研究開発報告書類

JAEA-Technology
2007年


35000290
ガドリニウムを添加した6wt%濃縮硝酸ウラニル溶液と格子間隔1.5cm棒状燃料とで構成するSTACY非均質炉心の核特性解析
井澤 一彦; 青山 康夫; 曽野 浩樹; 小川 和彦; 柳澤 宏司
JAEA-Technology 2007-001; February 2007,40p.
 日本原子力研究開発機構の定常臨界実験装置STACYでは、2006年度に、非均質炉心での臨界実験を実施している。当該炉心は、可溶性毒物(ガドリニウム)を添加した硝酸ウラニル溶液燃料(235U濃縮度6wt%)及び格子間隔1.5cmで配置した二酸化ウラン棒状燃料(235U濃縮度5wt%)333本で構成される。その実験に先立ち、当該炉心の核的安全性及び核的制限値の評価を目的として核特性解析を行った。解析対象とした項目は、臨界,反応度及び原子炉停止余裕に関するパラメータである。解析には、モンテカルロコードMVP及び核計算コードシステムSRACを使用し、断面積ライブラリにはJENDL-3.3を用いた。解析の結果、当該実験で使用するすべての燃料条件下において、原子炉停止余裕が安全基準に適合する見通しであることを確認した。また、運転時に制限値の確認を容易に行うため、臨界液位,反応度等に関する解析値を補間する簡易推定式を評価した。

35000451
SPring-8原子力機構軟X線ビームラインBL23SUにおける再集光ミラーの導入
福田 義博; 斎藤 祐児; 横谷 明徳; 寺岡 有殿
JAEA-Technology 2007-002; March 2007,35p.
 大型放射光施設SPring-8の原子力機構専用軟X線ビームラインBL23SUにおいて、表面化学実験ステーション及び生物物理分光ステーションの高度化のために、再集光トロイダル鏡を導入した。その結果、大幅な実験効率の向上に成功した。本報告では、その詳細について記述する。

35000452
Development of the Unattended Spent Fuel Flow Monitoring Safeguards System (UFFM) for the High Temperature Engineering Test Reactor (HTTR) (Joint research)
中川 繁昭; 梅田 政幸; Beddingfield, D. H.*; Menlove, H. O.*; 山下 清信
JAEA-Technology 2007-003; February 2007,24p.
 HTTRの保障措置手法において、使用済燃料ブロックの員数勘定を実施するために非立会型の使用済燃料フローモニターを適用した。使用済燃料フローモニターは、「接近困難な」場所にある使用済燃料ブロックの移動を非立会で検認できるようにし、査察業務量を減らせるようにした。設計・製作を工夫し、燃料ブロックの移動経路に沿った狭い空間にうまく組み込んだ。使用済燃料フローモニターは、2組の検出器管,GRANDと呼ばれる電子機器及びコンピュータから構成する。1組の検出器管は2つの電離箱と1つHe-3中性子計数管を収納している。また、2組の検出器管からの信号変化の時間遅れが大きくなるように、検出器管の先端に形状に工夫を加えたタングステン製のコリメータを設置した。IAEAの受入検査を実施し、使用済燃料フローモニターが使用済燃料ブロックを検知するために十分な機能を有していること、信号変化の時間遅れが使用済燃料ブロックの移動方向を決定するために十分であることを示した。使用済燃料フローモニターについては、HTTRの使用済燃料ブロックの員数勘定を実施するために有効であることが確認され、IAEAの保障措置機器として承認された。

35000291
高速二次元ガス中性子検出器用の特定用途向け集積回路(ASIC)の設計
山岸 秀志
JAEA-Technology 2007-004; February 2007,15p.
 大強度陽子加速器における強力パルス中性子ビームの散乱実験用として、ヘリウム-3ガスを中性子有感物質とした高速二次元中性子検出器(マイクロピクセルガスチェンバ、MPGC)システムの開発を進めている。MPGCシステムでは、中性子検出素子上に数100μm間隔のマトリックス状で配置された検出ピクセルから個別に信号が出力されるため、500チャンネル以上の高速極小アナログ信号を並列にリアルタイムで計測処理する必要がある。このような多チャンネルのアナログ信号処理に従来の電子回路モジュールを適用することは、S/Nの低下及び装置が膨大になり構成上不可能である。上記のことから、MPGC信号処理に最適化した特定用途向け集積回路(ASIC)を開発,製作するため、その回路設計と作動シミュレーションを実施し、性能評価を行った。

35000453
NUCEFにおける分析; 平成17年度
深谷 洋行; 青木 博道; 芳賀 孝久; 西沢 英俊; 薗田 暁; 坂爪 克則; 清水 香織; 新妻 泰*; 白橋 浩一; 井上 猛
JAEA-Technology 2007-005; March 2007,27p.
 燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の分析設備では、定常臨界実験装置(STACY),過渡臨界実験装置(TRACY)及び燃料調製設備の運転にあたって、STACY及びTRACYの溶液燃料である硝酸ウラニル溶液に関する分析を実施している。平成17年度は、STACY及びTRACYにおける臨界実験前後の硝酸ウラニル溶液の性状分析,硝酸ウラニル溶液調整のための分析を行うとともに、核燃料物質の計量管理のための硝酸ウラニル溶液の分析も行った。また、MOX燃料溶解液からのウラン(U)/プルトニウム(Pu)の抽出分離試験で発生した抽出廃液の処理にかかわる分析を行った。平成17年度における総分析試料数は、185試料であった。本報告書は、平成17年度に実施した分析等の業務についてまとめたものである。

35000292
HTTR-ISシステムの系統設計のための化学プラントの事故事例研究
本間 洋之; 佐藤 博之; 笠原 清司; 大橋 弘史; 原 輝夫; 加藤 竜馬; 坂場 成昭
JAEA-Technology 2007-006; February 2007,60p.
 化石資源に依存したわれわれの生活は、その化石資源の枯渇や化石資源の大量消費による気候変動や酸性雨などの脅威に晒されている。このため、二酸化炭素のような温暖化ガスの発生がなく、また、環境汚染の心配がない水素が、将来の重要なエネルギー媒体として広く認知されており、近い将来には水素の需要が大きく増大するものと考えられている。大量の水素需要に応えるため、水を原料とした原子力エネルギーによる水素製造、特に高温ガス炉を用いた熱化学法ISプロセスは、ゼロエミッションエネルギー戦略や実用規模への展開において、最も期待できる水素製造法である。しかし、高温ガス炉によるISプロセス水素製造の技術基盤を確立するためには、我が国唯一の高温ガス炉であるHTTRを用いた研究開発が不可欠である。HTTRは、日本原子力研究開発機構(原子力機構)の大洗研究開発センターに建設され、運転試験が行われている。原子力機構では、高温ガス炉によるISプロセス水素製造技術を実証するため、HTTR接続ISプロセス(HTTR-ISシステム)の設計を開始した。HTTR-ISシステムの設計にあたっては、ISプロセスプラントで発生する各種事故に対する予防保全,事後保全などを考慮する必要がある。そこで、ISプロセスプラントに関係する化学プラントでの事故事例を整理し、その結果をもとにISプロセスプラントの系統設計に必要な事故防止対策案を提示した。本報告はそれらについてまとめたものである。

35000454
SPring-8原子力機構軟X線ビームラインBL23SUにおけるノンストップ吸収スペクトル計測システムの導入
福田 義博; 竹田 幸治; 岡根 哲夫; 斎藤 祐児; 小林 啓介*
JAEA-Technology 2007-007; March 2007,23p.
 SPring-8 BL23SUに設置されている軟X線内殻吸収磁気二色性測定装置に「ノンストップ吸収測定システム」を導入した。この測定システムを用いることにより、測定時間を従来の1/10程度に短縮することに成功した。本報告では、その詳細について記述する。

35000455
IFMIF液体リチウムターゲット背面壁の熱構造解析
中村 博雄; 井田 瑞穂; 清水 克祐*; 杉本 昌義
JAEA-Technology 2007-008; March 2007,28p.
 本報告は、平成15年度から17年度に実施した、国際核融合材料照射施設(IFMIF)の液体リチウム(Li)ターゲット背面壁の熱構造解析について取り纏めたものである。IFMIFは、核融合炉材料開発のための、D-Liストリッピング反応による加速器型の高エネルギー中性子照射施設である。液体Li流中で発生した高エネルギー中性子は、ターゲットアセンブリの背面壁と呼ばれる薄い壁を通過して、テストセル内の照射試料を照射する。背面壁は、ステンレス鋼316Lまたは低放射化フェライト鋼F82Hであり、リップシール溶接によりターゲットアセンブリに取り付けられている。背面壁の中心部では、1年あたり50dpaの中性子照射を受け、最大で25W/cm3の核発熱が発生するため、熱構造設計がターゲット設計の重要課題の一つである。熱応力評価には、ABAQUSを用いた。熱応力の許容値は、300℃での非照射材の降伏応力とした。その結果、背面壁がステンレス鋼316Lの場合、背面壁中心部の熱応力は、許容値164MPaを超える。一方、背面壁が低放射化フェライト鋼F82Hの場合、熱応力は289MPaであり、許容値455MPa以下であった。以上の結果、F82Hは背面壁の有力な候補材料である。

35000456
確率論的中空燃料設計手法の開発; BORNFREE-CEPTARコードの開発・整備
小澤 隆之
JAEA-Technology 2007-009; March 2007,18p.
 将来の高速炉実用化のため、高線出力化や高燃焼度化が一つの方策として考えられているが、この際、中空燃料の採用が検討されている。このような中空燃料の設計に対応するため、日本原子力研究開発機構では中空燃料設計コード"CEPTAR"の開発を行ってきている。また、安全性を確保した合理的な燃料設計及び設計裕度の定量的評価のため、確率論的燃料設計コード"BORNFREE"を開発してきた。ここでは、中空燃料を対象とした合理的な設計手法の一環として、BORNFREE-CEPTARコードの開発・整備を行い、確率論的設計手法の開発を行った。本コードを用いた試計算として行った出力上昇時における過出力時燃料溶融確率評価の結果、中空燃料では中実燃料に比べて溶融確率が約2桁小さくなる結果が得られ、中実燃料では出力上昇時間の増加に伴い燃料組織変化の効果で顕著な溶融確率の低下がみられたが、中空燃料では比較的小さい結果が示された。また、中実燃料と同様の溶融確率条件下において、中空燃料では中空径の増加とともに許容線出力が増加する傾向があり、低密度中実燃料に比べて高密度中空燃料では高線出力化が可能となる見通しが得られた。

