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エラスターゼ及び薬物候補化合物複合体の中性子構造解析

Neutron structural analysis of the complex of elastase with lead compound to drug

玉田 太郎; 木下 誉富*; 大原 高志   ; 栗原 和男; 多田 俊治*; 黒木 良太

Tamada, Taro; Kinoshita, Takayoshi*; Ohara, Takashi; Kurihara, Kazuo; Tada, Toshiji*; Kuroki, Ryota

エラスターゼは、立体構造情報を基盤とした創薬手法いわゆるStructure-Based Drug Design(SBDD)研究の代表的な題材として用いられてきたセリンプロテアーゼである。エラスターゼの活性部位に存在する触媒基の状態や阻害剤との相互作用を詳細に解析することは、SBDDにおいて有用な知見を与えると考えられる。そこで、エラスターゼと阻害剤複合体の中性子構造解析を実施した。中性子回折実験から得られた核密度図からその立体構造モデル(全原子座標: 約4,000個、そのうち水素及び重水素原子座標: 約2,000個)を構築し、1.75${AA}$分解能において、結晶学的R値: 23.4%まで精密化を終了している。中性子回折実験により得られた核密度図から、活性部位の解離状態や薬物候補化合物との水素結合様式が詳細に明らかになってきた。また、同一結晶から取得した核密度図(中性子)と電子密度図(X線)の差分を取ることにより、各原子の原子散乱長(因子)の特徴を反映したさまざまな情報を得ることができた。

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