パルス強磁場によるプラズマ軟X線レーザーの偏光制御について

Polarization control of plasma X-ray laser by pulse magnetic field

長谷川 登; 河内 哲哉; 佐々木 明; 岸本 牧; 越智 義浩; 錦野 将元; 米田 仁紀*

Hasegawa, Noboru; Kawachi, Tetsuya; Sasaki, Akira; Kishimoto, Maki; Ochi, Yoshihiro; Nishikino, Masaharu; Yoneda, Hitoki*

円偏光を利用した吸収測定は、紫外,可視,赤外の領域で分子の構造解析などに幅広く用いられている。真空紫外,軟X線領域では、多くの共鳴準位があり円偏光二色性測定により多くの情報が得られると期待されているが、良好な偏光素子(位相子)がないことからほとんど行われていない。一方、原子遷移の発光のうち磁気量子数m=-1,0,+1の3つの準位が縮退しているものでは、m=-1の遷移線('光)では量子化軸の方向に右回りの円偏光、m=+1の遷移線(光)では量子化軸の方向に左回りの円偏光になることが知られており、強磁場によりその発光点においてゼーマン効果による波長分離を起こさせれば、偏光成分をスペクトル分離することが可能になる。そこで、本研究ではプラズマ軟X線レーザーの発振過程に強磁場を印加し円偏光の選択的な抽出を行える軟X線ビーム開発を行っている。実験では、Ni様イオンの4p(J=1(m=-1,0,+1))-4d(J=0(m=0))遷移線を対象とした。これに小型パルスパワー装置により約17テスラの磁場を与え、偏光成分の分離を試みたのでこれを報告する。

We proposed and demonstrated the polarization control method of an X-ray laser using the magnetic field for the first time. The line of nickel-like molybdenum X-ray laser was separated using a high-resolution spectrometer with strong magnetic field. The result of this experiments implied the left and right handed circularly polarized X-ray laser were generated at the same time. It is very applicable for a circular dichroism measurement.