深部地下水中における酸化還元反応及び地球化学反応

Redox and geochemical reactions in deep groundwater

井岡 聖一郎

Ioka, Seiichiro

本発表は、広島大学からの講演依頼によるものであり、2005年地球惑星合同大会,2005年秋季地下水学会、そして2006年秋季地下水学会で著者が発表を行ったものをまとめたものである。地下水の酸化還元状態の長期安定性を評価するためには、天然バリアの酸化還元状態,それにかかわる主要プロセス,処分場建設による擾乱に対してどのような応答を示すのかを理解することが重要である。そこで、本研究では瑞浪超深地層研究所用地内で、地下水の酸化還元状態,それにかかわる主要プロセス、そして地球化学的擾乱により地下水の地球化学特性に与える影響について調査研究を実施した。その結果、(1)岩盤地下水中の酸化還元状態は難透水層の存在に影響される場合がある。(2)岩盤中の地球化学的擾乱時の物質移行を評価するためには、地下水の酸化還元状態とともに錯体形成に関与し得る陰イオン、特に重要な働きをする炭酸種の存在を把握する必要がある。(3)地下深部の礫岩層中では、硫酸還元緩衝能力が持続しない場合があることなどを提示することができた。

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