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非干渉性中性子非弾性散乱によるタンパク質ダイナミクスの水和効果

Effect of hydration on protein dynamics studied by incoherent neutron inelastic scattering

中川 洋   ; 城地 保昌*; 北尾 彰朗*; 柴田 薫  ; 郷 信広; 片岡 幹雄

Nakagawa, Hiroshi; Jochi, Yasumasa*; Kitao, Akio*; Shibata, Kaoru; Go, Nobuhiro; Kataoka, Mikio

タンパク質のボソンピークや動力学転移の水和効果を中性子非弾性散乱により調べた。極低温では3$$sim$$4meVにボソンピークが観測され、ピーク位置は水和により高エネルギー側へシフトすることがわかった。ボソンピーク近傍のスペクトルが示すタンパク質の低振動モードは調和振動的であり、ピークのシフトからそのばね定数は水和量が多いほど大きくなると言える。これは水素結合を介した水和水とタンパク質の相互作用によってタンパク質の低振動モードのエネルギー地形がより凸凹になったことに起因し、このことはシミュレーションからの理論的な予測(Y.Joti et al.,2005)と一致する。一方、水和量が約0.2(g water/g protein)以上で240K付近において動力学転移が観測された。なぜ動力学転移が水和依存的に生じるのかを調べるために、中性子散乱の同位体効果を利用して水和水のダイナミクスを直接観測した。その結果、転移温度以下の低温では水和量に関係なくタンパク質と水分子の揺らぎの大きさはほぼ同じであった。また転移が生じない低い水和量の場合では転移温度以上でもやはりタンパク質とほぼ同じであった。一方、動力学転移が生じる時には同時に水和水の揺らぎが大きくなっていることが明らかになった。高い水和量で生じるタンパク質表面の水分子の特異的なダイナミクスが、タンパク質と水分子の界面に存在する水素結合ネットワークを介してタンパク質の振動モードと相互作用し、その結果動力学転移が生じると考えている。

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