(C6H6)の3つの芳香族分子を用い、これらの分子の比率を変えた幾つかの混合ガスにより作成した薄膜のキャラクタリゼーションをX線光電子分光法(XPS)により行った。B1s, C1s, N1s光電子ピークの解析により薄膜の組成、及び結合状態は混合ガスの成分に大きく依存することが明らかにされ、ボラジンとベンゼンの混合ガスを用いた場合B, C、及びNがそれぞれ結合を形成したのに対し、トリアジンが含まれた他の混合ガスではBとCの結合があまり形成されないことがわかった。この結果は各分子のトリアジンとボラジンの粘性率の違いにより薄膜が層状構造をとることによると考えられる。これによりわれわれは上記の分子による混合ガスではボラジンとベンゼンの混合ガスを用いたIBDがB-C-Nハイブリッド合成に最も適していると結論した。

34000437
ROAAM法の適用によるBWRのαモード格納容器破損確率の評価に関する研究
真弓 正美; 森山 清史; 村松 健
JAEA-Research 2006-022; March 2006,94p.
  PSAでは、環境への放射性物質の早期大量放出寄与因子として、炉内水蒸気爆発による格納容器破損(αモード格納容器破損)の発生頻度を現象の不確実さも含めて評価することが重要とされ、また不確実さのある現象の発生頻度評価の有用な方法論としてROAAM法が近年提案されている。本研究はこれまで評価例の少ないBWRのαモード格納容器破損を対象にROAAM法による適用方法を検討し不確実さ解析を含む破損確率の評価を実施した。本解析により、ROAAM法の適用性及び各物理変数の分布情報を得ることを確認し、格納容器破損確率として95%値,97.5%値、及び期待値(平均値)それぞれ3.2×10-4, 0.03、及び0.012(いずれも爆発発生の条件付き)という評価を得た。また各物理過程のエネルギーの分布をCCDF(補累積分布関数)の曲線としまとめて表示することにより事象全体の把握が容易になることを確認した。

34000438
高性能燃料被覆管材質の研究; 平成13〜17年度(フェーズ2)報告書(共同研究)
木内 清; 井岡 郁夫; 田邉 誠*; 南条 吉保*; 小河 浩晃; 石島 暖大; 塚谷 一郎; 落合 孝正; 木ア 實; 加藤 佳明; 小幡 宏幸*; 藤村 研*
JAEA-Research 2006-023; March 2006,173p.
  本報告は、将来の核燃料サイクル技術として、BWRでのMOX燃料の有効利用,経済性向上と廃棄物の低減を同時に達成するための100GWd/t級の超高燃焼度BWR用の高性能燃料被覆管材質の研究フェーズ2として、平成13〜17年度の5年間に実施した共同研究の成果である。本研究のフェーズ2では、フェーズ1で選定した超高純度UHPとSAR加工熱処理の仕様を持つ25Cr-35Ni-0.2Ti系改良ステンレス鋼製の被覆管と、Nb-Mo系合金製の耐PCIライナを用いた燃料要素の実用製造技術として、被覆管の製管工程,ライナの動的拡散接合技術及び端栓のレーザ溶接法等を開発した。それらの実環境適用性の基礎評価では、加速器TIARAや研究炉JRR-3を利用した照射試験等を行い、現行BWR炉心用の低炭素ステンレス鋼の重要課題である応力腐食割れに対する抵抗性を含む耐照射性を確認するとともに、長期耐久性にかかわるクリープや疲労の特性データを取得した。併せて、候補材の100GWd/t級の燃料被覆管としての成立性に関して、燃料安全性の観点からBWR燃料ふるまいコードを用いた数値解析を行い、燃料設計や基礎工学試験に必要な基盤データベースを整備した。

34000439
低酸素濃度の液体鉛ビスマス中における鋼材の腐食挙動
倉田 有司; 二川 正敏; 斎藤 滋
JAEA-Research 2006-024; March 2006,47p.
  加速器駆動核変換システム及び高速炉での使用が期待される液体鉛ビスマス中における鋼材の腐食挙動を明らかにするために、低酸素濃度の液体鉛ビスマス中において種々の鋼材の容器中腐食試験を行った。鉛ビスマス中腐食試験は、450℃で酸素濃度5×10-8wt%, 550℃で酸素濃度3×10-9wt%の条件で、それぞれ3000h実施した。450℃では、316SSの腐食速度は0.23mm/yであるが、他のF82H, Mod.9Cr-1Mo鋼, JPCA(14Cr-16Ni-2Mo), 410SS, 430SS, 2.25Cr-1Mo鋼, Fe及びSX(18Cr-19Ni-5Si)の腐食速度は、0.1mm/y未満である。550℃における腐食速度は、316SSで1.02mm/yに達し、F82H, Mod.9Cr-1Mo鋼, JPCA, 410SS, 2.25Cr-1Mo鋼及びFeは0.1〜1mm/yの範囲、430SS及びSXは0.1mm/y未満である。Feでは顕著な溶解が起こり、フェライト/マルテンサイト鋼では粒界腐食や脱粒が生じる。316SS及びJPCAでは広範囲にわたってフェライト化と鉛ビスマスの浸入が起こる。550℃の低酸素条件で形成する(Mn,Cr)-Oなどの酸化膜では、鉛ビスマス浸入型の粒界腐食やNi, Crの溶解を防ぐことは困難である。

34000440
上流にベンドを有する配管合流領域における非等温流体混合メカニズムの解明とサーマルストライピング緩和・制御法の開発(共同研究)
結城 和久*; 橋爪 秀利*; 田中 正暁; 村松 壽晴
JAEA-Research 2006-025; March 2006,47p.
  異なる温度の流体が混合するT字配管合流部では、流体混合によって発生する非定常の温度揺らぎの振幅,周波数及び構造材側条件(板厚や材質等)に依存して、構造材の熱疲労現象が発生する可能性がある。このため、熱疲労の緩和は、原子炉プラント設計において安全上重要な課題である。特に、T字合流部の上流側に90度ベンドが存在する場合、ベンドで形成される2次流れが流体混合を複雑化させることがわかっている。そこで、本研究では、流体混合場と壁面温度変動に対するベンドの曲率半径比の影響を明らかにすることを目的とし、混合状態の可視化並びに壁近傍での流体温度変動の計測を実施した。主流速度,枝流速度をパラメータとするさまざまな混合条件下における温度変動特性から、ベンドが存在することにより、流体中に大きな温度変動が生じることを確認した。混合特性,温度変動特性及び下流方向への温度変動の減衰特性に関して、曲率半径が大きな支配要因であることを確認した。また、配管口径比及び曲率半径によって、壁面近傍の温度変動強度分布が異なること及びそのメカニズムについての知見を得た。ベンドで形成される二次流れの激しい非定常減衰挙動と枝配管噴流の後方に形成される後流との相互作用による枝配管噴流の非定常挙動について明らかにした。さらに、壁面近傍における流体温度変動強度に関して、混合形態ごとに整理・分類し、高い精度での予測式を構築した。

34000441
熱過渡荷重スクリーニング評価のための非定常熱応力線図の開発
古橋 一郎*; 笠原 直人; 柴本 宏
JAEA-Research 2006-026; March 2006,178p.
  高速炉機器の構造設計で必要となる熱過渡荷重のスクリーニング評価等に活用すべく、非定常熱過渡応力の評価線図策定に関して研究を行い下記の成果を得た。(1)両面で熱伝達を受ける平板の非定常時の熱伝導及び熱応力の理論解に基づき、評価線図を作成した。片面熱伝達に対する従来の工学線図と比較して適用範囲が大幅に拡張された。(2)流体温度がステップ変化あるいは線形変化した場合の非定常時の温度及び熱応力の線図を作成した。任意時点の表面温度,板厚平均温度,表面応力,曲げ応力及びピーク応力を線図から求めることができる。(3)定常温度で規格化した無次元温度φ及び背面温度固定の定常熱応力で規格化した無次元熱応力βを導入した。これにより線図の読み取り精度が向上した。(4)流体温度がステップ変化あるいはランプ変化した場合の熱応力最大値及び最大応力発生時点を求める線図を作成した。ステップ変化による熱応力最大値は背面温度固定の定常熱応力の2倍を超えないことが示された。熱応力最大値とその時点、また、ランプ変化/ステップ変化の熱応力低減率が線図から直接読み取れるようになった。(5)非定常時の温度及び熱応力の簡便なGreen関数を作成した。熱応力評価において実用上無視し得る短時間の背面温度を除き、温度及び熱応力を最大誤差1.4%の範囲で予測できる簡便なGreen関数が得られた。

34000442
ステンレス鋼表面硬化層の磁気特性に関する研究
高屋 茂; 永江 勇二; 青砥 紀身
JAEA-Research 2006-027; March 2006,17p.
  低炭素ステンレス鋼に発生する応力腐食割れについて、軽水炉プラントのSCC対策技術の確立と安全性向上のため、SCCの発生・進展の詳細なメカニズムの解明が求められている。特に、低炭素ステンレス鋼のSCCは主として表面の加工層を起点として発生・進展することから、本研究ではSCC発生機構解明に必要な知見を取得するため、表面加工層の微細組織を対象に磁気特性の分析を行った。磁気力顕微鏡を用いてSUS316鋼の強切削加工材及び未加工材の観察を行った結果、強切削加工材については加工面のほぼ前面で未加工材では見られなかった磁性相を確認することができた。強切削加工によって導入された磁性相は表面から約10ミクロンの深さまでに存在し、特に最表面で大きく変化していることから、最表面に最も大きな磁化が存在するか、あるいはこの領域で最も急激に磁化が変化していると考えられる。

34000443
振動充填燃料開発に関するスイスPSI・オランダNRGとの共同研究成果報告書,2; 照射試験及び照射後試験(共同研究)
中村 雅弘; 小澤 隆之; 森平 正之; 木原 義之
JAEA-Research 2006-028; March 2006,146p.
  核燃料サイクル開発機構(現、日本原子力研究開発機構)では、動力炉・核燃料開発事業団時代の1996(平成8)年より2005(平成17)年まで、スイスPSI(Paul Scherrer Institut)及びオランダのNRG(Nuclear Research and Consultancy Group)との間で「振動充填燃料開発に関する共同研究」を実施した。これは、スフェアパック燃料(球状粒子充填燃料)について、ペレット燃料,バイパック燃料(非球形粒子充填燃料)とともに、オランダのHFR(High Flux Reactor)において比較照射を行う共同研究プロジェクトである。5%Np-MOXスフェアパック燃料を含む合計16セグメント(燃料ピン8本)の照射試験の結果、燃料の破損は発生しなかった。スフェアパック燃料の組織変化は、照射初期に急速に進み、48時間の定常照射により、中心空孔の形成はほぼ完了していた。溶融限界線出力試験の結果、HFRの条件下におけるスフェアパック燃料の溶融限界線出力は60kW/m、ペレット燃料の溶融限界線出力は73kW/mと評価した。バイパック燃料及びNp含有MOXスフェアパック燃料の照射挙動は、MOXスフェアパック燃料と大きな差違は見られなかった。しかしながら、組織変化試験におけるNp含有MOXスフェアパック燃料の中心空孔径はMOXスフェアパック燃料のそれよりも大きく、Np含有MOX燃料はMOX燃料と比較して熱伝導度が小さいことが考えられる。

