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分散強化型フェライト鋼の強度特性評価,5

Character evaluation of strength in dispersion strengthened ferritic steel, 5

吉田 冬樹*; 中島 英治*

Yoshida, Fuyuki*; Nakashima, Hideharu*

将来の高速炉炉心材料として有望視されている酸化物分散強化型(Oxide Dispersion Strengthened ; ODS)フェライト鋼は、フェライト母相中に微細に分散したY$$_{2}$$O$$_{3}$$粒子の分散強化により優れた高温強度を有する材料である。分散強化合金は、金属母相中に微細に分散した第二相粒子が転位の移動を妨げることにより強度の上昇を図るものであり、特に第二相粒子として酸化物を用いた場合は、酸化物粒子が高温でも安定であることから高温強度の改善に優れている。この高温での強化機構については、運動する転位と粒子の相互作用の形態からオローワン機構(斥力型相互作用)とスロロビッツ機構(引力型相互作用)が考えられており、引力型相互作用のなかで、粒子と母相との界面で転位の応力場が完全に緩和される場合は、そのときの強度上昇はボイド強化応力に等しくなると考えられている。ODSフェライト鋼は優れた高温強度を有するが、一方、製造した被覆管では強度の異方性が大きく内圧強度が低いという問題がある。この問題解決の方策の一つとして、相変態(マルテンサイト変態)を利用して組織制御を行い、結晶粒形状の等軸化を図ることが考えられる。そこで本研究では、このマルテンサイト変態を利用したODSフェライト鋼(以下、ODSマルテンサイト鋼)の高温変形挙動と分散強化機構を明らかにするために、600$$^{circ}$$C$$sim$$700$$^{circ}$$Cの温度範囲、2$$times$$10$$^{-5}$$$$sim$$2$$times$$10$$^{-3}$$s$$^{-1}$$のひずみ速度範囲で高温圧縮試験と応力瞬間負荷試験を行った。また、転位の粒子からの離脱過程の活性化エネルギーを理論的に求め、しきい応力に温度依存性が生じる可能性を検討した。得られた結果を以下に示す。1)Y$$_{2}$$O$$_{3}$$粒子を有するODSマルテンサイト鋼のひずみ速度の応力指数は22$$sim$$35であった。また、得られた変形の活性化エネルギーは742kJ/molであった。この変形挙動は、Y$$_{2}$$O$$_{3}$$粒子を有するODSフェライト鋼の変形挙動に類似している。2)分散パラメータにより算出したオローワン応力とボイド強化応力は応力瞬間負荷試験法より求めたしきい応力に一致した。したがって、ODSマルテンサイト鋼の分散強化機 構はスロロビッツ機構であると考えられる。3)粒子から転位が離脱するのに必要なエネルギーは熱振動のエネルギーに比べ非常に大きかった。したがって、しきい応力にはほとんど温度依存性がないと結論される。

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