35000457
Development of MOX fuel database
生澤 佳久; 小澤 隆之
JAEA-Technology 2007-010; March 2007,44p.
 新型転換炉原型炉ふげん及びハルデン炉(HBWR)で実施されたさまざまなMOX照射試験のデータベースを開発した。データベースには、ふげんで照射された燃料集合体(P06, P2R, E03, E06, E07, E08、及びE09)の製造データ,照射データ及び照射後試験データが含まれている。このうちE09燃料集合体はPu富化度約6wt%で、ふげんで照射されたMOX燃料集合体で最も燃焼の進んだものでありペレットピーク燃焼度48GWd/tまで健全に照射された。一方、HBWRではBWR-MOX燃料の定常運転時の挙動評価(IFA-514/565, IFA-529),ATR-MOX燃料の日負荷追従時の挙動評価(IFA-554/555)及び過出力時の挙動評価(IFA-591)の試験が行われた。IFA-565は定常状態で照射され、最高燃焼度約56GW d/tに達している。また、IFA-591は最高線出力58.3-68.4kW/mまで破損することなく照射され、IFA-554/555では出力変動に伴う被覆管・スタック伸び,燃料中心温度,要素内圧などのデータが取得された。データベースには、これらHBWRで照射された燃料の製造データ,照射データ及び照射後試験データ及び炉内計装データも格納している。

35000458
Evaluating and categorizing the reliability of distribution coefficient values in the sorption database
Ochs, M.*; 齋藤 好彦; 北村 暁; 柴田 雅博; 笹本 広; 油井 三和
JAEA-Technology 2007-011; March 2007,342p.
 日本原子力研究開発機構(JAEA)は、高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の第2次取りまとめにおいて、人工バリア及び天然バリアでの遅延能力を評価するうえで重要な放射性核種のベントナイトや岩石への分配係数(Kd)を収着データベース(SDB)として整備した。SDBに登録されているKdは、約20,000件に及んでいる。このような膨大なデータを有するSDBには、さまざまな試験条件で得られたKd及びそれに付随する重要なデータが含まれている。そこで、Th, Pa, U, Np, Pu, Am, Cm, Cs, Ra, Se, Tcのベントナイト固相に対してのKdについて、信頼度のレベル付けを実施した。合計すると、3740件のKd値について、信頼性評価を実施した。

35000459
熱勾配下における円筒形状C/C複合材料の照射クリープ; 03M-47ASキャプセル照射試験中間報告
馬場 信一; 山地 雅俊*; 松井 義典; 石原 正博; 沢 和弘
JAEA-Technology 2007-012; March 2007,142p.
 熱勾配下における円筒形状C/C複合材料の照射クリープを調べるために材料試験炉(JMTR)において照射試験を行った。本報告書は四項目から構成される。第一に、照射試験用キャプセルの設計/照射試験データの解析、第二に円筒形状C/C複合材料供試料の製作に起因する残留応力の照射前測定の結果を記述した。第三に照射後の円筒試料破断時非接触寸法測定手法の検討、最後にVIENUSコードによる熱勾配下照射クリープ評価手法について記述した。

35000460
中空燃料設計コード「CEPTAR」の検証; 常陽Mk-II炉心燃料照射データを用いた検証
生澤 佳久; 小澤 隆之
JAEA-Technology 2007-013; March 2007,38p.
 高速増殖炉もんじゅにおける次期炉心燃料の候補として高密度中実ペレットが検討されている。中空燃料設計コード「CEPTARコード」はおもに高密度中空ペレット燃料を対象に整備検証されており、高密度中実ペレットへの適用性については必ずしも確認されてきていない。本報告書では、高密度中実ペレットを使用している常陽Mk-II炉心燃料照射データを用いて、CEPTARコードの高密度中実ペレットの適用性について検証を行った。検証作業を行うにあたり、以下の物性式をCEPTARコードに組み込んだ。(1)PNC316鋼について新たに報告されている被覆管物性式(スエリング式及びクリープ式)を解析オプションとして追加した。(2)常陽Mk-II炉心燃料のPIE結果より高密度中実ペレットのスエリング式を作成した。新たに組み込んだ被覆管物性式とペレットスエリング式を用いることにより、高密度中実ペレットを用いた常陽Mk-II炉心燃料の挙動を再現することができ、CEPTARコードがピーク燃焼度約76,000MWd/tまでの高密度中実燃料を従来の精度で解析できることを確認できた。

35000461
Operating experiences since rise-to-power test in High Temperature Engineering Test Reactor (HTTR)
栃尾 大輔; 渡辺 周二; 茂木 利広; 河野 修一; 亀山 恭彦; 関田 健司; 川崎 幸三
JAEA-Technology 2007-014; March 2007,62p.
 高温工学試験研究炉(HTTR)では、2000年4月より出力上昇試験を開始した。2001年12月にHTTRの最大熱出力である原子炉熱出力30MW及び原子炉出口冷却材温度850℃を達成した。その後、2004年4月の最後の出力上昇試験において最大熱出力30MW及び原子炉出口冷却材温度950℃を達成した。使用前検査合格証取得後は、高温ガス炉固有の安全性を実証する安全性実証試験を行っている。本報では、出力上昇試験から6年間の運転経験についてまとめている。これらについては、 (1)新型のガス冷却炉設計に関連する運転経験,(2)性能向上のための運転経験,(3)系統や機器の故障等に関する運転経験、の3つに分類してまとめた。

35000462
電磁気検出器の開発; 積層型電磁気プローブのJT-60Uへの適用とその結果(共同研究)
柳生 純一; 笹島 唯之; 三代 康彦; 榊原 悟*; 川俣 陽一
JAEA-Technology 2007-015; March 2007,27p.
 臨界プラズマ試験装置(JT-60U)では、電磁気検出器の信号をもとにプラズマ位置・形状のフィードバック制御を行っている。この電磁気検出器は製作コストが高く、次期装置への利用に対してはコストの低減化が求められている。一方、核融合科学研究所では、3軸方向の磁場成分を同時に計測可能で、軽量・コンパクト、かつ安価な電磁気検出器を開発して、大型ヘリカル装置(LHD)の電磁気計測に使用している。今回、日本原子力研究開発機構と核融合科学研究所との共同研究に基づいて、LHDで使用されている電磁気検出器のトカマク装置での適用の可能性を探るため、JT-60U用に本電磁気検出器の取り合い部を製作し、試験的に第一壁直下に設置した。JT-60実験放電を利用して既設の電磁気検出器との比較検討を行った。出力信号の妥当性やディスラプション時における耐振動性,耐放射線性等について調べた。その結果は良好であり、トカマク装置環境下においても十分に使用できる見通しを得た。

35000463
国際核融合材料照射施設(IFMIF)の高中性子束テストモジュールの検討
宮下 誠; 湯谷 順明*; 杉本 昌義
JAEA-Technology 2007-016; March 2007,62p.
 本報告は、核融合炉材料開発において必要不可決な国際核融合材料照射施設(IFMIF)のテストセル系の高中性子束テストモジュール(HFTM)の構造検討について取り纏めたものである。HFTMはIFMIFの照射場であるテストセルの高中性子束領域において、試料の中性子照射を行うことを目的としている。リグ内の試験片と熱電対配置,制御信号の取り合い及び支持構造を含めた全体の構造を検討した。また、高中性子束領域の制約から矩形断面をしたモジュール胴(圧力容器)の内圧とたわみ量の関係を明らかにし、さらに高精度を要求される照射材料温度制御の温度センサーである熱電対の照射に対する影響を検討した。これらの検討結果をもとに、構造図面を作成した。

35000464
JRR-4低濃縮ウランシリサイド燃料の炉心特性; 初期炉心及び燃焼後
石黒 裕大
JAEA-Technology 2007-017; March 2007,91p.
 研究炉JRR-4(Japan Research Reactor No.4)は、高濃縮ウラン板状燃料を用いた軽水減速・冷却スイミングプール型の研究用原子炉として、1965年から1996年まで運転した。その後、燃料の低濃縮ウランシリサイド化に伴う改造工事を1996年から1998年までの2年間かけて行い、1998年7月14日に初臨界を達成した。その後、1998年10月6日より施設共用運転を実施している。本報告書は、SRACコードを用いてJRR-4低濃縮ウランシリサイド燃料の初期炉心の過剰反応度,制御棒反応度価値,中性子束分布,出力ピーキングファクター及び燃焼後の過剰反応度といった炉心特性を解析し、実験値と比較してSRACコードの検証を行った。また、燃焼後の出力ピーキングファクター等の炉心特性をSRACコードにより解析した。その結果、実験値に対して、初期炉心の過剰反応度は、実験を模擬した解析手法を用いて約1%Δk/kの誤差、出力ピーキングファクターは、約1%の誤差、制御棒反応度価値は、約14%の誤差となった。以上より、SRACコードは、低濃縮ウランシリサイド燃料の初期炉心及び燃焼後の炉心において、精度よく評価できることを確認した。

35000721
研究用原子炉JRR-4を用いた運転実習及び原子炉物理実験
横尾 健司; 堀口 洋徳; 八木 理公; 永冨 英記; 山本 和喜; 笹島 文雄; 大山 光樹; 石黒 裕大; 佐々木 勉; 平根 伸彦; 木村 和也; 新井 信義
JAEA-Technology 2007-018; March 2007,104p.
 JRR-4(Japan Research Reactor No.4)では、旧原子炉研修所における研修の一環として、1969年から原子炉運転実習を開始した。その後徐々に内容を拡充し、現在では原子炉の運転実習,制御棒校正実験,各種特性測定等を実施している。今日に至るまで延べ1700名を超える国内外の原子力技術者養成に貢献してきた。JRR-4はゼロ出力から定格出力である3500kWまで多岐に渡る実験が可能であるため、臨界実験装置で行われる臨界近接,制御棒校正,反応度測定といったゼロ出力近傍での実験に限らず、キセノン効果,温度効果,熱量測定による出力校正といった高出力運転が必要な実験にも対応することができる。本書はJRR-4において実習に用いている要領書を基本に、運転実習及び原子炉物理実験のテキストとしてとりまとめたものである。