34000726
ウラン廃棄物の余裕深度処分概念の検討,2
辻村 誠一; 船橋 英之; 石橋 純*; 高瀬 敏郎*; 黒沢 満*
JAEA-Research 2006-029; Jul.2006,96p.
  ウラン廃棄物は、その主要核種が長半減期のウランであり、また、廃棄体からの放射線の影響をほとんど考慮しないでよいという特徴をもっている。このような特徴を考慮に入れて、合理的な余裕深度処分についての検討を2年間実施してきた。本研究では、長期間にわたる化学環境の変化を考慮して、異なる化学環境(還元環境,酸化環境)を想定し、収着パラメータ等の影響を分析するための安全評価を行い、還元環境を維持するための人工バリアの必要性について評価を行った。その結果、処分システムの化学環境が還元から酸化へ変化しても一般公衆の被ばく線量は増加しないことがわかった。現実的な酸化環境の収着パラメータを用いた評価においても、10μSv/年を上回ることはないことがわかった。本年度及び前年度の検討から、ウラン廃棄物の余裕深度処分においては核種移行を抑制し、還元環境を維持する人工バリアを削減できる可能性があることがわかった。

34000644
簡素化溶媒抽出法によるU, Pu及びNp共回収; フィード溶液及び洗浄液の高硝酸濃度化に伴うNpの抽出挙動への影響評価
中原 将海; 佐野 雄一; 宮地 茂彦; 小泉 務; 小山 智造; 青瀬 晋一
JAEA-Research 2006-030; June 2006,43p.
  先進湿式再処理プロセスに関連して、U, Pu及びNp共回収を目的とした簡素化溶媒抽出法の研究を進めている。フィード溶液及び洗浄液の酸濃度を上げることによりフィード溶液中及び遠心抽出器内においてNpの原子価を抽出性であるNp(VI)へ酸化させ、Npのラフィネートへのリーク防止を図った向流多段試験を行った。定常時におけるNpの物質収支では、ラフィネートへのリークをわずか1%に押さえることができた。また、MIXSET-Xにより抽出部のU, Pu及びNpの段効率は100%, 100%及び98.5%となり、逆抽出部のU, Pu及びNpの段効率は95%, 90%及び89%の値が得られた。

34000645
オーバーパック溶接部の耐食性評価に関する研究,2(共同研究)
三井 裕之*; 谷口 直樹; 大槻 彰良*; 川上 進; 朝野 英一*; 油井 三和
JAEA-Research 2006-031; June 2006,88p.
  炭素鋼オーバーパック溶接部の長期健全性評価に資するため、溶接部において想定される腐食現象を想定して腐食試験計画を策定した。また、この計画に基づいて腐食試験を開始し、炭素鋼溶接部の電気化学特性について母材との比較を行った。EBW溶接材,TIG溶接材について、母材部,熱影響部及び溶接金属部のアノード分極曲線の測定を炭酸塩(0.1M及び0.01M CO3)溶液中で行ったところ、以下の結果を得た。EBW材については、母材,熱影響部及び溶接金属で金属組織が異なるが、アノード分極曲線に顕著な違いは現れなかった。TIG材については、溶接金属の電流値が全般的に高くなった。0.01M CO3-pH10の溶液中では、急激な電流値の立ち上がりを伴う、局部腐食的な変化も認められた。

34000545
ナトリウム冷却炉の燃料取扱設備の検討; 平成16年度の研究成果のまとめ(共同研究)
近澤 佳隆; 臼井 伸一; 此村 守; 池田 博嗣
JAEA-Research 2006-032; April 2006,202p.
  高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究の一環としてナトリウム冷却炉の燃料取扱設備の検討を実施している。平成16年度はナトリウム冷却大型炉を対象にEVST方式による燃料取扱設備を具体化して課題の整理を行った。水プール直接貯蔵方式は平成15年度の評価では、炉外のナトリウムポット取扱設備の物量が大きいことが指摘されたため、原子炉容器からの裸燃料取出により物量削減の可能性があることを示した。ただし、課題としては短時間の燃料洗浄時間の実証及び高発熱燃料(22kW/体)のガス冷却の安全性の確保が挙げられる。金属燃料の貯蔵においては、ガス中貯蔵,ヘリウムガス缶詰水プール貯蔵,EVST貯蔵の比較を行った。経済性,安全性の観点からEVST貯蔵が妥当であるとの結論に達した。また、ナトリウム冷却大型炉では低除染燃料,ODS鋼の被覆管等が採用されているため、原型炉及び実証炉とは燃料取扱条件が異なる。今回の検討において再処理・燃料製造側との取合条件も含めて酸化物燃料及び金属燃料の燃料取扱条件を整理した。

34000727
長寿命核分裂生成物(LLFP)核変換ターゲットの検討; ヨウ素化合物の調査,2
堂野前 貴子; 舘 義昭; 松元 慎一郎
JAEA-Research 2006-033; July 2006,35p.
  高レベル放射性廃棄物に含まれる放射性核種の分離変換技術研究が各国で実施されている。これは放射性核種について半減期や利用目的に応じて分離するとともに、環境負荷低減のために長寿命核種を短寿命核種あるいは非放射性核種に変換することを目的としたものである。実用化戦略調査研究におけるLLFPの分離・変換技術は、変換手段として軽水炉に比べて中性子束の大きい高速炉を想定し、核燃料サイクルの技術的成立性及び経済性を考慮したうえで、その効果が著しく望めるものに絞って研究開発を行うこととしており、核変換対象をヨウ素とテクネチウムとしている。ここでは核変換として成立可能性があり、環境負荷低減効果の大きいヨウ素を対象とした炉内装荷形態の検討の一環として実施した試験結果について報告する。本研究により、以下のことが明らかとなった。(1)600度1000時間までの被覆材共存性において、ヨウ化ルビジウム,ヨウ化マグネシウム,ヨウ化イットリウムがステンレス鋼と良好な共存性を示した。(2)SUS316鋼とフェライトマルテンサイト鋼では、SUS316鋼の方がヨウ素化合物と良好な共存性を示した。(3)ヨウ素化合物の形態は、圧粉成型体と焼結体とで被覆材に与える影響に大きな差異は見られなかった。(4)ヨウ化銅は他のヨウ素化合物と異なり、銅の析出が見られた。(5)ヨウ化ルビジウム,ヨウ化イットリウムについてもペレット状に焼結が可能である。(6)ヨウ化銅及びヨウ化ルビジウムの熱伝導度は、室温において約2W/m/Kと著しく低い値を示し、ヨウ化銅の熱伝導度は300度でさらに低下した。

34000728
Preparation and characterization of B-C-N hybrid thin films
Uddin, M. N.*; 下山 巖; 関口 哲弘; Nath, K. G. *; 馬場 祐治; 永野 正光*
JAEA-Research 2006-034; June 2006,72p.
  イオンビーム蒸着法によりホウ素,炭素,窒素からなる二次元薄膜(B-C-Nハイブリッド薄膜)を合成し、その電子構造と立体構造を放射光を用いた内殻分光法により調べた。B-C-Nハイブリッド薄膜は、種々の温度で高配向性熱分解グラファイト(HOPG)表面にボラジンガスの放電により生成したプラズマを蒸着させることにより合成した。薄膜の構造はX線光電子分光法(XPS)及びX線吸収端微細構造法(NEXAFS)によりその場観察した。XPS測定の結果、薄膜中のホウ素,炭素,窒素原子はB-C, B-N, B-C-Nなど種々の結合状態をとることがわかった。B-C-Nハイブリッドは高温で作成するほど効率よく生成し、ホウ素の濃度が低い領域ではB-C-N結合をもつ薄膜の生成が支配的になることを明らかにした。NEXAFSスペクトルには、B 1s軌道からπ*的性格を持つ価電子帯の非占有軌道への共鳴吸収によるピークが明瞭に観測された。このピークの偏光依存性を調べた結果、ホウ素の濃度が低い領域においてグラファイトと同様な配向性をとる二次元状のB-C-Nハイブリッド薄膜が安定に存在することを明らかにした。

34000729
緩衝材の性能保証項目にかかわる評価ツールの現状
棚井 憲治; 神徳 敬*; 菊池 広人*; 西村 繭果; 松本 一浩*; 青柳 茂男; 油井 三和
JAEA-Research 2006-035; June 2006,32p.
  国が策定する緩衝材にかかわる安全基準,指針等に資するため、廃棄体支持性,オーバーパックの保護,放射性核種の移行抑制,岩盤の保護という緩衝材の性能保証項目に対し、現状の評価方法を確認し、ツールの整備状況として一覧表形式でまとめた。また、一覧表に記載した評価ツール内容の具体例を示した。示している内容は、緩衝材の基本特性(緩衝材膨潤特性,力学特性,透水特性),緩衝材の変形・変質の長期挙動に関する現象(クリープ現象,緩衝材の流出,岩盤への侵入,緩衝材の変質に関する長期安定性),緩衝材のガス透気回復挙動,コロイド影響評価,岩盤の力学的変形挙動であり、それぞれの項目で確認する具体的内容,評価方法(実験による確認により評価がなされるもの,実験式及びデータベースから推定されるもの,モデル計算より導出するもの)の種類,研究の概要及びその最新の結果を示した。

34000730
緩衝材長期力学挙動評価モデルのパラメータ設定に関する検討
西村 繭果; 棚井 憲治; 高治 一彦*; 平井 卓*; 白武 寿和*
JAEA-Research 2006-036; June 2006,82p.
  本書では、関口−太田モデル及び足立−岡モデルのパラメータ設定について行ってきた検討結果を整理し、得られた知見を示した。その結果、緩衝材の変形挙動と応力状態の両者を1つのパラメータセットで評価することは困難であるが、それぞれの評価項目に適切なパラメータを選択して用いることにより、緩衝材の力学挙動を再現することが可能であることを示した。また、緩衝材の長期変形挙動において重要となる二次圧密係数については、保守的な設定を行うと同時に、ナチュラルアナログ評価手法によってその値の範囲を提示することにより、過度に保守的な評価に偏らない挙動評価を行うことが可能となった。また、人工バリアの長期挙動評価を行い、自重沈下量を最も大きく見積もるパラメータを用いた計算により、オーバーパックの沈下量の限界値を概略的に示した。

34000646
鉛ビスマス共晶合金(LBE)利用技術に関する研究,2; 高温酸素濃度制御下鉛ビスマス中のODS-Al鋼の耐食性に関する研究(共同研究)
古川 智弘; 西 義久*; 青砥 紀身; 木下 泉*
JAEA-Research 2006-037; June 2006,36p.
  平成14年に、財団法人電力中央研究所と独立行政法人日本原子力研究開発機構(当時、核燃料サイクル開発機構)は、鉛ビスマス共晶合金利用技術に関する共同研究を締結し、この中で鉛ビスマス中における高速炉材料の耐食性評価研究を実施してきた。この研究は2つの段階に区分され、第一期研究では、650℃の酸素濃度制御停留鉛ビスマス中において高速炉構造材料候補材の一つである12クロム鋼の腐食試験を実施した。そして、耐食性に影響する鋼中クロムのふるまいについて検討した。本第二期研究では、LBE中での耐食性向上に効果が期待されるアルミニウム及びクロムの添加量を変化させた酸化物分散強化(ODS)鋼を対象に、650℃の酸素濃度制御停留鉛ビスマス中において、4,000時間までの腐食試験を実施した。その結果、同鋼では、Cr添加による耐食性の向上は認められなかったが、Alを添加したことで材料表面にAl酸化物が形成され、それによる良好な腐食特性が得られた。

