低アルカリ性セメント硬化体の間隙構造と塩化物イオンの見掛けの拡散係数に関する研究
Study on pore structure and diffusion coefficient of chloride ion in hardened low-alkaline cement
三原 守弘 ; 鳥居 和之*
Mihara, Morihiro; Torii, Kazuyuki*
長寿命の放射性核種を含む廃棄物を地層処分する際のモルタル,コンクリートなどの充填材として、ポゾランを多量に用いた低アルカリ性セメントの開発が行われている。このセメントは、ポゾラン材料として、シリカフュームと多量のフライアッシュが用いられたセメントで、HFSCと呼ばれている。本研究では、HFSC硬化体における物質移動現象を把握することを目的として、その間隙構造と塩化物イオンの拡散挙動について評価を行った。水銀圧入法の評価により得られたHFSC硬化体の間隙率は、普通ポルトランドセメント(OPC)のものより大きいが、間隙量が増加する間隙径は、OPCより小さいことが示された。また、反射電子像での評価により、大きな径の間隙がHFSC硬化体において観察された。これは、中空なフライアッシュ(セノスフェア)の存在によるものであった。フライアッシュ40%のHFSC硬化体の塩化物イオンに見掛けの拡散係数が、最も小さな値を示した。HFSC硬化体においては、屈曲度やイオン排除・分子フィルトレーション効果の大きな間隙構造が形成されるために拡散係数が小さくなるものと考えられた。
Low-alkaline cement using pozzolans is under consideration as a possible filling and structural material in geological disposal for long-lived radioactive waste. Silica fume and high-volume fly ash are used to develop the low-alkaline cement which is named as HFSC, High-volume Fly ash Cement. In this study, pore structure and diffusivity of chloride ion in HFSC pastes were investigated in order to understand the fundamental transport properties of ions.