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アクチニド系化合物における分子軌道法に関する研究(3)

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巽 和行*

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本研究は,拡張ヒュッケル法を用いてアクチニド錯体の化学状態を理論的に把握することを目的とする。核燃料リサイクルの基礎研究において,積極的に理論化学および計算化学の手法を導入する試みに挑戦することが重要で,原子力基盤技術としての理論計算化学を構築することが不可欠である。この観点に立ち,平成6年度はアクチニドおよび密接に関連したランタニドの拡張ヒュッケル用計算パラメーターの決定を行なった。引き続き平成7年度には代表的なアクチニド化合物の電子状態計算を行ない,結合の性質と反応性に関する理論解析に成功した。本年度はランタニド錯体を主にとりあげ,その電子状態を拡張ヒュッケル法で計算するとともに,関連アクチニド錯体の電子状態と比較した。さらにこの結果を利用して,溶液中に共存するランタニドイオンとウラニルイオンとの分離を試みた。分子軌道計算を行なったランタニド錯体はサマロセンとその誘導体で,ランタニドと種々の炭素供与型配位子および窒素分子との相互作用を調べた。その結果,Cp2Smが異常に屈曲した幾何構造をとる電子的原因が明らかになった。また,配位子との結合が主にランタニドの5d,6s,6p軌道によって形成されることを見いだした。結合に対するランタニド4f軌道の関与は対応するアクチニド5f軌道に比べてずっと小さい。さらに,サマリウムとアルキル配位子,アルカン,アルケン,アルキン,窒素分子などとの共有結合的相互作用は弱く,一般にランタニド配位子結合のイオン性がアクチニド錯体よりも高いことを示した。配位子とランタニドおよびアクチニドとのイオン結合性の違いを念頭において,溶液中に共存するランタニド(III)硝酸塩とウラニルイオン(2+)硝酸塩との分離実験を行なった。分離用多座N供与性配位子をデザインし,ビタミンB1から安価に合成できる新規ピリミジン環状6量体を合成した。この配位子を用いると,La(III)とウラニルが高効率に分離できることが明らかになった。Ce(III),Pr(III),Nd(III)でもウラニルと効率良く分離されるが,Gd(III)や重ランタニドでは分離能が悪くなる。

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