34000907
緩衝材間隙水中溶解度計算への適用における放射性元素の熱力学データベースの比較評価
土井 玲祐; 柴田 雅博
JAEA-Research 2006-038; July 2006,30p.
  地層処分の性能評価において重要なパラメーターである放射性元素の溶解度を計算するため、熱力学データには最新の知見に基づいた最も確からしいデータを整備することが求められる。本報告では、第2次取りまとめにおいて設定された緩衝材間隙水の条件に基づき、代表的な放射性元素の溶解度計算をJAEA, OCED/NEA, Nagra/PSIのそれぞれの熱力学データベースを用いて計算を行うことで、データベースによる差異を確認し、その原因を検討した。

34000731
窒化ホウ素超薄膜コーティングされたシリコンの耐酸化性テスト
下山 巖; 宮内 英夫*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 平尾 法恵*; 奥野 健二*
JAEA-Research 2006-039; June 2006,33p.
  窒化ホウ素(BN)は、優れた耐熱性,化学的安定性,負電子親和性などによりシリコンカソードのコーティング材料として注目を集めている材料の一つである。われわれは膜厚10nm以下の超薄膜BNコーティングによるシリコンの耐酸化性について調べるため、化学気相蒸着法を用い1〜2原子層のBN超薄膜をシリコン上にコーティングした。BNコーティングしたシリコンとBNコーティングしないシリコンの高温ドライ酸化の比較実験を行い、X線光電子分光法により表面の化学状態変化を調べた。その結果、400℃〜1000℃の温度領域でBNコーティングしたSiは明瞭な熱酸化が観測されず、BNコーティングによって耐酸化性が極めて向上することが明らかになった。さらにわれわれは大気中での耐酸化性を調べるためBNコーティングしたSiを室温で数日間大気曝露させ、XPSで表面状態分析を行った。その結果自然酸化膜と同程度のシリコン酸化膜が形成されたことが明らかにされた。この結果によりBN超薄膜は高温でのドライ酸化に対しては優れた耐酸化性を示すが、大気中では抗酸化膜として十分機能しないことがわかった。

34000647
幌延深地層研究計画における低アルカリ性セメントを用いた吹付けコンクリートの施工性に関する研究
小西 一寛; 中山 雅; 三原 守弘; 吉田 泰*; 入矢 桂史郎*; 秋好 賢治*; 納多 勝*
JAEA-Research 2006-040; June 2006,53p.
  本研究では、支保工の施工方法として吹付コンクリートを対象にHFSCを用いたコンクリートの配合を検討するとともにその施工性について評価を行った。幌延深地層研究施設における支保工の設計基準強度は28日材齢で36N/mm2が求められており、この強度を満足するコンクリートの配合を検討した。急結剤添加前のベースコンクリートとして、普通セメントを用いる場合には水セメント比を0.4、早強セメントを用いる場合には水セメント比を0.45とすることにより、設計基準強度を満足する可能性のある2配合を選定し、模擬トンネルにおいて急結剤を用いた吹付施工試験を行った。従来、水セメント比は吹付コンクリートの施工性の観点から0.5程度が限界であったが、HFSCにおいては0.45及び0.4でも良好であった。吹付けコンクリートの表層部では空隙が多く認められたが、内部ではほぼ一定の単位体積質量であった。吹付けコンクリートのコアの28日材齢の平均強度は48N/mm2程度あり、支保工の設計基準強度を上回る高強度となった。したがって、28日材齢のセメントペースト硬化体の浸漬液のpHは12.4程度であり、シリカフュームやフライアッシュのポゾラン反応はまだ十分ではないと考えられるものの、施工性は良好なことが明らかとなった。今後は、幌延で調達できる材料を用いて吹付けコンクリートの配合を確認するとともに、浸漬液のpHの長期的な低下挙動について評価を行っていく必要がある。

34000908
幌延深地層研究計画にかかわる環境調査,平成17年度(委託研究)
一安 謙治; 上田 重貴*; 伊藤 尚久*; 中舘 史行*; 山越 千鶴*
JAEA-Research 2006-041; June 2006,71p.
  幌延深地層研究計画における開発規模は、環境影響評価法及び北海道環境影響評価条例の対象となる規模より小さいが、近年の社会情勢を考慮して、調査研究や研究所設置に伴う環境への影響を最小限にすることを目的とし、自主的に環境モニタリング調査を実施した。騒音・振動については、重点調査地区周辺の4地点、水質については、重点調査地区内を流れる清水川の上流部と下流部の2地点、魚類については、重点調査地区内を流れる清水川にて調査を行った。また、植物群落調査については、重点調査地区内の2地点に方形区(コドラート)を設定し、ブラウン−ブランケの手法(Blaun-Blanquet,1964)に準じた調査を行った。さらに、平成15年度調査において環境保全措置として移植を行ったハイドジョウツナギの移植先での生育状況を調査した。なお、調査箇所・方法については、過年度調査(平成15〜16年度)と同様とした。以上の調査により、工事着手後の環境への影響及び実施した環境保全措置の経過を確認した結果、現時点での工事による影響は認められず、環境への影響を最小限にするための措置が十分に行われていると判断された。今後もモニタリングについては継続して実施し、影響が確認された場合には影響を回避・低減するために迅速かつ適切な措置を講ずる必要がある。

34000732
高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズII技術検討書,1; 原子炉プラントシステム
FBRシステムユニット; FBR信頼性技術ユニット; FBR安全・先進技術ユニット; FBRサイクル統括ユニット; 革新的水冷却炉設計グループ; 原子力基礎工学研究部門
JAEA-Research 2006-042
JAEA-Research 2006-042-Incl(CD)
; June 2006,36p.
  日本原子力研究開発機構と電気事業者は、電力中央研究所やメーカ各社の協力を得て、1999年7月から安全性の確保を大前提として、軽水炉サイクル及びその他の基幹電源と比肩する経済性を達成し得る高速増殖炉サイクルの実用化像を構築するとともに、将来の主要なエネルギー供給源とするための技術体系を確立することを目的とした「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」を実施している。フェーズU研究(2001〜2005年度)では、フェーズT研究(1999〜2000年度)で抽出したナトリウム冷却炉,重金属冷却炉,ガス冷却炉,水冷却炉,小型炉、の各概念高速増殖炉の各候補概念について、成立性にかかわる要素試験研究や解析を実施するとともに、それらの成果を踏まえたシステムの設計検討を行い、各概念が有する能力を最大限に引き出すことが可能な高速増殖炉システム概念を構築した。また、各高速増殖炉概念の技術体系整備に向けた技術課題を摘出したうえ、2015年頃までの研究開発計画をとりまとめた。

34000733
高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズII技術検討書,2; 燃料サイクルシステム
FBR燃料サイクルユニット; FBRサイクル統括ユニット
JAEA-Research 2006-043
JAEA-Research 2006-043-Incl(CD)
; June 2006,26p.
  日本原子力研究開発機構と電気事業者は、電力中央研究所,メーカ各社の協力を得て、1999年7月から安全性の確保を大前提として、軽水炉サイクル及びその他の基幹電源と比肩する経済性を達成し得る高速増殖炉サイクルの実用化像を構築するとともに、将来の主要なエネルギー供給源とするための技術体系を確立することを目的とした「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」を実施している。フェーズII研究(2001〜2005年度)では、フェーズI研究(1999〜2000年度)で抽出した再処理技術(先進湿式法,酸化物電解法,金属電解法)及び燃料製造技術(簡素化ペレット法,振動充填法,射出鋳造法,被覆粒子法)を組合せた燃料サイクルシステムの各候補概念について、成立性にかかわる要素試験研究や解析を実施するとともに、それらの成果を踏まえたシステムの設計検討を行い、炉システムとも整合し各概念が有する能力を最大限に引き出すことが可能な燃料サイクルシステム概念を構築した。また、各燃料サイクルシステムの技術体系整備に向けた技術課題を摘出したうえ、2015年頃までの研究開発計画をとりまとめた。

34000734
高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズII技術検討書,3; 総合評価
エネルギー評価グループ
JAEA-Research 2006-044
JAEA-Research 2006-044-Incl(CD)
; June 2006,10p.
  本報告書は、FBRサイクル実用化戦略調査研究フェーズII(2001年度から2005年度の5ヶ年を対象)における総合評価として、FBRサイクル候補概念の多面的評価,FBR移行シナリオ評価及び投資対効果評価に関する手法の開発及びその評価結果について、技術検討書としてとりまとめたものである。多面的評価は、フェーズIで検討した安全性,経済性,環境負荷低減性,資源有効利用性,核拡散抵抗性,技術的実現性の各視点に加え、新たに事業容易性や社会的受容性も評価視点に加えて検討した。これらの評価視点については、評価構造の策定・改良や定量評価に向けた効用関数の整備に取り組み、さらに各視点間の重み付け手法も開発した。合計8つの視点から多面的評価を行い、FBRサイクルシステム候補概念の技術総括による総合的な評価結果の妥当性を確認した。FBR導入シナリオ評価は、20の候補概念の中から代表的な概念を取り上げ、軽水炉ワンススルーやプルサーマルシナリオとの比較及び多様なニーズに着目したサイクル諸量解析を通じて、FBR導入の必要性と望ましい炉心の特徴などを明らかにした。投資対効果評価は、代表的な概念に対して、FBRを日本に導入した場合と、世界規模で導入した場合の評価を行い、FBRサイクル研究開発への投資が、FBRサイクル実用化によって大きな便益をもたらすという結果が得られた。以上3つの評価の結果、ナトリウム冷却炉サイクル(MOX燃料,先進湿式再処理,簡素化ペレット燃料製造)が最も有望な概念であることを示した。

34000735
地層処分に有効な分離変換概念研究
池上 哲雄; Ahn, J.*
JAEA-Research 2006-045; July 2006,17p.
  地層処分との関係において、分離変換の対象核種と分離変換の程度に関する目標設定に資することを目的に、従来の高レベル廃棄物そのものの潜在的放射性毒性に代わり、処分場での長寿命核種の移行挙動を考慮した新たな指標である「環境影響」を導入して、PWRサイクル及びFBRサイクルについて評価を行った。評価にあたって必要となる長寿命核種の廃棄物固化体への初期装荷量は廃棄物処理(conditioning)モデルを用いて求めた。環境影響を評価すると同時に、処分場内での核種移行挙動にかかわる各種パラメータの不確かさが環境影響に及ぼす影響も評価した。その結果、分離変換の目標は次のように設定できると考えられる。(1)PWRサイクルの場合:本評価で想定した廃棄物への移行率:U:0.604%, Pu:0.297%に加え、237Np, 243Am, (241Pu)の移行率を1%以下に抑える。(2)FBRサイクルの場合:全アクチニドに対するサイクルシステムとしての回収率99.9%は適切な設定である。