35000722
ホットラボの廃止措置; 鉛セル解体・撤去1
野沢 幸男; 高野 利夫; 関野 甫
JAEA-Technology 2007-019; March 2007,23p.
 日本原子力研究開発機構原子力科学研究所(以下、原科研)のホットラボ(RHL)は、原科研の中期廃止措置計画において老朽化による廃止措置対象施設となっている。ホットラボの廃止措置計画では、不用品の解体・撤去,放射性廃棄物の処分,38基の鉛セルの解体・撤去,コンクリートケーブ等の最終汚染除去,不要な特定施設設備の解体・撤去等について部分的・段階的に廃止措置を実施し、使用施設としての設備規模の縮小を計画的に進めることにより合理化を図ることとしている。これまでに鉛セル18基の解体・撤去が完了している。

35000465
プルトニウムとアメリシウムの径方向再分布コードの開発
佐藤 隆彦
JAEA-Technology 2007-020; March 2007,18p.
 高速炉燃料では、照射中における急激な径方向温度勾配による燃料組織変化とともに、Pu, Am等の濃度が中心空孔近傍で上昇する「再分布」挙動が観察される。Puの再分布の機構として、固相内の熱拡散による元素の移動と、気孔が中心部へ向かって移動する際の蒸発凝固機構による移動が考えられている。「常陽」で実施した照射試験結果から、AmについてもPuと同様の機構により再分布するものと考えられるため、PuとAmの再分布挙動は同じ機構に基づくものとして両者の再分布モデルの開発を行った。ここで開発したモデルの検証として、常陽で照射を行ったB型特殊燃料集合体特殊燃料要素のペレット(初期Am含有率0.9wt%)のSXMA測定による試料横断面の元素分布と計算結果の比較を行った。比較の結果、Pu, Am濃度とも今回開発したモデルは実測値とほぼ一致する計算結果を与えることを確認した。

35000466
GTHTR300磁気軸受支持ターボマシンの振動解析,1
黒河内 直浩; 高田 昌二; 稲垣 嘉之
JAEA-Technology 2007-021; March 2007,72p.
 本報では、GTHTR300用ガスタービン発電機を支持する磁気軸受の制御系の設計で使用する回転軸の近似モデル構築に必要な基礎データを取得するため、3次元有限要素解析により、GTHTR300発電機回転軸の振動特性を模擬した1/3スケールモデル磁気軸受開発試験装置による試験データをもとに、回転軸の固有振動数の軸受剛性依存性,軸方向振幅分布,高周波固有振動数を予測する解析モデルの検証を行い、その妥当性を明らかにした。この結果をもとにGTHTR300用ガスタービン発電機回転軸について、固有振動数及び軸方向の振動特性を予測できた。本数値解析結果は、磁気軸受の制御系の設計に必要不可欠である回転軸の近似モデルである「はりモデル」の構築に反映させる計画である。

35000872
HTTR水素製造システム炉外技術開発試験装置の構成と機器仕様(受託研究)
加藤 道雄; 林 光二; 会田 秀樹; 大橋 弘史; 佐藤 博之; 稲葉 良知; 岩月 仁; 高田 昌二; 稲垣 嘉之
JAEA-Technology 2007-022; March 2007,209p.
 炉外技術開発試験装置(以後、炉外試験装置)は、水素製造システムの過渡挙動及び蒸気発生器によるヘリウム温度変動の緩和性能を調べるため、並びに動特性解析コードの検証データの取得を目的として製作されたものである。炉外試験装置は120Nm3/hの水素製造能力を有しており、水素製造法についてはメタンの水蒸気改質法(CH4+H2O=3H2+CO)を用いた。原子炉の代わりの熱源として電気ヒータが設置されており、HTTRと同様に化学反応器の入口で880℃(4MPa)まで昇温することができる。炉外試験装置は2002年の2月に完成し、2002年3月から2004年12月にかけて7回の運転が行われた。本報告書は、炉外試験装置の構成と主仕様について述べたものである。

35000467
JT-60SA用負イオンNBI加熱装置の受熱機器の熱解析予備検討
小又 将夫; 藻垣 和彦; 椛澤 稔; 花田 磨砂也; 池田 佳隆
JAEA-Technology 2007-023; March 2007,41p.
 2014年のファーストプラズマ着火が計画されているJT-60SA用負イオンNBI加熱装置においては、既存JT-60U用負イオンNBI加熱装置を最大限利用し、10MWの重水素ビームを100秒間入射することが要求されている。そこで、約3MWのD0ビームを21秒間入射に成功している既存のJT-60U用負イオンNBI加熱装置の受熱機器の熱解析を行い、さらなる長パルス入射の可能性を調べた。3次元熱解析コード(AMPS)を用いて行った結果、NBIポート内の第4ビームリミタとイオン源内のプラズマ電極及び加速電極以外のすべての既存の受熱機器は、JT-60SA用の10MW, 100秒入射に使用できることがわかった。第4ビーミリミタ及びプラズマ電極に関しては、強制冷却方式を採用する必要がある。また、加速電極(接地電極)に関しては、電極熱負荷を現在の半分程度に低減する必要がある。

35000723
JT-60正イオンNBI加熱装置電源設備の長パルス化改造検討
薄井 勝富; 能登 勝也; 河合 視己人; 大賀 徳道*; 池田 佳隆
JAEA-Technology 2007-024; March 2007,32p.
 JT-60の超伝導化装置であるJT-60SAでは、正イオンNBI装置(以下、P-NBI装置)のビームパルス幅を現行の30秒から100秒に延ばすことが要求されている。P-NBI装置は12ユニットからなり、1ユニットあたりの中性粒子ビーム入射パワーは2.0MW、ビームエネルギーは85keVである。長パルス化においては、既存の短パルス用電源設備を最小限の改造で100秒の長パルス運転を可能とすることが求められている。今回、P-NBI装置の電源設備の100秒化に向けて、保護協調の観点及び主要機器の熱設計を中心に改造箇所の摘出を行った。検討では、2003年に実施した30秒化改造とその後の運転実績をもとに実施した。その結果、加速電源の水冷抵抗器等の一部の容量強化や冷却能力強化により、2MW/ユニット,100秒入射に対応が可能なことが明らかとなった。本報告書は、100秒化に向けての予備検討結果をまとめたものである。

35000468
JT-60SAにおけるNBI加熱装置のビームライン予備設計
藻垣 和彦; 椛澤 稔; 小又 将夫; 河合 視己人; 池田 佳隆; 大槻 信一*; 佐藤 藤雄*
JAEA-Technology 2007-025; March 2007,37p.
 JT-60SA用NBI加熱装置のビームラインの予備検討として、P-NBIとJT-60SAクライオスタッドの取合い検討,NBI機器の磁気シールドの追加検討,N-NBIビームライン水平入射位置の下げ変更検討及び既存NBI機器の解体検討を3次元CADを用いて行った。JT-60SAでは真空容器とNBI機器との間にクライオスタッドが入るため、NBIドリフト部を短くする必要があるが、高速シャッタの撤去及びFRP材の変換フランジの新規製作により、ドリフト全長をJT-60SAの要求に合わせることが可能であることを示した。JT-60SAでの漏洩磁場対策に対しては、機器の位置的な干渉調査から、磁気飽和を回避できる厚み30mmの磁気シールド板を中性化セル外装周りに追加可能なことを明らかとした。N-NBIビームラインの水平位置変更(600m下げ)に関しては、イオン源タンクのベース変更,カロリメータの上部移設,中性化セル部支持柱の新規製作で可能との見通しを得た。さらに既存NBI設備の撤去に関して、作業を効率的に行うための最小限の解体範囲及び解体手順を明らかとした。

35000469
JT-60SAにおけるP-NBI加熱装置の制御システム(100秒化)の予備設計検討
本田 敦; 岡野 文範; 篠崎 信一; 大島 克己; 沼澤 呈*; 池田 佳隆
JAEA-Technology 2007-026; March 2007,19p.
 国際熱核融合実験炉(ITER)のサテライトトカマク及びトカマク国内重点化装置として、JT-60U本体を超伝導トカマク装置に改造するJT-60SA(JT-60 Super Advanced)計画が進められている。JT-60SA化における主加熱装置である正イオンNBI加熱装置(P-NBI)は、既存の入射パルスを30秒から100秒に伸長し、12ユニットで24MWの中性粒子ビーム入射が求められる。このためには、製作から20年以上経過した現行の大型制御システム(デジタル:約4000点)を全面的に改造する必要がある。新制御システムの予備設計を、拡張性,コストパフォーマンスに加え、プログラムの自主開発の視点から行った。この結果、大型システムにおいてもPLC(Programmable Logic Controller)を主要機器に用いたユニット単位制御方式の導入により、現行制御機能を確保しつつ拡張性を有する100秒化制御システムを汎用品の組合せで構築できることが明らかとなった。

35000470
JT-60U負イオン源加速部の高電圧印加時の発光現象と耐電圧特性
菊池 勝美; 秋野 昇; 花田 磨砂也; 池田 佳隆; 鎌田 正輝; 河合 視己人; 藻垣 和彦; 能登 勝也; 薄井 勝富
JAEA-Technology 2007-027; March 2007,17p.
 JT-60負イオン源の長パルス化及び高出力化を図るうえで問題となっている500keV加速部の耐電圧性能について調べた。設計加速電圧500kVに対してビーム加速を伴わない(無負荷)場合、最大455kVであった。この低い耐電圧性能の原因を調べるために、電圧印加時に負イオン源の内部(真空側)で発生する光の強度を光電子増倍管で測定した結果、耐電圧と真空側の光強度との間に強い相関関係があることがわかった。さらに分光器で光の波長を測定した結果、光の波長は420nmのピークを中心とした広い領域に分布した。この際、水素,炭素等のガス放電で発生する輝線スペクトルは観察されなかったことから、発光は負イオン源の絶縁管で使用しているFRPへの電子衝突が起因していると類推できる。この結果に加えて、時間応答性の高い高速データ収集系で内部発光及び外部の球ギャップスイッチ放電光の発生タイミングを詳細に測定した結果、内部で放電破壊が発生すると球ギャップが放電破壊を起こすこと、一度球ギャップが動作すると高電圧の再印加時に、設定破壊電圧より低い電圧で球ギャップが絶縁破壊を起こし、耐電圧を制限してしまうことがわかった。

