磁性半導体に対する新しい数値計算法

New numerical approach for studying diluted magnetic semiconductors

大江 純一郎; Gu, B.; 前川 禎通

Oe, Junichiro; Gu, B.; Maekawa, Sadamichi

本稿では、磁性半導体に対する新しい数値計算方法として、第一原理計算と量子モンテカルロ法のそれぞれの優れた部分を利用した複合的な方法を紹介する。この方法は、物質固有のバンド構造・混成エネルギーを用いて、電子間相互作用を正確に扱うため、現実の物質の電子状態を正確に記述できる。(Ga,Mn)Asに対する計算では、フェルミ準位の位置によって磁気秩序が変わることがわかり、実験をよく再現することが示される。(Zn,Mn)Oにおける解析結果では、結晶構造の違いが磁気的性質に大きく影響していることを示す。軌道に電子が存在しない磁性半導体においても本方法は有効であることが示され、今後本方法を用いたさまざまな磁性半導体の解析、又は物質設計が期待される。ここで紹介した方法は、磁性半導体のみならず金属原子を含んだ高分子や生体分子などにも適応可能であるため、新しい機能分子の設計なども行うことを計画している。

We report a new combined numerical approach for studying diluted magnetic semiconductors (DMS). In this approach, realistic parameters obtained by the calculation are used for performing quantum Monte Carlo calculations. We show that the proposed approach well describes the magnetic properties of DMS and can be used for designing the new DMS materials which has high Curie temperatures.