ニアフィールド岩盤の長期安定性評価手法に関する研究
Investigation on Evaluation Methods for Long-Term Stability of Near-Field Rock Mass
大久保 誠介*
Okubo, Seisuke*
ニアフィールド岩盤の長期安定性評価手法の信頼性向上を目指した研究を実施した.拘束圧下でのクリープ挙動の評価を試みた(第2章)。これまで,幌延地域で採取された岩石試料を用いたクリープ試験は,ある程度実施されてきたがその数は限られている。本研究では,幌延の原位置試験が実施されると考えられる付近で採取されたボーリングコアを用い,三軸圧縮応力下における強度試験,クリープ試験を実施した。その際,これまでの研究で不明な点が多い,ポアソン比の測定には格別の注意を払った。得られた結果にもとづいて,コンプライアンス可変型モデル定数の取得と,破壊基準について検討した。幌延硬質頁岩の強度回復特性について検討した(第3章)。著者が以前におこなった実験では,一旦破壊した岩石でも,適切な応力条件下では強度が回復した.本研究では,幌延の原位置試験予定地付近で採取されたボーリングコアを用いた室内試験を実施し,強度回復特性に関する基礎データを取得した.その結果,幌延地区で得られた岩石試料は,従来の結果(例えば田下凝灰岩)とほぼ同程度の強度回復特性を示すことがわかった。強度回復特性は,長期にわたる地下構造物の安定性にとって極めて重要であり,原位置試験を含む本格的な検討を早期に実施する必要があることを指摘した.人工物の調査や原位置試験による岩盤の長期挙動評価方法について述べた(第4章)。本研究では,ナチュラルアナログ的な手法によって岩盤の長期挙動を推し量るとともに,コンプライアンス可変型構成方程式を利用した検討も実施した.検討事項のうち,特に重要なのは地圧の利用と考える.コンプライアンス可変型構成方程式を用いた検討もおこなったところ,中国北京周辺岩盤の地圧(応力緩和)をある程度説明することができた。今後のさらなる検討が必要であることがいうまでもないが,興味深い結果が得られたと考えている。
This study was conducted to increase the reliability of evaluation methods for assessing the long-term stability of near-field rock mass. In chapter 2, triaxial creep results were given. In chapter 3, strength recovery of Horonobe mudstone was researched.Evaluation methods by investigation of old underground structures and in-situ test were stated in chapter 4.