35000471
NSRRにおけるカプセル装荷装置B型の設計・製作(受託研究)
村松 靖之; 大河原 正美; 鈴木 寿之; 柴田 功; 更田 豊志
JAEA-Technology 2007-028; March 2007,47p.
 原子炉安全性研究炉NSRR(Nuclear Safety Research Reactor)では、燃料等安全高度化対策の一環として、高燃焼度酸化ウラン燃料及びプルトニウム-ウラン混合酸化物燃料(MOX燃料)を用いた照射実験を行う。この照射実験を行う際に照射カプセルの移動及び炉心への装荷にカプセル装荷装置を使用するが、既存の装荷装置では高燃焼MOXには対応できないため、中性子遮へい能力を強化し、さらに新型の高圧水カプセルにも対応したカプセル装荷装置B型を設計・製作した。

35000724
燃料集合体の発熱評価試験
須藤 真也; 中林 弘樹; 八尾 薫*
JAEA-Technology 2007-029; March 2007,73p.
 高速増殖原型炉「もんじゅ」の使用済燃料集合体をレーザ解体する過程において、最も効果的な冷却システムの基礎データを得るために、模擬燃料集合体を用いて冷却試験を実施した。その結果、以下のことがわかった。(1)レーザ解体前(ラッパ管切断なし)では、ハンドリングヘッド側からの冷却で20m3/h以上の風量で十分冷却可能である。(2)レーザ解体が始まる(ラッパ管が切断される)と、発熱容量1kW以上では、ハンドリングヘッド側からの送風では冷却できない。(3)レーザ解体中は側面からの冷却が必要となる。これらの試験結果から、冷却システムの基礎データを得ることができた。しかし、レーザ解体中の側面からの冷却において、側面冷却ノズルの形状,吹き付け角度、及びノズル出口での流速等を十分検討する必要がある。

35000472
JRR-3における中性子反射率計の開発
山崎 大; 盛合 敦; 田村 格良; 丸山 龍治; 海老澤 徹*; 武田 全康; 曽山 和彦
JAEA-Technology 2007-030; March 2007,21p.
 JRR-3において新しい中性子反射率計SUIRENの開発,建設を行い、平成18年度より施設共用を開始した。SUIRENは、波長3.8Å の単色中性子を利用した、試料垂直配置の反射率計である。測定対象としては、形態として固体試料のほか固液界面試料が、膜構造としてはソフトマテリアル薄膜,磁性人工格子,中性子ミラーなどをはじめ、多様な試料が考えられる。ビーム強度は、角度分散Δθ=0.08degにコリメートしたあと、試料位置で2.1×104〜2.6×104カウント/s/cm2程度である。また、バックグラウンドは4.5×10-3カウント/sであった。テスト測定の例として、3インチφのシリコン基板の反射率測定では、約27時間かけて10-6までの反射率が測定できることを実証した。また、偏極反射率測定モードについても実用化に向け、すでにテスト測定をはじめている。本報告では、この中性子反射率計SUIRENの開発について概説する。

35000473
照射鋼材の破壊靱性試験の高度化技術開発
柴田 晃; 高田 文樹
JAEA-Technology 2007-031; March 2007,24p.
 破壊靱性は、鋼材の脆性及び延性破壊に対する抵抗を現す最も重要な材料物性とされ、線形,非線形破壊力学評価上極めて重要な指標である。JMTRホットラボでは、圧力容器鋼やオーステナイト系ステンレス鋼材などに対する破壊靱性試験にかかわるデータ取得のニーズに応えて、照射済材料の破壊靱性試験を実施してきた。しかしながら、ホットラボセル内に従来から設置されていた破壊靱性試験装置では取得データから破壊靱性値を解析するプログラムが旧式となり機能せず、利用者に対して荷重-変位の生データのみを提出していた。近年、利用者から破壊靱性値の解析のニーズが高まり、そこで、利用者への便宜を図るため、最新の基準であるASTM E1820-01に基づき、除荷弾性コンプライアンス法を用いて当該試験装置により出力されたデータより、コンプライアンス,き裂進展量,破壊靱性値を求める解析プログラムを開発し、ホットセル内に設置した試験装置を用いた放射済試験片に対する破壊靱性試験の高度化を達成した。この技術開発により、破壊靱性値解析の要求に応えることができるようになり、照射化試験片の破壊靱性値をユーザーに提供することが可能となった。

35001141
Singular point analysis during rail deployment into vacuum vessel for ITER blanket maintenance
角舘 聡; 柴沼 清
JAEA-Technology 2007-032; May 2007,18p.
 ITERブランケット遠隔保守では真空容器内の高いγ線(〜0.5kGy/hr)のために遠隔保守ロボット(保守ロボット)による保守が要求される。そのため、真空容器内のブランケット保守に適用する保守ロボットとしてビークル・マニピュレータシステムが開発された。本システムの主要な技術課題は駆動源がない8リンク構成の多関節軌道をドーナツ型真空容器内へ展開する軌道展開技術である。この技術課題を解決するために駆動源を関節部に有しない多関節軌道(リンク)の機構学的な解析モデルを提案した。提案した解析モデルは軌道展開時の軌道姿勢に関する特性方程式であり、特性方程式の微分関係式であるヤコビアンJ'の行列式det=J'を解析的に求めた結果、軌道展開時に多関軌道の姿勢が特定できずに制御が困難となる特異姿勢(特異点)の存在を明らかにした。この特異姿勢を回避するための具体的な方策として、新たな軌道展開シナリオを提案し、本提案シナリオを実規模装置に適用することによって軌道関節部に駆動源を持たない多関節軌道の軌道展開に関する成立性を確認した。

35000474
中性子核変換ドーピングSi半導体(NTD-Si)製造用JRR-3高性能シリコン照射装置の概念設計
広瀬 彰; 和田 茂; 楠 剛
JAEA-Technology 2007-033; March 2007,87p.
 中性子核変換ドーピングSi半導体(NTD-Si)は高性能のパワーデバイスとしての高品位特性を有し、最近のハイブリッド車の増産に伴い需要が増大している。この需要増大に対応するため、中性子照射に適した日本原子力研究開発機構の研究炉(JRR-3, JRR-4, JMTR)を用いたNTD-Si増産の技術的課題に対する対策を進めている。その有効な対策の一つとしてJRR-3均一照射設備を利用した高性能シリコン照射装置の概念設計を行った。JRR-3の均一照射設備は、Siインゴット全体に対し均一に中性子照射を行うためSiインゴットを軸方向に上下反転して2度照射する方式が採用されており、反転作業を手作業で行っているため、シリコン照射装置内で許容線量率を下回るまで待つ必要があり、48時間以上の待機後に反転作業を行っている。照射設備の運転稼働率を高めSi生産量の増量を図るためには、待機時間を少なくすること及び手作業による操作工程を少なくする全自動化装置の製作を行うことが有効である。本報告書は、JRR-3均一照射設備として使用する高性能シリコン照射装置の概念設計に関するものである。

35000989
遠隔実験対応型JT-60マンマシン・インターフェイスシステムの開発
戸塚 俊之
JAEA-Technology 2007-034; May 2007,41p.
 国内重点化装置となったJT-60の実験運転に、所外からネットワーク経由でJT-60へ実験参加ができる環境を構築することを目的に、JT-60の放電条件作成・参照や運転状態の把握,結果データの参照等、マン・マシン・インターフェイスを計算機依存のないJava言語を用いて開発した。その開発における技術的工夫やシステムに具備された機能について報告する。

35001142
大量ナトリウムの安定化処理に関する技術開発; ナトリウム転換基礎装置の開発
松本 寿之; 吉田 英一; 鈴木 重哲*; 安 智久*
JAEA-Technology 2007-035; March 2007,35p.
 将来国内において、ナトリウムを冷却材とした高速プラントや放射性ナトリウムの試験施設の解体,廃止措置時に伴い発生する放射性ナトリウムを処分する必要が生じている。しかしながら、直接放射性廃棄物としての処分方法は、既存の技術では確立していない。このため、経済性や安全性等を考慮して、ナトリウムを化学的に安定な物質に転換した後に処分する方法が考えられる。そこで、ナトリウム転換基礎試験装置の改良を図りながら、水酸化ナトリウム濃度45〜50wt%,水酸化ナトリウム温度100℃の水溶液中に、ナトリウムを注入速度10kg/hで注入して水酸化ナトリウム転換する基礎的な試験運転を実施した。その結果、注入されたナトリウムは水酸化ナトリウム水溶液中ですべて反応し、排ガス,水酸化ナトリウム温度,濃度等すべて制御することができ、本装置のシステムが妥当であることを検証した。また、水酸化ナトリウム水溶液中にナトリウムを注入する際にノズルが頻繁に閉塞するため、その原因を抽出し排除するためのノズルの検討,ノズル特性評価の方法及び手順を設定した。

35001288
JT-60Uにおける炭素製先端部を用いたLHアンテナのパワー入射実績
石井 和宏; 関 正美; 篠崎 信一; 長谷川 浩一; 平内 慎一; 鈴木 貞明; 佐藤 文明; 森山 伸一; 横倉 賢治
JAEA-Technology 2007-036; July 2007,30p.
 JT-60UのLHアンテナは、効率的に高周波(RF)をプラズマへ入力するために、プラズマと近い位置に設置され、常にプラズマと相互作用している。そのため、ステンレス鋼製のLHアンテナ先端の開口部は、プラズマからの過大な熱負荷による損傷やRF放電による損傷が発生し、問題となっていた。その対策としてLHアンテナ先端部に耐熱性に優れた炭素製グリルを取付けることにより、先端部の損傷を軽減できる耐熱化LHアンテナを開発し、プラズマへのパワー入射実験を世界で初めて行った。炭素製グリルからの放出ガスによるRF放電が懸念されたので、初期のRFコンディショニングは慎重に行い、十分な脱ガスを実施した。その結果、RF電力として16MJの入射エネルギーの達成に成功した。また、電流駆動用LHアンテナとして要求される、十分に高いプラズマ電流駆動性能(約1.6×1019A/W/m2)を持つことを実証した。

