Theoretical analysis for inelastic neutron scattering on BaFe(As,P) using realistic three-dimensional 10-orbital tight-binding model
三次元10軌道強束縛模型を用いたBaFe(As,P)の非弾性中性子散乱実験の理論的解析
永井 佑紀 ; 中村 博樹 ; 鈴木 雄大*; 臼井 秀知*; 黒木 和彦*; 町田 昌彦
Nagai, Yuki; Nakamura, Hiroki; Suzuki, Katsuhiro*; Usui, Hidetomo*; Kuroki, Kazuhiko*; Machida, Masahiko
近年発見された鉄系高温超伝導体は、産業への応用も期待され世界中で盛んに研究されている。機構においても、量子ビーム部門のJ-PARCによる中性子散乱実験が行われており、その結果の解析が必要とされている。本発表では、J-PARCで行われているBaFe(As,P)の中性子散乱実験の結果を解析するために、第一原理計算結果に基づくモデルと多軌道乱雑位相近似を組合せた手法を用いシミュレーションを行うことで、この物質の超伝導発現機構について新たな知見が得られたことを報告する。なお、課題解決にあたり、機構のスーパーコンピュータBX900を対象とした大規模並列計算コードを開発し、従来実現できなかった三次元10軌道模型によるシミュレーションを実施した。その結果、Pを含む鉄系超伝導体BaFe(As,P)は含まない他の超伝導体と超伝導発現機構が異なる可能性があることがわかった。以上の知見は、鉄系超伝導体の転移温度を上昇させる方針方法に指針を与えるものであると考えられる。また、開発した計算コードは、当室における原子力材料のマルチスケールシミュレーション開発に資する成果であり、当該成果の反映が期待できる。
We calculate spin susceptibility on the basis of the multi-orbital random-phase approximation with use of the realistic three-dimensional 10-orbital tight-binding model for an iron-based superconductor BaFe(As,P) which seems to have gap-nodes. We show that the shape of nodes on the Fermi surface for BaFe(As,P) is distinguishable according to inelastic neutron scattering experiments. Our results are consistent with the recent neutron scattering experiments for BaFe(As,P) with Tc = 30 K.