電子ビームによる高機能性リグノフェノール吸着剤の開発

Development of high functional lignophenol sorbent using electron beam

広田 耕一; Parajuli, D.; 瀬古 典明

Hirota, Koichi; Parajuli, D.; Seko, Noriaki

循環型材料創製に関する技術開発の一環として、樹木の主要成分の1つであるリグニンを用いた金属吸着剤の合成を行っている。本研究では、これまでの化学薬品による手法に比べ、効率的に基材にラジカルを発生させることのできる電子ビームを用いて、杉から抽出したリグニンにエチレンジアミンを導入して吸着剤を合成し、貴金属に対する吸着能を既存の方法で合成した吸着剤と比較評価した。その結果、電子ビームで合成した吸着剤は、0.55Mの塩酸水溶液において金及び白金(初期濃度5mM)に対して80%以上の高い吸着率を示したが、パラジウムについては酸濃度が高くなるにつれて吸着量が減少した。塩酸濃度0.5Mの条件下での最大吸着量は、Au(III), Pt(IV), Pd(II)でそれぞれ3.1, 2.3, 0.85mol/kgであった。これらの値は、同条件で既存の方法で合成した吸着剤に比べ、金で0.70mol/kg、白金で0.90mol/kg、パラジウムで0.42mol/kg高く、パラジウムに至っては最大吸着量が約2倍に達していることから、電子ビーム法による吸着剤の合成が既存法に比べ優れていることが明らかになった。

Wood derived lignin has been modified with ethylenediamine (EN-CLP) after electron beam irradiation and its performance for the recovery of precious metals has been studied and the results are compared with that of chemically modified derivative. The maximum adsorption capacities of both the adsorbents for Au(III), Pd(II), and Pt(IV) were evaluated as: EN-CLP(EB) 3.1, 2.3, 0.85 mol/kg, and EN-CLP (Chem) 2.4, 1.4, 0.42 mol/kg, respectively. The EN-CLP synthesized by an electron beam has higher capacity for the recovery of the precious metals.