35001143
スクリュー式ペレット生成器を用いたペレット入射装置の開発; 高周波数長時間連続ペレットのためのペレット生成機構の改良と試験結果
市毛 尚志; 本田 正男; 佐々木 駿一; 竹永 秀信; 松沢 行洋; 芳賀 三郎; 石毛 洋一
JAEA-Technology 2007-037; July 2007,16p.
 臨界プラズマ試験装置(JT-60U)では、密度制御性の向上及び2003年度から開始した長時間放電(≤65秒)に対応するため、ペレット入射装置の高周波数化・長時間化を進めた。従来の装置では、ピストン式ペレット生成器のペレット押し出し速度と容量により、それぞれ入射周波数と入射時間が制限されていた。そこで、高速でペレットの連続生成が可能であり、ほかの核融合実験装置で運転実績のあるスクリュー式ペレット生成器(ロシア製)を既存のペレット入射装置に適用,設置した。改造作業の効率等の観点からペレット入射装置本体の一部をJT-60本体室から移設した後、スクリュー式への交換を行いペレット棒の連続生成試験を実施した。燃料に重水素ガスを使用した試験の結果、JT-60Uで使用するのに十分なスクリュー式ペレット生成器の連続生成機能(330秒以上)を確認した。

35001289
高減容処理施設の建設整備及び運転管理について
樋口 秀和; 大杉 武史; 中塩 信行; 門馬 利行; 藤平 俊夫; 石川 譲二; 伊勢田 浩克; 満田 幹之; 石原 圭輔; 須藤 智之; 矢野 政昭; 加藤 貢; 入江 博文; 横田 顕; 高橋 賢次; 牧野 正博; 市野沢 義一; 染谷 計多; 小澤 一茂; 黒澤 重信; 邉見 光
JAEA-Technology 2007-038-01
JAEA-Technology 2007-038-02
JAEA-Technology 2007-038-03
JAEA-Technology 2007-038-04
JAEA-Technology 2007-038-05
; July 2007,189p.
 高減容処理施設は、放射性廃棄物の廃棄体を作製する目的で日本原子力研究開発機構原子力科学研究所(旧日本原子力研究所東海研究所)に建設された施設である。施設は、大型金属廃棄物の解体・分別及び廃棄体等の保管廃棄を行う解体分別保管棟と溶融処理等の減容・安定化処理を行って廃棄体を作製する減容処理棟からなる。減容処理棟には、金属溶融炉,プラズマ溶融炉,焼却炉,高圧圧縮装置といった減容・安定化処理を行うための設備が設置されている。本報告では、施設建設の基本方針,施設の構成,各設備の機器仕様と2006年3月までに行った試運転の状況などについてまとめた。

35001290
JT-60データ処理設備UNIX化改良
坂田 信也; 清野 公広; 大島 貴幸; 佐藤 稔; 小関 隆久
JAEA-Technology 2007-039; July 2007,27p.
 JT-60データ処理設備は、複数の計算機群より3階層を成し構成され、第一階層に大型汎用計算機であるショット間処理計算機,第二階層に階層間のインターフェイス装置となるマイクロコンピュータ,ミニコンピュータ,第三階層にCAMACシステム,VMEシステムから構成される各種計測装置が設置される。しかし、システムの老朽化に伴い、システムを保持,管理していくことが困難になりつつあった等の理由から、近年の情報科学技術を利用したUNIX系計算機中心の水平分散型システム構築を1993年以降、段階的に実施し、2005年10月、最終段階となるMSP-ISPの機能分散化改造を終え、新システムによる運用を開始した。 本報告では、MSP-ISPの持つ機能をUNIX系計算機上に分散化した水平分散型システム構築に伴う機能の開発,改造について報告する。

35001144
HTTR-ISシステムにより製造された水素の精製に関する検討
笠原 清司; 久保 真治; 佐藤 博之; 坂場 成昭
JAEA-Technology 2007-040; July 2007,31p.
 高温工学試験研究炉(HTTR)と接続した熱化学的水素製造ISプロセスを想定して、生成水素,酸素の精製法の検討,評価を行った。分離膜法,圧力変動吸着(PSA)法,深冷分離法について現状の研究,開発を検討し、HTTR-ISシステムへの適用性を評価した。水素については、実績があり、成立性,健全性,信頼性などの面において現時点で最も優れていると考えられるPSA法が最も有効であった。併せて、分離膜法,PSA法による水素精製システムの概要を示した。

35001291
熱化学水素製造法ISプロセスのための硫酸分解器の試作試験
野口 弘喜; 大田 裕之*; 寺田 敦彦; 久保 真治; 小貫 薫; 日野 竜太郎
JAEA-Technology 2007-041; July 2007,34p.
 水を原料として、二酸化炭素を排出することなく水素を製造するISプロセスでは、高温高圧下で腐食性の強い酸を取り扱うため、耐熱性,耐食性に優れた材料を用い、商用化を見据えた大型の反応装置の開発が必須の課題であった。中でも、ヘリウムガスの熱を用いて、300℃から500℃の高温下で、濃硫酸を蒸発・分解する硫酸分解器は、一般硫酸工業での使用条件(100℃程度)を大幅に超えた過酷な条件で使用される熱交換型化学反応器である。この環境に適用できる材料として、これまでの腐食試験等から、SiCセラミックスだけが使用可能であることがわかっていたが、商用で必要となる大きなSiCセラミックス体は製作できないため、熱交換型化学反応器の大型化技術に関しては未解決であった。そこで、複雑な管群式熱交換構造ではなく、SiCの高い熱伝導率を活かして、円筒型SiCブロックに複数の熱交換流路穴を設け、これを1ユニットとして、直列・並列に接続することで大型化を図る新しい熱交換器の概念を構築した。本書は当該概念の成立性を確認する目的で行った硫酸分解器構造のSiCセラミック伝熱ブロックの設計と硫酸分解器主要構造部の試作の詳細について報告するものである。

35001292
東海再処理施設から大気放出された14Cの米への移行; モニタリングデータと簡易モデリングアプローチ
小嵐 淳; 藤田 博喜; 小沼 利光*; 三上 智; 秋山 聖光; 武石 稔
JAEA-Technology 2007-042; July 2007,32p.
 炭素14(14C)は使用済燃料の再処理に伴って再処理施設から大気中へ放出される主要な核種の一つであり、公衆の線量評価の観点から重要な核種である。1991年から2001年の10年間に渡り東海再処理施設からの14C放出量及びその周辺環境において得られた大気中14CO2濃度,米中14C濃度のモニタリングデータを整理し、その考察を行った。東海再処理施設から放出された14Cの大気拡散及び米への取り込みに関して、14C放出源情報及び気象データを入力データとして用いた簡単なモデル計算を行い、施設周辺3地点の大気中CO214C濃度及び3地点から収穫された米中の14C濃度を予測した。モデル計算結果は、観測結果の14C濃度レベル及びその変動傾向とよく一致し、14Cの環境中や植物への取込みにおける複雑な移行過程を省略した簡単なモデリングアプローチが原子力施設から定常的に大気中へ放出される14Cの環境影響評価に適用できる可能性が示された。

35001562
熱化学水素製造法ISプロセス用SO3分解器の開発; SiCプレート型SO3分解器の基本設計及びSO3分解触媒の試験結果
金川 昭宏; 今井 良行; 寺田 敦彦; 小貫 薫; 日野 竜太郎
JAEA-Technology 2007-043; September 2007,54p.
 熱化学法ISプロセスは高温ガス炉からの核熱を熱源として使用することで、二酸化炭素を排出することなく大量の水素を効率的に製造可能である。三酸化硫黄(SO3)分解器はISプロセスの主要な機器の一つであり、高温のHeガスを用いて最高850℃の温度条件で、硫酸蒸気をSO3に分解後、触媒で酸素と二酸化硫黄(SO2)に分解する。SO3分解器の晒される極めて腐食性の強いSO3とSO2ガス環境において、SiCセラミクスが極めて良い耐食性を示すが、商用プラントで要求される大型のSiC構造物を製作するのは、現状技術では極めて困難である。本報告では、このSO3分解器について、SiCセラミクス製のプレート型熱交換器構造を提案し、その熱・機械特性の解析評価結果を示す。大型化は、熱交換ユニットを直列に接続することで容易に達成することができる。この概念の製作性を検証するために、モックアップモデル(構造要素試作体)を試作し、同時に大型化における組立て時の課題を明らかにした。また、SO3分解器に用いる触媒充填層の仕様を明確にするために、並行して実施した触媒反応試験の結果を報告する。

35001145
JT-60U NBI加熱装置における長パルス運転時の電源保護検出システムの開発
大島 克己; 岡野 文範; 本田 敦; 篠崎 信一; 薄井 勝富; 能登 勝也; 河合 視己人; 池田 佳隆
JAEA-Technology 2007-044; June 2007,27p.
 JT-60U用正イオン中性粒子入射加熱装置(P-NBI)の長パルス運転時に電源設備が許容通電電力値を超えないようにする電源保護検出システムを開発した。このシステムでは対象とする電源機器においてリアルタイムで実通電電力量(I2t及びV2t)を監視し、許容値を超過した時に通電を遮断し、電源機器を保護する。第1期としては、5ユニットに対して1台のPLCで計測・演算するシステムを構築し、2003年以来、有効に機能している。一方、2006年、第2期として、8ユニットに対してユニットごとにパッケージ型PLCを用いることで、監視サイクルタイムの大幅な短縮とともに、ユニット増加に対して容易に拡張が可能なシステムを構築した。さらにSCADA(Supervisory Control and Data Acquisition; 監視制御ソフトの総称)を用いてシステムの状態監視ができる監視画面を採用し、性能と使いやすさを向上させた。本報告書は、JT-60U P-NBIにおける長パルス化運転に向けた電源保護検出システムの設計及び主な機能についてまとめたものである。

35001293
誘電体を利用した透過型大電力用ミリ波電力測定装置の開発
横倉 賢治; 森山 伸一; 長谷川 浩一; 鈴木 貞明; 平内 慎一; 石井 和宏*; 佐藤 文明
JAEA-Technology 2007-045; July 2007,22p.
 大電力用ミリ波電力測定装置は、主伝送路の導波管内を伝搬する高周波を直接誘電体に透過させ、誘電体で損失する高周波エネルギーから透過電力を算出する新しい発想の高周波計器であり、高次モードや偏波の変化に計測値が鈍感な特徴を持つ。また、検出素子を適切に選択することで、kW〜MW級の広範囲の電力測定に柔軟に対応することができる。本報告では、大電力ミリ波による高周波損失が極めて小さい材料を検出素子として選択し、その発熱特性と耐電力性能を評価した結果について記述する。これらの検討結果をもとに、JT-60U, JT-60SA電子サイクロトロン加熱装置への実用化に向けたプロトタイプ電力測定装置の設計と製作を実施したので報告する。