34000909
エルボを上流側に有する配管合流部における乱流混合現象に関する数値解析研究; 温度変動特性におよぼす2次流れの影響
田中 正暁
JAEA-Research 2006-046; July 2006,36p.
  上流側にエルボが存在するT字配管合流部での既存の実験を対象とした数値解析を行った。数値解析には、準直接シミュレーションコード(DINUS-3)を使用した。解析時のパラメータは、エルボへの流入方向と枝配管噴流の方向である。その結果、上流側のエルボで生じる2次流れは、合流部での流体混合に強く影響を及ぼすことがわかった。エルボ流れと枝配管流れとの方向によって、配管合流部での枝配管噴流の流動形態が異なり、配管表面での温度変動特性が大きく異なることがわかった。混合領域で形成されるアーチ状の大規模渦が流体混合に対して重要な役割を担っている。熱疲労評価において重要である壁面での温度変動評価では、それぞれの流動形態で発生する渦構造に着目する必要がある。さらに、温度変動を評価するうえでは、合流点から下流2.0Dm程度の範囲に注目すべきであることがわかった。

34000910
酸化物分散強化型(ODS)鋼被覆管の高温酸化試験
成田 健; 鵜飼 重治; 皆藤 威二; 大塚 智史; 松田 恭司*
JAEA-Research 2006-047; July 2006,100p.
  酸化物分散強化型(ODS)フェライト鋼被覆管の実用化見通しを評価する一環で、耐高温酸化性を評価した。一般に耐水高温酸化性の改善にはCrの添加が有効であるが、Cr添加量が多くなり過ぎるとα'相が析出して脆化が促進される。このため、日本原子力研究開発機構(JAEA)で開発した9Crマルテンサイト系及び12Crフェライト系ODS鋼被覆管の高温酸化試験を行い、従来材のオーステナイト及びフェライト−マルテンサイト鋼と比較した。得られた結果は以下の通りである。(1)9Cr, 12CrODS鋼は、同Cr量(11mass%)のPNC-FMS及び高Cr量(17mass%)のSUS430と比較して耐高温酸化性が大幅に優れ、オーステナイト鋼であるPNC316と同等であった。(2)ODS鋼の良好な耐高温酸化性は、保護機能の強いCr2O3層が母材/スケール界面に形成したことに起因する。これは、ODS鋼の結晶粒は微細であるため、Crの粒界拡散が促進され、Cr2O3層が形成された可能性が考えられる。またODS鋼中に分散するY酸化物が、母材/Cr2O3の密着性改善に寄与している可能性が考えられる。

34000911
酸化物分散強化型(ODS)鋼被覆管の水腐食試験結果
成田 健; 鵜飼 重治; 皆藤 威二; 大塚 智史; 松田 恭司*
JAEA-Research 2006-048; July 2006,52p.
  酸化物分散強化型(ODS)マルテンサイト鋼被覆管の実用化見通しを評価する一環で、水プール保管時における耐水腐食性を調査した。一般に耐水腐食性の改善にはCrの添加が有効であるが、Cr添加量が多過ぎるとα'相が析出して脆化が促進される。そのため、日本原子力研究開発機構(JAEA)で開発したODS鋼被覆管は、9Crマルテンサイト系と12Crフェライト系として、それらのODS鋼被覆管の水腐食試験を行い、従来材のオーステナイト鋼及びフェライト−マルテンサイト鋼との比較で耐水腐食性を評価した。得られた結果は以下の通りである。(1)腐食速度が非常に小さかったこと,孔食等の局部腐食が特に認められなかったことから、9Cr-ODS鋼及び、12Cr-ODS鋼被覆管は、60℃でpH8〜12の範囲内で使用する場合、良好な耐水腐食性が期待される。(2)pH8, 10においては、9Cr-, ODS鋼,12Cr-ODS鋼とも良好な耐水腐食性を有し、PNC316, PNC-FMSと顕著な差異は認められなかった。これに対してpH12における耐水腐食性は、M11>Mm13=F11>61FS=60MKで、鋼種間で若干の差異が認められた。ただし外観及び表面の凹凸状態に顕著な差異は認められなかった。

34000912
ナトリウム冷却炉における電磁ポンプの検討; 2次系主循環ポンプへの適用検討(共同研究)
近澤 佳隆; 木曽原 直之; 菱田 正彦; 藤井 正; 此村 守; 荒 邦章; 堀 徹*; 内田 昌人*; 西口 洋平*; 新部 信昭*
JAEA-Research 2006-049; July 2006,75p.
  高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究の一環として750MWe電気出力のナトリウム冷却中型炉の検討が実施されている。本検討ではナトリウム冷却中型炉の2次主循環ポンプに電磁ポンプを採用した場合の流量522m3/minの大容量電磁ポンプの概念設計を実施した。電磁ポンプの構造及び仕様は160m3/minの試験において実証されたダブルステータALIP(Annular Linear Induction Pump)型を参考に設定し、流量及び揚程をナトリウム冷却中型炉の仕様にした場合の寸法及びコイル仕様への影響評価を行った。安定性については電磁流動解析コードEAGLEにより2次元r-z体系における電磁流動解析を実施してRem×Sを評価した結果1.08と160m3/min試験で確認された安定運転範囲Rem×S<1.4以内にあり、圧力脈動についても揚程の3%以下程度と評価される。内部構造の成立性については、本電磁ポンプはコイルを冷却材流路ダクトに押し付けてナトリウムにより冷却しているため、コイルの温度及びナトリウムダクトへの押付力維持に関する評価を行い成立していることを確認した。また、電磁ポンプの電源構成及び保守補修性の検討及び課題の整理を行った。

34001262
マルテンサイト系ODS鋼の組織及び高温強度におよぼすWの影響評価
成田 健*; 鵜飼 重治; 皆藤 威二; 大塚 智史; 藤原 優行
JAEA-Research 2006-050; October 2006,85p.
 9CrODSマルテンサイト鋼において、Wはマトリックスの固溶強化元素であり、酸化物分散強化との相乗効果により高温強度を高めるが、添加量を多くした場合フェライト相の生成を増加させ、また高温照射下で金属間化合物(ラーベス相)の析出を促進して延性低下をもたらす。このためW添加量は必要最少量が望ましい。本研究では9CrODSマルテンサイト鋼の組織及び高温強度におよぼすW量の影響を検討した。得られた結果は以下の通りである。(1)9CrODSマルテンサイト鋼において、延性,靭性に悪影響をおよぼすラーベス相はW添加量が2mass%を超えると生成する。したがって現行仕様の目標値であるW=2.0mass%はおおむね適切と考える。(2)W増量による硬さ,引張強度の上昇は、W固溶強化と未変態α相増加の両方が関与している。この未変態α相はフェライト生成元素であるWの添加により同時に形成されるものであり、973K引張強さにおける強度向上への両者の寄与量はほぼ同等であった。(3)上記の知見に基づき、強度向上と同時にラーベス相生成による脆化を促進するWの添加量を極力減らし、それによる固溶強化低下分を未変態α相生成量の増加で補うような成分設計について検討する余地は残されていると考える。

34001064
幌延地下水環境における炭素鋼の腐食挙動の予察的検討
谷口 直樹; 甲川 憲隆*; 前田 一人*
JAEA-Research 2006-051; August 2006,60p.
  幌延地下研究施設におけるオーバーパックの原位置試験計画の策定と、幌延での地質環境条件を想定したオーバーパック設計・寿命評価を行ううえで、幌延地下研究施設における地下水条件でのオーバーパック候補材料の腐食挙動を把握することが必要である。そこで、オーバーパック候補材料である炭素鋼を対象として、幌延の模擬地下水及び実際に採取された地下水を用いて腐食試験を実施し、腐食挙動を予察的に検討した。幌延地下水条件における炭素鋼のアノード分極測定の結果、緩衝材中では活性溶解型の分極挙動を示し、炭素鋼の腐食形態はほぼ全面腐食であると推定された。また、大気雰囲気下及び窒素雰囲気下において浸漬試験を行った結果、既往のデータに比較して顕著な腐食局在化,著しい腐食速度の増加は観察されず、幌延の地下水条件においても第2次取りまとめにおける炭素鋼オーバーパックの腐食量評価モデル,腐食速度の設定値が適用可能であると推定された。

34001065
Evaluation of the (α,xn) reaction data for JENDL/AN-2005
村田 徹*; 松延 廣幸*; 柴田 恵一
JAEA-Research 2006-052; July 2006,63p.
  核燃料サイクル等での利用のために6,7Li,9Be,10,11B,12,13C,14,15N,17,18O,19F,23Na,27Al及び28,29,30Siの(α,xn)反応による中性子放出反応データを入射α粒子エネルギー15MeV以下の領域で評価した。評価は実験データ及び原子核反応モデル計算により行った。評価済データはENDF-6フォーマットで編集され、2005年6月にJENDL特殊目的ファイルの1つであるJENDL(α,xn)反応データファイル2005(JENDL/AN-2005)として公開された。本報告は評価方法及び評価された断面積及び放出中性子の角度・エネルギー分布の結果についてまとめたものである。

34001066
化学平衡解析コード「CHEEQ」の開発
長井 修一朗
JAEA-Research 2006-053; August 2006,184p.
  理想気体と純粋凝縮相化合物からなる系の平衡状態を記述する計算コード「CHEEQ」を作成した。「CHEEQ」コードは解析コードzc132.f, 熱力学データベースzmdb01,入力データファイルzindbからなり、元素ガス(max20),気相化合物(max200)及び凝縮相化合物(max100)合わせて200以下の系に対して、気相成分の分圧,凝縮相化合物のモル数の計算が可能である。熱力学データベースzmdb01には約1000の元素,化合物を収録した。そのうち約200個はアクチナイド元素,化合物のデータである。本報告では、化学平衡にかかわる基本方程式とその解法の概要を述べるとともに、計算コードのマニュアルの役目も持たせるために、熱力学データベース,入出力情報についても記載し、利用の便を図った。

34001067
火災事故時のグローブボックスの閉じ込め性能評価に関する研究
阿部 仁; 渡邉 浩二; 田代 信介; 内山 軍蔵
JAEA-Research 2006-054; September 2006,39p.
  MOX燃料加工施設では、MOXの施設内への閉じ込め性能の維持のため、MOXをグローブボックスの内部で取り扱うことが要求されている。グローブボックスは幾つかの種類の樹脂製部材から構成されるため、火災等によりグローブボックスに対して熱的なストレスが加えられた場合には、この樹脂製部材の熱分解や燃焼によってグローブボックスが有する静的閉じ込め性能が失われる可能性がある。本研究では、火災時のグローブボックスの静的閉じ込め性能の定量的な評価に資するため、これら部材の熱分解反応にかかわる、反応開始温度,吸発熱量,反応温度範囲及び反応速度データ等の吸発熱特性を検討している。本報では、熱分析装置を用いたこれら吸発熱特性データの取得と、火災時のグローブボックスの静的閉じ込め性能の定量的評価モデルの検討を行った。その結果、火災の進展に伴うこれら部材の温度上昇や熱分解の進行による質量減少の経時変化を矛盾なく評価することができることを示した。

