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エラスターゼ及び薬物候補化合物複合体の中性子構造解析

Neutron structural analysis of the complex of elastase with lead compound to drug

玉田 太郎; 木下 誉富*; 多田 俊治*; 栗原 和男; 大原 高志   ; 黒木 良太

Tamada, Taro; Kinoshita, Takayoshi*; Tada, Toshiji*; Kurihara, Kazuo; Ohara, Takashi; Kuroki, Ryota

エラスターゼは、古くから構造情報を基盤とした創薬手法いわゆるStructure-Based Drug Design (SBDD)研究が盛んに行われているセリンプロテアーゼである。したがってエラスターゼの活性部位に存在する触媒基の解離状態を調べることは、SBDDによる創薬に重要な知見を与えると考えられる。そこで、エラスターゼの活性部位の詳細な構造を水素原子の情報を含めて詳細に明らかにするために、中性子構造解析を実施した。結晶化試料はブタ由来のエラスターゼを用い、薬物候補化合物との複合体結晶を作成した。取得した結晶はマクロシーディング法を繰り返すことにより3mm$$^{3}$$程度まで成長させた後に回折実験に供した。中性子回折実験は日本原子力研究開発機構の研究用原子炉(JRR3)にある中性子回折計(BIX3)で行い、重水溶液に浸漬させた結晶を用いて室温で実施した。1.75$AA $分解能で${it R}$ $$_{merge}$$=9.5%, completeness=92%の回折データを収集した。得られた核密度から、全原子の半分に相当する約1,700個の水素及び重水素原子を同定し、活性残基であるヒスチジン残基(His45)のプロトン化の状態が明らかになった。

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