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北海道北部地域の断層に関する研究(V)

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柳田 誠*

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本調査は貯蔵工学センター候補地周辺の地質層序を確立し、構造運動を把握し、断層活動性の評価手法に関する研究を進めるために実施したものである。調査地域の新生界は新第三紀中新世から更新世中期にいたる堆積岩からなり、下位より宗谷層,増幌層,稚内層,声問層主部相,声問層上部相,勇知層,更別層に区分できる。さらにこれらを覆って、更新世中期$$sim$$完新世の恵北層,段丘堆積層などが分布する。本調査では下沼丘陵を中心とした地区について、岩相区分に基づく2.5万分の1地質図を作成すると同時に微化石分析,放射性年代測定などを行った。下沼丘陵には更別層と勇知層が広く分布し、両者は大規模な指交関係にある。その下位には声問層上部相が狭い範囲で露出する。ここの声問層上部相には火山灰層(704‐4)が挟在し、その年代は2.6+-0.1Maである。下沼丘陵の西縁は南北方向をもち、サロベツ原野との大きな地形境界をなし、その標高差は100$$sim$$150mである。活断層研究会(1991)はここに西へ傾く活傾動を図示している。空中写真判読では丘陵西縁に沿って5度C以下の緩い斜面が分布するが、明瞭な地形面の傾動は認められない。唯一、豊富町の新生ではM段丘が広く分布し、その標高は丘陵中央部で40mから西端で15m程度にまで低下する。なお、豊富町新生のM段丘については地表踏査は実施していない。地表地質踏査の結果では更別層と勇知層は最大で18度で西傾斜するが、顕著な断層や 曲は認められない。丘陵の中心部に背斜構造があり、丘陵西縁に向斜構造がある。しかし、石油探査資料などを参考にした地質調査結果からは、向斜部に伏在断層が示され、勇知層の下部まで切断している。断層自体の変位量は小さいが、背斜軸から向斜軸までの間の落差は声問層上部相基底面を基準にして約800mである。声問層上部相基底面は不整合面であり、珪藻分析からその年代は約240万年前と推定される。したがって、この伏在断層の平均変位速度は単純計算すれば約0.3mm/年となる。この伏在断層の第四紀後期における活動は不明である。今後はサロベツ原野の沈降量や沈降時期なども併せて、バイブロサイス調査、ボーリング調査などによって下沼丘陵の西縁の調査を進めることが考えられる。

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