34001155
工学系モデリング言語としての次世代解析システムの開発,5; 二階層システム移行のための既存コード再構築手法の検討
横山 賢治
JAEA-Research 2006-055; October 2006,60p.
 従来の解析システムを再利用して段階的に二階層システムに再構築するための手法(インクリメンタル法)を検討した。再構築の検討対象としては有限差分法に基づく3次元XYZ体系の拡散計算機能と従来システムの断面積データファイルの入力機能を選定した。モジュール結合度とMcCabeの循環的複雑度を導入してモジュール設計の品質及びプログラム制御の複雑さを定量化した。再構築前は結合度6〜7のモジュールが多く存在したが、ほとんどのモジュールの結合度を4以下にまで小さくできた。また、結合度を4以下にすることで、二階層システムのための異言語間結合が容易になることがわかった。一方、再構築前のモジュールの循環的複雑度については20を超えるものも多く50を超えるものもあったが、ほとんどのモジュールを10以下にまで小さくできた。これは誤修正率を20〜40%から5〜10%に低減できたことに相当する。循環的複雑度の合計は約2分の1に低減できた。さらに再構築した機能と既開発の機能を使って解析ツールをシステム化し、高速炉実験炉「常陽」MK-Iの臨界性解析に適用してシステムの実用性を確認した。また、機能追加テストを実施して、ユーザが通常利用できる範囲の操作だけを使って機能拡張できること(ユーザ拡張)及び既存のプログラムを書き換えることなく機能拡張できること(開放/閉鎖原則)を満たした状態で実現可能であることを確認した。

35000001
幌延深地層研究計画におけるボーリング孔を用いた地下水の水圧の長期モニタリング
藪内 聡; 操上 広志; 瀬尾 昭治*; 原 稔; 國丸 貴紀; 竹内 竜史
JAEA-Research 2006-056; September 2006,32p.
 日本原子力研究開発機構では、幌延深地層研究計画における地質環境モニタリング技術開発の一環として、これまでに掘削したボーリング孔に地下水の水圧・水質長期モニタリング装置を設置し、地下施設建設前の地下水の長期モニタリングを実施している。HDB-1,2,3,6,7,8孔では、観測される水圧はおおむね安定した値を示しているが、一部のボーリング孔並びに観測区間では観測開始から現在に至るまで水圧の長期的な変動が認められる。また、研究所設置地区から7km程度離れたHDB-2孔では、研究所設置地区周辺と比べて高い水圧が認められる。観測される水圧から全水頭を算出した結果、研究所設置地区周辺では、深度が大きくなるにしたがって全水頭が高くなる傾向が認められることや、おおむね東から西の方向に動水勾配が生じていると推察されること等の知見が得られた。さらに、これらの観測を通じ、設置したモニタリング装置の適用性を確認することができたとともに、装置を構成する機器の一部に関して改善点等が明らかになった。

34001156
数値環境システムSPEEDI-MP
永井 晴康; 茅野 政道; 寺田 宏明; 原山 卓也*; 小林 卓也; 都築 克紀; Kim, K.; 古野 朗子
JAEA-Research 2006-057; September 2006,67p.
 数値実験によるさまざまな環境研究に資することのできる環境研究ツール「数値環境システムSPEEDI-MP」の構築を行った。SPEEDI-MPは、大気,陸域,海洋の物理モデル及び物質循環モデル等の数値実験ツール,数値実験ツールの入力用データベースと、データ管理,可視化等の支援機能により構成される。数値実験ツール開発の一環として、多数のモデルを結合できるモデルカップラーを開発した。このモデルカップラーを用いて、大気,海洋,波浪,陸水、及び地表モデルの5モデルからなる水循環結合モデルシステムを開発した。支援機能はWebベースのGUIで操作可能であり、ユーザーは各自のPCからインターネット経由でシステムの全機能を使用可能である。システムに導入された放出源推定機能については、ITBL-Gridを活用して多数の計算機からなる分散環境での計算実行可能なシステムを開発した。また、水循環結合モデルシステムの適用試験として、洪水再現計算及び高潮再現計算を実施した。

34001263
オーバーパックの長期耐食性に関する調査(委託研究)
立川 博一*; 川久保 文恵*; 清水 亮彦*; 柴田 俊夫*; 杉本 克久*; 瀬尾 眞浩*; 水流 徹*; 藤本 慎司*; 井上 博之*
JAEA-Research 2006-058; October 2006,80p.
 旧核燃料サイクル開発機構では、「我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性; 地層処分研究開発第2次取りまとめ」(「第2次取りまとめ」)報告書を国に提出し、日本の幅広い地質環境条件を想定して実験データや既往研究等に基づいてオーバーパックの腐食寿命について検討を行った。しかしながら、高pH環境での挙動,ニアフィールド環境条件の時間的な変化に伴う人工バリアの挙動など長期的な信頼性を向上させるうえでの課題がある。このような状況を考慮して、原子力安全研究協会内に国内の金属の腐食科学分野の専門家からなる「オーバーパックの長期安定性に関する調査専門委員会」を設置し、既往の研究成果と安全評価上の考え方について、人工バリア材の長期安定性,長期耐食性の観点から調査検討を行った。

35000002
SEFOR実験解析,2; 等温温度係数(Core II)及び出力係数
羽様 平; 沼田 一幸*
JAEA-Research 2006-059; September 2006,133p.
 高速実験炉SEFOR(Southwest Experimental Fast Oxide Reactor)のCore IIの等温温度係数、Core I及びCore IIの出力係数について実験データを整理し、解析評価した。データの整理ではオリジナルのレポートに立ち戻り、ノミナル値及び誤差を整備した。特に出力係数については燃料温度測定データから整理し、最新の熱伝導度評価式を採用して燃料温度評価の見直しを図った。その結果、実験誤差を既報告の11%から8%に低減することができた。解析はJUPITER実験の解析で整備された高速炉解析手法にJENDL-3.2を使用して実施した。等温温度係数解析では、解析値は実験値を9%過大評価する結果となった。実験誤差(3%)や解析誤差(4%)を超える差異であり、連続エネルギーモンテカルロ計算値や既存の実験値との比較でも差異を説明することはできなかった。出力係数の解析では、解析値は実験値と実験誤差の範囲で一致した。整備した出力係数の実験データに基づき、ドップラー定数のベンチマーク実験データを整備した。整備したドップラー定数は既存のベンチマーク実験値と約4%異なる。差異は熱伝導度評価式の更新によるものであり、評価式の信頼性や結果の炉心依存性から判断して妥当なものと思われる。

34001157
小型高速炉の炉心・燃料設計研究,5; 平成17年度の研究成果のまとめ
宇都 成昭; 岡野 靖; 永沼 正行; 水野 朋保; 林 秀行
JAEA-Research 2006-060; September 2006,68p.
 50MWe出力Na冷却金属燃料炉心の「長寿命追求型概念」について、燃料スミア密度に関する照射実績を重視した設計研究を実施した。本概念は、プラント寿命中の燃料無交換と炉心出口温度550℃(水素製造の観点)の達成を目指すものである。燃料スミア密度の上限を75%とし、燃料仕様を調整することによって、炉心寿命30年、炉心出口温度550℃を達成する可能性を示した。制御棒については、炉心寿命中に吸収体−被覆管機械的相互作用が発生し得ないことを確認した。遮へい性能の向上と炉心コンパクト化の観点から選定したZr-H遮へい要素において、被覆管にPNC316を用いることで炉心寿命中における水素透過量の制限目安(H/Zr比が1.53以上)を満足する可能性を示した。

34001158
ナトリウム冷却炉の炉心・燃料設計検討,MOX燃料炉心; 2005年度報告
小川 隆; 佐藤 勇; 永沼 正行; 相田 達也*; 杉野 和輝; 林 秀行
JAEA-Research 2006-061; September 2006,54p.
 実用化戦略調査研究の候補概念であるナトリウム冷却炉MOX燃料炉心についての2005年度の炉心・燃料設計に関する検討結果を報告する。本年度は、フェーズIIのまとめに向けた各種の設計検討を行った。(1)高内部転換型炉心の検討:(i)軽水炉使用済燃料から回収したTRUを用いた場合の炉心・燃料設計への影響評価を行った。(ii)大型MOX燃料高内部転換型炉心の被覆管材をPNC-FMS鋼とした代替材炉心を構築した。(iii)大型MOX燃料高内部転換型炉心の遮へい特性評価を行った。(iv)大型MOX燃料高内部転換型炉心を対象とした制御棒長寿命化方策の検討を行った。(2)高増殖炉心の検討:高い増殖性の要求に対応する炉心について、2004年度の大型MOXコンパクト型炉心をベースに検討した。

34001159
J-PARC物質生命科学実験施設におけるDIANA・高エネルギー分解能測定の効率化
高橋 伸明; 柴田 薫; 佐藤 卓*; 新井 正敏
JAEA-Research 2006-062; September 2006,22p.
 J-PARC、MLFに設置予定の大強度逆転配置型非弾性散乱装置DIANAは、測定エネルギー領域,エネルギー分解能に合わせて、三種類のアナライザー結晶(PG, Ge, Si)を交換できるように設計されている。PG又はGeをアナライザーに用いる広域な波長帯の中性子を直接サンプルに導く通常測定では、パルス中性子発生源であるデカップルドモデレーターの特性に依存してエネルギー分解能が決まるため、高強度かつ中程度のエネルギー分解能測定が期待される。一方、より高分解能を必要とする場合には、アナライザーにSiの完全結晶を用いるとともにモデレータの時間幅以下にパルス整形を施した入射中性子スペクトルを用いる高エネルギー分解能測定モードが用いられる。パルス整形はエネルギー分解能を劇的に改善する一方で、モデレータから発生した中性子のほとんどを切り落とすため入射強度の減少や走査エネルギー範囲が狭まるという問題点を併せ持つ。本報告では、高エネルギー分解能測定モードの狭いエネルギー範囲を広域化する方法として、マルチスリットを持つパルス整形チョッパーを導入したときの効果を検証し、最大測定効率を生む方法を検討した。

34001160
高速実用炉を用いた長寿命核分裂生成物(LLFP)核変換に関する検討; LLFP集合体装荷法,FS検討の各炉型における核変換特性
永沼 正行; 相田 達也*; 林 秀行
JAEA-Research 2006-063; September 2006,97p.
 実用化戦略調査研究(FS)では、環境負荷低減の観点から、高速実用炉を用いたLLFP核変換に関する検討を行っている。本報告では、LLFP集合体装荷法,FSの各炉型におけるLLFP核変換特性,サポートファクタ(SF)向上炉心の実現性に関する検討を行った(SF:LLFP核種の変換/生成量の比)。LLFP集合体装荷法について、炉外・炉内装荷方式を適用した核変換炉心の設計評価に基づき定量的な比較を行った。炉内装荷では大幅に初装荷LLFP重量を低減できる結果が得られ、核変換炉心の導入ペース向上が望める炉内装荷方式を選定した。FS検討の各炉型におけるLLFP核変換特性について、フェーズIIで設定した代表炉心を基準炉心として、LLFP核変換炉心の評価を行った。いずれの炉型についても、設計条件を確保しつつ1.0以上のSFを達成する見通しが得られた。また、SF向上炉心の実現性について、実用炉の設計条件のうち幾つかの項目の制限を緩和することで、どの程度SFの向上が可能か感度評価を行った。いずれの項目もSFへの感度は小さく、実用炉でSFが2を超えるような大幅な向上は困難との結論に達した。