35001563
保守データを活用した研究用原子炉(JRR-3)の保守管理方法の検討
出雲 寛互; 加藤 友章; 木名瀬 政美; 鳥居 義也; 村山 洋二
JAEA-Technology 2007-046; July 2007,23p.
 JRR-3は、安全上重要な設備に対しては、主として予防保全である「時間計画保全」を中心に保守管理を行い、安全上重要でない設備機器に対しては「事後保全」を行うことにより、改造後約15年にわたり安全安定に原子炉運転を行ってきた。しかし、最近になって事後保全で管理していた設備の経年変化に起因していると考えられるトラブルにより原子炉の計画外停止の事例が増加してきた。一方、設備の保守対応に必要な資源(人・予算)の確保が年々厳しくなってきている。このような状況を踏まえ、JRR-3では安全性・信頼性を確保しつつ、経済性を考慮した合理的な保守管理を実施するため、過去の保守データを有効活用することにより、現状の保守方法を見直しているところである。本報告書では、保守見直しにおける方法を示すとともに、今後のJRR-3の保守管理における方針を述べる。

35001442
HTTRにおけるガス圧縮機のシールオイル漏れにかかわる改善
小山 直*; 濱本 真平; 金城 紀幸*; 根本 隆弘; 関田 健司; 磯崎 実; 江森 恒一; 伊藤 芳輝*; 山本 秀雄*; 太田 幸丸; 水島 俊彦
JAEA-Technology 2007-047; August 2007,40p.
 日本原子力研究開発機構が所有する高温工学試験研究炉(HTTR)の原子炉補助施設に設置しているガス圧縮機は、一般的な往復圧縮機を採用しているが、冷却材漏洩防止等の観点から複雑なロッドシール機構を有している。これまでの運転結果より、ガス圧縮機のロッドシール機構は、シールオイル漏れを頻発しており、長期連続運転における信頼性に問題があった。調査の結果、シールオイル漏れの原因は、おもにシール材の限界摺動特性を超えた範囲で使用したため、シール材リップが摩耗・変形し、シール機能が維持できないことにあった。そこで、代替シール材の選定,工場試験装置を用いた耐久性評価試験,実機を用いた実証試験を通して、長期連続運転に耐え得るシール材の見通しを得た。

35001443
IFMIF液体リチウムターゲット背面壁の熱構造解析,2
千田 輝夫; 井田 瑞穂; 中村 博雄; 佐藤 徹*; 杉本 昌義
JAEA-Technology 2007-048; August 2007,40p.
 本報告は、平成18年度に実施した、国際核融合材料照射施設(IFMIF)液体リチウム(Li)ターゲット背面壁の熱構造解析について取りまとめたものである。IFMIFは、核融合炉材料開発のための、D-Liストリッピング反応による加速器型の高エネルギー中性子照射施設である。背面壁の中心部では、1年あたり50dpaの中性子照射を受け、最大で25W/cm3の核発熱が発生するため、熱構造設計がターゲット設計の重要課題の一つである。従来のモデルは背面壁のみのモデルであったが、より現実的な構造で解析を行うため、ターゲットアセンブリの一部を含んだモデルを今回適用した。解析を行った背面壁の形状は、背面壁の初期検討形状にアセンブリ本体の一部を追加した基本案,基本案の背面壁厚さを薄く極力均一化した構造変更案1、及び変更案1のリップシール部に応力緩和構造を追加した構造変更案2の3つである。解析検討の結果、構造変更案2で背面壁中心部の熱応力は146MPaでF82Hの許容値(455MPa: 300℃での降伏応力)以下となり、最大応力発生部は応力緩和構造の内側が286MPaでSUS316Lの許容値(328MPa: 300℃での3Sm値)以下となった。以上の結果から、ターゲット背面壁の熱構造設計の方向性の見通しを得た。

35001444
JT-60の運転実績
清宮 宗孝; JT-60実験運転チーム
JAEA-Technology 2007-049; August 2007,54p.
 JT-60は、1985年4月8日にファーストプラズマを着火させて実験運転を開始した。その後、1987年の下側ダイバータ改造,1989-91年の大電流化改造,1997年のW型ダイバータ改造,2002年の長パルス化改造といった大改造や多くの中小改造を実施してきた。今日まで22年間の運転を実施し、世界の核融合研究を先導する大型トカマク装置として評価され、今なお研究成果を創出し続けている。本報告書は、この1985年度以降2006年度までの間に臨界プラズマ試験装置JT-60で実施された活動の記録を、運転をキーワードとして集約・整理した総合的記録集である。特に稼働率やトラブル等については改造などのイベントとともに述べるとともに、初めてのできごとと格闘することが避けられないJT-60において実施してきた人身安全・装置安全の下での実験運転の推進手法についても触れた。

35001445
JRR-3シリサイド燃料炉心に関する反応度管理及び燃焼度管理
加藤 友章; 荒木 正明; 出雲 寛互; 木名瀬 政美; 鳥居 義也; 村山 洋二
JAEA-Technology 2007-050; August 2007,39p.
 JRR-3におけるアルミナイド燃料からシリサイド燃料への変更では、ウラン密度を2.2[g/cm3]から4.8[g/cm3]へ増大させた。このウラン密度増大により生じた過剰反応度の増加を抑制するために、可燃性吸収体を採用した。可燃性吸収体の燃焼は、反応度変化に大きく影響を及ぼすため、その燃焼のメカニズムを考察し、実際の原子炉運転に及ぼす影響を解明した。また、過去の運転データを精査し、サイクル初期に確保すべき過剰反応度及び原子炉計画外停止後の再起動可能時間を算出した。シリサイド燃料への変更では、燃料の最高燃焼度を50%から60%へ増大させ、燃料交換手法を6バッチ分散型方式から燃焼度管理方式へ変更した。本方式による燃料交換計画立案では、原子炉運転による燃焼度増加幅の予測が必要となるため、過去の運転データを精査し、燃焼度増加幅の予測手法を確立した。最後に、燃料有効利用を実現するための新たな燃料交換手法として、燃料装荷位置ごとに「使用済燃料とする燃焼度」を設定する手法の提案を行った。本手法を採用することにより、燃料の炉心滞在期間を約2%増大させることが可能であることがわかった。

35001564
JMTRにおける核加熱率の評価
長尾 美春; 佐藤 政四; 新見 素二
JAEA-Technology 2007-051; September 2007,73p.
 原子炉内の中性子及びγ線が混在する照射場におけるモンテカルロ法によるγ線評価手法に対して、臨界実験装置JMTRCによるγ加熱率実験,新たに開発した核加熱率測定用キャプセルによる材料試験炉JMTRにおける核加熱率の測定結果のベンチマークの結果、JMTR炉心の核加熱率解析に適用できることがわかった。本解析手法によりJMTR炉心に対する核加熱率分布を評価するとともに、核加熱率データマップを作成した。このデータマップの値は、核加熱率測定用キャプセルの照射試験結果に対しては-27から+35%の範囲であり、JMTR改修後において、これまで以上に精緻な温度制御を行う照射キャプセルの熱設計に十分利用できる。

35001446
JRR-3プロセス計装設備(安全保護系)のループ精度
池亀 吉則; 大内 諭; 諏訪 昌幸; 井坂 浩二; 後藤 真悟; 村山 洋二
JAEA-Technology 2007-052; August 2007,47p.
 原子炉の安全安定運転を維持するためには、プロセス計装設備により、冷却材などの状態量を正確に計測・指示させる必要がある。そのため、保守・整備及び設備の更新において、計装系の総合精度から、適正な基準を定め、プロセス計装設備の計器校正を行っている。本報告書は、JRR-3プロセス計装設備のうち、安全保護系を校正する機器の精度及び計装系のループ精度を整理し、取りまとめたものである。これにより、JRR-3のプロセス計装設備の保守管理がより一層効率的で客観性を有するものとなる。

35001447
JT-60U ECH装置出力変調技術の開発
寺門 正之; 下野 貢; 澤畠 正之; 篠崎 信一; 五十嵐 浩一; 佐藤 文明; 和田 健次; 関 正美; 森山 伸一
JAEA-Technology 2007-053; September 2007,28p.
 臨界プラズマ試験装置(JT-60U)では、プラズマの熱伝導率を測定し閉じ込め性能を調べるため、電子サイクロトロン加熱(ECH)装置の高周波出力を数十Hzから数百Hz程度に変調し、プラズマ中へパルス的に入射している。JT-60UのECH装置の高周波出力変調は、高周波源であるジャイロトロンのアノード電圧を制御することによりジャイロトロンの主電源である特高電力を遮断することなく出力を変調させるもので、変調周波数が12.2Hz〜500Hzにおいて変調度が約80%の出力変調運転を行っている。しかし、今後予定されているJT-60 Super Advanced (JT-60SA)計画において、電磁流体力学(MHD)的不安定性である新古典的テアリングモード(NTM)を抑制するための手法として、その周波数に合わせて変調入射する必要性が生ずる。そこで、ジャイロトロンの高周波出力を数kHz程度に変調する技術の検証を行った結果、周波数3.5kHzで変調度が84%の発振変調に成功した。実用レベルのパルス幅としては、3.0kHzまでの発振変調が可能である。次のステップとして、アノード分圧器基板の素子をより高速なものと交換して、さらに変調周波数を上げる試験を計画している。

35001565
熱化学水素製造法ISプロセスのための硫酸流動機器健全性試験装置の試験運転(受託研究)
野口 弘喜; 大田 裕之*; 寺田 敦彦; 久保 真治; 小貫 薫; 日野 竜太郎
JAEA-Technology 2007-054; September 2007,31p.
 日本原子力研究開発機構では、高温ガス炉を熱源として水素を製造する技術の確立を目指して、熱化学法ISプロセスの研究開発を進めている。ISプロセスではプロセス流体の一つとして腐食性の強い硫酸を使用する。計画中の工業材料で製作するパイロット試験装置を成立させるため、硫酸分解器の設計に不可欠な硫酸の伝熱流動特性の把握及び付帯するポンプ,配管及び計装の適用性の確認を行うため、硫酸流動・機器健全性試験装置(SFTL)を製作した。SFTLは2.5L/minの硫酸沸騰伝熱試験ループ及び20L/minの高温硫酸機器試験ループから構成される。本報では、製作した硫酸流動・機器健全性試験装置の概要と試験運転結果について報告する。

