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TBP製品に含まれる微量不純物成分に関する調査

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宮内 裕*

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経験的にPurex抽出サイクルの除染能力は,系内の溶媒性能により大きく変化することが古くより判っている。それは新溶媒についても言えることで,98.5%以上の純度を持つTBP工業製品でもメーカーによる差が見られた。この報告はその原因を組成面と物性面から解明すべく行なった研究の内容である。▲動燃事業団殿より提供された3種の工業製品TBP-A,B,Cの比較検討した。基礎物性はこの三者の間で顕著な差がない。ウラン濃厚溶液との振とう後のO/W又はW/O滴の破壊時間はB,A,Cの順に長くなる。DBPはA,B,Cの順に多く(最大150ppm)なる。リン酸ジブチル=イソブチル(DNBIB)と同定された不純物はAとBでほぼ等量の0.2%,Cはその倍量である。Cには更にリン酸ジブチル=1-メチルブチル(DNB2P)の0.8%と分子量354のリン酸エステル系と考えられる200ppm程度の不明成分(ピーク4)が検出される。同定不可能な微小成分はなお若干存在する。DNBIB,DNB2Pおよびピーク4のモデル化合物としてのリン酸トリス(2-エチルヘキシル)(T2EH)につき,それぞれ単独の,2水準のTBPとの調合溶液を作り,上記A,B,Cと合せ9種類の試料のウラニル・イオン移動速度係数とルテニウム分配係数を測定した。不純物の影響は抽出速度係数と抽出・逆抽出分配係数のいずれに対してもDNBIBは増大方向に働き,残りの二者は減少させる。DNB2PよりもT2EHのほうが効果は大きい。以上によりA,B,Cの示す抽出性,逆抽出性が定性的には理解できる。なおDNBIBとDNB2Pの標品は市販品がなかったので,我々で合成した。最後に,結果のさしあたっての品質管理に対する応用方法と,今後のつめに関する方針についてまとめた。

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