34001161
鉄型化ベントナイト水熱試験; 低酸素雰囲気での高温条件下における鉄型化ベントナイトの変化の同定
陶山 忠宏*; 柴田 雅博; 笹本 広
JAEA-Research 2006-064; October 2006,21p.
 処分システムの長期挙動の把握の一つとして炭素鋼腐食生成物−ベントナイト相互作用の理解は重要である。既往の研究から鉄と接触したベントナイトは層間に鉄を取り込み鉄型化することがわかっている。しかしながら、それ以上の変化は現在のところ明確ではない。したがって、本試験では鉄型化スメクタイトを出発物質として、その後に発生する鉱物学的変化を確認することを目的とした実験を実施した。雰囲気制御グローブボックス(酸素濃度1ppm以下,Ar雰囲気)内において、Na型ベントナイト(クニピアF)にFeCl2溶液を混合することにより鉄型化ベントナイトを作成した。この鉄型化ベントナイトと蒸留水を金チューブに入れて、オートクレーブを用いて反応を加速することを目的として処分環境で想定されている温度より高い温度(250℃)で各任意期間(1ヶ月及び6ヶ月)静置した。その結果、250℃で6ヶ月間静置した試料においては7Å に非膨張粘土鉱物(バーチェリン)と思われるピークが確認できた。さらに、試料250℃で6ヶ月間静置した粉末試料に1MのNaCl溶液を加えることによりベントナイトの再調整を行った。この試料の湿度制御条件下でのX線回折分析結果は、Na型ベントナイトに戻った結果となったことから、250℃で6ヶ月間静置した試料の大部分は単にスメクタイト層間の陽イオン交換反応に留まり、大きなスメクタイト構造の変化や特性の変化までは至っていないことが確認できた。

34001162
長軸型反跳陽子比例計数管の開発及び144, 250, 565keV単色中性子校正場のフルエンス絶対測定
三枝 純; 谷村 嘉彦; 吉澤 道夫
JAEA-Research 2006-065; October 2006,40p.
 加速器中性子源を用いた中性子校正場の中性子フルエンスを決定するための基準測定器を開発した。測定器は水素を計数ガスとする二重管構造の長軸型反跳陽子比例計数管であり、エネルギー領域50keVから1MeVまでの中性子場のフルエンスを絶対測定により決定することができる。測定器の設計製作にあたっては測定結果の不確かさをできる限り小さくするよう留意した。製作した測定器を用いて日本原子力研究開発機構放射線標準施設棟の中性子校正場において144, 250及び565keV単色中性子のフルエンスを絶対測定した。その結果、標準不確かさ2%以内でフルエンスを評価することができた。また144及び565keV単色中性子については、これまでに別の測定から得られているトレーサビリティーの確保された値とフルエンスを比較したところ、両者はよく一致した。

34001264
数値解析による自由液面からのガス巻込み評価手法に関する研究; 評価指針(第1次案)の提案
堺 公明; 伊藤 啓; 内堀 昭寛; 木村 暢之; 江連 俊樹; 上出 英樹; 大島 宏之
JAEA-Research 2006-066; October 2006,43p.
 日本原子力研究開発機構は、高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究の一環として、ナトリウム冷却高速炉の概念検討を進めている。実用化のためのプラントシステム概念は、経済性向上のために出力に比してコンパクトな炉容器を指向している。そのため、既存の概念と比較して炉容器内の流速が相対的に大きくなり、自由液面からのカバーガスの巻込みについてより精度の高い設計評価を行うことが重要となっている。カバーガスの巻込みは、炉心出力の変動,除熱性能劣化などの原因となり得るため、発生しないことを十分な余裕をもって示す必要がある。実機定格条件においてガス巻込みが発生しないことは、実規模に近い水試験(1/1.8縮尺部分モデル)によってほぼ確認されているが、大規模なナトリウム試験を実施するためには大きな投資が見込まれることから、数値解析によってガス巻込みを評価する手法の確立が望まれている。そこで、大学,研究所,電力,メーカの専門家で構成するワーキンググループを設置し、くぼみ渦によるガス巻込み現象について設計で参照すべき数値解析に基づく指針案の構築を行うこととし、平成14年から約4か年実施した。本指針は、第1次案の提案としてワーキンググループの研究成果をまとめたものである。

34001265
ガス巻きこみ現象に関する基礎的研究; 自由表面渦による非定常ガス巻き込み現象の評価
江連 俊樹; 木村 暢之; 小林 順; 伊藤 真美*; 上出 英樹
JAEA-Research 2006-067; October 2006,35p.
 FBR実用化戦略調査研究では、ナトリウム冷却型大型炉の設計研究を実施されている。経済性を向上させるため、従来と比較してコンパクトな原子炉容器を検討している。その結果、炉容器内の流速が増加するため、原子炉容器内でのカバーガスの巻き込みを防止することが設計上の重要課題となっている。このため、ガス巻き込み防止の判定基準の作成が進められている。ガス巻き込みに関しては、くぼみ渦,潜り込み,砕波の3形態に大別できるが、くぼみ渦によるガス巻き込みに関しては、その発生に対する定量的な評価手法や判定基準に関しては明確化されていないのが現状である。そこで、くぼみ渦によって発生するガス巻き込みに関して基礎的な実験体系を用いた水流動試験を実施した。これまではあまり検討されてこなかった渦の非定常性について基礎的な特性を把握するため、ガスコア周囲の流速分布の測定とガスコア長さの可視化計測を組合せた試験を実施した。その結果、ガスコア長さと気泡の巻き込みに至る頻度との関係を明らかにするとともに、くぼみ渦が成長する過程で、まず循環が増加し、これに遅れてガスコア長さが成長する位相遅れがあることを見いだした。

34001266
1/1.8縮尺部分モデルによる原子炉容器内ガス巻込み特性の評価; ガス巻込み発生マップによる支配因子の把握と発生メカニズムの解明
木村 暢之; 江連 俊樹; 飛田 昭; 伊藤 真美*; 上出 英樹
JAEA-Research 2006-068; October 2006,56p.
 ナトリウムを冷却材とした高速炉の設計では、経済性向上を図るためシステムのコンパクト化を検討しており、炉容器径に対する炉出力の増加を検討している。炉出力増加に伴い、冷却材の流速が上昇し、炉容器に存在する自由液面からのガス巻込みが懸念されている。そこで、自由液面の下方に水平板(D/P)を設置することで、液面近傍の流速低下を図ることとしている。ガス巻込みを評価するために製作した縮尺比1/1.8の水流動試験体は、ガス巻込みの発生要因となる下降流速が発生する出口配管を中心とする90度セクターを対象に、D/Pから液面までをモデル化した。本試験では、境界条件を変更することにより、ガス巻込み発生マップを作成し、それによってガス巻込みの支配因子の抽出を行うとともに、発生メカニズムの解明を目的に実施した。ガス巻込みは、大きく分類して2つのパターンで発生することがわかった。一つは、周方向流速が大きくなることにより、物体の後流に発生する渦に起因するものであった。もう一つは、下降流速の増加及び液位の低下によって発生するものであった。これらについて、詳細な流速計測により、発生メカニズムを把握することができた。

35000003
モンテカルロ法による地球化学計算コードを用いたセレン及びネプツニウムの溶解度の不確かさ解析
武田 聖司; 木村 英雄
JAEA-Research 2006-069; November 2006,16p.
 高レベル放射性廃棄物等の地層処分の安全評価において、放射性元素の溶解度(限度)は重要度の高いパラメータの1つである。原子力機構では、地下水水質の条件及び熱力学データの不確かさが放射性元素の溶解度に及ぼす影響の定量化を目的として、モンテカルロ法に基づく確率論的溶解度解析コードPA-SOLを開発した。また、代表的な熱力学データベースであるEQ3/6-TDBとJNC-TDBを用いて、既往の緩衝材間隙水組成データから推定される水質条件の変動に対するセレン(Se)とネプツニウム(Np)の溶解度の確率論的解析を実施した。その解析から、SeとNp溶解度に対し影響度の大きい水質条件(Seに対してEh-pH条件と鉄濃度,Npに対して溶存炭素濃度とEh-pH条件)を同定した。また、2つの熱力学データベースの違いによる溶解度の差は、Seの場合、特に固相FeSe2の平衡定数の不確かさに起因していること、Npの場合、Np溶解度の溶存炭素濃度依存性を支配する炭酸錯体Np(CO3)44-とヒドロキソ炭酸錯体Np(CO3)2(OH)22-のデータベースにおけるデータの存在の違いによることが明らかとなった。

35000411
幌延深地層研究計画における地下水水質・水理モデルの信頼性向上に関する研究;2005年度成果報告(共同研究)
濱 克宏; 國丸 貴紀; 操上 広志; 笹本 広; 高橋 康裕*; 萩沼 真之*; 石井 智子*; 松尾 雄司*
JAEA-Research 2006-070; September 2006,93p.
 日本原子力研究開発機構と産業創造研究所は、地層処分技術の信頼性向上を目的とした共同研究を、2005年度より開始した。本共同研究では、幌延深地層研究計画の一環として取得した地質環境データを利用して、地下水の水質及び岩盤の水理に関する長期的変遷を考察するための解析を行った。本報告では、2005年度の実施内容及び成果を取りまとめた。水質に関する研究として、幌延町周辺に分布する地下水の水質などのデータを利用して、化学成分濃度の相関の検討,主成分分析や水質の空間分布の推定などを実施した。水理に関する研究として、幌延町周辺の陸域から海域を対象に、文献データなどを利用して、地質構造モデルの構築,水理地質構造モデルの構築,地下水流動解析を実施した。2006年度は上記のモデル化を継続するとともに、モデル化手法の適用性の検討結果などについて取りまとめる予定である。

34001267
Evaluation of deuteron-induced activation for IFMIF accelerator structural materials
中尾 誠*; 堀 順一*; 落合 謙太郎; 久保田 直義; 佐藤 聡; 山内 通則; 石岡 典子; 須藤 広行*; 西谷 健夫
JAEA-Research 2006-071; November 2006,37p.
 IFMIFでは加速器稼働率70%を目指しているが、重陽子による加速器構成材料の放射化によってメンテナンス作業が制限されることが、稼働率を低下させる要因となる。したがって、重陽子入射に対する精度の良い放射化断面積データベースを整備し、それをもとに低放射化材料を選択することが不可欠である。本研究では、加速器構成材料であるアルミニウム,バナジウム,クロム,マンガン,鉄,ニッケル,銅,タンタル,タングステン及び金の放射化断面積を測定し、他の実測値,計算値と比較した。また、測定した放射化断面積の妥当性を総合的に判断するため、実際に加速器で使用されるSUS316, F82Hへの重陽子入射によって生成する核種の放射能の測定も行った。測定対象としたほぼ全ての核種の放射能は、測定した断面積をもとに評価した放射能と誤差の範囲で一致することを示した。

34001268
A Study on effective system depressurization during a PWR vessel bottom break LOCA with HPI failure and gas inflow prevention (ROSA-V/LSTF test SB-PV-05)
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
JAEA-Research 2006-072; November 2006,144p.
 ROSA-V計画における加圧水型原子炉(PWR)の底部計装管小破断冷却材喪失事故(SBLOCA)模擬実験の1つとして、全高圧注入系不作動時のアクシデントマネジメント策と蓄圧注入系からのガス流入防止の効果を検証する実験(SB-PV-05)を実施した。使用装置は大型非定常試験装置(LSTF)で、計装管9本破断を想定し、AM策として蒸気発生器(SG)逃がし弁による定率(-55K/h)減圧と補助給水系の30分間作動を実施した。この結果、炉心露出に至ることなく低圧注入系(LPI)が作動し、長期冷却条件を確保した。AISガス流入を想定した類似SB-PV-03実験に比較して、SBLOCA時のAM策有効性にガス流入防止措置が大変重要であることを示した。