35001652
JT-60U用LHRFアンテナ保護装置の改良
鈴木 貞明; 関 正美; 篠崎 信一; 佐藤 文明; 平内 慎一; 石井 和宏*; 長谷川 浩一; 森山 伸一
JAEA-Technology 2007-055; September 2007,27p.
 JT-60U高周波加熱装置の一つである低域混成波(LHRF)加熱装置では、過大なプラズマからの熱負荷によるダメージを避けるために、アンテナ先端部に炭素製グリルを取り付けた新たな取り組みでプラズマ実験が行われている。しかし、プラズマ実験後の観察では、一部に放電痕が見つかったために、アーク検出器及び可視画像検出の高性能化による保護インターロックの強化に取り組んだ。アーク検出器では、光検出の応答速度及び分解能を高めるために増幅回路の改良を行った。また、可視画像検出では、PC画像処理を導入しプラズマによる発光と放電光を区別してon-off制御する機能を新たに追加した。本報告書は、LHRF加熱装置における保護インターロックシステムの改良についてまとめたものである。

35001566
高温工学試験研究炉(HTTR)における強制冷却喪失試験の検討(受託研究)
中川 繁昭; 高松 邦吉; 栃尾 大輔; 稲葉 良知; 後藤 実
JAEA-Technology 2007-056; September 2007,51p.
 高温工学試験研究炉(HTTR)において、高温ガス炉の優れた固有の安全性を実証するために安全性実証試験として計画されている循環機3台停止試験は、1次冷却材であるヘリウムガスを循環させている循環機を停止して原子炉の強制冷却を喪失させるものである。同様に炉容器冷却設備停止試験は、強制冷却の喪失に引き続き、原子炉圧力容器の外側から炉心の残留熱を除去する炉容器冷却設備を停止するものである。試験時及び試験時に想定される異常事象時の原子炉の挙動を解析し、試験がHTTRの通常運転の範囲内で安全に実施できること、及び、万一、異常事象が発生しても原子炉施設の安全が確保されることを確認した。

35001567
原子力施設の廃止措置費用評価手法の検討
白石 邦生; 立花 光夫; 石神 努; 富居 博行
JAEA-Technology 2007-057; September 2007,46p.
 各種原子力施設の特徴を整理し、廃止措置費用の概略を短時間で効率的に計算できる評価手法を作成した。本評価手法は、費用評価項目ごとに原子力施設の機器・構造物の重量等に応じた換算係数を用いて廃止措置費用を評価する。評価に必要な換算係数は、旧日本原子力研究所(以下「原研」という)で実施したJPDR等の解体実績及び旧核燃料サイクル開発機構(以下「JNC」という)の再処理工場等で実施した改造工事等の経験をもとに作成した。本報告では、各種原子力施設の廃止措置計画を合理的に進めるために原研とJNCの統合前に作成した原子力施設の廃止措置費用評価手法について換算係数の見直しを行い、新たな廃止措置費用評価手法として整備した。

35001653
プルトニウムの岩石に対する収着データ; 還元環境,硝酸塩存在下におけるプルトニウムの凝灰岩に対する収着試験結果
須黒 寿康; 西川 義朗*; 小室 崇*; 加川 昭夫; 柏崎 博; 山田 一夫
JAEA-Technology 2007-058; November 2007,20p.
 TRU廃棄物処分の安全評価上不可欠なプルトニウム(Pu)の凝灰岩に対する収着データを取得するための試験を実施した。試験は、処分環境が還元的であり、廃棄物に相当量の硝酸塩が含まれることを考慮し、極低酸素濃度(O2≤1ppm),還元条件(還元剤:亜ジチオン酸ナトリウム)で硝酸ナトリウム濃度を変数(0〜0.5M)として凝灰岩(栃木県産大谷石)に対するバッチ式収着試験を行った。その結果、液固比0.1m3kg-1の場合のKd値は約0.2〜0.7m3kg-1、同様に液固比1m3kg-1の場合のKd値は約1〜7m3kg-1となった。しかし、ほとんどの試料が試験後の溶液中のαスペクトル分析において分析装置の検出下限値以下(10-13mol/dm3オーダー以下)であった。これは、本試験において液相に飽和水酸化カルシウム溶液を使用したため、炭酸カルシウム塩とPuが共沈したことにより、溶液中のPuの溶解度が制限されたものと推察した。

35001654
HTTR用広領域中性子検出器の長寿命化に向けた研究(共同研究)
齋藤 賢司; 関田 健司; 川崎 幸三; 山本 一彦*; 松浦 真*
JAEA-Technology 2007-059; November 2007,36p.
 高温工学試験研究炉(High Temperature Engineering Test Reactor: HTTR)の広領域中性子検出器は、通常運転時450℃,事故時550℃の高温環境下で使用される。広領域中性子検出器を高温環境下で長時間使用する場合、電離ガスに含まれる窒素が電極材料に吸着されることにより減少し、中性子検出器の特性が劣化することが考えられる。このため、窒素吸着試験を実施し、高温環境下で電極材料に吸着される窒素量を明らかにした。また、試作検出器を使った性能評価試験を実施し、高温雰囲気において窒素吸着に伴う中性子検出器の特性劣化が生じないことを確認した。本報告書は、HTTR用広領域中性子検出器の長寿命化に関する検討結果をまとめたものである。その結果、HTTRの広領域中性子検出器は、通常運転時450℃の高温環境下において、5年間使用可能であることを確認した。

36000005
熱化学水素製造法ISプロセス用高温継手の開発; 皿バネ締結機構の機能評価試験及びガスケット候補材のシール性評価試験結果
金川 昭宏*; 岩月 仁; 石倉 修一; 小貫 薫; 日野 竜太郎
JAEA-Technology 2007-060; November 2007,31p.
 熱化学法ISプロセスは、地球温暖化ガスである二酸化炭素を排出することなく大量の水素を効率的に製造することが可能であり、高温ガス炉からの核熱を熱源として使用する。ISプロセスは強酸である硫酸やヨウ化水素酸を高温高圧下で使用する。このため、耐熱性に加えて耐腐食性の材料で大型化学反応器の開発が必須である。特に、ISプロセスの主要機器であるSO3分解器は、高温高圧のヘリウム(He)ガス用の圧力容器とHeガス加熱によるSO3分解のための内部構造物から構成され、内部構造物の接続部は最高700℃にまで達する。そこで、高温条件までシール性能が確保できるようにSiCボルトと皿バネを用いた高温継手機構を考案し、その有効性確認試験、及び候補となるガスケットのシール性能試験を実施した。その結果、適切なガスケット材を組合せることにより、高温時でもシール性は維持できることを確認した。

36000006
パーベーパレーション法のISプロセスへの適用性評価(共同研究)
金川 昭宏*; 岩月 仁; 田中 伸幸; 小貫 薫; 福井 裕*; 西林 俊樹*
JAEA-Technology 2007-061; December 2007,32p.
 熱化学水素製造法ISプロセスにとって、ヨウ素を含むヨウ化水素酸(HIx溶液)からヨウ化水素を分離する方法の開発は重要な技術課題である。パーベーパレーション(PV)によるHIx溶液濃縮について、ISプロセスパイロットプラント試験装置への適用性評価の観点から、プロセス熱物質収支,水素製造量30m3/h規模の装置概念、及び膜モジュールの耐食性を検討し、以下の知見を得た。PV法は、相変化のない電解電気透析法に比べ、水蒸発を伴うため熱効率は劣るものの、体積あたり大きな膜面積の得られる中空糸が利用できること及び電極が不要であることから、コンパクトな機器構成が実現できる。当該PVに利用可能なNafion中空糸を組み込んだ膜モジュールが市販されており、構成材の大部分は100℃のHIx溶液に耐えるが、中空糸のバンドル材は耐食性を示さず耐食材料の選定が必要である。

36000264
Detail design of microfission chamber for fusion power diagnostic on ITER
石川 正男; 近藤 貴; 早川 敦郎*; 西谷 健夫; 草間 義紀
JAEA-Technology 2007-062; December 2007,57p.
 我が国が調達する予定のマイクロフィッションチェンバー(MFC)は、ITERにおける全中性子発生量及び核融合出力の時間分解測定を行うものである。これまで、低出力運転用のMFC(測定範囲:1kW-100kWの核融合出力)の設計・開発を高出力運転用のMFC(同100kW-1GW)とともに行ってきた。これらの検出器を組合せることで、ITERで目標とされている計測要求をほぼ満たすことができる。MFCは真空容器内に取り付けられるため、信号出力・電力供給用の二重同軸MIケーブルも真空容器上に敷設する必要がある。今回は、MIケーブルの真空容器内における敷設ルートの設計を行った。MIケーブルには14.6気圧のArガスが封入されているが、Arガスの真空容器内へのリークを防ぐために、敷設に際してはMIケーブルを外管で包む二重配管を提案した。さらに、核発熱によるMIケーブルの到達最高温度の検討を行った。その結果、熱伝導を確保するために、MIケーブルと外管の間に300mmごとに7mm幅の銅フランジを入れることにより、MIケーブルの最高温度は、核分裂炉での使用温度である400℃よりも低い、340℃以下に抑えられることがわかった。

36000007
水蒸気改質処理法による模擬TBP/n-ドデカン及びフッ素系油の処理試験
曽根 智之; 野中 一晴; 佐々木 紀樹; 山口 大美
JAEA-Technology 2007-063; January 2008,42p.
 二次廃棄物が多量に発生する等の理由により焼却処理が適さない有機系廃棄物(リン酸トリブチル廃溶媒,フッ素油を含む廃油等)の処理技術として、水蒸気改質処理法の開発を実施している。本試験では、模擬廃溶媒(TBP/n-ドデカン混合物)及び模擬廃油(フッ素油/鉱物油混合物)に対する実証規模水蒸気改質処理試験装置の処理性能の確認及び運転条件の最適化等を行った。試験の結果、次の成果が得られた。(1)水蒸気改質処理による模擬廃溶媒及び模擬廃油のガス化率は98wt%以上であった。また、二次廃棄物として回収された残渣は十分に無機化されていた。(2)模擬廃油の処理において、放射性物質除去用フィルタの閉塞が確認されたが、水蒸気供給量を1.5kg/hから3.0kg/hに増加させることで閉塞の原因となっている無機炭素が生成しにくくなり、フィルタの閉塞を抑制できることが明らかになった。(3)模擬廃溶媒の処理において、ガス化プロセスにおける加熱温度を600〜650℃に設定することでTBPの分解で生成したリン酸の大部分が蒸発した。この条件で廃溶媒を処理することにより放射性二次廃棄物になる残渣の発生量低減の可能性が示された。

