ショートステップ工法による立坑掘削時の支保応力に関する一考察

A Study on the support stress during shaft excavation using the short step method

小池 真史*; 井尻 裕二*; 稲垣 大介; 津坂 仁和

Koike, Masashi*; Ijiri, Yuji*; Inagaki, Daisuke; Tsusaka, Kimikazu

幌延深地層研究所の地下施設のうち、立坑についてはショートステップ工法で施工されている。施設建設段階で取得される種々の施工データを用いて、立坑の構造部材である覆工コンクリートの挙動を理解し、その長期的な健全性を確保する設計手法を確立することは、重要な工学的課題の一つである。これまで筆者らは、施工条件をできるだけ忠実に再現した三次元逐次掘削解析を実施し、施工中に取得された種々の計測データと比較することにより、ショートステップ工法による立坑掘削時の周辺岩盤及び支保の挙動について分析を行ってきた。本報告では、既往の研究と同様の手法を用いて、東立坑の深度220m付近を対象とした三次元逐次掘削解析を実施し、岩盤物性や初期応力の異方性が覆工コンクリートの挙動に及ぼす影響について考察した。その結果、覆工コンクリートに発生する応力の分布の特徴から、岩盤物性を低く設定することは必ずしも安全側の設計条件にはならないため、立坑支保の設計を合理的に行うためには、岩盤物性に幅がある場合、施工条件によっては下限値だけでなく、上限値も考慮する必要があることを示した。

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