35000412
幌延深地層研究計画平成17年度調査研究成果報告
松井 裕哉; 新里 忠史; 山口 雄大
JAEA-Research 2006-073; November 2006,72p.
 地質環境データ取得のため、地表物理探査等を実施し、試錐調査を終了した。取得データに基づき、地質構造等の各分野においてモデルを更新し、地下施設建設に伴う周辺地質環境への影響予測を実施した。試錐孔を用いた調査技術やコントロール掘削技術の適用性を確認した。地質環境モニタリング技術の開発では、長期モニタリング機器による観測を継続し、遠隔監視システムの設置及び試験観測を行った。地質環境の長期安定性に関する研究では、幌延地域の地質の調査や地中レーダ探査,地震計等による観測を行った。地層処分技術の信頼性向上では、低アルカリ性コンクリート材料を用いた実規模模擬トンネルでの吹付け試験を実施した。第1段階で取得した地質環境データを用いて既存の設計手法の適用性を確認した。安全評価手法の高度化では、コアを用い物質の収着試験と物質移動に関する解析を試行した。施設建設では、造成工事完了後、研究管理棟及び試験棟の建設を行った。PR施設の建設工事に着手した。ズリ仮置場を整備し、ズリ置場と排水管路の設計を行い、換気立坑を掘削した。環境調査では、環境モニタリング調査を継続した。国内外の研究機関との研究協力を進めた。

35000413
幌延深地層研究計画平成18年度調査研究計画
松井 裕哉; 新里 忠史; 山口 雄大
JAEA-Research 2006-074; November 2006,36p.
 本計画は、独立行政法人日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているものである。本計画は、調査研究の開始から調査研究の終了まで20年程度の計画とし、3つの段階に分けて実施することとしており、平成18年度は第2段階の2年目にあたる。平成18年度は、おもに北進地区にある研究所設置地区(主たる調査研究の展開場所、2〜3km四方程度)とその周辺地域において調査研究を継続する。また、地下施設の建設を継続するとともに、第2段階の調査研究を継続する。また、第1段階の研究成果の取りまとめを行い、報告書として公開する。地上施設については、平成17年度に引き続き研究管理棟及び試験棟(コア倉庫・ワークショップ棟を試験棟に名称変更)の建設工事を行い、平成18年5月の竣工予定である。また、PR施設の建設工事を行うとともに展示物の製作を開始し、国際交流施設の基本設計を行う。

35000004
高速炉用被覆粒子型燃料の被覆層材特性に関する検討,3; TiNの厚膜蒸着特性,Ti金属の高温ガス窒化特性
永沼 正行; 水野 朋保
JAEA-Research 2006-075; December 2006,65p.
 ヘリウムガス冷却高速炉は、実用化戦略調査研究における候補概念の1つと考えられ、設計研究を進めている。そのうち、被覆粒子型燃料炉心については、成立性を左右する要素技術として燃料粒子の被覆層材が挙げられ、TiNが候補の一つとして考えられることから基礎的な試験・評価を実施している。今回の検討では、TiNの厚膜蒸着特性,Ti金属のガス窒化特性に関する基礎試験を行った。厚膜蒸着特性について、PVD(Physical Vapor Deposition), CVD(Chemical Vapor Deposition)の2種類の蒸着法について試験を実施し、いずれの蒸着法とも、実機燃料を想定した100μm程度の厚膜蒸着の形成に向けて可能性があることがわかった。また、TiN厚膜蒸着の代替案として、Ti金属を蒸着し、その後窒化することでTiN層を形成する方法を考案し、高温ガス窒化に関する基礎試験を行った。厚さ100μm程度の試料では、窒化後試料の機械特性に課題があるものの、窒化温度1,200℃×処理時間48hでおおむね全面に窒化が進行することがわかった。

35000005
N,N-di-(2-ethyl)hexylbutanamideによるU-Pu抽出分離プロセスの検討; 簡易計算コードによるU及びPuの分離挙動解析
伴 康俊; 朝倉 俊英; 森田 泰治
JAEA-Research 2006-076; November 2006,22p.
 N,N-di-(2-ethyl)hexylbutanamide(D2EHBA)をUとPuの分離に適用した場合における、ミキサセトラ型抽出器でのU及びPuの抽出挙動を簡易計算コードにて解析した。解析はU及びPuの分配比の硝酸濃度依存性及び元素濃度依存性を考慮して行い、Puの還元剤を用いることなく硝酸濃度調節によるUとPuの分離を可能とするフローシートを得た。このフローシートに基づくと、Pu溶液におけるU/Pu比は1.06であり、ラフィネート及びPu溶液側へ移行するPuの割合は、それぞれ0.1%未満及び99.9%以上と計算された。

35000006
ナトリウム冷却炉の炉心・燃料設計検討(金属燃料炉心); 2005年度報告
大木 繁夫; 杉野 和輝; 小川 隆; 相田 達也*; 林 秀行
JAEA-Research 2006-077; November 2006,86p.
 ナトリウム冷却MOX燃料炉心と同等の原子炉出入口温(550℃/395℃)を達成可能な「ナトリウム冷却金属燃料高出口温度型炉心」の炉心・燃料設計検討を行い、実用化戦略調査研究フェーズIIの大型(1,500MWe)及び中型(750MWe)代表炉心を構築した。本炉心は、単一Pu富化度を用い、局所内部転換比を炉心燃料のすべての領域で約1.0として出力分布の時間的変動を抑制し、冷却材流量配分を最適化して原子炉出口温度を高めたものである。工学的安全係数の合理化により、大型炉心は流量領域数5、中型炉心は流量領域数8で、被覆管内面最高温度を金属燃料の制限である650℃以下とすることが可能な見通しが得られた。燃料健全性,遮へい体設計も成立する見通しである。さらなる高出口温度化を目指し、制御棒挿入深度の詳細なモデル化や余剰反応度不確かさを合理化した時の被覆管内面最高温度の低減化を検討した。開発段階であるODS鋼の代替材としてPNC-FMS鋼を被覆管材に用いた炉心を検討し、原子炉出口温度が550℃より数度低下するものの成立性を見通せることを明らかにした。制御棒長寿命化の検討では、10B濃縮度の低減,B4Cペレットの細径化により、炉心燃料と同じ3サイクル寿命が可能な見通しを示した。

35000113
地層処分技術に関する知識管理システムの基本的概念
梅木 博之; 大澤 英昭; 内藤 守正; 中野 勝志; 牧野 仁史
JAEA-Research 2006-078; December 2006,45p.
 処分事業の実施主体や安全規制機関など、地層処分計画にかかわるステークホルダーは、安全性を示す論拠の構築や地層処分計画のさまざまな時期における意志決定において、地層処分にかかわる多様な技術的情報やデータ,知見を用いる。これらは、地層処分の長期的な安全確保と長期間に渡る事業全体に対する信頼を支えるうえでの知識基盤として体系化し、常に最新の科学技術の知見を取り込みながら、次世代へ継承できるようにしておくことが必要である。これまで段階的に行ってきた研究成果の取りまとめが示すように、時間に伴いこのような知識は多様化するとともに、その量は激増している。このため、日本原子力研究開発機構では、地層処分のセーフティケースに関する一般概念に基づいてシステムの安全評価などにおいて必要となる多様かつ大量な情報を知識として構造化し、ステークホルダーの要望に応じて提供するとともに、新たな知識の創造や次世代への知識継承などの機能を備える知識管理システム及び知識ベースの開発を進めている。本報告書では、平成17年取りまとめに示されたナレッジ・ヴィジョンに基づき、地層処分技術に関する知識管理システム及び知識ベースを具体的に設計・開発していくための基本的概念を明らかにし、今後の当面5年程度(平成21年度まで)の計画を示す。

35001137
浅層ボーリング孔を利用した地下水位観測
瀬尾 昭治; 操上 広志; 藪内 聡; 原 稔
JAEA-Research 2006-079; March 2007,22p.
 日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターでは、幌延深地層研究計画の一環として表層水理調査を実施している。表層水理調査のうち、地下水位測定は、地下水流動解析に用いる上部境界条件の一つである地下水位の分布とその季節変動を明らかにすることを目的としている。本報告書は、2003年(平成15年)12月から2005年(平成17年)10月までの地下水位測定結果とそれに基づく表層付近の地下水流動特性に関する検討結果を示したものである。地下水位の継続的な観測により、(1)研究所設置地区を含む清水川流域とペンケエベコロベツ川流域の分水嶺が、観測測線においては地形上の分水嶺よりもやや南(清水川流域)よりに位置すること,(2)地下水位変動は積雪・融雪の影響が最も大きく、そのほかに降水による影響が認められること,(3)地下水位の変動幅は場所により異なり、大きいところで5m程度まで達し、また、沢での水位変動は小さいこと,(4)降水後の地下水位のピークは河川水位のピークよりも緩やかで、2日から3日程度遅れることがわかった。

35000277
オーバーパック溶接部の耐食性評価に関する研究,3(共同研究)
三井 裕之*; 高橋 里栄子*; 谷口 直樹; 大槻 彰良*; 朝野 英一*; 油井 三和
JAEA-Research 2006-080; December 2006,322p.
 溶接部(溶接金属及び熱影響部)と母材は材料の性状が異なるため、溶接部の耐食性も母材と異なる可能性がある。本研究ではTIG, MAG及びEBWによる溶接試験体から切り出した試験片を用いて、炭素鋼溶接部の耐食性について母材との比較を行った。腐食試験は以下の4つの項目に着目して行った。(1)不動態化挙動と腐食形態,(2)酸化性雰囲気における全面腐食,孔食・すきま腐食進展挙動,(3)応力腐食割れ感受性,(4)還元性雰囲気における全面腐食進展挙動,水素脆化感受性。その結果、TIG及びMAG溶接金属部において全面腐食と孔食・すきま腐食に対して耐食性の劣化が示唆された。この原因として、溶接で使用された溶加材の成分による影響を受けた可能性がある。溶加材を使用しないEBWについてはいずれの腐食形態に対しても耐食性の低下は認められなかった。応力腐食割れについては、高炭酸塩溶液中では、いずれの溶接方法においても溶接金属部,熱影響部ともに母材に比較して感受性が低下する傾向が認められた。

35000114
アクチニド核種のマスバランス解析に基づく群分離−核変換サイクルの導入シナリオと効果の検討
西原 健司; 大井川 宏之
JAEA-Research 2006-081; December 2006,91p.
 高レベル放射性廃棄物(HLW)の処理・処分の負担軽減を目的として、商業発電炉サイクルと群分離−核変換(P-T)専用サイクルからなる階層型核燃料サイクルが提案されている。P-Tサイクルはさまざまな商業発電炉サイクルに対して導入でき、HLW量の低減,処分概念の多様化など、放射性廃棄物管理の合理化が期待できる。本検討では今後200年程度の期間で考えられる幾つかの商業炉シナリオに対して、アクチニド核種のマスバランス解析に基づいて、P-Tサイクルの導入シナリオを設定し、P-Tサイクル導入によるHLW処分への効果を検討した。マスバランスを計算するためにSCENARIOコードを作成した。プルサーマル,Npリサイクル高速炉,MAリサイクル高速炉などのシナリオに対して検討を行った結果、2200年時点で5〜9個必要だった処分場が、P-Tサイクルの導入によって2個程度に縮小される効果などが示された。