36000144
Design study of the optical system in the port plug for edge Thomson scattering diagnostics for ITER
梶田 信; 波多江 仰紀; 勝沼 淳*; 草間 義紀
JAEA-Technology 2007-064; January 2008,60p.
 ITER周辺トムソン散乱計測装置において、ポートプラグに設置する光学系の設計研究を行った。設計に際しては、核融合反応により発生する中性子やγ線など、放射線によって使用可能な光学部品が制限される。プラズマ近傍の先端部光学系では金属ミラーのみ使用可能であり、光学ファイバーは先端部光学系から距離を離して設置される真空窓の外でのみ使用可能となる。本設計研究においては、先端部光学系に三枚の金属ミラーを用い、その後リレー光学系でポート外部へとイメージを伝送する構成とした。ファイバー結合光学系においては、反射方式や屈折方式では十分な性能を得ることができないことが明らかになった。色収差を補正し、かつファイバーの結合特性を向上させるために、反射方式と屈折方式の利点を合わせたカタディオプトリック方式を用いた二つの光学系を設計し、両者のスペックと性能の比較を行った。スポットダイアグラムなどの結果から、カタディオプトリック方式の光学系における結像性能を議論する。

36000265
放射性雑固体廃棄物から製作される溶融固化体の標準試料作製; α線放出核種を含有する溶融固化体標準試料(共同研究)
石森 健一郎; 大木 恵一; 高泉 宏英; 亀尾 裕; 大木 善之*; 中島 幹雄
JAEA-Technology 2007-065; January 2008,20p.
 日本原子力研究開発機構原子力科学研究所内で発生する非金属の低レベル放射性雑固体廃棄物から作られる溶融固化体を放射化学分析する際に必要となる標準試料を作製するため、溶融固化体を模擬した標準試料の調製法を検討した。模擬雑固体廃棄物を想定して非放射性のコンクリートとFeOの混合粉末を使用してるつぼへの充填条件及び昇温条件を変えて溶融試験を行い、溶湯がるつぼから溢れない最適な条件を決定した。また混合粉末に安定同位体トレーサーとしてCsを添加して1600℃の電気炉で溶融試験を行ったところ、溶融固化体の塩基度を低くすることで揮発しやすいCsも固化体中に残存することがわかった。以上の検討で得られた最適な溶融条件で溶融することで、α線放出核種237Np, 241Am, 244Cmを含有する溶融固化体標準試料を作製できた。放射能分析により決定した各核種の放射能濃度は237Npは0.188±0.001Bq/g、241Amは0.368±0.004Bq/g、244Cmは0.402±0.01Bq/gであった。

36000466
HTTR加圧水冷却設備の窒素ガス滞留防止対策
古澤 孝之; 七種 明雄; 濱本 真平; 根本 隆弘; 篠原 正憲; 磯崎 実
JAEA-Technology 2007-066; January 2008,38p.
 HTTRの出力上昇試験のうち、平成12年4月から行った原子炉出力10MWまでの出力上昇試験(1)において、原子炉で発生した熱を大気に放散する加圧水空気冷却器でガス滞留が発生し、この状況では加圧水空気冷却器の除熱性能が低下するため、全出力(30MW)の際に除熱ができない可能性があることがわかった。このため、模擬加圧水加圧器で試験を行い、加圧水空気冷却器にガスが滞留する原因を調査した。原因としては加圧水冷却設備の圧力を調整する窒素ガスと加圧水が接する加圧水加圧器内部において、加圧水が波立ち窒素ガスが巻き込まれるために、加圧水への窒素ガスの溶解が想定よりも速いことを明らかにした。そこで、加圧水空気冷却器でのガス滞留発生の原因となるこれらを抑制するため加圧水加圧器の内部に多孔板,混合防止板等を追加設置した。その結果、その後の出力上昇試験及び定格運転において加圧水空気冷却器で窒素ガス滞留の発生は認められなかった。したがって、多孔板,混合防止板等の追加設置は、加圧水空気冷却器における窒素ガス滞留の防止に有効であった。本報は、模擬加圧水加圧器を用いた試験の結果、加圧水加圧器の内部構造物の改造についてまとめたものである。

36000266
核熱解析による固体増殖水冷却方式テストブランケットモジュールのトリチウム増殖比に関する検討
関 洋治; 谷川 尚; 鶴 大悟; 榎枝 幹男; 秋場 真人; 江里 幸一郎; 丹澤 貞光; 西 宏; 廣瀬 貴規; 本間 隆; 毛利 憲介; 横山 堅二
JAEA-Technology 2007-067
JAEA-Technology 2007-067(errata)
; January 2008,34p.
 本報告は、ITERでの試験を予定している固体増殖水冷却方式のテストブランケットモジュール(TBM)について、トリチウム増殖比(TBR)に注目しつつ、層の厚さと配置を最適化するために実施した一次元核熱計算の成果をまとめたものである。今回検討を行ったTBMには、箱構造体の内部にトリチウム増殖材(Li2TiO3),中性子増倍材(Be)の微小球が層状に充填されている。増殖・増倍材の健全性が維持される最高温度以下でTBRの増加を目指し、増殖・増倍材の層の厚さを最適化した。本研究によって得られた代表的な知見を以下に示す。(1)「充填層の多層構造においても、体積比R=V(Be)/V(Li2TiO3) = 4 〜 5にTBRの最大値が存在する。」(2)「増殖材層の背面にSingle Packingの増倍材層を2層配置することで、TBRのピーク付近であるR=4 〜 5が可能である。」本成果は、6Li濃縮度,増倍材の充填率,増殖・増倍材層の厚さに対して、TBRを系統的にまとめたことにある。これらの結果は、TBRの見積りに貢献する一つのデータベースであり、原型炉を見据えたTBM設計の研究開発に資するものである。

36000267
高圧六フッ化硫黄ガス(SF6)中で使用するリレーのためのスクリーニング試験
沓掛 健一; 松田 誠; 花島 進; 小原 建治郎*
JAEA-Technology 2007-068; January 2008,52p.
 原子力科学研究所タンデム加速器の高電圧端子内の計測・制御装置は0.5MPaのSF6ガス下で運転される。本試験はこれらの装置に大電流を投入・遮断するためのリレーとして大気仕様リレーの中から高圧SF6ガス中で使用可能なリレーを選ぶことを目的に実施した。高圧SF6ガス中で使用するリレーに必要なことは接点切り替り時の火花放電に耐えること及び高圧に耐えることである。試験に供したリレーは、機械式リレー(EMR),マグネットコンタクタ(MAG),半導体リレー(SSR),ハイブリッドリレー(HYB)の4種類である。測定項目はリレーの温度,試験前後の外観変化である。また走査型電子顕微鏡及びエックス線分析装置による接点表面観察と元素分析も行い接点不安定性の原因を推定した。EMRとMAGの場合、操作コイルへの入力が正常であるにもかかわらずSF6の分解ガスと周辺金属材料との反応に起因する硫化物あるいはフッ化物により接点障害が生じた。一方SSRとHYBは大気仕様であるにもかかわらず安定動作を示し、0.5MPaのSF6環境下でも使用できることがわかった。

36000467
NUCEFにおける分析; 平成18年度
坂爪 克則; 青木 博道; 芳賀 孝久; 深谷 洋行; 薗田 暁; 清水 香織; 新妻 泰*; 伊藤 光雄; 井上 猛
JAEA-Technology 2007-069; February 2008,44p.
 燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の分析設備では、定常臨界実験装置(STACY),過渡臨界実験装置(TRACY)及び燃料調製設備の運転にあたって、STACY及びTRACYの溶液燃料である硝酸ウラニル溶液に関する分析を実施している。平成18年度は、STACY及びTRACYにおける臨界実験前後の硝酸ウラニル溶液の性状分析,硝酸ウラニル溶液調整のための分析を行うとともに、核燃料物質の計量管理のための硝酸ウラニル溶液の分析も行った。平成18年度における総分析試料数は、254試料であった。本報告書は、平成18年度に実施した分析等の業務についてまとめたものである。

36000468
日負荷追従運転時におけるMOX燃料のFPガス放出挙動; FASTGRASSコードによるIFA-554/555試験評価
生澤 佳久; 小澤 隆之
JAEA-Technology 2007-070; March 2008,27p.
 日本原子力研究開発機構におけるATR-MOX燃料開発の一環として、ハルデン炉(HBWR)においてIFA-554/555日負荷追従試験を実施した。IFA-554/555は燃料要素内圧測定計装,燃料中心温度測定計装,燃料スタック伸び測定計装及び被覆管伸び測定計装を装備した照射リグであり、日負荷追従運転時の照射挙動の解明を目的とした試験である。原子力発電の日負荷追従運転は経済性向上に有用なオプションの一つであるが、このような運転下では、短期間での出力変動に起因する機械的,熱的な照射条件が変化することになる。本報告書では、IFA-554/555日負荷追従試験時の出力変動による燃料要素内圧上昇に着目し、日負荷追従運転がMOX燃料からのFPガス放出挙動に及ぼす影響について検討を行った。過渡時FPガス放出挙動の評価が可能なFASTGRASSコードを用いた解析評価の結果、日負荷追従運転時には、温度が高くなる燃料ペレット中心部で燃料ペレット内結晶粒界に残留しているFPガスが、燃料ペレットの温度や内部応力の変化によって放出されるが、結晶粒界に残留しているFPガス量が一定量まで低下すると、FPガスが放出しなくなることがわかった。また、日負荷追従運転により定格運転時のFPガス放出量が減少するため、全照射期間を通じたFPガス放出率は日負荷追従運転による影響をほとんど受けないことがわかった。

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