35000007
模擬炉心燃料ピンを用いたCPF用シュレッダー型粉砕装置の粉砕性能評価
中原 将海; 佐野 雄一; 青瀬 晋一
JAEA-Research 2006-082; December 2006,56p.
 高レベル放射性物質研究施設のセル内での使用を目的としたシュレッダー型粉砕装置を製作し、2004年7月に模擬燃料ピンを用いて粉砕試験を実施した。この試作機では、回転刃とスクリーンによる破砕片の磨り潰し時にスクリーンが上下方向に振動してしまい、十分な磨り潰し効果が得られなかった。また、粉砕試験時にスクリーンブロックが破損するなど、安定した燃料の粉体化を行うことができなかった。このため、燃料回収率は最大約70%であった。これらの試験結果を受けて、2005年9月には、おもにスクリーン部分の改造を行った装置を用いて再度粉砕試験を実施した。第2回目の試験では、最大96%の燃料回収率を得ることができた。これは、磨り潰し時においてスクリーンの振動を防止することができたため、前回の試験と比較して磨り潰し効果が増大したことに起因すると思われる。

35000115
Study on transient temperature measurement at fuel clad surface in NSRR experiments
Vincent, B.*; 杉山 智之; 更田 豊志
JAEA-Research 2006-083; January 2007,39p.
 NSRR実験では燃料棒被覆管の表面に溶接した熱電対により被覆管温度を計測している。本研究では、熱電対への熱伝導に起因する温度測定誤差の評価を行った。CASTEMコードを用いた解析の結果、被覆管温度が400℃を超える前には熱容量の効果が支配的であることが明らかになった。誤差はこの状態で最大となり、被覆管表面に酸化膜がない場合には-100℃(過小評価)、酸化膜が100ミクロンの場合には+150℃(過大評価)となる。被覆管温度が400℃を超え、膜沸騰に遷移した場合には熱電対によるフィン効果が支配的となり、誤差は酸化膜なしで-20℃、酸化膜が100ミクロンの場合には+50℃となった。なお、熱電対溶接による影響は半径約0.5mmの範囲に限定されていた。解析結果に基づいて求めた伝達関数により、熱電対の計測記録から正確な被覆管表面温度を得ることが可能となった。

35000278
堆積岩地域における広域地下水流動に関する研究; 養老川流域の例
酒井 隆太郎; 宗像 雅広; 木村 英雄
JAEA-Research 2006-084; January 2007,16p.
 日本原子力研究開発機構では、千葉県の養老川流域を堆積岩モデル対象地区として事例調査を開始した。本研究では、養老川流域の井戸,河川,湧水の水試料を採取し、水温,水質,酸素・水素同位体比,放射性炭素同位体年代の測定による実測データをもとに、広域の地下水賦存状況について検討を行った。その結果、養老川流域にはCa-HCO3型地下水,Na-HCO3型地下水及び、塩水系地下水の3種類の地下水が分かれて賦存しており、それぞれの起源は、Ca-HCO3型地下水は数千年前以降に涵養された地下水、Na-HCO3型地下水は数千年〜2万年前の寒冷期に涵養された天水、そして塩水系地下水は約2万年前の化石塩水であることが明らかとなった。また、五井,馬立,養老温泉の3か所については、深度200〜400mから上昇したNa-HCO3型地下水が地表近くまで到達していることが明らかとなった。

35000279
核燃料施設の確率論的安全評価に関する調査,1
吉田 一雄; 阿部 仁; 山根 祐一; 田代 信介; 村松 健
JAEA-Research 2006-085; February 2007,81p.
 日本原子力研究開発機構安全研究センターでは、核燃料施設の確率論的安全評価手法整備の一環として、社団法人日本原子力学会に委託し「核燃料施設の確率論的安全評価に関する調査」を実施した。本調査は、核燃料施設でのPSA適用に向けた課題を検討し、これにより、定量的性能目標の策定,リスク情報を活用した安全管理/規制(RIR)の参考となる情報を得るとともに、関係者間での共通認識の醸成に資することを目的としている。調査にあたっては、日本原子力学会が「核燃料施設事故影響評価手法」調査専門委員会を組織し、核燃料施設において想定される主要な放射性物質の環境への放出を伴う異常事象(臨界,火災,爆発等)の環境への上限的な影響を評価するための手法を中心に調査を実施した。本報告書は、日本原子力学会「核燃料施設事故影響評価手法」調査専門委員会が、平成16年度に実施した調査の結果をまとめたものである。

35000414
HDB-3〜8孔における岩盤力学的調査結果及び研究所設置地区の岩盤力学的概念モデル検討
丹生屋 純夫; 松井 裕哉
JAEA-Research 2006-086; January 2007,97p.
 本調査は、幌延深地層研究計画として平成14, 15年度に実施した試錐調査のうち力学的調査試験結果について述べるものである。主な実施目的は、研究所設置地区内の岩盤力学的特性(岩石の物理物性,力学物性及び初期応力)がどのように分布しているかを確認することと、大曲断層(推定)東西領域の岩盤力学的な観点から見た諸特性や応力場の状態を把握することにある。研究所設置地区は、大曲断層(推定)によって東西に二分された形になっているため、施工したボーリング孔を断層の西側と東側でグルーピングして各種調査試験結果を整理した。その結果、大曲断層の東西にかかわらず、各孔における物性値の深度方向変化がよく一致しており、調査したボーリング孔周辺では同じ岩盤物性値を有する地層が水平的に分布していることが想定された。ただし、急激な物性値の変化を示した遷移ZONEの厚さは大曲断層東側が西側の1.5倍ほどあった。また、力学的岩盤モデルとして考えた場合、各種特性に影響を与える割れ目の存在は確認されているが、硬岩と比べ相対的に連続体に近い挙動を示すと考えられた。これらのグループ分けによる岩盤の物理・力学物性に関する調査結果に基づいて、物性概念モデルを構築した。構築したモデルによれば、物理・力学物性に関しては3つのZONEに区分することで各ZONE内の物性分布を場所によらずほぼ統一的に説明することが可能であることが示唆された。

35000280
振動充填燃料採用による炉心・燃料設計への影響に関する検討
永沼 正行; 相田 達也*; 林 秀行
JAEA-Research 2006-087; February 2007,72p.
 実用化戦略調査研究(FS)におけるNa冷却MOX燃料炉心の設計では、ペレット燃料を採用した炉心を中心に評価を実施している。一方、FSでは、燃料形態として、振動充填燃料も検討対象としている。振動充填燃料を採用した炉心では、ペレット燃料との燃料挙動の相違を反映した設計検討が必要であるが、十分な検討がなされていない状況である。そこで、本検討では、設計評価上重要と考えられる燃料熱設計モデルについて、現状の知見の範囲で適当と判断されるモデルを選定し、炉心・燃料仕様,核特性への影響を評価した。検討の結果、燃料熱設計モデルに関しては、組織変化開始温度,組織変化領域密度等の組織変化モデル条件の設定が重要であることがわかり、照射後試験結果との整合性から選定した。このモデルでは、振動充填燃料の設計線出力は390W/cm程度まで低減される可能性があることがわかった。この結果を反映し、FSの代表炉心を対象に影響評価を行ったところ、燃料ピン径等の仕様の一部に見直しは要求されるものの、核特性に与える影響は小さく、FSの設計条件,炉心性能目標を満足できる設計が可能であることがわかった。

35000281
外部ゲル化法による燃料粒子製造技術開発
冨田 豊; 森平 正之; 田巻 喜久*; 西村 一久*; 庄司 修一*; 木原 義之; 加瀬 健; 小泉 務
JAEA-Research 2006-088; January 2007,95p.
 日本原子力研究開発機構では、高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究において、低除染TRU燃料の有望な候補の一つとして外部ゲル化法による燃料粒子製造技術開発を実施した。フェーズIIでは大径粒子の製造条件の最適化,アンモニア廃ガス処理の軽減を目的とした外部ゲル化法の改良方法の検討及び低除染燃料特有の核分裂生成物の影響について検討した。その結果、振動充填燃料に適した大径粒子の製造条件を把握及び改良型の外部ゲル化法の適用性の可能性を見いだした。さらに、核分裂生成物は粒子製造に悪影響を与えないことを確認するとともに原料液の耐放射線性についてのデータを取得した。これらの結果より、低除染湿式再処理対応の振動充填燃料用燃料粒子製造に外部ゲル化法が適応できる技術的な見通しを得た。

35000415
Kinetic simulations of electrostatic plasma waves using Cubic-Interpolated-Propagation scheme
Lesur, M.*; 井戸村 泰宏; 徳田 伸二
JAEA-Research 2006-089; January 2007,29p.
 電子プラズマにおける小振幅波動の運動論的特性をVlasov-Poisson方程式系に基づく解析計算及び数値計算によって調べた。Maxwellianプラズマにおけるプラズマ波の分散関係をLaplace-Fourier変換によって解析し、プラズマ波がLandau減衰によって減衰することを示した。Vlasov-Poisson方程式系を位相空間において解き進めるシミュレーションコードをCIP法を用いて開発しLandau減衰の数値計算に成功した。これらの解析的及び数値的手法を適用してビーム成分を伴う電子プラズマの安定性を議論した。

35000282
Measurements of spatial distribution of intensity and energy spectrum of neutrons from coupled hydrogen moderators by using a position sensitive detector (Cooperative research)
甲斐 哲也; 加美山 隆*; 平賀 富士夫*; 加藤 崇; 鬼柳 善明*
JAEA-Research 2006-090; February 2007,35p.
 中性子輸送計算で示されたパラ水素モデレータに対する15meV以下の中性子強度の特異な空間分布を確認するため、ピンホールカメラの原理により、モデレータ表面の中性子強度分布を測定した。モデレータ材料は、パラ水素及びオルソリッチ水素(オルソ/パラ比は60:40〜70:30)を使用した。パラ水素モデレータでは、モデレータの周辺部で強度の増加を示していたが、オルソリッチ水素モデレータでは、周辺で強度の低下が見られた。これらは、計算で示された傾向と矛盾のないものであった。さらに、特異な分布の原因を議論するため、中性子エネルギースペクトルの位置依存性を測定した。15〜100meVの領域では、両モデレータとも周辺部で高い強度を示した。15meV以下では、パラ水素モデレータでは、同様に周辺部で高い強度を示したが、オルソリッチ水素モデレータでは、周辺部で強度の減少が認められた。これらは、パラ水素の熱中性子に対する高い減速効率と冷中性子に対する透過率の大きさが特異な分布の原因であると考えられる。本研究で得られた結果は、J-PARCで使用の中性子輸送計算の信頼性を確認する根拠の一つである。

35000416
高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する性能評価技術高度化研究(共同研究)
地層処分研究開発部門; 原子力環境整備促進・資金管理センター 事業環境調査研究プロジェクト*
JAEA-Research 2006-091; December 2006,140p.
 原子力機構と原環センターは、高レベル放射性廃棄物地層処分の研究及び技術開発に関する多くの技術やノウハウを提供しあうことにより、地層処分における性能評価技術の高度化を図った。本共同研究では、以下の5項目について検討を行った。多様なスケールを対象とした核種移行解析技術の開発の基本戦略の立案・ガラス固化体スケールを対象とした解析技術の開発・処分場スケールを対象とした解析技術の開発・地球化学情報の統合化技術の開発・安全性を説明するための論理構造に関する理解促進技術の開発。今後、本年度策定した全体計画に基づき、課題解決のための具体的な研究開発を継続して実施していくことが重要である。

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